表紙 前文

 

 ?あ ?い 'い ?う 'う ?え 'え ?お 'お                             ?め   ?や  ?ゆ  ?よ       ?わ  ?ゐ  ?ゑ  ?ん  

 

   てぃ:でぃ:て:で

 

‐てぃ: (接尾) 手。グループ・隊などを数える接尾辞。 @一手(ちゅてぃ)、二手

(たてぃ)、幾手(いくてぃい)など。

てぃい⓪: (感) ひい。一つ。声を出して数える時にのみいう。

手(てぃい)⓪: (名) @手。腕の付け根から指先までの全体。また、手首から先。

その敬語は、御手(んち)。 @手(てぃい)押合(うしゃあ)しゅん。/手を合わせ

る。合掌する。 @手(てぃい)頭(かみ)ゆん。/手を頭にのせる。頭をかかえこ

む。悲しい時、心配な時、寝て手を額にのせて悩む時などのさまをいう。 @手(て

ぃい)後(くしゃあ)回(まあ)ち縛(しば)ゆん。/後ろ手に縛る。 @手(てぃ

い)から放(はな)しゅん。/イ・手から放す。ロ・(大事なものを)手放す。売却

する。(大事なものを)失う。 @手(てぃい)ぬ届(とぅどぅ)かん。/手が届かな

い。及ばない。また、行き届かない。 @手(てぃい)ぬ割(わ)りゆん。/ひび・

あかぎれなどができる。 @手(てぃい)伸(ねえ)ゆん。/手を出す。手を差し出

す。また、なぐる。 @手(てぃい)生(みい)ゆん。/子供が成育して、働けるよ

うになる。手が生える意。 ➁取っ手。柄。 B手腕。技。術。また、手段。方法。 

C唐手。拳法の術。 @手(てぃい)使(つぃか)ゆん。/イ・唐手を使う。また、

唐手の技を演ずる。ロ・転じて、人が働いている時に何もしないでいる。冗談にいう。

樋(てぃい)⓪: (名) 樋。竹製が多い。

でぃい@: (感)いざ。さあ。目下に対し誘いかける語。目上には、でぃい然(さ)い、

などという。 @でぃい行(い)か。/さあ、行こう。 @でぃい然(さ)い行(い)

ちゃ侍(び)ら。/さあ行きましょう。 *混効験集:坤巻・言語に、でい、とある。

おもろさうし・769の三行目の「で」は、現在の、でぃい、に当たると思われる。

利(でぃい)@: (名) りい(利・利子)、と同じ。

手焙(てぃいあぶ)い⓪: (名) 手あぶり用の小さな火鉢。火炉(ふぃいるう)、と同

じ。 ※手焙り、は共通語である。

手荒(てぃいあら)さん⓪: (形) 手荒い。しわざ・物の扱い方が荒っぽい。

手洗(てぃいあれ)え⓪: (名) 手洗い。手を洗うための器。また、その水。

手油(てぃいあんだ)⓪: (名) 料理を特に念を入れて作ること。手の油の意。 @

手油(てぃいあんだ)出(ぃん)じゃしゅん。/念入りに料理する。手の油を出す意。

手入(てぃいい)り⓪: (名) @畑の手入れ。 ➁物品の修繕。 B外科手術。

手遅(てぃいうく)り⓪: (名) 手おくれ。手当がおくれること。また、機会を失す

ること。

手上(てぃいぅうぃい)⓪: (名) 手腕が上であること。

手侮(てぃいうせえ)い⓪: (名) 軽く見ること。相手を見くびること。

手打掛(てぃいうっちゃ)き⓪: (名) 肩の後ろの、手を肩の上からまわして届く部

  分。そこにできる腫れものは特に悪性とされる。

手喰(てぃいくぁ)あ足喰(ふぃしゃくぁ)あ⓪: (副) いちいち食ってかかるさま。

人のすることを片はしから非難攻撃するさま。手を食おう足を食おうの意。 @手喰

(てぃいくぁ)あ足喰(ふぃしゃくぁ)あ為(しゅ)ん。/※動詞化。

手(てぃい)から放(はな)⁼しゅん⓪: (他 ⁼さん、⁼ち) 手放す。手(てぃい)か

  ら 放(はな)しゅん、ともいう。

梯梧(でぃいぐ)⓪: (名) 梯梧。旧暦4月ごろ、蝶形の、大きい、深紅の花を開く。

沖縄の国花とされた。木材ではいろいろの器具を作る。 *おもろさうし・384に、 

てしなみ、とある。これは漢字で書くと、梯梧並み、となる。「てし」は、「てこ」の

誤写と思われる。尚家本では、「てこ」と読めるらしい。私事で恐縮であるが、筆者は

「尚家本」は、図書館でざっと目を通しただけで、精読したことはない。

手杖(てぃいぐうしゃん)⓪: (名) 座って手を後ろについて、体を支えること。

手癖(てぃいぐし)⓪: (名) 手癖。物を盗む癖。

耐(てぃ)い薬(ぐすい)@: (名) 栄養剤となる食物。たとえば、永良部(いらぶ)

  う[えらぶうなぎ]、鶏煎(とぅいしん)じ[鶏のスープ]など。

手包(てぃいぐる)ま⓪: (名) 手かせ。罪人の手にかけるもの。またその刑罰。

転合(てぃいごお)⓪: (名) 手でするいたずら。てご・てんごう(本土諸方言)。手

(てぃい)ぬ悪戯(がんまり)、ともいう。 @転合(てぃいごお)憑而居(つぃちょ

お)ん。/いたずらばかりしている。 ※関西方面では、てんご、と言うようであり、

谷崎潤一郎の小説にも出てくる。これは、もとともは、てんごう、と言っていたらし

い。

手座(てぃいざ)⓪: (名) 手首の痛むこと。

醍酥餡(てぃいさああん)⓪: (名) 菓子の名。月餅に似た菓子で、中国伝来のもの。

餡に油や香料がはいっていて、特別の風味がある。 ※醍酥(ていそ)は、典拠のな

い当て字であるが、北京語の発音は、「ti su]である。

手裂(てぃいさあ)ぢ⓪: (名) 手ぬぐい。裂(さあ)ぢ、頭に巻く布。

手探(てぃいさぐ)い⓪: (名) 手探り。暗い所で物を捜す時などの動作。

手仕事(てぃいしぐとぅ)⓪: (名) 手仕事。手先でする簡単な仕事。手業(てぃい

  わじゃ)、ともいう。

手下(てぃいしちゃ)⓪: (名) 手下の転。身分・官位・富などの程度が自分より下

の者。 @嫁(ゆめ)え手下(てぃいしちゃ)から。/嫁は自分の家より低いところ

からもらえ。

亭主(てぃいしゅ)⓪: (名) @亭主。家の主人。 ➁宴会などの主人役。

霊前(でぃいじん)⓪: (名) りいじん(霊前・位牌)と同じ。

電信柱(でぃいしんばあや)⓪: (名)[新] 電信柱。

醍酥餡(てぃいすあん)⓪: (名) 醍酥餡(てぃいさああん)、と同じ。 ※醍酥(て

いそ)は、典拠のない当て字であるが、北京語の発音は、「ti su]である。

手添笥(てぃいぞおき)⓪: (名) 取っ手の付いたざる。添笥(そおき)[ざる]はそ

  の項参照。

太陽(てぃいだ)⓪: (名) 太陽。お日さま。日輪。 @太陽(てぃいだ)ぬ上而居

(あがとお)ん。/日がの上っている。 ※おもろさうしでは、「てた」、「てだ」とあ

り、頻出語である。

太陽雨(てぃいだあみ)⓪: (名) 日照り雨。きつねの嫁入り。太陽降(てぃいだぶ)

い、ともいう。

太陽降(てぃいだぶ)い⓪: (名) 太陽雨(てぃいだあみ)、と同じ。

太陽向(てぃいだぶう)い⓪: (名) ひなたぼっこ。

手怠(てぃいだる)さん⓪: (形) 手がだるい。重い物を長く持っている時とか手を

長く上に上げている時とかなど。

手近(てぃいぢか)さん⓪: (形) @表通りに面して、通りから手が届くくらいであ

  る。表通りで、物を盗られやすい。 ➁近所である。

手突(てぃいぢ)くん⓪: (名) にぎりこぶし。げんこつ。手拳(てぃくぶし)、とも

  いう。

手切(てぃいち)り包丁(ほおちゅう)⓪: (名) 料理を作る材料が少なく、ほおち

ゅう(料理人)が苦心すること。また、客が大勢で家族の食うものがないことなどを 

もいう。手切(てぃいち)り、は切るものがなくて手を切るの意。 ※共通語の包丁

も、もともとは、料理人のことであり、倭名類聚抄にもそうある。切るほうの包丁は、

沖縄語では、包丁(ほおちゃあ)、と言って区別するようである。

一(てぃい)つぃ⓪: (名) @一。一つ。一個。 @所帯(しゅうてえ)一(てぃい)

つぃ成(な)ゆん。/所帯が合併して一つになる。 ➁似ていること。そっくり。同

じ。 @面(つぃら)一(てぃい)つぃ。/顔がそっくりで同一人のようだ。

一(てぃ)つぃ選(いら)び⓪: (名) 一つ一つ丁寧に選ぶこと。多くの中からいい

  ものを選び出すこと。

手掴(てぃいづぃかあ)ん⓪: (名) 手づかみ。また、手づかみで食うこと。

一(てぃい)つぃ書(が)ち⓪: (名) 一つ何々と書くこと。箇条書き。

手付(てぃいづぃ)き⁼ゆん@: (他 ⁼らん、⁼てぃ) @手なずける。懐柔する。 ➁

  病人などを、よく世話する。

手支(てぃいづぃけ)え⓪: (名) 手支(てぃづぃけ)え、と同じ。

一(てぃい)つぃ茶(ぢゃあ)⓪: (名) 一杯のお茶。次のことわざで用いる。 @

一(てぃい)つぃ茶(ぢゃあ)や飲(ぬ)まん物(むん)。/お茶は一杯だけは飲まな

いもの。どんなに急ぎの時でも二杯以上飲むべきだ。ゆっくり落ち着いてせよという

意味の教訓。

一(てぃい)つぃ拾(びり)い⓪: (名) 一つ一つ拾うこと。また、一つ一つ数えあ

げること。

一(てぃい)つぃ巻(まちゃ)あ⓪: (名) つむじが一つの者。二(たあ)つぃ巻(ま

ちゃ)あ、の項参照。

一(てぃい)つぃ見(み)し⓪: (名) 年子を産むこと。手向(たんか)あ見(み)

し、ともいう。みし、は見せることで、弟妹を兄姉に見せるの意。弟妹が生まれるこ

とを、弟(うっとぅ)見(み)しゆん、という。年子はまれに、年(とぅし)ん子(ぐ

ぁ)、ともいう。二つ違い(三つ違い)の子を生むことは、二(たあ)つぃ見(み)し

[三(みい)つぃ見(み)し]という。

一(てぃい)つぃ物(むん)⓪: (名) 同じ物。同一物。また、すっかり同じもの。 

@二人(たあちゅ)う有(や)くとぅ面(つぃら)あ一(てぃい)つぃ物(むん)有

(や)さ。/ふた子だから顔はすっかり同じだ。 @一(てぃい)つぃ物(むん)ぬ

如(ぐと)おさ。/同一物のようだ。

でぃいでぃい@: (感) @さあさあ。人を強く誘う語。 ➁「じょう談はよしてくれ」

と人のじょう談に軽く抗議するときの語。目上には、でぃい然(さ)い、の、でぃい、

を強く引いていう。

手取(てぃいとぅ)ら取(とぅ)ら⓪: (副) 手に取れほど近いさま。

抵当(てぃいとお)⓪: (名)[新] 抵当。担保。質持(しちむ)つぃ、ともいう。

手倒(てぃいと)お立(だあ)ちい⓪: (名) 手をこまねくこと。何もしないで傍観

  すること。

手長(てぃいなが)さん⓪: (形) 盗み癖がある。手が長いの意。盗み癖のあるもの

は、左手長(ふぃじゃいでぃいなが)あ[左手の長い者]という。

手習(てぃいなれ)え⓪: (名) 手習(てぃなれ)え、と同じ。

丁寧(てぃいにい)@: (名) 丁寧。 @丁寧(てぃいにい)な言葉(くとぅば)。/

丁寧なことば。 @丁寧(てぃいにい)に御礼(ぐりい)為(しゅ)ん。/丁寧にお

じぎする。

手遅(てぃいにい)さん⓪: (形) 手がのろい。仕事が遅い。にいさん、は遅い。

手(てぃい)ぬ綾(あや)⓪: (名) 手のひらにあるすじ。掌紋。

手(てぃい)ぬ裏(うら)⓪: (名) 手のひら。手(てぃい)ぬ腹(わた)、ともいう。 

@手(てぃい)ぬ裏(うら)熱熱(ふぁあふぁあ)為(しゅ)ん。/(子供が病気な

どで)手のひらが熱っぽい。

手(てぃい)ぬ悪戯(がんまり)⓪: (名) 手でするいたずら。転合(てぃいごお)、

ともいう。がんまり、は、いたずら。

手(てぃい)ぬ首(くび)⓪: (名) 手首。

手抜(てぃいぬ)じゃあ⓪: (名) @すもうの手の名。手を相手のわきの下から抜い

  て背の上に回し帯を取ること。 ➁水泳の技。抜き手のこと。

手(てぃい)ぬ腹(わた)⓪: (名) 手のひら。

手伸(てぃいねえ)い足伸(ふぃしゃねえ)い⓪: (副) けんかをいどむさま。手を

出したり足を出したり。 @手伸(てぃいねえ)い足伸(ふぃしゃねえ)い為(しゅ)

ん。/※動詞化。

手歯痒(てぃいはごお)さん⓪: (形) はがゆい。もどかしい。自分で手を出したく

なる。

手足(てぃいふぃしゃ)⓪: (名) 手足。手と足。

手足倒(てぃいふぃしゃどお)り⓪: (名) てんてこまい。

手足(てぃいふぃしゃ)松振(まつぃぶ)い⓪: (名) 手足まとい。 ※足手まとい、

  ではなかろうか。

手引(てぃいふぃ)ち坊主(ぼおじ)⓪: (名) @葬式の引導僧。 ➁悪友。誘惑す

  る者。

手不足(てぃいぶすく)⓪: (名) 手不足。人手が足りないこと。手不足(てぃいぶ

  らあ)り、ともいう。

手懐(てぃいぶちゅくる)⓪; (名) @ふところ手。 ➁働かずに何もしないこと。

手不足(てぃいぶらあ)り⓪: (名) 手不足。人手が足りないこと。ぶらあり、は不

  足。

手早(てぃいべえ)さん⓪: (形) @手早い。仕事が早い。 ➁短気で、すぐ手を出

してなぐる。

汀間(てぃいま)⓪: (名) 汀間。 ※「ていま」、名護市の地名。私事で恐縮だが、

  筆者のふるさとである。

手儘(てぃいまあまあ)⓪: (副) 準備なく、うろたえるさま。 @手儘(てぃいま

  あまあ)為(しゅ)ん。/※動詞化。

手豆(てぃいまあみ)⓪: (名) 手豆の意。なれない労働などで手にできるまめ。

手枕(てぃいまっくぁ)⓪: (名) 手枕。自分の手を枕に寝ること。これに対し、腕

  枕(うでぃまくら)、は他人の腕を枕にすること。または他人に腕を枕に貸すこと。

手招(てぃいまに)ち⓪: (名) 手招き。手招(てぃいまぬ)ち、手招(てぃまぬ)

ち、ともいう。 @手招(てぃいまに)ち為(しゅ)ん。/※動詞化。

手招(てぃいまぬ)ち⓪: (名) 手招(てぃいまに)ち、と同じ。

手間見(てぃいまみ)じ⓪: (名) 手先でする仕事で手順を間違えること(機織りな

ど)。

手揉(てぃいみみ)じ⓪: (名) 老人や病人などの足腰を手でもむこと。あんま。 @

  手揉(てぃいみみ)じ為(しゅ)ん。/※動詞化。

手弄(てぃいむたあ)ん⓪: (名) 手でいたずらをすること。‐むたあん、はその項

  参照。

手餅餅(てぃいむちゃむちゃ)⓪: (副) @手にねばり気のあるものがついて、手が

ねばねばするさま。 ➁仕事などののろいさま。もたもた。 @手餅餅(てぃいむち

ゃむちゃ)為(しゅ)ん。/※動詞化。

手無(てぃいむ)っこお⓪: (名) 手の無い者。手の切れて無くなった者。⁼むっこお、

  の項参照。

手無(てぃいも)お⓪: (名) 手の無い者。手無し。 ‐もお、はその項参照。

手無(てぃいも)おかあ⓪: (名) 前項の卑称。

手無(てぃいも)おくう⓪: (名) 手の無い者。手無し。やや卑称。手無(てぃいむ)

  っこお、ともいう。

手緩(てぃいゆる)しゃあ⓪: (名) 手を放すこと。綱渡りなどで、何もつかまえな

いこと。ゆるしゃあ<緩(ゆる)しゅん[放す]。 ※共通語の「ゆるす」は、もとも

とは、物理的な束縛や緊張を解くという意味である。万葉集2505、「梓弓引きて許

さずあらませば斯かる恋には逢はざらましを」。弓を「緩(ゆる)す」と心を「許(ゆ

る)す」とを掛けた歌のようである。

手様(てぃいよお)⓪: (名) 手振り・手つき。おもしろく話す時などの手まね。

手様足様(てぃいよおふぃしゃよお)⓪: (名) 手つき足つき。手振り足振り。

照屋(てぃいら)⓪: 照屋。 ※「てるや」、沖縄市、南風原町、および、糸満市の地名。

私事で恐縮であるが、筆者は、沖縄市照屋に6年ほど住んでいた。

照匁(てぃいらみ)@: (名) 十匁。指輪・結髪(ヂイファア)[かんざし]・糸・真

鍮のように軽い物を計る時に用いる。めったに使わない語。普通のものを計るには、

十匁(じゅうむんみ)、という。

手笊(てぃいる)⓪: (名) 手かご。手にさげて持つかご。また、手のついたざる。

下(さ)ぎ手笊(でぃいる)は、天井にさげるざる。

手業(てぃいわざ)⓪: (名) 手仕事。手先の仕事。

手渡(てぃいわた)し⓪: (名) 手渡すこと。手から手に直接渡すこと。

手煩合(てぃいわちゃれ)え⓪: (名) 手をわずらわすこと。面倒な事に掛かりあう

  こと。

手斧(てぃいん)⓪: (名) 手斧の一種。柄の長さ50センチぐらい。刃が鍬のよう

に、柄と交差する方向についているもの。

手入(てぃい)ん@: (名) 織機の筬(おさ)の種類の名。経糸800本を通すもの。

また、それで織った布。解(ふどぅ)ち、の項参照。

手向(てぃいん)けえ⓪: (名) 手向かい。反抗。

手漁(てぃいんじゃ)り⓪: (名) @手をよごすこと。 ➁やっかいな事にかかわる

  こと。

手(てぃい)ん縄(な)⓪: (名) 綱引きの時、大きな綱にたくさんつける小さな綱。

  人が引きやすくしたもの。手綱の意。綱引(つぃなふぃ)ち、の項参照。

手往左往(てぃおおさおお)⓪: (副) 右往左往。うろたえて騒ぐさま。 @手往左

往(てぃおおさおお)為(しゅ)ん。/※動詞化。

手掛(てぃが)かい⓪: (名) 手掛かり。捜し出す、または着手する端緒。

大為(でぃかし)⓪: (名) うまく行くこと。成功。利益を得ること、幸福を得るこ

となど。 @大為(でぃかし)有(や)ん。/成功だ。 ※共通語の、でかい、でっ

かい、と関係のある語であろうか。

手数(てぃかじ)⓪: (名) @手数。 @手数(てぃかじ)掛(か)きゆん。/手数

をかける。 ➁唐手を演ずる際の変化する手の数。

出来(でぃか)⁼しゅん⓪: (自 ⁼さん、⁼ち) でかす。うまく行く。成功する。利益・

  幸福などを得る。

車輪梅(てぃかち)⓪: (名) 灌木の名。車輪梅。てかちぎ。樹皮、ことに根の皮か

  ら茶褐色の染料を取り、沖縄産の、赤染(あかず)みい、の原料とする。

でぃかでぃか@: (感)[文] さあさあ。いざいざ。 @でぃかでぃか美童(みやらび)

  遊(あすぃ)びかい。[でかでかみやらべ 遊びかえ]さあさあ娘たち遊びに行こう。

手適(てぃがね)え⓪: (名) 手伝い。加勢。仕事の手助けをすること。

手紙(てぃがみ)⓪: (名) 手紙。むかしは、はがち(端書)といった。その項参照。

でぃかよ⓪: (感)[文] いざ。さあ。口語は、でぃっかあ。 @でぃかよ押(う)し

連(つぃ)りてぃ眺(なが)み遣(や)い遊(あすぃ)ば。[でかよおし連れて 眺め

やり遊ば]さあ連れだって眺めて遊ぼう。

手柄(てぃがら)⓪: (名) 手柄。功労。

‐てぃがろお: (助) とか。とかいう。 @何処(まあ)がなてぃがろお。/どこと

か。 ※而(て)か有(あ)ろう、が縮まった形か。

出来上(でぃきあ)が⁼ゆん⓪: (自 ⁼らん、⁼てぃ) でき上がる。

出来砂糖(でぃきざあたあ)⓪: (名) よくできた砂糖。上等に仕上がった砂糖。

出来(でぃき)やあ⓪: (名) できぶつ。秀才。

出来(でぃき)⁼ゆん⓪: (自 ⁼らん、⁼てぃ) @(学問などが)よくできる。 ➁(農

作物が)よくできる。 Bうまく行く。よくできる。成功する。また、上等に仕上が

る。 @遊(あすぃ)びぬ出来而居(でぃきとお)ん。/遊び(演芸)がうまく行っ

ている。 @出来(でぃき)た出来(でぃき)た。/[文]でかしたでかした。あっ

ぱれあっぱれ。

梃子(てぃく)⓪: (名) @てこ。 ➁かま・ほうちょうなどの柄につけて刃を固定

  させるための金具。

手小子(てぃくぐ)@: (名) [文子] 廃藩前の役名。番所(ばんじゅ)、の下役人。

手心(てぃぐくる)⓪: (名) 手心。手加減。

天蚕糸(てぃぐす)⓪: (名) てぐす。てぐす糸。てぐす蚕から取った糸。つり糸用。

天蚕糸(てぃぐすい)、ともいう。

天蚕糸(てぃぐすい)⓪: (名) 天蚕糸(てぃぐす)、と同じ。

手事(てぃぐとぅ)⓪: (名) 手事。歌が中断している間の、琴・三味線の弾奏。

手配(てぃくば)い⓪: (名) 手配り。手配。手分けして各自の部署につくこと。

手拳(てぃくぶし)@: (名) 手こぶしの意。げんこつ。手突(てぃいぢ)くん、と

  もいう。

手細(てぃぐま)⓪: (名) 手先が器用なこと。

手組(てぃぐみ)⓪: (名) 手組み。手配。手はず。準備。 @明日(あちゃ)が日

(ふぃ)に成(な)らば、戦(いくさ)押(う)し寄(ゆ)してぃ、討(う)ち取(と

ぅ)ゆる手組(てぃぐみ)為(しゅ)る内(うち)どぅ有(や)たる。[あちやが日に

ならば いくさ押寄せて 討ちとゆる手組 しゆるうちどやたる(忠臣身替)]あすに

なったら軍勢が押し寄せて打ち取る手配をしているところだった。 ※忠臣身替(ち

ゅうしんみがわり)は、辺土名親雲上(へんとなぺえちん)作の組踊である。 @手

組(てぃぐめ)え為(せえ)み。/手配はしてあるか。

‐てぃさ: (助) とさ。伝聞にもとづくことを人に伝える時用いる。 @有(あ)た

んてぃさ。/あったとさ。 @居(うぅ)たんてぃさ。/いたとさ。

手縞(てぃじま)@: (名) @着物の柄の名。かすりと縞のまぜ織り。 ➁手縞綿着

物(てぃじまわたぢん)、と同じ。

手縞綿着物(てぃじまわたぢん)⓪: (名) 手縞(てぃじま)の綿着物(わたぢん)[冬

  の礼服]。女用。

‐てぃすぃ: (助) ということ。というもの。 @御縁(ぐいん)てぃすぃ知(し)

らん浮世(うちゆ)てぃすぃ知(し)らん我身(わみ)や此(く)ぬ世界(しけ)ぬ

人(ふぃとぅ)や有(あ)らん。[御縁てす知らぬ 浮世てす知らぬ わ身やこの世界

の 人やあらぬ(銘苅子)]御縁というものを知らない、浮世というものを知らないわ

たしは、この世界の人ではありません。 ※銘苅子(めかるし)は、玉城朝薫(たま

ぐすくちょうくん)作の組踊である。

手墨学問(てぃすぃみがくむん)⓪: (名) 習字や読書。すなわち学問。

汀志良次(てぃすぃらじ)⓪: (名) 汀志良次。 ※「てしらじ」、那覇市首里にあっ

  た地名。現在は、汀良(てら)町というようである。

手相(てぃそお)⓪: (名) 手相。手のひらの相。また、それを占うこと。

手助(てぃだすぃ)き⓪: (名) 手助け。加勢。他の仕事を助けること。

手段(てぃだん)⓪: (名) 手段。手だて。方法。 @肝温(ちむぬる)さ為(し)

ち居(うぅ)てぃ、若(む)しか谷茶(たんちゃ)が手段(てぃだん)引(ふぃ)ち

変(か)わち、思(うみ)ん子(ぐぁ)ぬ上(ぅうぃい)に荒(あ)らし声(ぐぃ)

ぬ有(あ)らば、願(にが)てぃ居(うぅ)る事(くとぅ)ん思(うむ)てぃ役(や

く)立(た)たん。[肝ぬるさしちをて 若か谷茶が 手段引替ち 思子の上に あら

し声のあらば 願てをる事も 思て役立たん(大川敵討)]のんびりしていて、もしも

谷茶が手段を変えて、若君の上に万一のことがあったら、願っていることも何の役に

も立たない。 ※大川敵討(おおかわてきうち)は、久手堅親雲上(くでけんぺえち

ん)作の組踊である。 @手段(てぃだん)ぬ無(ねえ)らん。/手だてがない。

敵(てぃち)@: (名) 敵。戦う相手。また、かたき。

鉄(てぃつぃ)@: (名) 鉄。

手支(てぃづぃけ)え⓪: (名) 手づかえの意。仕事で手がふさがって都合が悪いこ

  と。

鉄薬缶(てぃつぃやっくぁん)@: (名) 鉄びん。

でぃっかあ⓪: (感) さあ。では。いざ。誘いかける時発する語。ぅううふう、ぉお

おほお、ぃいいひい、などともいう。それらの項参照。 @でぃっかあ然(さ)い、

行侍(いちゃび)ら。/さあまいりましょう。 @でぃっかあ行か。/さあ行こう。

手作(てぃづく)い⓪: (名) 手製。手作り。

手甲(てぃっこお)⓪: (名) 手の卑語。 @手甲(てぃっこお)曲(ま)ぎらりん

どお。/手をひん曲げてやるぞ。

立身(でぃっしん)⓪: (名) @立身。 ➁嫁に行くこと。立身(りっしん)、ともい

  う。 @立身(でぃっしん)為(しゅ)ん。/とつぐ。

立派(でぃっぱ)⓪: (名) りっぱ(立派)と同じ。

鉄砲(てぃっぷう)@: (名) 鉄砲。

鉄砲袖(てぃっぷうすでぃ)い⓪: (名) 筒袖。

立腹(でぃっぷく)⓪: (名) 立腹。腹を立てること。腹が立つこと。立腹(りっぷ

く)、ともいう。 @立腹(でぃっぷく)為(しゅ)ん。/立腹する。嚏(くさみ)ち

ゅん、ともいう。

手登根(てぃでぃくん)⓪: (名) 手登根。 ※「てどこん」、南城市佐敷の地名。 *

  おもろさうし・1018に、てとこん、とある。

手手濡(てぃてぃん)でぃい@: (名) 身の毛のよだつようないやな事。ぞっとする

  ような事。

手代(てぃでえ)⓪: (名) 饗応。人にごちそうすること。

手代(てぃでえ)⁼ゆん⓪: (自 ⁼らん、⁼てぃ) 饗応する。ごちそうする。

手並(てぃな)み⓪: (名) 手並み。腕前。

手習(てぃなれ)え⓪: (名) 手習い。字のけいこ。手習(てぃいなれ)え、ともい

う。

手(てぃ)ぬ内(うち)⓪: (名)[文] @手の内にあるように、容易なこと。 @思

(う)みん子(ぐぁ)とぅ吾(わん)や互(たげ)に二八頃(にはちぐる)、味方(み

かた)ゆい外(ふか)に誰(た)が知(し)ゆらやりば、敵(てぃち)ゆ騙(だま)

しゅすぃや手(てぃ)ぬ内(うち)どぅ有(や)ゆる。[思子とわ身や 互に二八比 味

方より外に 誰が知ゆらやれば 敵よだましゆすや 手の内どやゆる(忠臣身替)]若

君とわたしとは共に十六歳で、味方よりほかには誰も知らないだろうから、敵をだま

すのはわけのないことだ。 ※忠臣身替(ちゅうしんみがわり)は、辺土名親雲上(へ

んとなぺえちん)作の組踊である。二八(にはち)は、二と八を掛けると十六となる

ことから十六歳を意味する共通語であり、太平記などにも見える。 ➁家来。

手(てぃ)ぬ技(ざ)⓪: (名) 手芸。手のわざ。ししゅうなどをいう。

手離(てぃばな)⁼しゅん⓪: (他 ⁼さん、⁼ち) 手放す。持ち物を売却することなど

をいう。

手鉾(てぃびく)⓪: (名) 農具の名。木製で、さつまいもの苗を植えるために穴を

  掘る場合などに用いる。手鉾の転か。

手引(てぃび)ち⓪: (名) 料理名。普通、御手引(うてぃび)ち、という。その項

参照。

手放(てぃふぁ)な技(わざ)⓪: (名) 危険なわざ。あぶないふるまい。

手振(てぃふ)い⓪: (名) 手振り。踊りの手振り。 @恩納岳(うんなだき)登(ぬ

ぶ)てぃ押(う)し下(くだ)い見(み)りば、恩納松金(うんなまつぃがに)が手

振(てぃふ)い清(ぢゅ)らさ。[恩納岳登て 押し下り見れば 恩納松金が 手振り

ぎよらさ]恩納岳に登って、はるか下を眺めると、松の枝振りの美しさはここで恩納

松金が舞った時の手振りの美しさを思い出させる。

手節(てぃぶし)⓪: (名) 腕力。腕っぷし。また、働き。手節の意。 @子(っく

ぁ)ぬ手節(てぃぶし)喰(か)ぬん。/子の働きに頼る。

手本(てぃふん)⓪: (名) @手本。模範。 ➁見本。

手栄(てぃべえ)⁼ゆん⓪: (自 ⁼らん、⁼てぃ) あばれる。乱暴狼藉を働く。ひどい

いたずらをする。

手方(てぃほお)@: (名) 次の句で用いる。 @手方(てぃほお)失(うしな)ゆ

ん。/途方にくれる。なすところを失う。 @只今(たでえま)ぬ事(くとぅ)有(や)

てぃ、手方(てぃほお)失(うしな)ゆん。/突然のことで、どうしてよいかわから

なくなる。

手間(てぃま)⓪: (名) @手間。仕事に費やす時間。 ➁手間賃。

手枕(てぃまくら)⓪: (名)[文] 手枕(てぃいまっくぁ)、の文語。 ※万葉集・

438、「愛(うつく)しき人の纏(ま)きてし敷𣑥(しきたへ)のわが手枕(たまく

ら)を纏(ま)く人あらめや。

手間垂(てぃまだあ)り⓪: (名) 手間ばかりかかること。手間つぶし。手間損。

手間賃(てぃまちん)⓪: (名) 手間賃。

手間取(てぃまとぅ)やあ⓪: (名) 日傭取り。日雇いの労働者。

手真似(てぃまに)⓪: (名) 手まね。

手招(てぃまぬ)ち⓪: (名) 手招(てぃいまぬ)ち、手招(てぃいまに)ち、と同

  じ。

手間隙(てぃまふぃま)⓪: (名) 費やす時間。手間どる時間。

手回(てぃまわ)し@: (名) @手回し。準備。 @手回(てぃまわ)しぬ良(ゆ)

たしゃん。/手回しがいい。 ➁暮らしが楽になること。生活に余裕ができること。 

@誰(たる)とぅてぃん一人(ふぃちゅい)手回(てぃまわ)しぬ行(い)かば。[誰

とても一人 手廻のいかば(花売之縁)]誰でもひとり生活にゆとりができたら。 ※

花売之縁(はなうりのえん)は、高宮城親雲上(たかみやぐすくぺえちん)作の組踊

である。

豊見城(てぃみぐすぃく)⓪: (名) 豊見城。 ※「とみぐすく}、豊見城市の地名。

那覇市と接している。鳴響(とよ)む城(ぐすく)が、豊見城となったというのが、

外間守善氏の説である。 *混効験集:坤巻・乾坤に、てみ城、とある。

手水(てぃみずぃ)⓪: (名)[文] [手水]恋人に水を手ですくって飲ませること。

国頭の名護間切許田村に手水物語の井戸がある。むかし薩摩の武士がこの井戸で水を

汲んでいる娘に手水を飲ませてもらい、その娘を自由にしたことから、後世「手水之

縁」という組踊も脚色されるに至ったという。 ※手水之縁(てみずのえん)は、平

敷屋朝敏(へしきやちょうびん)作の組踊である。ちなみに、共通語の手水は、手を

洗う水のことである。

‐てぃやい: (助) とか。てぃがろお、ともいう。文語は、てぃやり。

照上(てぃや)が⁼ゆん@: (自 ⁼らん、⁼てぃ) 晴れあがる。照りあがるの意。

‐てぃやり: (助)[文] とか。口語は、てぃやい。 @隠(かく)ち有(あ)んてぃ 

やり。/隠してあるとか。

利欲(でぃゆく)⓪: (名) りゆく(利欲)と同じ。

照(てぃ)⁼ゆん⓪: (自 ⁼らん、⁼てぃ) 照る。 @太陽(てぃいだ)ぬ照(てぃ)

ゆん。/日が照る。

出様来(でぃよおちゃ)る⓪者(むぬ)や⓪: (句)[文] [出様来る者や]出て来た

者は、まかりいでたる者は。組踊の用語。 ※組踊には、ナレーションがないので、

登場人物は、このセリフを言ったあとに自己紹介をすることになる。

出(でぃ)よおり⓪: (自)[文] いでよ。出会え。敵を呼び出す語。 @やあ八重瀬

(いぇえじ)、耳(みみ)ぬ根(に)ゆ開(あ)きてぃ細(みすぃ)く聞(ち)ち拝(う

が)み、玉村(たまむら)ぬ按司(あじ)ぬ御代継(みゆつぃ)ぢぬ思(う)み子(ぐ

ぁ)、御主(うが)が嫌(ゆ)む首(くび)や御望(うぬず)みゆでむぬ、急(いす)

ぢ首(くび)濯(すす)てぃ出(でぃ)よおり出(でぃ)よおり。[やあ八重瀬 耳の

根よあけて みすく聞拝め 玉村の按司の 御世継ぎの思子 おががよも首や お望

みよだいもの 急ぎ首そそて でやうれでやうれ(忠臣身替)]やあ八重瀬、耳をほじ

くってよくよく聞け。玉村の按司の代継ぎの若様が、おまえの首を御所望だから、急

いで首を洗って出会え出会え。 @忠臣身替(ちゅうしんみがわり)は、辺土名親雲

上(へんとなぺえちん)作の組踊である。

寺(てぃら)@: (名) 寺。寺院。 *おもろさうし・1044に、みやてら、とあ

  る。

照上(てぃらちゃ)が⁼ゆん@: (自 ⁼らん、⁼てぃ) 照り輝く。 @照上(てぃらち

ゃ)がてぃ見(み)ゆさ思(うむ)い有(あ)る島(しま)ぬ、寄(ゆ)ゆる年(と

ぅし)戻(むどぅ)す花(はな)ぬ木蔭(くかじ)。[てらちやがて見ゆさ 思ある島

の よよる年もどす 花の木蔭]照り輝いて見えるぞ、思いをかけている廓の、寄る

年を押し返すような花の木かげ(愛人)が。

寺物参(てぃらむぬめ)え@: (名) 寺参り。宮参りをもいう。参詣。参拝。

‐てぃら物・者(むん): (接尾) というもの。ともあろうもの。 @女(うぃなぐ)

てぃら者(むん)番所(ばんじゅ)に泊(とぅ)まゆみ、急(いす)ぢすぢすぢ屋戸

(やどぅ)掛(か)から。/女ともあろうものが番所に泊まることがあろうものか。

急いで家に着こうよ。 ※すぢすぢは、急(いす)ぢ、を強調したものと思われる。

照(てぃ)り渡(わた)⁼ゆん⓪: (自 ⁼らん、⁼てぃ) 照り渡る。

‐てぃる: (助) という。てふ。 @小浜(くはま)てぃる島(しま)や果報(くぁ

ふ)な島(しま)有(や)りば、大岳(うふだき)や腰当(くしゃ)てぃ白浜(しら

はま)前(め)成(な)ち。[小浜てる島や 果報な島やれば 大嶽やこしやて 白浜

前なち(八重山民謡)]小浜という島は恵まれた島なので、大嶽を背にして、白浜を前

にしている。 ※小浜節である。八重山語の発音は以下のようである。小浜(くもま)

てぃる島(しま)や果報(かふ)な島(しま)やりば、大岳(うふだき)ば、後(く

さ)でぃ白浜(しらぱま)前(まい)成(な)ち。

手分(てぃわ)き⓪: (名) 手分け。何人かで仕事を分担すること。

天(てぃん)@ (名) 天。空。すら(空)は文語。 @天(てぃん)連(つぃる)が

あゆん。/天につらなる。 @天(てぃん)とぅ地(じい)。/天と地。天地。 ※お

もろさうしには、天(てに)、とあり頻出語である。

蓮(でぃん)@: (名) 蓮。はす。蓮(りん)、ともいう。 @蓮(でぃん)ぬ葉(ふ

  ぁあ)。/はすの葉。

天下(てぃんが)@: (名) 天下。

天鵝絨(てぃんがあちゅう)⓪: (名) 天鵝絨(びろうど)。

天川原(てぃんがあら)@: (名) 天の川。銀河。 @あきよ天川(てぃんがあら)

や島横(しまゆく)に成(な)とぅさ、でぃかよ立(た)ち戻(むどぅ)ら昨夜(ゆ

び)ぬ時分(じぶん)。[あけやう天川原や 島横になとさ でかやう立戻ら よべの

時分]あれ、天の川が島の横になってしまったよ。さあ帰ろう。ゆうべと同じ時間だ。

田楽(でぃんがく)⓪: (名) [田楽]料理の名。田芋(たあぅんむ)[田芋。里芋の

ようなもの]を煮て、皮をむき、砂糖やごまをまぶしたもの。首里・那覇では正月用

の料理。 ※現在では、首里・那覇以外でも、正月用の料理。

天愛(てぃんがな)し@: (名)[文] 国王の敬称。首里天愛(しゅいてぃんがな)し、

ともいう。

竜眼(でぃんがん)⓪: (名) 竜眼(りんがん)、と同じ。 ※竜眼(りゅうがん)。

  レイシ、ライチ、ライチー、とも呼ばれる。

竜眼目(でぃんがんみい)⓪: (名) 黒目が白いものにおおわれた、視力のない目。

  竜眼の実に似ているのでいう。濁目(だあみ)、ともいう。

天狗(てぃんぐ)⓪: (名) 天狗。山中にいる天狗の意でなく、自慢する者に対する

あだ名として使う。

冷褂(でぃんくぁあ)⓪: (名) 冷褂(りんくぁあ)、と同じ。 ※ちゃんちゃんこの

ようなものである。冷褂(れいかい)は、典拠のない当て字であるが、北京語の発音

は、「leng gua」であり、褂(かい)は、清朝の礼服のことである。

天願(てぃんぐぁん)⓪: (名) 天願。 ※「てんがん」、うるま市の地名。 *おも

  ろさうし・1164に、てくらん、とあり、言葉間書に、「天願村の古名なり」とある。

天願川(てぃんぐぁんがあ)⓪: (名) 天願川。川の名。中頭郡にあり東海岸に注ぐ。

伝言(でぃんぐん)⓪: (名) 伝言。ことづて。 言遣(いや)い、ともいう。

天蓋(てぃんげえ)⓪: (名) 天蓋。葬送の棺の上にさしかけるもの。長いさおの先

に龍の彫刻をしたものが付けてある。

天様(てぃんさま)@: (名) 次の句で用いる。 @天様(てぃんさま)返(けえ)

りゆん。/ひどく騒ぐ。わめき騒ぐ。疼痛の激しい時、子供が泣き騒ぐ時などにいう。

天使(てぃんし)@: (名)[文] [天使]中国からの使者。冊封使のこと。

天子(てぃんし)@: (名)[文] [天子]。

天竺(てぃんじく)⓪@: (名)[文] 天竺。 @如何(いか)な天竺(てぃんじく)

ぬ鬼立(うにた)ちぬ御門(うじょ)ん、恋(くい)ぬ道(みち)有(や)りば開(あ)

きどぅ為(しゅ)ゆる。[いかな天竺の 鬼立の御門も 恋の道やれば 開きどしゆゆ

る(手水之縁)]たとえ天竺の鬼の立っている門でも恋のためなら開くものだ。 ※手

水之縁(てみずのえん)は、平敷屋朝敏(へしきやちょうびん)作の組踊である。天

竺は、後漢書に出てくる語で、インドのことである。 

天咲(てぃんしゃあぐう)⓪: (名) ほうせん花。つまくれない。女児がこの葉をも

んで爪を染める。 @天咲(てぃんしゃぐ)ぬ花(はな)や爪先(つぃみざち)に染

(す)みてぃ、親(うや)ぬ寄(ゆ)し事(ぐとぅ)や肝(ちむ)に染(す)みり。[て

んしやごの花や 爪先に染めて 親のよせ言や 肝に染めれ]つまくれないの花は爪

に染めて、親の教訓は心に染めよ。

天井(てぃんじょお)⓪: (名) 天井。

天井桁(てぃんじょおぎた)⓪: (名) 桁。屋根の梁とうちちがいに渡す材木。

天水(てぃんすぃい)@: (名) 天水。雨水。海岸地方で井戸水に塩分のある所では、

軒の雨水を溜めて飲料水に使う。お茶の水には井戸水より天水がよいとして、わざわ

ざ天水を溜めておく好事家もある。

天水甕(てぃんすぃいがあみ)@: (名) 天水甕。天水を入れるかめ。口が狭く胴が

広い。半胴甕(はんどぅうがあみ)[普通の飲料水用のかめ]は反対に口が広い。

天水羹(てぃんすぃいかん)⓪: (名) ところてん。てんぐさを煮てそのかすを去り、

  冷やして固めたもの。氷太(くうりぶうとぅ)、ともいう。

天数(てぃんすう)@: (名) [天数]天から与えられた運命。天命。 @天数(て

ぃんすう)頭(かみ)てぃ生(ぅん)まり而居(とお)ん。/天運をいただいて生ま

れている(王などについていう)。

手(てぃ)ん平(だ)⓪: (名) 手のひら。たなごころ。 @手(てぃ)ん平(だ)

  ぬ其比(うっぴ)。/手のひらの広さだけ。狭いものの形容。猫のひたい。

天気(てぃんち)@: (名) 天気。空模様。ぅわあつぃち(上っ気)、ともいう。

天地(てぃんち)@: (名)[文] 天地。

悋気(でぃんち)⓪: (名) 悋気(りんち)、と同じ。

悋気(でぃんちゃ)あ⓪: (名) 悋気(りんちゃ)あ、と同じ。

天愛(てぃんぢゃな)し@: (名)[文] 天愛(てぃんがな)し、と同じ。

手(てぃ)ん悪戯(ちゃま)⓪: (名) いたずら。手のいたずら。

手(てぃ)ん悪戯(ちゃま)あ⓪: (名) いたずら小僧。

連台(でぃんでえ)⓪: (名) 連台(りんでえ)、と同じ。

伝道(でぃんどお)⓪: (名) 伝道。 ※「でんどう」、中頭郡北谷町にあった地名。

天仁屋(てぃんな)⓪: (名) 天仁屋。天仁屋(てぃんにゃ)、ともいう。 ※「てに

や」、名護市の地名。

一名代(てぃんなし)⓪: (名) 一名代。 ※「てんなす」、大宜味村にあった地名。

根謝銘、一名代、城が合併して、謝名城(じゃなぐすく)となった。一名代は、当て

字であろうと思われるが、由来を御存じの方?一番の名代は、「天が成す」というシャ

レであろうか。

天仁屋(てぃんにゃ)⓪: (名) 天仁屋。天仁屋(てぃんな)、ともいう。 ※「てに

や」、名護市の地名。

天(てぃん)ぬ人(っちゅ)@: (名) 天人。天上に住み、飛(とぅ)び着物(ぢん)

  [飛びぎぬの意。羽衣]を着た想像上の人。

天罰(てぃんばつぃ)@: (名) 天罰。

天婦羅(てぃんぷら)⓪: (名) てんぷら。肉天婦羅(ししてぃんぷら)[豚肉のてん

  ぷら]、魚天婦羅(いゆてぃんぷら)[魚のてんぷら]など。

手埋(てぃん)べえ@: (名) 楯。

伝馬(てぃんま)@: (名) 伝馬。はしけ。

天命(てぃんみい)@: (名) 天命。身にそなわった運命。

天文(てぃんむん)@: (名) 天文。天体の現象。また、天体の現象による占い。た

とえば、@箒星(ほおちぶし)ぬ上(あ)がいねえ国(くに)ぬ厄(やく)。/ほうき

星があがれば国の厄。 のようにいう。

耐(て)え⓪: (名) 力。たえる力。はねかえす力。堪えの意か。耐(て)え力(ぢ

から)、耐(て)え力(ちから)、ともいう。 @耐(て)えぬ有(あ)ん。/(たえ

る)力がある。 @耐(て)え入(い)ってぃ引(ふぃ)ちゅん。/力をこめて引く。 

@耐(て)え為(しゅ)ん。/根にもつ。恨みを持ち対抗する。 @耐(て)えとぅ

ん身(みい)とぅん適(かな)あん。/どうにもこうにもしようがない。いくら苦心

し努力しても、いたしかたがない。肝(ちむ)とぅん耐(て)えとぅん適(かな)あ

ん。も同じ。 @耐(て)えん立(た)たらん。/力の入れどころがない。張り合い

がない。 @彼(あ)ぬ如(ぐと)る童(わらび)とお耐(て)えん立(た)たらん。

/あんな子供とでは張り合いがなく本気になれない。 @耐(て)えん立(た)たん。

/煮えきらない。はっきりしない。 @耐(て)えん立(た)たん返事(ふぃじ)為

(しゅ)たん。/煮えきらない返事をしていた。

焚(て)え⓪: (名) たいまつ。竹・かや・きびがらの類をたばねて火をともし、照

  明用としたもの。松のそれには、灯(とぅぶ)し、という。

胎(てえ)⓪: (名) 胎。胎児。 @胎(てえ)受(う)きゆん。/胎を受ける。懐

胎する。懐胎(くぇえてえ)為(しゅ)ん、と同じ。

‐てえ(助) と言い。繰り返して用いることが多い。 @行(い)ちゅんてえ行(い)

かんてえ為(っし)争合(おおえ)え手合(てぃいえ)え為(しゅ)なよお。/行く

だの行かないのだの言ってけんかするなよ。 @有(や)んてえ、有(あ)らんてえ。

/そうであると言い、そうでないと言い。甲論乙論。

題(でえ)⓪: (名) 題。詩歌文章などの題目。

台(でえ)⓪: (名) 台。物を載せて置く台。

代(でえ)@:  @(名) 代。世代。 @代(でえ)経(ふぃ)ゆん。/代を経る。 

➁(接尾) @一代(いちでえ)、二代(にでえ)、など。

代(でえ)@: (名) 代。代価。 

第一(でえいち)@: (名) 第一。何よりも大切なこと。最初にすべき事。

大雨(でえう)⓪: (名) 大雨。

大頤(てえうとぅげえ)@: (名) 二重あご(太った人などの)。てえ、は、ふたえの

意か。

代価(でえか)@: (名) 代価。代金。

大寒(でえかん)⓪: (名) 大寒。二十四節の一つ。

太鼓(てえく)⓪: (名) 太鼓。

大工(でえく)⓪: (名) 大工の棟梁。普通の大工には、細工(せえく)、という。首

里には、大工(でえく)、は指折り数えるほどしかおらず、地方の大工は皆、細工(せ

えく)、といった。

暖竹(でえく)⓪: (名) 植物名。だんちく(暖竹)。よしたけ。海岸などに生える。

いけがきなどにする。

大官(てえくぁん)@: (名) 大官。高位高官の人。

暖竹垣(でえくがち)⓪: (名) だんちくの垣根。

大国(てえくく)⓪: (名) [大国]中国を大国として尊敬していう語。

大根根(でえくに)⓪: (名) 大根。大根(うふに)、ともいう。 ※大根(おおね)

は、日本書紀にも見える古い共通語である。「意富泥」と記述されていることから、「お

ふに」と発音されていたのかもしれない。沖縄語の「でえくに」は、大根(だいこ)

に根(ね)の付いたものと解釈する。

大根根頑(でえくにがん)さあ⓪: (名) 大根の根と葉との間の堅くて食べられない

部分。転じて、がんこ者。単に、頑(がん)さあ、ともいう。

大根根擂(でえくにすぃ)りい⓪: (名) 大根おろし。大根をすりおろしたもの。

大概(てえげえ)⓪: (名) @大概。大てい。おおよそ。 @大概(てえげえ)知而

居(しっちょお)ん。/大概知っている。 ➁大概の程度。相当。 @大概(てえげ

え)どぅ有(や)る。/大したことはない。 @大概(てえげえ)や有(あ)ん。/

相当なものだ。まずまずだ。

大概算明(てえげえざんみん)⓪: (名) 概算。目の子勘定。

垂(て)え下(さ)が⁼ゆん@: @: (他 ⁼らん、⁼てぃ) (けんか・議論などで相

手に)食い下がる。

大事(でえじ)⓪: (名) 大変。大ごと。 @大事(でえじ)な。/大変な。 @大

  事(でえじ)成(な)ゆんどお。/大ごとになるぞ。

大切(てえしち)⓪: (名) 大切。大事。 @大切(てえしち)に持(む)っち歩(あ)

っき。/大切に持って歩け。 @身持(みむ)ち大切(てえしち)に為(っし)よお。

/体を大切にしろよ。お大事に。 @大切(てえしち)な。/大切な。

台所(でえじゅ)⓪: (名) 台所。下(しむ)、ともいう。 ※共通語は、重箱読みで

  あるが、沖縄語は、音音読みのようである。

大食(てえしゅく)⓪: (名) 大食。健啖。

絶(てえ)⁼しゅん⓪: (他 ⁼さん、⁼ち) @費やす。消費する。使って減らす。 @

  銭(じん)絶(てえ)しゅん。/金を費やす。 ➁絶やす。

大将(てえしょお)⓪: (名) 大将。かしら。一群の長。

滞在(てえぜえ)⓪: (名) 滞在。逗留。旅をして、ひと所に長くとどまること。

大層(てえそお)@: (名) 難儀。困難。 @年(とぅし)経(とぅ)てぃ、歩(あ)

  っちゅすぃん大層(てえそお)。/年をとって、歩くのも難儀。

大高(てえだか)@: (名) 多量。たくさん。多額。 @大高(てえだか)儲(もお)

きたん。/たくさんもうけた。

代高(でえだか)あ⓪: (名) 高価な物。代金の高い物。代高物(でえだかむん)、と

もいう。

代高物(でえだかむん)@: (名) 代価の高い物。

耐(て)え力(ちから)⓪: (名) 堪える力。また、大力。耐(て)え力(ぢから)、

ともいう。耐(て)え、の項参照。

大力(てえぢから)⓪: (名) 大力。

耐(て)え力(ぢから)⓪: (名)耐(て)え力(ちから)、と同じ。 

大禁令(でえちれえ)@: (名) 大禁物。大変忌むべきこと。祝賀の席で不幸の話を

  することなど。禁令(ちれえ)、は、してはならないこと。

焚(て)え付(つぃ)⁼ちゅん@: (自 ⁼かん、⁼ち) 燃え付く。つけた火がよく燃え

はじめる。

大抵(てえてぃい)⓪: (名) 大てい。大概。一とおり。あらかた。 @大抵(てえ

てぃい)ぬ事(くと)お分(わ)かゆん。/大ていのことはわかる。 @大抵(てえ

てぃい)良(ゆ)たしゃん。/あらかたいい。

橙(でえでえ)⓪: (名) 橙。犬九年母(いんくにぶう)、ともいう。

代々(でえでえ)@: (名) 代々。 @代々(でえでえ)優(すぐ)り者(むん)ぬ

出(ぃん)じ而居(とお)ん。/代々すぐれた者が出ている。

橙九年母(でえでえくにぶ)⓪: (名) 橙。橙(でえでえ)、と同じ。

てえてえ物言(むに)い⓪: (名) てえてえ物言(むぬい)い、と同じ。

てえてえ物言(むぬい)い⓪: (名) 舌がもつれるような、ものの言い方。

胎毒(てえどぅく)⓪: (名) 胎毒。胎児の時に胎中で受けた毒。

大抵遠目(てえとぅとぅうみ)@: (副) せいぜい。たかだか。 @大抵遠目(てえ

とぅとぅうみ)御門番(うじょおばあん)有(や)さ。/せいぜい御門番にしかなれ

ないよ。

代値(でえに)⓪: (名) 代価。値段。 @代値(でえね)え如何(ちゃあ)が。/

値段はいくらか。 @花(はな)ぬ香(こお)から掛(か)きてぃ売(う)み候(し

ょおれ)え、代値(でえね)え言(い)らんさ。[花の香から かけて売みしようれ だ

いねや言らんさ(茶売節]花の香(茶の名)をはかりにかけて売って下さい。値段は

かまいません。言(い)らん[言わぬ]は那覇語。

大張(てえは)い風張(かじは)い⓪: (副) 声を限りに。あらん限りの声で叫ぶさ

ま。島手(しまてぃい)疾手(ひゃあてぃい)、ともいう。 @大張(てえは)い風張

(かじは)い叫(あび)ゆん。/声を限りに叫ぶ。

絶(て)え果(は)てぃ⁼ゆん⓪: (自 ⁼らん、⁼てぃ) [新] 絶え果てる。

焚(て)え火(びい)⓪: (名) 焚(て)え[たいまつ]の火。

大病(てえびょお)@: (名) 大病。重病。

而侍(でえび)る@: (連詞・不規則) です。でございます。他の活用形はあまり用

いない。 @良(ぃい)い天気(てぃんち)而侍(でえび)る。/よい天気でござい

ます。

大破(てえふぁ)⓪: (名) 冗談。おどけ。こっけい。

大破(てえふぁ)あ⓪: (名) おどけ者。

太白(てえふぁく)⓪: (名) 太白。白砂糖。

代経(でえふぃ)り猫(まやあ)@: (名) 代を経た猫。年数を経た化け猫のような

猫。<でえふぃゆん(代を経る)。

代経(でえふぃ)り者(むん)@: (名) 代を経た者。

台風(てえふう)@: (名) 台風。大風。おとなの使う語。大風(ううかじ)、ともい

  う。

大木(てえぶく)⓪: 大木。大樹。大木(うふぎい)、ともいう。

焚(て)え振(ふ)やあ⓪: (名) 焚(て)え[たいまつ]を振る者。綱引きの時に

  は、火をつけた、焚(て)え、を大勢がふりかざし、暗夜も白昼のように明るくなる。

大分(てえぶん)@: 大分。たくさん。 

‐てえまん: (助) ても。とて。〜したところで。 @言(い)ちゃんてえまん聞(ち)

かん。/言ったって聞かない。

大名(でえみょお)⓪: (名) [大名]@貴族。侍(さむれえ)[士族]、百姓(ひゃ

くしょお)[平民]に対する。昔地方で一城の主であった按司(あじ)たちが、中央集

権によって首里に集められ、うどぅん[御殿]、とぅんち[殿地]の主となって、大名

(でえみょお)、と呼ばれるようになった。 ➁竹の一種。寒山竹。

大役(てえやく)⓪: (名) 大役。重い役目。

代安(でえやすぃ)い⓪: (名) 代価の安い物。安物。

絶(て)え⁼ゆん⓪: (自 ⁼らん、⁼てぃ) @費える。欠乏する。とぼしくなる。消費

されて減っていく。 ➁絶える。なくなる。滅びる。 @後(あとぅ)絶(て)えゆ

ん。/子孫が絶える。

平良(てえら)⓪@: (名) 平良。 ※「たいら」、国頭郡東村、那覇市首里、および、

南城市大里の地名。

田井等(てえら)@: (名) 田井等。 ※「たいら」、名護市の地名。

代理(でえり)⓪: (名) 代理。他人に代わって事を行う者。名代。

逗留(てえるう)@: (名) 逗留。滞在。

食(てえ)わ@: (他) おあがり。お食べ。老女が目下に「食べよ」という意をやや

丁寧にいう語。命令形のこの語のみを用いる。普通の人は、喰(か)めえ[食べろ]

という。

体分(てえわ)か⁼しゅん@: (自 ⁼さん、⁼ち) (否定形はあまり用いない)聞き分

けがない。もて余す。子供などが、わがまま・乱暴をして困らせる。人の体を分かつ

意。 @体分(てえわ)か而居(ちょお)る童(わらび)。/もて余すような子供。

大入(てえん)@ (名) 織機の筬(おさ)の種類の名。経糸960本を通すもの。ま

た、それで織った布。解(ふどぅ)ち、の項参照。

‐てえん: (助) ても。とて。〜したところで。‐てえまん、と同じ。 @言(い)

ちゃんてえん、如何(ちゃあ)為(しゅ)が。/言ったところでどうなるか。

‐てえん: (接尾) だけ。きり。 @一人(ちゅい)てえん居(うぅ)る子(っくぁ)。

/ひとりきりでいる子。ひとりきりの子。 など。

大変(でえん)な⓪: (連体) 大変な。大した。 @大変(でえん)な考(かんげ)

え。/大変な考え。 @大変(でえん)な事(くとぅ)有(や)っさあ。/大したこ

とだよ。

炬港(てえんなとぅ)⓪: (名) 炬港。 ※「てーみなと」、国頭郡今帰仁村仲宗根の

大井川河口にあった港。おもろさうし・1027に、こみなと、とあり、炬港のこと

だといわれている。「こ」は、「て」の誤写と思われる。「炬」は、見出し語の「焚(て)

え」と同じ意味であり、「たいまつ」のことである。

‐でむぬ: (助)[文] 〜であるから。〜なので。出(でぃ)よおり、の項の例文参照。

‐でんすぃ: (助)[文] さえ。すら。だに。 @面影(うむかぢ)ぬでんすぃ立(た)

たな置(う)ち呉(くぃ)りば、忘(わすぃ)りゆる暇(ふぃま)ん有(あ)ゆらや

すぃが。[面影のだいんす 立たな置き呉れば 忘れゆる暇も あゆらやすが]面影さ

え浮かばないでくれたら、忘れる暇もあろうのに。 @阿檀垣(あだにがち)でんす

ぃ袖(すでぃ)掛(か)きてぃ引(ふぃ)ちゅい、誠(だんじゅ)元触合(むとぅび

れ)や手(てぃ)取(とぅ)てぃ引(ふぃ)ちゅさ。[あだに垣だいんす 袖かけて引

ちゆい だんじゆ元びらいや 手取て引ちゆさ]縁のないあだにの垣さえ袖をひっか

けて引く。それでいかにも昔なじみの人は手を取って引くのだ。 ※この語は、共通

語の、「だに」と「すら」が一緒になって縮まったものと推測される。

てんてん@: (副) 三味線の音のさま。

てんとぅう⓪: (名) 三味線の小児語。

出臍(てんぶす)@: (名) でべそ。 @出臍(ぅうぇんぶす)、と同じ。