表紙 前文

 

 ?あ ?い 'い ?う 'う ?え 'え ?お 'お                             ?め   ?や  ?ゆ  ?よ       ?わ  ?ゐ  ?ゑ  ?ん  

 

 自分が正しいこと・間違ってはいないことを自分自身で証明することは非常に難しい。その証明の一つの手段として、相手が正しくないこと・間違っていることを証明しようとするのである。実はこの論法はあきらかにおかしい。相手が正しくなく・間違っているからといって、自分が正しく・間違ってはいないということにはならないからである。もう一つの手段は、相手が正しくなく・間違っているのだから、自分も多少は正しくなく・間違っていてもしょうがないと誤魔化してしまうことである。実はこの手段が圧倒的多数である。私は発達障害である。欠点があまりにも多すぎる。しかし発達障害者でよかったとほんとうに心からそう思っている。もし私が健常者でこれだけの欠点をもっていたなら、とっくに自殺していたかもしれないからである。自分の欠点は発達障害者だからだと納得しているのは自分自身だけで、まわりはどうもそうではないようだ。私の欠点を真似して見せる人が多すぎる。欠点を真似るのはおもしろいし楽しいのである。(あるいは、次のAへと私を押し出したいのかもしれない。)直せるような欠点はおおよそ直っていると思うし、直せないような欠点だけが残っていると私は思っている。さて本題である。次の3点で自分たちを正当化しようとする人たちがいる。連合軍である。(連合軍が誰のことかは本人たちがいちばん良く知っている。)@私は性的な変質者である。セクハラをするような人間である。女性のトイレをのぞいたり、女性の寝室をのぞいたりする人間である。あるいは女性そのものを求めている人間である。(役所のケースワーカーが若い女性に代わった。理由を聞くと「時と場合による」という返事。ついでに結婚しているかどうか聞いてみた。反応が予想通りであった。)A私は自分のウェブサイトをアピールし、自分の才能をひけらかし、人からちやほやされたい人間である。B私は、人とコミュニケーションをする努力をせず、社会に甘え、働くのがいやですぐに仕事をやめてしまう駄目な人間である。この3点のうちすくなくとも1つを証明して、自分たちを正当化したいのである。つまり、自分たちが、正しくなく・間違っていてもしょうがないということが言いたいのである。駐車場の向こうから階段をおりて私に近づいてくる女性がいた。私は彼女の前で自転車をおりてしばらく立っていた。職場の反応を試すためである。次の出勤日は皆が静かではあるが内心嬉々としていた。@またはA(あるいは両方)を証明できると思ったのである。何名かがやっぱり我々が思った通りだというパフォーマンスをした。どうして証明前にそういうパフォーマンスをするのだろうか。(そうとうな自信のようだが、私は何度もその自信をくつがえした。)自分たちが必死で証明しようとしていることを自ら露呈しているのである。私に対してただ単に普通のコミュニケーションを望んでいるわけではないのである。私は、現在、あいさつもせず、目線も合わせず、顔もそむけ、全くコミュニケーションも交わしていない。この事実をもって、@とAをクリヤーできるからである。あとは、Bのみである。連合軍は、コミュニケーションを口実にして私がやめるのを期待しているのである。これまで何度も経験ずみであるが、ちょっとコミュニケーションのそぶりを見せただけで、すぐさま、@またはA(あるいは両方)へと持って行かれようとした。現状は、戦意を喪失しているものもすでに何名かいる。自分のやっていることのおかしさに気づき始めている人もいる。私は集団パフォーマンス(いじめ・いやがらせ)をやめるように何度も忠告した。しかし、それがパフォーマンスではなく偶然であると言いたげに同じことを何度も繰り返す。パフォーマンスであることがよけいに見え見え、ばればれである。私がみんなのパフォーマンスに気がついていないと思っているのであろうか。もし気が付いていないとすれば、パフォーマンスをしている人たちは一体何をしていることになるのだろう。気がつかなければ全く意味がないのである。意味のないことに壮大な時間と労力を費やしたことになるのである。頭の中の構造はいったいどうなっているのであろうか。発達障害者の私には理解不能である。健常者には理解できているのであろうか。果たして、連合軍はいつまでこの戦いを続けるのであろうか。連合軍の中で最も許せないのは、あるプロテスタント施設の運営者である。(宗教家でなければ頭の悪いかわいそうなおじさんおばさんですまされるのである。もちろん私は頭の悪い発達障害者である。)今この戦いをやめると今までの集団パフォーマンスを認めることになる。やめなければ、ばかなパフォーマンスを続けなければならない。パフォーマンスを続けることが一体どういうことなのかに全く気づいていない。第三者から現状をみるとこれはあきらかに、いじめであり、いやがらせであるということだ。(かりに、第三者がみんなと私を見たらどう判断するだろうか。皆に背を向けているという事実事体が問題なのではないか。これがはたして普通の職場なのか。)これを哲学用語では、dilemma(ジレンマ)という。私は職をやめることが出来ないのである。健常者は集団パフォーマンスが万能であるという幻想の中に生きている。私の目標はその幻想を打ち破ることなのである。続きは次回。

 

 

 

   や

 

八(や)‐: (接頭) 八。 @八羽(やふぁに)、八回(やけえん)など。

‐や: (助) は。いい、ええ、ああ、おお、うう、などに終わる語に付く時は、‐や、

のままである。 @吾達(わったあ)や[わたしたちは]、今日(ちゅう)や[きょう

は]など。しかし、短い、い、あ、う、に終わる語に付く時は、それらの母音を融合

し、ええ、ああ、おお、となる。 @此(く)れ→此(く)れえ[これは]、此処(く

ま)→此処(くま)あ[ここは]、色(いる)→色(いろ)お[色は]など。また、ん、

に終わる語に付く時は、ん、を、ぬ、に変えて、のお、となる。 @銭(じん)→銭

(じの)お[銭は]、知(し)らん[知らない、知らないで]→知(し)らのお[知ら

ないでは]など。ただし、吾(わん)[わたし]に付く時は、吾(わん)ねえ[わたし

は]となる。主格を表す、‐が(が)、‐ぬ(が)、に付くこともできる。 @吾(わ

あ)があ行(い)ちゅん。/わたしなら行く。 @彼処(あま)のおぃ召候(めえせ

え)さ。/あのかたならいらっしゃるよ。 また、有(や)ん[である]、形容詞[た

とえば、若(わか)さん=若い]、「〜している」[たとえば、ゆどおん=読んでいる]、

「〜してある」[たとえば、ゆでえん=読んである]などの否定の形にはふつう、‐や、

の付いた形を用いる。 @書物(しゅむちぇ)え有(あ)らん。/本ではない。 @

若(わか)こお無(ねえ)ん。/若く(は)ない。 @読(ゆ)でえ居(うぅ)らん。

/読んで(は)いない。 @読(ゆ)でえ無(ねえ)ん。/読んで(は)ない。 @

今日(ちゅう)や良(い)い天気(てぃんち)でえ侍(び)る。/きょうはいい天気

でございます。 @墨(すぃめ)え知(し)ら(のお)為居(しょお)てぃ。/学問

は知らないで(は)いて。 @有(あ)ええ為(さ)に。/ありはしないか。 ※韓

国語の係助詞「ぬん」[日本語の(は)にあたる]は、前の語が子音(パッチム)の場

合、「うん」となる。これは前の語と融合すると言ってよいが、琉球語のように母音が

これほど融合するのは、ほとんどサンスクリットに近い現象のように思われる。

やあ@: (感) ねえ。なあ。もし。やあ。呼びかける時、同意を求める時発する語。 

@やあ、母親(ふぁふぁうや)ゆ[やあ母親よ (銘苅子)]もし、おかあさん。 ※

銘苅子(めかるし)は、玉城朝薫(たまぐすくちょうくん)作の組踊である。 @や

あ彼(あ)ん有(や)らやあ。/ねえ、そうだろうねえ。 @やあ本(ふん)ぬ。/

ねえ、ほんとに(同情した時などに、女が言う。)

八(やあ)@: (感) や(八)。やっつ。声を出して数える時にのみいう。

家(やあ)@: (名) @家。家屋。家庭。 @家(やあ)熱見来(ふみか)しゅん。

/(歌・三味線などで)家をにぎやかにして祝う。 @家(やあ)作(つく)ゆん。

/家を建てる。 @家(やあ)立(た)てぃゆん。/分家させる。一戸をかまえさせ

る。家(やあ)分(わ)かしゅん、ともいう。 @家(やあ)立(た)ちゅん。/分

家する。一戸立てとなる。家(やあ)分(わ)かゆん、ともいう。 @家(やあ)ね

え掛(か)からん。/家にいない。外出ばかりする。 ➁(接尾)軒。 @一家(ち

ゅやあ)[一軒]。二家(たやあ)[二軒]など。

やあ@: (助) ねえ。なあ。念を押したり、同意を求めたりする場合に用いる。 @

来(ちゅう)がやあ。/来るかねえ。 @行(い)ちゅがやあ。/行くかねえ。(疑問

の助詞‐が、は通常疑問詞のある文に用いられるが、この、やあ、が続く時は疑問詞

なしでも用いられる。) @行(い)かやあ。/行こうねえ。 @彼(あ)ん有(や)

らやあ。/そうだろうねえ。 @彼(あ)ん為(さ)なやあ。/そうしようねえ。 @

行(い)かなやあ。/行きたいねえ。 @見(んん)ちゃんどおやあ。/見たんだね

ん。

家意地(やあいじゃ)あ⓪: (名) うち弁慶。意地(いじゃ)あ、は勇気のある者。

家移(やあううつぃ)い⓪: (名) 引っ越し。転宅。士族以上の身分のある者の引っ

  越しは、殿地移(とぅんちううつぃ)い、という。

家飾(やあかざ)い⓪: (名) 家および家財道具。財産。

家数(やあかじ)⓪: (名) @家の数。戸数。 ➁家ごと(に)。戸ごと(に)。 @

家数(やあかじ)旗(はた)上(あ)ぎゆん。/家ごとに旗をあげる。

家数拾(やあかじふぃる)やあ⓪: (名) 移り気の奉公人。あちこち転々と渡り歩く

  奉公人。ふぃるやあ、は拾う者の意。

家借(やあか)やあ⓪: (名) 借家人。家を借りる者。

家(やあ)から着(ち)やあ⓪: (名) 不断着。家で着る着物。

家小(やあぐぁあ)⓪: (名) 小さい家。小屋。

家籠(やあぐま)い⓪: (名) 家にこもること。籠居。

家籠(やあぐま)やあ⓪: (名) 家にこもって出歩かない者。 ※現代で言えば、「引

きこもり」にあたるかもしれない。

痩(やあ)さ飢(おお)⓪: (名) すぐ腹の減る人。食ってもすぐひもじがる人。食

  いしんぼう。

痩(やあ)さ苦(くり)しゃ⓪: (名) 飢えの苦しさ。 @痩(やあ)さ苦(くり)

しゃ為(しゅ)ん。/空腹で苦しむ。

痩(やあ)さ死(じ)に⓪: (名) 餓死。飢え死に。餓死(がし)、は飢饉の意。

痩(やあ)さ直(のお)し⓪: (名) 虫おさえ。空腹を一時しのぐために少し食うこ

と。

痩(やあ)さ腹(わた)⓪: (名) 空腹。ひもじい腹。

痩(やあ)さん⓪: (形) ひもじい。空腹である。 @痩(やあ)さ/ひもじさ。飢

え。空腹。

椰子(やあし)⓪: (名) 椰子。

椰子小(やあしぐぁあ)⓪: (名) 椰子の実。実の外側のからは酒をいれる器として

珍重されている。

家好(やあじ)しい⓪: (名) なれない家で寝た場合に、眠れないこと。金武(ちん)、

では、家癖(やあぐし)、という。‐くし、は忌避する意。 @家好(やあじ)しい為

(っし)寝(に)んだらん。/なれない家なので眠れない。

家好(やあじ)しい為(しゃ)あ⓪: (名) なれない家では眠れないくせのある人。

家品(やあじな)⓪: (名) 家風。家の品格。

家門(やあじょお)⓪: (名) 棟門。瓦門。瓦屋根のある門。もとは貴族の家に限ら

  れていた。

家細工(やあぜえく)⓪: (名) 大工。家を作る大工。

家立(やあた)ちゃあ⓪: (名) 分家した者。分家。

屋宜(やあぢ)⓪: (名) 屋宜。 ※屋宜(やぎ)は、中頭郡中城村の地名。 *お

  もろさうし・60に、やき、とある。おもろ時代にも景勝の地だったらしい。 

焼処(やあちゅう)⓪: (名) 灸。やいと。 @焼処(やあちゅう)焼(や)ちゅん。

  /灸をすえる。

八(やあ)つぃ@: (名) 八。やっつ。また、8歳。時刻は午前午後の2時。

家付(やあづぃ)ちゅん⓪: (自 ⁼かん、⁼ち) 家の居つく。(犬猫などが)家に住み

  つく。

家造(やあつく)い⓪: (名) 家造(やあづく)い、と同じ。

家造(やあづく)い⓪: (名) 家を建てること。家の建築。家造(やあつく)い、と

  もいう。

家一(やあてぃい)つぃ⓪: (名) 一つ家。一つの家に暮らすこと。

家当(やあてぃ)⓪しゅん@: (句) 人に家にわが家のように出入りし、入りびたる。 

@家当(やあて)え為(さ)らん。/入りびたるわけにはいかない。

宿(やあどぅ)⓪: (名) 宿。宿屋。宿(やどぅ)、ともいう。

宿居(やあどぅい)⓪: (名) @都落ちした士族の部落。都に定職なく都落ちした士

族は、平民の村落と離れた所に居を定め、農業を営むようになった。その部落をいう。  

➁別荘。貴族の別荘には、御殿(うどぅん)、という。那覇では別荘を、畑家(はるや

あ)[畑の中の家の意]という。

家戸居(やあどぅう)⓪: (名) やもり。

家戸口(やあどぅぐち)⓪: (名) 戸口。 

家習(やあなれ)え⓪: (名) 家での教育。しつけ。 @家習(やあなれ)えどぅ外

習(ふかなれ)え。/家の中でのしつけが、よそに出た時の教育になる。

家人数(やあにんず)⓪: (名) @家の人数。家族数。 ➁家族。

家(やあ)ぬ上(ぅうぃい)⓪: (名) 屋根。 @家(やあ)ぬ上(ぅうぃい)んか

  い登(ぬぶ)ゆん。/屋根に登る。

家(やあ)ぬ内(うち)⓪: (名) 家の中。屋内。

家(やあ)ぬ主(ぬうし)⓪: (名)家主。貸家の主人。

家(やあ)ぬ番(ばあん)⓪: (名) るす番。

家普請(やあぶしん)⓪: (名) 家の普請。

家葺(やあぶ)ち⓪: (名) 屋根をふくこと。かやぶき屋根についていう。瓦ぶきに

は、瓦(かあら)上(ぬ)しゆん[瓦をのせる]という。

家便所(やあぶる)⓪: (名) 便所。屋根のある便所で、ここでは豚を飼わない。豚

  を飼う便所は、便所(ふる)。 

綾綾(やあやあ)⓪: (名) 着物の小児語。おべべ。

耶耶(やあやあ)@: (感) [文]やあやあ。組踊りで人に呼びかける語。

安安(やあやあ)とぅ⓪: (副) 静かに。安らかに。騒ぎが静まったさま。また、ほ

っと。安堵するさま。 @安安(やあやあ)とぅ成(な)ゆん。/(騒ぎが)静まる。

また、ほっと安心する。

家屋敷(やあやしち)⓪: (名) 家屋敷。家屋と敷地。

糸縒車(やあま)⓪: (名) @糸車。糸縒り車。織機に付属する器具。右に車、左に

  紡錘があって、糸をより合わせる器具。 ➁転じて、機械。上(ぅうぇ)ん人(ちゅ)

器具(やあま)[ねずみとり機]など。 ※ねずみとり機は今も売っているのであろう

か。単に私が見かけていないだけか?

家惑(やあまでぃ)い⓪: (名) 宿無し。住居を失うこと。‐までぃい、は失って迷

うこと。 @家惑(やあまでぃ)い為居(しょお)ん。/宿無しになっている

糸縒車(やあま)ぬ爪(つぃみ)⓪: (名) 糸縒り車(やあま)の管をさしこむ鉄錐。

家持(やあむ)ち⓪: (名) 所帯持ち。所帯の持ち方。 @家持(やあむ)ちぬ良(ゆ)

たしゃん。/所帯持ちがよい。

家持(やあむ)ち尽(づく)⓪: (名) 所帯のきりもり。所帯を維持して行く手段。

  家政。

家持(やあむ)ち道具(どおぐ)⓪: (名) 所帯道具。

家持(やあむ)ちゃあ⓪: (名) 所帯持ちの上手な者。

家分(やあわ)かやあ⓪: (名) 分家した者。分家。家立(やあた)ちゃあ、ともい

  う。

来年(やあん)⓪: (名) 来年。 *混効験集:乾巻・時候に、やあに、とあり、坤

  巻・言語に、やねの年、とある。おもろさうし・521に、やねの年、とある。

家(やあ)ん名(なあ)⓪: (名) 家号。苗字。姓。屋号(やごお)、ともいう。家号

と別に苗字がある時には、その苗字には、苗字(みょおじ)、苗字(のおじ)、という。

やい@: (感) やい。おい。乱暴に呼びかける語。 @やい彼(あ)んどぅ為(しゅ)

るい。/やい、そんなことしていいか。 @やい目当(みいあ)てぃたん。/やい、

見っけた。

槍(やい)@: (名) 槍。

破(や)い捨(すぃ)てぃ⁼ゆん@: (他 ⁼らん、⁼てぃ) 破り捨てる。

焼刃(やいば)@: (名) [文]やいば。刀剣。口語では、太刀(たち)、という。

破(や)い放(ほお)⁼ゆん⓪: (他 ⁼らん、⁼てぃ) 破り散らす。(紙・着物などを)

  ずたずたに破る。

屋嘉(やか)⓪: (名) 屋嘉。 ※屋嘉(やか)は、国頭郡金武町の地名である。 *

  おもろさうし・1024に、やか、とある。

‐選(や)か: (助) 老人は、老(ゆ)か、という。 @より。比較の時に使う。 @

彼(あ)り選(や)か此(くれ)え好(ま)し。/あれよりこれはよい。 @刀自(と

ぅじ)選(や)か愛(かな)しゃん。/妻よりかわいい。 ➁より。より外に。以外

にの意の場合に用いる。 @吾(わん)選(や)か外(ふか)ねえ誰(たあ)がん知

(し)らん。/わたしより外には誰も知らない。 @大和(やまとぅ)生(ぅん)ま

りてぃ乞食坊主(くんちゃあぼおじゃ)あ成(な)ら選(や)か沖縄(うちなあ)生 

(ぅん)まりてぃ枯(か)り婆前(はあめえ)。/日本に生まれてざんぎり頭になるよ

りは 沖縄に生まれてくたばりばばあになった方がまだよい。廃藩のころ日本本土の

断髪をののしって言ったことば。

屋我(やが)⓪: (名) 屋我。 ※屋我(やが)は、名護市の地名。

役(やか)あ⓪: (名) 守り役。上流家庭の男の子の守り役。非常に身分の高い家柄

の男の子には、大役(うふやか)あ[輔導役]と役(やか)あ小(ぐぁあ)[遊び相手]

の二人の守り役がつけられた。

役(やか)あ小(ぐぁあ)⓪: (名) 非常に身分の高い家の男の子の遊び相手にやと

  われる守り役。お相手役。

軈(やが)てぃ@: (副) @やがて。間もなく。 @然(さ)らば立(た)ち別(わ

か)ら余所目(ゆすみ)無(ね)ん内(うち)に、軈(やが)てぃ明月(あかつぃち)

ぬ鶏(とぅい)ん鳴(な)ちゅら。[さらば立ち別ら 与所目ないぬうちに やがて暁

の 鶏も鳴きゆら]では別れよう、人目のないうちに。やがて暁の鳥も鳴くだろう。 

➁もう少しで。あやうく。 @軈(やが)てぃ死(し)ぬたん。/もう少しで死ぬと

ころだった。 @軈(やが)てぃ御兄前(やちめえ)に刺(さ)さりんどお。/も少

しで、坊っちゃんにもちで刺されるぞ。(童謡)

屋嘉比(やかび)⓪: (名) 屋嘉比。 ※屋嘉比(やかび)は、国頭郡大宜味村にか

つて存在した地名である。現在は、田嘉里である。 *おもろさうし・921に、や

かひ、とある。

屋嘉部(やかぶ)⓪: (名) 屋嘉部。 ※屋嘉部(やかぶ)は、南城市玉城の地名。 

  *おもろさうし・1244に、やかふ、とある。

夜穴(やがま)あ⓪: (名) いなかで娘たちが夜集まって仕事をする場所。娘宿。一

種の女子集会所。 @夜並(ゆな)び夜穴(やがま)あや当巡(とぅんみぐ)てぃ〜

誘誘(でぃかでぃか)美童(みやらび)遊(あすぃ)びかい。[夜なべやがまや とん

巡て〜 できやできやめやらべ遊びかい(越来節)]夜なべ仕事をする娘の集会所に立

ち寄って〜、さあさあ娘たち、遊びに行こう。 ※沖縄戦の防空壕「がま」と関係の

ある語と思われるがどうであろう?

喧(やがま)しゃん@: (形) やかましい。騒がしい。

屋我地(やがち)⓪: (名) 屋我地島。沖縄本島本部半島の東に接してある島。 ※

  現在の発音は、「やがじ」である。

輩(やから)@: (名) @やつ。やから。 @輩(やから)、言(ぃゆ)る事(くとぅ)

聞(ち)かに。/このやろう、言うことを聞かないか。 ➁輩者((やからむん)、と

同じ。

輩者((やからむん)@: (名) 力持ち。力のある人。また、しっかり者。働きのある

人。

輩(やかり)‐: (接頭) ずうずうしいやつ、太いやつの意。 @稲(ぃんに)ぬ穂

(ふ)ん有(あ)らん麦(むぢ)ぬ穂(ふ)ん有(あ)らん、輩(やかり)読(ゆ)

む鳥(どぅや)が掛(か)かい縋(すぃが)い。[稲の穂もあらぬ 麦の穂もあらぬ 

やかれよも鳥が かかりすがり]稲の穂でも麦の穂でもないのに、うるさい鳥め(男

たち)がつきまとう。

焼(や)きい⓪: (名) 八重山にある風土病の名。高熱が間歇的に出る。

屋慶名(やきな)⓪: (名) 屋慶名。 ※屋慶名(やけな)は、うるま市与那城の地

  名。 *おもろさうし・996に、やけな、とある。

焼(や)き⁼ゆん@: (自 ⁼らん、⁼てぃ) @焼ける。燃焼する。 ➁(食物が)焼け

る。 B(皮膚などが日に)焼ける。

厄(やく)⓪: (名) 厄。わざわい。災難。たとえば、小鳥が家に入ることは厄だと

して、その厄を祓い清めるために、浜下(はまう)り[その項参照]を行う。

役(やく)⓪: (名) @役。 @役(やく)【に】立(た)ちゅん。/役に立つ。 @

役(やく)ねえ立(た)たん。/役には立たない。 ➁役。公務。割り当てられた職

務。

和声(やぐぃい)@: (名) 労働の時のかけ声をいう。重い物を持ち上げる時に出す、

ひや、という声など。

屋久貝(やくげえ)⓪: (名) 屋久貝。夜久貝。夜光貝。螺鈿(らでん)にする。

和(やぐ)さ身(み)@: (名) やもめ。後家。未亡人。

役者(やくしゃ)⓪: (名) すもうの手の名。右手を相手の左肩の上から背に回して

帯をつかみ、相手をひねり倒すわざ。

約定(やくじょお)@: (名) 約定。契約。取引の約束。

約束(やくすく)@: (名) 約束。

役立(やくた)⁼ちゅん⓪: (名) (自 ⁼たん、⁼っち) 役立つ。役に立つ。役(や

  く)立(た)ちゅん、と同じ。

厄年(やくどぅし)⓪: (名) 厄年。その翌年は、はりやく(晴れ厄)、という。生ま

れた年の干支に当たる年は厄年とされる。

役守(やくみい)⓪: (名) @兄。兄さん。ただし、30〜40台の壮年者である兄、

またはその年配の者をそれより年の少ない者がいう。古くは役人の尊称で、大役守(う

ふやくむい)[大やくもえ、親雲上]であったが、後に年長者にいうようになったもの

か。 ➁壮年。中年。とぅしゅい(年寄り)、若者(わかむん)[青年]、に対していう。

役守達(やくみいたあ)⓪: (名) 壮年者たち。

和(やぐ)みさ@: (名) 恐れはばかること。恐縮。 @いや此辺(くふぃ)な按司

主(あじすい)ぬ御前(うめ)に寄(ゆ)すぃりやい、和(やぐ)みさん知(し)ら

ん物言(むぬ)い憎(にく)さ。[いや こへな按司そひの 御前によしれやり やぐ

めさも知らぬ 物言にくさあ(忠臣身替)]いや、このような尊い城主様の御前に出て

恐れはばかることも知らないものの言い方がにくい。 ※忠臣身替(ちゅうしんみが

わり)は、辺土名親雲上(へんとなぺえちん)作の組踊である。 @鳴(な)らす四

(ゆ)つぃ竹(だき)ぬ音(うとぅ)に混(ま)じりやい、御和(うやぐ)みさ有(あ)

てぃん御側(うすば)寄(ゆ)たる。[鳴らす四つ竹の 音にまぎれやり おやぐめさ

あても お側寄たる]鳴らすカスタネットの音にまぎれて、(踊りながら)恐れ多いけ

れども、おそばに寄って行った。 @和(やぐ)みさ為(しゅ)ん。/恐れはばかる。

恐縮する。 @和(やぐ)みさん無(ねえ)らん。/恐れはばからぬ。 *混効験集: 

坤巻・言語に、やくめさ、とある。おもろさうし・955に、やぐめさ、とある。 ※

現在はほとんど使われない言葉も大切に扱っているのが沖縄語辞典の素晴らしい点で

ある。

八小盛(やくむい)@: (名) 1銭6厘。銭(じん)、の項参照。

八小盛(やくむい)五十(ぐんじゅう)@: (名) 銭850文。1銭7厘に相当する。

銭(じん)、の項参照。

厄虫(やくむし)@: (名) 虫の名。芋虫のように大きく、黒い。

屋久前田(やくめえだ)⓪: (名) 屋久前田。 ※屋久前田(やくまえだ)は、国頭

  郡大宜味村にかつて存在した地名。

和和(やぐやぐ)うとぅ@: (副) おとなしく。 @為(しゅ)る事(くと)お為(っ 

し)、和和(やぐやぐ)うとぅ為居(しょお)ん。/やることはやって、のんびりして

いる。 @彼(あ)ぬ童(われべ)え彼処(あま)やあ手(てぃい)やあ為居(しょ

お)たすぃが和和(やぐやぐ)うとぅ寝(に)ん而居(とお)ん。/あの子ははしゃ

ぎ回っていたが、おとなしく寝ている。 @争合(おおえ)え手合(てぃいえ)え為

居(しょお)たすぃが、和和(やぐやぐ)うとぅ寝(に)ん而居(とお)ん。/暴れ

回っていたのが、おとなしく寝ている。

八回(やけえん)@: (名) 八回。

家号(やごお)⓪: (名) 家号。姓のほかにある、家による呼び名。家(やあ)ん名

(なあ)、ともいう。

痩(や)し軽(がる)う@: (名) やせっぽち。やせすぎ。体がやせて細い者。

夜食膳(やしくじん)⓪: (名) 夜食膳(やしゅくじん)、と同じ。

屋敷(やしち)⓪: (名) 屋敷。家の敷地。

屋敷適(やしちがね)え⓪: (名) 屋敷の地代。また、屋敷にかかる租税。

屋敷(やしち)ぬ御願(うぐぁん)⓪: (名) 家屋敷についての祈願(うぐぁん)。家

族や家屋敷の無事息災を祈願する祭りで、旧暦2月、8月に吉日を選んで行った。屋

敷の四隅と便所(ふどぅう)ぬ御神(うかみ)[便所の神]には酒と御花米(んぱなぐ

み)、を供えて祭り、中心(なかじん)[家の中心]と門には重箱を供えて祭る。重箱

には一つにはにぎりめし、他の一つには肉類や揚げ物などをつめる。祈願(うぐぁん)  

には、その家の女主人が当たる。祈願の文句は、御願(うぐぁん)、の項参照。

養(やし)な⁼ゆん@: (他 ⁼あん、⁼らん、⁼てぃ) 養う。 *おもろさうし・72

  3に、やしなて、とある。

養(やし)ねえ親(うや)@: (名) 養い親。子供の体が弱い時、親を変えると強健

になるというので、養い親を別に定め、従来の名を変え、養い親に名をもらってつけ

る。上流では寺院の僧侶に頼み、一般では親類中の強健な人、福徳円満な人に頼む。

普通の養父母、育て親の意とは異なる。

養(やし)ねえん子(ぐぁ)@: (名) 養い子。養(やし)ねえ親(うや)、に対する

語。その項参照。かりに自分の子として、名を与えた子。

夜食膳(やしゅくじん)⓪: (名) 足の短い膳。平常は用いず、祝祭の時、客に出す

  のに使う。夜食膳(やしくじん)、ともいう。夜食膳の意か。

野心(やしん)⓪: (名) 野心。 @野心(やしん)持而居(むっちょお)ん。/野

心がある。 @野心(やしん)な者(むん)。/野心家。陰謀家。

野心事(やしんぐとぅ)⓪: (名) 謀叛。野心のあるたくらみ。 @谷茶(たんちゃ)

暴(あま)やあが野心事(やしんぐとぅ)企(たく)でぃ。[谷茶あまやが 野心ごと

たくで(大川敵討)]らんぼうな谷茶の殿様が、謀叛をたくらんで。 ※大川敵討(お

おかわてきうち)は、久手堅親雲上(くでけんぺえちん)作の組踊である。

鑢(やすぃい)@: (名) やすり。

安売(やすぃう)い⓪: (名) 安売り。

有(や)すぃが@: (接続)だが。しかしながら。けれども。

安(や)すぃ買(ごお)い⓪: (名) 安く買うこと。

安(やすぃ)ってえん@: (副) やすやすと。容易に。たやすく。 @安々(やすぃ

やすぃ)とぅ、胴安(どぅうやすぃ)ってえん、ともいう。 @波(なみ)ぬ荒(あ

ら)さてぃん安(やすぃ)ってえん泳(ぅうぃい)じゅん。/波が荒くてもやすやす

と泳ぐ。

休(やすぃ)⁼ぬん⓪: (他 ⁼まん、⁼でぃ) (勤めなどを)休む。休息の意では多く

は、緩(ゆく)ゆん、という。 @今日(ちゅう)や休(やすぃ)ぬみ。/きょうは

休むのか。

安(やすぃ)⁼ぬん⓪: (自 ⁼まん、⁼でぃ) (物の代価が)安くなる。

休(やすぃ)ま⁼ゆん@: (自 ⁼らん、⁼てぃ) @休まる。休息できる。 ➁我慢でき

る。 @休(やすぃ)まらん。/我慢できない。立腹してこらえることができない。

休(やすぃ)み⓪: (名) @[新?]休み。休暇。休業。 ➁[古]食事。休式(ち

ゅうしち)、ともいう。 @休(やすぃ)み押上(うしゃ)ぎゆん。/食事をさしあげ

る。

休(やすぃ)み⁼ゆん⓪: (他 ⁼らん、⁼てぃ) 休める。 @胴(どぅう)休(やすぃ)

みゆん。/体を休める。

安(やすぃ)み⁼ゆん⓪: (他 ⁼らん、⁼てぃ) 安くする。(代価を)低くする。また、

(代価を)まける。

安物(やすぃむん)⓪: (名) 安物。安価な物。

安々(やすぃやすぃ)とぅ@: (名) (副) やすやすと。容易に。安(やすぃ)っ

てえん、胴安(どぅうやすぃ)ってえん、ともいう。

痩(や)すぃ⁼ゆん@: (自 ⁼らん、⁼てぃ) やせる。弱枯(よおが)りゆん、ともい

  う。

夜白(やすぃら)み@: (名) 布の織りかたの名。たてよこのしまが交互に出る織り。

安(やす)んじ⓪: (名) あきらめ。安んずること。ある程度で満足すること。 @

安(やす)んじぬ良(ゆ)たさん。/あきらめがよい。

安(やす)んじ⁼ゆん⓪: (自 ⁼らん、⁼てぃ) あきらめる。安んずる。ある程度で満

足する。 @其(う)ぬ勤(つぃとぅ)みなかい安(やす)んじゆん。/その職で満

足する。 @安(やす)んじ良(ゆう)さん。/あきらめきれない。 ※共通語の「安

んじる」とほぼ同じ意味である。「安んじる」が共通語であるという認識がない沖縄人

がけっこういるかもしれない。

野菜(やせえ)⓪: (名) 野菜。

野菜(やせえ)売(う)やあ⓪: (名) 野菜売り。やおや。

矢立(やたてぃ)@: (名) 矢立て。旅行用の筆硯。

焼(や)ち印(いん)@: (名) 焼き印。

焼(や)ち牛(うし)@: (名) 色の黒い人。皮膚が真黒にやけた人。くろんぼ。 @

  焼(や)ち牛(うし)ぬ如(ぐと)おん。/くろんぼのようだ。

焼(や)ち切(ぢ)り⓪: (名) 焼けた木切れ。燃えさし。

焼(や)ち豆腐(どおふ)⓪: (名) 焼き豆腐。路傍で焼き、道行く人に売っていた。

  燗豆腐(かんとおふ)、ともいう。

焼(や)ち鍼(ばあい)@: (名) 焼き鍼。やいばり。外科の発達しない時代の医術

の名。

焼(や)ち物(むん)⓪: (名) 焼き物。磁器・陶器・素焼きの類一切をいう。

御兄前(やちめえ)⓪: (名) @ぼっちゃん。士族以上の男の子をいう。 ➁貴族の

男の子を、その下の子や使用人がいう語。おぼっちゃま。御兄前(やっちいめえ)、と

もいう。

焼(や)⁼ちゅん⓪: (他 ⁼かん、⁼ち) 焼く。

家賃(やちん)⓪: (名) 家賃。

奴(やつぃ)⓪: (名) たちの悪いこと。性悪。また、たちの悪いことをたくらむこ

と。 @奴(やつぃ)為(しゅ)ん。/悪だくみをする。また、(たちの悪い腫れもの・

病気などが)こじれる。 @奴(やつぃ)な人間(にんぢん)。/たちの悪い人間。

八(や)つぃ@: (名) やっつ(時刻)。午前午後の2時。

八(や)つぃ孫(ぅんまが)@: (名) 子孫といったような意。 @八(や)つぃ孫

(ぅんまが)引(ふぃ)ち孫(ぅんまが)又孫(またぅんまが)ぬ達(ちゃあ)。/大

勢の子孫たち。長者(ちょおじゃ)ぬ大主(うふしゅ)[長者の大主](その項参照)

のことば。

八(や)つぃ孫(まが)@: (名) 八(や)つぃ孫(ぅんまが)、と同じ。

窶(やつぃ)り⁼ゆん@: (自 ⁼らん、⁼てぃ) @やつれる。やせ衰える。憔悴する。 

➁おちぶれて身なりが悪くなる。おちぶれる。Bことさらに姿を悪くする。身をやつ

す。また、仮装する。変装する。 *混効験集:坤巻・言語に、やつれ、とあり、B

の意味である。 ※窶(やつ)る、は共通語の古語である。「宮、仮の御衣(おんぞ)

にいたうやつれて」(源氏物語・総角)

屋家(やっくぁ)@: (名) 魂上(たまが)い[人だま。その項参照]を見るために、

高い木の上に遠くを望めるように築いた望楼。旧暦8月10日から15日ごろまでの

間に、方々に現れる人だまや、怪しい音などの、いろいろな奇怪を見聞するために作

る。小は二、三人のすわれるものから、大は十数人も入れるものまで作られた。那覇

では、やんぐぁあ[屋小]という。

薬缶(やっくぁな)あ⓪: (名) 大ぎんたま。象皮病で睾丸がやかんのように大きい

者。 ※西郷隆盛は沖永良部でこの病気になったそうである。上野の西郷像が着物を

着ているのは、薬缶(やっくぁな)あ、を隠すために着物の着用が普通だったため。

西南戦争で自害した西郷の遺体には頭がなかったため、薬缶(やっくぁな)あ、が

本人確認の決め手となったらしい。

薬缶(やっくぁん)⓪: (名) @やかん。鉄瓶。湯をわかすのに用いるもの。 A睾

 丸。きんたま。形が似ているのでいう。

厄介(やっけえ)⓪: (名) 厄介。 @厄介(やっけえ)な。/厄介な。 @人(っ

ちゅ)ぬ厄介(やっけえ)成(な)ゆん。/人の厄介(世話)になる。

厄介者(やっけえむん)⓪: (名) 厄介者。 @厄介者(やっけえむん)扱(あつぃ

け)え為(さ)ったん。/厄介者扱いされた。

安(やっ)さん⓪: (形) (値段が)安い。

八人(やったい)@: (名) 八人。普通、八人(はちにん)、という。

兄上(やっちい)⓪: (名) 兄。にいさん。士族についていう。貴族は、兄上前(や

ちめえ)、平民は、兄(あふぃい)。兄が三人いれば、上から順に、大兄上(うふやっ

ちい)、兄上(やっちい)、兄上小(やっちいぐぁあ)、と呼び分ける。

兄上小(やっちいぐぁあ)⓪: (名) 一番下の兄。すぐ上の兄さん。士族についてい

う。

兄上前(やっちいめえ)⓪: (名) お坊っちゃま。貴族の男の子を、使用人などがい

う語。

薬局(やっちゅく)@: (名) [新] @薬を調合する人。薬剤師。 ➁病院の薬局。

曳(やっ)とぅ克(かっ)とぅ@: (副) やっと。ようやく。かろうじて。 @曳(や

  っ)とぅ克(かっ)とぅ戸閉(とぅじ)またん。/やっと(話が)まとまった。

頑張(やっぱ)⁼ゆん@: (自 ⁼らん、⁼てぃ) がんばる。ふんばる。

八斗(やとぅ)‐: (接頭) 特に大きい意を表す。大(おお)。巨大な。 @八斗餅(や

とぅむち)[大きな餅]、八斗豚(やとぅ,ぅわあ)[大豚]、八斗巨大(やとぅまぎ)い

[巨大なもの]など。

宿(やどぅ)⓪: (名) @宿。宿屋。宿(やあどぅ)ともいう。 @宿(やあどぅ)

為(しゅ)ん。/宿をする。人を泊める。また、人の家に泊まる。 ➁[文]家。 @

我(わ)が宿(やどぅ)。/わが宿。

八斗(やとぅ)う@: (名) 巨人。大男。八斗(やとぅむん)、ともいう。

八斗豚(やとぅ,ぅわあ)@: (名) 大豚。強大な豚。

八斗餓鬼(やとぅがち)大餓鬼(うふがち)@: (名) 大変な食いしんぼう。人のも

  のを奪って食うような食いしんぼう。

宿賃(やどぅちん)⓪: (名) 宿賃。宿泊料。

八斗巨大(やとぅまぎ)い@: (名) 巨大なもの。特に大きなもの。

八斗巨大(やとぅまぎ)さん@: (形) 巨大である。特に大きい。

八斗餅(やとぅむち)@: (名) 大きな餅。特に大型に作った餅。

八斗者(やとぅむん)@: (名) 巨人。大男。八斗(やとぅ)う、ともいう。

宿屋(やどぅや)⓪: (名) 宿屋。旅館。

雇(やとぅ)⁼ゆん⓪: (他 ⁼らん、⁼てぃ) 雇う。 @日雇(ふぃゆう)雇(やとぅ)

  ゆん。/日雇いを雇う。安(やす)んじ⁼ゆん

宿(やどぅ)⁼ゆん⓪: (自 ⁼らん、⁼てぃ) 泊まる。宿泊する。また、元来の住みか

  でないところにいる。宿る。

嫌(や)な‐: (接頭) 悪い意を表す。悪い・醜い・いやな・性悪の・不正な、など。

良(いぃ)い、に対する。嫌(や)なさん、は主として見た目の美醜などに関して用

いるが、嫌(や)な‐、はそれだけでなく、悪(わっ)さん、の意も含み、非常に多

くの語につく。 @嫌(や)な天気(てぃんち)[悪い天気。天気が悪いという時には、

天気(てぃんち)ぬ悪(わっ)さん、という]、嫌(や)な影(かあぎ)い[不美人]、

嫌(や)な臭(かざ)[悪臭]、嫌(や)な道(みち)[邪道]など。

嫌(や)なあ@: (名) 悪い物。また、悪人。民間語源説に「むかし鳩目銭を通融せ

し頃、寛永銭八貫文をヤナーといひしかば、ト之部トナーの条下にいへるが如し。そ

の頃奴僕を雇ふに最もわるいものをヤナーの銭にて雇ひたるよしにて、わろい人をヤ

ナモンといふより、ひづりて、何物因らず、わろい物にはヤナーといふとぞ(南島八

重垣)」。 ※この語源説に従えば、八縄(やなあ)、ということになる。銭は縄で括っ

ていた。「ト之部トナー」が意味不明。

嫌(や)な喚(あび)い⓪: (名) 悪い叫び声。いやな叫び声。

嫌(や)な言(い)い⓪: (名) 悪口。あしざまに言うこと。

嫌(や)な夢(いみ)⓪: (名) 悪い夢。悪夢。不吉な夢。

嫌(や)な上月(ぅわあつぃち)⓪: (名) 悪い天気。悪天候。嫌(や)な天気(て

  ぃんち)、ともいう。

嫌(や)な影(かあぎ)⓪: (名) 醜い顔。不器量。

嫌(や)な影(かあぎ)い⓪: (名) 器量の悪い者。女についていう。不美人。 ※

  清(ちゅ)ら影(かあぎ)い、の反対語としておなじみである。

嫌(や)な臭(かざ)⓪: (名) 悪いにおい。悪臭。

嫌(や)な風(かじ)⓪: (名) 悪い霊気。悪霊。魔風。人に害を与える、風のよう

  な魔物。 @嫌(や)な風(かじ)行会(いちゃ)ゆん。/悪い霊気に会う。

嫌(や)な型(がた)あ⓪: (名) 悪い型の者。感じの悪い人間。いやな人間。

嫌(や)な姦(がま)しゃん⓪: (形) (音などが)うるさく、不快である。(人など

が)しつこく、不快である。 @嫌(や)な姦(がま)しい者(むん)。/しつこい。

いやなやつ。

嫌(や)な声(ぐぃい)⓪: (名) 悪い声。いやな声。不快な感じを与える声。

嫌(や)な心(ぐくる)⓪: (名) 悪い心。悪心。

嫌(や)な癖(ぐし)⓪: (名) 悪い癖。悪い習慣。

嫌(や)な口(ぐち)⓪: (名) 悪口。また、悪い乱暴なことば。毒舌。

嫌(や)な口(ぐちゃ)あ⓪: (名) 口の悪い者。毒舌家。

嫌(や)な事(くとぅ)⓪: (名) 悪い事。

嫌(や)な事(ぐとぅ)⓪: (名) 悪事。嫌(や)な事(くとぅ)、より意味が強い。

嫌(や)な言葉(くとぅば)⓪: (名) 卑語。卑しいことば。

嫌(や)なさん⓪: (形) 悪い。醜い。いやな感じがする。悪(わっ)さん、が主と

して、そのものの正・不正、またそのものの質の良・不良に関して使われるのに対し

て、嫌(や)なさん、は主として見た感じの美醜などに関して使われる。また、悪(わ

っ)さん、の方が多く用いられる。なお、嫌(や)な‐、の項参照。 @此(く)ぬ

衣(ちの)お嫌(や)なさん。/この着物は(柄などが)悪い。[此(く)ぬ衣(ちの)

お悪(わっ)さん。この着物は、品質などが、悪い。] @嫌(や)なく成(な)ゆん。

/(容貌などが)醜くなる。

嫌(や)な為(し)い⓪: (名) 悪い仕方。たちの悪いやりかた。

嫌(や)な為太(しっぱ)⓪: (名) いやに強情なこと。ひどく腕白なこと。また、

  そのような者。

嫌(や)な為太者(しっぱむん)⓪: (名) いやの強情な者。ひどい腕白者。

嫌(や)な為持(しむ)ち⓪: (名) 悪い性質。根性が悪いこと。意地悪。

嫌(や)な才(ぜえ)⓪: (名) 悪い才智(せえ)。悪知恵。

嫌(や)な企(だく)ま⓪: (名) 奸智。悪知恵。

嫌(や)な企(だく)み⓪: (名) 奸智。悪だくみ。

嫌(や)な血(ち)⓪: (名) 悪い血。病毒をふくんだ血。

柳(やなぢ)@: (名) 柳。

柳行李(やなぢぐうい)⓪: (名) 柳行李。

嫌(や)な肝(ぢむ)⓪: (名) 悪心。悪い心。 @嫌(や)な肝(ぢむ)ぬ起(う)

くりゆん。/悪心が起こる。悪いこと、乱暴などをしようとする心が起こる。

嫌(や)な衣(ぢん)@: (名) 悪い着物。質または柄などがよくない着物。

嫌(や)な人(っちゅ)⓪: (名) 悪い人。あくにん(悪人)より軽い意。

嫌(や)な天気(てぃんち)⓪: (名) 悪い天気。悪天候。嫌(や)な上月(ぅわあ

  つぃち)、ともいう。

嫌(や)な習(なら)あし⓪: (名) 悪いことを教えこむこと。教唆。悪い教育(な

  らあし)。

梁木(やなぶ)@: (名) 植物名。てりはぼく。おとぎりそう科。木材は建築用など、

種子は燈油になる。屋良木(やらぶ)、ともいう。

屋那覇(やなふぁ)⓪: (名) 屋那覇島。伊是名島(いじな)の属島。 ※屋那覇(や

  なは)。

嫌(や)な風儀(ふうぢ)⓪: (名) 悪い風儀。悪い習慣。悪習。

嫌(や)な触(ぶ)り⓪: (名) 悪い狂い方。とてもなおりそうにない狂い方。ひど

  い気違い。ぶり<触(ふ)りゆん。

嫌(や)な目(みい)⓪: (名) いやな目。いやな境遇。 @嫌(や)な目(みい)

  発着会(はっちゃか)ゆん。/いやな目に会う。

嫌(や)な路(みち)⓪: (名) 悪路。悪い道路。

嫌(や)な道(みち)⓪: (名) 邪道。正しくない道。 @嫌(や)な道(みち)込

(く)ぬん。/邪道に入り込む。

嫌(や)な目苦(みっくぁ)さん⓪: (形) 憎々しい。非常に憎い。

嫌(や)な物言(むに)い⓪: (名) 嫌(や)な物言(むぬい)い、と同じ。

嫌(や)な物言(むぬい)い⓪: (名) 悪いものの言い方。縁起の悪いことを言うこ

と。嫌(や)な物言(むに)い、と同じ。

嫌(や)な物(むん)⓪: (名) @妖怪。魔物。悪霊。 ➁悪者。悪人。 Bいやな

やつ。 @取(とぅ)いん掴(つぃか)みん成(な)らん。/煮ても焼いても食えな

いやつ。取りもつかみもできない、いやなやつの意。

嫌(や)な物(むん)⓪: (名) 悪い物。良(いぃ)い物(むん)、の対。

嫌(や)な物企(むんだく)ん⓪: (名) 悪だくみ。奸計。

嫌(や)な理屈(りくつぃ)⓪: (名) 悪がしこい才智。悪知恵。 @嫌(や)な理

屈(りくつぃ)喰(くぁ)而居(とお)ん。/悪がしこい才智がある。

嫌(や)な業(わざ)⓪: (名) 卑しい職業。賤業。

嫌(や)な若子(わちゃく)⓪: (名) 意地の悪いいたずら。悪意あるからかいかた。

嫌(や)な童(わらび)⓪: (名) 悪い子供。いたずらっ子。にくまれっ子。

屋根(やに)⓪: (名) 竹を細くけずること。また*骨組みを作ること。屋根(やに)

ゆん、の項参照。 @蒲葵(くば)や金武蒲葵(ちんくば)に竹(だき)や安富祖竹

(あふすだき)、屋根(やに)や瀬良垣(しらかち)に張(は)いや恩納(うんな)。[こ

ばや金武こばに 竹や安富祖竹 やねや瀬良垣に 張りや恩納]びろうの葉は金武で

取り、竹は安富祖の竹で、けずるのは(*組み立ては)瀬良垣で、張るのは恩納。蒲

葵笠(くばがさ)[びろうの笠]を作る過程を歌った歌。 ※音をそろえるため、金武

蒲葵と瀬良垣には、「に」が添えられている。「やに」は語源的には、「屋根」であろう

と思われる。したがって、「けずる」というよりも、「屋根を葺く」というのが本来の

意味かもしれない。

屋根(やに)⁼ゆん⓪: (他 ⁼らん、⁼てぃ) @竹などを細くけずる。 @竹(だき)

屋根(やに)ゆん。竹をけずる。 ➁*骨組みを作る。竹などで、凧・笠・かご・か

やぶき屋根などの骨組みを作る時にいう。 @籠(くう)屋根(やに)ゆん。/鳥か

ごを作る。

病(や)⁼ぬん⓪: (自 ⁼まん、⁼でぃ) 病む。病気する。患う。また、痛む。 @頭

(つぃぶる)ぬ病(や)ぬん。/頭が痛い。 @病(や)ましゅん。/病気させる。

また、痛める。けがする。 @手(てぃい)切(ちっ)ち病(や)まちゃん。/手を

切って痛めた。 @頓着(とぅんぢゃく)ぬ悪(わっ)さぬ童(わらび)病(や)ま

ち。/世話が足りずに子供を病気させた。 @肝(ちむ)病(や)ましゅん。/後悔

させる。惜しがらせる。

止(や)⁼ぬん@: (名) (自 ⁼まん、⁼でぃ) やむ。(続いていたものごとが)と

  どまる。ただし、雨がやむことは、晴(は)りゆん、という。 

野蛮(やばん)⓪: (名) [新]野蛮。

屋比久(やびく)⓪: (名) 屋比久。 ※屋比久(やびく)は、南城市佐敷の地名。 

  *おもろさうし・506に、やびく、とある。

痩衰(やび)らあ@: (名) 衰弱した者。痩衰(やび)り者(むん)、ともいう。

痩衰(やび)り者(むん)@: (名) 衰弱した者。痩衰(やび)らあ、ともいう。

痩衰(やび)り⁼ゆん@: (自 ⁼らん、⁼てぃ) 病み衰える。衰弱する。体が弱る。

屋部(やぶ)⓪: (名) 屋部。 ※屋部(やぶ)は、名護市の地名。 *おもろさう

  し・1180に、やぶ、とある。「やぶ」に濁点があるのが私には興味深い。 

柔為(やふぁた)い返為(けえた)い@: (副) 病弱なさま。病弱でぶらぶらしてい

るさま。 @柔為(やふぁた)い返為(けえた)い為(しゅ)ん。/※動詞化。

柔為(やふぁた)い者(むん)@: (名) 病弱な者。病弱でぶらぶらしている者。 

柔田草(やふぁたぐさ)@: (名) 植物名。むらさきかたばみ。かたばみに似て、紫

色の美しい花の咲く雑草。はじめ、首里の平良殿内の主人が鑑賞用に中国から輸入し

たといわれるが、のち、田畑に繁殖し、農作物にひどい害を及ぼすようになった。

柔為(やふぁた)やあ@: (名) 病弱な者。

柔(やふぁ)ってえん@: (副) やさしく。柔らかに。おだやかに。 @物言(むぬ

い)い様(よお)ぬ柔(やふぁ)ってえん為居(しょお)ん。/ことばつきがやわら

かい。 *混効験集:坤巻・乾坤に、やはて、とある、

柔(やふぁ)ってえん小(ぐぁあ)@: (副) やさしく。柔らかに。 @手(てぃい)

柔(やふぁ)ってえん小(ぐぁあ)捕(かつぃ)みてぃ。/やさしく手をとって。

柔柔(やふぁやふぁ)とぅ⓪: (名) [文]やわらかに。やんわりと。やさしく。 @

本部(むとぅぶ)今帰仁(なちぢ)なが宿(やどぅ)借(か)いが来(く)らわ、言

葉(くとぅば)柔柔(やふぁやふぁ)とぅ戻(むどぅ)ち遣(や)らし。[本部今帰仁

にやが 宿かりが来らば 言葉やはやはと 戻ちやらせ(本部汀間と節)]本部や今帰

仁の者が宿を借りに来たら、やんわりとしたことばで断って帰してしまえ。

柔(やふぁ)らあ@: (名) 病弱な者。

柔(やふぁ)ら頑丈者(がんじゅうむん)@: (名) 病弱そうで健康な者。また、病

弱ではあるが、重病をしない者。

柔(やふぁ)らき⁼ゆん@: (他 ⁼らん、⁼てぃ) @柔らかくする。柔らげる。 ➁和

  解させる。和合させる。

柔(やふぁ)ら返(げえ)ら@: (副) 病弱なさま。病気ばかりするさま。 @常(ち

ゃあ)柔(やふぁ)ら返(げえ)ら為居(しょお)ん。/いつも病気ばかりしている。

柔(やふぁ)ら返(げえ)らあ@: (名) 病弱な者。病気ばかりしている者。

柔(やふぁ)らさん⓪: (形) @柔らかい。 ➁体が弱い。病弱である。

柔(やふぁ)ら雑炊(ずうすぃい)⓪: (名) 雑炊。おじや。単に、雑炊(ずうすぃ

  い)、ともいう。

柔(やふぁ)ら⁼ちゅん@: (自 ⁼かん、⁼ち) @柔らかくなる。 ➁おだやかになる。

柔らぐ。また、争わなくなる。 B(体が)弱る。衰弱する。 @柔(やふぁ)ら而

居(ちょお)ん。/衰弱している。

柔(やふぁ)ら者(むん)@: (名) 病弱な者。体が弱い者。柔(やふぁ)らあ、柔

為(やふぁた)い者(むん)、柔(やふぁ)為(た)やあ、などともいう。 @柔(や

ふぁ)ら者(むん)にどぅ塵(ちり)ん芥(あくた)ん付(つぃ)ちゅる。/弱い者

に(※こそ)塵も芥もつく。弱い者にはすぐ何の病気でもとりつく意。

夜半(やふぁん)⓪: (名) 夜半。夜中。夜半(ゆふぁん)、ともいう。

夜半参(やふぁんめえ)⓪: (名) 夜半にお参りすること。ことに、夜半に女が男装

して拝所に参り、思う男に会いたいと祈ること。お冠船躍(うくぁんしんうどぅい)

のあとに現れたことだという。それに出演した首里三平等(しゅりみふぃら)の美男

子をしたって、女が決死の覚悟で夜半参りをしたのがはじまりだという。

藪(やぶ)う@: (名) 鍼灸師。はり医者。

屋富祖(やふす)⓪: (名) 屋富祖。 ※屋富祖(やふそ)は、浦添市の地名。 *

おもろさうし・1323に、やふそ、とあるが浦添市の屋富祖ではないようだ。

破(やぶ)り⓪: (名) 破(やん)でぃ、と同じ。

山林(やま)⓪: (名) @林。山野。山林。やま。樹木が多く茂っているところをい

う。しかし平地の林はほとんどないので、やま、といえば山林である。山岳の意の山

には、盛(む)い、という。 @山林(やま)歩(あっ)ちゅん。/山仕事をする。 

➁混乱。乱雑。ごたごた。 @山林(やま)成(な)ゆん。/乱雑になる。ごたごた

する。 @山林(やま)散(ち)りゆん。/ごたごたする。混乱する。めちゃめちゃ

になる。 @行(ぃん)じ見(んん)ちゃ事(くとぅ)思(うみ)ん拠(ゆ)らん事

(くとぅ)ぬ起(う)くてぃ、山林(やま)散(ちっ)而居(ちょお)たん。/行っ

て見たら、思いも寄らない事が起こって、とんでもないことになっていた。 @山林

(やま)散(ち)らかしゅん。/散々にちらかす。混乱させる。

山(やま)‐: (接頭) 野生の意を表す。山犬(やまいん)[のら犬]、山猫(やまま

やあ)[のら猫]、山蔓(やまかんだ)[野生のつる草の名]など。

山林当(やまあ)たい⓪: (名) [古][山当]営林の役人。森林係。口語は、山林当

  (やまた)い。 

山熱(やまあった)み⓪: (名) [古]いのししの肉。 *混効験集:乾巻・飲食に、

  やまあつため、とあり、原注に、山猪、とある。

山林歩(やまあっ)ちゃあ⓪: (名) 山仕事をする者。林業に従事する者。あっちゃ

あ<歩(あっ)ちゅん[歩く]。

山苺(やまいちゅび)⓪: (名) 鷹苺(たかいちゅび)、と同じ。

山印(やまいん)⓪: (名) 何の字かわからない、だれにも使用できるように作って

ある三文判。

山犬(やまいん)⓪: (名) のら犬。野犬。

山奥(やまうく)⓪: (名) 山奥。奥山(うくやま)、ともいう。

山芋(やまぅんむ)⓪: (名) やまいも。自然薯。

山川(やまがあ)⓪: (名) 山川。 ※山川(やまがわ)は、那覇市首里および島尻

郡南風原町の地名。山川(やまかわ)は、国頭郡本部町の地名。

山案山子(やまかあがあ)⓪: (名) 人見知り。内気で人前に出るのを嫌うこと。ま

  た、その人。 @山案山子(やまかあがあ)為(しゅ)ん。/人見知りする。

山亀(やまがあみい)⓪: (名) 陸上にいる亀。山原亀(やんばるがあみ)、ともいう。

海亀(うみがあみい)、に対する。

山駕籠(やまかぐ)⓪: (名) 駕籠の一種。身分の低い者が乗る、囲いのない駕籠。

病人を運んだりするのに用いる。

山蚊(やまがざん)⓪: (名) やぶ蚊。野生の蚊の意。普通の蚊より大きく荒々しい。

山蔓(やまかんだ)⓪: (名) 植物名。多年性で、朝顔に似た花が咲き、さつまいも

に似た小さい芋ができる。鑑賞用にもなる。ひるがおの一種か。野生のかずらの意。

蔓(かんだ)、はさつまいもの植物としての名。

山蔓(やまかんだ)あ⓪: (名) 山蔓(やまかんだ)、と同じ。

山林工(やまく)⓪: (名) きこり。 @森川(むりかわ)や遠(とぅう)く山原(や

んばる)に下(う)りてぃ、彼(か)り是(く)りぬ働(はたら)ちゆ為(しゅ)ん

てぃやり。[森川や遠く 山原に下りて 山工彼是の 働きよしゆんてやり(花売之

縁)]森川は遠く山原に下って、きこりなどの仕事をしているということである。 ※

花売之縁(はなうりのえん)は、高宮城親雲上(たかみやぐすくぺえちん)作の組踊

である。

山子(やまぐ)⓪: (名) ずるいこと。狡猾。那覇語であるが、首里でもいうように

なった。 @彼(あ)に輩(ひゃあ)山子(やまぐ)有(や)わい。/あいつめ、狡

猾だわい。やわい、は那覇語。

山林小(やまぐぁあ)⓪: (名) やぶ。小さい荒地など。

山城(やまぐすぃく)⓪: (名) 山城。 ※山城(やましろ)は、うるま市石川の地

名。おもろさうしに山城(やまくすく)が数回登場するが、石川の山城ではないよう

だ。

山口(やまぐち)⓪: (名) 山口。 ※山口(やまぐち)は、南城市知念にかつてあ

った地名。

山黒木(やまぐるち)⓪: (名) 植物名。山黒木(やまくろき)。浜栴檀(はませんだ

  ん)。その材は建築用、家具指物用などになる。

山川(やまごお)⓪: (名) 山川。鹿児島県の地名。 ※山川(やまがわ)は、鹿児

島県揖宿(いぶすき)郡にかつてあった町名。現在は指宿市である。

山里(やまざとぅ)⓪: (名) 山里。 ※山里(やまざと)は、国頭郡本部町、沖縄

  市、南城市知念、島尻郡久米島町の地名。

山猪(やましし)⓪: (名) @いのしし。 ➁いのししの肉。

山猪取(やまししとぅ)やあ⓪: (名) 漁師。

山林勝負(やましゅうぶ)⓪: (名) 山仕事の競争。山村で二村を対抗させて行う林

  業奨励の行事。仕事の成績を争った。

山田(やまだ)⓪: (名) 山田。 ※山田(やまだ)は、国頭郡恩納村の地名である。

山林当(やまた)い⓪: (名) 営林の役人。森林係。文語は、山林当(やまあ)たい。

山種(やまだに)い⓪: (名) 私生児。ててなし子。山種(やまだな)あ[卑称]、山

種(やまだに)ん子(ぐぁ)、ともいう。ともに音が、種(たに)[陰茎]に通ずるの

であまり用いられない。山生(やまな)しん子(ぐぁ)、ともいう。

山種(やまだに)ん子(ぐぁ)⓪: (名) 山種(やまだに)い、と同じ。

山内(やまち)⓪: (名) 山内。 ※山内(やまうち)は、沖縄市の地名である。

山林散(やまち)り事(ぐとぅ)⓪: (名) 混乱。ごたごた。収拾のつかない困った

  事。

山林散(やまち)り者(むん)⓪: (名) ごたごたを起こす者。秩序を乱す者。

大和(やまとぅ)⓪: (名) @日本。沖縄に対して日本本土をいう。 ➁薩摩。大山

和(うふやまとぅ)[日本本土の全体]に対する。 *おもろさうし・96に、やまと、

とある。

大和医者(やまとぅいしゃ)⓪: (名) 蘭方医。漢方医(うちなあいしゃ)に対して

いう。西洋医術は日本から伝わり、始めは日本本土から来た蘭方医を、大和医者(や

まとぅいしゃ)、といったが、のち、沖縄人で蘭方医を開業する者が出ると、それをも

いうようになった。

大和口(やまとぅぐち)⓪: (名) 日本語。

大和暦(やまとぅぐゆみ)⓪: (名) 新暦。太陽暦。

大和捷(やまとぅぐる)く⓪: (名) 日本人の機敏さ。日本人らしくきびきびと。日

本人のようにすばやく。ぐるく<捷(ぐる)さん。 @何(ぬう)有(や)てぃん大

和捷(やまとぅぐる)くどお。/何でも日本人なみにきびきびやれ。

大和商売(やまとぅしょおべえ)⓪: (名) 日本製品が粗末にできていること。粗製

濫造ぶりをこきおろした語。商売(しょおべえ)、は粗製品。唐誂(とおあつぃれ)え

[中国製品があつらえもののように上等であること]に対する。

大和商売(やまとぅそおべえ)⓪: (名) 大和商売(やまとぅしょおべえ)、と同じ。

大和旅(やまとぅたび)⓪: (名) 日本本土への旅。とおたび(唐旅)の対。 *混

効験集:坤巻・言語に、やまと旅、とある。おもろさうし・538に、やまとたび、

とある。

大和気早(やまとぅぢふぇ)え⓪: (名) 日本人の気の早さ。沖縄人に比べて、日本

  本土の人が気早く勢いのよいことをいう。

大和壷折(やまとぅつぃぶ)い⓪: (名) 日本流のしりからげ。着物の後ろのすそだ

けをからげるからげかた。壷折(つぃぶ)い、の項参照。

大和結(やまとぅむす)ん⓪: (名) じきに解けるように、または体裁よく結ぶ結び

  かた。花結び。蝶結び。

大和物(やまとぅむん)⓪: (名) 日本品。

大和世(やまとぅゆう)⓪: (名) 明治12年廃藩置県以後、日本政府の統治下にな

  った時代。日本政府時代。沖縄世(うちなあゆう)、に対する。

大和横目(やまとぅゆくみ)⓪: (名) 中国貿易監視官。薩摩の役人が当たる。

大和(やまとぅ)ん人(ちゅ)⓪: (名) @日本人。日本本土の人。 ➁薩摩人。そ

の場合、他の日本人は、大山和(うふやまとぅ)ん人(ちゅ)、という。 ※大和(や

まとぅう)よりかなり丁寧な言い方。内地(ないちゃ)あ、はやや軽蔑的な表現とさ

れるらしいが、英語のような感じがして私は好きである。言葉は結局使う人の気持ち

次第なのではないか。美しい言葉を悪意をもって使うこともできれば、卑語を美しい

心で使うこともできるのである。

山生(やまな)しん子(ぐぁ)⓪: (名) 私生児。ててなし子。

山長刀(やまなぢ)⓪: (名) なた。木を切る刀。山刀。

山盗人(やまぬすどぅ)⓪: (名) 山賊。 @山盗人(やまぬすどぅ)ぬ如(ぐと)

  おさ。/山賊のようだ。ひげぼうぼうの者などをいう。

山(やま)ぬ頂(つぃじ)⓪: (名) 頂上。山頂。

山林(やま)ぬ中(なあか)⓪: (名) 山の中。山林の中。

山(やま)ぬ端(ふぁ)⓪: (名) [文]山の端(は)。 @頼(たぬ)む夜(ゆ)や

更(ふ)きてぃ訪(うとぅずぃ)りや無(ね)らん、一人(ふぃちゅい)山(やま)

ぬ端(ふぁ)ぬ月(つぃち)に向(ん)かてぃ。[頼む夜やふけて おとずれやないら

ぬ 一人山の端の 月に向かて]頼みにしている夜はふけても、おとずれはない。た

だひとり山の端の月に向かっているばかり。

山入端(やまぬふぁ)⓪: (名) 山入端。 ※山入端(やまのは)は、名護市の地名

である。本部半島の付け根あたりである。 ※万葉集、古今集、枕草子などに登場す

る「山の端(は)」が沖縄の田舎に地名として存在するのである。

山彦(やまびく)⓪: (名) 山びこ。山にひびくこだま。山響(やまひび)く、とも

いう。 @恋(くい)ぬ山奥(やまうく)に遠(とぅう)く踏(ふ)み迷(まゆ)て

ぃ谷(たに)ぬ山彦(やまびく)ぬ音声(うとぅぐぃ)許(ばか)り。[恋の山奥に 遠

く踏み迷て 谷のやまびこの 音声ばかり]恋の山奥に遠く踏み迷って、聞こえるも  

のは谷のやまびこの声ばかり。 *混効験集:坤巻・言語に、山彦、とある。

山響(やまひび)く⓪: (名) 山彦(やまびく)、に同じ。

山髭(やまふぃじゃ)あ⓪: (名) ひげの多い者。ひげもじゃ。

山奉行(やまぶじょお)⓪: (名) 山奉行。山林監督官。

山猫(やままやあ)⓪: (名) のら猫。泥棒猫。

山道(やまみち)⓪: (名) 山道。

山桃(やまむむ)⓪: (名) やまもも。楊梅。単に、桃(むむ)、ともいう。桃(むむ)、

の項参照。 *混効験集:乾巻・飲食に、やまもも、とある。

山右納(やまゆうな)⓪: (名) 植物名。あかめかしわ。葉を煎じて胃腸病の薬にす

  る。

山百足(やまんかじ)⓪: (名) さそり。

闇(やみ)⓪: (名) @やみ。暗やみ。 @恩義(うぅんぢ)忘(わすぃ)りりば闇

(やみ)ぬ夜(ゆ)ぬ小道(くみち)、我胴(わどぅ)どぅ損(すく)なゆる歩(あゆ

み苦(ぐり)しゃ。[恩義忘れれば 闇の夜の小路 我胴ど損なゆる 歩みぐれしや]

恩義を忘れれば闇の夜の小路を歩くようなもの、自身をそこなうばかりで歩きにくい。

➁乱世。

病(や)み⓪: (名) 病気。文語的な上品な語。普通は、病(やんめ)え、病気(び

ょおち)、という。 @若(む)しか此(く)ぬ病(や)みに棄(すぃ)てぃてぃ先(さ

ち)成(な)らば。[もしかこの病に 棄てて先ならば]もしもこの病気であとに残る

者を捨てて死んだならば。

病酔(やみ)い@: (名) 二日酔い。

止(や)み⁼ゆん@: (他 ⁼らん、⁼てぃ) やめる。廃する。行わなくする。 @酒(さ

き)止(や)みゆん。/酒をやめる。 

病(や)み患(わちゃれ)え⓪: (名) 病み患い。病気でわずらうこと。

病(や)み面倒(わんでえ)⓪: (名) 看病。病人を介抱・世話すること。

破(や)⁼ゆん⓪: (他 ⁼らん、⁼てぃ) 破る。 @衣(ちん)破(や)ゆん。/着物

を破る。 @明(あか)い破(や)ゆん。/障子を破る。

屋良(やら)@: (名) 屋良。 ※屋良(やら)は、中頭郡嘉手納町の地名である。 

  *おもろさうし・1115に、やら、とある。

遣(や)らしい⓪: (名) 旅の平安を祈る時の踊りの名。日本本土、中国などに旅に

出ている人の家で、旅の平安を祈る歌を歌う際、畳を上げ、大勢の女が輪を作り、床

をふみとどろかせて回ること。親類中の女が集まって行った。

遣(や)らしい喰(くぁ)あしい⓪: (名) やりくり算段。行会(いちゃあ)し喰(く

ぁ)あしい、遣(や)らちゃい喰(くぁ)あちゃい、などともいう。 @遣(や)ら

しい喰(くぁ)あしい為(しゅ)ん。/※動詞化。

遣(や)ら⁼しゅん@: (他 ⁼さん、⁼ち) 遣る。つかわす。行かせる。 @女(うぃ

なぐ)当(あ)てぃ無(な)しや敵(てぃち)ぬ手(てぃ)に遣(や)らち末代(ま

つぃでえ)ぬ恥辱(ちじゅく)面目(みんぶく)や如何(ちゃ)為(しゅ)が。[女あ

てなしや 敵の手にやらち 末代の恥辱 面目や如何しゆが(大川敵討)]女子供を敵

の手にやって、末代までの恥辱、面目をどうするか。 ※大川敵討(おおかわてきう

ち)は、久手堅親雲上(くでけんぺえちん)作の組踊である。 *混効験集:坤巻・

言語に、やらす、とある。 ※遣(や)り、はおもろさうしによく出る語である。

遣(や)らちゃい喰(くぁ)あちゃい⓪: (名) やりくり算段。遣(や)らしい喰(く

  ぁ)あしい、行会(いちゃあ)し喰(くぁ)あしい、ともいう。

屋良木(やらぶ)@: (名) 梁木(やなぶ)、と同じ。

破(や)り⓪: (名) 破れ。破れたところ。 @衣(ちん)ぬ破(や)り。/着物の

破れ。

破(や)り明(あ)かい⓪: (名) 破れ障子。

破(や)り傘・笠(がさ)⓪: (名) 破れ傘。破れ笠。

破(や)り看看(くぁんくぁん)⓪: (副) びりびり。ずたずた。ひどく破れたさま。 

@衣(ちん)ぬ破(や)り看看(くぁんくぁん)為居(しょお)ん。/着物がびりび

りである。

破(や)り裂(さ)き@: (名) 着物などの破れや裂け。

破(や)り切(ち)り⓪: (名) (着物などの)破れたり切れたりしていること。

破(や)り衣(ぢん)⓪: (名) 破れた着物。

破(や)り目(みい)⓪: (名) 破れ目。破れたすきま。

破(や)り⁼ゆん⓪: (自 ⁼らん、⁼てぃ) 破れる。破ける。 @衣(ちん)ぬ破(や) 

  りゆん。/着物が破れる。 

有(や)ん@: (連詞・不規則) だ。である。単独でも文になりうる。 @有(や)

ん。/そうである。 @斯(か)ん有(や)ん。/こうである。 @彼(あ)ん有(や)

み。/そうか。 @有(や)み、有(あ)らに。/そうなのかそうでないのか。 ※

この例文から、有(や)ん、がもともと、有(あ)ん、であったことがわかる。 @

太郎(たるう)や病気(びょおち)有(や)い擬(ぎ)さん。/太郎は病気らしい。

@何(ぬう)が有(や)ら。/何だろうか。 @彼(あ)ん有(や)くとぅ。/そう

だから。 @彼(あ)ん有(や)れえ。/そうならば。 @有(や)んてえ有(あ)

らんてえ。/そうであると言い、そうでないと言い。甲論乙駁。 @有(や)る通(と 

ぅう)い言(ぃえ)え。/ありのままを言え。 @童(わらび)どぅ有(や)るむん。

/子供なのに。子供でありながら。 ※この文は、私には、「子供なので」・「子供で

あるので」という感じである。 @太郎(たるう)有(や)らわん遣(や)らち呉(く

ぃ)れえ。/太郎でもよこしてくれ。

万歳(やんざい)⓪: (名) 京太郎(ちょんだらあ)、と同じ。

万歳(やんざや)あ⓪: (名) 万歳(やんざい)、京太郎(ちょんだらあ)、と同じ。

破(やん)⁼じゅん⓪: (他 ⁼だん、⁼てぃ) @こわす。 @手(てぃい)弄(むたあ)

ん為(っし)、童(わらび)ぬ時計(とぅちい)破(や)んたん。/いたずらして、子

供が時計をこわした。 ➁(接尾)〜しそこなう。〜し損ずる。 @書(か)ち破(や

ん)じゅん[書きそこなう]、為(し)い破(やん)じゅん[しそこなう]、言(い)

い破(やん)じゅん[イ・言いそこなう ロ・けなす]など。

洋銀(やんぢん)⓪: (名) 洋銀。ニッケル。銅・亜鉛の合金。 ※洋(やん)の発

  音が中国語風である。

破(やん)でぃ⓪: (名) 破損。こわれ。破(やぶ)り、ともいう。

破(やん)でぃ砂糖(ざあたあ)⓪: (名) できそこないの砂糖。

破(やん)でぃ⁼ゆん⓪: (自 ⁼らん、⁼てぃ) @こわれる。破損する。 ➁(話しが)

こわれる。破談になる。 Bうまく行かない。よくできない。できそこなう。失敗す

る。出来(でぃき)ゆん、の対。

有(や)んとぅん@: (接続) そうであっても。けれども。しかし。

山葉(やんば)⓪: (名) しおり。木の枝を折り、またそれを山道にさして、道しる

べとしたもの。山の木の葉の意。 @為惚(しゅら)が越(く)しゅらんでぃ山葉(や

んば)差(さ)ち置(う)ちぇん、袖(すでぃ)や谷川(たにがわ)ぬ底(すく)に

浸(ふぃた)ち。[しほらが越しゆらんで 山葉さち置ちえん 袖や谷川の 底にひた

ち]恋人が越えて来るだろうと思って、しおりをさして置いてある。袖は谷川の底に

ひたしたように涙にぬれて。

山原旅(やんばたび)⓪: (名) [文]山原旅(やんばるたび)、と同じ。山原地方へ

の旅。韻律の関係で短くなったもの。 @鬼餅(うにむち)ぬ時分(じぶん)山原旅

(やんばたび)当(あ)たてぃ。[鬼餅の時分 やんば旅あたて]鬼餅の時分(12月

8日)山原へ旅することになって。

山原(やんばら)あ⓪: (名) @山原(やんばる)の人間。山原者。 ➁山原(やん

ばら)あ船(ぶに)、と同じ。 B山原(やんばら)あ竹(だき)、と同じ。

山原(やんばら)あ竹(だき)⓪: 山原竹。琉球竹。篠竹の一種。山原(やんばる)竹

  (だき)、ともいう。竹垣(ちにぶ)、屋根などにする。

山原(やんばら)あ船(ぶに)⓪: (名) 山原船。帆前船(ふうまあしん)、の小型な

もの。もともとは山原通いの船の意。

山原(やんばる)⓪: (名) [山原]国頭地方。 @山原(やんばる)に行(い)き

ば哀(あわ)りどぅや至極(しぐく)見(み)る方(かた)や無(ね)らん海(うみ)

とぅ山林(やま)とぅ。[山原に行けば 哀れどや至極 見る方やないらぬ 海と山と]

山原にいけば至極あわれである。海と山ばかりで見るものもない。 ※現在では、「海

と山ばかり」が評価されて世界遺産に登録されるようである。山原(やんばる)は、

広辞苑にも載るほどに普通の語となった。

山原亀(やんばるがあみい)⓪: (名) 陸上にいる亀。山亀(やまがあみい)、と同じ。

山原言葉(やんばるくとぅば)⓪: (名) 国頭方言。山原弁。沖縄北部方言。 ※沖

縄北部方言は、沖永良部・与論方言と近接である。私は、テレビで沖永良部方言を聞

いたことがあるがほとんど理解可能であった。

山原(やんばる)穴(ごお)らあ。⓪: (名) むこうずねにできる瘡の一種。なおり

  にくく、穴がふさがらず、赤くただれる。‐ごおらあ<穴(ごお)りゆん。

山原(やんばる)竹(だき)⓪: (名) 山原(やんばら)あ竹(だき)、と同じ。

山原旅(やんばるたび)⓪: (名) 山原(やんばる)[国頭地方]への旅。

山黐(やんむち)⓪: (名) 鳥もち。小鳥や昆虫をとらえるもち。ガジマルの木から

  とる粘液で作る。

病(やんめ)え⓪: (名) やまい。病気。病(や)み、病気(びょおち)、ともいう。

病(やんめ)え者(むん)⓪: (名) 病気がちの者。病弱の者。