表紙 前文

 

 ?あ ?い 'い ?う 'う ?え 'え ?お 'お                             ?め   ?や  ?ゆ  ?よ       ?わ  ?ゐ  ?ゑ  ?ん  

 

   さ

 

⁻さ: (接尾) よ。さ。述べることを相手に対して軽く強調する場合に用いる。「短縮

形」(apocopated form)に付く、 @読(ゆ)ぬさ。/読むよ。 @彼(あ)んやさ。

/そうだよ。 @遠(とぅう)ささ。/遠いよ。 など。

性(さあ)@: (名) 心神。人の霊的な活動力。神通力。「性(さが)」に対応するか。

少(さあ)⁻: (接頭) 少しの意を表す。 @少(さあ)ふうふう。/ほろ酔い。 @

少嚏(さあぐさみ)ち。/少し怒ること。 など。

座(ざあ)⓪: (名) @座。人のすわる席。 @座(ざあ)取(とぅ)ゆん。/席を

取る。 ➁地位。役職。ポスト。 B(廃藩前の)役所。御座(うざ)、の項参照。 C

座敷。部屋。

座安(ざあ)⓪: (名) 座安。 ※「ざやす」、豊見城市の地名。

障(さあ)い@: (名) つわり。 @障(さあ)い為(しゅ)ん。/つわりになる。

⁻さあい: (助) さあに、と同じ。その項参照。

障(さあ)い負(ま)き@: (名) つわりで体が弱ること。

座構(ざあがめ)え⓪: (名) 部屋の構え。部屋の中の道具などの配置など。

黒土(ざあがる)⓪: (名) 粘土質の黒土。畑などにある黒土。赤土は、真地(まあ

  ぢ)、という。

沙鍋(さあくう)⓪: (名) 土鍋。中国語「沙鍋」の借用語。小児用のかゆなどをた

  くもの。

性嚏(さあぐさみ)ち⓪@: (名) 少し憤慨すること。 @性嚏(さあぐさみ)ち為

(しゅ)ん。/※動詞化。

然様(さあざあ)とぅ@: (副) さっぱりと。心についていう。 @肝(ちむ)ん然

様(さあざあ)とぅ成(な)ゆん。/心がさっぱりする。せいせいする。

佐事(さあじ)⓪: (名) 佐事(さじ)、と同じ。

鷺(さあじ)@: (名) 鷺(さぎ)。鷺(さあじゃあ)、ともいう。

鷺(さあじゃあ)@: (名) 鷺(さあじ)、と同じ。

鎖(さあすぃ)⓪: (名) 錠。錠前。かけ金。 @鎖(さあすぃ)入(い)りゆん。

/錠をかける。 @鎖(さあすぃ)開(あ)きゆん。/錠を開ける。

座主(ざあすぃ)⓪: (名) 「座主」の意。和尚。住職。一山の長である僧。

鎖(さあすぃ)ぬ子(っくぁ)⓪: (名) 鍵。錠前に差し込むもの。

座主(ざあすぃ)ぬ前(めえ)⓪: 和尚様。住職様。

砂糖(さあたあ)⓪: (名) 砂糖。普通は、黒砂糖(くるざあたあ)、をさす。 *混

効験集:坤巻・飲食に、さァたァ、とある。朱で「ァ」とあるが、これは、長音記号

である。このような長音記号は、当時としては実に画期的なことだと思う。

砂糖油揚(さあたああんだあ)ぎい⓪: (名) 菓子の名。麦粉を水でこね、砂糖を入

れて油で揚げたもの。

砂糖荻(さあたあうぅうじ)⓪: (名) 砂糖きび。甘蔗。

砂糖木(さあたあぎい)⓪: (名) 植物名。灌木の名。てらつばき。葉をもむと砂糖

の香りがする。

砂糖車(さあたあぐるま)⓪: (名) 砂糖をしぼる車。砂糖きびをくだいて汁をとる

車で、牛馬が引いて回し、中で歯車がかみあって砂糖きびをしぼる仕掛け。

砂糖仕口(さあたあしくち)⓪: (名) 製糖の仕事。砂糖仕事の意。

砂糖樽(さあたあだる)⓪: (名) 砂糖樽。黒砂糖を入れる樽。

砂糖作(さあたあづく)い⓪: (名) 砂糖作り。製糖。農民にとって一年中で最も多

  忙な仕事であった。

砂糖納豆(さあたあなっとぅう)⓪: (名) 菓子の名。芋糟(ぅんむかすぃ)[甘藷か

  ら澱粉をとったかす]をこね、砂糖・ごまなどを入れて煮たもの。

性高生(さあだかぅん)まり@: (名) 霊力高く生まれること。予言をしたり、神が

かりなことをしたりする、霊力をそなえた生まれ。

性高(さあだか)さん@: (形) 霊力[姓(さあ)]が高い。神通力がある。人につい

ていう。

裂(さあ)ぢ⓪: (名) はちまき。手ぬぐいのように細く長く切った布。ターバンの

  ように頭に巻きつける。 @裂(さあ)ぢ為(しゅ)ん。/はちまきをする。

然尊前(さあとぅうめえ)⓪: (名) 紙製の男びな。女びなは、御面尊(うめんとぅ

  う)、という。

逆様(さあなあ)⓪: (副) さかさま。人体についていう。逆様(さあらあ)、ともい

う。 @逆様(さあなあ)返(けえ)りゆん。/さかさまにひっくり返る。 @逆様

(さあなあ)成(な)ゆん。/さかさまになる。

⁻さあに: (助) で。使用する道具・材料を表す。⁻さあい、ともいうが、⁻さあに、の

方が上品に感じられる。また、⁻っし、ともいう。 @包丁(ほおちゃあ)さあに切(ち)

ゆん。/包丁で切る。 @鉄砲(てぃっぷう)さあに鳥(とぅい)射(い)ゆん。/

鉄砲で鳥を撃つ。 @紙(かび)さあに包(つぃつぃ)ぬん。/紙で包む。 @酒(さ

け)え何(ぬう)さあに作(つく)てえが、粟(あわ)どぅやるい、米(くみ)どぅ

やるい。/酒は何で作ってあるのか、粟なのか米なのか。 @装(すが)いさあねえ

人(っちゅ)ぬ良(ゆ)し悪(あ)せえ言(ぃや)らん。/服装では人のよしあしは

言えない。

少歯痒(さあはごお)さん@: (形) @うすぎたない。 ➁うす気味が悪い。何とな

く気持ちが悪い。

座華(ざあはねえ)きやあ⓪: (名) 座をにぎやかにする者。

座波(ざあふぁ)⓪: (名) 座波。 ※「ざは」、糸満市の地名。

少(さあ)ふうふう⓪: (副) ほろ酔いのさま。一杯機嫌のようす。 @少(さあ)

ふうふう為居(しょお)ん。/一杯機嫌である。

座蝿(ざあふぇえ)⓪: (名) しまつにおえないこと。めちゃめちゃ。また、乱暴な

こと。荒々しいこと。 @座蝿(ざあふぇえ)な者(むん)。/もて余し者。 @座蝿

(ざあふぇえ)成而居(なとお)ん。/(物事が)しまつにおえなくなっている。

座蝿事(ざあふぇえぐとぅ)⓪: (名) しまつにおえない事。困った事。やっかいな

事。

座蝿手蠅(ざあふぇえてぃいふぇえ)⓪: (名) 乱暴狼藉。 @座蝿手蠅(ざあふぇ

  えてぃいふぇえ)為(しゅ)ん。/※動詞化。

座蝿者(ざあふぇえむん)⓪: (名) 乱暴者。ならず者。しまつにおえない者。

皿盆(さあふん)⓪: (名) ちょうず鉢。口の広い、大型の手水鉢。

皿盆小(さあふんぐぁあ)⓪: (名) 皿盆斧(さあふんゆうち)、と同じ。

皿盆斧(さあふんゆうち)⓪: (名) 小さいまさかり。手斧。柄の長さ30〜40セ

ンチ内外の、片手で用いるもの。斧(ゆうち)は、「よき」に対応する語。皿盆小(さ

んふんぐぁあ)、ともいう。 ※倭名類聚抄に「斧をよきと云う」、とある。

性負(さあま)き@: (名) おのれの、性(さあ)[霊力]に体が負けること。天才が

弱体な場合とか、神がかりをする人などについていう。 *混効験集:坤巻・言語に、

さあまけ、とある。

座持(ざあむ)ちゃあ⓪: (名) 座をもたせる者。一座をにぎやかにする陽気な人。

白湯(さあゆう)⓪: (名) さゆ。白湯。

然有(さあ)⁼ゆん@: (自 ⁼らん、⁼てぃ) おありになる。「ある」の敬語。 @殿

地(とぅんち)ねえ系図(ちいじ)ぬ然有(さあ)而居遣侍(とおやびい)み。/お

宅には系図がおありですか。 @御草臥(うくたんでぃ)ん然有侍(さあいび)らに。

/お疲れではございませんか。 @御回(うまわうぇ)え然有(さあ)而居召候侍(と

おみせえいびい)み。/おかずはおありでございますか(肉売りが来ていうことば)。

触(さあ)⁼ゆん@: (他 ⁼らん、⁼てぃ) さわる。触れる。 @触(さあ)れえ三貫

(さんぐぁん)[6銭]、取(とぅ)れえ十縄(とぅなあ)[20銭]の罰金(子供が大

事なものを人にさわらせまいとする時に言う文句)。

浚(さあ)⁼ゆん@: (他 ⁼らん、⁼てぃ) (汁を)あける。容器を傾けて中の汁をす

っかり出す場合にいう。 @芋(ぅんむ)ぬ汁(しる)浚(さあ)ゆん。/さつまい

もの煮汁をあける。

浚(さあ)ら⓪: (名) たわし。

逆様(さあらあ)⓪: (副) 逆様(さあなあ)、と同じ。猿(さある)、に由来する語

か。

猿(さある)⓪ (名) @猿。昔は野生の猿はいなかったであろう。文語は猿(さる)。

その項参照。 ➁猿まねをする者。人まねをする者のあだな。

猿(さある)う⓪: (名) 口のとがった者。猿に似た者の意。

座(ざあ)ん@無(ねえ)ん⓪: (句) 人の言を気にしない。他人のおもわくをかえ

りみない。座をわきまえない。平気である。よい意にも悪い意にも使う。ざあ、は座

の意か。 @座(ざあ)ん無(ねえ)ん人(っちゅ)。/人を気にしない人。 @座(ざ

あ)ん無(ねえ)ん仕方(しかた)。/人をかえりみないやり方。 @座(ざあ)ん無

(ねえ)ん、誰前(たあめえ)居(うぅ)てぃん内内(うちうち)ぬ事(くとぅ)話

(はなし)為(っし)。/座をわきまえない、誰の前でもうちうちの事を話して。

さい@: (感・助) 目上に話しかける時・呼びかける時などに男が発する敬語。さら

に高い目上には、さり、という。女は、たい、という。もし。 @さい。/もし(他

家で案内を乞う時など)。 @叔父様(うぅんちゅう)さい。/もし、おじさん。

柴棍米(さいぐんめえ)⓪ (名)[新] 外米。唐米(とおぐみ)、ともいう。 ※柴棍

(サイゴン)は、現在のホーチミン市のことのようである。

小甚(さいた)⓪: (連体) 変な。妙な。不思議な。 @小甚物(さいたむん)。/不

  思議なもの。

裁判(さいふぁん)@: (名)[新] 裁判。明治の初めごろ一時使われた語。

逆(さか)@: (名) 逆。さかさま。反対。 @字(じい)ぬ逆(さか)成而居(な

とお)ん。/字が逆になっている。 @逆(さか)んかい行(い)ちゅん。/反対の

方向に行く。 @逆(さか)んかい物(むぬ)言(い)ゆん。/理に合わないことを

言う。

下(さ)がい⓪: (名) 地面が低くなっているところ。低地。しも。上(あ)がい、

の対。山川(やまがあ)下(さ)がい、といえば、山川という部落の中のしもの部分。

下(さ)がい⓪: (名) 掛け。代金あと払いの売買。

下(さ)がい魚(いゆ)@: (名) 鮮度の落ちた魚。古い魚。

下(さ)がい売(う)い⓪: (名) 掛け売り。

栄(さか)い衰(うとぅる)い@: (名)[文] 盛衰。興亡。 @此(く)ぬ世(ゆ)

人間(にんじん)ぬ栄(さか)い衰(うとぅる)いや夏(なつぃ)とぅ冬心(ふゆぐ

くる)生(い)ち替(か)わい替(が)わい。[この世の人間の 盛衰や 夏と冬ごこ

ろ いき替り替り(花売之縁)]この世の人間の盛衰は夏と冬のように変転きわまりな

い。 ※花売之縁(はなうりのえん)は、高宮城親雲上(たかみやぐすくぺえちん)

作の組踊である。

下(さ)がい買(ごお)い⓪: (名) 掛け買い。

下(さ)がい太陽(てぃいだ)⓪: (名) 落日。落ちる太陽。夕日。 @上(あ)が

い太陽(てぃいだ)どぅ拝(うぅが)ぬる、下(さ)がい太陽(てぃいだ)あ拝(う

ぅが)まん。/上がる日は拝むが、落ちる日は拝まぬ。勢いのよいものにつく意の諺。

逆生(さかぅん)まり@: (名) 逆産。逆子(さかご)で生まれること。

逆捕(さかがつぃ)み@: (名) 無実の罪。冤罪。

逆剃(さかず)い@: (名) さか剃り。

逆立(さかだ)ち@: (名) 病後、食欲が旺盛になること。また、その食欲。 @逆

立(さかだ)ち為(しゅ)ん。/(病後)食欲が起こる。

杯(さかづぃち)@: (名) @さかずき。 ➁(接尾)さかずきに盛った数を数える

  時にいう。一杯(ちゅさかづぃち)、二杯(たさかづぃち)、など。

酒菜(さかな)@: (名) 酒のさかな。酒を飲む時の料理。 *おもろさうし・43

  2に、さかな、とあり、言葉間書に、「肴也」とある。

坂成(さかな)い⓪: (名) 急な傾斜。急斜面。 @坂成(さかな)い成而居(なと

お)る坂(ふぃら)。/急な坂。

酒菜屋(さかなやあ)⓪: (名) 料理屋。料亭。

酒菜屋女(さかなやあうぃなぐ)⓪: (名) 料理屋の女給。酌婦。ほとんどが娼婦を

  かねていた。

逆睫毛(さかまつぃぎ)@: (名) さかまつげ。さかさまつげ。

逆水(さかみずぃ)@: (名) 水が逆流すること。また、逆流する水。大雨のために

屋根で、逆水(さかみずぃ)、が起これば、雨もりの原因となる。

逆物言(さかむに)い@: (名) 不合理なことを言うこと。矛盾したことを言うこと。

酒屋(さかや)@: (名) つくり酒屋。酒造家。酒を売る店は、酒町屋(さきまちや)、

という。

栄(さか)⁼ゆん@: (自 ⁼らん、⁼てぃ) 栄える。栄(さけ)えゆん、ともいう。

下(さ)が⁼ゆん⓪: (自 ⁼らん、⁼てぃ) @下がる。位置が下に下がる。 ➁下がる。

ぶら下がる。 B値が安くなる。 C魚などの生きがなくなる。鮮度が落ちる。

下(さ)が⁼ゆん⓪: (自 ⁼らん、⁼てぃ) 掛けで買う。 @下(さ)がらしゅん。/

掛けで売る。

逆向(さかん)き@; (名) さかむけ。ささくれ。皮膚のさかむけ。親不孝者にでき

  るといわれている。

坂迎(さかんけ)え⓪: (名) 旅から帰る人を迎えること。また、その行事。また、

東御廻(あがりうまあ)い、今帰仁拝(なちじんうが)み[その項参照]などで神に

詣でて帰る人を迎えること。「一族を代表する尸婦の一行が、三年おき或は七年おきに、

祖先発祥の地に詣でゝ帰る日、一族中の老若男女が、之を郊外の坂の辺で迎へて、慰

労会をやること。(伊波普猷:琉球語彙)」 ※尸婦(しふ)と読むようである。大漢

和辞典にも載っていない。祖先を祭るとき、神霊の代わりに立って祭りをうける婦人

のことのようである。

酒(さき)@: (名) 酒。普通は泡盛をさす。 *おもろさうし・1087に、さけ、

  とある。

下(さ)ぎ⓪: (名) 三味線の本調子。上(あ)ぎ[二上がり]に対する。三下がり

は、三下(さんさ)ぎ、という。

酒(さき)い@: (名) 酒飲み。酒豪。

酒酔(さきうぃ)い@: (名) 酒に酔うこと。 @酒酔(さきうぃ)い為(しゅ)ん。

  /※動詞化。

酒甕(さきがあみ)⓪@: (名) 酒がめ。酒を貯えておくかめ。 *おもろさうし・ 

  546に、さけ、かめ、とある。

酒癌(さきがく)@: (名) 酒を飲み過ぎて起こる癌。

酒勝(さきが)ち@: (名) 酒を飲み過ぎて病むこと。酒中毒。二日酔い。

酒喰(さきくぇ)え⓪: (名) のんだくれ。酒飲みをののしっていう語。

酒肥(さきぐぇえ)い⓪@: (名) 酒太り。酒を飲んで太ること。

酒癖(さきぐし)@: (名) 酒癖。酒を飲むと出る癖。

下(さ)ぎ薬(ぐすい)⓪: (名) のぼせを直す薬。薬として、烏賊(いか)、此比墨

  (くぶすぃみ)[いかの一種]、などを煮て、汁とともに食べる。

酒酒菜(さきさかな)@: (名) 酒と肴。

酒上戸(さきじょおぐ)⓪: (名) 酒好き。酒を好むこと。上戸。

酒上戸(さきじょおぐ)う⓪: (名) 酒好き。酒飲み。酒を好む者。上戸。

酒好(さきすぃ)ち@: (名) 酒好き。

下(さ)ぎ雜箕(ぞおき)い⓪: (名) 天井から下げる、竹で編んだかご。食物を入

  れる。

酒垂(さきた)り@: (名) 酒の醸造。

下(さ)ぎ手籠(でぃいる)⓪: (名) 天井から下げるざる。

酒徳利(さきどぅっくい)⓪: (名) 酒どっくり。酒を入れる陶製の器。運搬用の大

  きなものもある。

酒瓶(さきびん)@⓪: (名) 酒瓶。酒を入れる陶製の器。儀式用・祭壇用として用

  いるもの。普通に飲む時には多く、からからあ、を用いる。

酒町屋(さきまちや)@: (名) 酒屋。酒を売る店。

酒盛(さきむ)い@: (名) (平民が用いる語) @結納。 ➁いいなずけ。

裂(さ)き⁼ゆん⓪: (自 ⁼らん、⁼てぃ) 裂ける。 

下(さ)ぎ⁼ゆん⓪: (他 ⁼らん、⁼てぃ) @(位置を)下げる。 ➁下げる。ぶらさ

げる。 B値を安くする。 C(膳などを)下げる。

裂(さ)く⓪: (名) 谷間。農村で用いる語。

裂(さ)くい⓪: (名) ひっかき傷。浅い切り傷。

探(さぐ)いん喰(ぐぇ)え⓪: (名) さぐり食いの意。棚捜しして食うこと。

粳米(さくぐみ)⓪: (名) うるち。粳米。粳米(さくめえ)、ともいう。

裂(さ)くさん⓪: (形) もろい。こわれやすい。折れやすい。粘(しぷ)さん、の

対。

作得(さくとぅく)⓪: (名) [作得] 地頭(じとぅう)、上官人(ぅうぇえかんち

ゅ)[役人]、宣(ぬ)る雲上(くむい)[のろ]などが役地から取得する穀物。生産の

三分の二弱を取得した。

坂平(さくふぃら)⓪: (名)[文] 急な坂。険しい坂。 @若(わか)さ一時(ふぃ 

とぅとぅち)ぬ通(かゆ)い路(ぢ)ぬ空(すら)や闇(やみ)ぬ坂平(さくふぃら)

ん車平原(くるまとおばる)。[若さ一時の 通路の空や 闇のさくひらも 車たう原]

若い時恋人のところへ通う心は、闇のけわしい坂も砂糖車を据える平原と同じような

ものである。

粳米(さくめえ)⓪: (名) うるち。粳米。粳米(さくぐみ)、と同じ。

裂(さ)く⁼ゆん⓪: (他 ⁼らん、⁼てぃ) ひっかく。とがったもので浅く傷をつける。 

@魚(いゆ)ぬ刺(んじ)さあに舌(すぃば)裂(さ)くゆん。/魚のとげで舌を傷

つける。

探(さぐ)⁼ゆん@: (他 ⁼らん、⁼てぃ) 探る。手足でものを探る。また、ようすを

探る。

桜(さくら)@: (名) 桜。桜は少ないが、本部・名護・久米島などにみられる。 @

流(なが)り寄(ゆ)る水(みずぃ)に桜花(さくらばな)浮(う)きてぃ色清(い

るぢゅ)らさ有(あ)てぃどぅ掬(すく)てぃ見(ん)ちゃる。[流れよる水に 桜花

浮けて 色清らさあてど すくて見ちやる]流れる水に桜の花が浮かんでいて色が美

しいので、すくって見た。 *おもろさうし・989に、さくら、とある。

石榴(ざくら)@: (名) 植物名。ざくろ。

桜色(さくらいる)@: (名) 桜色。人の血色のいいのにいう。赤桜色(あかざくら

いる)、ともいう。 ※源氏物語・竹河の巻に、「つくづくと見れば、桜色のあやめも

それと見分きつ」とある。

桜島(さくらじま)⓪: (名) 桜島。鹿児島の地名。

境(さけえ)⓪: (名) 境。境界。

捜(さげ)え⁼しゅん@: (他 ⁼さん、⁼ち) 捜す。

境目(さけえみ)⓪: (名) 境目。境界。事の分かれ目。

栄(さけ)え⁼ゆん@: (自 ⁼らん、⁼てぃ) 栄える。繫栄する。繁昌する。栄(さか)

  ゆん、ともいう。 @栄(さけ)え而居(とお)る家(やあ)。/栄えている家。

酒(ささ)@: (名) 魚をとるために、水中に投入する毒物。袋木(ふくるぎ)[きり

んそう]の茎・葉を切って乳状の液の出たところをそのまま水中に投入する。また、

新菜(みんな)[るりはこべ]も用いられる。魚類はその毒分に酔って水面に浮かび上

がる。こうして魚をとることを、酒(ささ)入(い)りゆん[ささを入れる]という。 

*おもろさうし・729に、さゝくさ、とある。

授(さざ)か⁼ゆん@: (他 ⁼らん、⁼てぃ) @授かる。 @子(っくぁ)授(さざ)

かゆん。/(神から)子を授かる。 ➁(職務・子供の世話などを)引き受ける。(財

産などを)管理する。預かる。 @子(っくぁ)授(さざ)かゆん。/(他人の)子

を預かる。 @銭(じん)授(さざ)かゆん。/金を管理する。

授(さざ)き⁼ゆん@: (他 ⁼らん、⁼てぃ) @授ける。 ➁管理させる。預けて世話

  させる。

小小(ささ)⁼ぬん⓪: (自 ⁼まん、⁼でぃ) 雨が小やみとなる。雨がしばらくやむ。 

@小小(ささ)でぃ来(ちゅう)ん。/だんだん雨がやんで来る。 @小小(ささ)

でぃから行(い)けえ。/雨がやんでから行け。

細波(さざらなみ)⓪: (名)[文] さざ波。小波。 ※万葉集・3012、「との曇

り雨降る川のさざれ波間無くも君は思ほゆるかも」。 *混効験集:坤巻・言語に、さ

さら浪、とある。 *おもろさうし・524に、さゝら、なみ、とあり、言葉間書に、

「小浪の事」とある。

佐事(さじ)⓪: (名) [佐事]役場の小使いをいう。佐事(さあじ)、ともいう。小

  使(くじけ)え、と同じ。

刺(さ)し蟻(あい)⓪: (名) 刺(さ)し蟻(あや)あ、と同じ。

刺(さ)し蟻(あや)あ⓪: (名) 蟻の一種。刺し蟻。黒く大きく、人を刺す。

差(さ)し石(いし)⓪: (名) 力石。力だめしに頭上にさし上げる石。村の広場に

大小の丸い黒い石がそなえてあり、青年たちが力を競った。

差(さ)し押(う)さい⓪: (名)[新] 差し押え。元来は、引(ふぃ)ち物(むん)、

  という。

差(さ)し軒(か)⓪: (名) ひさし。家の軒に別に差し出した小屋根。

差(さ)し傘(かさ)⓪: (名) 日傘。

挿(さ)し木(き)⓪: (名) 挿し木。

注(さ)し薬(ぐすい)⓪: (名) 目薬。点眼薬。

刺(さ)し殺(くる)⁼しゅん⓪: (他 ⁼さん、⁼ち) 刺し殺す。

指(さ)し知(し)り⁼ゆん⓪: (自 ⁼らん、⁼てぃ) [文] (人間の善悪などが)

  はっきりと天に知れる。「指し痴れる」の意。

差(さ)し出(だ)し⓪: (名) [差出] 地券。土地の権利書。土地所有の証明書

  で、抵当に入れる時などに差し出すもの。

佐敷(さしち)⓪: (名) 佐敷。 ※「さしき」、南城市の地名。 *おもろさうし・

  1014に、さしき、とある。

座敷(ざしち)⓪: (名) @座敷。部屋。 ➁寝間。寝室。 B寝床。 @座敷(ざ

しち)為(しゅ)ん。/床をとる。

座敷衆(ざしちしゅう)⓪: (名) 本官にならない役人。補。やとい。 ※沖縄語辞

  典では、「じゃしちしゅう」となっているが、「ざしちしゅう」だと思われる。

座敷道具(ざしちどおぐ)⓪: (名) 寝具。夜具。

差(さ)し支(つぃけ)え⓪: (名) さしつかえ。さしさわり。 @差(さ)し支(つ

ぃけ)えぬ有(あ)てぃ行(い)からん。/さしつかえがあって行けない。

差(さ)し詰(つぃ)ま⁼ゆん⓪: (自 ⁼らん、⁼てぃ) @つまる。窮する。 @返答

(ふぃんとお)に差(さ)し詰(つぃ)まゆん。/返事に窮する。 ➁おしつまる。

その時期がさしせまる。

差(さ)し剥(はん)かあ⓪: (名) 出しゃばる者。出しゃばり。差(さ)し剥(は

ん)き者(むん)、ともいう。

差(さ)し剥(はん)き事(ぐとぅ)⓪: (名) 出しゃばった事。出しゃばった行為。

差(さ)し剥(はん)き者(むん)⓪: (名) 差(さ)し剥(はん)かあ、と同じ。

差(さ)し剥(はん)き⁼ゆん⓪: (自 ⁼らん、⁼てぃ) 出しゃばる。

刺身(さしみ)⓪: (名) 料理名。刺身。

指物(さしむん)⓪: (名) 指物。

指物細工(さしむんぜえく)⓪: (名) 指物師。

刺・差(さ)⁼しゅん⓪: (他 ⁼さん、⁼ち) @刺す。 @針(はあい)刺(さ)しゅ

ん。/針を刺す。 @蜂(はちゃあ)に刺(さ)さりゆん。/蜂に刺される。 ➁差

す。腰などに帯びる。はさみこむ。 @太刀(たち)差(さ)しゅん。/太刀を差す。 

指差すには、指(いいび)抜(ぬ)ち為(しゅ)ん、という。 B高くさし上げる。 

@石(いし)差(さ)しゅん。/石を高くさし上げる。 C差す。つぐ。そそぐ。 @

湯(ゆう)注(さ)しゅん。/湯を差す。湯をつぐ。注(つぃ)じゅん、ともいう。

細(さじ)ら⁼しゅん@: (他 ⁼さん、⁼ち) 細める。細くする。 @棒(ぼお)ぬ先

(さち)削(ふぃ)じ細(さじ)らしゅん。/棒の先をけずって細くする。

細(さじ)り⁼ゆん@: (自 ⁼らん、⁼てぃ) 細くなる。先が細る。細くそげる。また、

やせこける。 @尾(ずう)ぬ細(さじ)り而居(とお)ん。/尾が細くなっている。 

@顔(つぃら)ぬ細(さじ)り而居(とお)ん。/顔がやせこけている。

差(さ)し入(ん)⁼ちゅん⓪: (他 ⁼かん、⁼ち) 差し込む。

鎖(さ)すぃぬ側(すば)@: (名)[古] [鎖の側]廃藩前の役名。貿易・外交など

を扱う長官。外務長官。十五人衆(じゅうぐにんしゅう)、のひとり。

栄螺(さぜえ)⓪: (名) さざえ。

沙汰(さた)⓪: (名) @沙汰。うわさ。また、評判。 @姉小達(あんぐぁあたあ)

や島(しま)うてぃ吾沙汰(わあさた)為(しゅ)らどお。/娘たちは村でわたしの

うわさをしているだろう。 @沙汰(さた)ん無(な)らん。/お話にならない。問

題にならない。 @行会(いちゃあ)わ沙汰(さた)為(っし)呉(くぃ)りよお。

/会ったらよろしく伝えてくれよ。 @沙汰(さた)為(さ)りゆん。/うわさされ

る。 @沙汰(さた)残(ぬく)ゆん。/死後も人の口にのぼる。 B音信。 @沙

汰(さた)ん無(ね)えらん。/音信もない。

先立(さだ)い彼(あ)ん為足(した)れえ@: (名) 上流階級の結婚式の時、行列

を先導し、新婦につき添って世話する女。二人が当たり、黒朝衣(くるちょお)、を着

る。先立(さだ)い彼(あ)ん為足(した)り、ともいう。さだい⁻<先立(さだ)ゆ

ん。一般の結婚式のそれは、新引(にいびち)ん人(ちゅ)、または、仲立(なかだ)

ち、という。

先立(さだ)い彼(あ)ん為足(した)り@: (名) 先立(さだ)い彼(あ)ん為足

(した)れえ、と同じ。

佐多(さた)ぬ岬(みさち)⓪: (名) 佐多岬。鹿児島県の地名。

定(さだ)み⓪: (名) 定め。決まり。法規。

定(さだ)み⁼ゆん⓪: (他 ⁼らん、⁼てぃ) 定める。決める。

先立(さだ)⁼ゆん@: (自 ⁼らん、⁼てぃ) [文・古]先に立つ。先行する。 @と

おとお、先立(さだ)り先立(さだ)り。[たうたう さだれさだれ(花売之縁)]さ

あさあ、先になれ先になれ。 ※花売之縁(はなうりのえん)は、高宮城親雲上(た

かみやぐすくぺえちん)作の組踊。 @先立(さだ)れえ。/お先にどうぞ。 @先

立(さだ)遣侍(やび)ら。/お先に失礼します。 *おもろさうし・5に、さだけ

て、とある。

先(さち)@: (名) 先。前。前方。 @先(さち)成(な)れえ。/先に行け。前

になれ。 ➁先端。 @筆(ふでぃ)ぬ先(さち)。/筆の先。 B先。将来。 @先

(さち)扨(ぃんじ)如何(ちゃあ)がやあ。/将来どうだろうかねえ。 C先。以

前。 @先(さち)成(な)てぃ来居(ちょお)たん。/先に来ていた。

崎(さち)@: (名) 崎。岬。

裂(さ)ち藺(いい)⓪: (名) [裂藺]藺(い)。七島藺。琉球表を作る藺。茎は三

角形で、これを裂いて乾かし、畳表とする。その質が丈夫なので、台所用・道場用な

どに用いられる。

先指(さちいいび)@: (名) 人さし指。普通は、人指(っちゅさ)し、という。

咲(さ)ち出(ぃん)じ⁼ゆん@: (自 ⁼らん、⁼てぃ) 咲き出す。咲き始める。

先夫(さちうとぅ)@: (名) 先夫。前夫。

咲(さ)ち被(かん)⁼じゅん@: (自 ⁼だん、⁼てぃ) 咲きこぼれる。咲き乱れる。

  いっぱいに咲く。

先口(さちぐち)@: (名) 先口。順番が先であること。

先御代(さちぐでえ)⓪: (名) 昔。当御代(とおぐでえ)[現代]に対する。

咲(さ)ち栄(さけ)え⁼ゆん@: (自 ⁼らん、⁼てぃ) 花ざかりとなる。満開になる。 

@花(はな)ぬ咲(さ)ち栄(さけ)え而居(とお)ん。/花が満開である。

先々(さちざち)@: (名)[文] 先々。将来。

先次第(さちしでえ)⓪: (名) 先着順。申し込み順。

先島(さちしま)@: (名) [先島]先島。宮古群島と八重山群島。

咲(さ)ち過(すぃ)り⁼ゆん@: (自 ⁼らん、⁼てぃ) 満開の時期が過ぎる。花の盛

  りが過ぎる。

先立(さちだ)ち@: (名) 先に立つこと。先導。先行。また、先に立つ人。先導者。 

@先立(さちだ)ち為(しゅ)ん。/※動詞化。

先立(さちだ)⁼ちゅん⓪: (自 ⁼たん、⁼っち) @先立つ。先に行く。 ➁先に死ぬ。

  先立つ。

咲(さ)ち切(ち)⁼ゆん@: (自 ⁼らん、⁼っち) すっかり咲く。満開になる。咲き

切るの意。咲(さ)ち切(ち)りゆん、ともいう。

咲(さ)ち切(ち)り⁼ゆん@: (自 ⁼らん、⁼てぃ) 咲(さ)ち切(ち)⁼ゆん、と

同じ。

先手(さちでぃい)@⓪: (名) 先手。 @先手(さちでぃい)出(ぃん)じゃしゅ

ん。/先手を打つ。先手(さちでぃい)入(い)りゆん、ともいう。

先年(さちどぅし)@: (名) 先年。すぎ去った年。

先刀自(さちとぅじ)@: (名) 先妻。先尋(さちどぅ)み、ともいう。

先尋(さちどぅ)み⓪@: (名) 先妻。先刀自(さちとぅじ)、ともいう。後尋(あと

ぅどぅ)み[後妻]の対。

先成(さちな)いしが物(むぬ)う⓪: (名) 早い者勝ち。先になった者の物の意。

先(さち)ぬ世(ゆう)@: (名) 過去の時代。前の世。昔。また、前世。

先走(さちば)い@: (名) 先がけ。先駆。先駆者。 @女(うぃなご)お戦(いく

さ)ぬ先走(さちば)い。/女はいくさのさきがけ。いざという時、女は勇気が出る。

先原(さちばる)ぬ崎(さち)⓪: (名) 先原崎。那覇港外にある岬。

先回(さちまあ)い⓪: (名) 先回り。抜けがけ。他を出しぬいて事をすること。

座喜味(ざちみ)⓪: (名) 座喜味。 ※「ざきみ」、中頭郡読谷村の地名。世界遺産

  「座喜味城跡」がある。

崎本部(さちむとぅぶ)@: (名) 崎本部。 ※「さきもとぶ」、国頭郡本部町の地名。

崎山(さちやま)⓪: (名) 崎山。 ※「さきやま」、那覇市首里の地名。

裂(さ)⁼ちゅん⓪: (他 ⁼かん、⁼ち) 裂く。

咲(さ)⁼ちゅん@: (自 ⁼かん、⁼ち) 咲く。

札(さつぃ)@: (名) さつ。紙幣。

噦(さっくぃ)い⓪: (名) 咳。 @噦(さっくぃ)い為(しゅ)ん。/咳をする。 

@噦(さっくぃ)い突(つぃつぃ)ちゅん。/咳こむ。

雑穀(ざっくく)⓪: (名)[文] 雑穀。

殺好(さっこお)⓪: (名) @きちんとしないこと。整っていないこと。整然としな

いこと。狂いがあること。 @殺好(さっこお)な物言(むぬい)い方(かた)。/整

然としない話し方。 @彼(あ)れえ此(く)ぬ頃(ぐろ)お殺好(さっこお)どお。

/彼はこのごろは異常だよ。 ➁無風流。殺風景。また、みすぼらしいこと。 @殺

好(さっこお)な装(すが)い為居(しょお)ん。/みすぼらしいなりをしている。

吃逆(さっこおび)⓪: (名) しゃっくり。 @吃逆(さっこおび)為(しゅ)ん。

/※動詞化。

察(さっ)し⁼ゆん@: (他 ⁼らん、⁼てぃ) [文]察する。

察中(さっちゅう)@: (名) 憶測。あて推量。 @察中(さっちゅう)為(しゅ)

ん。/憶測する。 @察中(さっちゅう)やてぃん当(あ)たゆる事(くとぅ)ぬ有

(あ)ん。/当て推量でも当たることがある。

察中物言(さっちゅうむぬい)い@: (名) いい加減に推測してものを言うこと。

扨(さってぃ)む⓪: (感) さても。おやまあ。いやはや。珍しい場合・あきれた場

合・深く感じた場合などにいう。 ※源氏物語・帚木の巻に、「げにさし向ひて見む程

は、さてもらうたき方に罪ゆるし見るべきを、」とある。

扨(さってぃ)む扨(さってぃ)む⓪: (感) さてもさても。おやまあ。あれまあ。

いやはや。女がよく使う。

雑(ざっ)とぅ@: (副) ざっと。簡略に。大ざっぱに。 @雑(ざっ)とぅ読(ゆ)

でぃ見(んん)でえ。/ざっと読んで見ろ。

雜(ざっ)とぅう⓪: (名) 飾り気のない人。動作が気軽でとりつくろわぬ人。あっ

  さりした人。さっぱりした人。

薩張(さっぱち)⓪: (名) さっぱり。淡白で、こだわらない性質をいう。 @薩張

(さっぱち)な二才(にいせえ)。/さっぱりした青年。 ※薩張(さっぱり)は、石

川啄木がよく使う当て字である。

雑費(ざっぴ)⓪: (名)[新] 雑費。以前は、雜作(ぞおつぃく)り、といった。

冊封使(さっぷうし)@: (名) [冊封使]。冊封使。明治以前、琉球国王が王位につ

く時、中国から来て冠を授けた使者。一般人からは、唐(とお)ぬ按司(あじ)、と呼

ばれた。正副の二使があり、清朝以来正使は満人、副使は漢人で、俗にこれを左の按

司、右の按司といった。二、三百人から七、八百人の兵を従えて約半年間滞在し、非

常に歓待された。その乗船を、御冠船(うくぁんしん)、その歓迎のために演じた国劇

を、御冠船躍(うくぁんしんうどぅい)、といった。

扨(さてぃ)⓪: (感) さて。 @扨(さてぃ)、此(く)りから如何(ちゃあ)為

  (しゅ)が。/さて、これからどうしよう。 ※扨(さて)は、国字である。

佐手(さでぃ)@: (名) 佐手。 ※「さて」、国頭郡国頭村の地名。

小手(さでぃ)@: (名) さで。叉手網。魚をすくう網。 ※叉手(さで)は、共通

語である。万葉集・38の長歌に「下つ瀬に小網(さで)さし渡す」とある。

扨扨(さてぃさてぃ)@: (感) さてさて。 @扨扨(さてぃさてぃ)彼(あ)んど

ぅやてぃい。/さてさて、そうであったか。

里(さとぅ)@: (名)[文] [里]女が、男の恋人をいう語。昔の君。わが君。 @

月(つぃち)ん眺(なが)みたいでぃかよ立(た)ち戻(むどぅ)ら、里(さとぅ)

や吾(わ)が宿(やどぅ)に待(ま)ちゅらでむぬ。[月も眺めたい でかやう立ち戻

ら 里やわが宿に 待ちゆらだいもの]月も眺めたし、さあ帰ろう。わが君がわたし

の家で待っているだろうから。

里(さとぅ)ぬ子(し)@: (名) [里之子・里主] @位階の名。脇地頭(わちじ

とぅう)[一村の領主]になりうる士族の位階。 ➁一般士族の男子に対する敬称。平

民からいう。だんな様。 *混効験集:乾巻・人倫に、里之子た、とある。

里(さとぅ)ぬ子(し)小(ぐぁあ)⓪: (名) 里(さとぅ)ぬ子(し)、の子。一般

士族の15歳前後の男の子の敬称。

里(さとぅ)ぬ子(し)小(ぐぁあ)前(めえ)⓪: (名) 里(さとぅ)ぬ子(し)

小(ぐぁあ)、を敬って呼びかけていう語。平民からいう。

里(さとぅ)ぬ子(し)筋目(すぃじみ)⓪: (名) [里之子筋目]里(さとぅ)ぬ

子(し)、になる士族の家柄。筑登之筋目(ちくどぅんすぃじみ)、とともに譜代の士

族の家柄である。

里(さとぅ)ぬ子(し)ぬ前(めえ)⓪: (名) [里主之前]里(さとぅ)ぬ子(し)

  の敬称。呼びかけていう。

里(さとぅ)ぬ子(し)親雲上(ぺえちん)⓪: (名) [里之子親雲上]位階の名。

  王子から数えて5番目の位階。

里前(さとぅめえ)⓪: (名)[文] [里前]里(さとぅ)、の敬語。わが君。背の君。

また、殿方。 @里前(さとぅめ)舟(ふに)送(うく)てぃ戻(むどぅ)る道(み

ち)過(すぃ)がら降(ふ)らん夏暮(なつぃぐ)りに吾袖(わすでぃ)濡(ぬ)ら

ち。[里前船送て 戻る道すがら 降らぬ夏ぐれに 我袖ぬらち]わが君の船を送って

帰る道すがら、降りもしない夏の雨にわが袖をぬらした。

悟(さとぅ)⁼ゆん@: (自 ⁼らん、⁼てぃ) 感づく。さとる。

砂糖検査(さとおちんさ)⓪: (名)[新] 砂糖検査。砂糖(さあたあ)、の等級を決

  める検査。

褌(さなじ)⓪: (名) ふんどしの卑称。普通は、肌帯(ほどおび)、という。越中ふ

んどしが伝えられてからは、多くそれを用いるようになったが、それは、前着(めえ

ちゃ)あ褌(さなじ)、という。

褌(さなじ)ぬ交(あ)じ間(ま)あ⓪: (名) ふんどしのみつ。 ※みつは、ふん

  どしの横の部分と縦の部分が交叉するところ。

褌(さなじ)ぬ垂(た)い⓪: (名) ふんどしの前に垂れている部分。

真根(さに)@: (名) 種。果実などの種子。核。さね。 @真根(さに)降(う)

るしゅん。/種をまく。 ※万葉集・1794の実(さね)は、本当に、という意味

に使われているようである。 

草履(さば)@: (名) ぞうり。皮・わら・阿旦葉・藺(い)・竹の皮などで作り、種

類が多い。敬語は、御草履(うざれえ)、または、御美草履(ぬうざれえ)。 @草履

(さば)ぬ裏(うら)焼(や)ちゅん。/ぞうりの裏を焼く。(長居する人を追い払う

まじない) *混効験集:坤巻・器材に、さば、とある。

鮫(さば)@: (名) 鮫。

捌(さば)き⁼ゆん⓪: (他 ⁼らん、⁼てぃ) (仕事などを)さばく。処理する。片付

ける。 @今日(ちゅう)なかい捌(さば)きゆうしゅみ。/きょう中にやってしま

えるか。

捌(さば)き⁼ゆん⓪: (自 ⁼らん、⁼てぃ) さばける。処理が進む。商品が売れてし

まう。

捌(さば)く吏(い)⓪: (名)[古] [捌理]間切の番所の村役人。

捌(さば)ち⓪: (名) 櫛。とき櫛。歯が密でない櫛。歯の密なもの、すなわちすき

櫛は、櫛(くし)、という。

捌(さば)ち箱(ばく)⓪: (名) くしげ。櫛箱。黒漆塗りの箱で、前面に引き出し、

上に蓋があり、その中に、格護(かくぐ)[落とし蓋]があり、その下はいくつにも仕

切られている。結婚の時、新調して持参する。

捌(さば)⁼ちゅん⓪: (他 ⁼かん、⁼ち) @くしけずる。乱れないように、とき分け

る。さばく。 @髪(からじ)捌(さば)ちゅん。/髪をくしけずる。 @布(ぬぬ)

捌(さば)ちゅん。/かせ糸を乱れないようにさばく。 @焚物(たむん)捌(さば)

ちゅん。/まきを割る。 ➁裁く。裁判する。

草履取(さばとぅ)い@: (名)[古] ぞうり取り。貴人の家の下足番。御草履取(う

  ざれえとぅ)い、ともいう。

小舟(さばに)⓪: (名) 丸木舟。くり舟。心舟(すぃんに)、の別名。刳(く)い舟

  (ふに)、ともいう。

草履剥(さばは)ぎ@: (名) 鼻緒ずれ。鼻緒ですれた足の傷。

障(さ)び⓪: (名) わざわい。悪いできごと。

錆(さび)⓪: (名) 錆。

寂汁(さびじる)⓪: (名) 貧弱な吸い物。だしのはいっていない汁・実のはいって

  いない汁などをいう。

寂(さびっ)さん⓪: (形) @さびしい。聞くもの・見るものがないなど、物・場所

についていう。精神的なさびしさは、多く、為枯(しか)らあしゃん、という。 ➁

口さびしい。食物がない、食物が貧弱であるなどの場合にいう。

寂物(さびむん)⓪: (名) 味気のない食べもの。おかずの少ない食事。だしのはい

っていない料理などをいう。

寂(さび)り⁼ゆん⓪: (自 ⁼らん、⁼てぃ) さびれる。

小風(さふう)@: (名) ほんの形だけ。軽少。人に物を贈る時にいう語。 @小風

(さふう)どぅ遣侍(やいびい)すぃが。/わずかではございますが。 @小風(さ

ふう)な押上(うしゃ)ぎ物(むん)。/ほんの形だけの進物。

作法(さふう)@: (名) 作法。 @作法(さふう)に適(かな)而居(とお)ん。

  /作法にかなっている。

然程(さふどぅ)@: (副)[文] さほど。それほど。 @然程(さふど)お有(あ)

らん。/さほどではない。

小蝿(さべえ)@: (名) @害虫の名。作物の葉・茎などに密集して付く小さな虫。

油虫。ありまき。 ➁小児のかかる皮膚病の名。皮膚が赤くただれる。あせも。

寂終(さぼお)り⁼ゆん⓪: (自 ⁼らん、⁼てぃ) 荒れはてる。朽ちはてる。腐朽し荒

廃する。

寂終(さぼお)り様(かあ)⓪: (副) 荒れはてたさま。朽ちはてたさま。 @寂終 

(さぼお)り様(かあ)為居(しょお)ん。/荒れはてている。

様(さま)@: (名)[文] 女が恋する男をいう語。わが君。 @様(さま)は如何(い

か)なる敵(かたき)ぬ末(すい)か、思(うむ)い忘(わすぃ)りゆる暇(ふぃま)

ぬ無(ね)らん。[様はいかなる 敵の末か 思ひ忘れゆる 暇のないらん]愛する君

はどんなかたきの子孫ででもあるのか。片時も忘れることがない。(これは仲風、すな

わち和歌と琉歌の混合体でよまれたもの。) *混効験集:坤巻・言語に、ざま、とあ

るが、原注では、恋人のことなのか、様子のことなのかよくわからない。

覚間(さま)@: (名) しらふ。酒を飲まずにいる時。

様(ざま)@: (名) ざま。見たようす。 @様(ざま)あ無(ねえ)ん。/見苦し

い。 *混効験集:坤巻・言語に、ざま、とあるが、原注では、恋人のことなのか、

様子のことなのかよくわからない。

鮫(さま)あ⓪: (名) 鮫肌の者。

様々(さまざま)@: (名) さまざま。種々。 @様々(さまざま)な事(くとぅ)。

/さまざまなこと。 ※源氏物語・帚木の巻に、「浅からぬ世の思出は、さまざまめづ

らかなるべき例かな」とある。

様様(ざまざま)あ⓪無(ねえ)ん⓪: (句) 数限りない。無数である。 @様様(ざ

  まざま)あ無(ねえ)らん夢(いみ)。/無数の夢。

妨(さまた)ぎ@: (名) 妨げ。妨害。邪魔。

妨(さまた)ぎ⁼ゆん@: (他 ⁼らん、⁼てぃ) 妨げる。妨害する。邪魔する。

粗末(さまち)ちゃさん⓪: (形) そそっかしい。粗忽である。

冷(さ)ま⁼ゆん⓪: (他 ⁼さん、⁼ち) @ひやす。熱をさます。冷たくする。 ➁酔

いをさます。

座間味(ざまみ)⓪: (名) 座間味島。慶良間列島(きらま)、の島の名。また、座間

  味。 ※「ざまみ」。 *おもろさうし・873に、ざまみ、とある。

覚(さ)み⓪: (名) 彼岸の最終日。彼岸のあけの日。

鮫(さみ)@: (名) @鮫。普通は、鮫(さば)、という。 ➁鮫肌。

⁻さみ: (助) 〜なのだぞ。〜なんだよ。文語で用いることが多い。 @彼(あ)んど

ぅやっさみ。/そうなんだよ。 @別(わか)るさみとぅ思(み)ば。/[別るさめ

とめば〜]別れるのだと思うと〜。 @月(つぃち)や昔(んかし)から変(か)わ

る事(くとぅ)無(ね)さみ、変(か)わてぃ行(い)く物(むぬ)や人(ひとぅ)

ぬ心(くくる)。[月や昔から 変ることないさめ 変て行くものや 人の心]月は昔

から変わることがないのだ。変わって行くものは人の心。

鮫痒(さみごお)し@: (名) 疥癬の一種。疥癬のひどいもの。

覚(さ)み⁼ゆん⓪: (名) (自 ⁼らん、⁼てぃ) 覚める。目がさめる。 @目(み

い)覚(さ)みゆん。/目がさめる。

褪(さ)み⁼ゆん⓪: (自 ⁼らん、⁼てぃ) 色がさめる。あせる。

冷(さ)み⁼ゆん⓪: (自 ⁼らん、⁼てぃ) 冷(さ)まゆん、ともいう。 @熱がさめ

る。湯などがさめる。 ➁酔いがさめる。

侍(さむれえ)@: (名) 士族。良(ゆ)か人(っちゅ)、ともいう。士族であれば、

  女でも、侍(さむれえ)、である。

鞘(さや)⓪@: (名) 鞘。刀のさや。添(すぃ)い、ともいう。豆のさやは、共(ぐ

る)、という。

清(さや)か⓪: (名・副) さやか。 @清(さや)か照(てぃ)る月(つぃち)[さ

やか照る月]。/さやかに照る月。 @清(さや)かな月(つぃち)。/さやかな月。 

@万葉集・2225、「わが背子(せこ)が挿頭(かざし)の萩に置く露をさやかに見

よと月は照るらし」。

左右(さゆう)@: (名) @左右。 ➁同等なこと。甲乙ないこと。 @銭(じん)

とぅ命(ぬちぇ)え左右(さゆう)。/金と命は同じぐらい大事なもの。金の値打を強

調したことば。

狭読(さゆみ)@: (名) 織り上げて、まだ水を通してない布。さよみ(狭読)の転

意。

皿(さら)@: (名) 皿。大を、鉢(はあち)、中を、揃(すうり)い、または、中皿

(ちゅうざら)、小を、笥置(けえう)ち、または、小皿(くざら)、という。

新(さら)⁻: (接頭) 新しい意を表す。 @新新物(さらみいむん)[真新しい物]、

新落(さらう)てぃい[あらたに女郎に身を落とした者]、など。

新落(さらう)てぃい⓪: (名) あらたに女郎に身を落とした者。

新垣(さらかち)⓪: (名) いばら。とげのある灌木。

晒(さら)し@: (名) さらし木綿。

晒(さら)⁼しゅん@: (他 ⁼さん、⁼ち) @さらす。漂白する。 ➁さらす。雨風な

どの当たるままにしておく。 @顔(つぃら)晒(さら)しゅん。/人前で恥をかく。

新立(さらた)てぃい⓪: (名) 女児が三歳の時に行う、頭を剃る儀式。また、その

剃り方。頭の回りを剃り、前頭からぼんのくぼまでを溝形に剃る。女子を象徴する剃

り方で、男児の、角立(つぃぬた)てぃい[その項参照]に対する。

然有(さら)ば@: (感)[文] さらば。 @然有(さら)ば立(た)ち別(わか)ら

余所目(ゆすみ)無(ね)ん内(うち)に、軈(やが)てぃ赤月(あかつぃち)ぬ鶏

(とぅい)ん鳴(な)ちゅら。[さらば立ち別ら 余所目ないぬうちに やがて暁の 鳥

も鳴きゆら]さあ別れよう、人に見つからないうちに、やがてあかつきの鶏も鳴くだ

ろうから。 ※源氏物語・桐壷の巻に、「さらばこの折の後見なかめるを、」とある。

新誠(さらまくとぅ)⓪: (名) 馬鹿正直。お人よし。 @新誠(さらまくとぅ)な

  人(っちゅ)。/お人よしの人。

⁻さらみ: (助)[文] 「であろう」の意を強調して表す。〜であろうぞ。 @思(う)

み掛(か)きん知(すぃ)らん年(とぅし)ぬ寄(ゆ)てぃ渡(わた)る、中島(な

かしま)ぬ小橋(くばし)命(いぬち)さらみ。[思きやけもすらぬ 年の寄て渡る 中

島の小橋 命さらめ]思いもかけず年寄ってから渡る中島(ゆうかく)の小橋、命あ

ってのことであろう。「年たけてまた越ゆべしと思ひきや 命なりけり小夜の中山」の

歌とよく似ている。 ※「年たけて〜」は、新古今和歌集・987、西行法師の歌で

ある。 *混効験集:坤巻・言語に、さらめ、とある。

新新物(さらみいむん)⓪: (名) 真新しいもの。まだ一度も使ってないもの。新品。

為(さ)ららん為(し)い⓪: (名) いやいやながらすること。仕方なく、無理にす

  ること。

  こと。

新濡(さらんでぃ)⁼ゆん@: (自 ⁼らん、⁼てぃ) 新濡(さるんでぃ)ゆん、と同じ。

然有(さり)@: (感・助) もし。さい、と同様に、さい、よりもさらに目上に男が

  用いる敬語。女は、たり、という。

戯(ざ)り言葉(くとぅば)⓪: (名) 卑猥なことば。ざれ言。

晒(さ)り⁼ゆん@: (自 ⁼らん、⁼てぃ) さらされる。漂白される。

戯(ざ)り⁼ゆん⓪: (自 ⁼らん、⁼てぃ) ざれる。下品になまめかしく飾る。また卑

猥なたわむれかたをする。 ※枕草子・96に、「下衆どもざれゐたる」とある。 *

混効験集:坤巻・言語に、ざれ、とある。

猿(さる)⓪: (名)[文] 猿。口語は、猿(さある)。 @此(く)ぬ猿(さる)や

当歳(とおせえ)五十八(ぐじゅうはち)、慶良間(きらま)から渡(わた)てぃ今年

(くとぅし)十五年(じゅうぐにん)。[この猿や当歳五十八 慶良間から渡て 今年

十五年(花売之縁)]この猿は当歳58歳で、慶良間島から渡って、ことしで15年。

(猿回しの口上) ※花売之縁(はなうりのえん)は、高宮城親雲上(たかみやぐす

くぺえちん)作の組踊である。

申(さる)⓪: (名) 申(さる)。十二支の第九。時刻は午後4時。方角は西南西。

猿引(さるふぃ)ち⓪: (名) 猿回し。

新濡(さるんでぃ)⁼ゆん@: (自 ⁼らん、⁼てぃ) (ひつ・おけ・たるなどの)たが

  がゆるむ。新濡(さらんでぃ)ゆん、ともいう。 

浚(され)え⁼ゆん@: (他 ⁼らん、⁼てぃ) 浚う。浚える。たまったごみを除く。 @

煙管(ちしり)浚(され)えゆん。/きせるを掃除する。 @溝(んじゅ)浚(され)

えゆん。/溝をさらえる。

触(さわ)い⓪: (名) モスリン。メリンス。また、メリンス友禅。

障(さわ)い@: (名) 病気。身体の異常。 @心(しん)ぬ障(さわ)い。/精神

異常。 @胆(たん)ぬ障(さわ)い。/肺病。 @御障(うさわ)いん為(さあ)

召候侍(みせえび)らに。/お変わりもございませんか。

騒(さわ)じ事(ぐとぅ)@: (名)うろたえ騒ぐ事件。騒ぎ。

騒(さわ)⁼じゅん@: (自 ⁼がん、⁼じ) あわてる。うろたえる。

障(さわ)⁼ゆん@: (自 ⁼らん、⁼てぃ) @さわる。心や体に支障を起こす。 @起

(う)きてぃ歩(あっ)ちいねえ病気(びょおち)んかい障(さわ)ゆん。/起きて

歩くと、病気に悪い。 @体(からた)んかい障(さわ)ゆん。/体に悪い。 @肝

(ちむ)んかい障(さわ)ゆん。/気にさわる。肝(ちむ)に障(さわ)ゆん、とも

いう。 ➁さしつかえる。邪魔になる。 @仕事(しぐとぅ)んかい障(さわ)ゆん。

/仕事の邪魔になる。

三(さん)⓪: (名) 三。普通は、三(みい)つぃ、という。

山(さん)⓪: (名) 山(やま)。地形が山形に高くなっているところ。 @彼(あ)

ぬ森(むえ)え山(さん)成而居(なとお)ん。/あの丘は山になっている。

桟(さん)⓪: (名) @桟。板戸などに横に渡し、骨とする木。 ➁戸締りのために

渡す棒の類。

呪(さん)⓪: (名) 神仏へのお供えの上に置いておくもの。お供えするまで、すな

わち持って歩く間は、芭蕉の葉などを細長く切り、お祓いの時の結び方で結んで、お

供えの上に置き、いざお供えする時に取り除く。魔物がけがすのを防ぐために置いた

もの。

算(さん)⓪: (名) 書物をくりかえし読む時、その回数を数えるために本にはさむ

目印。また、多くのものを数える時の覚えとするしるし。 @算(さん)取(とぅ)

ゆん。/算(さん)、をとって数える。また、数える。 *おもろさうし・526に、

さに、しらぬ、とあり、言葉間書に、「数知らぬ船をいふ」とある。

産(さん)⓪: (名) お産。 @産(さん)ぬ重(ぅんぶ)さん/お産が重い。 @

産(さん)ぬ軽(かっ)さん。/お産が軽い。

儒艮(ざん)⓪: (名) 儒艮(ざん)ぬ魚(いゆ)、と同じ。 *おもろさうし・50

  5に、さん、とある。

讒(ざん)⓪: (名) 讒。讒言。

三角(さんかく)@⓪: (名) 三角。

桟框(さんがまち)⓪: (名) 材木の名。松の細い角材。

珊瑚(さんぐ)⓪: (名) 珊瑚。

三月(さんぐぁつぃ)⓪: (名) 3月。一年の第三番目の月。

三月遊(さんぐぁつぃあすぃ)び⓪: (名) 年中行事の名。三月遊びの意。旧暦3月

3日、平民の娘たちが鼓を打ち、歌を歌って興ずること。上代の歌垣に似ている。那

覇では、娘たちが、流(なが)り舟(ぶうに)い[遊山船]を仕立てて、船の中で鼓

を打ち、歌を歌って遊び暮らす風があり、その時、村と村とが対抗して、歌で喧嘩す

る場面も見られた。

三月三日(さんぐぁつぃさんにち)⓪: (名) 3月3日の節供。上巳。子供は、男女

ともお重のごちそうをつくってもらう。青年はどんぶり料理を持ち寄って酒宴を開く。

三貫(さんぐぁな)あ⓪: (名) 辻君。街娼。3貫(6銭に当たる)で密淫売をした

ので、この名がある。

参会(さんくぇえ)@: (名) [参会]宴会。

三献(さんぐん)⓪: (名) 三献。三たび杯を差すこと。 @三献(さんぐん)ぬ取 

(とぅ)い替(け)え。/結婚式における三々九度の杯。

三階(さんけえ)@: (名) 三階。また、三階建て。

三下(さんさ)ぎ⓪: (名) 三下がり。三味線の調子の名。三の糸を下げるもの。

サンサナア⓪: (名) @くまぜみ。せみ(せみ一般をさす語はない)のうち最も大き

いもの。羽は透明。白羽(しるばに)い、ともいう。声が大きく、さんさん、と鳴く

ので、こういう。 ➁転じて、おてんば娘。

サンサナア姉小前(あいぐぁあめえ)⓪: (名) おてんばお嬢さん。士族のおてんば

  娘。

さんさん@: (副) 落ち着きのないさま。そわそわ。 @さんさん為(しゅ)ん。/

※動詞化。

散々(さんざん)⓪: (名) 散々。ひどいこと。したたか。 @散々(さんざん)に

窶(やつぃ)り此(く)ぬ形(ない)ゆ遣(や)りば。[散々にやつれ 此のなりよや

れば(花売之縁)]ひどくやつれて、このありさまであるから。 ※花売之縁(はなう

りのえん)は、高宮城親雲上(たかみやぐすくぺえちん)作の組踊である。 @散々

(さんざん)な仕方(しかた)。/ひどいやりかた。

散々困散(さんざんくんざん)⓪: (名) 散々。めちゃくちゃ。 @散々困散(さん

  ざんくんざん)成(な)ゆん。/めちゃくちゃになる。

賛成(さんしい)⓪: (名)[新] @賛成者。賛成派。 @汝(ぃやあ)や賛成(さん

しい)やみ。/きみは賛成する側か。 ➁明治の初め、廃藩騒ぎの時、明治政府に従

うことを支持した派。開化党(かいくぁとお)、ともいい、髪を切った。不賛成(ふさ

んしい)[不賛成派]に対する。

賛成(さんしい)@: (名)[新] 賛成。 @賛成(さんしい)為(しゅ)ん。/賛成

する。

三司官(さんしくぁん)@: (名)[古] [三司官]大臣に相当する役名。国務卿。天

  曹司・地曹司・人曹司の三人よりなる。朝部(あさたび)、ともいう。

桟敷(さんしち)@: (名) 桟敷。綱引きの時など、石垣の上に材木を組み合わせて

作り、上流婦人の見物席とした。 @桟敷(さんしち)置(う)ちゅん。/桟敷を作

る。

三字経(さんじちょお)⓪: (名) 三字経。三字ずつで一句をなしている、幼少年の

教科書。

三十(さんじゅう)⓪: (名) 三十。また、三十歳。

三十五日(さんじゅうぐにち)⓪: (名) 三十五日。五なのか。死後35日目に営む

法事。五七日(いつぃなんか)、ともいう。

三十三年忌(さんじゅうさんにんち)@: (名) 三十三年忌。33年目の法事。これ

  をすませると、死者の霊は神になるとされる。

三線(さんしん)@: (名) 沖縄の三味線。沖縄の代表的な楽器で、日本本土の三味

線のもととなったもの。すなわち、蛇皮線。ただし沖縄でこれを「蛇皮線」とは言わ

ない。蛇皮で張った上等の、蛇皮張(じゃふぃば)い、と、いなかの青年などが使う、

渋張(しぶば)い、の二種がある。三本の糸は太い順にそれぞれ、雄弦(うぅうじる)、

中弦(なかじる)、雌弦(みいじる)、という。その胴は、桝(つぃいが)あ、棹は、

棹(そお)、という。三つの糸巻きは、絡繰(からく)い、結髪(じいふぁあ)、また

は、捩(む)でぃ、などという。また、工工四(くんくんしい)、の項参照。

三世相(さんじんそお)⓪: (名) [三世相]易者。売卜者。首里では、卦立(ちい

た)てぃやあ、ともいう。 ※卜者(ぼくしゃ)と読む。 *混効験集:乾巻・言語

に、さんぜんざう、重複して、坤巻・言語にも、さんぜんざう、とあるが、これは、

たぶん、三世相、のことだと思われる。

三線張(さんしんは)やあ⓪: (名) 三味線作り。三味線を張る者の意。

為(さ)ん相場(そおば)@: (名) 不当に高い相場。しない相場の意。 @為(さ)

ん相場(そおば)打掛(うっちゃ)きゆん。/高値をふっかける。

三層倍(さんぞおべえ)⓪: (名) 三層倍の意。三倍(さんべえ)、と同じ。

三段花(さんだんくぁ)⓪: (名) 植物名。鑑賞用として庭に栽培する灌木。小さく

  て細長い赤い花が密集して咲く。

参詣(さんちい)@: (名) 参詣。普通は、拝(うぅが)み、という。 @参詣(さ

んちい)為(しゅ)ん。/参詣する。

山帰来(さんちら)⓪: (名) 植物名。山帰来(さんきらい)。ゆり科の多年生蔓性灌

木。浄血利尿剤となる。

産月(さんづぃち)⓪: (名) 臨月。産み月。

算取(さんとぅ)い⓪: (名) 数えること。計算。算(さん)[数える時の目印]の項

参照。

申酉(さんとぅにい)⓪: (名) 申酉(さるとり)の方角。すなわち、西やや南寄り

  の方角。

叩土(さんとお)@: (名) たたきつち。しっくいやセメントの代用となるもの。石

  垣の根・肥つぼ・水だめ・へっついなどを固めるのに用いるもの。色は土色。

三日(さんにち)@: (名) 三日。みっか。月の第三日にもいう。

三人(さんにん)⓪: (名) 三人。三人(みっちゃい)、ともいう。 @三人(さんに

ん)揃(すり)れえ世間(しきん)。/三人揃えば世間となる。

三年(さんにん)⓪: (名) 三年。三年(みとぅ)、ともいう。

月桃(さんにん)@: (名) 植物名。月桃。サニン。月桃(しゃんにん)、ともいう。

葉が広く、食物を包むのに使う。

残念(ざんにん)@: (名) 残念。 @口惜(くちゅう)しや残念(ざんにん)。/[口

  惜しや残念]口惜しさ残念。 @残念(ざんにん)な事(くとぅ)。/残念なこと。

月桃笹(さんにんがあしゃ)@: (名) 月桃の葉。餅などを包む。笹(かあしゃ)、は

  広い葉。

三年忌(さんにんち)⓪: (名) 三年忌。三回忌。

儒艮(ざん)ぬ魚(いゆ)⓪: (名) 海獣の名。儒艮(じゅごん)。人魚。赤子魚(あ

  かんぐぁあいゆ)、ともいう。

三馬(さんば)⓪: (名) [三馬]楽器の名。いなかで俗楽に和するに用いる。三個

の竹の板を紐で通し、左手の指の間にはさみ、右手で打ち鳴らしてはやしとする。

産婆(さんば)⓪: (名)[新] 産婆。子産(っくぁな)しみやあ、ともいう。

産婆口(さんばぐち)⓪: (名) おしゃべり。

桟橋(さんばし)⓪: (名)[新] 桟橋。

残波岬(ざんぱみさち)⓪: (名) 残波岬。沖縄本島西海岸にある岬。

三番鶏(さんばんどぅい)⓪: 三番鶏。夜の白々明けるころに鳴く鶏。

三百(さんびゃく)⓪: (名) 三百(さんべく)[女の発音]ともいう。 @三百。 ➁

銭300文。6厘にあたる。銭(じん)、の項参照。

三百五十(さんびゃくぐんじゅう)⓪: (名) 銭350文。7厘にあたる。銭(じん)、

  の項参照。

三倍(さんべえ)@: (名) 三倍。三増倍(さんぞおべえ)、ともいう。

三百(さんべく)⓪: (名) 三百(さんびゃく)、と同じ。

三尾(さんみ)⓪: (名) 金魚の一種。尾が三つに分かれているもの。三尾の意。

三身(さんみ)⓪: (名) 御三身(うさんみ)、の項を見よ。

算明(さんみん)⓪: (名) 計算。勘定。勘定(かんじょお)、ともいう。 @算明(さ

んみん)ぬ成(な)らん。/計算ができない。多過ぎて数えきれない。

算明間違(さんみんばっぺ)え⓪: (名) 計算間違い。

産催(さんむゆう)し⓪: (名) 産気づくこと。

山門(さんむん)⓪: (名) 山門。三門。

座(ざ)ん前(めえ)@: (名) 作法。礼儀。 @座(ざ)ん前(めえ)ぬ無(ね)

  えらん。/作法を知らない。

三前鍋(さんめえなあび)⓪: (名) 鍋の一種。鍋(なあび)、の項参照。

山野(さんや)⓪: (名) 山野。耕地・宅地でなく、草刈り・たきぎ取りなどをする

土地。

三欲(さんゆく)⓪: (名)[文] 三欲。色欲(いるゆく)、持(む)ち欲(ゆく)[財

産欲]、物(むん)ぬ欲(ゆく)[食欲]をいう。

三里(さんり)⓪: (名) 三里。灸点の名。