?あ ?い 'い ?う 'う ?え 'え ?お 'お か き く け こ さ し す せ そ た ち つ て と な に ぬ ね の は ひ ふ へ ほ ま み む ?め め も ?や や ?ゆ ゆ ?よ よ ら り る れ ろ ?わ わ ?ゐ ゐ ?ゑ ゑ ?ん ん
く
く⁻: (接頭) 九。 @九日(くにち)。九年(くにん)[九人または九年]。など。
ぐ⁻: (接頭) 御。尊敬の意を表す接頭辞。 @御恩(ぐうん)、御衆様(ぐすうよお)
[皆様]、御礼(ぐりい)[おじぎ]、御無沙汰(ぐぶさた)、など。
過(くぁあ)⓪: (名) 過の意。数量・程度などが過ぎること。 @過(くぁあ)成
而居(なとお)ん。/やり過ぎている。また、多過ぎる。 @銭(じん)ぬ千貫(し
んぐぁん)過(くぁあ)為居(しょお)ん。/金が1000貫多過ぎる。
桑(くぁあ)⓪: (名) 桑。
⁻小(ぐぁあ): (接尾) [小]<子(っくぁ)。 @小さいことを表し、またその愛称
となる。 @鳥小(とぅいぐぁあ)[小鳥]、馬小(ぅんまぐぁあ)[小馬]、箱小(は
くぐぁあ)[小箱]、思(うみ)い小(ぐぁあ)[一番下の姉]、など。 ➁子供の名に
ついて、愛称となる。 @太郎小(たるうぐぁあ)[太郎坊]、鶴小(つぃるぐぁあ)[つ
る子ちゃん]、など。 B小量であることを表す。 @小(くう)てえん小(ぐぁあ)
[ほんの少し]、其(う)っぴ小(ぐぁあ)[それっぽっち]、など。 C軽蔑の意を表
す。 @御主前小(うしゅめえぐぁあ)[じじい]、母前小(はあめえぐぁあ)[ばばあ]、
など。 D分家の意を表す。 @国頭小(くんじゃんぐぁあ)、金武小(ちんぐぁあ)、
など。
桑木(くぁあぎ)⓪: (名) 桑木。桑の木。 *おもろさうし・1202に、くわげ、
とある。
桑木(くぁあぎ)ぬ下(しちゃ)⓪: (感) (桑木の下の意)桑原桑原。雷をおそれ
て唱えるまじないの文句。雷が桑の木に落ちて桑の枝にはさまれて死んだという伝説
がある。桑木(くぁあぎ)ぬ叉、ともいう。
桑木(くぁあぎ)ぬ叉(また)⓪: (名) (桑木の股の意) 桑木(くぁあぎ)ぬ下
(しちゃ)、と同じ。
菓子(くぁあし)⓪: (名) 菓子。菓子(くぁし)、ともいう。
菓子屋(くぁあしやあ)⓪: (名) 菓子屋。菓子屋(くぁしや)、ともいう。
噛(くぁあ)⁼しゅん⓪: (他 ⁼さん、⁼ち) 両側からはさみ込む。かみ合わせる。は
さんでくわえるようにさせる。
喰(くぁあ)⁼しゅん@: (他 ⁼さん、⁼ち) @食わせる。喰(くぁ)ゆん[食う。喰
(か)ぬん、の卑語]の使役形。(家畜・こじき・けんか相手などに)食わせる。 ➁
くらわす。こうむらせる。 @罰(ばつぃ)喰(くぁあ)しゅん。/罰をくらわす。
@手突(てぃいぢ)くん喰(くぁあ)しゅん。/鉄拳をくらわす。
過(くぁあ)⁼しゅん@: (他 ⁼さん、⁼ち) くり出す。くり出して先へ送る。また、
手送りにしてよこす。投げたり、地をころがしたりせずに、間にいる人の手を経て、
よこす。 @緒(うぅう)過(くぁあ)しゅん。/紙だこのひもをくり出す。@此処
(くま)んかい過(くぁあ)為(せ)え。/手づたいに、こっちへよこせ。
⁻小為合(ぐぁあせ)え: (接尾) 〜ごっこ。まねごとをして遊ぶこと。⁻ぐぁあ、は
小さい意。⁻せえ、は、しあうこと。 @戦(いくさ)小為合(ぐぁあせ)え[戦争ご
っこ]、夫婦達(みいとぅんだ)小為合(ぐぁあせ)え[夫婦ごっこ]、など。
官人(くぁあにな)あ⓪: (名) おしゃれな者。
官人(くぁあにん)⓪: (名) おしゃれ。服装や容貌を飾ること。官人の意か。 @
官人(くぁあにん)為(しゅ)ん。/おしゃれをする。
桑(くぁあ)ぬ弓(ゆみ)⓪: (名) 子供が生まれた時、悪魔払いのまじないとして
桑で作った小さい弓で矢を射る習俗があった。その桑の弓。 ※桑の弓は、古来中国
の風習のようである。
過不足(くぁあふすく)⓪: (名) 過不足。
くぁあらくぁあら⓪: (副) ごろごろ。雷の鳴る音。
ぐぁあんぐぁあん⓪: (副) グヮーングヮーン。銅鑼鉦の音。綱引(つぃなふぃ)ち、
の時に打ち鳴らす。
喰(くぁあ)ん喰(くぁあ)んぬ⓪七椀(ななまかい)⓪: (句) 食べない食べない
と言っておきながら、七杯も食べること。食わずぎらいで、食べてみれば大いに食べ
ること。食べてみなければ好ききらいはわからないという場合にいう。
喰(くぁあ)ん喰(くぁあ)んぬ⓪七椀(ななまかや)あ⓪: (句) 食べない食べな
いと言っておきながら、七杯も食べる者。食わずぎらいでいながら、食べてみて大い
に食う者。
過言(くぁぐん)⓪@: (名) 過言。言い過ぎ。無礼なことば。
ぐぁさぐぁさ@: (副) @うようよ。うじゃうじゃ。虫などがたくさんいるさま。 ➁
がやがや。がさがさ。そうぞうしいさま。 Bごちゃごちゃ。混乱のさま。
菓子(くぁし)⓪: (名) 菓子(くぁあし)、と同じ。
火事(くぁじ)⓪: (名) 火事。
菓子荻(くぁしうぅうじ)⓪: (名) 甘蔗の一種。製糖用の甘蔗に似ているが、茎が
太く汁が甘い。製糖用にせず、盆に霊前に供えるのに使う。
火事見舞(くぁじみいめ)え⓪: (名) 火事見舞(くぁじみめ)え、と同じ。
火事見舞(くぁじみめ)え⓪: (名) 火事見舞い。
菓子屋(くぁしや)⓪: (名) 菓子屋(くぁあしやあ)、と同じ。
科銭(くぁしん)⓪: (名) 科料。罰金。科銭の意。科鞭(くぁむち)、ともいう。 @
科銭(くぁしん)佩(は)きゆん。/罰金を課する。
火葬(くぁそお)⓪: (名)[新] 火葬。
火葬場(くぁそおば)⓪: (名)[新] 火葬場。
くぁたくぁた@: (副) ぐつぐつ。ものの煮えたつ音。ぐぁたぐぁた、ともいう。
ぐぁたぐぁた@: (副) ぐつぐつ。ものの煮え立つ音。くぁたくぁた、ともいう。 *
混効験集:坤巻・言語に、ぐわたぐわた、とある。
くぁちくぁち@: (副) ぷんぷん。大いに立腹するさま。
火急(くぁちゅう)@: (名) 短気。せっかち。「火急」に対応するものか。 @火急
(くぁちゅう)な者(むん)。/せっかちな者。
隠(くぁっ)くぁ⁼しゅん⓪: (他 ⁼さん、⁼ち) 隠す。
隠(くぁっ)くぃ事(ぐとぅ)⓪: (名) 隠しごと。密事。秘密。
隠(くぁっ)くぃ回(まあ)い⓪: (名) 逃げ隠れること。隠れ回ること。
隠(くぁっ)くぃ⁼ゆん⓪: (自 ⁼らん、⁼てぃ) @隠れる。 ➁雨宿りする。 @隠
(くぁっ)くぃらしゅん。/イ・かくまう。人を隠れさせる。ロ・雨宿りさせる。
隠(くぁっ)くぃん而居(とお)るう⓪: (名) 隠れんぼ。その時の用語は、而居(と
お)い[もういいかい]、而居(とお)る[もういいよ]、倦(ああぐう)る[鬼が隠
れた者を見つけ出せない時にいう。降参]、など。 @隠(くぁっ)くぃん而居(とお)
るう為(しゅ)ん。/※動詞化。
隠(くぁっ)くぃん而居(どお)れえ⓪: (名) 隠(くぁっ)くぃん而居(とお)る
う、と同じ。
月蝕(ぐぁっしゅく)⓪: (名) 月蝕。 ※月(がつ)は、呉音。
活計(くぁっちい)⓪: (名) ごちそう。「活計」に対応する語か。 @活計(くぁっ
ちい)為侍(しゃび)ら。/ごちそうになります。 @活計(くぁっちい)為侍(し
ゃび)たん。/ごちそうさまでした。
活計活計(くぁっちいくぁっちい)⓪: (名) おいしいおいしい。おいしい意味の小
児語。
喰(くぁ)てぃい@: (名) 道楽者。放蕩者。
火難(くぁなん)⓪: (名) 火難。火事の災難。
華美(くぁびい)⁼ゆん@: (自 ⁼らん、⁼てぃ) 華美にする。ぜいたくにする。
華飛(くぁふぃい)@: (名)[文] 威厳。
果報(くぁふう)⓪: (名) 果報。幸運(にめぐり合うこと)。単に、報(ふう)、と
もいう。 @果報(くぁふう)ぬ有(あ)ん。/運がよい。 @果報(くぁふう)な
者(むん)。/果報者。
科鞭(くぁむち)⓪: (名) 科料。罰金。昔はむちを用いたのでいう。科銭(くぁし
ん)、と同じ。
喰(くぁ)⁼ゆん@: (他 ⁼あん、⁼てぃ) @食う。喰(か)ぬん[食べる]の卑語。
(動物・こじき・けんか相手などが)食う。 ➁ばくちなどで、利益を得る。 @喰
(くぁあ)りゆん。/イ・食われる。ロ・ばくちなどで、負けて金品を取られる。 B
(接尾)〜しやがる。 @行(い)ち喰(くぁ)ゆん[行きやがる]。来(ちい)喰(く
ぇ)え[来やがれ]。取(とぅ)い喰(くぇ)えわ[取りやがれ]。 など。
くぁらくぁら@: (副) かんかん。日が強く照りつけるさま。 @太陽(てぃいだ)
くぁらくぁら照(てぃ)ゆん。/日がかんかん照る。 *混効験集:坤巻・神祇に、
くわらくわら、とある。
官(くぁん)⓪: (名) 官。 @官(くぁん)ぬ事(くとぅ)。/おおやけのこと。政
府に属すること。
巻(くぁん)⁻: (接頭) 巻。 @巻(くぁん)ぬ一(いち)[巻の一・第一巻]など。
※間に「ぬ」があるので接頭語とは思えない。
⁻巻(くぁん): (接尾) 巻。書籍を数える接尾辞。 @一巻(いっくぁん)、など。
⁻貫(くぁん): (接尾) 貫。古くは銭1000文。明治以後は2銭を1貫(いっくぁ
ん)、とした。 @百貫(ひゃっくぁん)[100貫、2円]、千貫(しんぐぁん)[1
000貫、20円]、など。銭(じん)、の項参照。
願(ぐぁん)⓪: (名) 願。神仏に祈り願うこと。普通は、御願(うぐぁん)、という。
韻文では単に、願(ぐぁん)、ということがある。
頑固(ぐぁんく)⓪: (名) 頑固。かたくな。固意地。 @頑固(ぐぁんく)な。/
頑固な。
子愛(くぁんぐぁあ)らあしゃん⓪: (形) 子供に甘い。盲愛している。
光光(くぁんくぁん)@: (副) 上品で威厳のあるさま。中年以上の男の、ゆったり
として立派なこと、福々しいことなどをいう。 @運気(うんち)光光(くぁんくぁ
ん)。/顔が立派で威厳のあること。 @運気(うんち)光光(くぁんくぁん)とぅ髭
(ふぃじ)や唯(ただ)三筋(みすぃじ)。/お顔はご立派で、ひげはたった三本(歌
の文句。ひげが少ないのをあざけったもの)。
ぐぁんぐぁん@: (副) にぎやかなさま。祭り・綱引き・村芝居などで、大勢の人が
集まって、鳴り物を鳴らすなどしてにぎやかなさま。
頑固(ぐぁんく)う⓪: (名)[新] 頑固党(ぐぁんくとお)、と同じ。
頑固党(ぐぁんくとお)⓪: (名)[新] [頑固党]不賛成(ふさんしい)、ともいう。
その項参照。
冠船(くぁんしん)⓪: (名) [冠船]御冠船(うくぁんしん)、と同じ。
元祖(ぐぁんす)⓪: (名) @元祖。祖先。家系の初代の人。 ➁祖先。現存者以前
の人で家廟にまつられているすべての人。
萱草(くぁんそお)⓪: (名) かんぞう(萱草)。わすれぐさ。花・葉・白い茎は食用
となり、不眠症にきく。
元旦(ぐぁんたん)⓪: (名) 元旦。
元日(ぐぁんづぃち)⓪: (名) 元日。一月一日。
缶詰(くぁんづぃみ)⓪: (名)[新] かんづめ。
広東瓜(くぁんとぅうい)⓪: (名) すいか。広東瓜の意か。 *混効験集:乾巻・
飲食に、くわんとうり、とある。
広東(くぁんとぅん)@: (名) 広東。広州。
官人(くぁんにん)⓪: (名) 官人。役人。「高給をとり、美しく着飾った、一般人の
あこがれの的であるお役人」といった語感がある。官人(くぁんにん)でもないくせ
に、着飾っている者という意味で、取(とぅ)らん官人(くぁんにん)[取らぬ官人]
という語がある。
観音(くぁんぬん)⓪: (名) 観音。観音堂(くぁんぬんどお)、にある千手観音をい
う。旅に出る時に必ず参拝した。
観音竹(くぁんぬんちく)⓪: (名) 観音竹。庭に栽培される矮小な竹で、幹の高さ
50センチ内外。八重山の観音山の原産なのでこの名があるという説がある。
観音堂(くぁんぬんどお)⓪: (名) 観音堂。首里から那覇への出口にある。
棺箱(くぁんばく)@: (名) 棺箱。棺桶。首里では忌んで、宝物(たからむん)、と
もいう。
官話(くぁんふぁあ)⓪: (名) 官話。標準中国語。中国へ留学する場合や、役人と
して派遣される場合にそなえて、ハイカラな青年達が勉強した。
官持(くぁんむ)ち⓪: (名) 官費。留学・旅行などの費用を官側がもつこと。
丸薬(ぐぁんやく)⓪: (名) 丸薬。
恋(くい)⓪: (名)[文] 恋。 @如何(いか)な天竺(てぃんじく)ぬ鬼立(うに
た)ちぬ御門(うじょ)ん、恋(くい)ぬ道(みち)やりば開(あ)きどぅ為(しゅ)
ゆる。[いかな天竺の 鬼立の御門も 恋の道やれば 明きどしゆゆる(手水之縁)]
どんな天竺の鬼の立っている御門でも、恋の道なら開きもしよう。 ※手水之縁(て
みずのえん)は、平敷屋朝敏(へしきやちょうびん)作の組踊。 *おもろさうし・
833に、こい、とある。
古宇利(くい)⓪: (名) 古宇利島。沖縄本島本部半島東北方にある小島。また、古
宇利。 ※「こうり」、国頭郡今帰仁村である。
杭(くぃい)⓪: (名) くい。地中に打ちこむ棒材。 @杭(くぃい)打(う)ちゅ
ん。/くいを打つ。
声(くぃい)⓪: (名) @声。 @声(くぃい)立(た)てぃゆん。/声を立てる。
➁消息。次のように用いる。 @声(くぃい)聞(ち)ちゅん。/消息を聞く。安否
を尋ねる。その敬語は、御気良(うんちゅう)拝(うぅが)ぬん。 @吾(わあ)が
ん声(くぃい)聞(ち)ちゅたんでぃ御美宣(うんにゅ)きてぃ呉(くぃ)り。/わ
たしからもよろしくと言っていたと申し上げてくれ。 @御人(うんぢゅ)ぬ声(く
ぃい)聞侍(ちちゃびい)たん。/あなたによろしくとのことでした。 *おもろさ
うし・184に、こへ、とある。
行李(くぃい)@: (名) 戸棚。たんす代わりに着物などを入れるためのもので、中
に棚があり、戸を取り付けてある。作り付けのもの[据付(すつぃ)き行李(ぐぃい)]
と持ち運びができるものとあり、上を仏壇にしたものが多い。
声変(くぃいが)あい⓪: (名) 声変わり。
越来(ぐぃいく)⓪: (名) 越来。 ※「ごえく」、沖縄市の地名。 *おもろさうし・
1001に、こゑく、とある。
声(くぃい)消(ちゃあ)⁼しゅん⓪: (他 ⁼さん、⁼ち) @(歯を)強くかみ合わせ
る。くいしばる。 ➁(声などを)強くしめる。強くかみ合わせる。
声(くぃい)消(ちゃあ)⁼ゆん⓪: (自 ⁼らん、⁼てぃ) 強くかみ合う。(戸などが)
かたくしまる。 @走(はし)るぬ声(くぃい)消(ちゃあ)てぃ開(あ)かん。/
戸が強くしまって開かない。
食(くぃ)い切(ち)⁼ゆん⓪: (他 ⁼らん、⁼っち) 食い切る。噛み切る。
声(くぃい)切(ち)⁼ゆん@: (他 ⁼らん、⁼っち) 密封する。味噌を作る時や漬け
物をする時などに、空気が入らないように密封する。
食(くぃ)い付(つぃ)き⁼ゆん⓪: (他 ⁼らん、⁼っち) 食いつく。かみつく。かじ
りつく。
食(くぃ)い付(つぃ)⁼ちゅん⓪: (他 ⁼かん、⁼ち) 食いつく。かみつく。食(く
ぃ)い付(つぃ)きゆん、ともいう。
恋歌(くいか)⓪: (名) 恋歌。
声(くぃい)嗄(か)らあ⓪: (名) 声がかれること。また、かれた声。しわがれ声。
また、しわがれ声の者。
噛(くぃ)い口(くち)⓪: (名) (きせるなどの)吸い口。
繰(く)い返(けえ)し返(げえ)し⓪: (副) くりかえし。何度も。
繰(く)い返(けえ)⁼しゅん⓪: (他 ⁼さん、⁼ち) くり返す。
繰(く)い替(けえ)るう⓪: (名) くり替え。支払い先の決まった金を一時他に流
用することなど。
繰(く)い替(けえ)⁼ゆん⓪: (他 ⁼らん、⁼てぃ) くり替える。ふり替える。
恋死(くいじ)なあ⓪: (名) 恋死(くいじ)ん、の卑語。
恋死(くいじ)ん⓪: (名) 恋に浮き身をやつす者。恋に夢中な者。
恋路(くいぢ)⓪: (名)[文] 恋路。
噛(くぃ)い付(ぢ)き⁼ゆん@: (自 ⁼らん、⁼てぃ) @しっかりとせおう。 @負
(う)ふぁ噛(くぃ)い付(ぢ)きゆん。/しっかりとおんぶする。 ➁しょい込む。〜
からのがれられない。 @病(やんめ)え噛(くぃ)い付(ぢ)きゆん。/病気をし
ょい込む。 @貧相(ふぃんすう)噛(くぃ)い付(ぢ)きゆん。/貧乏からのがれ
られない。 ※この語は他動詞であると思う。
声作(くぃいづく)い⓪: (名) こわづくり。ことさらにせきばらいなどして、そこ
に人がいることを知らせること。 @声作(くぃいづく)い為(しゅ)ん。/※動詞
化。
噛(くぃ)い抜(ぬ)⁼じゅん⓪: (他 ⁼がん、⁼じ) 吸い出す。吸い出しごうやくが
うみを吸い出す場合などをいう。
閉(くぃ)い満(み)ち⁼ゆん@: (他 ⁼らん、⁼てぃ) 閉めきる。(雨戸などを)す
っかりしめる。
請(くぃ)い婿(むうく)⓪: (名) 乞婿。娘の婿になってくれと所望すること。ま
た、その婿。
越(くぃい)⁼ゆん@: (他 ⁼らん、⁼てぃ) 越える。 @橋(はし)越(くぃい)ゆ
ん。/橋を越える。 @溝(んんじゅ)越(くぃい)ゆん。/溝を越える。 @親(う
や)ぬ上(うぃい)から越(くぃい)ゆん。/親の言うことを聞かない。親を何とも
思わない。
くぃいりくぃいり⓪: (副) きしきし。ぎいぎい。車など、物のきしむ音。 @くぃ
いりくぃいり為(しゅ)ん。/ぎいぎいいう。
ぐぃいりぐぃいりい⓪: (副) ぎいぎい。開き戸などをあけたてする時のきしむ音。
噛(くぃ)い割(わ)⁼ゆん⓪: (他 ⁼らん、⁼てぃ) (黒砂糖・堅い菓子などを)か
んで割る。
悔(く)い張(は)い@: (名) ぶつぶつ。不平をいうさま。また、不平。悔(く)
やあ張(は)やあ、ともいう。 @悔(く)い張(は)い為(しゅ)ん。/ぶつぶつ
言う。
悔(く)い引(ふぃ)ち@: (名) いたく後悔すること。後悔(くうくぇえ)、より後
悔の度合が深刻。
刳(く)い舟(ふに)⓪: (名) くり舟。丸木舟。一本の木をくりぬいて作った舟。
削(すぃ)ん舟(に)、ともいう。 @削(すぃ)ん舟(に)刳(く)い舟(ふに)ぬ
行(い)ちゅる渡海(とぅけ)やりば、今日(きゆ)や行(ぃん)ぢ拝(うぅが)で
ぃ明日(あちゃ)や来(ちゅ)すぃが。[すんねくり舟の 行きゆる渡海やれば 今日
や行ぢ拝で 明日や来ゆすが]くり舟の行ける海だったなら、きょう行ってお会いし
てあすは帰って来るのだけれど。
恋触(くいぶ)り⓪: (名) 恋に狂った者。女についていうことが多い。 ⁻ぶり<触
(ふ)りゆん。
繰(く)い回(まあ)しい⓪: (名) やりくり。融通。
繰(く)い回(まあ)⁼しゅん⓪: (他 ⁼さん、⁼ち) 融通する。やりくりする。
繰(く)い戻(むどぅ)⁼しゅん⓪: (他 ⁼さん、⁼ち) [文]くりもどす。また、く
りかえす。 @寄(ゆ)ゆる年(とぅし)戻(むどぅ)し若(わか)く成(な)らり
ゆみ、繰(く)い戻(むどぅ)ち見欲(みぶ)しゃ花(はな)ぬ昔(むかし)。[寄ゆ
る年戻ち 若くなられゆめ くり戻ち見ぼしや 花の昔]寄る年を戻して若くなれよ
うか。花の昔をくりもどして見たいものだが。 ※年(とぅし)戻(むどぅ)ち、と
したほうが、全体的な語調がいいのでは?
繰(く)い前(めえ)⓪: (名) 機織りの器具の名。十字形の中心に軸があり、縢(か
な)[かせ糸]をかけて回転させ、糸を織るもの。
呉(くぃ)⁼ゆん@: (他 ⁼らん、⁼てぃ) くれる。与える。やる。また、(〜して)
やる。(〜して)くれる。敬語は、呉召候(くぃみせえ)ん[下さる]、さらにその上
は、御給召候(うたびみせえ)ん[賜る]。また、押上(うしゃ)ぎゆん[さしあげる]。
@彼(あ)りんかい書物(しゅむつぃ)一(てぃい)つぃ呉(くぃ)らな。/彼に本
を一冊やろう。 @其(う)れえ吾(わん)にんかい呉(くぃ)り。/それはわたし
にくれ。 @彼(あ)んし呉召候侍(くぃみせえび)れえ。/そうして下さいませ。
御縁(ぐいん)⓪: (名) 御縁。縁の敬語。 @別(わか)りてぃん互(たげ)に御
縁(ぐいん)有(あ)てぃからや糸(いとぅ)に貫(ぬ)く花(はな)ぬ切(ち)り
てぃ退(ぬ)ちゅみ。[別れても互に 御縁あてからや 糸に貫く花の 散れて退きゆ
め]別れてもたがいに御縁があるからには、糸に貫いた花が散り去ることがありまし
ょうか。 ※琉球語の「切(ち)りゆん」と「散(ち)りゆん」は、アクセントの違
いがあるが発音は同じである。理屈になるが、糸に貫こうが貫くまいが、花は散り去
るものである。たとえほんのわずかの時間であろうとも、花が咲いている間は、糸に
貫かれた花と花どうしが離れることはないと解釈したほうがいいと思う。「縁」と「切
れる」は、文字通り縁語である。あるいは、「切(ち)りゆん」と「散(ち)りゆん」
を「貫(ぬ)ちゅん」と「退(ぬ)ちゅん」と同じように掛け言葉と見るべきか。
五音(ぐいん)⓪@: (名) [五音]中国の宮商角徴羽の五音から転じて、(声の調子
のよいこと)。人の声の質・歌の音色(などのよいこと)。 @五音(ぐいん)ぬ良(ゆ)
たしゃん。/声の質がいい。
錮(くう)⓪: (名) @いかけ。なべ・おけ・ばけつなどの穴をふさぐこと。錮(こ)
の意。また、そのふさいだ箇所。 @鍋(なあび)ぬ錮(くう)為(しゅ)ん。/な
べの穴を修繕する。 ※ばけつは、カタカナで書くべきか。 ➁衣服のつぎ。 @着
物(ちん)ぬ錮(くう)為(しゅ)ん。/着物のつぎをする。
粉(くう)⓪: (名) 粉。粉末。「粉(こ)」に対応する。 @麦(むじ)な粉(くう)
[小麦粉]、豆(まあみ)な粉(くう)[きなこ]、など。 @粉(くう)鳴(な)らし
ゅん。/粉にひく。割(わ)ゆん[割る]という語を忌んで、鳴(な)らしゅん[鳴
らす]と言う。 @粉(くう)吹(ふ)ちゅん。/(蒸したさつまいもなどが)粉を
吹く。 ※粉(こ)を吹く、と読むようである。「粉吹きいも」という料理がある。
劫(くう)⓪: (名) 劫(こう)。碁の手。
甲(くう)⓪: (名) (亀・かになどの)甲。こうら。
功(くう)⓪: (名) 功。あまり使わない語。 @亀甲(かあみいくう)やか年(と
ぅし)ぬ功(くう)。/亀の甲より年の功。
骨(くう)@: (名) こつ。要領。 @ハブ捕(とぅ)いねえ骨(くう)ぬ有(あ)
ん。/はぶ捕りにはこつがある。
九(くう)@: (名) 九。普通は、九(くくぬ)つぃ、という。
籠(くう)@: (名) かご。鳥かごをいう。 @目白(そおみなあ)籠(くう)。/目
白のかご。など。
具(ぐう)⓪: (名) @仲間。同僚。相棒。また、ぐる。 @吾達(わったあ)具(ぐ
う)。/われらの仲間。 @具(ぐう)成(な)ゆん。/仲間になる。ぐるになる。具
成(ぐうな)ゆん、とは別。 ➁二つで組になった物。対の物。 B密通の間柄。ま
た、その相手。情婦。情夫。
碁(ぐう)⓪: (名) 碁。 @碁(ぐう)打(う)ちゅん。/碁を打つ。
五(ぐう)@: (名) 五。普通、五(いつぃ)つぃ、を使う。
小暑(くうあつぃ)さ@: (名) 小暑。二十四節の一つ。
庫裡(くうい)⓪: (名) 財産・道具などを入れておく裏部屋。「庫裡(くり)」と関
係ある語。 ※庫裡は、もともとは寺の台所のことであるが、僧侶の住居をもいうよ
うである。裡は裏という意味で、庫(く)は呉音である。
庫裡小(くういぐぁあ)⓪: (名) 庫裡(くうい)、の小さいもの。庫裡(くうい)、
と別にあって、とくに女の持ち物などを入れておく、あるいは、みそ・酒などを貯蔵
する小部屋。
乞(くう)い乳(ぢい)⓪: (名) もらい乳。乞い乳の意。
鯉魚(くういゆ)⓪: (名) 鯉。
碁打(ぐうう)ちゃあ⓪: (名) 碁打ち。棋士。
加(くうぇ)え⁼ゆん⓪: (他 ⁼らん、⁼てぃ) [文]加える。口語では、添(すぃ)
いゆん、などという。
恐(くううぇ)え⓪: (連体) 大変な。危ない。とんでもない。たとえば子供が酒を
飲もうとした時、おとながびっくりして、恐(くううぇ)え事(くとぅ)、とか、恐(く
ううぇ)え物(むん)、などという。 @恐(くううぇ)え人(っちゅ)。/無鉄砲な
人。 @恐(くううぇ)え間(みい)んかい入(い)ゆん。/とんでもない目にあう。
卵(くうが)⓪: (名) @卵。単独ではふつう鶏卵をいう。卵(たまぐ)、ともいう。
他は生み主の名をかぶせる。 @亀卵(かあみいくうが)[亀の卵]、鶩卵(あふぃら
あくうが)[あひるの卵]、目白卵(そおみなあくうが)[目白の卵]、魚(いゆ)ぬ卵
(くうが)[魚の卵]、ハブぬ卵(くうが)[はぶの卵]、など。 ➁(人・動物の)睾
丸。きんたま。形の類似からいう。
卵(くうが)あ⓪: (名) 植物名。さるなし。しらくちづる。実は盆の祭りに、茗荷
(みいがあ)[みょうが]とともに供える。実の形が卵に似ているのでいう。
卵殻(くうがぐる)⓪: (名) 卵のから。
卵取合(くうがとぅうえ)え⓪: (名) 子供の遊戯の名。鶏卵大の小石を四つ置き、
鬼がその上に四つんばいになって守り、石を取りに来る者を足で蹴る。取る者は蹴ら
れないように機敏に取り、蹴られれば代わって鬼となる。
卵(くうが)ふわふわあ⓪: (名) 卵焼き。ふわふわあ、は焼き立てのほやほやの意。
小毛(くうぎ)⓪: (名) 陰毛。腋毛は、脇小毛(わちくうぎ)、という。
ぐうぐう@: (副) ぶうぶう。豚の鳴き声。鳴き叫ぶ時の声は、がうぇえがうぇえ、
という。
後悔(くうくぇえ)@: (名) 後悔。 @後悔(くうくぇえ)為(しゅ)ん。/※動
詞化。
粉薬(くうぐすい)⓪: (名) 粉薬。散薬。
小際(くうさい)に@: (名) 小さい時。幼時。 @吾(わね)え小際(くうさい)
ねえ柔(やふぁ)らあやたん。/私は小さい時は病弱だった。 @小際(くうさい)
にぬ事(くとぅ)やてぃ分(わ)からん。/小さい時のことでわからない。
小(くう)さん@: (形) 小さい。また、幼い。 @小(くう)さる内(うち)に。
/幼時に。 同義語、細(ぐま)さん、は小さい・細かい・小粒であるの意。
九三九(くうさんくう)@: (名) 唐手の型の名。
孔子(くうし)⓪: (名) 孔子。
公儀(くうじ)@: (名) [公儀]王府。官府。
公事(くうじ)@: (名) 訴訟。裁判。披露事(ふぃるうぐとぅ)、ともいう。
串(ぐうし)⓪: (名) 串。竹串。
具志(ぐうし)⓪: (名) 具志。 ※「ぐし」、那覇市の地名。
錮(くう)しい皮(かあ)しい⓪: (副) ついだりはいだり。また、つぎはぎだらけ。
錮(くう)しい者(むん)@: (名) 貧乏者。細民。貧民。 @豊(ゆ)ちくな者(む
ん)、の対。
壊(くう)し売(う)い⓪: (名) 家を解体して売ること。また、まとまった古道具
などを分売すること。
公儀事(くうじぐとぅ)@: (名) おおやけの事。公儀。公用。公務。
公儀持(くうじむ)ち@: (名) 国費で事を行うこと。官費。公儀持ちの意。
具杖(ぐうしゃん)⓪: (名) 杖。
古酒(くうしゅ)⓪: (名) 古酒。泡盛の百年以上経たものもあり、珍重される。南
蛮甕(なんばんがあみ)に入れて、密閉してたくわえ、消費しただけ新たに入れて量
を減らさない。
小萎(くうしゅう)らあしゃん@: (形) かわいらしい。 ※共通語の古語、萎(し
を)らし、と関係のある語と思われる。
壊(くう)⁼しゅん⓪: (他 ⁼さん、⁼ち) こわす。くずす。解体する。 @家(やあ)
壊(くう)しゅん。/家をこわす。
漕(くう)⁼じゅん⓪: (他 ⁼がん、⁼じ) 漕ぐ。 @船(ふに)漕(くう)じゅん。
/イ・船を漕ぐ。ロ・居眠りをする。眠(にい)ぶい漕(くう)じゅん[眠りを漕ぐ]
ともいう。
小状(くうじょお)@: (名) 幼児のおしゃべり。用心のかわいらしい話しかた。
錮(くう)為(せ)え⓪無(ねえ)ん⓪: (句) (人が)如才ない。また、(商売など
が)失敗のおそれがなく、安全である。たとえば文房具商は、商品が傷まないので、
錮(くう)為(せ)え無(ねえ)ん、のようにいう。 @彼(あ)れえ何(ぬう)為
(し)みてぃん錮(くう)為(せ)え無(ねえ)ん。/彼は何をさせても如才ない。
管(くうだ)⓪: (名) 芭蕉糸を竹串に巻き、その竹串から引きぬいたもの。おだま
(苧環)。
愚垂(ぐうだ)⓪: (名) ぐうたら。なまけ者。ぶしょう者。だだをこねてすわりこ
んだ子供などをいう。
管串(くうだぐうし)⓪: (名) 機織りの道具の一つ。芭蕉布または、桐板(とぅん
びゃん)糸を巻きつけて、おだまを作る竹串。木綿糸などに用いる、管具(くだぐう)、
より太くて長い。管串の意。
胡弓(くうちょお)⓪: (名) 弦楽器の名。胡弓。形は三味線に似て小さく、弦は馬
の尾に松やにをつけたもので、三弦。出す音は細いが、恨みをこめて訴える一種独特
の音色を持ち、琴・三味線・笛と合奏する。
小(くう)てえ⓪: (名) 小さい物。小さい者。ちび。小(くう)てえ物(まあ)、と
もいう。<小(くう)さん。
小(くう)てえ物(ぬう)⓪: (名) 小(くう)てえ、小(くう)てえ物(まあ)、と
同じ。
小(くう)てえ物(まあ)⓪: (名) 小(くう)てえ、と同じ。
小(くう)てえん⓪: (名) 少し。わずか。ちょっと。また、小さく。量に関してい
う。時間に関しては、少時(いちゅた)、という。 @小(くう)てえん呉(くぃ)り。
/少しくれ。 @小(くう)てえんな負(う)っか。/わずかな負債。 @小(くう)
てえんっし済(し)ぬん。/ちょっとでいい。
少(くう)てえん小(ぐぁあ)@: (名) ほんの少し。ちょっぴり。
少(くう)てえんなあ@: (名) 少しずつ。小量ずつ。 ※小量は、少量とも書く。
つまり、小と少の使い分けは非常にむずかしい。日本語をあるいは、琉球語を漢字に
直すのは、科学的に厳密なものではなく、柔軟で自由であるべきだと思う。この考え
を押し進めれば、琉球語は、すべての人が自由に表現していいものであると思う。
外(くう)とぅ⓪: (名) 以外。よりほか。 @彼(あ)りやか外(くう)とぅ誰(た
あ)が知(し)っちょおが。/彼よりほかにだれが知っているか。 @母(あやあ)
外(くう)とお誰(たあ)がん見(んん)だん。/母以外には誰も見ない(幼児を夜
外出させる時に言うまじないの文句)。 ※この語の語源は、小(くう)とぅ、と思わ
れる。
⁻如(ぐうとぅ)う⓪: (接尾) ように。動詞の否定形につき否定の意志を表す。 @
行(い)かん如(ぐうとぅ)為(しゅ)ん。/行かないようにする。行くまいとする。
@薬(くすえ)え苦(んじゃ)さぬ飲(ぬ)まん如(ぐうとぅ)う為(しゅ)ん。/
薬は苦くて飲みたがらない。
事毎(くうとぅぐうとぅ)⓪: (副) ごとに。ことごとに。 @日(ふぃい)や事毎
(くうとぅぐうとぅ)。/日ごとに。一日一日と。 @月(つぃちぇ)え事毎(くうと
ぅぐうとぅ)。/月ごとに。
具(ぐう)とぅ夫婦(みいとぅ)⓪: 対の物。揃いの物。また、夫婦。
公当(くうとお)@: (名) [公当]公平。公正。 @公当(くうとお)な人(っち
ゅ)。/公平な人。 @彼(あ)りが為(しゅ)る事(くと)お何時(ちゃあ)公当(く
うとお)やん。/彼がすることはいつも公平だ。
ぐうなあ⓪: (名) ちんばの者。びっこの者。
具成(ぐうな)い者(むん)⓪: (名) 互いに密通している男女。 ※最近の言葉で
言えば、ダブル不倫にあたるのか。
具成(ぐうな)いん子(ぐぁ)⓪: (名) 私生児。具(ぐう)の項参照。
具成(ぐうな)⁼ゆん⓪: (自 ⁼らん、⁼てぃ) 私通する。密通する。
ぐうに⓪: (名) ちんば。びっこ。 @ぐうにくぇんくぇん。/びっこを引き引き。
くぇんくぇん、はびっこを引くさま。
小煮(くうに)い@: (名) 御手引(うてぃび)ち[肉・豆腐・野菜の類を醤油で煮
る料理]の料理法の一つ。材料を比較的小さく切って煮るもの。御手引(うてぃび)
ち、の項参照。
小腹(くうば)あ⓪: (名) 腹(わた)、のごく軽い敬語。目下の年長などに用いる。
普通の敬語は、御中腹(んちゅうぶ)、さらに上は、御人腹(うんちゅうぶ)。
蜘蛛(くうばあ)⓪: (名) 蜘蛛。こぶ(九州方言)。文語は、蜘蛛(くぶ)。
具外(ぐうは)じらあ⓪: (名) 具(ぐう)[一揃い。また、仲間]からはずれたもの。
不揃いになった半端。仲間はずれの者。具外(ぐうは)んだあ、ともいう。
具外(ぐうは)んだあ⓪: (名) 具外(ぐうは)じらあ、と同じ。
茱萸(くうび)⓪: (名) 植物名。ぐみ。果実は子供の好物。 ※茱萸(ぐみ)は、
日本語であり、お菓子の「グミ」は、ドイツ語である。
昆布(くうぶ)⓪: (名) 昆布。
瘤(ぐうふ)⓪: (名) こぶ(瘤)。
瘤(ぐうふぁ)あ⓪: (名) 瘤のある者。
ぐうふぁあふぃいふぁあ⓪: (副) でこぼこ。
昆布炒(くうぶい)りち⓪: (名) 料理名。昆布を細く切り刻み、肉・かまぼこ・卵
焼き・揚げ豆腐などをまぜて、油いためしたもの。正月ごろ多くする料理。
昆布巻(くうぶま)ち⓪: (名) 料理名。昆布巻。昆布を巻いて中に魚肉を入れ、砂
糖と醤油で煮たもの。
小栄(くうべえ)さん@: (形) 味がこまやかである。味わいがある。たとえば南京
豆・くるみ・栗など、噛んで味のよいものについていう。
具混(ぐうまん)ちゃあ⓪: (名) 不揃い(のもの)。ちぐはぐなもの。箸・はき物な
ど対のもので、形・大きさなどが不揃いなものにいう。
小舞(くうもお)い@: (名) 小おどり。雀躍。喜んで躍り上がること。
請(くう)やあ⓪: (名) 娘のいる家にその娘を嫁にもらいたいと申し込みに行く者。
多くは男方の親類縁者が行く。乞う者の意。 @請(く)うやあや参候(めんそお)
らんどお。/申し込む人がいらっしゃらないよ。女の子のおてんばをたしなめる文句。
尻骨肉(ぐうやあ)⓪: (名) 豚の尻の骨と肉。 @尻骨肉(ぐうやあ)ぬ御汁(う
しる)。/豚の尻の骨と肉をを材料にした料理。
尻骨肉煎(ぐうやあしん)じ⓪: (名) 豚の尻の骨を煎じたスープ。
噛(くう)やあ馬(ぅんま)⓪: (名) 人にかみつく馬。あばれ馬。荒馬。優(ぅう
ぇん)だ馬(ぅんま)[おとなしい馬]の対。
小雪(くうゆち)@: (名) 小雪。二十四節の一つ。
噛(くう)⁼ゆん⓪: (他 ⁼らん、⁼てぃ) @かみ付く。 @犬(いん)ぬ人(っちゅ)
噛(くう)ゆん。/犬が人にかみ付く。 ➁歯でくわえる。 @歯(はあ)噛(くう)
ゆん。/食物などが冷えて、歯にしみる。歯が食われるように感ずるのでいう。
請(くう)⁼ゆん⓪: (他 ⁼らん、⁼てぃ) 嫁に来てくれと頼む。「乞う」に対応する。
@嫁(ゆみ)請(くう)ゆん。/嫁に来てくれと頼む。
閉(くう)⁼ゆん@: (他 ⁼らん、⁼てぃ) 閉じる。 @口(くち)閉(くう)ゆん。
/口を閉じる。 @目(みい)閉(くう)ゆん。/目をつむる。 @墓(はか)ぬ門
(じょお)閉(くう)ゆん。/墓の入り口を閉じる。 @傘(かさ)閉(くう)ゆん。
/傘をすぼめる。
ぐうらあはったい⓪: (副) ぐらぐら。安定が悪く、揺れ動くさま。
氷(くうり)@: (名) @氷砂糖。氷砂糖(くうりざあたあ)、ともいう。 ➁[新]
氷。
氷砂糖(くうりざあたあ)@: (名) 氷砂糖。単に、氷(くうり)、ともいう。
壊(くう)り肉(じし)@: (名) 料理名。卵とじ。肉や細かく切った季節の野菜を
使う。
壊(くう)り幸(ぜえうぇ)え⓪: (名) こぼれざいわい。僥倖。失敗などがかえっ
てさいわいになること。
氷(くう)り太(ぶうとぅ)⓪: (名) ところてん。「こころぶと」とは関係ない語か。
天水羹(てぃんすぃいかん)、ともいう。 ※ところてんは、心太(こころぶと)が激
しく変化した語(南留別志、大言海)らしいが、正倉院の書物に「心天」と書かれて
おり、奈良時代には、すでに「こころてん」あるいは、「ところてん」となっていたよ
うである。(正倉院の書物では、「太」を「天」と書き誤ったという説もある。)
壊(くう)り⁼ゆん⓪: (自 ⁼らん、⁼てぃ) こわれる。くずれる。 @石垣(いしが
ち)ぬ壊(くう)りゆん。/石垣がくずれる。
黒(くうる)う⓪: (名) 植物名。塊根を、赤縞(あかしま)あ[織物の名]の染料
とする。
転(くう)るう⓪: (名) こま。子供の玩具の名。
小笑(くうわれ)え⓪: (名) くすっと笑うこと。 @小笑(くうわれ)え為(しゅ)
ん。/※動詞化。
御恩(ぐうん)⓪: (名) 御恩。
粉芋煮(くぅんむに)い⓪: (名) 料理名。米の粉・甘藷・赤麹(あかこおじ)[その
項参照]をまぜて煮て、砂糖を加えて練ったもの。正月の生(ぅん)まり年(どぅし)、
年日(とぅしびい)、などの祝いのとき(いずれもその項参照)に作る上等な食べ物。
きんとんに似ている。
御恩返(ぐうんげえ)し⓪: (名)
肥(くぇ)え⓪: (名) こえ。こやし。肥料。
桑江(くぇえ)⓪: (名) 桑江。 ※「くわえ」、中頭郡北谷町の地名。
鍬(くぇ)え@: (名) 鍬。
肥(くぇ)え桶(うぅうき)い⓪: (名) 肥桶。肥たご。
肥(くぇ)え肥(ぐぇ)えとぅ@: (副) でっぷり。太っているさま。 @肥(くぇ)
え肥(ぐぇ)えとぅ為居(しょお)ん。/でっぷりと太っている。
喰(くぇ)え口(くち)@⓪: (名) 食費。食いぶち。 @喰(くぇ)え口(くち)
置(う)ち着(き)れえ。/食費を出せ。
外戚(ぐぇえしち)⓪: (名) 外戚。姻戚。女(うぃなぐ)ぬ方(かた)、ともいう。
肥(くぇ)えたあ⓪: (名) 太った者。でぶ。肥(くぇ)えとぅう、肥(くぇ)え太
(ぶた)あ、ともいう。
肥(くぇ)え臀(たんだ)⓪打(う)⁼ちゅん⓪: (句) まるまると太っている。ぶく
ぶく太っている。⁻たんだ、は「たぶら」に対応する。打(う)ちゅん[打つ]には特
に意味はない。
快気(くぇえち)⓪: (名) 病気が全快すること。「快気」に対応する。
快気御祝(くぇえちういうぇ)え⓪: (名) 快気御祝(くぇえちうゆうぇ)え、と同
じ。
快気御祝(くぇえちうゆうぇ)え⓪: (名) 快気祝い。全快祝い。
喰(くぇ)え切(ぢ)らあ@: (名) 穀つぶし。食ってばかりいるなまけ者。
喰(くぇ)え切(ぢ)り者(むん)@: (名) 喰(くぇ)え切(ぢ)らあ、と同じ。
泥溜(ぐぇったい)⓪: (名) ぬかるみ。土溜(じったい)、と同じ。
泥溜道(ぐぇったいみち)⓪: (名) ぬかるみの道。
懐胎(くぇえてえ)⓪: (名) 懐胎。妊娠。 @懐胎(くぇえてえ)為居(しょお)
ん。/妊娠している。
肥(くぇ)えとぅう⓪: (名) 肥(くぇ)えたあ、の愛称。でぶ。でぶちん。
喰(くぇ)え倒(とお)⁼しゅん@: (他 ⁼さん、⁼ち) 食い倒す。(財産などを)食
いつぶす。
喰(くぇ)え倒(どお)り@: (名) 食い倒れ。美食をして財産を失うこと。 @首
里(しゅい)ん人(ちょ)お着倒(ちいどお)り、那覇(なあふぁ)ん人(ちょ)お
喰(くぇ)え倒(どお)り、泊(とぅまい)ん人(ちょ)お為倒(しいどお)り。/
首里の人は着倒れ、那覇の人は食い倒れ、泊の人は働き倒れ。
旅歌(くぇえな)⓪: (名) [こゑにや・くわいにや]歌謡の一種。旅人の平安を祈
るために、留守家族・親類の女たちが集まって歌う長い歌。旅歌と訳されることがあ
る。大城旅歌(うふぐすぃくぐぇえな)、降(う)り旬(じん)旅歌(ぐぇえな)、な
どがある。思(うむ)い旅歌(ぐぇえな)、といって、昔は祭式などの折に歌われた。
思(うむ)い、は「おもろ」の意。
肥(くぇ)え柄杓(にいぶ)う⓪: (名) 肥びしゃく。
喰(くぇ)え報(ぶう)@: (名) 食にありつく果報。 @喰(くぇ)え報(ぶう)
ぬ有(あ)ん。/食にありつく果報がある。ごちそうの席に不意に来訪した人などを
いう。ぶう<ふう(果報・幸運)。
肥(くぇ)え太(ぶた)あ⓪: (名) でぶ。肥大漢。肥(くぇ)えたあ、肥(くぇ)
えとぅう、ともいう。
喰(くぇ)え放(ほお)りい⓪: (名) @食い散らすこと。食い荒らすこと。 ➁財
産などの浪費。
喰(くぇ)え物(むん)@: (名) 食いもの。食物。
肥(くぇ)え⁼ゆん⓪: (自 ⁼らん、⁼てぃ) @(体が)太る。 ➁(土地が)越える。
くぇんくぇん@: (副) @ゆらゆら。ちゃぷちゃぷ。運ぶ桶の水などがゆれるさま。
➁びっこを引くさま。拗(ぐう)にいくぇんくぇん。/びっこを引き引き。
ぐぇんぐぇん@: (副) どろどろ。ぬかるみのさま。 @道(みち)ぬぐぇんぐぇん
為居(しょお)ん。/道がどろどろである。
呉我(ぐが)⓪: (名) 呉我。 ※「ごが」、名護市の地名。
焦(く)がし⓪: (名) 水につけておいた米をすりつぶし、水にといたもの。その煮
たもの、煮(に)い焦(く)がし、は病人・老人などの流動食にし、なまのままのも
の、生焦(なまく)がし、は悪酔いをさますのに用いる。
此方(くがた)⓪: (名) こちら側。こっち。 @恩納岳(うんなだき)彼方(あが
た)里(さとぅ)が生(ぅん)まり島(じま)、森(むい)ん押(う)し除(ぬ)きて
ぃ此方(くがた)成(な)さな。[恩納岳あがた 里が生れ島 森も押のけて こがた
なさな]恩納岳のむこう側は恋しい方の生まれ故郷、あの山も押しのけてこちら側に
したいもの。
古我知(くがち)⓪: (名) 古我知。 ※「こがち」、名護市の地名。
此(く)が遠(とお)⓪: (名) こんな遠方。この遠さ。
黄金(くがに)@: (名) こがね。黄金。 *おもろさうし・19に、こかね、とあ
る。混効験集:乾巻・器材に、こかね、とある。
黄金(くがに)い⓪: (名) 橘。こがね色の実がなるのでいう。酢食為(すぃいくぁ
あしゃ)あ、ともいう。初夏、香り高い白い花が咲く。未熟の酸味の強い青い実は、
芭蕉布をさらすのに用いる。
黄金指金(くがにいいびがに)い@: (名) 金の指輪。
黄金指和(くがにいいびなぎ)い@: (名) 黄金指金(くがにいいびがに)い、と同
じ。
黄金(くがに)い九年母(くにぶ)⓪: (名) 黄金(くがに)い、と同じ。
黄金御殿(くがにうどぅん)@: (名) 首里城の建物の名。御城(うぐすぃく)、の項
参照。 *混効験集:乾巻・家屋に、こかねおとん、とある。
黄金愛(くがにがな)しい前(めえ)@: (名) 王世子をさしていう敬語。皇太子様。
*混効験集:乾巻・人倫に、こがねがなし、とある。
黄金髪挿(くがにかみさ)し@: (名) 金のかんざし。男子用。王・王子・按司が用
いたもの。髪挿(かみさ)し、の項参照。
黄金結髪(くがにじいふぁあ)@: (名) 金のかんざし。女子用。思(う)み雌成部
(ないび)、および篤尊愛(あっとおがな)しい前(めえ)、すなわち王女以上の身分
の女がさしたもの。結髪(じいふぁあ)、の項参照。
黄金細工(くがにぜえく)⓪: (名) 黄金細工(くがにぜえく)う、と同じ。
黄金細工(くがにぜえく)う⓪: (名) 飾り職。金属でかんざし・金具などを作るの
を業とする者。
焦(く)がら⁼しゅん@: (他 ⁼さん、⁼ち) 焦がす。焼いて黒くする。
焦(く)がり死(じ)に@: (名) こがれ死に。恋いこがれて死ぬこと。
焦(く)がり⁼ゆん@: (自 ⁼らん、⁼てぃ) @焦げる。 ➁恋い焦がれる。
小雀(くかる)⓪: (名) 小鳥の名。4〜5月ごろ姿を見せる。凶鳥として忌み嫌わ
れている。
剋(くく)@: (名) @仲が悪いこと。剋の意。 @太郎(たるう)や次郎(じるう)
とぅ剋(くく)。/太郎は次郎と仲が悪い。 ➁食いあわせ。 @油物(あんだむん)
とぅ冷(ふぃじゅ)る水(みぜ)え剋(くく)。/油こいものと冷水は食いあわせ。
穀(くく)@: (名)[文] 穀物。穀の意。
⁻石(くく): (接尾) 石。一斗の10倍。 @一石(いちくく)[一石]。二石(にく
く)[二石]。など。
九月(くぐぁつぃ)⓪: (名) 九月。九月(くんぐぁつぃ)、ともいう。
五月(ぐぐぁつぃ)⓪: (名) 五月。五月(ぐんぐぁつぃ)、ともいう。
括(くく)い@: (名) @しめくくり。まとまり。しまり。 ➁くけ縫い。
括(くく)い針(ばあい)@: (名) くけ針。
括(くく)い役(やく)@: (名) [総り役]しめくくり役。まとめ役。
穀雨(くくう)⓪: (名) 穀雨。二十四節の一つ。
国王(くくおお)@: (名) 国王。
国学(くくがく)@: (名) [国学]首里の龍潭池畔の松崎に尚温王の時(1858
年)に設けられた国立の学校。王みずから「海邦養秀」の額を書き、教育を奨励した。
五穀(ぐくく)@: (名)[文] 五穀。
小城(くぐすぃく)⓪: (名) 小城。 ※「こぐすく」、島尻郡八重瀬町の地名。
湖城(くぐすぃく)⓪: (名) 湖城。 ※「こぐすく」、かつて小禄間切にあった地名。
心地(くくち)⓪: (名) 気持ち。気分。心地。 @心地(くくち)ぬ悪(わっ)さ
ん。/気分が悪い。
癇癪(くくつぃ)⓪: (名) 癇癪。
強(くく)てぃ巡(みんぐぁ)あ⓪: (名) 目まい。目がくらむこと。脳貧血。目暗
(みいくら)がん、ともいう。
強(くく)てぃ巡(みんぐぃ)⓪: (名) 強(くく)てぃ巡(みんぐぁ)あ、と同じ。
強(くく)てぃ巡(みんぐぃ)⁼ゆん⓪: (自 ⁼らん、⁼てぃ) 目まいがする。目がく
らむ。脳貧血をおこす。
小爛(くくてぃ)るさん⓪: (形)[文] やるせない。うらさびしい。 @間塞(まし)
籠(くま)てぃ居(うぅ)りば小爛(くくてぃ)るさ有(あ)むぬ、薄風(うすかじ)
とぅ連(つぃ)りてぃ忍(しぬ)でぃ入(い)らな。[ませこまて居れば ここてるさ
あもの うそ風とつれて 忍でいらな]引きこもっているとさびしくてたまらないか
ら、恋人のところへそよ風と一緒にこっそり入り込もう。 ※間塞(ませ)は、共通
語である。
小堪(くぐにい)⁼ゆん⓪: (他 ⁼らん、⁼てぃ) 慎む。慎重にする。うやうやしくす
る。
九読(くくに)いん⓪: (名) 織機の筬(おさ)の種類の名。九読みの意。経糸72
0本を通すもの。またそれで織った布。解(ふどぅ)ち、の項参照。
九(くくぬ)⓪: @(感) ここの。九つ。声を出して数える時にのみいう。 ➁(接
頭) @九回(くくぬけえ)ん[九回]、九羽(くくぬふぁに)[九羽]、九小盛(くく
ぬくむ)い[1銭8厘]、など。
九箇月(くくぬかん)⓪: (名) 生後九か月目に行う食べ初めの式。赤飯をたき、四
(ゆ)つぃ組(ぐん)[その項参照]のごちそうをする。その子供にはおかゆのような
柔らかい飯を食べさせる。
九小盛(くくぬくむ)い⓪: (名) 1銭8厘。銭(じん)、の項参照。
九小盛(くくぬくむ)い五十(ぐんじゅう)⓪: (名) 1銭9厘。銭(じん)の項参
照。
九人(くくぬたい)⓪: (名) 九人。まれな語。普通は、九人(くにん)、という。
九(くくぬ)つぃ⓪: (名) @九。こののつ。 ➁昼・夜の12時。
括(くく)ぬとぅ五十(ぐじゅう)⓪: (名) 四十九歳。 @来年(やあの)お括(く
く)ぬとぅ五十(ぐじゅう)成(な)ゆん。/来年は四十九になる。 ※「くくぬと
ぅぐじゅう」はいったいどういう意味なのか小学校からの疑問で、いまだによくわか
らない。分解すると、くくぬ(九)、とぅ(十)、ぐじゅう(五十)、となるが、どうし
ても数が合わない。「括(くく)ると五十」、ほとんど五十という意味で、四十九日を
連想しないように、わざわざそう言っているのではと解釈する。「何か別の解釈のある
方はお教えください。」
含(くく)⁼ぬん⓪: (他 ⁼まん、⁼でぃ) 口に含む。口にくわえる。口でしゃぶる。
@乳(ちい)含(くく)ぬん。/乳をしゃぶる。
国場(くくば)⓪: (名) 国場。 ※「こくば」、那覇市の地名。
国分(くくぶ)⓪: (名) 国分。鹿児島の地名。 ※「こくぶ」、鹿児島県の地名。現
在は、合併して、霧島市である。
小籠(くくむ)い⓪: (名) つぼみ。
小籠(くくむ)⁼ゆん@: (自 ⁼らん、⁼てぃ) (花が)つぼむ。つぼみとなる。 @
長春(ちょおしゅん)ぬ小籠(くくむ)而居(とお)ん。/ばらがつぼみをもってい
る。
括(くく)⁼ゆん@: (他 ⁼らん、⁼てぃ) @結ぶ。結んでまとめる。一緒にまとめる。
@夫(うぅとぅ)とぅ括(くく)ゆん。/離縁していた妻を和解させて夫と一緒にす
る。また、死後、別に葬られていた妻の骨を、夫の骨と一緒に、一つの骨がめに入れ
る。 ➁(裁縫で)くける。 Bしめくくる。結末をつける。
心倦(くくら)き⓪: (名) むなやけ。甘蔗などを食べ過ぎた場合などに胸がやける
こと。
極楽(ぐくらく)⓪: (名) 極楽。
心入(くくり)⓪: (名) 注意する心。気をつける心。用心。 @心入(くくり)ぬ
有(あ)る人(っちゅ)。/気を付ける人。注意心のある人。
心得(くくりい)⓪: (名) 心得ること。心得。理解。
心入(くくり)⁼ゆん⓪: (他 ⁼らん、⁼てぃ) 気を付ける。用心する。注意する。 @
心入(くくり)てぃ歩(あっ)きよお。/気を付けて歩けよ。
心(くくる)⓪: (名) 心。精神。心情。意志。肝(ちむ)[肝・心]と意味はほとん
ど同じだが、肝(ちむ)、を多く用いる。 @心(くくる)ぬ向(ん)かあん。/心が
向かない。しようとする意志がない。 @心(くくる)ぬ乗(ぬ)りらん。/気乗り
がしない。また、納得しない。 @心(くくる)打(う)ち明(あ)きゆん。/心を
打ちあける。 @心(くくる)ぬ狭(しば)さん。/心が狭い[肝(ちむ)ぬ狭(し
ば)さん、ともいう]。 @心(くくる)ぬ底(すく)。/心の底[肝(ちむ)ぬ底(す
く)、ともいう]。 @心(くくる)ぬ解(とぅう)きらん。/心が解けない、釈然と
しない。[肝(ちむ)ぬ解(とぅう)きらん、ともいう]。 @心(くくる)許(ゆる)
しゅん。/安心する、心をゆるめる。[肝(ちむ)許(ゆる)しゅん、ともいう]。 @
心(くくろ)お許(ゆる)さらん。/安心できない。 *おもろさうし・248に、
こゝろ、とある。
⁻心(ぐくる): (接尾) 〜のようなこと。また、〜のようなつもり。〜のような気持
ち。 @兄弟心(ちょおでえぐくる)[兄弟のようにしていること]、刀自心(とぅじ
ぐくる)[妻のような仲]、など。
心入(くくるい)り⓪: (名) 好意。親切。心をこめること。肝入(ちむい)り、と
もいう。
心覚(くくるう)び⓪: (名) 心覚え。心に記憶しておくこと。肝覚(ちむう)び、
ともいう。
心掛(くくるが)き⁼ゆん⓪: (他 ⁼らん、⁼てぃ) 心掛ける。また、励む。 @学問
(がくむん)心掛(くくるが)きゆん。/学問に励む。
心変(くくるが)わい⓪: (名) 心変わり。変心。
志(くくるざし)⓪: (名) こころざし。志。
心付(くくるづぃ)き⓪: (名) 心付け。僕婢に手当として与える金品。また、物品
を収納する役人に対する心付けをもいう。
心付(くくるづぃ)き役(やく)⓪: (名) [心付役] 蔵役(くらやく)、と同じ。
受け取る物品のうちから心付けとして上前をはねることが公然と許されていたのでこ
ういう。
心早(くくるべえ)さん⓪: (形) 目ざめやすい。睡眠中、ちょっとの物音ですぐ目
をさます。肝早(ちむべえ)さん、ともいう。
試(くくる)み⓪: (名) 試み。ためし。
心持(くくるむ)ち⓪: (名) こころ持ち。気持ち。
心許無(くくるむとぅな)さん⓪: (形) 心もとない。不安である。きずかわしい。
心安(くくるやっ)さん⓪: (形) 心安い。気づかいがない。安心である。
含(くく)ん酒(ざき)⓪: (名) 口移しに酒を飲ませること。含み酒の意。昔、国
頭地方などで男が女に対してこうする風があった。
御婚礼(ぐくんりい)⓪: (名) 御婚礼。婚礼(くんりい)、の敬語。
小返(くげ)え⓪: (名) 小返(くげ)えい、と同じ。
公界(くげえ)@: (名) 社交。交際。付き合い。「公界(くげい)」から転じた語(伊
波普猷)。多人数相手の場合をいう。個人的な交際は、触合(ふぃれ)え、という。 @
公界(くげえ)為(しゅ)ん。/たくさんの人を招いてごちそうする。 *おもろさ
うし・84に、こか、とある。
小返(くげ)えい⓪: (名) @動くこと。揺れること。揺れ。 ➁寝返り。
公界着物(くげえじん)@: (名) 訪問着。晴れ着。
公界銭(くげえじん)@: (名) 交際費。社交費。
小返(くげ)え⁼ゆん⓪: (自 ⁼らん、⁼てぃ) @動く。揺れる。 @船(ふに)ぬ小
返(くげ)えゆん。/船が揺れる。 ➁寝返りをうつ。
五合炊(ぐごおだ)ち⓪: (名) 五合だき(の鍋)。
苦(く)さ⓪: (名) 病名。フィラリヤ。突然発熱し、寒気がして体が震える。慢性
で、しまいに象皮病になる。南国に多い地方病。 @苦(く)さ触(ふ)りゆん。/
フィラリヤにかかる。体が震えるので、震(ふり)ゆん、ともいう。
草(くさ)⓪: (名) 草。とくに、雑草。 @草(くさ)ぬ芽(みい)ゆん。/雑草
がはえる。 @草(くさ)取(とぅ)ゆん。/雑草を取る。
鎖(くさい)@: (名) 支配。支配力。 @鎖(くさい)ぬ弱(よお)さん。/支配
力が弱い。
鎖(くさい)@: (名) 鎖。
草刈(くさか)い⓪: (名) 草刈り。
草掻(くさか)ち⓪: (名) 農具の名。かながき。鉄製の熊手のようなもの。草掻き
の意。
草刈(くさか)やあ⓪: (名) 草刈りをする者。子供が多くこれにあたる。また、草
刈りの道具。
草刈(くさか)やあ童(わらばあ)⓪: (名) 草刈りをする子供。
草木(くさき)⓪: (名) 草木。木草(きくさ)、ともいう。
此(く)さ丈(きい)⓪: (名) こんなにたくさん。こんなに多く。 @入(い)り
目(み)ぬ此(く)さ丈(きい)張上(はや)が而居(とお)ん。/費用がこんなに
超過している。 @此(く)さ丈(きい)ぬ人(っちゅ)。/こんなにたくさんの人。
臭(くさ)さん⓪: (形) 臭い。悪臭がする。 @臭(くさ)さ臭(くさ)さ。/臭
い臭い。とても臭い。
臭(くさ)じ菜(な)⓪: (名) 植物名。くさぎ。
削(くさ)⁼じゅん⓪: (他 ⁼がん、⁼じ) こそげる。こするようにして、けずり落と
す。(密着したものを)そぎ落とす。 @荻(うぅうじ)削(くさ)じゅん/イ・砂糖
きびの枯葉を幹からそぎ落とす。 ロ・盆祭りに具える。菓子荻(くぁしうぅうじ)[菓
子きび]の場合には、その幹の皮をそぎ落とす。
草取(くさとぅ)い⓪: (名) 草取り。
苦(く)さぬ根(にい)⓪: (名) 苦(く)さ[病名]の病根。
草(くさ)ぬ根(にい)⓪: (名) 草の根。
草(くさ)ぬ葉(ふぁあ)⓪: (名) 草の葉。
草(くさ)ぬ間(みい)⓪: (名) 草原の中。
草花(くさばな)⓪: (名) 草花。
楔(くさび)@: (名) くさび。楔。
臭膨(くさぶっくぁ)あ⓪: (名) ませた者。おとなぶる者。また、ペダンティック
な者。
臭膨(くさぶっくぃ)⁼ゆん⓪: (自 ⁼らん、⁼てぃ) ませる。こましゃくれる。また、
物知り顔にふるまう。
苦(く)さ触(ふ)りやあ⓪: (名) フィラリヤ患者。
嚏(くさみ)ち尚居(のお)り⓪: (副) 憤慨するさま。いきどおるさま。
嚏(くさみ)⁼ちゅん⓪: (自 ⁼かん、⁼ち) 怒る。憤慨する。
臭物言(くさむに)い⓪: (名) ませたものの言い方。おとなびた話し方。また、ペ
ダンティックな口のきき方。 @如何(ちゃみ)しか墨(すぃめ)え知(し)らのお
為居(しょお)てぃ臭物言(くさむに)い許(びけ)え為(っし)。/大して学問はな
いくせに、物知り顔な口のきき方ばかりして。
臭物言(くさむぬい)い⓪: (名)臭物言(くさむに)い、と同じ。
鎖(くさ)⁼ゆん@: (他 ⁼らん、⁼てぃ) @つなぎ合わせる。一つにする。合体する。
分家をもとにもどして一つにする場合などもいう。 @夫婦(みいとぅ)ん達(だ)
ぬ骨(くつぃ)一(てぃい)つぃんかい鎖(くさ)ゆん。/死後、夫婦の骨を一つに
して納める。 ➁支配する。 @家(やあ)鎖(くさ)ゆん。/家を支配する。 @
村(むら)鎖(くさ)ゆん。/村を支配する。
小皿(くざら)⓪: (名) 小皿。
碁皿(ぐざら)⓪: (名) ごけ。碁石を入れるうつわ。
腐(くさ)らあ⓪: (名) 腐ったもの。腐(くさ)り物(むん)、ともいう。
腐(くさ)り物(むん)⓪: (名) 腐ったもの。腐(くさ)らあ、ともいう。
腐(くさ)り⁼ゆん⓪: (自 ⁼らん、⁼てぃ) 腐る。腐敗する。食物のいったん煮たも
のが腐敗する場合は、饐(すぃい)ゆん、という。 @腐(くさ)り而居(とお)る
魚(いゆ)。/腐った魚。
小桟竹(くさんだき)@: (名) ほていちく。竹の一種。節が多く、葉は細かく、杖
や格子などにする。
御参詣(ぐさんちい)⓪: (名) 御参詣。国王が神仏へ参詣すること。正月・五月・
九月に、吉日をうらなって、弁才天・弁岳・末吉社壇・観音堂・普天間・識名などに
参詣した。
櫛(くし)⓪: (名) すきぐし。髪をすいてあかを取るための、歯の密な櫛。普通の
櫛は、捌(さば)ち、という。
久志(くし)⓪: (名) 久志。 ※「くし」、名護市の地名。
腰(くし)@: (名) @背中。背。また、腰、および背面全体。背中は、腰長根(く
しながに)、ともいう。また腰回りの細い部分は、腰回(がまく)、という。 @腰(く
し)叩(たた)ちゅん。/背中をたたく。あんまをする。 @腰(くし)磨(すぃ)
ゆん。/(風呂などで)背中を流す。 @腰(くし)押(う)しゅん。/(坂道を上
る時などに)背中を押す。 @腰(くし)引(ふぃ)ちゅん。/(親兄弟・一族など
の)名をはずかしめる。つらよごしをする。 @親(うや)ぬ腰(くし)引(ふぃ)
ちゅる行(うくね)え為(っし)。/親の恥となるような行為をして。 @糸目(いと
ぅみ)から針目(はいみ)抜(ふ)きるとぅん我身(わみ)ぬ何故(ぬゆ)でぃ思里
(うみさとぅ)ぬ御腰(みくし)引(ふぃ)ちゅが。[糸目から針目 ほけるとも我身
の のよで思里の 御腰引きゆが]糸が針の目をくぐるようなかぼそい暮らしをして
いても、何でいとしいあなたの不名誉になるようなことをしましょうか。 ➁[後]
うしろ。後方。背後。 @家(やあ)ぬ腰(くし)。/家の後ろ。 @腰(くし)成(な)
しゅん。/背を向ける。そっぽを向く。(いやだと)顔をそむける。腰(くしゃ)あ成
(な)しゅん、ともいう。
苦(く)し@: (名) 嫌って避けること。忌避。 @苦(く)し為(しゅ)ん。/嫌
う。忌避する。
奇(く)し@: (名) 欠点。きず。 @何(ぬう)奇(く)しん無(ねえ)ん人(っ
ちゅ)。/何の欠点もない人。 @塵(ちり)一(てぃい)つぃん無(ねえ)らん清(ち
ゅ)らさどぅ奇(く)し。[ちり一つもないらぬ 清らさどくせ(姉妹敵討)]塵一つ
もないのが欠点。掃除がきれいにできたことを自慢する文句。 ※姉妹敵討(しまい
てきうち)は、作者不明の組踊のようである。 ※おもろさうしに、「奇(く)せ」と
いう言葉が登場するが、これは、和語と同じく、美しい・立派な・珍しいなどの意味
である。
癖(くし)@: (名) 癖。性癖。 @嫌(や)な癖(ぐし)。/悪癖。 *混効験集:
坤巻・言語に、くせ、とある。
籤(くじ)⓪: (名) くじ。 @籤(くじ)当(あ)たゆん。/くじに当たる。
故事(くじ)@: (名) 故事。 @文字(むじ)ん故事(くじ)ん分(わ)からん。
/文字も故事も分からぬ意。物の道理をわきまえない。
⁻越(ぐ)し: (接尾) 置き。 @一日(ふぃっちい)越(ぐ)し[一日置き]、一月
(ちゅつぃち)越(ぐ)し[ひと月置き]、一年越(ちゅとぅぐ)し[一年置き]。 な
ど。
腰掛(くしが)き@: (名) @頼みにすること。頼りにすること。 ➁転じて、かさ
に着ること。鼻にかけること。威を借りること。 @親(うや)腰掛(くしが)き為
(しゅ)ん。/親の威をかさにき着る。 @銭(じん)腰掛(くしが)き為(しゅ)
ん。/金銭を鼻にかける。 ➁の意で多く用いる。
葛固(くじがた)み⓪: (名) くず粉で固めること。 @葛固(くじがた)みぬ御汁
(うしる)。/くず粉でとろりとさせた汁。
後慶良間(くしぎらま)@: (名) [後慶良間]座間味(ざまみ)間切の別称。
籤強(くじぐふぁ)さん⓪: (形) くじに弱い。くじ運がない。籤柔(くじやふぁ)
らさん、の対。 ※共通語とは発想が違うようで、これは、籤の方が強いというニュ
アンスのようである。
腰具(くしじゃあ)⓪: (名) 機織りの器具の一つ。地機で、猪(いや)ぬ子(っく
ぁ)[織った布を巻くもの。いのあし]と紐で結び、織る人の腰にかけるもの。
久志岳(くしだき)⓪: (名) 久志岳。国頭地方にある山。 ※「くしだけ」、名護市
にある。
腰叩(くしたた)ち⓪: (名) 腰をたたくこと。あんま。
戸籍(くしち)⓪: (名) 戸籍。 @戸籍(くしち)入(い)りゆん。/(結婚して)
入籍する。 @戸籍(くしち)抜(ぬ)じゅん。/(離婚などで)除籍する。
薄(ぐしち)⓪: (名) すすき。文語では、薄(すぃすぃち)、という。その花(尾花)
は、尾花(ばらん)、という。
甑(くしち)い⓪: (名) こしき。せいろう。強飯・菓子の類を蒸すもの。木のわく
の底に竹のすのこを敷いたもの。
後地(くしぢい)⓪: (名) [後地]伊平屋島(いひゃ)、をいう。
甑(くしち)い御菓子(うくぁあし)⓪: (名) こしきで蒸して作った菓子。蒸し菓
子。もっぱら祭礼用で、米の粉と砂糖を主にして、香料や、味をよくするため南京豆
などを少々入れる。種類多く、金楚糕(ちんすこお)、白尊糕(ぱあすんこお)、煮敷
(にすぃ)ち餅糕(むちごお)、色付(いるつぃ)き餅糕(むちごお)、高麗餅(こお
れえむち)、などがある。
具志川(ぐしちゃあ)⓪: (名) @具志川。 ※「ぐしかわ」、うるま市、および、島
尻郡久米島町の地名。 ➁具志川島。伊是名島(いじな)、の属島。 *おもろさうし・
1032に、くしかわ、とある。(うるま市の具志川である。)おもろさうし・586
に、くしかわ、とある。(久米島町の具志川である。)
具志頭(ぐしちゃん)⓪: (名) 具志頭。 ※「ぐしちゃん」、島尻郡八重瀬町の地名。
なお、合併前の村名は具志頭村(ぐしかみそん)であった。
具志堅(ぐしちん)@: (名) 具志堅。 ※「ぐしけん」、国頭郡本部町の地名。ちな
みに、具志堅を姓とし、「用」を名乗頭とする者は、琉球王家の士族「允氏(いんうじ)」
である。
腰耐(くしで)え@: (名) @腰の力。⁻でえ<てえ(力)。 ➁頼みとする力。頼み
となるもの。 @腰耐(くしで)え成(な)ゆん。/頼みとなる。 @腰耐(くしで)
え弱(よお)ゆん。/イ・腰の力が弱る。ロ・頼みに思う者がいなくなり、力が弱る。
腰長根(くしながに)⓪: (名) 背中。単に、腰(くし)、または、長根(ながに)、
ともいう。
腰脱(くしは)じい@: (名) もろ肌脱ぎ。帯から上を脱いで、上半身の肌をあらわ
すこと。
籤引(くじび)ち⓪: (名) くじ引き。
腰引(くしふぃ)ち@: (名) 名折れ。つらよごし。不名誉。親兄弟・一族などの名
をはずかしめること。 <腰(くし)引(ふぃ)ちゅん。
腰(くし)引(ふぃ)ち者(むん)@: (名) 一族一門などに不名誉となることをす
る者。つらよごし者。
腰冷(くしふぃぢゅ)るさん@: (形) 背筋が寒くなる。(こわい夜道を歩く時などに)
恐ろしさでぞっとする。急な危険の時、または人の危険を見た場合には、胸冷(んに
ふぃぢゅ)るさん[はっとする]という。
腰骨(くしぶに)@: (名) 背骨。長根骨(ながにぶに)、と同じ。
昏鐘鳴(くじみ)@: (名) 入相の鐘。「昏鐘鳴(こじみ)」に対応する。 *混効験
集:乾巻・時候に、こじめ、とあり、「節用集」が引用されている。
𤘩宮城(ぐしみゃあぐすぃく)⓪: (名) 𤘩宮城。 ※「ぐしみやぎ」、昔、小禄間切
にあった地名。「𤘩(ぐし)」は国字で、この人名以外の用例はない。
屑(くじゃ)⓪: (副) こなごな。こなみじん。 @粉(くじゃ)成(な)ゆん。/
こなごなになる。 @一発(ちゅばち)なかい瓦(かあら)屑(くじゃ)成(な)し
ゅん。/一撃で瓦をこなごなにする。
後(くしゃ)あ⓪: (名) 後ろ。後方。背後。 @後(くしゃ)あ打返(うっちぇえ)
ゆん。/仰天する。びっくり仰天する。後ろへひっくり返る意。後(くしゃ)あ成(な)
ゆん、ともいう。 @後(くしゃ)あ成(な)しゅん。/イ・後ろのする。ロ・後ろ
を向く。顔をそむける。後(くし)成(な)しゅん、と同じ。 @顔(つぃら)ぬ後
(くしゃ)あ成(な)るか悪口(あっく)為(しゅ)ん。/顔が向けられなくなるほ
ど、叱る。 @後(くしゃ)あ持(む)ち反(す)りゆん。/後ろのそりかえる。
古謝(くじゃあ)⓪: (名) 古謝。 ※「こじゃ」、沖縄市の地名。 *おもろさうし・
79に、こちや、とある。
五勺中盛(ぐしゃあくなかむ)い⓪: (名) 五勺桝。中盛(なかむ)い小(ぐぁあ)、
ともいう。
腰当(くしゃ)てぃ@: (名) @後ろにすること。背にすること。 @柱(はあや)
腰当(くしゃ)てぃ為(しゅ)ん。/柱を背にする。 @誠(まくとぅ)名(な)に
立(た)ちゅる塩屋(しゅや)ぬ番所(ばんどぅくる)、中山(なかやま)や腰当(く
しゃ)てぃ港(みなとぅ)前(め)成(な)ち。[まこと名に立ちゆる 塩屋の番所 中
山やこしやて 港前なち(花売之縁)]まことに名高い塩屋の番所は、中山を後ろにし、
港を前にしている。 ※花売之縁(はなうりのえん)は、高宮城親雲上(たかみやぐ
すくぺえちん)作の組踊である。 ➁頼りになる者。転じて夫。また、ひとり息子。
@腰当(くしゃ)てぃ失(うしな)ゆん。夫(または、ひとり息子)を失う。 B根
拠。 @何(ぬう)腰当(くしゃ)てぃ為(っし)彼(あ)ん言(ぃゆ)が。/何を
根拠にして、そういうか。 *おもろさうし・1339に、こしやて、とある。
腰当(くしゃ)てぃ方(かた)@: (名) 夫のかた。嫁入り先の方。成(な)し場(み
い)[里方]の対。
籤柔(くじやふぁ)らさん⓪: (形) くじ運が強い。(無尽講などで)くじによく当た
る。籤強(くじぐふぁ)さん、の対。 ※共通語とは発想が違うようである。これは、
籤のほうが柔かいというニュアンスのようである。
御書院(ぐしゅいん)⓪: (名) [御書院]首里城の建物の名。御城(うぐすぃく)、
の項参照。
九十(くじゅう)⓪: (名) 九十。
五十(ぐじゅう)⓪: (名) 五十。
御祝儀(ぐしゅうじ)⓪: (名) 御祝儀(ぐすうじ)、と同じ。
御所存次第(ぐしゅずんしでえ)⓪: (名) お考えのまま。御所存次第。おこころざ
し。所存次第(しゅずんしでえ)、の敬語。 @御所存次第(ぐしゅずんしでえ)良(ゆ)
たしゃい侍(びい)ん。/おこころざしで結構でございます。
腰憩(くしゆっくぃ)い⓪: (名) [腰憩]骨休め。農繁期の仕事が終わってする骨
休めの行事。部落ごとに酒宴を開き、余興にうち興ずる。砂糖仕事の後にするのが普
通。
腰憩(くしゅっくぃ)い⓪: (名)腰憩(くしゆっくぃ)い、と同じ。
群集(ぐじゅ)む⁼ゆん⓪: (他 ⁼らん、⁼てぃ) 蝟集する。密集する。 ※蝟集(い
しゅう)。蝟は、ハリネズミのこと。
着(く)し⁼ゆん@: (他 ⁼らん、⁼てぃ) 着せる。また、着せ与える。着物を作り、
または求めて、人に与える。 @着物(ちん)着(く)しゆん。/着物を着せる。
穿(くじ)⁼ゆん⓪: (他 ⁼らん、⁼てぃ) @くじる。えぐる。ほじくる。穴の中をか
きまわし、または中のものをえぐり出す。 ➁皮肉をいう。
越(く)⁼しゅん@: (他 ⁼さん、⁼ち) 越す。越える。 @明日(あちゃ)からぬ明
後日(あさてぃ)里(さとぅ)が番上(ばんぬ)ぶい谷茶(たんちゃ)越(く)しゅ
雨(あみ)ぬ降(ふ)らなやすぃが。[明日からの明後日 里が番のぼり 谷茶越す雨
の 降らなやすが]明明後日は恋しいかたが首里へ勤務に向かう日だが、谷茶の村を
超えてしまうくらいの雨が降って出発できなくなればいいのだが。
後生(ぐしょお)⓪: (名) 後生。あの世。冥土。 @後生(ぐしょお)近(ちか)
く成而居(なとお)ん。/あの世(死)が近づいている。
御状(ぐじょお)⓪: (名) 御状。お手紙。 @旅(たび)ぬ御状(ぐじょお)御待
(うま)ち為侍(しゃび)ら。/旅のお手紙をお待ちしましょう。
腰弱(くしよお)さん@: (形) 心細い。頼る者がなくて、心細い。
後生装(ぐしょおすが)い⓪: (名) 死に装束。
御生人(ぐしょおにん)⓪: (名) 生人(しょおにん)[十二支の上での、生まれ年]
の敬語。御殿(うどぅん)、の按司(あじ)、などの、御生人(ぐしょおにん)、には、
その一族のものが集まって、組踊りなどを催したものである。
後生戻(ぐしょおむどぅ)い⓪: (名) 死にそこない。あの世帰り。死に瀕してふた
たび生き返った者。または死んだという噂が立って生きていた者。死(し)に外(は
ん)だあ、ともいう。
鯨(ぐじら)⓪: (名) 鯨。
崩(くじ)り格子(ごおし)⓪: (名) 諸取切(むるどぅっち)り、の那覇語。
崩(くじ)り⁼ゆん⓪: (自 ⁼らん、⁼てぃ) くずれる。 @石垣(いしがち)ぬ崩(く
じ)りゆん。/石垣がくずれる。
拵(くしれ)え⁼ゆん@: (他 ⁼らん、⁼てぃ) 魚や家畜の類を料理しやすい形に切り
分ける。(魚を)おろす。(家畜の類を)解きわかつ。
御神壇(ぐしんだん)⓪: (名)[古] [御神壇]大名家[御殿(うどぅん)]で祖先
を祭ってある仏壇。一般の家のものは、御仏壇(うぶつぃだん)、という。
御前風(ぐじんふう)⓪: (名) [御前風]歌曲の名。御前風節。王の前で奏した次
の五曲をいう。すなわち、鍛冶屋出風節(かぢゃでぃふうぶし)[かぎやで風節]、恩
納節(うんなぶし)、中城端前節(なかぐすぃくはんためえぶし)[中城はんた前節]、
特牛節(くてぃぶし)[こて節]、長伊平屋節(ながいひゃぶし)。祝賀の席では、まず
この五曲を奏してから、他の曲に移る。
屎(くす)⓪: (名) くそ。大便。首里の上品な家庭では、裏(うら)、という。 @
屎喰(くすくぇ)え。/くそくらえ。くしゃみをした時にいうまじない。 @屎(く
す)漏(ま)ゆん。/大便をする。くそまるの意。上品には、裏(うら)立(た)ち
ゅん、または、厠(ふる)入(い)ゆん、などという。 ※くしゃみをした時にまじ
ないとして、「くさめ、くさめ」と唱えることが、徒然草47段にある。この「くさめ」
は、「屎食(くそは)め」のことであるというのが柳田国男の説。枕草子28段には、
「はなひて、誦文(ずもん)する。」とある。大便をすることを「まる」というのは、
共通語の古語であり、古事記、日本書紀にも登場する。万葉集3832には、「屎(く
そ)遠くまれ櫛造る刀自(とじ)」とある。 *混効験集:坤巻・言語に、くそくはい、
とあり、徒然草が引用されている。
去年(くず)⓪: (名) 去年。「こぞ」に対応する。
薬(くすい)⓪: (名) 薬。 @取(とぅ)てぃ付(つぃ)きる薬(くすえ)え無(ね
え)ん。/とってつける薬はない。馬鹿につける薬はない。 @薬九層倍(くすいく
しょおべえ)。/[新][薬九層倍]。 ※薬は、売値が原価の九倍もすることから、暴
利をむさぼることを、薬九層倍(くすりくそうばい)という。 @薬(くすい)盛(む)
ゆん。/薬を盛る。調合する。
葛(くずぃ)⓪: (名) 澱粉。くず粉。
城(ぐすぃく)⓪: (名) [城]城。とりで。防衛のため堅固に築いた建物。 ※「ぐ
すぃく」は、もともとは、まわりよりも小高く盛り上がった場所をさす言葉のようで
ある。なお、「くすく」、「⁻くすく」は、おもろさうしの頻出語である。
城(ぐすぃく)⓪: (名) 城。 ※「ぐすく」、名護市の地名。昔は名護市のメインス
トリートであった。
城間(ぐすぃくま)⓪: (名) 城間。 ※「ぐすくま」、浦添市の地名。
城(ぐすぃく)ん人(ちゅ)⓪: (名) [城人]官女。うねめ。首里城の御殿女中。
中でも王の妾となったものは、大勢頭部(うふしどぅび)、という。
崩(くずぃ)⁼しゅん⓪: (他 ⁼さん、⁼ち) くずす。整ったものを乱す。また、盛っ
たごちそうなどに手をつける。 @字(じい)崩(くずぃ)しゅん。/くずし字を書
く。 @御重(うじゅう)崩(くずぃ)しゅん。/重箱のごちそうに手をつける。 @
父(たありい)に御目掛(うみか)きてぃから崩(くずぃ)せえ。/おとうさんにお
目にかけてから(ごちそうに)手を付けなさい。
薬代(くすいでえ)⓪: (名) 薬代。医者に払う治療費すべてをもいう。
薬町屋(くすいまちや)⓪: (名) 薬局。薬屋。
薬屋(くすいやあ)⓪: (名) 薬屋。薬売り。また、薬局[薬町屋(くすいまちや)]。
小僧(くずう)@: (名) 小僧。仏門の小僧をいう。
御祝儀(ぐすうじ)⓪: (名) 御祝儀。お祝いの敬語。御祝儀(ぐしゅうじ)、ともい
う。
御衆様(ぐすうよお)⓪: (名) [御総様]皆様。大勢にむかって話す時、はじめに
言うことが多い。聴衆がすべて目下ならば、衆様(すうよお)[諸君]、という。 @
御衆様(ぐすうよお)や如何(ちゃあ)而侍(でえび)るが。/皆様はいかがでござ
いますか。
屎肥(くすぐぇ)え⓪: (名) 下肥え。ぜいぜい。
ぐすぐす@: (副) @せき込むさま。ごほんごほん。 @咳(ふぃみ)ちぐすぐす。
/喘息であえぐさま。 ➁物を切るさま。さくさく。ざくざく。 @包丁(ほおちゃ
あ)さあにぐすぐす切(ち)ゆん。/ほうちょうでさくさく切る。
屎切(くすち)り走(ば)い⓪: (名) 一目散に走ること。
楠(くすぬち)⓪: (名) くすのき。楠。樟。
屎放(くすふぃ)りい⓪: (名) 下痢。上品には、外立(ふかだ)ち、という。⁻ふぃ
りい<放(ふぃ)ゆん。
ぐすみか⁼しゅん⓪: (他 ⁼さん、⁼ち) さっと切る。ずばりと切る。 @喚(あび)
いねえ首(くび)ぐすみかさりいんどお。/大声をあげたら首をずばりとやられるぞ。
軟骨(ぐすみち)⓪: (名) 軟骨。
呂宋唐黍(ぐすんとおぢん)⓪: (名) 呂宋唐(ぐすんとお)ぬ黍(ちん)、と同じ。
呂宋唐(ぐすんとお)ぬ黍(ちん)⓪: (名) とうもろこし。唐(とお)ぬ黍(ちん)、
は、もろこし。呂宋唐黍(ぐすんとおぢん)、呂宋唐黍(るすんとおぢん)、ともいう。
小細工(くせえく)@: (名) 男の裁縫師。巧妙な刺繍などの手工芸を業としている。
下(くだ)い@: (名) @下り。高所から低所へ降りること。 ➁下り。首里からい
なかへ、また、本土から沖縄へ下ること。
下(くだ)い口説(くどぅ)ち@: (名)[下り口説]旅口説(たびくどぅち)、の項参
照。
久高(くだか)⓪: (名) 久高島。沖縄本島南部、知念崎(ちにんざち)、の東方にあ
る島。また、久高。 ※「くだか」、南城市に属する。 *おもろさうし・650に、
くたか、とある。
此丈(くだき)⓪: (名) この高さ。こんなに高く。
砕(くだ)き⁼ゆん⓪ (自 ⁼らん、⁼てぃ) 砕ける。こわれて細片となる。
管具(くだぐう)⓪: (名) 機織りの器具の一つ。緯糸を巻きつけて梭(ひ)に入れ
る小さい管。木綿糸・絹糸用で、芭蕉糸や桐板(とぅんびゃん)糸用の管串(くうだ
ぐうし)、より小さい。
ぐたぐた@: (副) ぐうぐう。こんこん。よく眠るさま。
下(くだ)し@: (名) 下痢。
下(くだ)し薬(ぐすい)@: (名) 下剤。
腐(くた)⁼しゅん⓪: (他 ⁼さん、⁼ち) 腐らせる。いもかすなどをわざわざ腐らせ
る場合などにいう。
下(くだ)⁼しゅん@: (他 ⁼さん、⁼ち) @下す。本土から沖縄へ、また、首里から
いなかへ、人・物を送る。 ➁下痢する。
砕(くだ)⁼ちゅん@: (他 ⁼かん、⁼ち) 砕く。うちこわして細片にする。
越(く)た月(つぃち)@: (名) 先月。超えた月の意。前月は、前(めえ)ぬ月(つ
ぃち)。
ぐたっとぅ@: (副) ぐったり。疲れきって、元気のないさま。 @ぐたっとぅ成(な)
ゆん。/ぐったりとなる。
碁玉(ぐだま)⓪: (名) 碁石。
踏(くだ)み⓪: (名) @踏み台。高い所のものを取ったりするための台。 ➁地機
の道具の一つ。足をかけるもの。 B縁の外にある、はきものをぬぐ石。くつぬぎ石。
踏み台。 ※地機(じばた)は、脚のない古型の布織機。
踏(くだ)み⁼ゆん@: (他 ⁼らん、⁼てぃ) 踏む。踏みつける。
草臥(くたん)でぃ⓪: (名) くたびれ。疲れ。疲労。 @長道(ながみち)為(っ
し)草臥(くたん)でぃ出(ぃん)じゃ而居(ちょお)ん。/長道して疲れが出た。
@御草臥(うくたん)でぃん為(さ)あい侍(び)らに。/お疲れではございません
か(長老へのあいさつ)。
草臥(くたん)でぃ直(のお)し⓪: (名) 疲れを直すこと。慰労。また、疲労回復
になる食べ物など。
草臥(くたん)でぃ⁼ゆん⓪: (自 ⁼らん、⁼てぃ) くたびれる。疲れる。疲労する。
過労などの場合をいう。走ったときなどの一時的な疲れは、小絶(うぅた)ゆん、と
いい、また、精神的な疲労は、疲(つぃか)りゆん、という。
東風(くち)⓪: (名) こち。東風。春先に東から吹く風。 @菅原道真の歌、「東風
(こち)吹かば匂ひおこせよ梅の花あるじなしとて春な忘れそ」。東風(こち)は、共
通語である。
口(くち)@: (名) @口。 @口(くち)閉(くう)ゆん。/口を閉じる。だまる。
@口(くち)吸(すう)ゆん。/口を吸う。口付けする。 @諸殿美童(しゅどぅん
みやらび)ぬ雪巫女(ゆちぬる)ぬ歯茎(はぐち)、何時(いつぃ)か夜(ゆ)ぬ暮(く)
りてぃ御口吸(みくちす)わな。[諸鈍めやらべの 雪のろの歯ぐき いつか夜の暮れ
て み口吸はな]諸鈍の乙女の雪色の歯をした口、早く日が暮れてあの美しい口を吸
いたい。 ※諸鈍は、諸殿と書いたほういいと思う。私は、口づけを歌った和歌・短
歌に出会ったことがない。 @口(くち)尖(とぅが)らしゅん。/口をとがらす。
不満そうな顔つきをする。 @口(くち)とぅ斗掻(とおか)ち。/口と斗掻きの意。
余裕のないぎりぎりの暮らし。斗掻きでかきならしたように、食うだけしかなく、少
しも余らない。 @口(くち)破(やん)じゅん。/口がおごってしまう。美食癖を
つけてしまう。 @口(くち)濯(ゆすぃ)じゅん。/口をゆすぐ。うがいする。 ➁
職。就職口。 @口(くち)尋(とぅ)めえゆん。/職を捜す。 B食。食物の分け
前。 @口(くち)引(ふぃ)かりゆん。/食物を他の人の分として減らされる。 @
口(くち)引(ふぃ)ちゅん。/食物の分け前を減らす。 @親(うや)ぬ口(くち)
引(ふぃ)ちゅん。/(子が)親の分まで食べてしまう。 C物を出し入れなどする
口(くち)。 @瓶(びん)ぬ口(くち)。/瓶の口。 D口に出して言うこと。こと
ば。言語。 @口(くち)追(うう)ゆん。/事実がことばを追うの意。縁起のよい
ことを言えば、その言の通りのことがあり、悪いことを言えば悪いことが実現するこ
とをいう。 @口(くち)ぬ分(わ)からん。/ことばがわからない。ことばが通じ
ない。 @口(くち)適(かな)ゆん。/口が達者である。また、(長上に対し)口答
えする。 @口(くち)滑(すぃん)だかしゅん。/口をすべらす。言うべきでない
ことをうっかり口にする。 @口(くち)にん為(さあ)らん物言(むぬい)い方(か
た。/絶対に口にすべきでないことを言うこと。 @口(くち)ぬ悪(わっ)さん。
/口が悪い。物事を悪しざまに言う癖がある。 @口(くち)掘(ふ)ゆん。/物を
言わせてみて様子を探る。それとはなしに意中を尋ねる。 @確(たし)かに村原(む
らばる)ぬ比屋(ひゃあ)やすぃが確(しか)いとぅ見覚(みいう)びぬ無(ねえ)
らん。先(ま)じ口(くち)掘(ふ)てぃ探(さぐ)てぃ見(ん)どお。/[たしか
に村原ひややすが しかいと見覚の無らぬ まづ口振て探て見だう(大川敵討)]確か
に村原の比屋だが、しかと見覚えがない。まず物を言わせてみてさぐって見よう。 ※
口を振る、なのか、口を掘る、なのか。私の語感では、「口を掘る」のほうが例文を参
考にしてもより適切なのではと思うが読者の意見は?ちなみに、日本国語大辞典には、
「口を振る」も「口を掘る」も載っていない。これは琉球語独特の表現のようである。
なお、大川敵討(おおかわてきうち)は、久手堅親雲上(くだけんぺえちん)作とい
われる組踊である。 E(接尾)言語名を表す。〜語。 @沖縄口(うちなあぐち)[沖
縄語]、大和口(やまとぅぐち)[日本語]、唐(とお)ぬ口(くち)[中国語]、阿蘭陀
口(うらんだぐち)[西洋語]、など。 F端緒。はじめ。 G(接尾)端緒。しはじ
めの意を表す。 @新口(みいぐち)[商売の口あけ]、捗口(はかぐち)[仕事のしは
じめ]、縫口(ぬうくち)[布の織りはじめ]、など。
釘(くぢ)@: (名) 釘。
茎(ぐち)⓪: (名) 茎。草・野菜などの茎。
愚痴(ぐち)@: (名) 悪口。また、口答え。 @愚痴(ぐち)為(しゅ)ん。/悪
口をいう。また、口答えをする。
⁻ぐち: (接尾) 口(くち)、の項を参照。
口浅(くちあっ)さん@: (形) 口が軽い。軽々しく口をきく。浅(あっ)さん、は
浅い。
口苛痒(くちうぃいごお)さん@: (形) えぐい。口がえぐい。
口重(くちぅんぶ)さん@: (形) 口が重い。話がへたである。訥弁である。
口数(くちかずぃ)@: (名) @口数。ことば数。 ➁飯を食う口の数。すなわち、
人数。
口軽(くちがっ)さん@: (形) 口が軽い。軽々しく口をきき、秘密をもらしやすい。
口金(くちがに)⓪: (名)口金。器の口に付ける金具。
口髪(くちからじ)@: (名) 口と髪の意。次の句で用いる。 @口髪(くちからじ)
傷(や)ぬん。/子供などを叱り続けて疲れる。小言を言い続けて頭も痛くなり、口
もだるくなる意。髪(からじ)、はこの場合、頭の意か。
口剃刀(くちがんすい)@: (名) 口がかみそりのように鋭いこと。口達者。口巧者。
朽木(くちき)⓪: (名) 朽木。
口癖(くちぐし)@: (名) 口癖。
口々(くちぐち)@: (名) 口々。みんなの言葉。
口事(くちぐとぅ)@: (名) 口論。言い争い。口げんか。
口強張(くちぐふぁ)あ@: (名) ことばが荒々しい者。口が悪い者。毒舌家。
口強張(くちぐふぁ)さん@: (形) ことばが荒々しい。また、口が悪い。毒舌を吐
く。
口車(くちぐるま)@: (名) 口車。 @尾類(ずり)ぬ口車(くちぐるま)御客(う
ちゃく)打(う)ち乗(ぬ)してぃ。/女郎の口車、お客うち乗せて。
小使(くぢけ)え⓪: (名) (役場などの)小使。
口先(くちさち)@: (名) 口先。本心でなく、うわべのことば。
口寂(くちさびっ)さん@: (形) 口がさびしい。空腹というほどではないが、何か
を口にしたい。
口三線(くちざんしん)@: (名) 口三味線。口で三味線(さんしん)、の音をまねる
こと。
口汁(くちしる)@: (名) 唾。よだれ。口の中にたまった唾液。 @口汁(くちし
る)じいじい。/よだれをたらたら。
口舌(くちすぃば)@: (名) うわさ。評判。口唇の意。 @世間(しきん)ぬ口舌
(くちすぃば)に掛(か)かゆん。/世間のうわさにのぼる。悪いことの場合にいう。
口作(くちづく)い⓪: (名) 何か少し食べて食欲をそらすこと。たとえば外出の時、
ほんの少し食べて、食事をした気分を作って出かけること。 口作(くちづく)い為
(しゅ)ん。/※動詞化。
口止(くちどぅ)み@: (名) 口止め。他言しないようにとどめておくこと。自分が
慎む場合にもいう。
愚痴名(ぐちなあ)@: (名) あだ名。あざけって呼ぶための名。たとえば、背の低
い人を、豆(まあみ)い、と呼ぶなど。
梔子(くちなし)⓪: (名) くちなし。植物名。風回(かじまや)あ、ともいう。
口不味(くちにい)さん@: (形) 食欲がない。
口(くち)ぬ緒(うぅう)@: (名) 口癖。いつもふた言目には言い出すようなこと。
口の緒(うぅう)の意。
口(くち)ぬ上辺(ぅわあ)び@: (名) 口先。うわべだけの言葉。
釘抜(くぢぬ)じゃあ⓪: (名) 釘抜き。
口(くち)ぬ米(めえ)⓪: (名) 自分ひとりがやっと食べられるだけの働き。
口直(くちのお)し⓪: (名) 口直し。にがい薬を飲んだあとで砂糖をなめるなど。
轡(くちば)@: (名) くつわ。馬の口につける金具。
口歯痒(くちはごお)さん@: (形) 口ぎたない。物の言い方が卑しい。
口下手(くちびた)@: (名) 口べた。訥弁。 @口下手(くちびた)な。/口べた
な。
口歯向(くちふぃん)けえ@: (名) 口ではむかうこと。口ごたえ。
口返答(くちふぃんとお)@: (名) 口返答。口答え。口歯向(くちふぃん)けえ[口
はむかい]の方がやや積極的反抗。
口吹(くちぶう)ち@: (名) ほらを吹くこと。大言壮語。
東風吹(くちぶ)ち⓪: (名) 春先に東風が吹くこと。こち吹きの意。
口早(くちべえ)さん@: (形) 口が早い。早口にしゃべる。また、食べるのが早い。
口回(くちまあ)い⓪: (名) 口実。言いのがれ。逃げ口上。文語は、口巡(くちみ
ぐ)い。
口旨(くちまあ)さん@: (形) 食欲が出て、何でもおいしい。病気の回復時などに
いう。口不味(くちにい)さん、の対。
口巡(くちみぐ)い⓪: (名)[文] 口回(くちまあ)い、の文語。 @大海(うふう
み)に降(う)りてぃ潮汲(しゅうく)みがてぃやり、母(ふぁふぁ)や色々(いる
いる)に口巡(くちみぐ)い語(かた)ら。[大海に下りて 潮汲みがてやり 母や色々
に 口めぐり語ら(孝行之巻)]海に降りて潮を汲みにとか、母にはいろいろ口実を言
おう。 ※孝行之巻(こうこうのまき)は、玉城朝薫(たまぐすくちょうくん)作の
組踊である。母(ふぁふぁ)は、日本本土の平安時代にも同様に発音されていたよう
である。興味のある方は、拙訳、混効験集:乾巻・気形「あひら」の現代語訳補足説
明を参照。
古知屋(くちゃ)⓪: (名) 古知屋。 ※「こちや」、かつて、金武間切に古知屋とい
う村があったようだが、現在、古知屋という地名はないようである。
庫裡(くちゃ)@: (名) 若夫婦が寝室として使う部屋。上流家庭のものは、御庫裡
(んくちゃ)、という。 *おもろさうし・982に、こちや、とある。 ※「くちゃ」
が、庫裡(くり)と関係のある語とするのは、伊波普猷の「沖縄考」所収「庫裡につ
いて」による。
口喧(くちやがま)しゃん@: (形) 口やかましい。小言ばかり言う。
銭田虫(ぐちゃふぁ)⓪: (名) ぜにたむし。ぜにがさ。円形にひろがる田虫。
口惜(くちゅう)しや残念(ざんにん)@: (句)[文] [口惜しや残念]口惜しや残
念。組踊用語。
くちゅくちゅ@: (感・副) こちょこちょ。人をくすぐる時にいう語。 @くちゅく
ちゅ擽(くちゅぐ)ゆん。/こちょこちょくすぐる。
擽(くちゅぐ)⁼ゆん@: (他 ⁼らん、⁼てぃ) くすぐる。
朽(く)⁼ちゅん⓪: (自 ⁼たん、⁼っち) 朽ちる。くさってこわれる。
故郷(くちょお)@: (名) 故郷。普通は島(しま)、という。 @故郷(くちょお)
ぬ名残(なぐり)ぬ立(た)ちゅん。/故郷が目に浮かぶ。 ➁帰郷。 @故郷(く
ちょお)為(しゅ)ん。/帰郷する。
小塵(ぐぢり)@: (名) 枯れ枝。枯れた枝ぎれ。
東風平(くちんだ)⓪: (名) 東風平。 ※「こちんだ」、島尻郡八重瀬町の地名。
御倹約(ぐちんやく)⓪: (名) 御倹約の意。政府が行う倹約政策などをいう。
骨(くつぃ)⓪: (名) 骨(こつ)。遺骨。
骨御移(くつぃううち)い⓪: (名) 墓の移転の場合など、骨を移すこと。
骨御迎(くつぃうんけ)え⓪: (名) 骨をお迎えすること。よそに葬った骨を、改葬
するために持って来ること。
苦痛(くつぃ)さん⓪: (形) 苦しい(のどをしめられた時など)。また、つらい。情
ない。やるせない。
寛(くつぃる)じ@: (名) くつろぎ。
寛(くつぃる)じゅん@: (自 ⁼がん、⁼じ) くつろぐ。体を休めて、のんびりする。
くっくるううう⓪: (副) おんどりが時をつくる時の鳴き声。こけこっこう。
極寒(ぐっか)@: (名) 極寒(ぐっかん)、と同じ。
極寒(ぐっかん)@: (名) 酷寒。極寒。ひどい寒さ。極寒(ぐっか)、ともいう。
此(く)っさ⓪: (名) これだけ(の数)。これくらい(の数量)。これほど。
ぐったい⓪: (副) ぐったり。くたくた。疲れて手足の力が抜けたさま。
疣(くつび)⓪: (名) いぼ。皮膚に盛り上がってできるいぼ。
此(く)っ比(ぴ)⓪: (名) これほど(の量)。これくらい(の分量)。この大きさ。
此(く)っ程(ぺえ)る⓪: (連体) これほど(の量)。この大きさの。
此(く)っ程(ぺえ)るう⓪: (名) この大きさのもの。これだけの量のもの。
口手(くでぃ)@: (名) 一族を代表する神官。御口手(うくでぃ)、ともいう。その
項参照。
特牛(くてぃ)い牛(うし)⓪: (名) 牡牛。「ことい牛」、「こって牛」などと比較さ
れる。 ※特牛(こというし)は、強健な牡牛のこと。万葉集3838、「吾妹子(わ
ぎもこ)が額(ぬか)に生(お)ひたる雙六(すごろく)の牡牛(ことひのうし)の
鞍(くら)の上の瘡(かさ)」。この歌は舎人皇子(とねりのみこ)が意味不明の歌を
作ってみよと言ったのに対しての歌である。したがって意味は全く不明である。 *
混効験集:坤巻・気形に、こてい、とある。
特牛節(くてぃぶし)@: (名) [特牛節]歌曲の名。御前風(ぐじんふう)五曲の
中の一つ。 @大北(うふにし)ぬ特牛(くてぃ)や縄槌菜(なぢちな)どぅ好(す
ぃ)ちゅる、吾達(わした)若者(わかむぬ)や花(はな)どぅ好(すぃ)ちゅる。[大
西のこてや なづち菜ど好ちゆる わした若者や 花ど好ちゆる]大西(部落名。北
のはずれの意)のことい牛はナヂチ菜を好むが、われら若者は花(女)を好む。この
歌詞に、特牛(くてぃ)、とありこれを本歌として歌ったので、特牛節(くてぃぶし)、
といわれた。のち、いろいろの歌詞で歌われるようになり、特牛節(くてぃぶし)、の
名のいわれがわからなくなった。
久手堅(くでぃきん)⓪: (名) 久手堅。 ※「くでけん」、南城市知念の地名。斎場
御嶽(せえふぁうたき)、がある。 *おもろさうし・1021に、くてけん、とある。
供台(くでえ)⓪: (名) 仏壇にある台。一番上の台に位牌を安置し、二段目・三段
目の台には供物を供える。
五体(ぐてえ)⓪: (名) 手足。五体の意の転じたもの。
答(くて)え⁼ゆん⓪: (自 ⁼らん、⁼てぃ) @答える。普通は、返答(ふぃんとお)
しゅん、という。 ➁(苦痛が)こたえる。 @答(くて)えら為而居(さっとお)
さ。/だいぶこたえ(させられ)ているよ。
事(くとぅ)⓪: (名) こと。事。ことがら。また、事件。変事。 @阿蘭陀(うら
んだ)なかい事(くとぅ)ぬ起(う)く而居(とお)ん。/西洋で事件が起こってい
る。 @事(くとぅ)欠(か)じゅん。/事欠く。不足し、不自由する。 @事(く
と)お欠(か)がん。/事欠かない。足りて不自由しない。 @事(くとぅ)やりば
事(くとぅ)い。/[文]物かは。何でもない。物ともしない。 @禁止(ちじ)ぬ
籬垣(ましがち)ん事(くとぅ)やりば事(くとぅ)い、花(はな)に付(つぃ)く
蝶(はびる)禁止(ちじ)ぬ成(な)ゆみ。[禁止のませ垣も ことやればことい 花
につく胡蝶 禁止のなゆめ(執心鐘入)]恋には禁止のませ垣くらい何物でもない。花
につく蝶をとめることができようか。 ※執心鐘入(しゅうしんかねいり)は、玉城
朝薫(たまぐすくちょうくん)作の組踊である。
⁻くとぅ: (接尾) から。ので。理由を表す。活用する語の「短縮形」(apocopated form)
につく。 @行(い)ちゅくとぅ。/行くから。 @彼(あ)んやくとぅ。/そうだ
から。
如(ぐとぅ)⓪: (名) (前に来る語とともに副詞的に働く)ごと。ごとく。よう。
ように。「連体形」のあと、⁻ぬ(の)のあとなどに用いる。 @花(はな)ぬ如(ぐ
とぅ)清(ちゅ)らさん。/花のように美しい。 @蕾(つぃぶ)でぃ居(うぅ)る
花(はな)ぬ露(つぃゆ)来会(ちゃ)た如(ぐとぅ)。[つぼでをる花の つゆきや
たごと(御前風)]花のつぼみが露に会ったよう。 @畑(はたけ)え通(とぅう)ら
ん如(ぐとぅ)道(みち)通(とぅう)り。/畑は通らないで道を通れ。 @雨(あ
み)ぬ降(ふ)ゆる如(ぐとぅ)鉄砲玉(てぃっぷうだま)ぬ落(う)てぃてぃ来(ち
ゃ)ん。/雨が降るように鉄砲の玉が落ちて来た。 @汝(ぃやあ)如(ぐとぅ)清
(ちゅ)らされえ好(ま)しやすぃが。/あんたぐらいきれいだったらいいんだけど。
琴(くとぅう)⓪: (名) 琴。十三弦で、野村流と安富祖流の二流がある。沖縄では
琴を単独に弾く流儀はなく、正式には三味線の伴奏として弾くことが多い。絃名は日
本と同じく、一二三四五六七八九十斗為巾の十三絃。 @琴(くとぅう)弾(ふぃ)
ちゅん。/琴を弾く。 @琴(くとぅう)ぬ爪(つぃみ)。/琴爪。日本本土の琴爪よ
り大きく長い。 @琴(くとぅう)ぬ弦(つぃる)。/琴糸。三味線の糸のように生糸
で作る。
琴(くとぅう)ぬ馬(ぅんま)⓪: (名) ことじ(琴柱)。形が馬に似ているのでいう。
事御添(くとぅうせえ)い⓪: (名) 事をあなどること。軽視。
くとぅかあくとぅかあ⓪: (感) くとぅくとぅう、と同じ。
事欠(くとぅか)じ⓪: (名)事欠くこと。足りずに不自由すること。
事毎(くとぅかじ)⓪: (副) ことごとに。そのたびごとに。 @事毎(くとぅかじ)
強口(ごおぐち)為(しゅ)ん。/ことごとに苦情をいう。
五徳(ぐとぅく)⓪: (名) (火鉢の)五徳。
くとぅくとぅう⓪: (感) 猫を呼ぶ声。沖縄では猫の名前を、徳(とぅく)、と名付け
るので、呼ぶ時には、どの猫でも、くとぅくとぅう、で間にあう。くとぅかあくとぅ
かあ、ともいう。
事錆(くとぅさび)⓪: (名) わざわい。悪いできごと。
此年(くとぅし)@: (名)[文] ことし。今年。 @此年(くとぅし)面作(むづく
いや〜。/ことしの作物は。 *混効験集:乾巻・時候に、ことし、とある。
口説(くどぅ)ち⓪: (名) [口説]歌謡の一種。一種の叙事的な歌謡曲。もとは教
訓を含めた歌で、だれにでも歌いやすい調子のものであったが、のち、教訓の意を含
まない流行歌もできるようになった。数節の歌詞を同じ曲譜で歌う。巷間にもてはや
されたものとしては、意見口説(いちんくどぅち)、旅口説(たびくどぅち)[上(ぬ
ぶ)い口説(くどぅち)、と下(くだ)い口説(くどぅち)よりなる]、四季口説(し
ちくどぅち)、黒島口説(くるしまくどぅち)、などがある。歌詞はほとんど全く日本
語の沖縄読みで、七五・七五の連続よりなる。
口説(くどぅ)ち拍子(べえし)⓪: (名) [口説拍子]口説(くどぅ)ち、の歌詞
と歌詞との間に、舞踊する者が即興的に入れる文句。本土のはやしことばのように短
いものではなく、八八調や八六調などのことばをたくさん続ける。新築の祝いには家
屋を賛し、還暦祝い・出生祝いには長寿を祝福し、子孫繁盛を祈願するなど、才人で
なければできない。
言葉(くとぅば)⓪: (名) @訛り。訛語。方言。 @言葉(くとぅば)為(しゅ)
ん。/訛りがある。方言を使う。 ➁(接尾)方言。〜弁。 @田舎言葉(いなかく
とぅば)[いなかの方言]、那覇言葉(なあふぁくとぅば)[那覇弁、那覇方言]、山原
言葉(やんばるくとぅば)[山原弁、山原方言]、など。地方的、非標準的なものをい
う。口(くち)、の項参照。 Bことば。表現。 @言葉(くとぅば)追(うう)ゆん。
/言葉を追う意。口(くち)追(うう)ゆん、と同じ。口(くち)、の項参照。 @言
葉(くとぅば)縊(くん)じゅん。/あげ足を取る。言いそこね、言い過ぎなどをと
らえて攻撃する。 @言葉(くとぅば)ぬ作(つぃく)り。/ことばの極致。洗練さ
れ、含蓄のあることば。
言葉数(くとぅばかずぃ)⓪: (名) ことば数。口数。口数(くちかずぃ)、ともいう。
言葉遣(くとぅばぢけ)え⓪: (名) ことば使い。
言葉(くとぅば)ぬ緒(うぅう)⓪: (名) ことばのはし。ことばのあや。ことばの
緒の意。 @言葉(くとぅば)ぬ緒(うぅう)どぅやる。/言い回しの上のことに過
ぎない。
言祝(くとぅぶ)ち⓪: (名)[文] [寿]ことぶき。ことほぎ。
事由(くとぅゆし)⓪: (名) ことよせること。かこつけること。口実。
言寄(くとぅゆ)し⓪: (名) 忠告。訓育。寄(ゆ)し言(ぐとぅ)、の動作性名詞。
@言寄(くとぅゆ)し為(しゅ)ん。/忠告する。教訓をたれる。
言寄(くとぅゆ)し⁼ゆん⓪: (他 ⁼らん、⁼てぃ) ことよせる。かこつける。口実を
設ける。 @思(う)まん故(ゆい)からどぅ義理(じり)に言寄(くとぅゆ)しる、
隠(かく)り細道(ふすみち)ぬ有(あ)らな置(う)ちゅみ。[思まぬ故からど 義
理にことよせる 隠れほそ道の あらな置きゆめ]思っていないから義理にかこつけ
るのだろう。思っているならばこっそり通う細道がないはずはない。
事訳(くとぅわき)⓪: (名) 言いわけ。陳謝。わけを言ってわびること。 @事訳
(くとぅわき)為(しゅ)ん。/陳謝する。
断(くとぅわ)⁼ゆん⓪: (他 ⁼らん、⁼てぃ) ことわる。拒絶する。辞退する。
愚鈍(ぐどぅん)⓪: (名) 愚鈍。愚図。 @愚鈍(ぐどぅん)な。/愚鈍な。
如(ぐと)おん@: (連詞・不規則) ようである。ごとし。⁻ぬ(の)のあと、「連体
形」のあとなどに用いる。 @猫(まやあ)ぬ如(ぐと)おん。/猫のようだ。 @
玉(たま)ぬ如(ぐと)おさ。/玉のようだ。 @生(い)ち返(げえ)ゆる如(ぐ
と)おさ。/生き返るようだ。 @男(うぃきが)ぬ如(ぐと)おる女(うぃなぐ)。
/男のような女。 @富貴(ぅうぇえき)為(しゃ)る如(ぐと)おん。/金持ちに
なった気持ちだ。
組(くな)⓪: (名) 組。組(くみ)、の項参照。 @組(くな)組(く)ぬん。/組
を作る。組織する。 @首里愛(しゅいがな)し前出居(めでい)七(なな)ぬ組(く
な)[首里加那志美公事七の組][文]首里王城に仕える七つの組。すなわち、親方部
(うぇえかたび)二人、御座敷衆(うざしちしゅう)二人、当親雲上達(あたいぺえ
ちんた)二人、勢頭親雲上達(しどぅぺえちんた)二人、御書院親雲上達(ぐしゅい
んぺえちんた)二人、里主達(さとぅぬした)二人、筑登之達(ちくどぅんた)二人、
家来赤頭(ぎれえあくがん)七人(真境名安興による)。役目の下につく(⁻た)は、
複数を表す接尾辞。 *混効験集:乾巻・言語に、こな、とある。
踏(く)なあ⁼しゅん@: (他 ⁼さん、⁼ち) 踏みつける。踏みにじる。踏み荒らす。
此長(くなぎ)⓪: (名) この長さ。こんなに長く。
踏(く)な⁼しゅん@: (他 ⁼さん、⁼ち) @踏みつける。 ➁(人を)踏みつけにす
る。(弱い者を)あなどり、しいたげる。 B消化する。(食物を)こなす。 C耕作
する。耕して十分土の手入れをする。 @吾(わん)童(わらび)とぅ思(む)てぃ
踏(く)なしゅらば踏(く)なし、踏(く)なし田(だ)ぬ稲(ぃんに)ぬ畔枕(あ
ぶしまくら)。[わんわらべともて こなしゆらばこなせ こなし田の稲の あぶしま
くら]わたしを子供だと思っていじめるならいじめよ。よく耕された田の稲はあぜを
枕にするほど実るのだから。 D(受身の形で) 修養を積む。鍛錬を経る。 @踏
(く)な為而居(さっとお)る人(っちゅ)。/修養のできている人。
比(くな)ば⁼ゆん@: (自 ⁼らん、⁼てぃ) 並ぶ。二つのものが一線にそろう。また、
肩を並べる。優劣がない。
比(くな)び⁼ゆん@: (他 ⁼らん、⁼てぃ) 並べる。並べて比べる。比較する。 *
おもろさうし・1297に、くなべ、とあり、言葉間書がある。
国(くに)@: (名) @村落。部落。村。島(しま)、村(むら)、などと同じ意味。
複合語に、花国(はなぐに)[芸能の盛んな村]、枯(か)り国(ぐに)[寒村]など。
➁封土。領土。知行所。知行としてもらう村。 B故郷。郷土。出身の部落。 C国。
国家。 ※「くに」は、おもろさうしの頻出語である。
国吉(くにし)⓪: (名) 国吉。 ※「くによし」、糸満市の地名。
九日(くにち)@: (名) ここのか。月の九番目の日。また、一日の九倍。
五日(ぐにち)@: (名) いつか。月の第五の日。また、一日の五倍。
国中(くにぢゅう)@: (名) 国中。国全体。
小似兄弟(くにちょおでえ)@: (名) 血縁関係のない他人同志でいて、まるで兄弟
のように似ている者。他人のそら似。ちょおでえ、は兄弟。
国(くに)ぬ俗(ずく)@: (名) @国の風俗。 ➁村里・郷土の風俗。土俗。
此(く)に輩(ひゃあ)⓪: (名) 此(く)ぬ輩(ひゃあ)、と同じ。
九年母(くにぶ)⓪: (名) オレンジ類の総称。みかんなど。香吹(かあぶ)ちい[実
の皮が厚く、汁が少なく、甘いもの]、青唐(おおとお)[実の皮が薄く、汁が多く、
すっぱいもの]などの種類がある。 *おもろさうし・984に、くねふ、とある。
此(く)に時(や)⓪: (名) @この時分。今ごろ。 @来年(やあん)ぬ此(く)
に時(や)。/来年の今ごろ。 ➁こんなに遅く。こんな時間。 @此(く)に時(や)
何処(まあ)かいが。/こんなに遅くどこへ行くのか。 @此(く)に時(や)夜深
(ゆぶか)さに童声(わらびぐぃ)ぬ有(あ)すぃが、甚(いとぅ)不思議(ふしじ)
でむぬ、急(いす)ぢ聞(ち)かに。[こねや夜ぶかさに わらべ声のあすが いと不
思議だいもの 急ぢ聞かね(執心鐘入)]こんな夜ふけに子供の声がするが、実に不思
議だ。急いで行って聞いてみよう。 ※執心鐘入(しゅうしんかねいり)は、玉城朝
薫(たまぐすくちょうくん)作の組踊である。
曲(くに)り⓪: (名)[古] [こねり]舞踊。オモロなどにある語。
国幅(くにわあ)@: (名) 国内。国の広さ。
御念(ぐにん)じ⓪: (名) 信仰。信心。神仏を尊び、祖先の祭祀を怠らない心がけ。
久米村(くにんだ)⓪: (名) 久米村。 ※「くめむら」、久米(くめ)は、那覇市の
地名である。昔は、安里川、久茂地川、国場川の三つの川と海に囲まれた浮島で、中
国からの移民が集落を作り、久米村(くめむら)と呼ばれた。
此(く)ぬ@: (連体) この。 @此(く)ぬ書物(しゅむつぃ)。/この本。
口入(くぬう)⓪: (名)保証。保証人となること。「口入(くにゅう)」に対応する。
@口入(くぬう)入(い)ゆん。/保証する。保証人なる。
苦悩(くぬう)@: (名) 不平。苦情。抗議。 @着物(ちん)ぬ苦悩(くぬう)。/
着物についての不平。
苦悩間悩(くぬうまぬう)@: (名) 大いに不平をいうこと。不平たらたら。 @苦
悩間悩(くぬうまぬう)ぬ多(うふ)さん。/不平が多い。 @苦悩間悩(くぬうま
ぬう)為(っし)為(さ)ん。/不平ばかい言って、やらない。
此(く)ぬ内(うち)⓪: (名) 近いうち。近日中。 @此(く)ぬ内(うち)来(ち
ゅう)ら筈(はじ)。/近いうちに来るだろう。 @此(く)ぬ内(うち)なかい為(し
ゅ)せえ好(ま)し。/近いうちにやった方がよい。
此(く)ぬ如(ぐとぅ)⓪: (副) このように。こんなに。かように。此(く)ん如
(ぐとぅ)、ともいう。
此(く)ぬ如(ぐと)おる⓪: (連体) こんな。このような。かような。此(く)ん
如(ぐと)おる、ともいう。 @此(く)ぬ如(ぐと)おる物(むん)/このような
もの。また、こんなつまらぬもの。
此(く)ぬ如(ぐと)おるう⓪: (名) こんなもの。このようなもの。これと似たも
の。
此(く)ぬ頃(ぐる)@: (名) このごろ。
此(く)ぬ頃(ぐる)んすぃ@: (名) このごろ。昨今。最近。 @此(く)ぬ頃(ぐ
る)んすぃや何処(まあ)んかいが行(ぃん)ぢゃら。[此ごろむすや まあむかへが
行ぢやら(花売之縁)]このごろはどこへ行ったやら。 ※花売之縁(はなうりのえん)
は、高宮城親雲上(たかみやぐすぃくぺえちん)作の組踊である。
此(く)ぬ尺(しゃく)⓪: (名) このくらい。これくらい。これほどの量。 @此
(く)ぬ尺(しゃく)出来(でぃき)れえ良(ゆ)たしゃん。/このくらいできれば
よろしい。
此(く)ぬ丈(たき)@: (名) これほど。 @此(く)ぬ丈(たき)ぬ事(くとぅ)。
/これほどのこと。 @此(く)ぬ丈(たき)に吾(わぬ)ん成(な)やがやい居(う
ぅ)すぃが、気(ち)に適(かな)う女(うぃなぐ)側(すば)に又(また)居(う
ぅ)らん。[此たけに我も なやがやい居すが 気に叶ふ女 側にまた居らぬ(大川敵
討)]これほどにわたしも高い身分になったが、気に入った女がそばにはいない。 ※
大川敵討(おおかわてきうち)は、久手堅親雲上(くでけんぺえちん)作の組踊であ
る。 @やあ亀千代(かみぢゅう)、憐(あわ)り此(く)ぬ丈(たき)に成(な)い
果(は)てぃてぃ居(うぃ)すぃが、頼(たぬ)むしや元(むとぅ)ぬ誠(まくとぅ)
忘(わすぃ)りらん〜。[やあ亀千代 あはれ此たけに なり果ててをすが たのむし
や元の 誠忘れらぬ〜(忠臣身替)]やあ亀千代、あわれこれほどまでに落ちぶれてし
まっていても、頼もしいことに昔の誠を忘れずに〜。 ※忠臣身替(ちゅうしんみが
わり)は、辺土名親雲上(へんとなぺえちん)作の組踊である。 @此(く)ぬ丈(た
き)に成而居(なとお)んでえ諸(むる)思(うま)あんたん。/これほどになって
いるとは全然思わなかった。
此(く)ぬ歳(ちゃ)⓪: (名) この歳。この老境。此(く)ぬ世歳(ゆちゃ)、とも
いう。
此(く)ぬ中(ぢゅう)@: (名) この間中。このところずっと。 @此(く)ぬ中
(ぢゅう)忙(いちゅな)さたん。/このところずっと忙しかった。
此(く)ぬ人(っちゅ)@: (名) この人。
此(く)ぬ時(とぅち)@: (名) この時。
此(く)ぬ輩(ひゃあ)⓪: (名) こいつ。こやつ。この野郎。此(く)に輩(ひゃ
あ)、ともいう。
此(く)ぬ辺(ふぃん)⓪: (名) この辺。このあたり。
此(く)ぬ風座無(ふざね)え⓪: (名) これしき。こんな些細なこと。此(く)ぬ
値(あたい)[ぬ事(くとぅ)]ともいう。
企(くぬ)み⓪: (名) @考案。立案。計画。 ➁企て。計略。 @嫌(や)な企(ぐ
ぬ)み。/悪い企て。 *おもろさうし・273に、このみ、とある。
企(くぬ)⁼ぬん⓪: (他 ⁼まん、⁼でぃ) @考案する。立案する。計画する。 @此
(く)ぬ着物(ちん)ぬ綾(あや)あ良(ゆ)う企(くぬ)でえん。/この着物の模
様はよく考案してある。 ➁企てる。策謀する。
此(く)ぬ世(ゆう)@: (名) この世。現世。彼(あ)ぬ世(ゆう)、の対。 *お
もろさうし・773に、この世、とある。
此(く)ぬ世歳(ゆちゃ)⓪: (名) この歳。この老境。此(く)ぬ歳(ちゃ)、とも
いう。 @此(く)ぬ世歳(ゆちゃ)に成(な)てぃん。/この歳になっても。
此(く)ぬ様(よお)@: (名) このよう。やや文語的な語。 @此(く)ぬ様(よ
お)な。/このような。 @此(く)ぬ様(よお)に。/このように。 此(く)ぬ
如(ぐと)おる、此(く)ぬ如(ぐとぅ)、などというのが普通。
組(く)⁼ぬん⓪: (他 ⁼まん、⁼でぃ) @組む。編む。 @平組(ふぃらぐん)組(く)
ぬん。/組みひもを組む。 @帽子(ぼおし)組(く)ぬん。/帽子(パナマ帽)を
編む。 ➁組む。組織する。 @組(くな)組(く)ぬん。/組をつくる。
履(く)⁼ぬん@: (他 ⁼まん、⁼でぃ) (はきものを)はく。 @足駄(あしじゃ)
履(く)ぬん。/下駄をはく。 @靴(ふや)履(く)ぬん。/靴をはく。
汲(く)ぬん@: (他 ⁼まん、⁼でぃ) 汲む。 @水(みずぃ)汲(く)ぬん。/水
を汲む。
御内儀(ぐねえぢ)⓪: (名) 御内儀。奥様。人妻の敬語。
此間(くねえだ)⓪: (名) この間。先日。先ごろ。
此間(くねえだ)んすぃ@: (名) 近ごろ。最近。この間。 @此間(くねえだ)ん
すぃぬ事(くとぅ)彼(あ)り行会(いちゃ)たん。/この間彼に会った。 @此間
(くねえだ)んせえ。/近ごろは。
堪(くね)え⁼ゆん⓪: (自 ⁼らん、⁼てぃ) @こらえる。我慢する。 @堪(くね)
えてぃ取(とぅ)らせえ。/我慢しておくれ。 ➁(けんかしてのち)仲直りする。
すなわち、こらえてけんかをやめる。 @でぃい、堪(くね)えら。/さあ、仲直り
しよう。
久場(くば)⓪: (名) 久場。 ※「くば」、中頭郡中城村の地名。中城城跡のすぐ東
である。
蒲葵(くば)@: (名) びろう(蒲葵)。しゅろ科の植物で、枝は無く、広い葉が長い
柄につく。葉で、みの・笠・扇などを作る。霊地拝所に多い。檳榔(びんろお)、とは
似ているが、別種。 *おもろさうし・384に、こは、とある。
小判揚(くばああ)ぎい⓪: (名) 小判揚(くばんあ)ぎ、と同じ。
配(くば)い当(あ)てぃ⁼ゆん⓪: (他 ⁼らん、⁼てぃ) [新]割り当てる。配当す
る。
配(くば)い物(むん)⓪: (名) 配りもの。方々に配って分けるもの。
蒲葵扇(くばおおじ)@: (名) びろうの葉で作ったうちわ。次の歌は、蒲葵扇(く
ばおおじ)、をほめたもの。 @蒲葵(くば)ぬ葉(ふぁ)どぅやすぃが持(む)てぃ
成(な)しぬ良(ゆ)たしゃ、暑(あつぃ)さ涼(すぃだ)ましゅる玉(たま)ぬ団
扇(うちわ)。[蒲葵の葉どやすが もてなしのよたしや 暑さすだましゆる 玉の団
扇]びろうの葉であるが作り方がよい。暑さをさます玉のうちわ。
久場川(くばがあ)⓪: (名) 久場川。 ※「くばがわ」、那覇市首里の地名。
蒲葵笹(くばがあしゃ)@: (名) びろう[蒲葵(くば)]の葉。
蒲葵笠(くばがさ)@: (名) びろうで作った笠。クバ笠。主として農民用で、細く
けずった竹で形を作り、その上を蒲葵(くば)、の葉で張る。次の歌は蒲葵笠(くばが
さ)、の工程を歌ったもの。 @蒲葵(くば)や金武蒲葵(ちんくば)に竹(だき)や
安富祖竹(あふすだき)、屋根(やに)や瀬良垣(しらかち)に張(は)いや恩納(う
んな)。[蒲葵や金武蒲葵に 竹や安富祖竹 やねや瀬良垣に 張りや恩納]びろうは、
金武のびろうを、竹は安富祖の竹を使い、削るのは(また、骨組みは)瀬良垣でして、
恩納で張って完成する。
蜘蛛(くば)が巣(すぃ)⓪: (名) 蜘蛛の巣。
小橋(くばし)@: (名)[文] 小橋。小さな橋。口語は、細橋(ぐまばし)。 @中
島(なかしま)ぬ小橋(くばし)渡(わた)い苦(ぐり)しゃ。[中島の小橋 渡りぐ
れしや]中島遊郭への小橋は渡りにくい。
蒲葵司(くばつぃかさ)@: (名) 蒲葵(くば)[びろう]のおい茂っている聖地。那
覇の辻遊郭にあって、尾類馬(じゅりぅんま)、の行列の時、礼拝する。
小浜(くばま)@: (名) 小浜島。八重山群島の島の名。また、小浜。 ※「こはま」。
小励(くばめえ)⁼しゅん⓪: (他 ⁼さん、⁼ち) 節約する。倹約する。 @有(あ)
いにどぅ小励(くばめえ)しゅる。/ある時にこそ節約する。
配(くば)⁼ゆん⓪: (他 ⁼らん、⁼てぃ) 配る。配布する。分配する。配置する。 @
座(ざあ)配(くば)ゆん。/席を割りふりする。
小判(くばん)@: (名) 小判。昔の金貨。
碁盤(ぐばん)⓪: (名) 碁盤。
小判揚(くばんあ)ぎ⓪: (名) 菓子の一種。油揚(あんだあぎ)い、と同じ。昔、
金持ちが小判を油揚げして客に出したという伝説がある。
小判揚(くばんあ)ぎい⓪: (名) 小判揚(くばんあ)ぎ、と同じ。
碁盤綾(ぐばんあや)⓪: (名) 格子縞。着物の柄の名。
碁盤格子(ぐばんごおし)⓪: (名) 碁盤格子。着物の柄の名。
御番所(ぐばんじゅ)⓪: (名) [御番所]首里城内の建物の名。
首(くび)@: (名) @首。頸。 @首(くび)折(うぅう)りゆん。/屈服する。
頭が上がらなくなる。 ➁襟。着物のえりくび。細物(ふすむん)、ともいう。
壁(くび)@: (名) 壁。板塀が多い。農村には竹で編んだ、竹編(ちにぶ)、の壁も
ある。
首皮(くびがあ)@: (名) うなじ。首すじ。首の後部。
首丈(くびだき)@: (名) 首までの高さ。首の丈。
首怠(くびだる)さん@: (形) 首がだるい。長く上を見ていて首が疲れた時などに
いう。
壁隔(くびふぃざ)み⓪: (名) 壁をへだてた隣。<壁(くび)+隔(ふぃざ)みゆ
ん[へだてる]。 @壁隔(くびふぃざ)みやすぃが思(うむ)い無(ね)ん仲(なか)
や、野山(ぬやま)隔(ふぃざ)みたる住処(すぃみか)心(ぐくる)。[壁へざめや
すが 思ひないぬ中や 野山へざめたる 住家ごころ]壁一枚へだてた隣にいるが、
思っていない仲は野山をへだてた住み家にいるのと同じだ。
五百(ぐひゃあく)⓪: (名) 銭500文。1銭に当たる。銭(じん)、の項参照。
五百五十(ぐひゃあくぐんじゅう)⓪: (名) 銭550文。1銭1厘のこと。銭(じ
ん)、の項参照。
御評定所(ぐひょおじょおじゅ)⓪: (名)[古] [御評定所]評定所(ひょおじょお
じゅ)[その項参照]の敬称。
縊(くび)り⁼ゆん@: (自 ⁼らん、⁼てぃ) 首をくくる。首をつって死ぬ。 ※縊(く
び)る、は共通語である。
縊(くび)り死(じ)に@: (名) 縊死。首つり。 ※縊死(いし)。
蜘蛛(くぶ)⓪: (名)[文] 蜘蛛。 @深山蜘蛛(みやまくぶ)でんすぃ綛(かすぃ)
掛(か)きてぃ置(う)ちゃい、吾(わん)女(うぃなぐ)成(な)とぅてぃ油断(ゆ
だん)為侍(しゃび)み。[み山こぶだいんす かせかけておちやい わ身女なとて 油
断しやべめ]奥山にすむ蜘蛛ですらかせをかけて布を織っている。わたしは女なのだ
から、うっかりなまけていられましょうか。 ※[ ]の中の表記法は、いわゆる、
おもろ表記と同じである。「くぶ」をわざわざ「こぶ」と書き替えている。もともと、
「くも」なのだから、「くぶ」でいいのではないかと思う。琉球語は、母音「お」が「う」
に変化したため、これは書き直すときには、「う」を「お」に直すのであるが、もとも
と「う」であったものまで「お」にしてしまう傾向があるようである。たとえば、お
もろさうしでは、「うりずん」が、「おれづむ」と表記されている。実際の発音は、や
はり「うりづん」であったのであろう。 *混効験集:坤巻・気形に、くぶ、とある。
五分(ぐぶ)@: (名) 五分。半分。十分(じゅうぶん)、の半分。
強(くふぁ)⁻: (接頭) 堅い・柔和でないなどの意を表す。 @強餅(くふぁむち)
[堅い餅]。強頭(くふぁつぃぶる)[堅い頭、男の頭をさしていう]。強肘(くふぁふ
ぃじ)[つっけんどんな返事]。など。
強(くふぁ)あ⓪: (名) 毒蛇の一種。食(はぶ)、に似ているが、はぶより短い。
強(くふぁ)あ⓪: (名) 堅いもの。
強(くふぁ)さん⓪: (形) @堅い。 @覆胴(ううどぅ)ぬ強(くふぁ)さん。/
ふとんが堅い。 ➁仲が悪い。不和である。 @彼(あ)ぬ夫婦(みいとぅ)ん達(だ)
あ強(くふぁ)さん。/あの夫婦は仲が悪い。
小橋川(くふぁしちゃ)⓪: (名) 小橋川。 ※「こばしがわ」、中頭郡西原町の地名。
強雑炊(くふぁずうすぃい)⓪: (名) 炊きこみ御飯。いろいろなものをまぜ、味を
付けて炊いた飯。単に、雑炊(ずうすぃい)、ともいう。 ※首里以外では、雑炊(じ
ゅうしい)、が普通であるが、首里言葉の発音のほうが共通語に近いようである。この
辞典を作成しながらの私見であるが、首里言葉は、共通語の発音を意識している風が
ある。たぶんに、薩摩藩士を意識してあえて共通語に発音を近づけようとしているの
では、という感じがする。共通語に近づけることによって、士族の言葉であるという
自負を保ちたいのでは、と私には思える。
強切(くふぁぢ)り⁼ゆん⓪: (自 ⁼らん、⁼てぃ) すっかり固まる。堅くなりきる。
腫物などがうんでから、堅くなる場合などにいう。
小波津(くふぁつぃ)⓪: 小波津。 ※「こはつ」、中頭郡西原町の地名。
強頭(くふぁつぃぶる)⓪: (名) 堅い頭。男の頭をさしていう。
強手樹(くふぁでぃいし)⓪: (名) 植物名。「沖縄産有要植物(金城三郎)」には「し
まほう」「こばでいし」とある。葉は円形で、径15センチくらいに達する。墓の庭に
植える。人の泣き声を聞いて成長するといわれている。材は良質で建築用・器具用・
葉は紅葉する。 ※屋慶名クワディーサー、という民謡があり、歌われている木は三
代目となって屋慶名川のほとりにある。
強手樹(くふぁでぃさ)⓪: (名)[文] 強手樹(くふぁでぃいし)、の文語。 @強
手樹(くふぁでぃさ)ぬ御月(うつぃち)間処(まどぅ)間処(まどぅ)どぅ照(て
ぃ)ゆる、他目(ゆすみ)間処(まどぅ)図(はか)てぃ忍(しぬ)でぃ行参(いも)
り。[こはでさのお月 まどまどど照ゆる よそめまどはかて しのでいまうれ]強手
樹(くふぁでぃいし)の葉陰に照る月はところどころにしか照らぬ。人の目のすきを
ねらって忍んでいらっしゃい。
強倒(くふぁどお)り⓪: (名) 日ごろ体の強い者が急病で倒れ、あるいは急死する
こと。
強撥(くふぁば)にい⓪: (名) 強くはねのけること。荒々しく拒絶すること。
強返事(くふぁふぃじ)⓪: (名) つっけんどんな返事。怒りをおびた返事。
強餅(くふぁむち)⓪: (名) 堅い餅。
強(くふぁ)⁼ゆん⓪: (自 ⁼らん、⁼てぃ) @(柔らかいものが)堅くなる。固まる。
@強(くふぁ)而居(とお)ん。[=強(くふぁ)く成而居(なとお)ん。]/固まっ
ている。 ➁仲が悪くなる。不和になる。 @強(くふぁ)而居(とお)ん。/不和
である。 Bこごえる。寒さで体が堅くなる。 C目がさめる。また、目がさえる。
眠れない。 @目(みい)強(くふぁ)ゆん。/目がさめる。
籠飯(くふぁん)⓪: (名) [籠飯]祭祀の場合の、花米(はなぐみ)[洗い清めた米]
を盛る器。丸い重箱の三つ重ね。普通は、御籠飯(うくふぁん)、という。もともとは、
その中に入れた米の意。
小波蔵(くふぁんぐぁ)⓪: (名) 小波蔵。 ※「こはぐら」、糸満市の地名。
古波蔵(くふぁんぐぁ)⓪: (名) 古波蔵。 ※「こはぐら」、那覇市の地名。
此辺(くふぃ)な⓪: (連体・名) この大きさの。このくらいの。また、こんなに大
きい。 @此辺(くふぃ)な物(むん)。/この大きさのもの。これくらいのもの。 @
此辺(くふぃ)なぬ物(むん)。/こんなに大きいもの。 @此辺(くふぃ)な御座(う
ざ)。
小瓶(くふぃん)⓪: (名) 小瓶。酒・水などを入れる小さい瓶一般をいう。多くは
陶製。
工夫(くふう)@: (名) くふう。 @工夫(くふう)為(しゅ)ん。/※動詞化。
御奉公(ぐふうくう)⓪: (名) 御奉公。
御拝領(ぐふぇえろお)⓪: (名)[古] 御拝領。王から物をいただくこと。
御無沙汰(ぐぶさた)⓪: (名) 御無沙汰。
尖節(ぐふし)@: (名) 骨の丸くとがっているところ。くるぶしなど。手首・足首
にあるもの。
御無事(ぐぶじ)@: (名) 御無事。
小武士(くぶし)い⓪: (名) 子供の腹かけ。金時が腹にしている形のもの。金太郎。
@金時は、坂田(公時)金時のことで金太郎のモデルである。
此比墨(くぶすぃみ)⓪: (名) いかの一種。こぶしめ。大型で胴が太く丸い。のぼ
せ・月経不順などの薬となる。 ※コブシメは共通語であるが、これは琉球語から共
通語となったようである。こんなに大きいという意味の、此比(くふぃ)+墨(すぃ
み)が語源であるとの説がある。
五分扶(ぐぶぶう)@: (名) [五分扶]半人前の賃金。女・子供などの賃金をいう。
御無礼(ぐぶりい)⓪: (名) 御無礼。無礼(ぶりい)、の敬語。失礼。 @御無礼為
侍(ぐぶりいしゃび)ら。/御免下さい。失礼します。辞去する時、人前を通る時な
どのあいさつ。 @御無礼為侍(ぐぶりいしゃび)たん。/失礼しました。陳謝する
時のあいさつ。
窪(くぶん)@: (名) くぼみ。へこんだ所。くぼ地。
熊(くま)⓪: (名) 熊。沖縄にはいないが、話や毛皮などで知られていた。
此間(くま)@: (名) @ここ。こちら。この場所。 @此間(くま)居(いぃ)而
居(ちょお)ん。/ここに座っている意。イ・しっかりしている。ロ・家に落ち着い
ている。(放蕩者が)遊びに出歩かない。 ➁あなたさま。また、このお方。こちらさ
ま。貴人に対する二人称および三人称。 @此間(くま)あ誰(たあ)遣召候(やみ
せえ)が。/あなたさまはどなたでいらっしゃいますか。
細(ぐま)あ⓪: (名) 小さいもの。大(まぎ)い[大きいもの]の対。
細雨(ぐまあみ)⓪: (名) 小雨。
細雨小(ぐまあみぐぁあ)⓪: (名) 霧雨。細雨(ぐまあみ)、のさらにこまかいもの。
細急(ぐまいす)じ@: (名) 小急ぎ。少し急ぐこと。
細(ぐま)がさがさ⓪: (名) (仕事などを)ちょこちょこすること。 @細(ぐま)
がさがさ為(しゅ)ん。/※動詞化。
細欠(くまきい)⓪: (名) 砕けたかけら。細かいかけら。 @焚物(たむん)ぬ細
欠(くまきい)。/薪を割った時にでる薪のかけら。 @茶(ちゃあ)ぬ細欠(くまき
い)。/茶の粉になったもの。 @菓子(くぁし)ぬ細欠(くまきい)。/菓子のかけ
ら。
細木(ぐまぎい)⓪: (名) 小さい木。灌木。
細声(ぐまぐぃい)⓪: (名) 小声。
細々(くまぐま)⓪: (名) こまごま。詳細なこと。 @細々(くまぐま)ぬ話(は
なし)。/こまごまと詳しい話。
細返(くまげえ)い⓪: (名) 寝返り。
細(くま)さん⓪: (形) (所帯の持ち方などが)つつましい。粗(あら)さん、の
対。所帯細(しゅうてえぐま)さん、ともいう。 @平生(ふぃいじい)や細(くま)
さ為居(しょお)てぃ、何哉(ぬうがな)んでぃ言(い)いねえ、思切(うみちっ)
とぅ使(つぃか)ゆん。/平常は倹約していて何かという時には思いきりよく使う。
*おもろさうし・750に、こまさ、とある。混効験集:坤巻・言語に、こまさ、と
ある。
細(ぐま)さん⓪: (形) 小さい。小型・小粒である。小(くう)さん、の項参照。
細字(ぐまじい)⓪: (名) 小さい字。細かい字。
細銭(ぐまじん)⓪: (名) 小銭。わずかな金。
小銭(ぐまじん)@: (名) 小金。さして大きくない額の金。大金(うふじん)、に対
する。
細遣(ぐまづぃけ)え@: (名) 小遣い。ちょっとした用に銭を使うこと。
細遣(ぐまづぃけ)え銭(じん)@: (名) 小遣い銭。小遣い。
細盗人(ぐまぬすどぅ)@: (名) 小泥棒。こそどろ。
細走合(ぐまはあえ)え@: (名) 小走り。小股走り。
細降(ぐまぶ)い⓪@: (名) 小降り。雨がすこし降ること。
此間方(くまむてぃ)⓪: (名) こちら側。こっちの方。
細物語(ぐまむぬがたい)@: (名) ひそひそ語。私語。内緒話。
細物(ぐまむん)@: (名) @小さいもの。 ➁小間物。
細物商(ぐまむんあちね)え@: (名) 小間物商。
細家(ぐまやあ)⓪: (名) 小さい家。
籠(くま)⁼ゆん⓪: (自 ⁼らん、⁼てぃ) こもる。籠居する。また、女郎屋に居続け
る。 ※籠居は、もともと「こもりい」であったが、音読みして「ろうきょ」という
ようになった。 *おもろさうし・987に、「こ、まて」とある。
此間等辺(くまりかあ)⓪: (名) 此等辺(くりかあ)、と同じ。
組(くみ)⓪: (名) @組。仲間。同義語の、組(くな)、は組織する・まとめるなど
の動作性の意を含む[組(くな)為(しゅ)ん]。 @組(くみ)成(な)ゆん。/組
になる。 ➁組。一揃いのもの。 B(接尾)組。 @重箱一組(じゅうばくちゅく
み)。
米(くみ)⓪: (名) 米。
塵(ぐみ)⓪: (名) ごみ。塵芥。目にはいるほどの小さいものには言わない。埃(ふ
くい)、埃土(ふくちち)、目入来物(みんちゃむん)、などの項参照。
米洗(くみあれ)え水(みずぃ)⓪: (名) 米のとぎしる。しろみず。米(くみ)ぬ
汁(しる)、ともいう。
塵打(ぐみう)ち@: (名) はたき。ちりはらい。
組踊(くみうどぅい)⓪: (名) [組躍・組踊]沖縄の古典劇。能と歌舞伎とを折衷
したような形式をもつ楽劇。台詞・地謡とも韻文であり、間の物・道行き・踊り・立
ち回りなどいろいろのものが組み合わされている。日本本土の能の影響が見られる。
廃藩前は国営の劇、すなわち国劇であった。享保4年(1719)、尚敬王の時の冊封
使(正使海宝、副使徐葆光)が渡来した際、その歓迎のために玉城朝薫(たまぐすぃ
くちょおくん)が躍奉行(うぅどぅいぶじょお)に任ぜられて、組躍五番(くみうど
ぅいぐばん)を創作した。組躍五番(くみうどぅいぐばん)とは、銘苅子(みかるし
い)、執心鐘入(しゅうしんかにいり)、孝行之巻(こおこおぬまち)、女物狂(うぅん
なむぬぐるい)、二童敵討(にどおてぃちうち)である。ほかに有名なものとしては、
田里(たさとぅ)作の、万歳(まんざい)、義臣物語(じしんむぬがたい)、大城崩(う
ふぐすぃくくずぃり)の三番、平敷屋朝敏(ふぃしちゃちょおびん)の手水之縁(て
ぃみずぃぬいん)、高宮城(たかみゃあぐすぃく)の花売之縁(はなういぬいん)、古
堅(ふるぢん)ほか数名の合作の忠孝夫人(ちゅうこおふじん)、そのほかに、巡検之
官(じゅんちんぬくぁん)、忠臣身替(ちゅうしんみがわい)、天願若按司敵討(てぃ
んぐぁんわかあじてぃちうち)、二山和睦(にざんわぶく)、姉妹敵討(しまいてぃち
うち)、束辺名夜討(つぃかふぃなゆうち)、本部大腹(むとぅぶたいふぁら)などが
ある。国劇であったから、政庁の役人が中心となって、貴族の子弟から抜擢された貴
公子が役者となり、国費を投じて数年におよぶ練習ののち演ぜられたのであった。廃
藩後は一般公衆のものとして公演されるようになった。 ※組踊という言葉が、文献
に初めて登場するのは、1799年の、「冠船躍方日記」で、「新古組躍番数御用ニ付
書調・・・」とある。組踊の「踊」という字が「躍」の字を用いているのは、この時
代の書き癖である。折口信夫は、「組踊り以前」という論文で、組踊の語源を考察し、
「端的に言ふと、組唄の踊りと言ふことだ」と考えを述べている。(以上、矢野輝雄著、
「組踊への招待」より引用。)
組頭(くみがしら)@: (名) [与頭]組の代表。部落内の親族集団、耕作組、砂糖
組などの代表。村頭(むらがしら)、の項参照。
米噛(くみか)ん⓪: (名) こめかみ。 ※こめかみは、米を噛むときに動く所を意
味する共通語。
米噛(くみか)ん膏薬(ごおやく)⓪: (名) こめかみごうやくの意。頭痛のする時
に女子供がこめかみに貼るこうやく。
米羹(くみがん)⓪: (名) 米の粉で作った羊羹のようなもの。
米蔵(くみぐら)⓪: (名) 米倉。
久米島(くみじま)⓪: (名) 久米島。沖縄本島西方の島。 ※「くめじま」。 *お
もろさうし・963に、くめ、とある。なお、「くめ」はおもろさうしに多数登場する。
米須(くみすぃ)⓪: (名) 米須。 ※「こめす」、糸満市の地名。 *おもろさうし・
416に、こめす、とある。
米俵(くみだあら)⓪: (名) 米俵。
組(く)み立(た)てぃ⁼ゆん⓪: (他 ⁼らん、⁼てぃ) 組み立てる。
米粒(くみつぃじ)⓪: (名) 米粒。
組(く)み手(てぃ)⓪: (名) 組み手。唐手で相手と組んで戦う練習法の名。
汲(く)み取(とぅ)⁼ゆん@: (他 ⁼らん、⁼てぃ) 汲み取る。
米(くみ)ぬ粉(くう)⓪: (名) 米の粉。
米(くみ)ぬ汁(しる)⓪: (名) 米のとぎしる。しろみず。米洗(くみあれ)え水
(みずぃ)、ともいう。
久米(くみ)ぬ二間切(たまぢり)@: (名) [久米二間切]久米島の二つの間切。
すなわち具志川(ぐしちゃあ)間切と仲里(なかざとぅ)間切。
米町屋(くみまちや)⓪: (名) 米穀店。米屋。
籠(く)み⁼ゆん⓪: (他 ⁼らん、⁼てぃ) 押し入れる。(かご・棚などの中へ)入れ
る。「こめる」に対応する。
水鶏(くみら)あ⓪: (名) 水鶏(くみる)、と同じ。
水鶏(くみる)⓪: (名) くいな(水鶏)。稲田などで小魚・小虫を食う水鳥。体長3
0センチたらずで褐色。
汲込(くみん)⁼ちゅん@: (他 ⁼かん、⁼ち) 汲みこむ。(水がめなどに水をたくさ
ん)汲んで入れる。
踏込(くみん)⁼ちゅん@: (他 ⁼かん、⁼ち) 踏み込む。踏み入れる。 @足(ふぃ
しゃ)踏入(くみん)ちゅん。/足を踏み入れる。
雲(くむ)⓪: (名) 雲。
護謨(グム)⓪: (名)[新] ゴム。
籠(くむ)い⓪: (名) 池。沼。自然のもの・人工の溜池のどちらをもいう。庭園の
池は、池(いち)、という。
曇(くむ)い⓪: (名) 曇り。
⁻小盛(くむ)い: (接尾) 金銭勘定の単位。2厘。銭(じん)、の項参照。 @一小
盛(ちゅくむ)い[2厘]、二小盛(たくむ)い[4厘]など。
曇(くむ)い天気(でぃんち)⓪: (名) 曇りの天気。曇天。
籠(くむ)い端(ばた)⓪: (名) 池の端。
五目並(ぐむくなら)びい⓪: (名) 五目並(ぐむくなら)び合(え)え、と同じ。
五目並(ぐむくなら)び合(え)え⓪: (名) 五目並べ。連珠。五目並(ぐむくなら)
びい、ともいう。
小真痣(くむじゃあ)@: (名) あばた。また、あばたのある者。真痣(まあじゃあ)、
ともいう。
小真痣(くむじ)@: (名) あばた。
雲切(くむぢ)り⓪: (名)[文] 雲の切れ目。雲の絶え間。
御物(ぐむつぃ)⓪: (名) [御物]公有物。公共物。公有の財産。公金など。はじ
めは王の所有物、国有物を言ったのであろうが、後に公共物の意となった。 @村御
物(むらぐむつぃ)。/村有の物。
御尤(ぐむっとぅ)ん⓪: (名) ごもっとも。 @御尤(ぐむっとぅ)ん而侍(でえ
び)る。/ごもっともでございます。
護謨毬(ぐむまあい)⓪: (名)[新] ゴムまり。
曇(くむ)⁼ゆん⓪: (自 ⁼らん、⁼てぃ) 曇る。
小室(ぐむる)⓪: (名) 灌木の名。赤い小さな実がなる。庭木として植える。
御紋(ぐむん)⓪: (名) 御紋。紋所(むん)、の敬語。
細(くめ)えき@: (名) @つつましやかなこと。質素。倹約。 ➁綿密。細心。詳
細。
細(くめ)えきやあ@: (名) @倹約家。しまりや。 ➁物事を丁寧にする者。細か
い者。
細(くめ)えき⁼ゆん@: (他 ⁼らん、⁼てぃ) @つつましくする。倹約して質素に暮
らす。 @銭(じん)細(くめ)きてぃ使(つぃか)ゆん。/金をつつましく使う。
➁細かく注意を払う。また、詳細にする。 @話(はなし)細(くめ)えきてぃ聞(ち)
か為(せ)え。/話を詳しく聞かせてくれ。
紺屋(くや)⓪: (名)[文] こうや。紺屋。普通は、染物屋(すみむんやあ)、とい
う。 @浅地(あさじ)紺染(くんずみ)ぬ色分(いるわ)きん無(ね)らん、染(す)
み分(わ)かち給侍(たぼ)り紺屋(くや)ぬ主(あるじ)。[浅地紺染の 色わけも
ないらぬ そめわかちたばうれ 紺屋のあるじ]浅く染めるのと濃くそめるとの色分
けもこちらではできません。こうやの主人さんそちらで染め分けてください。 @染
めるは、恋い慕うこと。こうやのあるじは、恋人のたとえで、「あなたのことをどのく
らい思ったらいいのか、あなたが決めてください。」という感じの琉歌である。なりや
まあやぐの「染(す)み山(やま」の染(す)みも、だいたい同じ意味であろう。
胡屋(ぐや)⓪: (名) 胡屋。 ※「ごや」、沖縄市の地名。
呉屋(ぐや)⓪: (名) 呉屋。 ※「ごや」、中頭郡西原町の地名。
悔(く)やあ張(は)やあ@: (名) ぶつぶつ。不平を言うさま。また、不平。 @
悔(く)やあ張(は)やあぬ多(うふ)さん。/不平が多い。
悔(く)や⁼ぬん⓪: (他 ⁼まん、⁼でぃ) 悔やむ。後悔する。肝(ちむ)ぬ痛(や)
ぬん、または、後悔(くうくぇえ)しゅん、のほうを多く用いる。また、お悔みをい
う意では、悔(く)やみ言(ぃゆ)ん、という。
悔(く)やみ⓪: (名) 悔み。人の死を悔やんで言うことば。 @悔(く)やみゆん。
/お悔みを言う。
今宵(くゆい)@: (名)[文] 今宵。今夜。 @偶(たまさ)かぬ今宵(くゆい)鶏
(とぅい)や鳴(うた)るとぅん、暫(しば)し明雲(あきぐむ)に情(なさ)き有
(あ)らな。[たまに会う今宵であるから、鶏は時を告げても、しばらくの間夜明けの
雲に情けがあって、夜が明けないようにしてほしいもの。]宜湾朝保の歌。 ※宜湾朝
保(ぎわんちょうほ)は、琉球王国末期の政治家で歌人。英語がよくできた。宮中の
歌会における和歌に対しては明治天皇よりお褒めのお言葉を頂いた。
御用(ぐゆう)⓪: (名) 御用。公用。公務。
御祐筆(ぐゆうふぃつぃ)⓪: (名)[古] [御右筆・御祐筆]役職名。昔の書記官。
暦(くゆみ)⓪: (名) 暦。旧暦は、沖縄暦(うちなあぐゆみ)、新暦は、大和暦(や
まとぅぐゆみ)、という。
繰(く)⁼ゆん⓪: (他 ⁼らん、⁼てぃ) 繰る。 @縢(かな)繰(く)ゆん。/かせ
糸を繰る。
供養(くよお)@: (名) @供養。死者の霊の供養。 ➁供養。墓を作る、橋をかけ
るなどの石普請をする時、その落成に際して石の神を祭り、供物を供え、祝儀をする
こと。 @墓(はか)ぬ供養(くよお)[墓の供養]、橋(はし)ぬ供養(くよお)[橋
の供養]、などという。
苦労(くよお)@: (名) 苦労。心労。
蔵(くら)⓪: (名) 倉。倉庫。
鞍(くら)@: (名) 鞍。牛馬の背におくもの。
雀(くらあ)⓪: (名) 雀。読(ゆ)む鳥(どぅい)、はその古語。
濃皮(くらがあ)@: (名) 甘藷の一種。上等な品種である。
ぐらぐら@: (副) ぐらぐら。安定が悪く、揺れ動くさま。 @歯(はあ)ぬぐらぐ
ら為(しゅ)ん。/歯がぐらぐらする。
暗々(くらぐら)とぅ@: (副)[文] 暗々と。不安・疲労・恐怖などのために、目の
前が暗くなるさま。 @目許(みむとぅ)暗々(くらぐら)とぅ成(な)るが心気(し
んち)。[目もとくらぐらと なるが心気(銘苅子)]目の前がまっくらになる心地。 ※
銘苅子(めかるし)は、玉城朝薫(たまぐすくちょうくん)作の組踊である。能の「羽
衣」の影響がある。
暗(くら)さん@: (形) 暗い。
暮(く)らし@: (名) 暮らし。生活。生計。
暮(く)らし方(がた)⓪: (名) 暮らし方。生計。生活の方法。 @妻夫婦(とぅ
じみいとぅ)一所(ちゅとぅくる)に暮(く)らし方(がた)成(な)らん。[妻めい
と一所に 暮らし方ならぬ(花売之縁)]夫婦がひとところに生活することができない。
※花売之縁(はなうりのえん)は、高宮城親雲上(たかみやぐすくぺえちん)作の組
踊である。
暮(く)らし苦(ぐり)しゃん。@: (形) 暮らしにくい。暮らしが楽でない。 @
暮(く)らし苦(ぐり)しゃる世(ゆう)やっさあやあ。/暮らしにくい時代だねえ。
暮(く)らし安(やっ)さん@: (形) 暮らしやすい。暮らしが楽である。 @彼(あ)
ぬ島(しま)あ暮(く)らし安(やっ)さん。/あの部落は暮らしやすい。 @彼(あ)
れえ暮(く)らし安(やっ)さ為居(しょお)ん。/彼は楽に暮らしている。
暮(く)ら⁼しゅん@: (他 ⁼さん、⁼ち) 暮らす。 @大和(やまとぅ)居(うぅ)
てぃ何年(なんにん)暮(く)ら而居(ちょお)が。/日本で何年暮らしているか。
暗隅(くらしん)@: (名) まっ暗なところ。暗やみ。暗すみの意。 @暗隅(くら
しん)居(うぅ)てえ何(ぬう)ん見(みい)らん。/暗やみでは何も見えない。
暗去居(くらぞお)り⁼ゆん@: (自 ⁼らん、⁼てぃ) (日暮れ方などに)薄暗くなる。
蔵当(くらた)い⓪: (名) 王室の倉庫係。
比(くら)び⁼ゆん@: (他 ⁼らん、⁼てぃ) 比べる。比較する。比(くな)びゆん、
ともいう。
蔵元(くらむとぅ)⓪: (名) [蔵元]先島の行政役所の名。徴税を主な仕事とした。
蔵役(くらやく)⓪: (名) [蔵役]物品を収納する役所の役人。出納人。心付(く
くるづぃ)き役(やく)、ともいった。
暗闇(くらやみ)@: (名) 暗やみ。暗黒。
榑(くり)⓪: (名) くれ(榑)。おけ・たるなどを作るために小さく切った板。
凝(く)り⓪: (名) いかの墨。
此(く)り@: (名) これ。この物。この事。また、この者。
澱(ぐり)@: (名) 沈殿物。かす。おり。茶・汁などを飲んだあと、容器の底に残
るかすなど。 @茶(ちゃあ)ぬ澱(ぐり)。/茶のおり。 @汁(しる)ぬ澱(ぐり)。
/汁のかす。 など。
御礼(ぐりい)⓪: (名) 御辞儀。 @御礼(ぐりい)為(しゅ)ん。/※動詞化。
狂(くり)い狂(ぐり)い@: (副) 狂わんばかりに嘆き悲しんで。 @狂(くり)
い狂(ぐり)い言(ぃゆ)ん。/深く嘆いて言う。
御霊前(ぐりいじん)⓪: (名) @祖先の位牌をおいて、祖先を祭る祭壇。仏壇(ぶ
つぃだん)、ともいう。 ➁御位牌。御位牌(ういいふぇえ)、ともいう。
狂(くり)い猫(まやあ)⓪: (名) さかりのついた猫。恋猫。
狂(くり)い豚(ぅわあ)⓪: (名) さかりのついた豚。
此(く)り辺(かあ)⓪: (名) この辺。このあたり。
此(く)りから⓪: (名) これから。今後。
苦(くり)しゃん⓪: (形) 苦しい。 @苦(くり)しゃ為(しゅ)ん。/苦しむ。
⁻苦(ぐり)しゃん: (接尾) 〜しにくい。〜しがたいの意の接尾辞。 @言(い)い
苦(ぐり)しゃん。/言いにくい。 @忘(わすぃ)り苦(ぐり)しゃん。/忘れが
たい。 など。
来間(くりま)⓪: (名) 来間島。宮古群島の島の名。 ※「くりま」。
頃(くる)@: (名) ころ。時分。 @吾(わあ)が若(わか)さたる頃(くろ)お。
/わたしの若かった頃は。 @幾(いく)つぃぬ頃(くる)。/何歳のころ。
⁻くる: (接尾) 「自身で」の意を表す接尾辞。英語の⁻selfに似ている。 @吾(わん)
くる。/わたし自身で。 @胴(どぅう)くる。/自分自身で。 @御胴(うんぢゅ)
くる。/あなた自身で。 @汝(ぃや)んくる。/おまえ自身で。 @彼(あ)りく
る。/彼自身で。 @何(なん)くる。/おのずから。 @彼(あ)まぬ御胴(うん
ぢゅ)くる。/あの方御自身で。 @太郎(たるう)くる。/太郎自身で。 など。
殻(ぐる)@: (名) 殻。複合語としては、卵殻(くうがぐる)[卵の殻]、巣出殻(す
ぃでぃぐる)[ぬけ殻]、など。
⁻頃(ぐる): (接尾) ごろ。 @何時頃(なんじぐる)[何時ごろ]、幾(いく)つぃ
頃(ぐる)[何歳のころ]、など。
凝(ぐる)い⓪: (名)ぐりぐり。瘰癧。首すじ・太ももなどにできる淋巴腺のはれた
もの。 ※瘰癧(るいれき)。
黒(くる)う⓪: (名) @黒。黒色。また、黒いもの。 ➁反対党。白(しる)う[正
統派]に反対するもの。 B特に、明治の廃藩時代に、明治政府に反対し、旧制度維
持をもくろんだ頑固党をいう。不賛成(ふさんしい)、ともいい、明治政府支持の開進
派[白(しる)う、または、賛成(さんしい)]に対する。明治の末ごろまでも髪を切
らず、御主愛(うしゅがな)しい前(めえ)[琉球王]をたたえた。
敏捷(ぐる)う⓪: (名) すばしこい者。敏捷者(ぐるむん)、と同じ。
敏捷御願(ぐるうぐぁん)⓪: (名) 定期的に行う、御願(うぐぁん)[祈願]の意か。
黒御胡麻(くるうぐま)⓪: (名) 黒胡麻。黒胡麻(くるぐま)、ともいう。
黒金(くるかに)⓪: (名) くろがね。鉄。 *混効験集:坤巻・器材に、くろかね、
とある。
黒金(くるかに)い⓪: (名) 鉄の一厘銭。赤銭(あかじな)あ、に対する。
黒肥(くるぐぇ)えい⓪: (名) 筋肉隆々として頑丈なこと。黒くたくましくふとる
こと。
黒胡麻(くるぐま)⓪: (名) 黒胡麻。黒御胡麻(くるうぐま)、と同じ。
黒雲(くるくむ)⓪: (名) 黒雲。
くるくる@: (副) ころころ。物のころがるさま。
ぐるぐる@: (副) @ごろごろ。物の回転するさま。 ➁きょろきょろ。眼をきょろ
つかせるさま。
仲間組(ぐるくん)⓪: (名) 魚の名。たかべに似て、やや大きい。肉が豊かで柔ら
かく、美味。 @和名、高砂(たかさご)。沖縄県の県魚である。
黒砂糖(くるざあたあ)⓪: (名) 黒砂糖。普通は単に、砂糖(さあたあ)、という。
黒(くる)さん⓪: (形) 黒い。 @色(いる)ぬ黒(くる)さん。/色が黒い。
敏捷(ぐる)さん⓪: (形) すばやい。すばしこい。動作が敏捷である。 @敏捷(ぐ
る)く。/すばしこく。 @大和敏捷(やまとぅぐる)く[日本人らしくすばしこく]
という語もある。
苦(くる)し⁼ぬん⓪: (自 ⁼まん、⁼でぃ) [新] 苦しむ。
黒染(くるしび)い⁼ゆん⓪: (自 ⁼らん、⁼てぃ) 黒ずむ。(顔色・肌の色が)黒ず
んで色つやが悪くなる。
黒島(くるしま)⓪: (名) 黒島。八重山群島の島の名。 ※「くろしま」、八重山郡
竹富町に所属する。島の形がハート形である。
黒島口説(くるしまくどぅ)ち⓪: (名) [黒島口説]口説(くどぅち)、の一つ。
苦(くる)しみ⓪: (名)[文] 苦しみ。
黒潮(くるしゅ)⓪: (名) 黒潮。大海の潮の黒く見えるもの。
黒塩強(くるしゅうぢゅう)とぅ⓪: (副) 人の顔色が黒みがかって色つやがあり、
一種の味のあるさま。にがみ走っているとか、渋みがあるなどといわれる顔つきをい
う。
黒潮青潮(くるしゅおおしゅ)⓪: (名) 大海原のこと。黒潮青潮の意。
殺(くる)⁼しゅん@: (他 ⁼さん、⁼ち) @殺す。主として動物を殺すのにいう。 ➁
打つ。なぐる。叩殺(たたっくる)しゅん、などともいう。やや乱暴な語。上品には
当(あ)てぃゆん、という。また、これに対し、正殺(しょおぐる)し[本当に殺す
こと]という語がある。
黒木(くるち)⓪: (名) 植物名。くろき。琉球黒檀。
黒種(くるちゃに)⓪: (名) 稲の品種の名。
黒朝(くるちょお)⓪: (名) 黒色の朝着物(ちょおぢん)[朝衣]。朝着物(ちょお
ぢん)、の項参照。
クルトゥン⓪: (名)[新] 植物名。クロトン。マライ原産の観賞用植物の名。
黒(くる)⁼ぬん⓪: (自 ⁼まん、⁼でぃ) 黒くなる。黒ずむ。黒む。打撲傷を受けた
時皮膚が黒くなることもいう。
転(くる)ば算(ざあ)⓪: (名) 目分量による計算。大ざっぱな勘定。めのこ勘定。
転(くる)ばせえ⓪: (名) 子供の遊戯の名。転ばし合い。倒(とお)せえ、ともい
う。相手を倒し、組み敷いて起き上がらせない方が勝。組み敷かれて起き上がれない
場合は相手に、降参(ぅうぇんみ)、という。
転(くる)びん返(けえ)りん⓪: (名) ころげ回ること。
転(くる)⁼ぶん@: (自 ⁼ばん、⁼でぃ) 転ぶ。転がる。 @転(くる)ばしゅん。
/転ばす。転がす。
黒蝿(くるべえ)⓪: (名) 黒かび。夏、白い着物などに生ずる黒いかび。
黒柿(くるぼお)⓪: (名) 植物名。柿科。果実は魚毒を消し、酒の酔いをさます。
くさのがき。琉球柿。
車(くるま)⓪: (名) @製糖場の圧搾車。 ➁車。車輪。また、荷車・人力車など、
車のついた運送具。もとは@以外には、車(くるま)、と名のつくものは、ほとんどな
かったようである。
車(くるま)あ⓪: (名)[新] 人力車夫。車屋。車引(くるまふぃ)ちゃあ、ともい
う。
黒豆(くるまあみ)⓪: (名) 黒豆。烏豆。黒大豆。大豆の一種。
車井戸(くるまがあ)⓪: (名) 車井戸。滑車につるべ縄をかけて水を汲む井戸。
車引(くるまふぃ)ちゃあ⓪: (名)[新] 車引き。人力車夫。車(くるま)あ、とも
いう。廃藩後零落した士族でこの職業につく者が多かった。そこで、気位高く、平民・
いなか者に対して、車(くるま)乗(ぬ)てぃ行(い)けえ[車に乗って行け]と言
い、乗る方が、幾銭(ちゃっさ)し乗(ぬ)してぃ呉召候(くぃみせえ)が[いくら
でのせて下さいますか]という光景を演じたりした。
車棒(くるまぼお)⓪: (名) 車棒の意。豆などの脱穀に用いる。長短二本の棒から
なり、短い方を手に持ち、長い方を車のように回して豆類をたたいて脱穀する。から
ざお。
黒目張魚(くるみいばゆ)⓪: (名) 魚名。くろめばる。目張魚(みいばゆ)[めばる]
の一種。
敏捷者(ぐるむん)⓪: (名) すばしこい者。敏捷な者。
黒弱枯(くるよおが)り⓪: (名) 栄養不良などでやせて、色が黒くなること。
工工四(くるるんしい)⓪: (名) 工工四(くんくんしい)、と同じ。
衣(くるん)@: (名) ころも。僧衣。
衣更(くるんげえ)い@: (名) ころもがえ。更衣。旧暦4月、冬物から夏物へ、ま
た、旧暦10月、夏物から冬物へころもがえすること。
位(くれえ)@: (名) @位。位階。 ➁(接尾)くらい。 @如何(ちゃぬ)位(く
れえ)。/どのくらい。 @砂糖(さあたあ)や此(く)ぬ位(くれえ)如何(ちゃあ)
が。/砂糖はこのくらいでどうか。 など。
⁻位(ぐれえ): (接尾) ぐらい。 @砂糖位(さあたあぐれえ)呉(くぃ)てぃん済
(すぃ)めえさに。/砂糖ぐらいやったっていいじゃないか。砂糖(さあたあ)ぬ値
(あたい)、ともいう。
苦労(くろお)@: (名) 苦労。
小湾(くわん)@: (名) 小湾。 ※「こわん」、浦添市の地名、ほとんどがキャンプ
キンザーの中にあった。
強(く)ん⁻: (接頭) 動詞について「強く〜する」、「はげしく〜する」などの意を表
す。 @強(く)ん縛(しば)ゆん。/強くしばる。 @強(く)ん締(し)みゆん。
/ぎゅっと締める。 など。
強(く)ん喰(くぁあ)⁼しゅん@: (他 ⁼さん、⁼ち) 無理に食わせる。また、(酒・
薬などいやがるものを)無理に飲ませる。
九月(くんぐぁつぃ)⓪: (名) 九月。年の第九番目の月。九月(くぐぁつぃ)、とも
いう。 @九月九日(ぐんぐぁつぃくにち)、菊御酒(ちくうざき)。/[九月九日菊
お酒]9月9日の重陽の節供に、酒に菊の葉をひたして供え、また飲むこと。
五月(ぐんぐぁつぃ)⓪: (名) 五月。年の第五番目の月。 @五月四日(ぐんぐぁ
つぃゆっか)ぬ日(ふぃい)。/旧暦5月4日。子供の日で、玩具市が立つ。また那覇
ではハーリー船競争がある。四日(ゆっか)ぬ日(ふぃい)、の項参照。
此(く)ん如(ぐとぅ)⓪: (副) 此(く)ぬ如(ぐとぅ)、と同じ。
此(く)ん如(ぐと)おる⓪: (連体) 此(く)ぬ如(ぐと)おる、と同じ。
踏(く)ん転(くるば)あ為(せ)え⓪: (名) 押し合いへし合い。人を押しのけた
り、突き倒したりの大混雑。 @首里(しゅい)ん人(ちょ)お揃(すり)い揃(ず
り)い、那覇(なあふぁ)ん人(ちょ)お儘(なあ)走(は)い走(ば)い、久米村
(くにんだ)ん人(ちょ)お踏(く)ん転(くるば)あ為(せ)え、泊(とぅまい)
ん人(ちょ)お尋(とぅ)めえい尋(どぅ)めえい。/首里の人は打ち揃って、那覇
の人はばらばらに走り、久米の人はおし合いへしあい、泊の人は互いに助け合って。(頭
韻をふんでいる) ※頭韻が見事な上にそれぞれの特色をよくとらえていると思う。
工工四(くんくんしい)⓪: (名) [工工四]琉球音楽の曲譜。三味線のものと琴の
ものとある。いずれも安富祖流と野村流の両派がある。三線(さんしん)[三味線]の
場合は、雄弦(うぅうづぃる)[一の糸]、中弦(なかづぃる)[二の糸]、雌弦(みい
づぃる)[三の糸]について、それぞれ次のような符号で表す。一の糸:合(不掩)、
乙(人差指)、老(中指)、下老(無名指)。二の糸:四(不掩)、上(人差指)、中(中
指)、尺(小指)、下尺(小指下)。三の糸:工(不掩)、五(人差指)、六(中指)、七
(小指)、八(小指下)、九(又下)、打音(、)、掛音(¬)、掻音(レ)、列弾(|)、
声出(〇)、声切(□)。もとは楽譜もなく、面授口伝であったものを、向氏屋嘉比朝
寄が音曲のことを調べ、はじめて音楽譜工工四を作り、のち数代を経て、歌氏知念積
高が大成し完全なものにした。知念は平民で無系のものであったが、音楽にすぐれて
いたので士同列歌職を命ぜられ、功を以て歌氏という新家譜を賜った。琴(くとぅう)、
の譜は、弦名は日本のものと同じく、一二三四五六七八九十斗為巾の13弦でこれを
三味線の譜に調べ合わせたものである。
踏(く)ん返(けえ)⁼しゅん@: (他 ⁼さん、⁼ち) 立ち直る。(貧乏・重病などを)
克服する。踏(く)ん返(ちぇえ)しゅん、ともいう。 @貧相(ふぃんすう)踏(く)
ん返(けえ)ち富貴(うぇえき)為居(しょお)ん。/貧乏を克服して、金持ちにな
った。
踏(く)ん返(けえ)⁼ゆん@: (自 ⁼らん、⁼てぃ) (貧乏・病気などから)立ち直
る。踏(く)ん返(ちぇえ)ゆん、ともいう。くん<踏(く)み[踏み]。⁻返(けえ)
ゆん[かえる]。
勲功(くんこお)@: (名) 勲功。国家につくした功労。
五合中盛(ぐんごおなかむ)い⓪: (名) 五合桝。
勲功持(くんこおむ)ち@: (名) 勲功のある人。
君子(くんし)⓪: (名) 君子。教養ある人の使う語。
紺地(くんじ)@: (名) 紺地。紺の地の布・着物。
縛(くん)じゃあ結(ふぃん)じゃあ⓪: (名) 幾重にも縛りつけ、結びつけること。
@縛(くん)じゃあ結(ふぃん)じゃあ為(しゅ)ん。/やたらに縛り、結びつける。
国頭(くんじゃん)@: (名) @国頭方(くんじゃんほお)、と同じ。 ➁国頭。 ※
「くにがみ」。
国頭捌吏(くんじゃんさばくい)@: (名) [国頭さばくり]国頭木遣音頭。国頭か
ら首里王府へ重い材木を多人数で運ぶ時の歌。八八調の長歌ではやしをつけて歌う。
国頭方(くんじゃんほお)@: (名) [国頭方]沖縄の旧行政区画で、のちの国頭郡。
山原(やんばる)、ともいう。
濾(くん)しゅ@: (名) 豆腐を作る時、煮て、豆腐をしぼる前の汁。にがりを入れ
て固める前のものをいう。固まってまだしぼらぬものは、寄(ゆ)し豆腐(どおふ)、
という。
五十(ぐんじゅう)⓪: (名) 銭50文。のちの1厘。銭(じん)、の項参照。
崩(くん)⁼しゅん⓪: (他 ⁼さん、⁼ち) 消す。こすって消す。すり消す。 @字(じ
い)崩(くん)しゅん。/字を消す。
縛(くん)⁼じゅん@: (他 ⁼だん、⁼ち) くびる。くくる。しめて結ぶ。縛る。また、
捕縛する。
根性(くんじょお)⓪: (名) 悪意。意地悪。根性が悪いこと。立腹しやすい根性。
@根性(くんじょお)出(ぃん)じゆん。/怒る。立腹する。
言上(ぐんじょお)@: (名)[古] 言上。申し上げること。
根性喚(くんじょおあ)びい⓪: (名) 怒声。怒ってどなる声。
根性者(くんじょおむん)⓪: (名) 根性の悪い者。意地悪。
金神(くんじん)⓪: (名) 金神。陰陽上の方角の神。その方角に対して物事をする
のを避ける。
強(く)ん攫(すぐ)⁼ゆん@: (他 ⁼らん、⁼てぃ) ひったくる。奪い取る。ひっさ
らう。
腓(くんだ)⓪: (名) こむら。ふくらはぎ。
腓上(くんだあ)がやあ⓪: (名) こむらがえり。ふくらはぎの筋が急にけいれんし
て激痛を覚えること。
崩(くん)だ⁻しゅん⓪: (他 ⁼さん、⁼ち) (行事を)とりやめる。お流れにする。
@雨(あみ)降(ふ)てぃ崩(くん)だ為(さっ)たん。/雨が降ってとりやめにさ
せられた。
強(く)ん束(たば)⁼ゆん@: (他 ⁼らん、⁼てぃ) 強く縛る。束ねて強く縛る。
捏(ぐん)だん@: (名) 不平。 @捏(ぐん)だん為(しゅ)ん。/不平を言う。
癩病(くんち)⓪: (名) 癩病。
根気(くんち)@: (名) 根気。
根気補(くんちうじに)い@: (名) 体力をつける食物。滋養物。 @卵(たまご)
お只今(たでえま)ぬ根気補(くんちうじに)い。/卵はすぐ効果のある栄養物。
強(く)ん返(ちぇえ)⁼しゅん@: (他 ⁼さん、⁼ち) 強(く)ん返(けえ)しゅん、
と同じ。
踏(く)ん返(ちぇえ)⁼ゆん@: (自 ⁼らん、⁼てぃ) 踏(く)ん返(けえ)ゆん、
と同じ。
根気勝負(くんちしゅうぶ)@: (名) 根気くらべ。
根気振(くんちぶ)らあり@: (名) 根気がたりないこと。根気不足。
根気(くんちゃ)あ⓪: (名) @癩病患者。 ➁こじき。癩病患者はこじきに多いの
で、こじきの別名ともなった。
根気(くんちゃ)あ坊主(ぼおじ)⓪: (名) ざんぎり頭(卑語)。断髪の悪口として
いう。 @根気(くんちゃ)あ坊主(ぼおじ)ん吾(わあ)坊主(ぼおじ)。(諺)/
ざんぎり頭でも自分の頭。自分のものは何でもよい意。
根気(くんちゃ)あ坊主(ぼおじゃ)あ⓪: (名) 根気(くんちゃ)あ坊主(ぼおじ)、
の卑語。 @大和(やまとぅ)生(ぅん)まりてぃ根気(くんちゃ)あ坊主(ぼおじ
ゃ)あ成(な)らやか、沖縄(うちなあ)生(ぅん)まりてぃ枯(か)り老女(はあ
めえ)。/日本に生まれてざんぎり頭になるよりは、沖縄に生まれてくたばりばばあに
なった方がまだよい。廃藩のころ、日本本土の断髪をののしって言ったことば。
強(く)ん浸(ちゃ)か⁼ゆん@: (自 ⁼らん、⁼てぃ) (水などが)ひっかかる。(水
などを)あびる。
強(く)ん浸(ちゃ)き⁼ゆん@: (他 ⁼らん、⁼てぃ) (水などを)ひっかける。あ
びせる。 @湯(ゆう)強(く)ん浸(ちゃ)きゆん。/湯をあびせる。
困窮(くんちゅう)@: (名) 困窮。貧窮。貧乏。
困窮者(くんちゅうむん)⓪: (名) 困窮者。貧乏で生活に困る者。
強(く)ん強(ちゅう)⁼ゆん@: (自 ⁼らん、⁼てぃ) (病人・子供などの足が)強
くなる。立って歩けるようになる。 @未(まあ)だ強(く)ん強(ちゅう)らん、
ぶらぶら為居(しょお)ん。/まだ足の力がなくてよろよろしている。
踏(く)ん切(ち)⁼ゆん@: (他 ⁼らん、⁼っち) 横切る。横切って近道をする。く
ん<踏(く)ぬん[踏む]。
踏(く)ん切(ち)り道(みち)⓪: (名) 近道。畦などを伝って近道をすること。
また、その道。
踏(く)ん切(ち)り目切(みいち)い⓪: (名) 畦を伝うなど、道でない所を横切
って近道すること。 @踏(く)ん切(ち)り目切(みいち)い為(しゅ)ん。/※
動詞化。
権現(ぐんぢん)@: (名) 権現。 @普天間権現(ふてぃまぐんぢん)。
強(く)ん使(つぃか)⁼ゆん@: (他 ⁼あん、⁼てぃ) こき使う。酷使する。
踏(く)ん付(つぃ)き⁼ゆん@: (他 ⁼らん、⁼てぃ) 踏みつける。強く踏んで荒ら
す。
此(く)ん月(つぃち)@: (名) 今月。
崩(くん)でぃ⁼ゆん⓪: (自 ⁼らん、⁼てぃ) @(こすれて)消える。(字・印など
が)鮮明でなくなり、わからなくなる。 @印(しるし)ぬ崩(くん)でぃてぃ分(わ)
からん成而居(なとお)ん。/標識が消えてわからなくなっている。 ➁(催しが)
中止になる。お流れになる。 @今日(ちゅう)ぬ花火(はなべ)え崩(くん)でぃ
たん。/きょうの花火はお流れになった。
今年(くんどぅ)@: (名) 今年。ことし。 @今年(くんど)お世果報年(ゆがふ
うどぅし)。/今年は豊年。
強(く)ん取(とぅ)⁼ゆん@: (他 ⁼らん、⁼てぃ) 奪い取る。ひったくる。
踏(く)ん倒(とお)⁼しゅん@: (他 ⁼さん、⁼ち) 踏み荒らす。踏む倒す。
此(く)んな⓪: (連体) こんな。
此(く)ん長(なげ)え⓪: (名) @こんなに長い間。 @此(く)ん長(なげ)え
待(ま)ちゅんでえ思(うま)あんたん。/こんなに長い間待つとは思わなかった。
➁従来。以前。前。 @此(く)ん長(なげ)えや畑(はたき)やたすぃが草原(も
お)成而居(なとお)ん。
強(く)ん抜(ぬ)⁼じゅん@: (他 ⁼がん、⁼ぢ) 追い越す。 @強(く)ん抜(ぬ)
がりゆん。/追い越される。
強(く)ん直(のお)⁼しゅん@: (他 ⁼さん、⁼ち) 持ち直す。回復する。(病気な
どが)よくなる。
強(く)ん直(のお)⁼ゆん@: (自 ⁼らん、⁼てぃ) 立ち直る。勢いをもりかえす。
病気などがよくなる。また、貧困から浮かび上がる。
踏(く)ん張(ぱ)い強(かあ)張(ぱ)い⓪: (副) 大いにふんばるさま。 @踏
(く)ん張(ぱ)い根(にい)張(ぱ)い、ともいう。
踏(く)ん張(ぱ)い根(にい)張(ぱ)い@: (副) 大いにふんばるさま。 @泥
道(どぅるみち)踏(く)ん張(ぱ)い根(にい)張(ぱ)い為(っし)歩(あっ)
ちゅん。/泥道を一歩一歩踏みしめながら歩く。
踏(く)ん張(ぱ)⁼ゆん@: (自 ⁼らん、⁼てぃ) @足をふまえる。ふんばる。 ➁
がんばる。頑固に抵抗する。
踏(く)ん外(はん)⁼しゅん@: (他 ⁼さん、⁼ち) 踏みはずす。踏みそこなって、
足場を失う。
踏(く)ん引(ぴ)い⁼じゅん@: (他 ⁼がん、⁼じ) 踏みつぶす。踏みにじる。蹂躙
する。
踏(く)ん引(ぴ)ち@: (名) 蹂躙(じゅうりん)。
踏(く)ん平(ぴら)か⁼しゅん@: (他 ⁼さん、⁼ち) 踏みつぶす。あやまって踏み
つぶす場合にいう。踏(く)ん引(ぴ)いじゅん、は意識してする場合に多くいう。
薫餅(くんぺん)⓪: (名) 菓子の名。麦粉を油で練り、ごまをあんに入れた焼き菓
子。
牛蒡(ぐんぼお)⓪: (名) @ごぼう。 ➁尾類牛蒡(ずりぐんぼお)、と同じ。
牛蒡込(ぐんぼおく)みい⓪: (名) 料理名。ごぼうを小麦粉の衣でつつみ、油揚げ
したもの。芳牛蒡(かばぐぼお)、ともいう。
踏(く)ん回(まあ)⁼しゅん@: (他 ⁼さん、⁼ち) 踏まないようにさけて通る。(水
たまりなどをさけて)ちょっと回り道する。
小嶺(くんみ)@: (名) 小嶺。 ※「こみね」、かつて、渡嘉敷間切にあった地名の
ようであるが、現在は地名としては存在しないようである。
蒟蒻(くんやく)⓪: (名) こんにゃく。
婚礼(くんりい)@: (名) 婚礼。結婚式。身分のある人の婚礼をいう。王子・王女
の婚礼は、御婚礼(ぐくんりい)、という。一般人の婚礼は、新引(にいび)ち、その
敬語は、御新引(うにいび)ち、という。