表紙 前文

 

 ?あ ?い 'い ?う 'う ?え 'え ?お 'お             

 

緒言

 

 この「琉球語辞典」は、国立国語研究所編の書籍版「沖縄語辞典」の翻訳です。同書は昭和38年刊行で著作権法上の問題はなく、ネットで公開しても差し支えないとの返事を、「しまくとぅば普及センター」の事務局長・玉城照代氏を通して、国立国語研究所より頂きました。玉城照代氏ならびに「しまくとぅば普及センター」の方々、清水美紀子氏ならびに「国立国語研究所」の方々に深く感謝申し上げます。

 

 イギリスの統治下にあったアイルランドでは、徹底した英語教育により消滅の危機にあっアイルランド語が独立後復興を果たし、アイルランドの共通語といえるまでになりました。およそ2000年間、話し言葉としては消滅していたヘブライ語は、現在、イスラエルの国語となっています。いったん消滅した話し言葉が2000年後によみがえるのはほとんど奇跡です。現在、琉球語にそのような奇跡がおこるのは、ほばゼロパーセントに近いと思いますが、科学の進歩のめざましい世界ですから、100年後、200年後に琉球語が話し言葉として復活しても不思議なことではありません。この宇宙には日本語で表現できないことはほとんど全くないわけですから、あえて琉球語を勉強する必然性はないとも思えます。それだけの時間と労力は英語に費やしたほうがいいのかもしれません。話し言葉としての復活は望めないにしても、聞き言葉、読み言葉として後世へ伝えて行くことは十分可能だと思います。琉球民謡、沖縄芝居、組踊などは、琉球語として伝えられ、そして、伝えていかなければなりません。おもろさうし、混効験集、琉歌なども後世へ引き継がなければなりません。全ての沖縄人は、沖縄人として、ある程度の琉球語力を持つべきであると私は思います。それには、なによりも琉球語の辞書が必要です。残念なことに手ごろな辞書がありません。ネット、古本屋で購入しても1万円以上はします。新しいものだと3万円以上もします。種類がきわめて少ないです。辞書類は大抵の図書館では禁帯出です。ほとんど勉強のしようがありません。さいわいなことに、国立国語研究所による「沖縄語辞典」があります。データベースとしてネットでも見ることができます。たいへん貴重なすぐれた辞書ですが、現在の沖縄人には使いづらいところがあります。それは、その他の琉球語の辞書も同じですが、発音がすべてローマ字で表記されていることです。ローマ字で表記しますと発音はきわめて正確ですが、意味が非常にわかりづらいです。私は琉球語の表記を日本語同様にすべて漢字ひらがな混じりに書き直しました。これは簡単なようできわめて困難な作業です。意味と語源がわからなければ、漢字に直しようがありません。一つの単語を漢字にするのに2,30分も考えた末に結果が出ないことがしばしばです。やむをえない場合は当て字にするしかありませんでした。それは、日本語も同様ですから妥協するしかありません。助詞、助動詞、感嘆詞、擬音語・擬態語は原則としてひらがなにしました。また、動植物名は慣用的な漢字がある場合を除いて原則としてカタカナにしました。時間ばかりが経過して、3カ月で「あ」と「い」しか完成しておりません。全部を終えるにはこれから1年以上はかかるものと思われますので、出来上がり次第、順次公開することにします。「沖縄語辞典」は国立国語研究所の出版物で、私がしていることはその翻訳といえるようなものです。このような優れた辞書を編纂された国立国語研究所に心より感謝申し上げます。

 

 さて、最近の人は説明書をほとんど読まないようですので説明はできるだけ省くことにします。くわしく勉強されたい方は「沖縄語辞典」をご覧ください。

 

 簡単に説明します。「沖縄語辞典」は首里言葉を採用しています。首里以外の沖縄人には違和感のある発音、表現があると思います。それは自分自身の方言を持っているという証明でもあります。琉球語を全く聞いたことのない人が、発音記号のみで正確な発音を再現することはほとんど不可能なことだと思います。つまり、一度でも琉球語を聞いたことのある人であれば、漢字かな混じりの表記から十分に発音を再現することは出来ます。アクセント記号は、単語の後に⓪と@で示されています。詳しくは、「沖縄語辞典」を見るしかありませんが、多少とも琉球語を聞いたことのある人ならすぐに要領がわかると思います。たとえば、NHKのテレビ小説「ちゅらさん」でおなじみの語ですが、これは沖縄人が発音すると⓪になりますが、ナイチャーが発音するとほとんと@になります。多くの地名は、アクセントが⓪になる傾向があるようです。「沖縄語辞典」には、たくさんの例文がおさめられています。組踊、琉歌、民謡、童謡、ことわざ、日常会話などです。これらすべてが後世への文化遺産です。余すところなくすべて漢字かな混じりに書き直すことにしました。例文を読むだけでも随分と琉球語の会話に役立つと思います。@以下が例文です。

 

2018年6月5日

 

當眞嗣美

 

 ここで筆者について自己紹介をします。沖縄県名護市三原の出身、男性です。生まれは那覇市壺屋で、小中高のほとんどは、うるま市喜屋武で過ごしましたが、名護市が世界で一番美しい町だと思っています。祖母は日常会話がすべて琉球語でした。私はおばあさん子でした。幼い頃は自閉症で現在はほとんど直ったようです。普通以上と思われる集中力と記憶力を言語習得に向けました。昔は、アメリカの映画が字幕なしで見られ、雑誌、新聞、小説などが英語の原文で読め、アメリカ人と普通に会話をするのが夢でしたが、現在は、ローマ字の琉球語を漢字かな混じりに直すことにこの上ない喜びと楽しさと幸せを感じています。この琉和辞典が早く完成してほしいという気持ちと、永遠に完成しないでほしいという気持ちが両方です。ローマ字の琉球語を漢字ひらがな混じりに直すことのできる世代はおそらく私の年齢あたりがボーダーラインだと思います。私以後の世代では限りなく不可能に近づいて行きます。「琉球語辞典」の作成そして無償でのネット公開はそれを行うのは私しかいないという使命感のようなものです。「六十余(るくじゅうあま)れえ土手(あむとぅ)ぬ下(しちゃ)。」今年還暦です。

 

 この「琉球語辞典」に関しまして、御意見、御感想、あるいは、指摘なさりたい点などが御座いましたら、下記まで文書にてお願い致します。訂正、修正、加筆等を経てより良い辞典にして参りたいと思います。

 

905−0019

 

名護市大北4−3−5 津波アパート101号 當眞嗣美