表紙 前文

 

 ?あ ?い 'い ?う 'う ?え 'え ?お 'お                             ?め   ?や  ?ゆ  ?よ       ?わ  ?ゐ  ?ゑ  ?ん  

 

   ら

 

 日本語と琉球語は、語頭がラ行で始まることはない。ラ行で始まるのは漢語または外来語のみである。韓国語にもこの現象が見られるが、非常に徹底している。人名まで発音を変えてしまうほどである。たとえば、李成桂(イソンゲ)、李舜臣(イスンシン)などである。沖縄語辞典で、ラ行で始まるのはすべてが漢語であり、わずかに漢語以外の外来語がある。例外が3語ある。「〜らあしゃん」、「〜りゆん」、「らみしゃん」である。「〜らあしゃん」と「〜りゆん」は語頭に来ることはなく、「らみしゃん」は、「うらみしゃん」の「う」が無くなった形である。「らみしゃん」も語頭にくるのではなく、歌の最後によく使われるようである。語頭のラ行音には違和感と抵抗感があるようで、蘭傘(だんがさ)、悋気(でぃんち)、蘆薈(どぅぐぁい)、蝋(どお)、などのようにダ行に変えて発音する人がいる。これは決して発音が悪いためではなく、いわゆる言語学上の遺伝子によるものというべきだろう。

 

‐らあしゃん: (接尾) 〜らしい。〜の特徴・様子がみえる。 @侍(さむれえ)ら

あしゃん[士族らしい]、男(うぃぎが)らあしゃん[男らしい]、富裕(ぅうぇえき)

ん人(ちゅ)らあしゃん[金持ちらしい]、那覇(なあふぁ)らあしい所(とぅくる)

[那覇らしい所]など。

楽(らく)⓪: (名) 楽。安楽。楽(だく)、ともいう。 @楽(らく)に暮(く)ら

而居(ちょお)ん。/安楽に暮らしている。 @楽(らく)為居(しょお)ん。/安

楽にしている。何の苦労もない。

楽隠居(らくいんちゅ)⓪: (名) [新]楽隠居。

落着(らくちゃく)@: (名) 落着。物事がかたがつくこと。落着(だくちゃく)、と

  もいう。 @落着(らくちゃく)為(しゅ)ん。/※動詞化。

珞仏(らくぶつぃ)ぬ@御帯(みううび)@: (句) [文]金糸のはいった帯。親方

(ぅうぇえかた)[親方]以上の位階の人がしめる帯。らくぶつぃ、は織物の名か。 @

珞仏(らくぶつぃ)ぬ御帯(みうび)横腹(ゆふぁら)押(う)し回(まわ)ち、首

里愛(しゅんぢゃな)し召出(めで)い,でぃ吾(わね)先立(さだ)ら。[らくぶつの

御帯 よわらおし廻ち 首里ぎやなしみやだい でわないさだら]三司官の大帯を腰

にきりりとしめて、首里王府への御奉公に、いざ、わたしは先がけしよう。

楽々(らくらく)とぅ@: (副) 楽楽と。安楽に。 @此処(くま)や楽々(らくら

く)とぅ足(ふぃしゃ)畳(たく)でぃ居(うぅ)とぅてぃ、村原(むらばる)ぬ輩

(ひゃあ)が謀(はか)り事(ぐとぅ)頼(たゆ)てぃ〜。[こまや楽々と 足たくで

居とて 村原のひやが 計事便て〜(大川敵討)]こっちは楽楽とすわっていて、村原

の比屋の計略を利用して〜。 ※大川敵討(おおかわてきうち)は、久手堅親雲上(く

でけんぺえちん)作の組踊である。

恨(ら)みしゃ⓪: (名) [文]恨めしい。残念だ。歌などの終わりに来る語。 @

生(な)し子(ぐぁ)吾(わ)ね連(つぃ)りてぃ行(い)ち欲(ぶ)しゃどぅ有(あ)

すぃが女(うぃなぐ)生(ぅん)まりたる事(くとぅ)ぬ恨(ら)みしゃ。[なし子わ

ない列れて いきぼしやどあすが 女生まれたる 事の浦めしや(護佐丸敵討)]子を

連れてわたしも行きたいが、女に生まれたことが残念だ。 @護佐丸敵討(ごさまる

てきうち)は、二童敵討(にどうてきうち)の別名で、玉城朝薫(たまぐすくちょう

くん)作の組踊である。

蘭傘(らんがさ)⓪: (名) [蘭傘]蘭傘(だんがさ)、と同じ。

欄干(らんかん)@: (名) 欄干。手すり。欄干(だんかん)、ともいう。

涼傘(らんさん)@: (名) [涼傘]王のかご[御駕籠(うちゅう)]にさしかける傘。

  普通、御涼傘(うらんさん)、という。

断髪(らんぱつぃ)@: (名) 断髪(だんぱつぃ)、と同じ。

断髪屋(らんぱつぃやあ)⓪: (名) [新]理髪店。床屋。

ランプ⓪: (名) ダンプ、と同じ。