表紙 前文

 

 ?あ ?い 'い ?う 'う ?え 'え ?お 'お                             ?め   ?や  ?ゆ  ?よ       ?わ  ?ゐ  ?ゑ  ?ん  

 

   ?ゑ:(ぅうぇ)

 

 ?ゑ(ぅうぇ)は、「うぇ」の前に軽く「ぅ」を添える感じである。「うぇ」は、英語の、「web」、「wet」、「west」などの「we」と同じである。「うぇ」も昔の日本語の共通語には存在した発音である。その痕跡が、「ゑ」という文字である。「ぅうぇ」はこれだけで1音である。「ぅうぇ」は「ぅうぇえ」と長音で用いられるか、「ぅうぇん」と撥音が続くかのどちらかである。例外として、「ぅうぇぐ」が1語ある。

 

親家(ぅうぇえか)⓪: (名) 親戚。親類。姻戚をもいう。 @親家(ぅうぇえか)

  為(しゅ)ん。/親戚づきあいをする。

親家(ぅうぇえか)親家(ぅうぇえか)⓪: (感) よその犬にあった時、かみつかれ

  ないように唱えるまじないの文句。この家の親戚だといってなだめる意。

親川(ぅうぇえがあ)⓪: (名) 親川。 ※親川(おやかわ)は、名護市の地名。

腫瘡(ぅうぇえがさ)⓪: (名) 悪性の腫れ物の名。背の上、肩の後ろの辺にできる

癰(よう)。激痛を伴い、非常に恐れられている。

親家地(ぅうぇえかじ)⓪: (名) [古][おえか地]地頭(じとぅう)その他の役人

  に賜った地。領地。知行。采地。その土地からの収入は、作得(さくとぅく)、という。

親方(ぅうぇえかた)⓪: (名) [古][親方]位階の名。按司(あじ)に次ぐ位階で

  総地頭の家柄。

親家(ぅうぇえか)腹氏(はろおじ)⓪: (名) 一族一門。親類縁者。親戚全部。‐

はろおじ、という形は首里では単独では用いられない。

親家(ぅうぇえか)人(ちゅ)⓪: (名) 役人。領地を持つ人。親家地(ぅうぇえ

かじ)[その領地]から穀物を取得する。

親貴(ぅうぇえき)⓪: (名) 富。たくさんの財産。 @親貴(ぅうぇえき)御神

(うかみ)。/福の神。 @親貴(ぅうぇえき)為(しゅ)ん。/富をなす。富を作る。

親貴(ぅうぇえき)い⓪: (名) 金持ち。財産家。

親貴(ぅうぇえき)人(ちゅ)⓪: (名) 金持ち。財産家。親貴(ぅうぇえき)い、

  ともいう。

親貴(ぅうぇえき)人(ちゅ)う⓪: (名) 金持ち。親貴(ぅうぇえき)人(

ゅ)、を軽蔑的にいう語。

親子(ぅうぇえく)⓪: (名) ええく(櫂)、と同じ。 *混効験集:坤巻・器材に、

おやこ、とあり、この当て字はそれによった。いわゆる民間語源説であるが、発音上

はそうなるので意外に正しいのかもしれない。

親国(ぅうぇえぐに)⓪: (名) [親国]御国。位の高い国を敬っていう語。首里以

外のいなか、山原(やんばる)などからは、首里と敬って、しゅい,ぅうぇえぐに(首

里親国)といった。 ※首里親国は、おもろさうしにたびたび登場する。(表記はまち

まちである。)

親姑・舅(ぅうぇえしとぅ)⓪: (名) 御しゅうと。姑・舅(しとぅ)[しゅうとめ、

  しゅうと]の敬語。

御休為召候(ぅうぇえしみせえ)ん⓪: (自・不規則) おやすみになる。寝る[眠(に

ん)じゅん]、やすむ[憩(ゆく)ゆん]の敬語。 @御休為召候侍(ぅうぇえしみせ

えび)り。/おやすみなさいませ。目上に対する、寝る時のあいさつ。目下に対して

は、憩(ゆく)れえ[やすめ]とか、眠(にん)でえ[眠れ]とかいう。

間(ぅうぇえだ)⓪@: (名) @間。 @首里(しゅい)から那覇(なあふぁ)迄(

でぃ)間(ぅうぇえだ)なかい幾(いく)つぃ村(むら)有(あ)が。/首里か

ら那覇までの間に幾つ村があるか。 A間。期間。〜までの間。〜までの期間。 @

明日(あちゃ)間(ぅうぇえだ)。/あしたまでの間。 @吾(わあ)が取(とぅ)

てぃ来(ちゅう)る間(ぅうぇえだ)待而居(まっちょお)りよお。/わたしが取 

てくるまで待ってろよ。 @其(う)間(ぅうぇえだ)如何(ちゃあ)為居(しょ

お)たが。/その期間どうしていたか。 @三時(さんじ)から四時(ゆじ)迄(

でぃ)間(ぅうぇえだ)なかい来(くう)よお。/3時から4時までの間に来いよ。

親田(ぅうぇえだ)⓪: (名) 親田。 ※親田(おやだ)は、国頭郡大宜味村に存在

した地名。現在の田嘉里(たかざと)である。親田、屋嘉比、見里が合併して、田嘉

里となった。

親代(ぅうぇえだい)⓪: (名) [公事]御内裏奉公。王城の勤務。宮仕え。転じて、

官職。公職。

親代(ぅうぇえだい)拝(うが)ん⓪: (名) 官職を拝命すること。仕官。任官。う

  ぅがん、は拝み。

親代(ぅうぇえだい)人(にん)⓪: (名) 宮仕えの人。役人。

親代(ぅうぇえだい)半為(ばんし)⓪: (名) お役所仕事のような仕事ぶり。うわ

べだけを整えておくこと。‐はんし、は一時しのぎの意。

間(ぅうぇえだ)間(ぅうぇえだ)@: (名) 間間に。合間合間に。 @話(はなし)

間(ぅうぇえだ)間(ぅうぇえだ)なかい歌(うた)入(い)りゆん。/話の合間

合間に歌を入れる。

押(ぅうぇ)え付(づぃ)き⁼ゆん@: (他 ⁼らん、⁼てぃ) (仕事などを他に)押し

  つける。

親泊(ぅうぇえどぅまい)⓪: (名) 親泊。 ※親泊(おやどまり)は、国頭郡今帰

仁村に存在した地名。現在の今泊である。今帰仁(集落名)と親泊が合併して今泊と

なったそうだ。親泊という立派な地名がなくなったのは残念であるが、姓名としては

立派に存在する。

合間(ぅうぇえま)@: (名) @間。〜までの距離全体。 @学校(がっこお)ぬ合

間(ぅうぇえま)。/学校までの距離。 @彼処(あま)迄(までぃ)合間(ぅうぇ

えま)歩(あっ)良(ゆう)為(さ)ん。/あそこまで歩けない。 A間。期間。

〜までの間全体。 @三時(さんじ)から四時(ゆじ)迄(までぃ)合間(ぅうぇ

えま)待而居(まっちょお)りよお。/3時から4時までの間(計1時間)待ってろ

よ。 @其(う)合間(ぅうぇえま)中(なか)い幾回(いくけえん)憩(ゆく)

いが。/その間に何回休むか。其(う)間(ぅうぇえだ)中(なか)い〜、とも

える。

御持物(ぅうぇえむん)⓪: (名) お持ちもの。持ちものの敬語。 @大人(あり

  い)御持物(ぅうぇえむん)。/おとうさまのお持ちもの。

親嫁(ぅうぇえゆみ)⓪: (名) お嫁さん。他家の嫁の敬称。

親御衣(ぅうぇえんす)⓪: (名) お召し物。ちん(着物)の敬語。御衣(んす)の

さらに上の敬語。

御恵(ぅうぇぐ)ん候(しょ)り⓪: (名) [古]お嬢さま。口語は、姉小前(あい

ぐぁあめえ)。 @天柄杓(てぃんしゃぐ)花(はな)や御恵(ぅうぇぐ)ん候(し

ょ)御持物(ぅうぇむぬ)、茉莉花(むいくばな)小花(くばな)里(さとぅ)が御

持物(ぅうぇむぬ)。[てんしやごの花や うえぐんよりおや物 いく花小花里が

おや物]うせんかの赤い花はお嬢様のもの、まつりの白い花は御主人のもの。奉公

人が主家の庭をたたえた歌。男女の陰部を庭園の花にたとえたものか。

御有(ぅうぇ)ん候(せえ)ん@: (連詞・不規則) でおありになる。でいらっしゃ

る。有(や)ん[である]の敬語。御有(うや)ん候(せえ)ん、御有(ぅわあ)

候(せえ)ん、と同じ。 @御頑丈(うがんじゅう)為(っし)御有(ぅうぇ)ん候

(せえ)侍(び)いみ。/お元気でいらっしゃいますか。 

上(ぅうぇ)達(だ)あ⓪: (名) おとなしい人。やさしい人。

上(ぅうぇ)達(だ)馬(ぅんま)⓪: (名) おとなしい馬。噛(くう)やあ馬(ぅ

んま)[荒馬]の対。 ※沖縄語辞典、(名)、が抜けている。

上(ぅうぇ)達(だ)さん⓪: (名) やさしい。おとなしい。柔和である。

上(ぅうぇ)人(ちゅ)⓪: (名) ねずみ。忌んで上の人(天井にいる人)の意で

言ったものか。

上(ぅうぇ)人(ちゅ)器具(やあま)⓪: (名) ねずみおとし。ねずみ取り。や

  あま、は機械の意。

上出臍(ぅうぇんぶさ)あ⓪: (名) 出その者。

上出臍(ぅうぇんぶす)⓪: (名) 出べそ。出(て)ん臍(ぶす)、ともいう。

負(ぅうぇ)目(み)@: (名) 負けたという意を表示する語。降参。倒合(と

せ)え[倒し合い]の時などにいう。 @負(ぅうぇ)目(み)い。/降参か。 @

負(ぅうぇ)目(み)為(し)みゆん。/降参させる。