?あ ?い 'い ?う 'う ?え 'え ?お 'お か き く け こ さ し す せ そ た ち つ て と な に ぬ ね の は ひ ふ へ ほ ま み む ?め め も ?や や ?ゆ ゆ ?よ よ ら り る れ ろ ?わ わ ?ゐ ゐ ?ゑ ゑ ?ん ん
た
二(た)⁻: (接頭) 二。ふた。 @二回(たけえん)。二人(たい)。二羽(たふぁに)。
など。
二(たあ)@: (感) ふう。ふたつ。声を出して数える時にだけいう。
田(たあ)⓪: (名) 田。
誰(たあ)@: (名) @誰。韻文や古語、また一部の方言では、誰(たる)、という。
@彼(あれ)え誰(たあ)やが。/あれは誰か。 @誰(たあ)が。/誰か。 @誰
(たあ)がやら。/誰かしら。 @誰(たあ)でぃん一人(ちゅい)此間(くま)ん
かい来(くう)わ。/誰でもいいからひとりここに来い。 @誰(たあ)やてぃん。
/誰でも。 ➁(接頭)誰の。 @誰(たあ)物(むん)。/誰のもの。など。
※常陸風土記、「筑波嶺に遭(あ)はむといひし子は誰(た)が言聞けばかみねに逢はず
けむ」。枕草子・104、「あれ、たそや。かの御簾の間より見ゆるは」。
⁻達(たあ): (接尾) @たち。人について複数を表す。 @吾達(わったあ)[わたし
たち]、汝達(いったあ)[おまえたち]、彼達(あったあ)[彼等、彼女等]、二才達
(にいせえたあ)[青年たち]、姉小達(あんぐぁあたあ)[平民の娘たち]、など。
複数の接尾辞には、⁻ちゃあ、という形もある。その項参照。 ➁転じて、その人の家を示す。
@彼達(あったあ)かい行(い)ちゅん。/彼の家へ行く。 @次郎達(じるうたあ)。
/次郎の家。 など。 *混効験集:乾巻・言語に、「た」、とある。 ※複数の接尾
辞「た」は、おもろさうしに頻出する。
だあ@: (感) @物を尋ねる時用いる。おい。ねえ。 @だあ、筆(ふで)え。/筆
はどこか。筆はどうした。 ➁物を請求する意を表す。おい。ねえ。 @だあ、銭(じ
ん)。/金をくれ。 @だあ、見(み)しれえ。/どら、見せろ。手を出して、だあ、
というだけでも事がたりる。 B失敗した時にもいう。しまった。
田位牌(たあいいふぇえ)⓪: (名) 水田にいる虫の名。げんごろうの類。丸く黒色。
※前足のかっこうが位牌を拝むようだから、と推測しておく。
田魚(たあいゆ)⓪: (名) ふな(鮒)。田にいる魚の意であろう。煎じて熱さましの
特効薬として用いる。
田魚頭(たあいゆがしら)⓪: (名) お山の大将。餓鬼大将。ふなの大将の意。
田魚煎(たあいゆしん)じ⓪: (名) ふなを煎じた汁。
田芋(たあぅんむ)⓪: (名) 田芋の意。水田に作る芋で、形は里芋に似ており、一
種の風味がある。
田芋煮(たあぅんむに)い⓪: (名) 料理の名。田芋(たあぅんむ)、と、さつまいも
を混ぜ、砂糖を加えて練ったもの。きんとんに似た上等の食物。
誰(たあ)がな@: (名) 誰か。 @誰(たあ)がな行(い)かに。/誰か行かない
か。 @誰(たあ)がな頼(たぬ)まりせえ居(うぅ)らに。/誰か頼める者はいな
いか。
担桶(たあぐ)⓪: (名) @たご。桶の一種。もっぱら水を運ぶのに用いる。桶の両
側の板がおのおの一枚ずつ伸び、それに横木を通して取っ手とした桶。 ➁(接尾)
担桶(たあぐ)、に一杯・二杯などと数える時にいう。 @一担桶(ちゅたあぐ)、二
担桶(たたあぐ)、など。
団子(だあぐ)⓪: (名) だんご。米の粉をこね、小さく丸めて蒸したもの。
大庫(たあくう)⓪: (名) 茶器を入れる器。芝居見物・墓参などに携帯するもの。
中国渡来の器であろう。朱塗りの箱で、中には錫製の土瓶を入れ、箱に入れたまま湯
をつぐ仕掛けになっている。 ※それらしい中国音の漢字を当てた。
田草(たあぐさ)⓪: (名) 田の草。 @田草(たあぐさ)掻(か)ちゅん。/非常
にあせる。
田拵(たあぐしれ)え⓪: (名) 田ごしらえ。稲を植える前に田を耕して準備するこ
と。
戯言(たあくとぅ)@: (名) うわごと。熱に浮かされて言うことば。 @戯言(た
あくとぅ)読(ゆ)ぬん。/うわごとを言う。 ※万葉集・1408、「狂言(たはこ
と)か逆言(およづれこと)か隠口(こもりく)の泊瀬(はつせ)の山に廬(いほり)
せりといふ」。
大大(たあたあ)⓪: (名) 父の小児語。那覇では、大大(ちゃあちゃあ)、という。
炊(たあ)ちい⓪: (名) 芋糟(ぅんむかすぃ)[芋かす。甘藷から澱粉をとった残り
かす]を粉にして煮た料理。食糧不足の時に食べるもの。詳しくは、芋糟炊(ぅんむ
かすぃだあ)ちい、という。
立(たあ)ちゃ⓪: (名) 立つことの小児語。たっち。
二人(たあちゅ)う⓪: (名) ふたご。双生児。
二(たあ)つぃ@: (名) 二つ。二。 @二(たあ)つぃん成(な)れえ。/二つの
うちならば。二つのうち、一つを選ぶとすれば。 @二(たあ)つぃ為(しゅ)ん。
/二つする。兼ねる。
二(たあ)つぃ巻(ま)ちゃあ⓪: (名) つむじが二つある者。一癖ある者とされ、
男の子なら喜ぶ。
二(たあ)つぃ見(み)し⓪: (名) 二つ違いの子供を産むこと。一(てぃい)つぃ
見(み)し、は、としごを産むこと。としごはまれに、年(とぅし)ん子(ぐぁ)、と
もいう。三(みい)つぃ見(み)し、は三つ違いの子を産むこと。⁻見(み)し<見(み)
しゆん(見せる)。弟妹が生まれることを、弟(うっとぅ)見(み)しゆん[弟妹を見
せる]、という。
二(たあ)つぃ割(わ)い⓪: (名) 二つに割ること。二つ割り。二分。
田倒(たあどお)し⓪: (名) 田を畑として使うこと。田の水を干させて、畑とする
こと。稲の刈入れ後、さつまいもを作る場合などにする。田倒しの意。
田倒(たあどお)し芋(ぅんむ)⓪: (名) 田を畑にして作ったさつまいも。甘味が
多く、美味。
だあなあ⓪: (感) しまった。女が失敗した時に発する語。 @だあなあ、如何(ち
ゃあ)為(しゅ)が。/しまった。どうしようか。
田場(たあば)⓪: (名) 田場。 ※「たば」、うるま市の地名。
田場(たあば)あ細工(ぜえく)⓪: (名) へたな大工。しろうと大工など。[田場]
という名の昔の名工に由来する語で、へたな大工を皮肉にいう語。
足袋(たあび)⓪: (名) 足袋。
打花鼓(たあふぁあくう)⓪: (名) [打花鼓] 楽劇の名。中国より渡来し、那覇
の久米村で行われたもの。
田膨(たあぶっ)くぁ⓪: (名) たんぼ。田のたくさんあるところをいう。地名とし
ては、北谷田圃(ちゃたんたあぶっくぁ)、羽地田圃(はにじたあぶっくぁ)、など。
田回(たあま)あ⓪: (名) とんぼの一種。やんま。青緑色で、形が大きい。蜻蛉(あ
あけえじゅう)、はこれより小さい。宮古田回(なあくだあま)あ[宮古の田回(たあ
ま)あ]ともいう。
濁目(だあま)あ⓪: (名) 濁目(だあみ)、の者。
濁目(だあみ)⓪: (名) 黒目が白いものにおおわれた、視力のない目。龍眼の実に
似ているので、龍眼目(でぃんがんみい)、ともいう。
田芋茎(たあむぢ)⓪: (名) 田芋(たあぅんむ)[里芋の一種]のずいき。芋茎(む
じ)ぬ御汁(ぅんしる)、芋茎御添(むじうせ)え、泥沸(どぅるわ)かしい、などに
して食べる。
俵(たあら)⓪: (名) @俵。特に藁で作った米俵。 ➁俸米。俸禄としてもらう米。
@御城(うぐすぃく)から俵(たあら)御給侍召候(うたびみせえ)ん。/お城から
俸米を下さる。
俵空(たあらぐう)⓪: (名) あき俵。
朴木(たあらし)⓪: (名) 植物名。ほおのき。木蘭科。こぶしに似て、香気高い花
が咲く。一名ほるとの木。樹皮・葉から褐色の染料をとる。
垂(たあ)り@: (名) 憑くこと。神垂(かみだあ)り、は神がかり。 ※共通語の
「垂る」には、「あらわし示す」という意味があるようである。源氏物語・明石に、「誠
に跡を垂れ給ふ神なれば助け給へ」とある。 *混効験集:坤巻・言語に、たあれ、
とある。
大人(たありい)⓪: (名) @父。おとうさん。士族についていう。名称でも呼称で
もある。平民の父は、主(しゅう)。「昔は主(シュー)といひたるなれども、久米村
(閩人の子孫の部落)より始まりて、支那語の大令をもて、父を呼びたるにより、首
里にも移り来るものと師の朝保翁いへり。(南島八重垣)」あるいは、中国語「大人」
の転訛か。 ➁家族・親族以外から、大人(たありい)、といえば、士族の父・士族の
戸主に対する卑称ともなる。士族のおやじ。大人小(たありいぐぁあ)、ともいう。 ※
南島八重垣(なんとうやえがき)は、明治・大正期の三線演奏者・山内盛憙(やまう
ちせいき)の著書で、朝保は、宜湾朝保(ぎわんちょうほ)のことと思われる。閩人
(びんじん)は、福建省あたりに住む中国人のことのようである。
大人小(たありいぐぁあ)⓪: (名) 大人(たありい)、の卑称。士族のおやじ。
絶(たあ)り⁼ゆん@: (自 ⁼らん、⁼てぃ) <絶(てえ)ゆん。 @費える。 @一
日(ふぃっちい)絶(たあ)りゆん。/一日むだにつぶれる。 複合語に、銭絶(じ
んだあ)り[金銭が費えること]、暇絶(ふぃまだあ)り[時間がつぶれること]。 ➁
(病気が)長引く。
大椀(たあわん)⓪: (名) 椀の一種。椀の大きなもの。大椀の中国音。
田蜷(たあんな)⓪: (名) たにし。水田に生じ、食用となる。田にいる蜷(にな)、
の意。
為(た)い@: (感・助) 目上に話しかける時・呼びかける時などに女が発する敬語。
さらに高い目上には、為(た)り、という。男は、然(さ)り、という。もし。 @
大人(たありい)為(た)い。/もしおとうさま。 @今日(ちゅう)や良(いぃ)
い天気(てぃんち)やい侍(びい)ん為(た)い。/きょうはいい天気でございます
ねえ。 @ええ為(た)い。/もしもし。
垂(た)い⓪: (名) 垂れ。垂れたもの。 @褌(さなじ)ぬ垂(た)い。/ふんど
しの前に垂らした部分。
二人(たい)@: (名) ふたり。二人。両人。 @二人(たい)ぬ親(うや)。/ふた
りの親。両親。
⁻(対)たい: (接尾) 人数を表す接尾辞。 @四対(ゆったい)[四人]、五対(いつ
ぃたい)[五人]、六対(むったい)[六人]、七対(ななたい)[七人]、八対(やった
い)[八人]、九対(くくぬたい)[九人]。ただし、一人(ちゅい)、二人(たい)、三
人(みっちゃい)、また、五人以上は、五人(ぐにん)、六人(るくにん)、のようにい
うことが多い。
⁻当(た)い: (接尾) 係。 当(あた)い[係]参照。
垂(た)い落(う)てぃ⁼ゆん⓪: (自 ⁼らん、⁼てぃ) 垂れて落ちる。
垂(た)い下(さ)が⁼ゆん⓪: (自 ⁼らん、⁼てぃ) 垂れ下がる。下に垂れて下がる。
怠(だ)い漏(む)い@: (副) 体がだるく、元気のないさま。女が妊娠した時の気
分など。
怠(だ)い者(むん)⓪: (名) 手足の力がなく、何の仕事もできない者。役立たず。
また、だるそうにしている者。元気の無い者。
台湾(たいわん)⓪: (名) 台湾。伝説的な野蛮国の意でも用いられる。 @台湾(た
いわん)ぬ鬼(うに)。/生蕃。 ※生蕃(せいばん)、清朝に抵抗した台湾人をこの
ように呼んだようである。
台湾坊(たいわんぼお)⓪: (名)[新] 台湾はげ。頭の毛がところどころはげる病気。
日清戦争後、台湾から帰った兵隊が流行させたという。台湾坊主(たいわんぼおじ)、
ともいう。
台湾坊主(たいわんぼおじ)⓪: (名) 台湾坊(たいわんぼお)、と同じ。
闘鶏(たうちい)⓪: (名) 闘鶏。闘鶏(たわちい)、と同じ。
鷹(たか)⓪: (名) 鷹。秋の初めごろ来て終わりごろ去る。金目(ちんみい)[金色
の目の鷹。高価で、貴族の子弟に飼われた]と糟材目(かしぜえみい)[灰色の目の鷹。
安価で、一般士族の子弟などが飼った]とがある。 @あんでえ、鷹(たか)鷹(た
か)沢岻(たくし)ぬ後(くし)から見(みい)ゆんどお。/(童謡の文句)ほら、
鷹が沢岻村の後ろに見えるぞ。 @鷹(たか)ぬ舞(もお)れえ烏(がらし)ん舞(も
お)ゆん。/鷹が舞えばからすも舞う。人真似をあざ笑ったことわざ。 @貧相者(ふ
ぃんすうむん)ぬ鷹(たか)貰(いぃ)いたんねえ。/貧乏者が鷹をもらったように。
鷹は高価なので、非常な喜びを表すことば。天に上るようだ。 *おもろさうし・1
365に、くまたか、とある。
高上(たかあ)がい@: (名) 高い所に上がること。高く上がること。 @女(うぃ
なご)お高上(たかあ)がい為(せ)え成(な)らん。/女は(目より)高い所に上
がってはいけない。
高時刻楼(たかあざな)⓪: (名) 首里城の石垣の上にある楼。御城(うぐすぃく)
の項参照。 *混効験集:乾巻・家屋に、たかあさな、とある。
鷹苺(たかいちゅび)@: (名) ほうろくいちご。野生のいちごで、山苺(やまいち
ゅび)、ともいう。 ※蛇苺に対して、鷹苺としたが、蛇も鷹も肉食で、イチゴは食べ
ないはずであるが?
高売(たかう)い⓪: (名) 高く売ること。安売(やすぃう)い、の対。
高浮上(たかうちゃ)があ⓪: (名) 偉そうにしている者。超然とかまえている者。
高浮上(たかうちゃ)ぎ@: (名) @高く顔を上げていること。 ➁高慢。超然とし
ていること。 @高浮上(たかうちゃ)ぎ為(しゅ)ん。/超然とする。偉そうにす
る。
高打掛(たかうっちゃ)き@⓪: (名) 高値を吹っかけること。高値を付けること。
@彼(あ)んし高打掛(たかうっちゃ)き為(せ)え買(こお)いせえ居(うぅ)ら
ん。/そう高い値では買う人はいない。
高臭(たかかざ)@: (名) 生臭いにおい。臭(かざ)、は香り、におい。生臭いは、
蒜臭(ふぃるぐさ)さん、という。
高木(たかぎい)⓪: (名) 高い木。喬木。
高買(たかごお)い⓪: (名) 高く買うこと。相場以上の値段で買うこと。
高(たか)さあ我張(があ)⓪: (名) 高さ比べ。
高(たか)さん⓪: (形) @(空間的な位置、地位などが)高い。 ➁(値段が)高
い。 B(声が)高い。また、(声が)大きい。 C(におい、主として悪臭が)高い。
複合語に、高臭(たかかざ)[生臭いにおい]、臭(にうぃ)高(だか)さん[悪臭が
強い]など。
高山(たかざん)⓪: (名) 高い山。 @彼(あ)ぬ森(むえ)え高山(たかざん)
成而居(なとお)ん。/あの丘は高くなっている。 @高山を湯桶読みにしているの
が興味深い。沖縄語では、音読みは思う以上に普通だったのかもしれない。
鷹木莬(たかじくく)@: (名) フクロウ。 ※鷹のような木莬(みみずく)、と解釈
しておく。他の解釈をお持ちの方?
高志保(たかしっぷ)⓪: (名) 高志保。 ※「たかしほ」、中頭郡読谷村の地名。
高竿(たかそお)⓪: (名) のっぽ。背の高い者。高い竿の意か。高外(たかは)じ
い、高竿似(たかそおに)い、高竿似(たかそおな)あ、などともいう。
高竿似(たかそおな)あ⓪: (名) 高竿(たかそお)、と同じ。
高利回(たかでぃいみぐ)い@: (名) 高利貸し。高利で貸すこと。高利回りの意。
高利比取(たかりふぃいとぅ)やあ、ともいう。高利貸(こおりが)し、は、その新
語。
高代(たかでえ)⓪@: (名) 高価。代金(でえ)が高いこと。
鷹(たか)ぬ黒巻(くるま)ち@: (名) @空高く、たくさんの鷹が輪を作って飛ぶ
こと。黒いうず巻きが壮麗である。 ➁その時期に出る小さいはぶ。
鷹(たか)ぬ為尿(しいばい)⓪@: (名) 鷹の渡る9〜10月ごろ、青空から霧の
ように降る小雨。高の小便の意。
高外(たかは)じい⓪: (名) 細く背の高い人。のっぽ。高竿(たかそお)、高竿似(た
かそおな)あ、などと同じ。
高走(たかばし)る⓪: (名) 高窓。壁の上方の高い所にある彩光・通風用の窓。走
(はし)る、は遣戸。
高機(たかはた)⓪: (名)[新] 高機。織機(ぬぬばた)、のたけの高いもの。旧来
の低い、じばた(地機)に対する。
高端(たかはな)⓪: (名) 高い所。高く突き出た所。風当たりの強い、高い所をい
う。
高離(たかはな)り⓪: (名) 高離島。沖縄本島の東側にある島。平安座島(ひゃん
ざ)、の東北側、伊計島(いち)、の南にある。 ※うるま市の宮城島のことである。
遠くから見ると、わりと高い丘陵があるので「高く離れた島」という感じである。「ペ
リー提督沖縄訪問記」には、「Hanadi」(はなでぃ)、と記載されている。
高原(たかばる)⓪: (名) 高原。 ※「たかはら」、沖縄市の地名。 ※沖縄語辞典、
(名)が抜けているようである。
高(たか)び⁼ゆん@: (自 ⁼らん、⁼てぃ) 高ぶる。偉そうにふるまう。
高足使(たかふぃしゃづぃけ)え⓪@: (名) 気づかい。客・隣人などに対していろ
いろと気をつかうこと。足を高くして歩く、すなわち足音を立てないようにする意か
らいったもの。 @高足使(たかふぃしゃづぃけ)え為(しゅ)ん。/気をつかう。
高昼間(たかふぃるま)⓪: (名) 昼過ぎ。昼下がり。午後2時〜3時ごろをいう。
高札(たかふだ)⓪: (名) 高札。昔、禁制や法度などのむねを記して路傍に高く立
てたもの。時には禁止ばかりでなく、一般に告知する内容のものもあったであろう。
禁止(ちじ)ぬ牌(ふぇえ)、ともいう。
集豆(たかまあ)@: (名) 集豆(たかまあみ)、と同じ。
集豆(たかまあみ)@: (名) めだか。淡水にすむ長さ3センチぐらいの小魚。集豆
(たかまあ)、集豆(たかまみ)、ともいう。 ※共通語の集(たか)る、と関係があ
るかもしれない。豆(まあみ)[もやし]のようである。
集豆(たかまみ)@: (名) 集豆(たかまあみ)、と同じ。
高宮城(たかみゃあぐすぃく)⓪: (名) 高宮城。 ※「たかみやぐすく」、南城市大
里にあった地名。南城市役所大里庁舎のすぐそばに、高宮城遺跡がある。
違(たが)⁼ゆん⓪: (自・他 ⁼あん、⁼らん、⁼てぃ) 違う。たがえる。「たがう」に
対応する。 @違(たが)あん。/たがわぬ。一致する。違約しない。 @約束(や
くすく)違(たが)ゆん。/約束をたがえる。
宝(たから)⓪: (名) 宝。貴重な品物。 *おもろさうし・288に、たから、と
ある。
多賀良(たから)⓪: (名) 多賀良。 ※「たから」、那覇市小禄にあった地名。
高良(たから)@: (名) 高良。 ※「たから」、那覇市の地名。
宝島(たからじま)⓪: (名) @宝島。吐噶喇列島の島の名。 ➁中国や西洋に対し、
やまとぅ(薩摩)のことをいつわって言ったもの。沖縄が薩摩に間接支配されている
ことをかくすために、宝島(たからじま)、という島と通商しているように見せかけた。
宝物(たからむん)⓪: (名) 棺。棺(くぁん)、を忌んでいったものであろう。
宝(たから)ん子(ぐぁ)⓪: (名) 大事な子。子宝。
高利比(たかりふぃ)い@: (名) 高利。利子が高いこと。
高利比(たかりふぃ)い取(とぅ)やあ⓪: (名) 高利貸し。
集(たか)り⁼ゆん@: (自 ⁼らん、⁼てぃ) たかる。一箇所に集まる。かたまる。 @
虱(しらん)ぬ集(たか)りゆん。/しらみがたかる。 @疥癬(こおし)集(たか)
りゆん。/疥癬がたくさんできる。複合語に、節集(ふしたか)らあ[節だらけのも
の]、存分集(じんぶんたか)らあ[才知のありあまるもの]など。
高笑(たかわれ)え@: (名) 声を立てて笑うこと。哄笑。高笑い。 @高笑(たか
われ)え為(しゅ)ん。/※動詞化。
高嶺(たかんみ)⓪: (名) 高嶺。 ※「たかみね」、豊見城市の地名。
田頭(たがんみ)⓪: (名) 田頭。 ※「たがみ」、豊見城市の地名。瀬長島の対岸で
ある。
嶽(たき)⓪: (名) 岳。主として、拝所(うがんじゅ)、のある山をいう。拝所のあ
る山は敬って、御岳(うたき)、ともいう。弁(びん)ぬ御嶽(うたき)、園比屋御嶽
(すぬひゃんうたき)、斎場御嶽(せえふぁうたき)、など。拝所のない山は、恩納岳
(うんなだき)、与那覇岳(ゆなふぁだき)、など。 *混効験集:坤巻・乾坤に、た
き、とある。 *おもろさうし・630に、たけ、とある。
丈(たき)⓪: (名) たけ。背の高さ。身長。 *おもろさうし・216に、たけ、
とある。
竹(だき)@: (名) 竹。種類としては、真竹(まあたく)[だいさんちく、りょくち
く。竿・建築用材などにする]、小桟(くさん)[ほてい竹]、苦竹(んじゃたき)[蓬
莱竹。ざるなどを作る。]、山原竹(やんばるだき)[琉球竹。篠竹。竹垣(ちにぶ)、
屋根などに用いる。]、大名(でえみょお)[寒山竹]、唐竹(からたき)[またけ。公儀
用として王室で用い、また、鹿児島に移出する]などがあげられる。 *おもろさう
し・1293に、たけ、とある。
⁻丈(たき)い: (接尾) ごと。ぐるみ。のまま。 @箱丈(はくたき)い持(む)っ
ち来(くう)わ。/箱ごと持って来い。 @骨(ふに)丈(たき)い計(はか)ゆん。
/骨ぐるみ計る。
竹帯(だきうび)@: (名) (桶などの)竹製のたが。
竹囲(だきがく)い@: (名) 竹の囲い。屋敷などの周囲を竹で囲った垣根。
竹垣(だきがち)@: (名) 竹垣。竹のいけがきの場合もある。
竹釘(だきくじ)@: (名) 竹の釘。
竹結髪(だきじいふぁあ)@: (名) 竹のかんざし。喪中に女が用いる。留(とぅ)
み、ともいう。
丈付(たきつぃ)き⁼ゆん@: (自 ⁼らん、⁼てぃ) (苦痛・病気などが)最悪の状態
になる。 @憐(あわ)り丈付(たきつぃ)き而居(とお)ん。/極度に苦しんでい
る。 @病前(やんめえ)ぬ丈付(たきつぃ)き而居(とお)ん。/病気が最悪の状
態になっている。危篤である。
丈(たき)とぅ等身(とぅうみ)⓪: (名) ありったけ。あるだけ全部。せいぜい。
@丈(たき)とぅ等身(とぅうみ)ぬ働(はたら)ち為(っし)見(んん)でぃ。/
ありったけの働きをしてみよ。 @此(く)ぬ家(やあ)や丈(たき)とぅ等身(と
ぅうみ)百万円(ひゃくまんえん)どぅ為(しゅ)る。/この家はせいぜい百万円し
かしない。 @丈(たき)とぅ等身(とぅうみ)十里(じゅうり)やか上(うぃい)
や無(ねえ)らん。/いくらあっても、十里以上はない。
竹富(だきどぅん)⓪: (名) 竹富島。八重山群島の島の名。また、そこの部落の名。
武富。 ※「たけとみ」、八重山郡竹富町に属する。竹富は、近代的な表記で、明治半
ばまでは、武富と表記されることが多かったようである。地元では、「てえどぅん」と
発音するようである。
丈(たき)な者(むん)⓪: (名) 程度の知れたやつ。たかの知れたやつ。
竹(だき)ぬ皮(かあ)⓪: (名) 竹の皮。
竹(だき)ぬ皮(かあ)草履(さば)⓪: (名) 竹の皮で張ったぞうり。貴族用・士
族女子用とされた。
竹(だき)ぬ髄(じい)@: (名) 竹の幹の中空の部分。じい、は髄。
竹(だき)ぬ子(っくぁ)@: (名) 竹の子。
竹葺(だきぶ)ち⓪: (名) 竹ぶき(の屋根)。山原竹(やんばるだき)、の小枝でふ
いた屋根。茅葺(かやぶ)ち[茅ぶき]よりもずっと上等で、耐久力が強い。
丈程(たきふどぅ)⓪: (名) 体格。身のたけと体格。程(ふどぅ)、は、やはり体全
体の体格。 @丈程(たきふどぅ)打合(うちゃ)而居(とお)ん。/体格の均衡が
とれている。
丈分(たきぶん)⓪: (名) @身分。分際。 ➁天分。素質。 @丈分(たきぶん)
ぬ有(あ)ん。/身分がある。また、素質がある。
竹箒(だきぼおち)@: (名) 竹帚。
岳森(たきむい)⓪: (名) 山岳。
竹床(だきゆか)@: (名) 竹で作ったゆか。竹床。
竹(だき)ん壷(つぃいぶう)⓪: (名) 竹のつぼ。竹筒。竹を切って器としたもの。
蛸(たく)⓪: (名) 鮹。 @蛸(たく)ぬ相子(ええく)。/蛸のように骨無しの人
間。立って歩けない人をいう。 @相子(ええく)、はその項参照。 *おもろさうし・
1100に、たこ、とある。
手繰(たぐ)い掛(か)か⁼ゆん⓪: (自 ⁼らん、⁼てぃ) 食ってかかる。つめ寄る。
貯(たくうぇ)え⁼ゆん@: (他 ⁼らん、⁼てぃ) 貯える。
他国(たくく)@: (名) 他国。他郷。
大工廻(だくざく)⓪: (名) 大工廻。 ※「だくじゃく」、沖縄市の地名。東南植物
楽園の西側である。
沢岻(たくし)⓪: (名) 沢岻。 ※「たくし」、浦添市の地名。那覇市首里大名町に
接している。 ※沖縄語辞典の「岻」の字、山のとなりが氏になっているが、正しく
は、氐(テイ)である。「岻」は、「チ」と読むのが本来であり、「シ」と読むのは「沢
岻」のみのようである。 *おもろさうし・471に、たくし、とある。
だくだく@: (副) 心臓が鼓動するさま。どきどき。 @胸(んに)だくだく。/胸
がどきどき。
落着(だくちゃく)@: (名) 落着(らくちゃく)、と同じ。
二言(たくとぅ)@: (名) 二言(ふたこと)。次の慣用句で用いる。 @二言(たく
と)お無(ねえ)ん。/異論なしに。口答えせずに。言う通りに。二つ返事で。
企(たく)⁼ぬん⓪: (他 ⁼まん、⁼でぃ) たくらむ。企てる。 @謀反(むふん)企
(たく)ぬん。/謀反をたくらむ。
畳(たく)⁼ぶん@: (他 ⁼ばん、⁼でぃ) たたむ。折り返して重ねる。
巧(たく)ま⓪: (名) 利口さ。知恵のあること。悪い意味はない。悪知恵は、嫌(や)
な巧(だく)ま。
巧(たく)まあ⓪: (名) 利口者。知恵のある者。うまいことを考える者。悪い意味
はない。
巧(たく)ま切(ち)らあ⓪: (名) 切れ者。利口者。頭のよく働く者。
巧(たく)ま切(ち)り⓪: (名) 頭がよく切れること。頭が鋭いこと。
巧(たく)ま切(ち)り者(むん)⓪: (名) 巧(たく)ま切(ち)らあ、と同じ。
だくみ⁼ちゅん@: (自 ⁼かん、⁼ち) どきんとする。動悸をうつ。「だくめく」に対
応する。
二小盛(たくむ)い@: (名) 4厘。銭200文。銭(じん)、の項参照。
二小盛(たくむ)い五十(ぐんじゅう)@: (名) 5厘。銭250文。銭(じん)、の
項参照。
手繰(たぐ)ゆん⓪: (他 ⁼らん、⁼てぃ) (ひも・縄・たこの糸などを)たぐる。
他言(たぐん)@: (名) 他言。他人に語り告げること。
互(たげ)え⓪: (名) 互い。相互。相方。 @互(たげ)えに。/互いに。
高安(たけえし)⓪: (名) 高安。 ※「たかやす」、豊見城市の地名。
田返(たげ)え⁼しゅん⓪: (他 ⁼さん、⁼ち) 耕す。田返すの意か。返(けえ)しゅ
ん、ともいう。 ※広辞苑に、耕すは、田返(たがへ)すの転、とある。
高江洲(たけえすぃ)⓪: (名) ※「たかえす」、うるま市の地名。 *おもろさうし・
1132に、たかへす、とある。
互(たげ)え違(ちげ)え⓪: (名) 互いにくい違うこと。互い違い。
互(たげ)えにいいひい⓪: (名) 互いに敬語を使わずに、肯定の時は、いい、と言
い、呼ばれた時は、ひい、と答える話し方。親しい同年輩同志の話し方。きみ・ぼく
の話し方。同(いぃ)ぬいいひい、ともいう。いいひい、の項参照。
互(たげ)えにううふう⓪: (名) 互いに敬語を使い、肯定の時は、うう、と言い、
呼ばれた時は、ふう、と答える話し方。初対面や、まだ互いに親しくない間柄の礼儀
正しい話し方。同(いぃ)ぬううふう、ともいう。ううふう、の項参照。
二回(たけえん)@: (名) 二回。⁻けえん、は回数を表す接尾辞。
足(た)し@: (名) 足し。補い。代理。補欠。 @足(た)し入(い)りゆん。/
代わりのものを入れる。
出汁(だし)⓪: (名) だし。煮出し。味を付けるために煮出した汁。
確(たし)か⓪: (名) 確か。また、多分。きっと。 @確(たし)かに。/確かに。
@確(たし)かな。/確かな。 @確(たし)かやみ。/確かか。
確(たし)かしい⓪: (連体) 確かな。間違いない。 @確(たし)かしい人(っち
ゅ)。/確かな人物。 ※共通語の「しい」は形容詞語尾であるが、これを連体詞とし
て用いているところが興味深い。
確(たし)かみ⁼ゆん⓪: (他 ⁼らん、⁼てぃ) 確かめる。
ダシチャ⓪: (名) 灌木の名。木質が緻密で堅く、杖にする。 ※和名は、シマミサ
オ。 *おもろさうし・17に、だしきや、とある。
ダシチャあ具杖(ぐうしゃん)⓪: (名) ダシチャの木で作った杖。具杖(ぐうしゃ
ん)、は杖。
嗜(たしな)み@: (名) たしなみ。心掛け。
他島(たしま)@: (名) 他村。よその部落。島(しま)、は部落の意。人(っちゅ)
ぬ島(しま)、ともいう。
足(た)し前(めえ)⓪: (名) 不足を補う分。足し前。また、不足の立て替え分。
立て替え。また、賠償。弁償。 @足(た)し前(めえ)為(しゅ)ん。/不足分を
補う。立て替える。弁償する。
足(た)し前(めえ)⁼ゆん⓪: (他 ⁼らん、⁼てぃ) 不足分を補う。また、立て替え
る。人に代わって品物・金銭などを払っておく。また、弁償する。
炒(た)しやあ御盆(うぶん)⓪: いため御飯。
惰弱(だじゃく)@: (名) 惰弱。怠惰。 @惰弱(だじゃく)な者(むん)。/怠け
者。
炒(た)し⁼ゆん⓪: (他 ⁼らん、⁼てぃ) (食物を油で)いためる。
裁(た)⁼しゅん⓪: (他 ⁼さん、⁼ち) 裁つ。(布を)裁断する。 @裁(た)ちゃ
い縫(のお)たい。/裁ったり縫ったり。 ※裁(た)しゅん、は首里独特の女言葉
であろうか。一般には、裁(た)ちゅん、ではないかと思われる。
滾(たじ)⁼ゆん@: (自 ⁼らん、⁼てぃ) たぎる。煮え立つ。
滾(たじ)らし返(けえ)さあ⓪: (名) 何度も煮返すこと。また、何度も暖め返し
た料理。
滾(たじ)ら⁼しゅん@: (他 ⁼さん、⁼ち) @滾(たじ)ゆん[たぎる]の使役。 ➁
(食物)を煮返して暖める。暖め返す。
助(たすぃ)き⓪: (名) 助け。援助。救助。
助(たすぃ)き⁼ゆん⓪: (他 ⁼らん、⁼てぃ) 助ける。
尋(たずぃ)に⁼ゆん⓪: (他 ⁼らん、⁼てぃ) 尋(たず)にゆん、と同じ。
尋(たず)に⁼ゆん⓪: (他 ⁼らん、⁼てぃ) 尋ねる。尋(たずぃ)にゆん、尋(たん)
にゆん、ともいう。しかし、口語ではふつう、尋(とぅ)めえゆん[求める]、聞(ち)
ちゅん[聞く]などを用いる。
只(ただ)@: @(名)ただ。無代。徒(いちゃん)だ、ともいう。 ➁(副)イ・い
たずらに。むなしく。 @只(ただ)歩(あっ)ちゅん。/ただ歩く。 ロ・わずか。
たった。 @只(ただ)五十(ぐんじゅう)。/たった一厘。
縦(たた)あ⁼しゃん⓪: (形) 分に過ぎる。身分不相応である。 @縦(たた)あし
い事(くとぅ)。/分に過ぎたこと。 ※日本書紀、万葉集に見える「縦(たた)さ」
と関係のある語と思われる。
戦(たたか)⁼ゆん@: (自 ⁼あん、⁼らん、⁼てぃ) 戦う。戦闘する。勝負を争う。
戦(たたけ)え@: (名) 戦い。合戦。戦(いくさ)、は戦争。
正(ただ)⁼しゅん⓪: (自 ⁼さん、⁼ち) @正す。 @開口(かいこお)正(ただ)
しゅん。/開口を正す。開口(かいこお)、の項参照。 ➁糺す。吟味する。詮議する。
※糺(ただ)す、と読む。
叩(たた)⁼ちゅん⓪: (他 ⁼かん、⁼ち) たたく。
叩入込(たたちん)⁼ちゅん⓪: (他 ⁼かん、⁼ち) たたき込む。
滞(たたま)⁼ゆん@: (自 ⁼らん、⁼てぃ) 滞る。食物が消化せずにとどこおる、溝
がつまるなどの場合にいう。
祟(たた)り⓪: (名) たたり。鬼神・もののけなどが災いをなすこと。
爛(ただ)り@: (名) ただれ。
爛(ただ)り⁼ゆん@: (自 ⁼らん、⁼てぃ) ただれる。
畳(たたん)@: (名) 畳。備後畳(びいぐだたん)[備後表の畳]と藺畳(いぃいだ
たん)[琉球表の畳]とがある。
畳細工(たたんぜえく)⓪: (名) 畳屋。
畳屋(たたんやあ)⓪: (名) 畳屋。
太刀(たち)⓪: (名) 太刀。刀の大きなもの。
滝(たち)⓪: (名)[文] 滝。滝は少ないが、名護間切数久田に轟の滝という滝があ
る。 @明日(あちゃ)からぬ明後日(あさてぃ)里(さとぅ)が番上(ばんぬぶ)
い、滝(たち)成(な)らす雨(あみ)ぬ降(ふ)らなやすぃが。[あちやからのあさ
て 里が番上り 滝ならす雨の 降らなやすが]明明後日はわが背の君が首里へ勤番
で上る日である。どうか滝のような雨が降って出発が延びればよい(恩納なべの歌)。
滝(たち)成(な)らす雨(あみ)ぬ、のところは、谷茶(たんちゃ)越(く)しゅ
雨(あみ)ぬ、という歌詞もある。
埒(だち)@: (名) らち。 @埒(だち)ん明(あ)かん。/らちがあかない。
⁻立(だ)ち: (接尾) 世帯を立てる意の接尾辞。 @女立(うぃなぐだ)ち。/女世
帯。 @手向(たん)かあ立(だ)ち。/親がいなくて、若い夫婦が主となっている
世帯。子供がいてもいう。多く次男・三男の分家したものいう。 など。
他系(たちい)@: (名) 他系の意。他姓。血統の違う他姓。
立(た)ちい揃(すり)い⓪: (名) 事件などで大勢が寄り集まること。急病人の家
へ親類縁者が次々に集まる場合など。祝いごとなどの場合には言わない。
他系混(たちいま)じ込(く)い@: (名) 血統上関係のない者が相続人として家を
継ぐこと。多くはきらわれる。⁻まじくい、は、まざること。
立(た)ち動(ぅうぃい)ち⓪: (名) 身動き。立って動くこと。 @立(た)ち動
(ぅうぃい)ちぬ難儀(なんじ)やっさあ。/身動きが大儀だよ。
立(た)ち折(うぅう)い⓪: (名) 女の婚期。たち⁻<立(た)ちゅん[とつぐ]。
うぅうい、は折。
立(た)ち合(え)え⓪: (名) 立ち合い。監督、検証などのために立ち合うこと。
立(た)ち枯(が)り⓪: (名) 立ち枯れ。
立(た)ち兼(か)んてぃい⓪: (名) @その場を立ちかねること。この意ではあま
り用いない。 ➁暮らしに立てかねること。生活難で日々苦しむこと。 @立(た)
ち兼(か)んてぃい為居(しょお)ん。/生活難で苦しんでいる。
立(た)ち木(ぎ)⓪: (名) 立ち木。材木(ぜえぎ)、に対する。
立(た)ち口(くち)⓪: (名) 一番はじめの先祖。分家して一家を作れば、それが
後世、たちくち(立口)となる。多く、御立(うた)ち口(くち)、という。
抱(だ)ち込(く)⁼ぬん@: (他 ⁼まん、⁼でぃ) 抱きこむ。
立(た)ち苦(ぐ)りしゃん⓪: (形) 暮らしにくい。暮らしが立ちにくい。嫁がし
ゅうとに虐待された場合などにもいう。
立(た)ち込張(くんぱ)い⓪: (名) 立ちどおし。立ちっぱなし。立ち往生。
立(た)ち為口(しくち)⓪: (名) 立ち仕事。立ってする仕事。また、力仕事。立
(た)ち業(わざ)、ともいう。
焚(た)ち木(ぢ)⓪: (名) たきぎ。焚物(たむん)、ともいう。
立岸(たちぢし)⓪: (名) 立岸。 ※「たちじし」、那覇市首里にあった地名。古地
図では、首里の西南端に位置するようである。
立(た)ち聞(ぢ)ち⓪: (名) 立ち聞き。
焚(た)ち木(ぢ)取(とぅ)い⓪: (名) たきぎ取り。
立(た)ち付(づ)く⓪: (名) 暮らしむき。生活。
立(た)ち倒(とお)り@: (名) 立つか倒れるか。浮沈。興亡。生きるか死ぬか。
立(た)ち仲(なあか)⓪: (名) つれあい。配偶者。
立(た)ち鳴(な)ち⓪: (名) 犬の長鳴き。遠ぼえ。犬が夜中に声を長く引いて鳴
くこと。魔物を見た時の鳴き方とされている。
立(た)ち今(なま)⓪: (副) 立ちどころに。すぐさま。たちまち。 @立(た)
ち今(なま)見(みい)らん成(な)たん。/たちまち見えなくなった。
立(た)ち抜(ぬ)ぎ⁼ゆん⓪: (自 ⁼らん、⁼てぃ) 抜きん出る。衆にすぐれる。
立(た)ち退(ぬ)⁼ちゅん⓪: (自 ⁼かん、⁼ち) 立ちのく。
立歯(たちばあ)足駄(あしじゃ)⓪: (名) 足駄。台に植えた二枚の歯を、立歯(た
ちばあ)、といったもの。足駄(あしじゃ)、は単に下駄をいう。
立(た)ち憚(はばか)⁼ゆん⓪: (自 ⁼らん、⁼てぃ) 立ちはばかる。
抱(だ)ち瓶(びん)@: (名) 水筒のようなもの。乗馬の時に酒を入れ、着物の下
から脇腹に掛けるもの。陶製で、胴に密着するように偏平にできており、水筒のよう
にひもで肩から下げる。
立(た)ち端(ふぁ)⓪: (名) 立場。 @立(た)ち端(ふぁ)失(うし)なゆん。
/立場を失う。 ➁境遇。暮らしむき。 @良(いぃ)い立(た)ち端(ふぁ)。/よ
い暮らしむき。
立(た)ち回(まあ)い飛(とぅ)ん回(まあ)い⓪: (副) しばしば回って立ち寄
ること。 @立(た)ち回(まあ)い飛(とぅ)ん回(まあ)い為(しゅ)ん。/※
動詞化。
立(た)ち回(まあ)い回(まあ)い⓪: (副) しばしば立ち寄るさま。 @立(た)
ち回(まあ)い回(まあ)い為(しゅ)ん。/※動詞化。
立(た)ち勝(まさ)⁼ゆん⓪: (自 ⁼らん、⁼てぃ) たちまさる。すぐれる。
立(た)ち守(む)い@: (名) 立ってもりをすること。子供を抱いて、立って、あ
やすこと。子供は座って抱かれるよりこの方を好む。
立(た)ち戻(むどぅ)い⓪: (名) 出もどり。嫁に行った者が離縁して生家へもど
ること。
立(た)ち前(めえ)⓪: (名) 嫁入り前。
二割(たちゃあ)い⓪: (名) 二つ切り。二つ割り。 @二割(たちゃあ)い成(な)
しゅん。/二つ切りにする。二割(たちゃあ)いんかい為(しゅ)ん、ともいう。
二割(たちゃあ)いい⓪: (名) のっぽ。背の高い者への悪口としていう。「二つ割り
の者」の意。すなわちふたり分の背たけがあるという意。
立上(たちゃが)い伸上(ぬばが)い⓪: (名) 親しい家などに、しばしば立ち寄る
こと。⁻ぬばがい、は伸びあがる意から、ちょっと立ち寄ること。
立(た)ち安(やっ)さん⓪: (形) 暮らしやすい。暮らしが楽である。 @此(く)
ぬ村(むら)んかい来(ちゃ)くとぅ立(た)ち安(やっ)さん。/この村に来たの
で暮らしが楽になった。 @立(た)ち安(やっ)さ為居(しょお)ん。/暮らしむ
きがよい。
立(た)⁼ちゅん⓪: (自 ⁼たん、⁼っち) @立つ。建つ。また、成立する。 @立(た)
っちん居(いぃ)ちん居(うぅ)ららん。/(心配で)いても立ってもいられない。
@立而居(たっちょお)み。/立っているのかの意。立っている者への平民などがい
うあいさつ。 ➁起きる。生じる。 @面影(うむかじ)ぬ立(た)ちゅん。/面影
が浮かぶ。 B経つ。経過する。 C立つ。出発する。 @何時(いつぃ)立(た)
ちゅが。/いつ出発するか。 Dとつぐ。嫁に行く。立身(でぃっしん)為(しゅ)
ん、ともいう。 @立而居(たっちょお)ん。/とついでいる。 E(刃物が)よく
切れる。鋭利である。 @刃(はあ)ぬ立(た)ちゅん。/刃が鋭い。 @刃(はあ)
ぬ立(た)たん。/刃がよく切れない。 ※広辞苑の「立つ」の項では、「経つ」、「起
つ」、「発つ」、「経つ」、などの漢字が当てられている。
炊(た)⁼ちゅん@: (他 ⁼かん、⁼ち) 火を燃やしてものを煮る。炊く。単に火を焚
く意では、火(ふぃい)燃(めえ)しゅん、という。 @潮(しゅう)炊(た)ちゃ
い日々(ふぃび)ぬ暮(く)らし為(しゅ)んてぃやり。[潮たきやり日々の 暮しし
ゆんてやり(花売之縁)]塩をたいて日々の暮らしをしているとか。 ※花売之縁(は
なうりのえん)は、高宮城親雲上(たかみやぐすくぺえちん)作の組踊である。
抱(だ)⁼ちゅん@: (他 ⁼かん、⁼ち) @抱く。腕の中にかかえこむ。 @子(っく
ぁ)抱(だ)ちゅん。/子供を抱く。 ➁奉持する。 @位牌(いいふぇえ)抱(だ)
ちゅん。/位牌を奉持する。 B隠し持つ。 @多銭(うふじん)抱而居(だちょお)
ん。/大金を隠し持っている。
他郷(たちょお)@: (名) 他郷。故郷(くちょお)、に対する。
立(た)ち業(わざ)⓪: (名) 立ち仕事。水汲み・炊事など。立(た)ち為口(し
くち)、ともいう。居(いぃ)い業(わざ)[すわり仕事]の対。
立(た)ち向(ん)か⁼ゆん⓪: (自 ⁼あん、⁼らん、⁼てぃ) 立ち向かう。相手にな
る。
辰(たつぃ)@: (名) 辰(たつ)。十二支の第五。時間は午前8時。五(いつぃ)つ
ぃ。方向は南寄りの東。
他月(たつぃち)⓪: (名) 来月。尚月(なあつぃち)[再来月]。 *混効験集:乾
巻・時候に、たつき、とあり、注釈に、立月也、とある。
二月(たつぃち)@: (名) ふた月。二か月。
達咥(たっくぁ)あ⁼しゅん⓪: (他 ⁼さん、⁼ち) くっつける。ひっつける。密着さ
せる。
達咥(たっくぁ)い持咥(むっくぁ)い⓪: (副) くっつき合うさま。餅などがくっ
つき合うさま。また、男女間・親子間についてもいう。
達咥(たっくぁ)⁼ゆん⓪: (自 ⁼あん、⁼らん、⁼てぃ) @(餅などが)くっつく。
ひっつく。密着する。粘着する。 ➁(子供が母親に)くっつく。また、(男女が)い
ちゃつく。
達系(たっくぃい)@: (名) 血統。血筋。 @達系(たっくぃい)ぬ良(ゆ)たし
ゃん。/血統がいい。優(すぐ)り達系(だっくぃい)、は秀才の血統。
爛(たっくぃ)⁼ゆん@: (自 ⁼らん、⁼てぃ) ただれる。腫れもので皮膚がくずれる。
達(たっ)し@: (名) 達し。官府から人民への、また、上役から下役への通達。
達者(たっしゃ)@: (名) @達者。健康。 ➁達者。上手。
度々(たった)@: (副) @たびたび。 @度々(たった)来(くう)よお。/たび
たび来い。 ➁次第に。 @度々(たった)好(ま)し成(な)ゆん。/だんだんよ
くなる。
達(たっ)ち徒(あだあ)⁼しゅん@: (他 ⁼さん、⁼ち) どなりつける。たっち、は
強意。あだあしゅん、は、どなる。
立(た)っちゃん立(た)っちゃん⓪: (感) たっちたっち。立った立った。幼児が
立ったことをほめはやす語。たっちゃん、は「立った」。
立尖(たっちゅ)う⓪: (名) とがって立っているもの。橋の欄干の柱など。人につ
いてもいう。梵語の塔頭から来た語か。 @伊江立尖(いいたっちゅ)う。/伊江島
の丘にあるとがった岩。
辣韭(だっちょう)⓪: (名) らっきょう。
達付(たっつぃ)かい持付(むっつぃ)かい⓪: (副) 達咥(たっくぁ)い持咥(む
っくぁ)い、と同じ。やや上品な語。
達付(たっつぃ)か⁼ゆん⓪: (自 ⁼らん、⁼てぃ) くっつく。達咥(たっくぁ)ゆん、
と同じで、少し品のいい語。
達付(たっつぃ)き引付(ふぃっつぃ)き⓪: (副) 何度もくっつけるさま。
達付(たっつぃ)き持付(むっつぃ)き⓪: (副) 達付(たっつぃ)き引付(ふぃっ
つぃ)き、と同じ。
大典(たってぃいん)@: (名)盛大。 @大典(たってぃいん)な御祝儀(ぐしゅう
じ)。/盛大なお祝い。
達取(たっとぅ)い引取(ふぃっとぅ)い@: (副) 胸がどきどきして落ち着かない
さま。そわそわ。 @達取(たっとぅ)い引取(ふぃっとぅ)い為(しゅ)ん。/※
動詞化。
尊(たっとぅ)⁼ぶん@: (他 ⁼ばん、⁼でぃ) 尊ぶ。
縦(たてぃ)⓪: (名) 縦。横(ゆく)、の対。
立(た)てぃ送(うく)り⓪: (名) 記入もれ。
立(た)てぃ替(け)え入(い)り替(け)え⓪: (副) 何度も茶・湯などを入れか
えるさま。また、何度も飯などのお代わりをするさま。 @立(た)てぃ替(け)え
入(い)り替(け)え為(しゅ)ん。/※動詞化。
建(た)てぃ坪(つぃぶ)⓪: (名) 建坪。
立(た)てぃ札(ふだ)⓪: (名) 立札。禁止事項などを書いて道ばたに立てる札。
高札(たかふだ)、ともいう。
縦横(たてぃゆく)⓪: (名) たてよこ。
立(た)てぃ⁼ゆん⓪: (他 ⁼らん、⁼てぃ) @立てる。建てる。 ➁起こす。生じさ
せる。 B嫁入りさせる。とつがせる。 C記入する。帳面に金銭や人名などを記入
する。
爛(たでぃ)⁼ゆん@: (他 ⁼らん、⁼てぃ) 「たでる」に対応する。湯の気ではれも
のなどをむす。
只今(たでえま)⓪: (名) すぐ。即刻。即座。また、急ぎ。緊急。 @只今(たで
えま)来(ちゅう)さ。/今すぐ行くよ。 @只今(たでえま)ぬ為口(しくち)/
急ぎの仕事。緊急の仕事。
大体(だてえ)間(まあ)⓪: (名) 大きなもの。 小体(くうてえ)間(まあ)、の
対。
大体(だてえ)ん⓪: (名・副) 大きく。大いに。うんと。小体(くうてえ)ん[小
さく]の対。 @大体(だてえ)ん喚(あ)びれえ。/大きく叫べ。 @童(わらび)
ぬ大体(だてえ)ん成(な)ゆん。/子供が大きくなる。 @大体(だてえ)んな物
(むん)。/大きなもの。 @大体(だてえ)ん手代(てぃでえ)ゆん。/うんとごち
そうする。
二年(たとぅ)@: (名) ふたとせ。二年。
例(たとぅ)い⓪: (名) 例。事例。 @其(うん)な例(たとぅ)ええ無(ねえ)
らん。/そんな例はない。
仮令(たとぅい)⓪: (副) たとえ。 @仮令(たとぅい)一里(いちり)ぬ道(み
ち)やてぃん。/たとえ一里の道であっても。 @仮令(たとぅい)彼(あ)んやら
わん。/たとえそうであっても。
譬(たとぅ)い話(ばなし)⓪: (名) たとえ話。
二通(たとぅう)い@: (名) 二通り。
二年越(たとぅぐ)し@: (名) 二年おき。
二年三年(たとぅみとぅ)@: (名) 二、三年。
譬(たとぅ)⁼ゆん⓪: (他 ⁼らん、⁼てぃ) たとえる。 @譬(たとぅ)れえ。/た
とえば。(※たとえれば、と訳した方がいいかもしれない。) *おもろさうし・25
7に、たとへる、とある。
漂(たとぅ)る⁼ちゅん@: (自 ⁼かん、⁼ち) @(心が)迷う。落ちつかない。 ➁
(死者の霊が)迷う。先祖の祭りを怠ったため、あるいは、先祖の霊が子孫を心配し
て、迷う。
棚(たな)@: (名) 棚。 @棚(たな)掛(か)ちゅん。/棚を作る。
田名(だな)⓪: (名) 田名。 ※「だな」、島尻郡伊平屋村の地名。 *おもろさう
し・918に、たな、とある。
手中(たなか)⓪: (名) 間。中間。 @彼(あ)ぬ家(やあ)とぅ此(く)ぬ家(や
あ)とぅぬ手中(たなか)。/あの家とこの家の間。 @三時(さんじ)とぅ四時(ゆ
じ)とぅぬ手中(たなか)。/3時と4時との間。
種変(たながあ)い者(むん)⓪: (名) 変わり種。また、親に似ない者。不肖の子。
種変わり者の意。
種変(たながあ)⁼ゆん⓪: (自 ⁼らん、⁼てぃ) 変種が生ずる。在来の種類とは違っ
たものとなる。また、親に似なくなる。 *混効験集:坤巻・言語に、たなかはり、
とある。
手長(たなげ)え⓪: (名) 川えび。淡水にすむ小えび。 ※首里以外では、だいた
い、「たながあ」と発音されるようで、国頭村安波に、「タナガーグムイ」がある。漢
字で書くと、手長(たなが)あ籠(ぐむ)い、となる。
手無(たな)し⓪: (名) 女の夏の礼服。晴れ着。桐板(とぅんびゃん)[中国から輸
入される布]、または上等の芭蕉布で作る。多くは、紅型(びんがた)、あるいは、赤
麻(あかうぅう)[いずれもその項参照]である。貴族の手無(たな)し、は、御手無
(んちゃな)し[御タナシの意]という。 ※手無(たなし)は、共通語である。
手無(たな)し綿着物(わたぢん)⓪: (名) 手無(たな)し、と、綿着物(わたぢ
ん)。夏冬の礼服。
七夕(たなばた)@: (名) たなばた。7月7日。行事の名。墓参・墓地の掃除など
をして、盆祭りに備える祭りを行う。星祭りは行わなかった。
棚原(たなばら)あ⓪: (名) 棚原(たなばる)、の者。卑称。
棚原(たなばる)⓪: (名) 棚原。 ※「たなはら」、中頭郡西原町の地名。 *おも
ろさうし・1093に、たなはる、とある。
棚引(たなび)⁼ちゅん@: (自 ⁼かん、⁼ち) (油などが)水面に広がる。 @油(あ
んだ)ぬ水(みずぃ)なかい棚引(たなび)ちゅん。/油が水に浮いて広がる。 ※
棚引くは、平家物語では、他動詞として使われている。「数千騎の軍兵を棚引いて〜」。
手馴(たな)り⓪: (名) @ていさい。ありさま。身のこなし。風采。また、ぐあい。
つごう。便利。 @良(いぃ)い手馴(たな)り。/着こなしなどがいいこと。着物
などがよくうつること。 @手馴(たな)りぬ良(ゆ)たしゃん[悪(わっ)さん)]。
/つごうがいい([悪い]。便利がいい[悪い]。 ➁(接尾)着物(ちん)着手馴(ち
だな)り[着こなし]。物(むぬ)言(い)い手馴(たな)り[ものの言いぶり]など。
二七日(たなんか)@: (名) ふたなのか。死後14日目に行う法事。
谷(たに)⓪: (名)[文] 谷。種(たに)、と同音語なのでほとんど使われない。
種(たに)⓪: (名) 陰茎。男根。竿(そお)、ちゅうちゅう、などともいう。「種」
に対応する。
直(だ)に⓪: (副)[文] まことに。本当に。 @其(う)り此(く)りん言(い)
ちん直(だ)に為(すぃ)らん有(あ)りば、内(うち)に若按司(わかあじ)隠(か
く)り遣(や)い御参(いめ)ん。拝(うぅが)でぃ我(わ)が言葉(くとぅば)真
(まくとぅ)とぅ思(む)らりり。[おれもこれも言ちも だにすらぬあれば 内に若
按司 隠れやりいまいん 拝でわが言葉まことと思られれ(忠臣身替)]いろいろ言っ
ても本当にしないのであれば、中に若按司がいらっしゃるから、お目にかかってわた
しのことばを本当に思われよ。 ※忠臣身替(ちゅうしんみがわり)は、辺土名親雲
上(へんとなぺえちん)作の組踊である。 ※共通語の古語の「だに」は、助詞であ
り、「せめて〜だけでも」「〜でさえ」というような意味である。 *混効験集:乾巻・
言語に、だに、とある。 *おもろさうし・33に、だに、とあり、げに、とペアー
で用いられている。
直(だ)にゆ⓪: (副)[文] まことに。げに。また、しっかりと。もちろん。 @耳
(みみ)ぬ根(に)ゆ漁(あさ)てぃ直(だ)にゆ聴(ち)ち留(とぅ)みり。[耳の
根よあさて だによ聞きとめれ(執心鐘入)]耳の穴をほじってしっかりと聞け。 ※
執心鐘入(しゅうしんかねいり)は、玉城朝薫(たまぐすくちょうくん)作の組踊で
ある。 @生(な)し親(うや)や直(だ)にゆ引(ふぃ)ち腹氏(はろおじ)迄(ま
でぃ)ん其(う)ぬ育(すだ)てぃ召候(みせ)る〜[なし親やだによ 引はらうぢ
迄もおの素立めしやいる〜(孝行之巻)]生みの親はもちろんのこと、親戚までもその
養育をして下さるという〜。 ※孝行之巻(こうこうのまき)は、玉城朝薫(たまぐ
すくちょうくん)作の組踊である。
種降(たにう)るし⓪: (名) 種おろし。種まき。種(たに)、を忌んで、実根(さに)
降(う)るし、ともいう。
誰輩(たにひゃあ)⓪: (名) どいつ。どやつ。種(たに)、を忌んで、誰輩(たぬひ
ゃあ)、ともいう。
他人(たにん)@: (名) 他人。 @兄弟(ちょおでえ)や他人(たにん)ぬ始(は
じま)い。/兄弟は他人のはじまり。
他抜(たぬ)か⁼しゅん⓪: (他 ⁼さん、⁼ち) 誘惑する。そそのかす。 @他抜(た
ぬ)かさりゆん。/誘惑される。そそのかされる。たぶらかされる。
楽(たぬ)し⁼ぬん⓪: (自 ⁼まん、⁼でぃ) 楽しむ。
楽(たぬ)しみ⓪: (名) 楽しみ。
頼(たぬ)⁼ぬん⓪: (他 ⁼まん、⁼でぃ) 頼む。依頼する。 @頼(たる)ぬん、と
もいう。
誰輩(たぬひゃあ)⓪: (名) どいつ。どやつ。誰輩(たにひゃあ)、ともいう。
頼(たぬ)み⓪: (名) 頼み。依頼。
段(だぬ)ん⓪成(な)らん⓪: (句) 段違いである。比べものにならない。想像も
できない。 @段(だぬ)ん成(な)らん人(っちゅ)。/段違いの人。 @段(だぬ)
ん成(な)らん技(わざ)。/言語に絶するわざ。
束(たば)い⓪: (名) @束。たばね。 ➁(接尾)一束(ちゅたば)い、など。
束(たば)い縛(しか)い⓪: (名) たばねること。荷作りなどをすること。⁻しかい
<縛(しか)ゆん。
多計(たばか)い@: (名) 多忙。
煙草(たばく)⓪: (名) たばこ。 @煙草(たばく)吹(ふ)ちゅん。/たばこを
吹かす。 @煙草(たばく)んでえ御差上召候(うしゃがみしょおれ)え。/たばこ
でも召し上がって下さい。
煙草入(たばくい)りい⓪: (名) たばこ入れ。
煙草(たばく)ぬ火糞(ふぃいくす)⓪: (名) たばこの吸いがら。
煙草盆(たばくぶん)⓪: (名) たばこ盆。普通、四角の箱の中に、熾(うち)り取
(とぅ)い[小さい火鉢]と灰吹(ふぇえふ)ち、と入れてある。凝ったものは引き
出しがいくつもあり、さげて持つ手があったりする。
煙草町屋(たばくまちや)⓪: (名) たばこ屋。
手狭(たばさ)⓪: (名) 間。物体の間の狭いすき間をいう。手中(たなか)、より狭
い。 @書物(しゅむつぃ)ぬ手狭(たばさ)なかい噛(くぁあ)而置居(ちょおけ)
え。/本の間にはさんでおけ。
束(たば)⁼ゆん⓪: (他 ⁼らん、⁼てぃ) たばねる。物をたばねて、なわ・ひもなど
で縛る。また、人などを縛る。
田原(たばる)⓪: (名) 田原。 ※「たばる」、那覇市の地名。
旅(たび)@: (名) 旅。 @旅(たべ)え鎌柄(いらなづぃか)ん荷(にい)成(な)
ゆん。/旅は鎌の柄のように軽いものでも荷物になる。旅はできるだけ身軽にせよの
意。 *おもろさうし・858に、たひ、とある。
荼毘(だび)@: (名) [荼毘]葬式。沖縄ではもと火葬はなかったはずで、荼毘(だ
び)をそのまま葬式の意にいったものと思われる。清(ちゅ)ら御荼毘(うだび)。そ
の項参照。
旅口説(たびくどぅち)⓪: (名) 旅口説。口説(くどぅち)、の一つ。首里から、那
覇を経て、海を渡り、薩摩へ往復する情況を叙事的に歌った歌曲で、上(ぬぶ)い口
説(くどぅち)、と、下(くだ)い口説(くどぅち)、とある。
旅所(たびしゅ)⓪: (名) 旅に出ている人のある家。その家では、5月1日、同5
日、9月1日に、旅にいる人の無事息災を祈る行事をする。一族一門の女が揃い、旅
歌(くぇえな)、を歌って踊り、夜を徹することがある。
旅装(たびすが)い⓪: (名) 旅装束。旅装。
旅立(たびだ)ち⓪: (名) 旅立ち。鹿島立ち。門出。 ※鹿島立ちは、日本神話に
より、旅立ちを意味する語。
旅尋(たびどぅ)み⓪: (名) 旅先でできた妾。⁻どぅみ<尋(とぅ)めえゆん。
旅人数(たびにんず)@: (名) 旅の一団。
旅(たび)ぬ人(っちゅ)@: (名) 旅の人。行人。他国の人。見知らぬ人。
旅(たび)ぬ人(っちゅ)う⓪: (名) よそもの。他国者。軽蔑的な言い方。
旅宿(たびやどぅ)⓪: (名) 旅宿。旅先の宿。 @旅宿(たびやどぅ)ぬ習(な)
れや枕(まくら)側立(すばだ)てぃてぃ思(う)び出(じゃ)すさ昔(むかし)夜
半(ゆわ)ぬ辛(つぃら)さ。/[旅宿の習や 枕そばだてて 覚出すさ昔 夜半の
つらさ]旅の宿に泊まると寝てから昔の会わぬ世のつらさを思い出す。
賜(たび)⁼ゆん@: (他 ⁼らん、⁼てぃ) [文] 賜る。
蓄(たぶ)い苦(ぐ)さ@: (名) 苦(く)さ、はフィラリヤ(熱病の一種)。たぶい
⁻<蓄(たぶ)ゆん[ためる、たくわえる]。長い間起こらずにいて、そのあとで起こ
った、苦(く)さ。苦(く)さ、は時々起こった方がしのぎよく、これが長いこと起
こらないこと、一時に重い病気になるので、この語がある。
蓄(たぶ)⁼ゆん@: (他 ⁼らん、⁼てぃ) ためる。たくわえる。保存する。とってお
く。 @銭(じん)蓄(たぶ)ゆん。/銭をためる。 @命(ぬち)蓄(たぶ)ゆん。
/命を大事にする。 @胴(どぅう)蓄(たぶ)ゆん。/なまける[体を節約する意]。
@蓄(たぶ)ららん。/長くおけない。とって置けない。蓄(たば)あらん、ともい
う。
多分(たぶん)@: (副) 多分。大かた。
給(たぼお)⁼ゆん⓪: (他 ⁼らん、⁼ち) 給う。下さる。首里では、口語としては命
令形、給(たぼお)り[下さい]のみを用いる。韻文では、給(たぼ)り、と短くな
る。 @許(ゆる)ち給(たぼ)り。[許ちたばうれ]許して下さい。 @給(たぼお)
り給(たぼお)り為(しゃ)すぃが呉(くぃ)らんたん。/ちょうだいちょうだいと
せがんだが、くれなかった。 *おもろさうし・567に、たほう、とある。
玉(たま)⓪: (名) @玉。丸いもの。また、宝玉。のろ[宣(ぬう)る]の首飾り
の玉など。 @鉄砲(てぃっぷう)ぬ玉(たま)。/鉄砲の玉。 @玉(たま)佩(は)
而居(ちょお)ん。/イ・首飾りの玉を首にかけている。 ロ・小児の首・手足など
が丸々と太り、輪をはめたようにめりこんでいる。 @玉(たま)ぬ杯(さかづぃち)。
/[文]玉杯。 @男(うぅとぅく)生(ぅん)まりとぅてぃ恋(くい)知(し)ら
ん者(むぬ)や玉(たま)ぬ杯(さかづぃち)ぬ底(すく)ん見(み)らん。[をとこ
生れとて 恋知らぬものや 玉のさかづきの 底も見らぬ(執心鐘入)]男に生まれて
恋を知らぬ者は玉の杯の底を見ないのと同じ。 ➁ガラス。 ※執心鐘入(しゅうし
んかねいり)は、玉城朝薫(たまぐすくちょうくん)作の組踊である。
偶(たま)@: (名) たま。まれ。 @偶(たま)ぬ話。/たまの話。 @偶(たま)
に行会(いちゃ)たるむん。/たまに会ったんだもの。
溜(たま)い@: (名) たまり。水溜まりなど。
溜(た)まい水(みずぃ)@: (名) 溜まり水。ひと所に溜まって、流れない水。
霊御殿(たまうどぅん)⓪: (名) [霊御殿]琉球王の代々の墓地。首里にある。 ※
現在は、もっぱら、玉陵と表記されるようである。
魂上(たまが)い⓪: (名) 凶兆。人の死の前兆。魂が火の玉となって、家の上に高
く上がったりすること。また、人の泣き声がしたり、棺桶を作る音が聞こえたりする。
タマアガリ(魂上がり)の意であろう[伊波普猷]。
魂上(たまが)⁼ゆん⓪: (自 ⁼らん、⁼てぃ) 死の前兆が現れる。魂上(たまが)い、
が起こる。
卵(たまぐ)⓪: (名) 卵。主として、鶏卵または鳥の卵をいう。卵(くうが)、とも
いうが、卵(くうが)、には睾丸の意味があるので、上流では、避けて、卵(たまぐ)、
という。
玉黄金(たまくがに)⓪: (名) 玉や黄金(のように大事なもの)。
玉黄金里前(たまくがにさとぅめ)⓪: (名)[文] 玉や黄金のような背の君。
玉黄金(たまくがに)生(な)し子(ぐぁ)⓪: (名)[文] 玉や黄金のような産みの
子。
玉黄金無蔵(たまくがにんぞ)⓪: (名)[文] 玉や黄金のようなかわいい女。
卵酒(たまぐざき)⓪: (名) 卵酒。
玉城(たまぐすぃく)⓪: (名) 玉城。 ※「たまぐすく」、南城市の地名。
玉小瓶(たまぐふぃん)⓪: (名) ガラスびん。くふぃん、は小びん。
偶(たまさか)@: (名)[文] まれ。まれなこと。 @偶(たまさか)ぬ今宵(くゆ
い)鶏(とぅい)や歌(うた)るとぅん、暫(しば)し明雲(あきぐむ)に情(なさ)
き有(あ)らな。[たまさかの今宵 鳥や歌るとも しばし明雲に 情あらな]たまに
会う今夜のこと、鶏は鳴いても、しばらくの間、夜明けの雲に情けがあってほしい。
※万葉集・2396、「たまさかにわが見し人を如何(いか)ならむ縁(よし)をもち
てかまた一目見む」。
魂(たまし)⓪: (名) 魂。精神。注意し思慮する心。 @魂(たまし)絡(かな)
ぎゆん。/心をひきしめて、注意する。 @魂(たまし)入而居(いっちょお)ん。
/精神がしっかりしている。
魂(たましい)⓪: (名) 魂。霊魂。死者の魂をいう。魂(たまし)、とは別。生きて
いる人の魂は、守(まぶ)い、という。
騙(だま)し討(う)ち@: (名) だまし討ち。
魂喰(たましくぇ)え影(かあぎ)⓪: (名) 賢そうな顔つき。
魂喰(たましくぇ)え者(むん)⓪: (名) 思慮深い者。
騙(だま)⁼しゅん@: (他 ⁼さん、⁼ち) だます。あざむく。
為為(たますぃ)@: (名) 銘々の分。持ち分。 ※為(ため)に為(す)る、であ
ると思う。
二股掛(たまたが)き@: (名) 二股をかけること。二股がけ。 @庭(にわ)ぬ蜘
蛛(くば)が巣(すぃ)に馬(ぅんま)や繋(つぃな)ぐとぅん二股掛(たまたが)
き里(さとぅ)に御肝(うぢむ)呉(くぃ)るな。[庭のこばが巣に 馬やつなぐとも
たまたがけ里に 御肝呉ゆるな]庭のくもの巣に馬をつないでも、二股がけの男に心
をくれてはいけない。 @蜘蛛の巣に馬をつなぐ、という比喩は沖縄のオリジナルで
あろうか。
玉(たま)ぬ緒(うぅ)⓪: (名)[文] 玉の緒。命。 ※情(なさ)き有(あ)てぃ
隠(かく)し野辺(ぬび)ぬ花薄(はなすぃすぃち)、二人(たい)が玉(たま)ぬ緒
(うぅ)ぬ惜(う)しさ有(あ)らば。[情あてかくせ 野辺の花すすき 二人が玉の
緒の 惜しさあらば]情あって隠してくれ、野辺のすすきよ、二人の命を惜しく思う
ならば。 ※玉の緒は、大和言葉からの借用と思われる。「魂(たま)の緒」とも解さ
れ、「魂をつなぐ」から「命」のことをいうようであるが、必ずしも、「命」を意味す
るものではない。百人一首の「玉の緒よ絶えなば絶えね長らへば忍ぶることの弱りも
ぞする」の影響が大きいのかもしれない。なお、古事記・日本書紀には、「命(を)」
という語が見える。薄(すぃすぃち)、の項参照。
玉(たま)ぬ割(わ)り⓪: (名) ガラスの破片。
玉張(たまば)い⓪: (名) ガラス張り。ガラス戸・ガラス窓など。
玉水(たまみずぃ)⓪: (名)[文] [玉水]水・井戸などの美称。きれいな水辺。 @
若夏(わかなつぃ)が成(な)りば心(くくる)浮(う)かさりてぃ玉水(たまみず
ぃ)に降(う)りてぃ頭(かしら)洗(あら)わ。[若夏がなれば 心浮かされて 玉
水におりて かしらあらは(銘苅子)]初夏になったので、心浮き浮きと、美しい水べ
に降りて髪を洗おう。 ※伊勢物語・122段、「山城の井手の玉水手にむすび頼みし
かひもなき世なりけり」。
玉病(たまや)ん⓪: (名) 玉が痛むこと。すなわち、眼球が痛むこと。あるいは睾
丸が痛むこと。
矯(た)ま⁼ゆん⓪: (自 ⁼らん、⁼てぃ) たわむ。しなやかに曲がる。しなう。
溜(た)ま⁼ゆん@: (自 ⁼らん、⁼てぃ) 溜まる。 @水(みずぃ)ぬ溜(た)まゆ
ん。/水が溜まる。 @銭(じん)ぬ溜(た)まゆん。/銭が溜まる。
黙(だま)⁼ゆん@: (自 ⁼らん、⁼てぃ) 黙る。沈黙する。 @黙(だま)い切而居
(ちっちょお)ん。/黙り切っている。
偶見(たまん)@: (名) 鯛の類。間窪(まくぶ)、とともに魚のうちでもっとも美味
とされるもの。 @飛鯊(いいぶう)さあに偶見(たまん)釣(つぃ)ゆん。/えび
で鯛を釣る。いいぶう、は、とびはぜ。 ※偶(たま)に見る、と解釈しておく。
玉御冠(たまんちゃあぶい)⓪: (名) [玉御冠・たまみきやぶり]玉のかんむり。
王冠。 *混効験集:乾巻・衣服に、たまむきやぶり、とある。
為(たみ)@: (名) ため。 @為(ため)え有(あ)らん。/ためにならない。結
果が悪くなる。 @嫡子(ちゃっち)側(すば)成(な)ちぇえ、為(ため)え有(あ)
らん。/嫡子をさしおいては、ためにならない。
二見(たみ)@: (名) ふた目。 @二見(たみ)とお見(んん)だらん。/ふた目
とは見られない。
試・例(たみ)し⓪: (名) @ためすこと。試み。 @如何(ちゃ)ぬ如(ぐと)お
が試(たみ)し為(っし)見(んん)でえ。/どんなか試してみろよ。 ➁前例。た
めし。 @物(むぬ)思(うみ)ば色(いる)に現(あらわ)りる例(たみ)し。[物
思めば色に あらはれるためし(忠臣身替)]ものを思うと顔色に現れてしまうものだ。
B限度。ほど。限り。 @幾(ちゃっ)さ旨(まあ)さてぃん例(たみ)しぬ有(あ)
んどお。/いくらおいしくても、限度があるぞ。
試(たみ)⁼しゅん⓪: (他 ⁼さん、⁼ち) ためす。試みる。試(たみ)し為(しゅ)
ん、ともいう。
矯(た)み⁼ゆん⓪: (他 ⁼らん、⁼てぃ) たわめる。ためる。曲げる。 @枝(ゆだ)
矯(た)みゆん。/枝をたわめる。
溜(た)み⁼ゆん@: (他 ⁼らん、⁼てぃ) 溜める。たくわえる。 @銭(じん)溜(た)
みゆん。/銭を溜める。
彩(だ)み⁼ゆん⓪: (他 ⁼らん、⁼てぃ) (「彩む(だむ)」に対応する) @筆で上
から、なぞる。 ➁陶器に、うわぐすりを施す。漆器の上塗りをする。 B俳優など
が、顔にくまどりをする。 ※共通語の「だむ」は、もともとは、清音であったよう
だ。
保(たむ)ち⓪: (名) 保つこと。長く続いてもつこと。
保(たむ)⁼ちゅん⓪: (自 ⁼かん、⁼ち) 保つ。長持ちする。もつ。 @保(たむ)
かさん。/長持ちさせない。子供がおもちゃをすぐこわしてしまう場合など。
袂(たむとぅ)⓪: (名) たもと。明治以後、男が断髪してからの衣服はたもとがあ
ったが、それまでは単なる広袖であった。
袂袖(たむとぅすでぃ)⓪: (名) たもとのある袖。袋袖(ふくるすでぃ)、ともいう。
焚物(たむん)⓪: (名) たきもの。たきぎ。まき。 *混効験集:乾巻・器材に、
たもの、とある。
焚物(たむん)売(う)やあ⓪: (名) たきぎ売りを業とする者。
焚物(たむん)取(とぅ)やあ⓪: (名) たきぎ取りを業とする者。
玉代勢(ためえし)⓪: (名) 玉代勢。 ※「たまよせ」、中頭郡北谷町にあった地名。
溜合(ためえ)⁼ゆん@: (他 ⁼らん、⁼てぃ) 溜めておく。いくつも溜める。溜(た)
みゆん、を継続する。
玉城(たもおし)⓪: (名) 玉城。 ※「たましろ」、国頭郡今帰仁村の地名。「たま
ぐすく」と読めば、南城市の地名である。
怠(だ)やあ⓪: (名) 怠(だ)い者(むん)、と同じ。
だやびる@: (連詞) です。であります。でございます。他の活用形はあまり用いな
い。平民が用いる語。士族の、でえびる、というのと同じ。 @今日(ちゅう)や良
(いぃ)い天気(てぃんち)だやびる。/きょうはいい天気でございます。
便・頼(たゆ)い⓪: (名) @便り。消息。 ➁頼り。頼みとなるもの。また、よる
べ。知人。縁故。 *混効験集:坤巻・言語に、たより、とある。 *おもろさうし・
846に、たより、とある。
頼(たゆ)い引(ふぃ)ち⓪: (名) 縁故。頼(たゆ)い、と同じ。
足(た)⁼ゆん@: (自 ⁼らん、⁼てぃ) 足りる。足(た)りゆん、と同じ。
怠(だ)⁼ゆん⓪: (自 ⁼らん、⁼てぃ) だれる。疲れて力がなくなる。
怠(だ)らあ@: (名) だらしのない者。だらけ者。
怠(だ)らあ喰(くぁ)らあ@: (副) だらだら。のらくら。だらしないさま。
足合(たらあ)⁼ゆん@: (自 ⁼ん、⁼らん、⁼ってぃ) 満ち足りる。不足がない。
垂(た)ら⁼しゅん⓪: (他 ⁼さん、⁼ち) 垂らす。垂れ下がるようにさせる。また、
したたり落とす。 @後(うし)る垂(た)らしゅん。/女が礼装する時、髪をうし
ろへ垂らすように結う。 @涎(ゆだい)垂(た)らしゅん。/よだれを垂らす。
垂(た)ら垂(た)ら@: (副) たらたら。 @涎(ゆだい)垂(た)ら垂(た)ら。
/よだれたらたら。 @油口(あんだぐち)垂(た)ら垂(た)ら為(しゅ)ん。/
甘言をたらたら言う。
怠(だ)ら怠(だ)ら@: (副) だらだら。液体が続いて垂れるさま。 @汗(あし)
ぬ怠(だ)ら怠(だ)ら流(なが)りゆん。/汗がだらだら流れる。
多良間(たらま)⓪: (名) 多良間島。宮古群島の島の名。
たり@: (感・助) もし。たい、と同様に、たい、よりさらに目上に女が用いる敬語。
男は、さり、という。
垂(た)り⁼ゆん⓪: (自 ⁼らん、⁼てぃ) 垂れる。
醸(た)り⁼ゆん⓪: (他 ⁼らん、⁼てぃ) (酒・醤油などを)醸造する。
足(た)り⁼ゆん@: (自 ⁼らん、⁼てぃ) 足りる。
怠(だ)り⁼ゆん⓪: (自 ⁼らん、⁼てぃ) 怠(だ)ゆん、と同じ。
樽(たる)⓪: (名) 樽。砂糖樽(さあたあだる)[黒砂糖をつめる樽]など。
誰(たる)@: (名)[文] 誰。 @誰(たる)ゆ恨(うら)みとぅてぃ鳴(な)ちゅ
が浜千鳥(はまちどぅり)会(あ)わん連(つぃ)り無(な)さや我身(わみ)ん共
(とぅむ)に。[誰よ恨めとて 鳴きゆが浜千鳥 会わぬつれなさや 我身も共に]誰
を恨んで鳴くか浜千鳥よ、死んだ子に会えない悲しさは、わたしもいっしょだ。 ※
誰(たる)、は今帰仁方言では、文語ではなく日常語である。 *混効験集:坤巻・言
語に、たるが、とある。 *おもろさうし・1286に、たる、とある。
怠(だ)るう@: (名) だらしのない者。だらけ者。また、いくじなし。怠(だ)ら
あ、ともいう。
怠(だ)るう喰(くぁ)るう@: (副) だらだら。だらしのないさま。なまけるさま。
@怠(だ)るう喰(くぁ)るう為(っし)歯切(はぢ)りぬ無(ねえ)らん。/だら
だらしていて、きびきびしたところがない。
樽殻(たるがあ)⓪: (名) (砂糖用の)あき樽。⁻があ<かあ(皮)。 ※があ、は
殻・空(から)が変化した形のように思われる。
頼(たる)掛(が)き⁼ゆん@: (他 ⁼らん、⁼てぃ) 当てにする。頼みにする。 @
若(わか)さ頼(たる)掛(が)きてぃ油断(ゆだん)どぅん為(すぃ)るな、梅(ぅ
んみ)ぬ葉(ふぁ)や花(はな)ぬ匂(にう)い知(し)らん。[若さたるがけて 油
断どもするな 梅の葉や花の 匂ひ知らぬ]若さを頼みにして油断などするな。梅の
葉は花のにおいを知らない。 @頼(たる)掛(が)きる山(やま)に雨(あみ)降
(ふ)らしゅん。/たきぎを当てにしている山に雨を降らす。山のたきぎを当てにし
ていると雨で取れなくなる。しないうちから当てにするな。(諺)。
誰(たる)がよお⓪: (名) 柑橘類[九年母(くにぶ)]の一種。
怠(だ)るさん⓪: (形) だるい。だるい箇所によって、首怠(くびだ)るさん[首
がだるい]、手怠(てぃいだ)るさん[手がだるい]、足怠(ふぃしゃだ)るさん[足
がだるい]などと言い分けることが多い。
頼(たる)⁼ぬん⓪: (他 ⁼まん、⁼でぃ) 頼(たぬ)ぬん、と同じ。
撓目(たるみ)⓪: (名) 関節。 @撓目(たるみ)ぬ弱而居(よおとお)ん。/関
節が弱っている。
足合(たれえ)⁼ゆん@: (他 ⁼らん、⁼てぃ) 足す。補う。不足分を加える。
闘鶏(たわちい)⓪: (名) 闘鶏。鶏の一種。しゃも。またその鶏を、財物をかけて
戦わせること。闘鶏(たうちい)、ともいう。
戯(たわふ)り⓪: (名)[文] たわむれ。口語では、悪戯(がんまり)、という。 @
水(みずぃ)欲(ふ)しゃや名付(なづぃ)き、戯(たわふ)りどぅやゆる。[水欲し
ややなづけ たはふれどやゆる(手水之縁)]水が欲しいというのは口実であって、た
わむれであろう。 ※手水之縁(てみずのえん)は、平敷屋朝敏(へしきやちょうび
ん)作の組踊である。共通語の戯(たわむ)れは、古くは、たわぶれ、と言ったよう
である。源氏物語・幻巻に、「などて、たわふれにても〜」とあり、沖縄語から推測す
ると、いっとう古くは清音であったかもしれない。
痰(たん)⓪: (名) 痰。ことに肺腑やみの出す痰。痰は多くは、滓凝(かさぐ)い、
という。 @痰(たん)ぬ障(さわ)い。/肺病。 @痰(たぬ)んかい入而居(い
っちょお)ん。/肺病にかかっている。肺病は、痰病(たんやんめ)え、ともいう。
反(たん)⓪: (名) @反。衣服の一着分の布の長さ。(鯨2丈8尺)。鯨尺の輸入さ
れる前は、両手を広げた尋(1尋4尺の計算)で測った。 ➁(接尾)二反(にたん)、
など。
炭(たん)@: (名) 炭。木炭。
段・壇(だん)⓪: (名) @段。壇。階段。 ➁段。等級。
手向(たん)かあ⓪: (名) 満一年の誕生日。その祝いの日は机の上にいろいろな物
を置き、自由に取りたい物を取らせる。はじめに取る物、次に取る物をもって、性格
を予測し将来を祝福する。はじめに書物をとれば学者となるとか、金をとれば金持ち
になるとか、仏飯(うぶく)、を取れば食の果報があるとか言って、皆喜ぶ。 ※正面
(たんかあ)、にいろいろな物を並べるこの行事が、満一年の誕生日を表す語になった
ものと推測する。
手向(たん)かあ@: (名) 真向い。正面。
手向(たん)かあ居(いぃ)い⓪: (名) 相対して座ること。さし向かい。⁻いぃい<
居(いぃ)ゆん。
手向(たん)かあ替(げえ)い⓪: (名) 等価の物品の交換。双方の品物を等価と見
て交換すること。もし品物に差異があれば、劣るほうの品に何か足して等価にして交
換する。その足すことを、上(うぃい)置(う)ちゅん、という。
手向(たん)かあ立(だ)ち⓪: (名) 若夫婦の世帯。次男三男が分家して夫婦で一
家を営む場合をいう。子供ができても小さい間は、手向(たん)かあ立(だ)ち、だ
が、子供が一人前になればそうはいわない。また老夫婦の二人暮らしにもいわない。
手向(たん)かあ当(な)あ⓪: (名) 対等。相方が対等であること。一騎打ちとか、
同人数のけんか、一対一の品物交換など。
手向(たん)かあ真向(まん)かあ@: (副) 相対するさま。向かい合うさま。
手向(たん)かあ見(み)し⓪: (名) 一つ違いの子を産むこと。年子を産むこと。
一(てぃい)つぃ見(み)し、と同じ。
段傘(だんがさ)⓪: (名) [蘭傘]洋傘。こうもりがさ。蘭傘(らんがさ)、蝙蝠傘
(かあぶやあがさ)、ともいう。 ※「だんがさ」、「らんがさ」は、宮崎県および鹿児
島県でも使われる方言のようである。
誰(たん)がな@: (名) 誰か。誰(たあ)がな、と同じ。 @誰(たん)がな行(い)
かに。/誰か行かないか。
誰(たん)がな混(まん)ちゅう@: (名) 誰だか。誰かさん。目の前にいる子供を
あてこすって言う時などに使う。 @誰(たん)がな混(まん)ちゅうが構遣(がん
ま)り為(しゅ)ん。/誰かさんがいたずらする。
段変(だんが)わい⓪: (名) 段違い。けた違い。
欄干(だんかん)@: (名) 欄干。てすり。欄干(らんかん)、ともいう。
手向(たん)き⁼ゆん⓪: (他 ⁼らん、⁼てぃ) @病気の体を大事にする。体に用心す
る。 @手向(たん)きりよお。/お大事に。(病人へ言う)。 ➁加減を調整する。
手加減する。手ごろにしておく。議論などをひかえ目にする。
談合(だんごお)@: (名)[文] 談合。話し合い。相談。 @談合(だんごお)ゆ為
侍(しゃび)ら。[談合よしやべら(忠臣身替)]相談をしましょう。 ※忠臣身替(ち
ゅうしんみがわり)は、辺土名親雲上(へんとなぺえちん)作の組踊である。
黙込(だんじゃま)⁼ゆん@: (自 ⁼らん、⁼てぃ) 黙りこむ。黙る。 @一方(いっ
ぽお)に引(ふぃ)ち成(な)てぃ黙込(だんじゃま)てぃ居(うぅ)すぃん付(つ
ぃ)いてえ。[一方に引きなて だんぎやまで居すんついてや(大川敵討)]一方に引
きさがっておし黙っているのでは。 ※大川敵討(おおかわてきうち)は、久手堅親
雲上(くでけんぺえちん)作といわれる組踊である。
談(だん)じゃ悶(むん)じゃ⓪: (副) ぶつぶつ。ぐずぐず。不平不満をもらすさ
ま。
誠(だん)じゅ⓪: (副) なるほど。いかにも。げにこそ。 @誠(だん)じゅ響(と
ぅゆ)まりる名護(なぐ)ぬ番所(ばんどぅくる)、松(まつぃ)とぅ風守(がじまる)
ぬ持耐(むて)い栄(さけ)い。[だんじゆとよまれる 名護の番所 松とがずまるの
もたえさかえ]なるほど名護の番所は評判されるだけのことはある。松とガジマルが
美しく茂っている。 @誠(だん)じゅ嘉例寄(かりゆ)しや選(いら)でぃ然為召
(さしみ)せる、御船(うに)ぬ綱(つぃな)取(とぅ)りば風(かじ)や真艫(ま
とぅむ)。[だんじゆかれよしや いらでさしみせる お船の綱取れば 風やまとも]
いかにもめでたい吉日を選んでなさることだ。お船の綱を取れば、風は順風である。
@蟷螂(いしゃとぅう)蟷螂(いしゃとぅう)面目(じらみい)があ、昨夜(ゆうび)
ぬ残(ぬく)ええ何(ぬう)喰(くぁ)たがあ、赤豆(あかまみい)どぅ喰(くぁ)
たる。誠(だんじゅ)が屎(くす)放(ふぃ)っちゃる。/かまきり、かまきり、い
ぼじろう、ゆうべの御飯の残りは何を食べたか。あずきを食べた。なるほどそれで下
痢をしたのだ。(童謡) *混効験集:坤巻・言語に、たんきよと、とあり、乾巻・言
語に、だんきよと、とある。
箪笥(たんすぃ)⓪: (名) たんす。日本風のたんすは、京箪笥(ちょおだんすぃ)、
という。
⁻臀(たんだ): (接尾) たぶら。肉の太っている部分を意味する接尾辞。 @尻(つ
ぃび)臀(たんだ)。/しりべた。 @肥(くぇ)え臀(たんだ)置(う)ちゅん。/
まるまると太っている。 など。 ※たぶら、は広辞苑には載っていないが、日本国
語大辞典には載っている。
炭俵(たんだあら)@: (名) 炭俵。
段々(だんだん)⓪: (名) 大層。仰山。 @段々(だんだん)ぬ御取(うとぅ)い
持(む)ち。/大層なおもてなし。 @段々(だんだん)ぬ事(くとぅ)やさやあ。
/ご大層なことだねえ。
短気(たんち)@: (名) 短気。 @短気(たんち)腹立(はらだ)ちや怪我(きが)
ぬ元(むとぅ)。/短気腹立ちはけがのもと(諺)。
谷茶(たんちゃ)@: (名) 谷茶。 ※「たんちゃ」、国頭郡本部町、および、国頭郡
恩納村の地名。
短気(たんちゃ)あ@: (名) 短気者。
蘭鋳(だんちゅう)⓪: (名) @金魚の一種。らんちゅう(蘭鋳)。体は短くて太い。
➁小びと。侏儒。一寸法師。
痰切(たんち)らし⓪: (名) 痰切り。痰をなくする薬。痰切らしの意。こんぶ・飴
などがよいとされる。
頼(たん)でぃ⓪: (副・名) どうか。どうぞ。たって。懇願・哀願する時に用いる。
多く女が言う語。 @頼(たん)でぃ御情(うなさ)きに許(ゆる)ち給(たぼお)
り。/どうかお情けで許して下さい。 @頼(たん)でぃ尊(とお)とぅ、我(わあ)
子(っくぁ)ぬ命(ぬち)助(たすぃ)きてぃ呉召候(くぃみしょお)り。/どうか
どうかわが子の命を助けて下さい。
探偵(たんてぃい)⓪: (名)[新?] 探偵。忍(しぬ)び[文]と同じ。
頼(たん)でぃ頼(たん)でぃい⓪: (副) どうかどうか。どうぞどうぞ。哀願する
さま。 @頼(たん)でぃ頼(たん)でぃい為(っし)ん取(とぅ)ん返(けえ)て
ぃん見(んん)だんたん。/お願いだからと頼んでもふり向いても見なかった。
種取(たんとぅ)い⓪: (名) 苗代に籾種をまくこと。また、その儀式。
手綱(たんな)⓪: (名) 手綱(たづな)。 *おもろさうし・514に、たつな、と
ある。
旦那(だんな)⓪: (名) だんな。主人。廃藩後の巡査・役人などは、旦那(だんな)、
と呼ばれた。 @御供(うとぅむ)清(ぢゅ)らさどぅ旦那(だんな)清(ぢゅ)ら
さ。/お供が立派だとだんなも立派に見える。
田港(たんなとぅ)⓪: (名) 田港。たんみゃとぅ、ともいう。
尋(たん)に⁼ゆん⓪: (他 ⁼らん、⁼てぃ) 尋ねる。尋(たずぃ)にゆん、ともいう。
誰(たん)ぬ者(むん)@: (名) どいつ。何者。誰(たあ)、の卑語。 @誰(たん)
ぬ者(むん)が。/どいつだ。
炭箱(たんばく)@: (名) 炭箱。
断髪(だんぱつぃ)⓪: (名)[新?] 断髪。誤って、断髪(らんぱつぃ)、ともいっ
た。
炭火(たんびい)@: (名) 炭火。
洋灯(だんぷ)⓪: (名) ランプ。洋灯(らんぷ)、ともいう。
短命(たんみい)@: (名) 短命。長命(ちょおみい)、の対。
田港(たんみゃとぅ)⓪: (名) 田港。たんなとぅ、たんな、ともいう。 ※「たみ
なと」、国頭郡大宜味村の地名。塩屋湾に面している。
頼前(たんめえ)⓪: (名) 士族の祖父。また、士族の老翁。おじいさん。平民の祖
父は、御主前(うしゅめえ)、という。
炭焼(たんや)ちゃあ⓪: (名) 炭焼き。炭を焼く者。
谷山(たんやま)⓪: (名) 谷山。 ※「たにやま」、かつて鹿児島県に存在した市で
あるが現在は合併して鹿児島市となった。
痰病(たんやんめ)え⓪: (名) 肺病。痰(たん)ぬ障(さわ)い、ともいう。肺病
になっていることは、痰(たぬ)んかい入而居(いっちょお)ん、という。