?あ ?い 'い ?う 'う ?え 'え ?お 'お か き く け こ さ し す せ そ た ち つ て と な に ぬ ね の は ひ ふ へ ほ ま み む ?め め も ?や や ?ゆ ゆ ?よ よ ら り る れ ろ ?わ わ ?ゐ ゐ ?ゑ ゑ ?ん ん
?う
う⁻: (接頭)[御] お。御。敬語の接頭辞。 @御汁(うしる)[おつゆ]、御城(う
ぐすぃく)[御城。首里城のこと]、御読(うゆ)み見候(みせえ)ん[お読みになる]、
など。
瓜(うい)⓪: (名) 瓜。
御位牌(ういいふぇえ)⓪: (名) 御位牌。位牌(いいふぇえ)、の敬語。
御祝(ういうぇ)え⓪: (名) お祝い。お祝いの行事。御祝(うゆうぇ)え、ともい
う。
瓜小(ういぐぁあ)御添(うせ)え⓪: (名) 料理名。きゅうりまたは白うりなどを
薄く切り、塩・酢、または砂糖水などで味をつけ、もんだもの。きゅうりもみ。
売(う)い捌(さば)⁼ちゅん@: (他 ⁼かん、⁼ち) 売りさばく。
売(う)い高(だか)⓪: (名) 売り高。売り上げ高。
売(う)い残(ぬく)し⓪: (名) 売れ残り。
売(う)い物(むん)@: (名) 売りもの。売品。
外郎餅(ういろおむち)⓪: (名) 菓子の名。ういろうもち。米の粉で作った餅菓子。
那覇で作られた。
うう@: (感) 目上に対して、承諾・肯定・同意をあらわす語。はい。ええ。はあ。
(いい、おお、と異なり鼻音化しない。)目上の年長には、おお、目下には、いい、ん
ん、のように厳重に使いわける。また、目上に呼ばれた時の返事は、ふう、という。
卯(うう)⓪: (名) 卯(う)。十二支の第四。方向は東、時刻は午前6時。
大暑(ううあつぃ)さ⓪: 大暑。二十四節の一つ。
大風(ううかじ)⓪: (名) 大風。あらし。暴風。台風。台風(てえふう)、ともいう。
大方(ううかた)@: (副・名) 大方。大抵。多分。 @大方(ううかた)来(ちゅ
う)る筈(はじ)やん。/大方来るだろう。 @大方(ううかた)ぬ人(っちゅ)ぬ
為(しゅ)る誤(あやま)りやんやあ。/大抵の人がするあやまちだなあ。
御受(うう)き⓪: (名) お受け。受けとること。承諾することの敬語。 @御受(う
う)き為(しゅ)ん。/お受けする。
奥(ううく)⓪: (名) 奥。
御送(ううく)い⓪: (名) @葬送。 ➁精霊送り[御精霊御送(うしょおろおうう
く)い]。またその日。 @御送(ううく)いぬ翌日(なあちゃ)。/精霊送りの翌日。
御精霊送(うしょおろおううく)い[その項参照]はなるべく遅い時間に行う習慣で
あったので、その翌日は、朝寝したり休息したりした。
大事(ううぐとぅ)@: (名) ありがたいこと。うれしいこと。
奥歯(ううくばあ)⓪: (名) 奥歯。
大酒(ううざき)@: (名) 大酒。大量に飲む酒。また、大酒飲み。
うう左様(さり)ああ左様(さり)⓪: (副) へいへい。ぺこぺこ。権力者に頭を下
げて、恭順の意を表すさま。うう、および、さり、は、おのおのその項参照。 @大
和人(やまとぅんちゅ)んかい、うう左様(さり)ああ左様(さり)許(びけ)えい
為(しゅ)たん。/日本本土の人に対してぺこぺこしてばかりいた。
牛(ううしい)もおもお⓪: (名) 牛の小児語。
負(うう)し被(かん)し⁼ゆん⓪: (他 ⁼らん、⁼てぃ) @荷をたくさん負わせる。
➁(責任・罪などを他に)おっかぶせる。
負(うう)し手間(でぃま)⓪: (名) 牛馬に荷を負わせて運ぶ運賃。
大島(ううしま)⓪: (名) [大島]奄美大島本島。 *おもろさうし・241の、
大しま、は、沖縄本島のこと。おもろさうし・53の、大みや、は、奄美大島のこと。
負(うう)し⁼ゆん⓪: (他 ⁼らん、⁼てぃ) @(牛馬に荷を)負わせる。人に負わせ
ることはいわない。 @此(く)ぬ荷物(にむつぃ)馬(んま)に負(うう)してぃ
行(い)けえ。/この荷を馬に負わせて行け。 ➁(罪・責任などを人に)負わせる。
転嫁する。〜のせいにする。 @胴(どぅ)ぬ盗(ぬす)どおてぃ人(っちゅ)負(う
う)しゆん。/自分で盗みながら、人のせいにする。
臼(ううすぃ)⓪: (名) 臼。つき臼をもひき臼をもいう。 ※臼(うす)は、昔は
日常普通の漢字だったのだろう。
臼粗為(ううすぃあらしゃ)あ⓪: (名) 臼の目立てを業とする者。
臼歯(ううすぃばあ)⓪: (名) 臼歯。奥歯(ううくばあ)、ともいう。
押合(ううせ)え借合(からけ)え⓪: (名) 互いに譲り合うさま。互いに押しやり
合うさま。遠慮の場合も、いやなことを押しつけ合う場合もある。 @押合(ううせ)
え借合(からけ)え為(しゅ)ん。/※動詞化。
押合(ううせ)え転合(くるばせ)え⓪: (名) 押し合い、ころばし合うこと。押し
合いへしあい。混雑のさま。
大寂寂(ううそおぞお)とぅ⓪: (副) ひっそり閑。大風のあと、大勢の客の帰った
あとなどの静けさなど。 @大寂寂(ううそおぞお)とぅ成(な)ゆん。/ひっそり
閑とする。
大内(ううち)⓪: (名) 沖。ただし、海岸からさして遠くない所をいう。全くの外
洋は、大渡(ううとぅ)、という。
御内原(ううちばら)⓪: (名) [御内原] 御殿(うどぅん)、殿内(とぅんち)、
の家の夫人の居間。
大切(ううち)り端(ばんた)⓪: (名) 断崖絶壁。大きく切り立ったがけ。⁻ばんた
<はんた(がけ)。
御移(ううつぃ)い⓪: (名) 引っ越し。転宅。くわしくは、家御移(やあううつぃ)
い[家移り]という。
大鼓(ううつぃぢん)⓪: (名) 大つづみ。
大連(ううつぃる)があ⁼ゆん⓪: (自 ⁼らん、⁼てぃ) すっかり連なる。ちょうど達
する。及んで同じになる。連(つぃる)がゆん[連なる、達する、及ぶ]を強めてい
う語。
大手柄(ううてぃがら)@: (名) 大手柄。
追(うう)てぃ喰(くぇ)え⓪: (名) とりまき。金持ちと遊郭などに一緒に行き、
金持ちの金でもっぱら遊興するもの。追って食いの意。その金持ちの方は、銭呉(じ
んくぃ)やあ[金をまきちらす者]である。
大渡(ううとぅ)⓪: (名) [大渡]沖の海。外海。大海。 @大渡(ううとぅ)ん
かい湯(ゆう)沸(た)ち入(い)りゆん。/大海に湯を沸かして入れる。焼け石に
水。
覆胴(ううどぅ)⓪: (名) ふとん。昔は敷きぶとんはなく、むしろ[敷(し)ち筵
(むしる)]を用いたので、もっぱら掛けぶとんをさした。
小渡(ううどぅ)⓪: (名) 小渡。 ※これは、糸満市の大度(おおど)のことだと
思われる。小渡という地名は現在存在しないようである。「小」は、「う」とは読むが
「うう」とは読まないと思う。「大」は「うう」と読む。
大通(ううどぅ)い⓪: (名) 大通り。
大通(ううとぅう)るう⓪: (名) つつぬけ。見通し。間に仕切りのないこと。 @
彼処(あま)とぅ此処(くま)とぅ大通(ううとぅう)るうやん。/あっちとこっち
とつつぬけだ。 @隣(とぅない)ぬ座敷(ざしち)ぬ大通(ううとぅう)るう成而
居(なとお)るくとぅ、何(ぬう)ん此(くぃい)ん丸見(まるみ)いやん。/隣の
部屋とつつぬけになっているから何もかも丸見えだ。
大通(ううとぅう)るう井戸(かあ)⓪: (副) 間の仕切りがなくすっかり見通しに
なったさま。つつぬけのさま。 @大通(ううとぅう)るう井戸(かあ)成而居(な
とお)ん。/すっかりつつぬけである。
うう尊(とお)とぅ@: (感) 婦人が神仏を拝む時、御願(うぐぁん)[願]をする時
にとなえる語。あなとうと。
大根(ううに)⓪: (名) 大根。「おおね」の意。 *混効験集:坤巻・草木に、おほ
ね、とある。
御船(ううに)⓪: (名) お船。船(ふに)、の敬語。 おうね、は、おもろさうしの
頻出語である。
大煮(ううに)い⓪: (名) 料理名。御手引(うてぃび)ち[その項参照]の一種。
肉・野菜・豆腐などをすべて大きく切った、御手引(うてぃび)ち。
追(うう)ねえ来(くう)ねえ⓪: (副) 追いつ追われつ。また、あとになり先にな
り。 @追(うう)ねえ来(くう)ねえ為(っし)来(ちゅう)ん。/あとになり先
になりして来る。
大判原(ううばんばあら)あ⓪: (副) がらんどう。家の中などに何もないさま。 @
通堂家(とぅんどおやあ)ぬ如(ぐとぅ)大判原(ううばんばあら)あ為(っし)。/
倉庫のようにがらんどうで。
帯(ううび)⓪: (名) 帯。大帯(うふううび)、細帯(ふすううび)、扱(すぐ)い
帯(ううび)[いずれもその項参照]など。すべて男用で、女は普通、帯をしない。し
かしいなかの娘の労働用の帯に、綿紗帯(みんさあううび)、というのがある。
帯為(ううびし)い口(ぐち)⓪: (名) 帯をしめる所。腰のもっともしまる部分。
腰(がまく)、ともいう。
膿部(ううぶ)⓪: (名) 夏、子供の頭にできるはれもの。あとがはげになる。
負(うう)ふぁ⓪: (名) おんぶ。人を背負うこと。 @子(っくぁ)負(うう)ふ
ぁ為(しゅ)ん。/子をおんぶする。
大平(ううふぃら)⓪: (名) 大平椀。浅くて底の平たい大型の漆器の椀。煮しめ・
蒸しもの・菓子などを入れるのに用いる。
大広路(ううふぃるじ)⓪: (名) 大広場。大広間。
ううふう⓪: (名) 目上に対する、敬語を使うことば使い。肯定の時に、うう、と言
い、呼ばれた時に、ふう、と答える話し方。初対面の場合などで、双方が敬語を使う
話し方には、互(たげ)えにううふう[同(いぬ)ううふう)ともいう]という。親
しくなれば、身分が同じであっても、年長には、ううふう、年下には、いいひい、と
なる。 @ううふう為(しゅ)ん。/目上に対することば使いをする。
追分(ううぶう)⓪: (名) とばくの一種。一銭銅貨または二銭銅貨を傾いた板の上
にころがし、相手の銅貨の上に倒れたら、相手の銅貨をとる。明治の中ごろまで行わ
れていた。
大奴(ううまく)⓪: (名) わんぱく。きかん坊。奴(まく)、彼奴(あんまく)、な
どともいう。
大水(ううみずぃ)⓪: (名) 大水。洪水。
大蒸返(ううむさげえ)い⓪: (名) 大騒ぎ。にぎやかな騒ぎをいう。
大雪(ううゆち)⓪: (名) 大雪。二十四節の一つ。
負(うう)⁼ゆん⓪: (他 ⁼らん、⁼てぃ) @(牛馬などが荷を)負う。 @荷(にい)
負而居(ううとお)る馬(んま)。/荷を付けた馬。 ➁(罪・責任などを)負う。 @
罪(つぃみ)負(うう)ゆん。/罪を負う。 @罪(つぃみ)負(うう)らさりゆん。
/罪を着せられる。
追(うう)⁼ゆん@: (他 ⁼らん、⁼てぃ) @追う。あとを追いかける。また、あとに
従う。 @言葉(くとぅば)追(うう)ゆん。/ことばどおりになる。言ったとおり
のことが実際に起こる。 ➁追う。追い払う。
大湾(ううわん)⓪: (名) 大湾。 ※「おおわん」、中頭郡読谷村の地名。
大(うう)ん縄(な)⓪: (名) [大縄]大綱引き。盛大な綱引き[綱引(つぃなふ
ぃ)ち]。首里のそれは、綾門大(あやじょおうう)ん縄(な)、という。
宇嘉(うか)⓪: (名) 宇嘉。 ※「うか」、国頭郡国頭村の地名。もうすぐ辺戸岬で
ある。
己(う)が@: (名)[文] おのれ。きさま。相手を見くだして、または罵倒していう
語。 @己(う)が悪欲(あくゆく)や按司主(あじすい)に言(い)なち。[おがが
悪欲や 按司そひに言ひなち(忠臣身替)]おのれの悪欲は按司様のせいにして。 ※
「忠臣身替」は、辺土名親雲上(へんとなぺえちん)作の組踊。
恐(うかあ)しゃん⓪: (形) あぶない。危険である。失敗の可能性が多い。また、
病人の状態などがあぶない。
御開聞(うかいむん)⓪: (名) 開聞岳。薩摩半島にある山の名。
うかいとぅ@: (副) うっかり。うかっとぅ、ともいう。
伺(うかが)⁼ゆん@: (他 ⁼あん、⁼らん、⁼てぃ) うかがう。ひそかにさぐる。ひ
そかにのぞく。訪問する・お聞きするなどの意はない。
御掛(うか)き島(じま)⓪: (名)[古] [御掛島]御料地。御采地。<島掛(しま
か)きゆん[采地を領する]。島(しま)、の項参照。
御掛(うか)き栄(ぶせ)え⓪: (名) 御統治。⁻ぶせえ(<⁻ふせえ)は栄えさせる
意か。 @石(いし)な子(ぐ)ぬ石(いし)ぬ大石(うふし)成(な)るまでぃん
御掛(うか)き栄(ぶ)せ見候(みしょ)り我御主愛(わうしゅがな)し。[いしなご
の石の 大瀬なるまでも おかけぼさえ召しやうれ 我御主がなし]いしなごの石が
大岩になるまでも、お治め下さいわが君。沖縄の君が代にあたる歌で、宴会などで最
初に歌われた。
御欠(うか)ぎ⁼ゆん⓪: (他 ⁼らん、⁼てぃ) 「(食べ物を)よそう」[入(い)りゆ
ん]の敬語。 @御盆(うぶん)御欠(うか)ぎ遣侍(やび)ら。/御飯をおつぎし
ましょう。
御飾(うかざ)い⓪: (名) 仏壇・床の間などに、飾りつけをしたり、ものを供えた
りすること。また、その物。お供え。お飾り。
御飾(うかざ)い紙(かび)⓪: (名) 正月などに、祭壇と火の神の前に供える紙。
白・黄・赤の三枚を重ね、その上に供物をのせる。
浮(う)かさ⁼りゆん@: (自 ⁼りらん、⁼ってぃ) @高熱に浮かされる。 ➁(心が)
うきうきする。 @心浮(くくるう)かさりゆん。/心がうきうきする。
御蔭(うかじ)⓪: (名) @おかげ。 @親(うや)ぬ御蔭(うかじ)。/親のおかげ。
@御人(うんじゅ)が御蔭(うかじ)。/あなたのおかげ。 ➁役得。余禄。役得とし
て得るもの。 @御蔭(うかじ)出(んじゃ)しゅん。/役得を生み出す。料理の場
合なら、材料を全部使わずに、いくらかを自分のために残すことなど。
其(う)が近(ちか)さ⓪: (名) その近さ。そんなに近く。
御掴(うかつぃ)み⓪: (名) 特定の仏が特定の人の運命を加護し、左右しているこ
と。おつかまえの意。人の生年の十二支の別によってそれぞれ仏が異なる。たとえば
寅年の人の、御掴(うかつぃ)み、は円覚寺の仏、子の年の人のそれは観音堂の仏の
ようになっており、御願(うぐぁん)[祈願]をする場合は、それぞれの、御掴(うか
つぃ)み、の寺院へ行く。<掴(かつぃ)みゆん。
うかっとぅ@: (副) うっかり。うかとぅ、ともいう。
うかっとぅう⓪: (名) うっかり者。そこつ者。
其(う)が遠(とお)⓪: (名) その遠さ。そんなに遠く。
御兼(うか)に⓪: (名) (食物が)暖かいこと。 @御兼(うか)にぬ有(あ)る
内(うち)に押上(うしゃ)が見候(みしょお)れえ。/暖かいうちに召し上がって
下さい。 @御兼(うか)に為遣侍(しゃびい)み。/暖めましょうか。
浮(う)かび⁼ゆん@: (他 ⁼らん、⁼てぃ) [新?] 浮かべる。 @舟浮(ふにう)
かびゆん。/舟を浮かべる。
浮(う)か⁼ぶん@: (自 ⁼ばん、⁼でぃ) [新?] 浮く。浮かぶ。
浮合(うか)⁼ゆん⓪: (自 ⁼らん、⁼てぃ) 交接する。男の側からいう。上品な語で
はない。普通の語は、行会(いちゃ)ゆん。動物については、交尾(つぃる)ぶん、
という。 ※交尾(つる)む、は共通語である。
拝(うが)ん⓪: (名) 神を祭ってある所。木や石の囲いがあり、前に広場がある。
御岳(うたき)よりも小さく、一部落にいくつもあって、拝む人の範囲も限られてい
る。
御頑丈(うがんじゅう)⓪: (名) がんじゅう(頑丈、壮健)の敬語。 @御頑丈(う
がんじゅう)遣見候(やみせえ)い侍(び)いてぃい。/御壮健でいらっしゃいまし
たか。
拝(うが)んぬ草原(もお)⓪: (名) 拝(うが)ん、の前の広場。もおは、野原の
意。
浮(う)き@: (名) 浮き。釣り糸につける浮標。
起(う)き様(ざま)寝様(にざま)⓪: (名) 起きたとたん。起きぬけ。起きてま
だ目のさめやらぬうち。 @起(う)き様(ざま)寝様(にざま)ぬ事(くとぅ)や
てぃ、如何(ちゃあ)為(せえ)良(ゆ)たしゃが分(わ)からんたん。/起きぬけ
のことで、どいしてよいかわからなかった。
受(う)き仕口(しくち)⓪: (名) 請け負い仕事。
受(う)き取(どぅ)い⓪: (名) 受け取り。領収書。
受(う)き止(とぅ)み⁼ゆん⓪: (他 ⁼らん、⁼てぃ) 受け止める。
受(う)き取(とぅ)⁼ゆん⓪: (他 ⁼らん、⁼てぃ) @受け取る。 ➁(技術などを)
習得する。
受(う)き人(にん)⓪: (名) 身元引受人。保証人。
起(う)き寝(に)んじい⓪: (名) 床の中で眼をさましていること。
受(う)き外(はん)し@: (名) 受け答え。議論・評判などの時の応対。受けはず
しの意。
受(う)き返答(ふぃんとお)⓪: (名) 受け答え。応答。
受(う)き持(む)ち⓪: (名) 受け持ち。担当の仕事。
受(う)き持(む)⁼ちゅん⓪: (他 ⁼たん、⁼っち) 受け持つ。担当する。
起(う)き⁼ゆん⓪: (自 ⁼らん、⁼てぃ) 起きる。起床する。 @御起(うう)き見
候侍(みせえび)てぃい。/おはようございます。目上に対する、朝の室内でのあい
さつ。お目ざめですか。 @起(う)きてぃん寝(に)んてぃん。/起きても寝ても。
寝てもさめても。
受(う)き⁼ゆん⓪: (他 ⁼らん、⁼てぃ) @受ける。 @罰受(ばつぃう)きゆん。
/罰を受ける。 ➁請ける。引き受ける。請け負う。
浮(う)き⁼ゆん@: (他 ⁼らん、⁼てぃ) 浮かべる。浮かせる。 @舟(ふに)浮(う)
きゆん。/舟を浮かべる。
受(う)きん所(ず)⓪: (名) 肥土(いいふ)、の流出を防ぐため、畑のところどこ
ろに掘る溝。 @里(さとぅ)や受(う)きん所(ず)ぬ溜(た)まい水心(みずぃ
ぐくる)、止(か)にりわん余所(ゆす)に横(ゆく)ち行(い)ちゅさ。[里やうけ
んずの 溜り水ごころ かねれわも 与所に よこち行きゆさ]愛する君はうけ溝に
たまる水のようなもの、せき止めてもよそに流れて行く。
受(う)きん水(ず)走(は)いん水(ず)⓪: (名) [受水走水] 地名。玉城間
切玉城にあり、沖縄ではじめて稲を植えたとされるところ。
起(う)き出(んじ)⁼ゆん⓪: (他 ⁼らん、⁼てぃ) 起きて出る。(病人などが)床
を離れる。
奥(うく)⓪: (名) 奥。 ※「おく」、国頭郡国頭村の地名。 *おもろさうし・9
22に、おく、とある。
御願(うぐぁん)⓪: (名)[お願] 祈願。願。祈禱。神仏に願をかけること。吉日を
選び、酒や洗い清めた米を供えて、一家の女主人が行う。願いごとの目的によって祈
禱の文句が異なるが、そのおおよそは似たりよったりである。次に、一例として、屋
敷(やしち)ぬ御願(うぐぁん)[屋敷と家族の無事息災を祈る祈禱]の文句をあげる。
@御御尊(ううとお)とぅ、今日(ちゅう)ぬ良(ゆ)かる日(ふぃい)、今日(ちゅ
う)ぬ勝(まさ)る日(ふぃい)、御屋敷(うやしち)ぬ共御願(ぐるうぐぁん)御宣
(うんにゅ)き遣侍(やびい)ん。十二本(じゅうにふん)ぬ御睦(うむつぃ)り美
御香筋(にゅうこおすぃじ)、御花(んぱな)御酒(んざき)、押上遣侍(うしゃぎや
び)てぃ、寅年正男子(とぅらでぃいしょおうぃきが)御結(うむすぃ)び辰年正女
子(たつぃでぃいしょおうぃなぐ)からぬ御願筋(うにげえすぃじ)御宣(うんにゅ)
きらわ、御宣(うんぬ)かい清(じゅ)らさ見候(みしょお)ち御賜侍見候(うたび
みしょお)り。御屋敷(うやしち)ぬ御神(うかみ)、四隅(ゆすぃみ)八隅(やすぃ
み)御中神(うなかじん)美御精(にゅうすぃじ)、御門御守(うじょおうまむ)い、
便所御精前(ふどぅううすぃじめえ)、御息着清(ういつぃちじゅ)らく御給侍見候(う
たびみしょお)ち、嫌(や)な風(かじ)ん汚(した)な風(かじ)ん、筋成(すぃ
じな)らん物(むぬ)ん、道成(みちな)らん物(むぬ)ん、千里外(すぃんりふか)、
押(う)し除(ぬ)き見候(みしょお)ち、八尋込(やふぃるぐん)十尋内(とぅふ
ぃるうち)何事錆(ぬうくとぅさび)ん無(ね)えらん如(ぐとぅ)、御護(うかく)
い清(じゅ)らさ御給侍見候(うたびみしょお)ち、寅年正(とぅらでぃいしょお)
ぬ御屋敷(うやしち)御守(うまむ)い清(じゅ)らく見候(みしょお)ち、御給侍
見候(うたびみしょお)り、男親(うとぅくうや)ぬ御恩(ぐうん)上上(かみあ)
ぎとお遣侍(やびい)ん。御屋敷込(うやしちぐん)なかい御育込(うすだちぐん)
取(とぅ)てぃ居遣侍(うやびい)すぃ男(うとぅく)女(うんな)、御守(うまむ)
い清(じゅ)らく御給侍見候(うたびみしょお)ち、今年(くとぅし)良(ゆ)かる
年(どぅし)一年(ちゅとぅ)一年(いちにん)、何事錆(ぬうくとぅさび)ん無(ね)
え遣侍(やび)らん如(ぐとぅ)、末栄(すぃいさけ)え、御広(うふぃる)ぎ為見(す
ぃみ)らち御給侍見候(うたびみしょお)ち、千代万代(すぃんでえまんでえ)御光
(うふぃかり)御立(うた)ち見候(みしょお)ち御給侍見候(うたびみしょお)ち、
御意趣不足(ぐいしゅぶすこ)お、御眺(うなが)み落(う)とぅん候(しょお)ち
御給侍見候(うたびみしょお)ち、重(うむ)んじてぃ御念(ぐにん)じ程(ふどぅ)
立(た)てぃてぃ居遣侍事(うやびいくとぅ)。御御尊(ううとお)とぅ。/あなとう
と、きょうのよい日に、お屋敷のお願いごとを申しあげます。十二本を一束にした細
いお線香と、洗い清めたお米と、お酒とをお供えいたしまして、寅年の男とそのつれ
あいの辰年の女とのお願いの筋を申しあげますので、お聞き入れになって下さいませ。
お屋敷の神様、四隅八隅、中央の神様、御門の守り神様、便所の神様、やすらかにお
わしまし下さいまして、悪い風も、汚れた風も、筋ならぬものも、道ならぬものも、
千里の外にお押しのけになって下さいまして、八尋、十尋の家に何の異変もないよう
に守護なすって下さいまして、寅年の者の屋敷をお守りになって下さいませ。天の御
恩(2月には「男親」といい8月には「女親」という。男親は天、女親は地を意味す
る)をありがたくおし敷いております。お屋敷に住まわせていただいております男女
をお守り下さいまして、ことしよい年、一年の間、何の異変もありませんように、末
栄え、子孫繫栄させて下さいまして、千代万代、お光りをお立てになって下さいまし
て、言葉の不足はお見のがしになって下さいますよう、尊んで御信仰申し上げており
ますから。あなとうと。
御願事(うぐぁんぐとぅ)⓪: (名) 御願(うぐぁん)[祈禱]をすべき事がら。病人・
不幸などが続く時、何か、御願事(うぐぁんぐとぅ)、があるのではないかと迷う。
御冠船(うくぁんしん)⓪: (名) [お冠船]中国から沖縄に派遣される冊封使(と
おぬあじ)、の船。
御冠船踊(うくぁんしんうどぅ)い⓪: (名) [お冠船躍]冊封使を接待するために
催した国劇。演ぜられるのは主として組踊(くみうどぅい)であり、冊封は琉球王の
一代一度の大儀典なので、役者の選抜、練習は厳重をきわめ、その華麗さや役者とな
る美男の評判は、国中をどよめかせたという。
御願道具(うぐぁんどおぐ)⓪: (名) 御願(うぐぁん)[祈願]をする時に使う道具。
酒を入れる瓶、洗った米と洗わない米を別々に入れる器、線香を入れる器、杯、それ
をのせる盆、それらすべてを納める箱の一式をいう。寺院・霊地を回って祈願をする
時、持ち運ぶ。清浄であるべきものとされ、他の用にはいっさい用いない。
御願日(うぐぁんびい)⓪: (名) 御願(うぐぁん)[祈願]をする日。その祈願の性
質・種類に応じて、陰陽道による吉日が選ばれる。
御願解(うぐぁんぶとぅ)ち⓪: (名) 結願。また、結願のお礼参り。神仏に、御願
(うぐぁん)[祈禱]をしたあとのお礼参り。一年中の御願解(うぐぁんぶとぅ)ち、
は年末に行う。
御御絵(うぐいい)⓪: (名) 御肖像画。王の肖像画をいう。御御絵(おんごえ)の
意。
送(うく)い御膳(うじん)@: (名) 送り膳。宴会に来ない客にその人の膳部を送
り届けること。また、その膳部。
送(うく)い返(けえ)⁼しゅん@: (他 ⁼さん、⁼ち) 送り返す。返送する。
送(うく)い状(じょお)⓪: (名) 婚礼の際の、嫁の荷物の送り状。婿の家へ持参
する荷物の目録。
贈(うく)い物(むん)⓪@: (名) 進物。おつかいもの。贈り物。恋人への贈り物
は元来は、情(なさ)き、という。 @贈(うく)い物(むん)為(しゅ)ん。/進
物をする。贈り物をする。
驕(うぐ)い者(むん)@: (名) おごりたかぶる者。傲慢者。
送(うく)い前(めえ)⓪: (名) 無尽で、中途で当たる人か、人の当たったのを買
うかして金を受け取ったのち、利子を付けて返還すべき掛け金。掛(か)き前(めえ)、
の対。
奥入(うくい)り門(じょお)⓪: (名) 奥まった門。道路からはいりこんだところ
にある門。旧家の門に多い。
小谷(うくく)⓪: (名) 小谷。 ※「おこく」、南城市佐敷の地名。
奥御書院(うくぐしゅいん)⓪: (名) [奥御書院]首里城の建物の名。 *混効験
集:乾巻・家屋に、奥御書院(おくごしょいん)、とある。
御輿(うくし)⓪: (名)[古] 御輿。王の乗る輿。
起(う)く⁼しゅん⓪: (他 ⁼さん、⁼ち) @(物・人を)起こす。起こして立てる。
➁(人を)起こす。目ざめさせる。 B興す。盛んにする。 @家興(やあうく)し
ゅん。/家を栄えさせる。 @村興(むらうく)しゅん。/村を盛んにする。
鶯(うぐすぃ)⓪: (名) うぐいす。ふうふぃっちょお、または、ふうふいちょお、
と鳴く。
御城(うぐすぃく)@: (名) [御城]王の居城。首里城のこと。ぐすぃくは城。首
里のほぼ中央にあり、第二次大戦で焼失したが、その主な建物には次のようなものが
あった。百浦添(むんだすぃい)[首里城正殿]、王が政務をとり、儀式などを行った
所。俗に、唐破風(からふぁあふ)、という。むんだすぃとは、百の浦々を統べる意。
黄金御殿(くがにうどぅん)[常の御殿、王および、王の家族の居間]、世誇(ゆぶく)
い、百次(むんなみ)、御二階御殿(うにけえうどぅん)[王の個人的な座敷]、御書院
(ぐしゅいん)[王が政務の取り次ぎを受けた所]、奥御書院(うくぐしゅいん)、南(ふ
ぇえ)ぬ御殿(うどぅん)[薩摩の使節を接待した日本風の建物]、北(にし)ぬ御殿
(うどぅん)[中国使節を接待した中国風の建物]、御番所(ぐばんじゅ)、君誇(ちみ
ふく)い、君誇(ちみふく)い御門(うじょお)[奉神門、正殿の正面の大きい門]、
長御門(ながうじょお)[広福門、門の名]、囲石御門(かぐいしうじょお)[漏刻門(る
っくくむん)、ともいう。門の名。ここまでかごで乗り入れることができた]、樋川御
門(ふぃいじゃあうじょお)[瑞泉門、そばに龍樋(るうふぃ)、がある。その項参照]、
甘(あめ)え御門(うじょお)[あまゑおぢやう、歓会門、首里城の正門]、上(うぃ
い)ぬ鳥居(とぅり)[うへあやぢやう・守礼門、正門の西の大通りにある門で、守礼
之邦の四字を書いた額がある]、下(しむ)ん鳥居(とぅり)[しもあやぢやう、中山
門、上(うぃい)ぬ鳥居(とぅり)と同じ大通りにあった門、その大通りを綾門(あ
やじょお)、という]、見物御門(みむぬうじょお)[みものおぢやう、門の名。女しか
通れなかった]、寄(ゆ)す引(ふぃ)ちぬ御門(うじょお)[よそへちのおぢやう・
右掖門]、誇(ふく)い御門(うじょお)[ほこりおぢやう・久慶門]、変(か)わる目
(み)御門(うじょお)[かわるめのおぢやう]、御中御門(うなかうじょお)[淑順門、
女官の通う所にある門であるが、男も通れた]、赤田御門(うじょお)[あかたおぢや
う・美福門、女のみ通る裏門]、添(すぃ)い継(つぃ)じ御門(うじょお)[そへつ
ぎおぢやう・継世門、一番外側の裏門。最も古く、昔の正門であったと伝えられてい
る]、白金御門(しるかにうじょお)[しろかねおぢやう・白銀門、王の死に際しての
み開く石の門]、高時台(たかあざな)[城の東側の石垣の上にある鐘楼。機を立てて
時を知らせた]、島添(しますぃ)い時台(あざな)、[しまそへあざな、同じく、西の
石垣の上にある鐘楼]、構(かめ)え[かまい]、御沈廟御殿(うちんびゅううどぅん)
[御寝廟御殿、王の死んだ時に、死体をしばらく安置しておいた所。御寝廟御殿(う
しんびゅううどぅん)、ともいう]、御蔵(うんぐぁ)[銭蔵(じんぐら)、金蔵(かに
ぐら)などの倉]、御庭(うなあ)[正殿前の広庭]、など。 *おもろさうし・133
2に、御くすく、とある。
宇久田(うくだ)⓪: (名) 宇久田。 ※「うくだ」、沖縄市の地名。現在は、嘉手納
基地の中である。
怠(うくた)⁼ゆん@: (自 ⁼らん、⁼てぃ) 怠る。なまける。
御口(うぐち)⓪: (名) 積極性。また、進んでする機知。 @御口(うぐち)ぬ有
(あ)ん。/積極的である。機略がある。 @御口(うぐち)ぬ無(ね)えらん。/
消極的である。引っ込み思案である。
御口存分(うぐちじんぶん)⓪: (名) 積極性と分別。機略。
御口持(うぐちむ)ち⓪: (名) 積極的な人。進んでする者。やり手。 @彼(あ)
れえ御口持(うぐちむ)ちやくとぅ常(ちゃあ)人(っちゅ)前成(めえな)てぃ歩
(あ)っちゅん。/彼は積極的だから、いつでも人に先んじている。
起(う)くつぃい@: (名) たこあげで、たこの調子をとるためのひも。たこがさか
さに落ちたりしないために付けたもの。
奥手(うくでぃ)⓪: (名) 奥の手。秘訣。
御汲手(うくでぃ)⓪: (名) 一門の中の、神に仕える人。汲手(くでぃ)、ともいう。
三十三年忌をすませた祖先が男女おのおの二柱の神となり、それぞれを一門中の、雄
生(ぅうな)い御汲手(うくでぃ)と雌来(うぃき)い御汲手(うくでぃ)の二人が
受け持って祭る。部落の神官、根神(にがみ)、さらに、数部落の神官、宣(ぬう)る、
の下部組織をなす。汲手(くでぃ)、からは、組手(くんでぃ)合(あ)わち、御袖(み
すでぃ)合(あ)わち[手を合わせ、袖を合わせ]という祈りの文句の[くんでぃ(組
み手?)]が連想されるが関係あるまい。
行(うくな)⁼ゆん@: (他 ⁼あん、⁼てぃ) 行う。
行(うくね)え@: (名) 行い。行為。品行。 @行(うくね)えぬ悪(わっ)さん。
/品行が悪い。
御籠飯(うくふぁん)⓪: (名) 籠飯(くふぁん)、の丁寧語。
奥間(うくま)⓪: (名) 奥間。 ※「おくま」、中頭郡中城村の地名。国頭郡国頭村
の地名。
御胡麻(うぐま)⓪: (名) ごま。
奥豆(うくまあみ)⓪: (名) 植物名。いんげん豆。
御胡麻弾米(うぐまはちゃぐみ)⓪: (名) 菓子の名。ごまおこし。ごまで作ったお
こし[弾米(はちゃぐみ)]。
御胡麻(うぐま)ぬ油(あんだ)⓪: (名) ごま油。
御籠(うくむ)い見候(みせえ)ん⓪: (自 不規則)崩御する。おかくれ遊ばす。王
が死ぬことの敬語。
奥山(うくやま)⓪: (名) 奥山。深い森林。
起(う)く⁼ゆん⓪: (自 ⁼らん、⁼てぃ) (事件が)起こる。起きる。病気について
はいわない。 @戦(いくさ)ぬ[騒動(そおどお)ぬ]起(う)きゆん。/戦争(騒
動)が起こる。
送(うく)⁼ゆん@: (他 ⁼らん、⁼てぃ) @(物品・書状などを)送る。 ➁葬送す
る。(死人を)送る。
驕(うぐ)⁼ゆん@: (自 ⁼らん、⁼てぃ) おごる。たかぶる。
遅(うく)ら⁼しゅん@: (他 ⁼さん、⁼ち) (時刻に)遅れさせる。遅刻させる。ま
た、(速度を)遅らせる。
興(うくり)⁼ゆん⓪: (自 ⁼らん、⁼てぃ) @盛り上がる。 @目皮(みいがあ)ぬ
興(うくり)ゆん。/(元気が回復して)まぶたが盛り上がる。 ➁(事件・病気な
どが)起こる。起きる。 @戦(いくさ)ぬ興(うくり)ゆん。/戦争が起こる。 @
病気(びょおち)ぬ興(うくり)ゆん。/病気が起きる。 B大きくなる。盛んにな
る。 @暮(く)らしぬ興(うくり)ゆん。/暮らしが大きくなる。
剥(うく)り⁼ゆん⓪: (自 ⁼らん、⁼てぃ) (かさぶたが)はげて離れる。 @瘡蓋
(かさぶた)ぬ剥(うく)りゆん。/かさぶたがとれる。
遅(うく)り⁼ゆん@: (自 ⁼らん、⁼てぃ) 遅れる。また、遅刻する。鈍(にい)く
成(な)ゆん[遅くなる]ともいう。速度については多くは、鈍(にぶ)く成(な)
ゆん[のろくなる]という。
御苦(うぐり)⁼ゆん⓪: (自 ⁼らん、⁼てぃ) (病気が)再発する。ぶりかえす。初
発は、起(う)くりゆん、という。
御位王子(うくれえおおじ)⓪: (名)[古] [御位王子]王の子でない者で、功労に
よって王子の位を与えられた者。按司(あじ)、が摂政(しっしい)、になった場合な
どになる。
御粥(うけえ)⓪: (名) おかゆ。 @御粥(うけえ)ぬ御汁(うしる)。/旧暦7月
15日盆祭りの終わりの日に祭壇に供える、あずきのかゆと汁。汁は煮出汁に醤油を
加えたもので、実に冬瓜・豆腐・肉その他色色のものを賽の目に切って入れる。 @
御粥(うけえ)ぬ上湯(ぅわゆう)。/おかゆのうわ湯。すなわち重湯。
受返(うけえ)い思(うみ)い⓪: (名) ためらうこと。引っこみ思案。また、気兼
ねすること。遠慮。 @受返(うけえ)い思(うみ)い為(しゅ)ん。/※動詞化。
受返(うけえ)い控(ふぃけ)えい⓪: (名) 躊躇逡巡。大いにためらうこと。 @
受返(うけえ)い控(ふぃけ)えい為(しゅ)ん。/※動詞化。
受返(うけえ)い物言(むに)い⓪: (名) ためらったものの言い方。自身のない言
い方。
受返(うけえ)⁼ゆん⓪: (自 ⁼らん、⁼てぃ) ためらう。しりごみする。不安がる。
また、気兼ねして引っこむ。遠慮する。
御香(うこお)⓪: (名) [お香]御線香。仏壇にあげて先祖を祭る。 @御香(う
こお)どぅ孝行(こおこお)。/お線香をあげることこそ孝行。 ※孝行と香香を掛け
たもので、なおかつ、韻を踏んでいるようである。
御香炉(うこおる)⓪: (名) 御香炉。仏壇で線香をあげる炉。大きいほど子孫繁昌
を意味するとして、大きい香炉を尊んだ。
宇座(うざ)⓪: (名) 宇座。 ※「うざ」、中頭郡読谷村の地名。残波岬の付け根あ
たりである。
御座(うざ)@: (名) [御座] @内閣。政府。上(かみ)ぬ御座(うざ)・[摂政
(しっしい)]と、三司官(さんしくぁん)、のいるところ。政府の最高首脳部。下(し
む)ぬ御座(うざ)・[十五人衆(じゅうぐにんしゅう)]のいるところ。上(かみ)
ぬ御座(うざ)、に次ぐ政府機関。御座(うざ)ぬ人(っちゅ)・御評定所(ぐひょお
じょおじゅ)の役人。 ➁お座敷。座(ざあ)[座敷、部屋]の敬語。ふつうもっとも
よい客間、あるいは仏壇のある座敷をいう。大御座(うふうざ)、ともいう。その他の
座敷は、二番御座(にばんうざ)[二番座敷]、三番御座(さんばんうざ)[三番座敷]
のようにいう。他の部屋は、その位置・用途により名があり、裏座(うらざ)、中前(な
かめえ)、籠屋(くちゃ)[おのおのその項参照]などがある。
覆(うさあ)⁼しゅん@: (他 ⁼さん、⁼ち) 覆(うす)ゆん、の使役形として用いる。
@おおわせる。かぶせさせる。 ➁(卵を)抱かせる。 @卵(くうが)覆(うさあ)
しゅん。/卵を抱かせる。
相合(うさあ)⁼しゅん@: (他 ⁼らん、⁼ち) 相合(うしゃあ)しゅん[一緒にする]
と同じ。
相合(うさあ)⁼ゆん@: (自 ⁼らん、⁼てぃ) 相合(うしゃあ)ゆん、と同じ。
襲(うさあ)⁼りゆん@: (自 ⁼りらん、⁼ってぃ) @襲われる。 @憊懶(ふぇえれ
え)に襲(うさあ)りゆん。/強盗に襲われる。 @物(むん)に襲(うさあ)りゆ
ん。/魔物に襲われる。夢でうなされることもいう。高い石垣のそばの部屋で寝ると、
魔物に襲われてうなされるという。 ➁押さえつけられる。 @石(しい)に襲(う
さあ)ってぃ死(し)じゃん。/岩の下敷きになって死んだ。 B圧倒される。 @
彼(あ)まぬ勢(いちゅ)いに襲(うさあ)ってぃ負(ま)きたん。/あの人の威勢
に圧倒されて負けた。 C病気に負ける。用心して寝込んだため、かえって病気が重
くなったような場合にいう。
御先立(うさあれ)え⓪: (名) @御先立(うされ)え、と同じ。 ➁御先立(うさ
れ)え、が来たことを知らせる声。花嫁の一行の行列を見てよばわる声。
御酒手(うさかてぃ)⓪: (名) 祭祀の際の分担金。一族一門の祭祀を行う場合、そ
の費用を各家に割り当てる。その割り当てられた費用。
御酒(うざき)⓪: (名) 御酒。酒の敬語。
其(う)さ程(きい)⓪: (名) そんなにたくさん。そんなに多量。 @其(う)さ
程(きい)ぬ買(こお)い物(むん)。/そんなにたくさんの買い物。 @其(う)さ
程(きい)な酒飲(さきぬ)でぃ。/そんなにたくさんの酒を飲んで。
其(う)さ程(きい)成(なあ)⓪: (名) そんなにたくさんの数量。そんなにたく
さんずつ。 @其(う)さ程(きい)成(なあ)ぬ人(っちゅ)。/そんなにたくさん
の人。 @少辺(いふぃん)でぃ言(い)ちぇえる物(むん)、其(う)さ程(きい)
成(なあ)持(む)っち来(っち)。/少しと言っておいたのに、そんなにたくさん持
って来て。 @其(う)さ程(きい)成(なあ)当(あ)たいみ。/そんなにたくさ
んずつ割り当てがあるか。
兎(うさじ)⓪: (名) 兎。家畜として飼育していた。沖縄には野兎はいない。
御先(うさち)⓪: (名) 酢の物。
御定(うさだ)み⓪: (名)[文] 天命。 @天(てぃん)ぬ御定(うさだ)みぬ下(く
だ)てぃ来(く)る時(とぅち)や。[天の御定めの 下って来る時や(手水之縁)]
天命が下って来る時は。 ※手水之縁(てみずのえん)は、平敷屋朝敏作の組踊。
御浚(うされ)え⓪: (名) 結婚の時、婿の家に向かう花嫁の一行を先導する役。平
民の老婆があたる。御浚(うされ)え婆(ぱあぱあ)、御浚(みされ)え婆(ぱあぱあ)、
などともいう。うされえ、は御先立ちの(<先立(さだ)ゆん)の意か。 ※御去(う
さ)れえ、御攫(うされ)え、の当て字も考えられる。
御草履(うざれえ)⓪: (名) おぞうり。ぞうり(さば)の敬語。さらにその上の敬
語は、御美草履(ぬうざれえ)。
御草履取(うざれえとぅ)い⓪: (名)[文] ぞうり取り。草履取(さばとぅ)い、と
もいう。
御浚(うされ)え婆(ぱあぱあ)⓪: (名) 御浚(みされ)え婆(ぱあぱあ)、と同じ。
胡散(うさん)@: (名) 胡散。疑い怪しむべきこと。 @胡散(うさん)な者(む
ん)。胡散くさい者。道で会った者には誰に対しても挨拶するのが一般であったので、
人に会っても挨拶をしない者をいうことが多い。 @只(ただ)ねちょん我身(わみ)
ぬ胡散(うさん)掛(か)きらりすぃ、誰(た)が為(し)ちゃが我門(わじょ)に
手拭(てぃさじ)掛(か)きてぃ。[ただねちやうん吾身の うさんかけられす 誰が
しちやが吾門に 手巾かけて]ただでさえわたしは疑われているのに、誰がしたのか、
わたしの家の門に恋のしるしの手ぬぐいをかけて。
御参代(うさんでえ)⓪: (名) おさがり。神仏への供物のさげたもの。また、人の
使用したあとを頂戴したもの。 *混効験集:乾巻・言語に、おさむだい、とある。
御参味(うさんみ)⓪: (名) 三味(さんみ)、の敬語。神仏に供えるためにつくる重
箱料理。一つには餅をつめ、一つには肉類・豆腐・大根などの煮しめをつめる。
牛(うし)@: (名) 牛。 @牛追(うしうう)ゆん。/小用に立つ。上流の婦人の
上品な言い方。なぜ「牛を追う」というかは不明。このことばのわからない農村の人
はまどう。 @牛戦(うしおお)らしゅん。/牛を戦わせる。牛合(うしあ)あし、
の項参照。 *おもろさうし・447に、うし、とある。
丑(うし)@: 丑(うし)。十二支の第二。方角は東寄りの北。時間は午前2時。
蛆(うじ)⓪: (名) 蛆。蝿の幼虫。
氏(うじ)@: (名) 氏。中国姓をいう。士族は姓のほかに氏をもっている。姓は、
家(やあ)ん名(なあ)、などという。氏を同じくする者は、名乗り頭の字を同じくす
る。たとえば、向氏は朝、毛氏は盛、馬氏は良、翁氏は盛のように決まっている。1
689年、尚定王の時、士族に系図を作らせて氏を定めた。 @何氏(ぬううじ)が。
/何という氏か。
牛合(うしあ)あし@: (名) 闘牛。牛合わせ。牛二頭を、角で突き合わせて戦わせ
る行事。逃げた方の牛が負けとなる。農村で、旧暦6月の稲の穂祭りのころ行う行事。
教(うし)い@: (名) 教え。教育。しつけ。
教(うし)い方(がた)⓪: (名) 教え方。教育法。教育。
覆(うし)い書(が)ち⓪: (名) 透き写し。敷き写し。手本の上から透き写しに書
いてけいこすること。うしい<覆(うす)ゆん。
押(う)しい竹(だき)⓪: (名) 経糸を押さえる竹。地機の付属具。 ※地機では
なく、織機の間違いだと思う。
怖(う)じい切(ち)⁼ゆん@: (自 ⁼らん、⁼っち) すっかり怖じける。おびえきる。
すっかりこわがる。
押(う)しい回(まあ)しい⓪: (名) 順番に回すこと。順ぐり。回り持ち。
押(う)しい回(まあ)るう⓪: (名) 順番を追って回ること。順ぐり。回り持ち。
御清明(うしいみい)⓪: (名) 清明祭。清明(しいみい)の季節に行う先祖の祭り。
墓参をする。
御賓(うしいん)⓪: (名) 賓客。お客様。上流家庭で使う語。
牛植(うしうぁあ)しゃあ@: (名) 牛殺し。牛を屠殺する者。
押(う)し押(う)し@: (名) むりやり。強制。押し押しの意。 @押(う)し押
(う)しに為(し)みゆん。/むりやりにさせる。 @為(し)い欲(ぶ)しこお無
(ねえ)んたすぃが押(う)し押(う)し為(し)みらったん。/したくなかったが
むりやりにさせられた。
押(う)し掛(か)き⁼ゆん@: (他 ⁼らん、⁼てぃ) 押しかける。
薄久(うしく)⓪: (名) [薄久]植物名。あこう。気根を生じ、榕樹(がじまる)
に似ているが、葉・実とも榕樹より大きい。材木は榕樹より劣る。実はいちじくに似
て小さく、食用となる。 ※「沖縄語辞典」では、p565で「usuku」となっている
が、これは、「usiku」、あるいは、「ushiku」の間違いと思われる。
押(う)し込(く)⁼ぬん@: (他 ⁼まん、⁼でぃ) 押し込む。
押(う)し込(く)み⁼ゆん@: (他 ⁼らん、⁼てぃ) 押し込める。
押(う)し返(けえ)⁼しゅん@: (他 ⁼さん、⁼ち) 押し返す。
押(う)し返(けえ)ら⁼しゅん@: (他 ⁼さん、⁼ち) 突き飛ばす。押し倒す。押し
てひっくり返す。
御添差(うしざ)し@: (名) かんざしの一種。男が、髪差(かみさ)し[その項参
照]に添えて差すもので、金属製。形は耳かきに似ていて、それより長い。御副え差
しの意か。装飾品で、耳かき、髪の穴あけなど色々なことにも用いる。髪差(かみさ)
し、と同じく、身分によって材料が異なった。もとはこれのみがかんざしとして用い
られたといわれる。 ※もともとこれがかんざしなら、押(う)し差(ざ)し、と書
いてもいいかもしれない。
押(う)し潰(じゃ)あ豆腐(どおふ)⓪: (名) 豆腐の一種。豆腐を固める時、箱
に入れずに、布に包み上に重い物をのせて固めたもの。従って円形にでき上がる。押
し潰した豆腐の意か。
御侍女(うしじゃき)⓪: (名) 侍女様。侍女(しじゃき)[貴族の娘の侍女]の敬語。
御師匠(うししょお)⓪: (名) お師匠。先生。師匠(ししょお)、の敬語。
押(う)し切(ち)⁼ゆん@: (他 ⁼らん、⁼っち) @押し切る。すっかり押す。 ➁
勢いよく切る。ちょんぎる。
押(う)し切(ち)り切(ぢ)り⓪@: (名) 細かく切りきざむこと。ずたずたに切
ること。 @押(う)し切(ち)り切(ぢ)り為(しゅ)ん。/※動詞化。
押(う)し付(つぃ)き⁼ゆん@: (他 ⁼らん、⁼てぃ) 押し付ける。圧迫する。
押(う)し束(つぃく)⁼ぬん@: (他 ⁼まん、⁼でぃ) (着物・布などを)押し重ね
て、小さく丸める。押しつかねる。押し丸める。 ※束(つか)ねる、は万葉集にも
見える古い共通語である。
押(う)し連(つぃ)り⁼ゆん@: (自 ⁼らん、⁼てぃ) [文] 連れる。連れだつ。
@押(う)し連(つぃ)りてぃ互(たげ)に眺(なが)み遣(や)い遊(あすぃ)ば。
[押し連れて互に 眺めやり遊ば]連れだって一緒に眺めて楽しもう。
押(う)し退(どぅ)き⁼ゆん@: (他 ⁼らん、⁼てぃ) 押しのける。
押(う)し戸並(とぅな)み⁼ゆん@: (他 ⁼らん、⁼てぃ) 押しならす。でこぼこを
平らにする。
丑寅(うしとぅら)@: (名) 丑寅。東北の方角。
押(う)し倒(とお)⁼しゅん@: (他 ⁼さん、⁼ち) 押し倒す。
牛庭(うしなあ)@: (名) 闘牛場。⁻なあ、は広場の意。牛合(うしあ)あし、を行
う所。
押(う)し流(なが)⁼しゅん@: (他 ⁼さん、⁼ち) 押し流す。
失(うしな)⁼ゆん@: (他 ⁼あん、⁼てぃ) 失う。無くす。人の死にもいう。 @親
(うや)失(うしな)ゆん。/親を失う。
補(うじな)⁼ゆん@: (他 ⁼あん、⁼てぃ) 栄養をとる。栄養をとって体力を補う。
単に不足を補う意はない。 @旨(まあ)さ物(むん)[永良部茹(いらぶうん)でえ]
噛(か)でぃ根気(くんち)補(うじな)ゆん。/うまいものを(えらぶうなぎでも)
食べて、体力を補う。
補(うじに)い@: (名) 体力の補いになる食物。栄養物。滋養のある食物。
補(うじに)い薬(ぐすい)@: (名) 栄養価の高いもの。体力を補うくすりの役を
する食物。うなぎ・鶏・永良部(いらぶ)う[えらぶうなぎ]などをいう。
押(う)し除(ぬ)き⁼ゆん⓪: (他 ⁼らん、⁼てぃ) 押しのける。廃除する。 @恩
納岳(うんなだき)彼方(あがた)里(さとぅ)が生(ん)まり島(じま)、森(むい)
ん押(う)し除(ぬ)きてぃ此方(くがた)成(な)さな。[恩納岳あがた 里が生ま
れ島 森も押しのけて こがたなさな]恩納岳のあちら側は恋しい君の生まれ故郷、
その山も押しのけてこちら側にしたいもの。 ※恩納なべの有名な琉歌である。この
歌は、万葉集3724の狭野弟上娘子(さののおとがみのおとめ)の歌と比較される
ことが多い。
後(うし)ぬ窪(くぶ)う⓪: (名) 後(うし)る窪(くぶ)う、と同じ。
牛(うし)ぬ肉(しし)⓪@: (名) 牛肉。
牛(うし)ぬ乳(ちい)⓪: (名) 牛乳。
牛(うし)ぬ家(やあ)⓪: (名) 牛小屋。
牛馬喰(うしばくよお)@: (名) 牛買い。牛の売買をする者。
押(う)し放(はな)⁼しゅん@: (他 ⁼さん、⁼ち) 押し放す。つっぱなす。
押(う)し回(まあ)⁼しゅん@: (他 ⁼さん、⁼ち) しっかり回す。きりりと回す。
@楽仏(らくぶつぃ)ぬ御帯(みうび)横腹(ゆふぁら)押(う)し回(まわ)ち首
里愛(しゅんじゃな)し奉公(めでい)、でぃ吾(わ)ね先立(さだ)ら。[らくぶつ
の御帯 よわらおし廻ち 首里ぎやなしみやだい でわないざだら]楽仏(らくぶつ
ぃ)[植物名]の御帯を横腹にしっかり回して、首里王府の御奉公に、いざわれこそは
先がけしよう。
押(う)し曲(ま)ぎ⁼ゆん@: (他 ⁼らん、⁼てぃ) @押し曲げる。へし曲げる。 ➁
屈服させる。負かす。 @彼程(あふぃな)あぬ唐(とお)ぬ大和(やまとぅ)に押
(う)し曲(ま)ぎらってぃ台湾(たいわん)取(とぅ)らったん。/あれほどの中
国が日本に負かされて、台湾を取られた。
御澄(うし)まし⓪: (名) 刈(か)らん花(ぱな)、に対し、洗い清めた、御花米(ん
ぱなぐみ)、を特にさす。おすましの意か。
押(う)し巻(ま)ち@: (名) うすべり。へりを付けたござ。
御肝(うじむ)⓪: (名) お心。お慈悲ある心。 @御肝(うじむ)有(あ)る御主
(うしゅ)ぬ仰(ぅうぃ)し事(ぐとぅ)拝(うぅ)がでぃ。[御肝ある御主の おい
すごと拝がで(孝行之巻)]慈悲深い王の仰せ事を拝して。 ※孝行之巻(こうこうの
まき)は、玉城朝薫作の組踊。
御肝清(うじむぢゅ)らさん⓪: (形) お恵み深い。お情け深い。 @此処(くま)
ぬ姉末前(あんしめえ)や御肝清(うじむぢゅ)らさぬ愛愛(かながな)とぅ、サウ
エン、サウエン、サンサウエン、ピイラルラア、ラアラルラアラア、二合(にんごお)、
二合(にんごお)、二合(にんごお)、一升二合(いっしゅにんごお)、一合(いちごお)
が御賜見候(うたびみせえ)ら、二合(にんごお)が、御賜見候(うたびみせえ)ら、
定(さだ)み苦(ぐり)しゃ。(同じはやし)一合(いちごお)やてぃん首里酒(しゅ
いざき)からどお。/こちらのおかみさんはお恵み深いからやさしく、(はやし)一合
下さるか二合下さるかわからない。(はやし)同じ一合でも(いも酒でなく、上等な首
里の)米の酒の方だぞ。(7月の、エイサア、の歌)
御肝清(うじむぢゅ)らん人(ちゅ)⓪: (名) 心のやさしいお方。恵み深いお方。
御下所(うしむとぅう)⓪: (名) 台所。農家でいう語。
押(う)し戻(むどぅ)⁼しゅん@: (他 ⁼さん、⁼ち) 押し戻す。
押合(うしゃあ)⁼しゅん@: (他 ⁼さん、⁼ち) 一緒にする。合併する。合わせる。
足す。 @二(たあ)つぃとぅ三(みい)つぃとぅ押合(うしゃあ)ち幾(ちゃっ)
さが。/2と3を足すといくつか。
押合(うしゃあ)混(まあ)とぅう⓪: (名) ごた混ぜ。一緒くた。
押合編(うしゃあみ)い⓪: (名) 機織りで、おさに4本の糸を通して織ってできる、
厚い布。普通に2本ずつ通してできる布は、平抜(ふぃらぬ)ち、という。
押合(うしゃあ)⁼ゆん@: (自 ⁼らん、⁼てぃ) 一緒になる。合体する。合わさる。
@家人数(やあにんず)ぬ少(いき)らく成(な)たくとぅ親(うや)ぬ家(やあ)
んかい押合(うしゃあ)たん。/家族が減ったので、本家に合同した。
御近盛(うじゃがむい)@: (名)[文] [おぎやがもい]尚真王の神号。 ※おぎや
か、は、おもろさうしの頻出語である。
御近盛愛(うじゃがむいがな)しい@: (名) 御近盛(うじゃがむい)の敬称。
押上(うしゃ)が⁼ゆん@: (自 ⁼らん、⁼てぃ) 召しあがる。「食べる」[喰(か)ぬ
ん]の敬語。 @押上(うしゃ)が見候侍(みせえび)れえ。/お召しあがりなさい
ませ。
押上(うしゃ)ぎ餅(むち)@: (名) お供えもの。
押上(うしゃ)ぎ物(むん)⓪: (名) @献上物。進物。 ➁賄賂。賄賂として贈る
もの。
押上(うしゃ)ぎ物(むん)@: (名) お供えもの。
押上(うしゃ)ぎ⁼ゆん@: (他 ⁼らん、⁼てぃ) @押し上げる。ささげる。上に差し
上げる。 ➁さし上げる。献上する。お供えする。 B髪を結うひまがない時などに、
髪を簡単にくしで梳き上げる。
御酌(うしゃく)⓪: (名) お酌。酒をついでやること。 @御酌(うしゃく)為侍
(しゃび)ら。/お酌しましょう。 @御酌(うしゃく)拝(ぅうが)ぬん。/さか
ずきをいただく。
御優甚(うじゃんな)し⓪: (名)[文] 温順なこと。やさしいこと。温厚なこと。 @
西(にし)ぬ松金(まつぃがに)が意地気御衣(いじちゃみす)召候(みしょ)ち御
優甚(うじゃんな)し振(ぶ)りや拝(うぅが)み欲(ぶ)しゃぬ。[西の松金が い
ぢきやみそ召しようち 御ぢやんなしぶりや 拝みぼしやの]尚円王が短い御衣(み
そ)を召しているその温厚な姿を拝みたい。
潮(うしゅ)⓪: (名) うしお。潮。海水。 @潮(うしゅ)汲(く)ぬん。/潮を
汲む。 @源河走川(じんかはいかわ)や潮(うしゅ)か湯(ゆ)か水(みずぃ)か、
源河美童(じんかみやらび)ぬ御巣出所(うすでぃどぅくる)。[源河走川や 潮かゆ
か水か 源河めわらべの おすでどころ]源河川の水は潮か湯か水か、源河の娘たち
の水浴場である。 ※源河川は名護市の北部にあり羽地内海に注ぐ川である。引用歌
は、源河節である。
御主(うしゅ)う⓪: (名) [お主]王様。琉球王の敬称。御主愛(うしゅがなし)
い前(めえ)、ともいう。 @御主(うしゅ)うどお蜂(はちゃ)あ。/蜂を追い払う
ためのまじないの文句。「おれは王様だぞ、蜂め」の意。
御重(うじゅう)⓪: (名) @重箱料理。お重。 ➁旧暦3月3日の節供に、子供た
ちのために作る重箱料理。 B転じて、3月3日の節供。子供がいう。
御焼香(うしゅうこお)⓪: (名) 御法事。御仏事。焼香(しゅうこお)、の丁寧語。
御主愛(うしゅがなし)い前(めえ)⓪: (名)[古] [お主加那志前]国王様。琉球
王に対する敬称。 *混効験集:乾巻・人倫に、おしゆかなし、とある。
潮汲(うしゅく)なあ⓪: (名) 潮汲み。潮を汲むこと。製塩のための海水を汲むこ
と。また、潮を汲む者。<潮(うしゅ)+汲(く)ぬん。 @潮汲(うしゅく)なあ
為(しゅ)ん。/潮を汲む。
押(う)し寄(ゆ)し⁼ゆん@: (自 ⁼らん、⁼てぃ) 押し寄せる。
御酒代(うしゅでえ)⓪: (名) [御酒代]祝事・法要に招かれて行く場合に差し出
す金一封。お祝儀。香典。酒代(しゅでえ)、の敬語。
潮(うしゅ)ぬ間(ま)⓪: (名)[文] ちょっとの間。片時。潮の干満の流れがやむ
間の意。 @思(う)まん故(ゆい)からどぅ覚出(うびじゃ)しん為(しゅ)ゆる、
我身(わみ)や潮(うしゅ)ぬ間(ま)ん忘(わすぃ)り苦(ぐり)しゃ。[思まぬ故
からど 覚出しもしゆゆる わみや潮の間も 忘れぐれしや]恋していないゆえにこ
そ思い出しもするのです。わたしは片時も忘れられません。
御主前(うしゅめえ)⓪: (名) @平民の祖父。おじいさん。 ➁平民の老翁。おじ
いさん。@➁とも士族については、頼前(たんめえ)、といい、首里周辺の農村では平
民のそれを、父父(ぷうぷう)、という。
怖(う)じ⁼ゆん@: (自 ⁼らん、⁼てぃ) 怖じる。こわがる。恐れをなす。 @走合
(はあえ)え勝負(しゅうぶ)やすぃが彼(あ)りんけえ怖(う)じ而居(とお)ん。
/かけっこだが、彼に恐れをなしている。
押(う)⁼しゅん@: (他 ⁼さん、⁼ち) 押す。 @御腰(みくし)押(う)し遣侍(や
び)ら。/(坂道で老人などに対して)腰を押しましょう。
御門(うじょお)⓪: (名) 御門。門(じょお)、の敬語。
御門小(うじょおぐぁあ)⓪: (名) 裏の御門。貴族の大きな邸宅には、大小の門が
あり大きな表門を、大御門(うふうじょお)、小さな裏門を、御門小(うじょおぐぁあ)、
といった。
御相伴(うしょおば)⓪: (名) 相伴(しょおば)[その項参照]の敬語。お相伴。ま
た、結婚式の時、花嫁の家で花婿の接待をする役。
御門番(うじょおばあん)⓪: (名) 御門番。門番(じょおばあん)、の敬語。
御精霊(うしょおろお)⓪: (名) @お精霊。精霊(しょうりょう)。盆に祭る死者の
霊。 ➁お盆。盂蘭盆会。
御精霊御送(うしょおろおううく)い⓪: (名) 精霊送り。略して、御送(ううく)
い、ともいう。7月15日夜半、送り火をたいて送る。日が暮れてすぐお送りすると、
接待に飽いたと思われるであろうと、なるべく夜遅く送る習慣があり、農村では、夜
明けあるいは16日になってからする所もあった。送りの翌日は朝寝したり、長伸(な
がぬ)び倒(とお)り[長くのびて横になること]して休むのが普通である。
御精霊御迎(うしょおろおうんけ)え⓪: (名) 精霊迎え。7月13日の晩、迎え火
をたいて精霊をお迎えする行事。略して、御迎(うんけ)え、ともいう。
御精霊馬(うしょおろおうんま)⓪: (名) 精霊馬(しょおろおんま)、と同じ。その
項参照。
御精霊箸(うしょおろおはあし)⓪: (名) 草の名。みそはぎ。精霊花。
鶉(うじら)⓪: (名) 鶉(うずら)。
意地(うじ)らあし擬(ぎ)さん⓪: (形) 意地(うじ)らあしゃん、@と同じ。
意地(うじ)らあしゃん⓪: (形) @美しい。かわいい。女・子供の美しいこと。か
わいいことをいうが、みめよいだけでなく、賢いの意味をももつ。意地(うじ)らあ
し擬(ぎ)さん、ともいう。 ➁(接尾) 利口である。上手であるの意をあらわす。
@買(こお)い意地(うじ)らあしゃん。/買い物上手である。
御知(うし)らし⓪: (名) 神仏。祖先の墓などのお知らせ。お告げ。夜、大きな石
の落ちる音がして、易を立ててみると、それが祖先の祭りを怠っているお告げであっ
たりする。
後結(うしり)い⓪: (名) 元服前の士族の少年の髪の結い方。丸く大きく結う。真
結(まあゆう)い、の項参照。
後(うし)る⓪: (名) えりあし。首すじ。うなじの付近。主に女のそれをいう。 @
後(うし)る垂(た)らしゅん。/髪を耳の後ろにふくらませ、うなじにかかるよう
に結う。首里の上流婦人が礼装する時の髪の結い方。その結い方は、清(ちゅ)ら御
美髪結(うんちょおび)、ともいう。 @後(うし)る透通(とぅうき)ゆん。/やせ
こける。死ぬ前などに、首すじがやせ細るのをいう。
御汁(うしる)⓪: (名) おつゆ。お汁。汁(しる)、の丁寧語。
後(うし)る窪(くぶ)う⓪: (名) ぼんのくぼ。後(うし)ぬ窪(くぶ)う、とも
いう。
御汁漬(うしるづぃ)きい⓪: (名) 飯に汁をかけること。また汁をかけた飯。
後(うし)る風儀(ふうじ)⓪: (名) 後ろ姿。主としてえりあしの美しさを中心に
していう語。
御汁椀(うしるわん)⓪: (名) 汁を入れるお椀。汁椀(しるわん)、の丁寧語。
押(う)し分(わ)き⁼ゆん@: (他 ⁼らん、⁼てぃ) 押し分ける。
御膳(うじん)⓪: (名) お膳。膳(じん)、の丁寧語。
怖(う)じん⓪覚(うび)らん@: (句) 思いもよらない。
押(う)し出(んじゃ)⁼しゅん@: (他 ⁼さん、⁼ち) 押し出す。
押(う)し込(ん)ちい⓪: (名) 着物の前の端を下ばかまのひもに押し込むこと。
沖縄の婦人は帯を用いないので、着物の前があかないようにするためにこうする。
押(う)し込(ん)⁼ちゅん@: (他 ⁼かん、⁼ち) 押し込む。差し込む。突っこむ。
鴛鴦(うしんとぅい)@: (名) おしどり。
御寝廟御殿(うしんびゅううどぅん)⓪: (名) 首里城の建物の名。御城(うぐすぃ
く)の項参照。
薄明(うすあか)がい@: (名) うすあかり。日出前・日没後の薄明。
雨水(うすぃい)⓪: (名) 雨水。二十四節の一つ。
御添(うすぃ)い乳(じい)⓪: (名) (乳の不足を)もらい乳して補うこと。
御添(うすぃ)い足(た)れえ⓪: (名) 補足。足りない分を補うこと。 @御添(う
すぃ)い足(た)れえ為(しゅ)ん。/※動詞化。
薄(うすぃ)さん@: (形) @(厚さが)薄い。淡(ふぃっ)さん、ともいう。 ➁
(色・味などが)薄い。堅(かた)さん、の対。 B知恵が足りない。愚かである。
遅(うすぃ)さん@: (形) 遅い。時間が遅い意で用いる。
御精(うすぃじ)⓪: (名)[文] 神様。また、みたま(御霊)。神・神霊(すぃじ)
の敬称。
御精前(うすぃじめえ)⓪: (名)[文] 神様。神・神霊(すぃじ)の敬称。
御退(うすぃじ)り見候(みせえ)ん⓪: (自・不規則) おかくれになる。過ぎ去り
たまう。崩御なさる。王の死についていう。御籠(うくむ)い見候(みせえ)ん、と
もいう。
臼太鼓(うすぃでえく)⓪: (名) [臼太鼓]神事の祭りに行う踊りの名。農村で、
太鼓をたたいて女のみが踊る。はじめはうすをたたいたのであろう。
御済(うすぃ)まし⓪: (名) 上流婦人の洗髪・もく浴。上流婦人は決して、着物を
全部脱いで、湯にはいったりすることがなかった。 @御済(うすぃ)まし為(しゅ)
ん。/もく浴する。
薄(うす)う@: (名) 薄のろ。薄ばか。薄(うす)う小(ぐぁあ)、ともいう。
薄(うす)う小(ぐぁあ)@: (名) 薄(うす)う、と同じ。
薄々(うすうす)@: (副) うすうす。もと、薄々(うすぃうすぃ)、と言ったかもし
れない。 @其(う)ぬ事(くと)お薄々(うすうす)知而居(しっちょお)たん。
/そのことはうすうす知っていた。
薄風(うすかじ)@: (名)[文] そよ風。和風。 @薄風(うすかじ)ん今日(きゆ)
や心有(くくるあ)てぃ更(さら)み、雲晴(くむは)りてぃ照(てぃ)らす月(つ
ぃち)ぬ清(ちゅ)らさ。/[おす風も今日や 心あてさらめ 雲晴れて照す 月の
きよらさ]そよ風もきょうは心があるのだろう、雲が晴れて照らす月の美しさよ。
薄久(うすく)⓪: (名) [薄久]植物名。あこう。気根を生じ、榕樹(がじまる)
に似ているが、葉・実とも榕樹より大きい。材木は榕樹より劣る。実はいちじくに似
て小さく、食用となる。
薄嚏(うすぐさみ)ち@: (名) 少し怒ること。少し憤慨すること。少嚏(さあぐさ
み)ち、ともいう。<嚏(くさみ)ちゅん。 ※嚏(くさみ)ちゅん、は徒然草47
段の「くさめ」と関係のある語だと思う。「くさめ」は、糞食(くそは)め、が縮まっ
た語のようである。
薄暗(うすぐら)さん@: (形) 薄暗い。
薄屈(うすこお)ぐ@: (名) 少し腰が曲がっている者。また、ねこ背(の者)。
覆(うす)てぃ隠(くぁっくぁ)せえ⓪: (名) 遊戯の名。着物・羽織などの中に子
供がはいり、誰がはいっているか、何人はいっているかを当てさせる遊戯。
疼(うず)⁼ぬん⓪: (自 ⁼まん、⁼でぃ) 目がさめる。睡眠から目ざめる。 @疼(う
ず)ま為(しゅ)ん。/目を覚まさせる。 @疼(うず)ま為(し)ん為(さ)ん。
/何の警告も与えない。不意打ちする場合にいう。目を覚ませもしない意。
埋(うず)⁼ぬん@: (他 ⁼まん、⁼でぃ) うずめる。埋める。
御供(うすね)え⓪: (名)[新?] お供え。神仏にお供えすること。
御備(うすね)えい⓪: (名) お行列。<備(すね)えゆん[行列する]。
御供(うすね)え物(むん)⓪: (名)[新?] お供えもの。
御側(うすば)⓪: (名) @おそば。 @御側(うすば)ん寄(ゆ)ららん。/おそ
ばにも寄れない。 ➁貴人の妾。
俯(うすば)⁼しゅん@: (他 ⁼さん、⁼ち) (物を)伏せる。下向きにする。
薄振(うすぶ)り者(むん)⓪: (名) 薄ばか。単に、薄(うす)う、ともいう。
悍(うす)ましゃん⓪: (形) すごい。ものすごい。驚くべき。「おぞましい(悍)」
と関係のある語か。 @悍(うす)ましい人(っちゅ)やたん。/すごく人があつま
っていた。
弾(うず)み⓪: (名) はずみ。機会。きっかけ。次のような句で用いる。 @後(あ
とぅ)ぬ弾(うず)み。/とどのつまり。あげくのはて。結局。 @後(あとぅ)ぬ
弾(うず)めえ盗人(ぬすどぅ)どぅ成(な)ゆる。/あげくのはては泥棒となりは
てる。 @如何(ちゃあ)る弾(うず)みがやたら。/何のはずみだったか。どんな
きっかけだったか。
薄盛(うすむ)い盛(む)い⓪: (副) 少し盛り上がったさま。 @乳小(ちいぐぁ
あ)薄盛(うすむ)い盛(む)い為居(しょお)ん。/少女の乳が少し盛り上がって
いる。
埋(うず)む⁼ゆん⓪: (自 ⁼らん、⁼てぃ) うずまる。
埋(うず)むり⁼ゆん@: (自 ⁼らん、⁼てぃ) @うずもれる。 ➁世に知られなく
なる。世間に忘れられる。
覆(うす)⁼ゆん@: (他 ⁼らん、⁼てぃ) @おおう。かぶせる。上に掛ける。 @覆
胴(ううどぅ)覆(うす)ゆん。/ふとんを掛ける。 ➁押さえる。 @覆(うす)
らっ而居(とお)ん。/押さえられている。 B(巣について卵を)抱く。 @卵(く
うが)覆(うす)而居(とお)ん。/卵を抱いている。 ※この語は、おもろさうし
に頻出する、按司おそい、の、おそい、と関係のある語だとするのが、外間守善氏の
説である。
畏(うす)り⓪: (名) 敬うこと。尊ぶ気持ち。大事に思う念。 @親(うや)ぬ畏
(うす)れえ無(ねえ)ん。/親を尊ぶ気持ちがない。 @銭(じん)ぬ畏(うす)
りん無(ねえ)らん。/金の力を認めない。 @畏(うす)りぬ当(あ)たらん。/
もったいない。物を粗末にする者がいる場合などにいう。
畏(うす)り屈(かが)ん⓪: (名) 貴人の前で平身低頭すること。おそれかがみの
意。
畏(うす)り⁼ゆん⓪: (他 ⁼らん、⁼てぃ) 敬う。尊ぶ。あがめる。大事に思う。こ
わがる意では、恐(うとぅ)るしゃ為(しゅ)ん、という。
薄笑(うすわれ)え@: (名) 薄笑い。
埋(うず)ん火(びい)@: (名) うずみ火。
埋(うず)ん箆(びいら)@: (名)[古] 木製の鋤。水田耕作用の農具の名。
御添(うせ)え⓪: (名) 料理名。あえ物。
御再饌(うせえしん)⓪: (名) おかわり。再饌(せえしん)、の敬語。
御添(うせ)え⁼ゆん@: (他 ⁼らん、⁼てぃ) あなどる。軽蔑する。見くびる。
御想(うそお)じ⓪: (名) @お考え。 @御想(うそお)じん見候(みしょお)ら
ん。/お考えにもならない。 ➁王のおぼし召し。叡慮。 *混効験集:坤巻・言語
に、御さうぜ、とある。おもろさうし・294に、御さうせ、とある。
御想(うそお)じ見候(みせえ)ん⓪: (他・不規則) お考えになる。お思いになる。
おぼし召す。 @御貴人(ぬんじょ)お如何(ちゃあ)御想(うそお)じ見候(みし
ょお)らり遣侍(やびい)が。/あなた様はどうお考えになられますか。
歌(うた)@: (名) 歌。琉歌(るうか)、をさすことが多い。 @歌(うた)読(ゆ)
ぬん。/歌(ふつうは琉歌)をよむ。歌(うた)作(つく)ゆん、ともいう。 @歌
(うた)為(しゅ)ん。/歌を歌う。
歌(うた)あ⁼しゅん@: (他 ⁼さん、⁼ち) ならう。準ずる。 @昔(んかし)ん人
(ちゅ)に歌(うた)あち為(しゅ)ん。/昔の人にならってする。 @何(ぬう)
やてぃん吾(わん)に歌(うた)あ為(せ)え。/何でもわたしにならえ。
御叱(うだあ)⁼しゅん@: (他 ⁼さん、⁼ち) 大声で叱る。どなりつける。どやす。
歌書(うたが)き@: (名) 歌で風刺すること。 @歌書(うたが)き為(しゅ)ん。
/歌で風刺する。その場合の歌は、書(か)き歌(うた)、という。
御崇部(うたかび)⓪: (名) [おたかべ]神を祭る式。また、その時に、宣人(ぬ
うる)、口手(くでぃ)[それらの項参照]などがとなえる祈りの文句。のりと。御崇
部(うたかび)為(しゅ)ん。/神を祭る式を行う。 @御崇部(うたかべ)え知而
居(しっちょお)み。/のりとは知っているか。 *混効験集:乾巻・言語に、おた
かべ、とある。
疑(うたが)⁼ゆん@: (他 ⁼あん、⁼らん、⁼てぃ) 疑う。 @彼(あ)りぬ事(く
とぅ)やくとぅ、疑(うたが)あんでぃ思(うむ)れえ疑(うたが)ありゆん。/あ
いつのことだから、疑おうと思えば疑える。
御嶽(うたき)⓪: (名) [御岳]山の森の中にある神を祭った場所。聖地とされ、
婦人が、御願道具(うぐぁんどおぐ)、をもって熱心に、御願(うぐぁん)[祈願]を
しに行った。首里には、弁(びん)ぬ御嶽(うたき)[弁の御岳]、園比屋武御嶽(す
ぬひゃんうたき)[園比屋武御岳]などがある。 *おもろさうし・1044に、おた
け、とある。
其丈(うだき)⓪: (名) その高さ。そんなに高く。 @其丈(うだき)上(あ)が
とおん。そんなに高く上がっている。
歌口(うたぐち)@: (名) 歌うのが上手なこと。歌声がよいこと。また、その人。
御互(うたげ)え⓪: (名) お互い。 @御互(うたげ)えに平(ふぃら)く成(な)
やびら。/お互いに楽にすわりましょう。 @御互(うたげ)えどぅやる。/お互い
さまだ。
歌三線(うたさんしん)@: (名) 歌や三味線(さんしん)[でうち興ずること]。
歌為(うたしゃ)あ⓪: (名) 歌手。歌い手。歌を歌うことのうまい者。
御助(うたすぃ)き⓪: (名) お助け。 @神(かみ)ぬ御助(うたすぃ)き。/神
のお助け。
御立(うた)ち口(くち)⓪: (名) 元祖。開祖。家の一番はじめの祖先。お立ち口
の意。
御二所(うたとぅくる)⓪: (名) お二人様。おふたかた。二人(たい)、の敬語。
御賜見候物(うたびみせえむん)⓪: (名) いただき物。賜り物。目上から頂戴した
物。
御賜見候(うたびみせえ)ん⓪: (他・不規則) 呉(くぃ)ゆん[くれる]の敬語。
呉見候(くぃみせえ)ん[下さる]より丁寧。<賜(たび)ゆん。 @賜る。下さる。
@雨(あみ)御賜見候(うたびみせえ)ん。/(天から)雨を賜る。 ➁(〜して)
下さる。 @彼(あ)んし御賜見候侍(うたびみせえび)れえ。/そうして下さいま
せ。 @書(か)ち見候(みしょお)ち御賜見候(うたびみせえ)ん。/お書きにな
って下さる。
歌持(うたむ)ち@: (名) 三味線による前奏。歌曲の歌う前に三味線だけを弾く部
分。歌曲によってその、歌持(うたむ)ち、が異なる。
歌⁼ゆん@: (⁼あん、⁼らん、⁼てぃ) @(他) 歌う。声に節をつけて歌う。また、
節なしで、歌を詠ずる。 ➁(自) (鶏が)ときをつくって鳴く。 @鶏(とぅい)
ぬ歌(うた)ゆん。/鶏がときをつくる。
御手向通(うたんかあとぅう)し⓪: (名) 遥拝。遠くて行けない場所に遥かに礼拝
して、御願(うぐぁん)[祈願]を行うこと。単に、御通(うとぅう)し、ともいう。
内(うち)@: (名) @内。内側。中。 @内(うち)ぬ障(さわ)い。/見えない
体の内部の病気。 ➁家の内。屋内。 @内(うち)んかい入(い)れえ。/家の中
に入れ。
打(う)ち明(あ)き⁼ゆん⓪: (他 ⁼らん、⁼てぃ) 打ち明ける。隠さずに語る。
内雨(うちあみ)⓪: (名) 屋内に雨が降り込むこと。 @内雨為(うちあみしゅ)
ん。/雨が降り込む。 ※内雨(うちあみ)は共通語ではないようである。
移(うち)い遣(や)っちい⓪: (名) とつおいつ。逡巡すること。どうしようかと
迷うこと。 @行(い)きわどぅやすぃが、雨(あみ)ぬ降(ふ)ゆくとぅ移(うち)
い遣(や)ちいやっさあ。/行かなければならないが、雨が降るのでどうしようかと
迷っているのさ。
打(う)ち起(う)く⁼しゅん⓪: (他 ⁼さん、⁼ち) 耕す。田畑の土を、打ち起こす。
内内(うちうちい)とぅ⓪@: (副) @軽く。一杯でなく、8分目くらいに。 @内
内(うちうちい)とぅ入(い)りゆん。/軽く入れる。 ➁軽く。軽んじて。 @汝
(ぃや)や内内(うちうちい)とぅ見(んん)だっとおさ。/お前は軽く見られてい
るよ。
内海(うちうみ)⓪: (名) 内海。 ※これは、完全に共通語のようである。
御行会居見候(うちぇえいみせえ)ん⓪: (自・不規則) おいで遊ばす。いらっしゃ
られる。「居る」「行く」「来る」の貴族に対して用いる敬語。士族同士の普通の敬語は、
参候(めんせえ)ん、である。
打合(うちぇ)え適(かね)え⓪: (名) 合わせもつこと。兼ね備えること。兼備。
@影(かあぎ)ん存分(じんぶぬ)ん打合(うちぇ)え適(かね)え為(しょお)ん。
/才色兼備である。
打合(うちぇ)え舞(め)え⓪: (副) 不作法なさま。女が男の前でふざけて遠慮な
くふるまったり、しゃべったりするさまなどをいう。
御行会(うちぇえ)ん候(せえ)ん⓪: (自・不規則) 御行会居見候(うちぇえいみ
せえ)ん、と同じ。
内金城(うちかなぐすぃく)⓪: (名)内金城。 ※「うちかなぐしく」、那覇市首里金
城町。内金城御嶽(うちかなぐすぃくうたき)をいうようである。住所名としては残
っていないようである。
打(う)ち変(か)わ⁼ゆん⓪: (自 ⁼らん、⁼てぃ) うって変わる。一変する。(姿
などが)変わりはてる。
打(う)ち紙(かび)⓪: (名) 春秋の彼岸祭り[紙焙(かびあん)じい、御紙(ん
ちゃび)]に、神仏に供えて燃やす、銭型を打った紙。茶色の紙で[焙(あん)じ紙(か
び)]ともいう。
落(う)ち着(き)⁼ゆん⓪: (他 ⁼らん、⁼てぃ) 置く。定置する。位置をきめてき
ちんと置いておく場合にいう。 @机(しゅく)ぬ上(うぃい)なかい書物(しゅむ
つぃ)落(う)ち着(き)ゆん。/机の上に書物を(きちんと)置く。
浮(う)ち草(ぐさ)@: (名) 浮き草。水草。
内事(うちぐとぅ)@: (名) @家事。 ➁内輪の事。
打(う)ち込(く)⁼ぬん⓪: (自 ⁼まん、⁼でぃ) (雨が屋内へ)振り込む。内雨(う
ちあみ)しゅん、ともいう。
内組(うちぐみ)い⓪: (名) 事業などの組合を作ること。 @内組(うちぐみ)い
為(しゅ)ん。/組合を作る。
打(う)ち草臥(くた)⁼しゅん⓪: (自 ⁼さん、⁼ち) 病気で長く床につく。病臥す
る。
憂(う)ち苦(くり)しゃ@: (名)[文] 苦悩。憂苦。うれい苦しむこと。 ※ああ、
童(わらび)当(あ)てぃ無(な)しぬ朝夕(あさゆ)物思(むぬうむ)てぃ憂(う)
ち苦(うり)しゃ為(しゅ)すぃん誰(た)が為(し)ちゃる事(くとぅ)が。果報
(かふ)ん無(ね)ん親(うや)に生(な)さったる因果(いんぐぁ)。[ああ、わら
べ あてなしの 朝夕物思て 憂きくれしやしゆすも 誰がしちやることが 果報も
無い親に 産つたる因果(花売之縁)]ああ、無邪気な子供が、朝晩物を思いうれい苦
しむのも誰がしたことか。不運な親に生み落とされたためだ。 ※花売之縁は、高宮
城親雲上(たかみやぐすくぺえちん)作の組踊。
移(うち)じ増(ふぇえ)し⓪: (名) 数箇所で、御願(うぐぁん)[祈願]、をする
場合に用意するお供物のとりかえる分。いちいち別のお供物を作るのは大変なので、
お供物一式しか作らず、お供物の一部のみについてあらかじめおはつ[御初(うふぁ
つぃ)]を必要なだけとっておき、御願(うぐぁん)、をする先々でそれだけをとりか
える。そのとっておくおはつをいう。また、そうしておはつをとりかえること。 @
移(うち)じ増(ふぇえ)し為(しゅ)ん。/※動詞化。
内相談(うちそおだん)@: (名) 内々の相談。
浮(う)ち立(た)⁼ちゅん@: (自 ⁼たん、⁼っち) 浮きたつ。目立つ。際立つ。色
などが鮮明に浮き上がる。
打(う)ち傷(ち)⓪: (名) 打ち身。打撲傷。
御月夜(うちちゅう)⓪: (名) お月様。子供などが多く使う語。御月夜前(うちち
ゅうめえ)、ともいう。
御月夜前(うちちゅうめえ)⓪: (名) お月様。月の小児語。
掟(うちてぃ)⓪: (名) おきて。法律。
宇地泊(うちどぅまい)⓪: (名) 宇地泊 ※「うちどまり」、宜野湾市の地名。
浮(う)ち名(な)@: (名)[文] 浮き名。
沖縄(うちなあ)⓪: (名) 沖縄。本来は、沖縄本島をさす。 *混効験集:坤巻・
乾坤に、おきなわ、とある。
沖縄医者(うちなあいしゃ)⓪: (名) 漢方医。大和医者(やまとぅいしゃ)[蘭方医]
に対する。
沖縄愛(うちなあがな)しい⓪: (名) 国王様。宮古・八重山などの人が王[首里愛
(しゅいがな)しい]のことを敬っていう語。
沖縄口(うちなあぐち)⓪: (名) 沖縄語。
沖縄暦(うちなあぐゆみ)⓪: (名) 旧暦。太陰暦。大和暦(やまとぅぐゆみ)[新暦]
に対する。
沖縄世(うちなあゆう)⓪: (名) 廃藩前の時代。琉球王統治下の時代。明治12年
以前。大和世(やまとぅゆう)に対する。
内長根(うちながに)い⓪: (名) 牛・豚の背にある上等な肉。背肉。ロース。
打(う)ち成(な)⁼しゅん⓪: (他 ⁼さん、⁼ち) すっかり終える。済ます。終えて
しまう。
打(う)ち成(な)⁼ゆん⓪: (自 ⁼らん、⁼てぃ) すっかり終わる。済む。終わって
しまう。
打(う)ち萎(ね)え噦(ざっくぃ)い@: (名) 重い咳。苦しそうな咳。ざっくぃ
い< さっくぃい(咳)。 ※ざっくぃいは、噦(さく)る、つまり、しゃっくりと関
係のある語だと思う。
内輪(うちば)@: (名) @内輪。控え目。 @内輪(うちば)に為(しゅ)ん。/
ひかえ目にする。 @内輪(うちば)に言(い)ちん十万貫(じゅんまんぐぁの)お
持(む)っちょおん。/内輪に見ても10万貫の金は持っている。 ➁内金。手つけ
金。払うべき金額の一部。 @此(く)っさ五十貫(ぐじゅっくぁん)内輪(うちば)
入(い)っとおか。/これだけ50貫内金を入れておこう。
内花(うちばな)⓪: (名) 打ち棉。打(う)ち棉(わた)、ともいう。
内外(うちふか)@: (名) @内外。内と外。 ➁家の内外。 B近親と他人。
打(う)ち惚(ふ)り⁼ゆん⓪: (自 ⁼らん、⁼てぃ) すっかり惚れる。惚れ込む。
内間(うちま)⓪@: (名) 内間。 ※「うちま」、浦添市内間、うるま市勝連内間、
中頭郡西原町内間。
打(う)ち回(まあ)い回(まあ)い⓪: (副) 間をおいて。ときどき。 @打(う)
ち回(まあ)い回(まあ)い見(み)いが行(い)ちゅん。/ときどき見に行く。 @
度々(ちゃあ)行(い)ちゅみ。んんんん、打(う)ち回(まあ)い回(まあ)いど
ぅやる。/いつも行くか。いやときどきだ。
内間回(うちままあ)るう⓪: (名) まどい(団居)。車座。 @内間回(うちままあ)
るう為(しゅ)ん。/車座になる。
打(う)ち紛(まみ)⁼じゅん⓪: (他 ⁼がん、じ) 間違えてしまう。うっかり間違
う。
打(う)ち間見(まん)⁼じゅん⓪: (他 ⁼だん、てぃ) 見守る。 @一人子(ちゅ
いんぐぁ)打(う)ち間見(まん)とおてぃ暮(く)らしゅん。/ひとり子を見守っ
て暮らす。
内股(うちむむ)@: (名) 内もも。 @内股(うちむむ)捥(むでぃ)らりゆん。
/内ももをつねられる。女の子が折檻される時にされる。
浮(う)ち物(むん)@: (名) わき立つこと。騒ぎ。「浮きもの」の意か。 @えい
さあぬ近付(ちかづぃ)ちいどぅんせん、村中(むらじゅう)ぬ若者(わかむん)ぬ
達(ちゃあ)浮(う)ち物(むん)成(な)ゆん。/エイサーの祭りが近づけば、村
中の若者たちがわき立って来る。
御茶(うちゃ)⓪: (名) お茶。茶(ちゃあ)、の丁寧語。
打合(うちゃあ)⁼しゅん⓪: (他 ⁼さん、⁼ち) @打ち合わせる。(着物の前などを)
合わせる。 @着物(ちん)打合(うちゃあ)しゅん。/着物の前を合わせる。 ➁
打ち合わせる。協議する。 B協力する。 @心打合(くくるうちゃあ)ち働(はた
ら)ちゅん。/心を合わせて働く。
打合(うちゃ)い撓(しな)い⓪: (名) ぴったり合うこと。よく調和すること。よ
く似合うこと。 @打(う)ちゃい撓(しな)い為(しょお)ん。/よく合っている。
浮上(うちゃ)があ⓪: (名) 浮上(うちゃ)げえ、と同じ。
浮上盛(うちゃがむい)@: (名)[文] 御座(うざ)が盛(むい)、と同じ。 ※第
二尚氏の第三代国王・尚真の神号である。おもろさうしでは、おきやかもい、として
たびたび登場する。おぎやか、は第二尚氏初代国王・尚円の王妃の名前である。おも
ろは、国王即位の儀式において、おきやかもいを讃えるために利用された歴史がある。
浮上(うちゃ)が⁼ゆん@: (自 ⁼らん、⁼てぃ) @浮き上がる。 ➁模様などが、鮮
明になる。また、はなばなしくなる。派手になる。 @遊(あすぃ)でぃ浮上(うち
ゃ)がゆる御茶屋御殿(うちゃやうどぅん)。[遊で浮上ゆる御茶屋御殿]管弦の遊び
をして一段とはなやかになる御茶屋御殿。 ※御茶屋御殿は、首里崎山にあった琉球
国王の別荘。
浮上(うちゃ)ぎ⁼ゆん⓪: (他 ⁼らん、⁼てぃ) 上へ向ける。上へ上げる。 @顔浮
上(つぃらうちゃ)ぎゆん。/顔を上に向ける。あおむく。
御客(うちゃく)⓪: (名) お客。
浮上(うちゃ)げえ⓪: (名) 顔を上向けていること。また、上を向いている者。あ
ごを突き出している者。足もとに気を付けない者。浮上(うちゃ)があ、ともいう。
打合(うちゃ)たい適(かな)たい⓪: (副) 互いによく適合するさま。よく似合う
さま。
御茶湯(うちゃとお)⓪: (名) 霊前に供えるお茶。茶湯(ちゃとお)の丁寧語。
御茶(うちゃ)ぬ子(く)⓪: (名) 祖神や火の神に供える小さな餅。 *混効験集:
乾巻・飲食に、おちやのこ、とある。
御茶蒸(うちゃふ)かせえ⓪: (名) 茶沸(ちゃあわ)かせえ、の丁寧語。ちょっと
したお祝いの会。ティーパーティー。
御茶屋御殿(うちゃやうどぅん)⓪: (名) [御茶屋御殿] 首里の崎山(さちやま)
にある王の別荘。 ※沖縄戦で完全に破壊され、現在は跡地に首里カトリック教会が
建っている。たいへん見晴らしがよい場所である。
打合(うちゃ)⁼ゆん⓪: (自 ⁼あん、⁼てぃ) @似合う。混合する。調和する。 @
此(く)ぬ着物(ちの)お吾(わん)にんかい打合(うちゃ)とおみ。/この着物は
私に似合っているか。 ➁兼ね備わる。兼備する。打合(うちぇ)え適(かね)え為
(しゅ)ん、ともいう。
御茶沸(うちゃわ)かせえ⓪: (名)[新?] 御茶蒸(うちゃふ)かせえ、と同じ。
御茶分(うちゃわ)き@: (名) お茶うけ。
内痛(うちや)ん@: (名) 体の内部の痛み。
浮世(うちゆ)⓪: (名)[文] 浮き世。
御轎(うちゅう)⓪: (名) [御轎]王の乗り物。十六人でかつぐかご。
御中(うちゅう)@: (名) 内情。 @御中(うちゅう)探(さぐ)ゆん。/内情を
探る。
御調味(うちゅうび)⓪: (名) 味見。毒見。お調味の意。
御轎夫(うちゅうふ)⓪: (名) [御轎夫] 御轎(うちゅう)[王の乗り物]をかつ
ぐ者。
御作(うちゅくぃ)い⓪: (名) ふろしき。
御作(うちゅくぃ)い包(じち)ん⓪: (名) ふろしき包み。
御一所(うちゅとぅくる)⓪: (名) おひとかた。御一人様。一人(ちゅい)、の敬語。
写・映・移(うち)⁼ゆん⓪: (自 ⁼らん、⁼てぃ) @写る。映る。(映像が)うつる。
➁うつる。(色・柄などが)よく合う。似合う。 B移る。転宅する。 Cあく。中の
ものがあく。部屋などがあく。 @空(うつぃ)いどぅんさあ貸(か)らせえ。/も
しあいたら貸してくれ。 @空(うつぃ)らあ吾(わん)に呉(くぃり)よお。/あ
いたら(その容器を)わたしにくれよ。 D(病気が)うつる。伝染する。
打(う)⁼ちゅん⓪: (他 ⁼たん、⁼っち) @打つ。たたく。なぐる。ぶつ。また、打
ち鳴らす。 @太鼓(てえく)打(う)ちゅん。/太鼓を打つ。 ➁討つ。 @敵討
(てぃちう)ちゅん。/かたきを討つ。 B(その他慣用的に) @網打(あみう)
ちゅん。/網を打つ。 @綱打(つぃなう)ちゅん。/綱を組む。ひもを打つ。 @
桟敷(さんしち)打(う)ちゅん。/桟敷を構える。 @博打打(ばくちう)ちゅん。
/ばくちを打つ。 @碁打(ぐうう)ちゅん。/碁を打つ。 @畑打(はたきう)ち
ゅん。/畑を耕す。
置(う)⁼ちゅん@: (他 ⁼かん、⁼ち) @置く。 ➁(〜して)おく。 @書(か)
ちぇえ置(う)かん。/書いておかない。この形の肯定は[書(か)ちょおちゅん][書
いておく。書いとく]。 @置(う)ちょおちゅん。/置いておく。置いとく。
措(う)⁼ちゅん@: (他 ⁼かん、⁼ち) 措く。やめる。 @乳(ちい)措(う)ちゅ
ん。/乳を飲むのをやめる。 @乳(ちい)措(う)かしゅん。/乳を飲むのをやめ
させる。
浮(う)⁼ちゅん@: (自 ⁼かん、⁼ち) 浮く。浮かぶ。
不調法(うちょおほお)@: (名) 不調法。そこつ。 @不調法(うちょおほお)な
者(むん)。/不調法な者。
浮離(うちょお)り⁼ゆん@: (自 ⁼らん、⁼てぃ) (歯が)浮く。(歯の根、杭など
が)ゆるむ。 @歯(はあ)ぬ浮離(うちょお)りゆん。/歯が浮く。
熾(うち)り⓪: (名) おき。薪がもえて炭火のようになったもの。たきおこし。 *
混効験集:坤巻・言語に、おきれ、とある。
熾(うち)り取(とぅ)い⓪: (名) たばこ盆に入れてある小さい火鉢。首里の上品
な語。火入れ。火取(ふぃいとぅ)い、ともいう。 *混効験集:坤巻・器材に、お
きれとり、とある。
熾(うち)り火(びい)⓪: (名) おき火。赤く熱した炭火。
団扇(うちわ)⓪: (名) 団扇(うちわ)。扇(おおじ)[うちわ、扇]の形の丸いも
のをいう。団扇扇(うちわおおじ)、ともいう。
内輪(うちわ)あ@: (名) 内輪。また、内輪の者。家族。近親。 @内輪(うちわ)
あぬ拝(うが)み。/内輪でする、御願(うぐぁん)[祈願]。
団扇扇(うちわおおじ)⓪: (名) 団扇と同じ。
打(う)ち棉(わた)⓪: (名) 打ち棉。打ち花(ばな)、ともいう。
ウチン⓪: (名) 植物名。うこん(欝金)。中国から渡来し、観賞用に庭に栽培する。
黄色の染料となり、また、痔疾の薬になる。
宇堅(うちん)⓪: (名) 宇堅。 ※「うけん」、うるま市の地名。
内入(うちん)⁼ちゅん⓪: (自 ⁼かん、⁼ち) (雨が家の中に)振り込む。内込(う
ちく)ぬん、内雨(うちあみ)しゅん、ともいう。
御沈廟御殿(うちんびゅううどぅん)⓪: (名) 御寝廟御殿(うしんびゅううどぅん)、
と同じ。
御使(うつぃけ)え⓪: (名) お使い。使者。「お使いに行く」は、使(つぃか)あっ
てぃ行(い)ちゅん。[使われて行く]という。
御使(うつぃけ)え為(さ)りやあ⓪: (名) 小間使い。走り使いをする者。
御月(うつぃち)⓪: (名)[文] 月。お月様。
移(うつぃ)り⓪: (名) @あくこと。容器・部屋などがあくこと。 ➁お返し。お
うつり。もらい物をした時に、返す容器の中に入れる形式的なお返し。多くはちょっ
とした食べ物を入れる。
移(うつぃ)り返(けえ)い⓪: (名) @中味をあけて容器を返すこと。 ➁お返し。
おうつり。進物の容器を返す時、中に入れるもの。単に、移(うつぃ)り、ともいう。
@移(うつぃ)り返(けえ)い入(い)りれえ。/お返しを入れろ。
移(うつぃ)り変(けえ)い⓪: (名) (家の住人などが)移り変わること。
負価(うっか)⓪: (名) 負債。借金。債(しい)、ともいう。 @負価(うっか)被
(かん)じゅん。/負債を負う。
粗忽(うっか)あ@: (名) うっかり者。そこつ者。
負価払(うっかばれ)え⓪: (名) 借金払い。弁済。債払(しいばれ)え、ともいう。
打転(うっくる)⁼ぶん@: (自 ⁼ばん、⁼でぃ) ころがる。ごろりと横になる。
其(うっ)さ⓪: (名) それだけ。それだけの数量。〜ほどの量。 @持(む)たり
いる其(うっ)さ持(む)ちゅん。/持てるだけ持つ。 @とお、其(うっ)さ。/
よし、それまで。
写(うつ)し⓪: (名) @写し。コピイ。 ➁模造品。
嬉(うっ)しゃ嬉(うっ)しゃあ⓪: (副) 嬉嬉とするさま。うれしそうなさま。 @
嬉(うっ)しゃ嬉(うっ)しゃあ為居(しょお)ん。/嬉々としいる。 ※この「沖
縄語辞典」では、嬉嬉のように繰り返し記号使わずに同じ漢字を並べるスタイルであ
るが、以後は現在のスタイルにあわせ、嬉々のように繰り返し記号[々]を用いるこ
とにする。
嬉(うっ)しゃ擬(ぎ)さん⓪: (形) うれしそうである。
嬉(うっ)しゃ懐(なつぃか)しゃ⓪: (名) うれしいこと悲しいこと。悲喜こもご
も。 ※琉球語の、懐(なつぃか)しゃん、は悲しいという意味のようである。
嬉(うっ)しゃ誇(ふく)らしゃ⓪: (名) うれしく喜ばしいこと。非常なうれしさ。
嬉(うっ)しゃん⓪: (形) うれしい。 @嬉(うっ)しゃ為(しゅ)ん。/喜ぶ。
写・映・移(うつ)⁼しゅん⓪: (他 ⁼さん、⁼ち) @写す。(映像を)映す。 ➁写
す。原物の通りに書き取る。模写する。また、模造する。 B移す。場所を変える。
C(病気を)うつす。伝染させる。 Dあける。(容器を)あけてからにする。 @入
(い)り物(むん)移(うつ)ち取(とぅ)らせえ。/入れものをあけてやれ。
其達(うったあ)⓪: (名) 彼ら。それらの者。
打断(うったあ)てぃ@: (副) @わざと。故意に。 @打断(うったあ)てぃ転(く
る)だん。/わざところんだ。 ➁わざわざ。 @今日(ちゅう)ぬ日(ふぃ)に打
断(うったあ)てぃ雨降(あみふ)てぃ。/きょうに限って雨が降って。
訴(うった)い@: (名) 訴え。訴訟。 @訴(うった)い為(しゅ)ん。/告訴す
る。
居(う)ったい舞(もお)たい⓪: (副) ゆっくりと。のんびりと。 @居(う)っ
たい舞(もお)たい為(しゅ)ん。/のんびりやる。
打立(うった)ち⓪: (名) 出発。また、発足。出だし。 @鈍打立(にぶうった)
ちぬ早立身(ふぇえりっしん)。/おそく出発して早く立身(または結婚)すること。
多くは女についていう。婚期は逸したが、その後よい縁談が早くまとまった場合、晩
婚だが早く男の子を生んだ場合などをいう。 @打立(うった)ちぇえ鈍(にぶ)さ
たすぃが、出来(でぃき)たさやあ。/出発は遅かったが、うまく行ったねえ。
打立(うった)⁼ちゅん@: (自 ⁼たん、⁼っち) @勢いよく立つ。おっ立つ。 ➁勢
いよく出発する。威勢よく始める。おっぱじめる。
掟(うっち)@: (名) [掟]廃藩前の村長。土着の平民がなる。 *おもろさうし・
610に、おきて、とある。
裏返(うっちぇ)え⁼しゅん⓪: (他 ⁼さん、⁼ち) 裏返す。ひっくり返す。逆にする。
裏返(うっちぇ)え引返(ふぃっちぇ)え⓪: (副) 盛んに裏返すさま。しきりにひ
っくり返すさま。 @覆胴(ううどぅ)裏返(うっちぇ)え引返(ふぃっちぇ)え干
(ふ)しゅん。/ふとんを裏返し裏返し干す。
裏返(うっちぇ)え⁼ゆん⓪: (他 ⁼らん、⁼てぃ) @裏返る。ひっくり返る。寝返り
をうつ。 @後(くしゃ)あ裏返(うっちぇ)えゆん。/後ろへひっくり返る。びっ
くり仰天する。 ➁逆になる。あべこべになる。 @裏返(うっちぇ)え而居(とお)
ん。/さかさまだ。弟が兄を教える場合などにいう。 B裏切る。寝返る。 Cあと
戻りする。逆転する。退歩する。病状、子の成長などについていう。
裏返(うっちぇ)えらか⁼しゅん⓪: (他 ⁼さん、⁼ち) うっちゃらかす。ほったらか
す。捨ておく。
掟加勢(うっちがしい)⓪: (名) [掟加勢] 廃藩前の村長[掟(うっち)]の補佐
役。首里・那覇の士族で、学問があっても役職のないものが、都落ちしてこの役を務
めた。
打付(うっち)き⓪: (名) 点。しるしとして付ける小さい標識。 @打付(うっち)
き為(しゅ)ん。/点をうつ。
打掛(うっちゃ)か⁼ゆん@: (自 ⁼らん、⁼てぃ) @よりかかる。もたせかける。 ➁
たよる。 B(神霊・もののけなどが、みこなどに)憑く。よる。
打掛(うっちゃ)き⓪: (名) ちょっとひっかける着物。羽織に似てそでのないもの。
男女用。でぃんくぁあ、ともいう。 ※でぃんくぁあ、は中国語のようである。
打掛(うっちゃ)き小(ぐぁあ)⓪: 打掛(うっちゃ)き、と同じ。
打掛(うっちゃ)き⁼ゆん⓪: (他 ⁼らん、⁼てぃ) @うち掛ける。ちょっと羽織る。
➁値をつける。 @吾(わあ)が此(くり)んかい五百貫(ぐひゃっくぁん)打掛(う
っちゃ)き而居(とお)しが、売(う)らん。/わたしがこれに500貫の値を付け
たが売らない。 @打掛(うっちゃ)きれえ。/値を付けてみろ。 @為(さ)ん相
場(そおば)打掛(うっちゃ)きゆん。/高値をふっかける。
打放(うっちゃん)ぎいりい⓪: (名) おいてきぼり。置き去り。 @打放(うっち
ゃん)ぎいりい為(さ)ってぃ泣(な)ちゅん。/おいてきぼりにされて泣く。
打放(うっちゃん)ぎ⁼ゆん⓪: (他 ⁼らん、⁼てぃ) うっちゃる。投げ捨てる。
打切(うっち)⁼ゆん@: (他 ⁼らん、⁼っち) (布を)織り終わる。織りあげる。
売切(うっち)り⓪: (名) 見切り品。売れ残りの品。
起上(うっち)り小法師(くぶし)⓪: (名) 起き上がり小法師。玩具の名。
乙甲(うっつぃかっつぃ)@: (名) おっつかっつ。優劣のないこと。 @乙甲(う
っつぃかっつぃ)やん。/おっつかっつだ。ほとんど同じだ。 ※広辞苑に、おっつ
かっつは、乙甲(おつかつ)の転か、とある。
打噤(うっつぃぐ)⁼ぬん@: (他 ⁼まん、⁼でぃ) 急に口をつぐむ。黙り込む。
俯(うっつぃん)き⁼ゆん⓪: (他 ⁼らん、⁼てぃ) (人・物を)うつぶせにする。下
を向ける。伏せる。
俯(うっつぃん)⁼ちゅん@: (自 ⁼かん、⁼ち) うつむく。下を向く。うなだれる。
また、うつぶす。 @恥(は)ずぃかしゃが有(あ)たら、俯(うっつぃん)ち物言
(むぬい)い良(ゆ)う為(さ)んたん。/恥ずかしかったのだろう、うつむいても
のも言えなかった。
俯(うっつぃん)とぅう⓪: (名) うつぶせ。(人・物が)下向きになること。また、
うつむくこと。うなだれること。また、うつむいている者。 @俯(うっつぃん)と
ぅう成(な)ゆん。/うつぶせになる。うなだれる。
追手(うってぃ)⓪: (名) 討手。また、追っ手。
追(うっ)てぃ@: (副) おって。やがて。おっつけ。そのあと間もなく。 @追(う
っ)てぃ来(ちゅう)くとぅ待居(まっちょお)れえ。/間もなく来るから待ってろ。
訴(うって)え⁼ゆん@: (他 ⁼らん、⁼てぃ) 訴える。告訴する。「なやみを訴える」
などの訴える意はない。
打平(うってえら)か⁼しゅん⓪: (他 ⁼さん、⁼ち) 裏返(うちぇ)えらかしゅん、
と同じ。
打平(うってえら)き⁼ゆん⓪: (他 ⁼らん、⁼てぃ) 裏返(うちぇ)えらかしゅん、
と同じ。
弟(うっとぅ)⓪: (名) @弟。妹。年下の兄弟について、男女の区別なくいう。特
に区別する場合は、男弟(うぃきがうっとぅ)、女弟(うぃなぐうっとぅ)、という。
兄(すぃいざ)、の対。 @弟(うっとぅ)見(み)しゆん。/二番目以下の子を出産
する。また、二番目以下の子を妊娠する。長子に弟(妹)を見せるという言い方をす
る。 @弟(うっとぅ)見(んん)じゅん。/弟(妹)が生まれる。 ➁年下。
弟雄生(うっとぅうぃきい)⓪: (名) 弟。姉からみた場合にいう。雄生(うぃきい)、
は女からみたその兄弟。
弟雌成(うっとぅうない)⓪: (名) 妹。兄から見た場合にいう。雌成(ぅうない)、
は男からみたその姉妹。
弟兄(うっとぅすぃいざ)⓪: (名) 兄弟。兄と弟。または、姉と妹。兄と妹。姉と
弟。 @年(とぅし)の弟兄(うっとぅすぃいざ)。/年上と年下。
打放(うっとぅぬが)⁼しゅん⓪: (他 ⁼さん、⁼ち) すっ飛ばす。はね飛ばす。
打飛(うっとぅ)ば⁼しゅん⓪: (他 ⁼さん、⁼ち) すっ飛ばす。勢いよく飛ばす。
弟負(うっとぅま)き⓪: (名) おとみづわり。母が次の子を妊娠してつわりにかか
ったために、乳児が弱ること。弟見痩(うっとぅみいよお)がり、ともいう。 ※お
とみづわりは、江戸時代中期の国語辞典、和訓栞(わくんのしおり)に見える語で、
おとみよわり、おとみまけ、ともいう。
弟見痩(うっとぅみいよお)がり⓪: (名)弟負(うっとぅま)き、と同じ。
弟見(うっとぅみ)し⓪: (名) 二番目以後の妊娠、または出産。次の子ができるこ
と。おとみ。 ※おとみは、雜俳(ざっぱい)などに登場する共通語である。
弟(うっとぅ)ん子(ぐぁ)⓪: (名) おとご。末っ子。
打平(うっとお)⓪: (名) 火のし。布のしわをのばす道具。
打平引平(うっとおふぃいとお)@: (副) 病状がはかばかしくないさま。病状が一
進一退するさま。 @打平引平(うっとおふぃいとお)為居(しょお)ん。/病状が
一進一退している。はかばかしくない。
其比(うっぴ)⓪: (名) その大きさ。それだけの大きさ。それだけ(の量)。 @手
平(てぃんだ)ぬ其比(うっぴ)。/手のひらの大きさ。狭いものの形容。猫のひたい
ほど。
其比小(うっぴぐぁあ)⓪: (名) それっぽっち。それっぱかり(の量・大きさ)。
其比成(うっぴな)あ⓪: (名) その大きさ。それほどの大きさ。そんなに大きく。
@其比成(うっぴな)あぬ物(むん)。/そんなに大きなもの。
其杯(うっぺえ)る⓪: (連体) その大きさの。それだけの(量の)。
其杯(うっぺえ)るう⓪: (名) その大きさのもの。それぐらいのもの。
落(う)てぃ⓪: (名) @落穂。また、作物の落ちこぼれ。 @落(う)てぃ拾(ふ
ぃる)ゆん。/落穂を拾う。 ➁見落とし。
腕(うでぃ)⓪: (名) 腕。上膊と下膊の全体。または下膊をさす。上膊(二の腕)
は、腕(けえな)、という。 @腕掛(うでぃか)きゆん。/腕ずもうをする。
腕上(うでぃあ)ぎ袖上(すでぃあ)ぎ⓪: (名) 大いに腕まくりをすること。大い
に働く時、あるいはけんかをする時などに袖をまくり上げること。
御手入(うてぃい)り⓪: (名)[古] [御手入]処分。行政的処分をいう。間切(ま
じり)、の財政が崩壊した時の行政処分など。
移返(うてぃけえ)⁼ゆん⓪: (自 ⁼らん、⁼てぃ) 初めの状態に返る。もとへ戻る。
人が幼児の状態へ返る場合などをいう。
落(う)てぃ沈(しじ)み@: (名) 零落。おちぶれること。また、盛衰。落ち沈み
の意。 @人間(にんじん)ぬ落(う)てぃ沈(しじ)めえ分(わ)からん物(むん)。
/人間の盛衰はわからないものだ。
御太陽(うてぃだ)⓪: (名) おてんとうさま。お日さま。太陽(てぃいだ)、の敬称。
御太陽(うてぃだ)ぬ拝(うぅが)まっ而居(とお)ん。/お日さまがさして来た。
落(う)てぃたい舞(もお)たい⓪: (副) こけつまろびつ。夜、悪路を行くさまな
ど。落ちたり舞ったりの意。
腕力(うでぃぢから)⓪: (名) 腕の力。腕力。
落(う)てぃ散(ち)り⓪: (名) 落ちて散らかること。また、落ちて散らかったも
の。散りくず。 @木(きい)ぬ葉(ふぁあ)ぬ落(う)てぃ散(ち)り為居(しょ
お)ん。/木の葉が落ちて散らかっている。
落(う)てぃ着(つぃ)ち⓪: (名) 落ち着き。沈着さ。
落(う)てぃ着(つぃ)⁼ちゅん⓪: (自 ⁼かん、⁼ち) (心が)落ち着く。(天気な
どが)静かになる。
台(うてぃな)⓪: (名)[文] うてな。楼台。
御手引(うてぃび)ち⓪: (名) お祝いの時作る料理の名。肉・豆腐・大根・昆布な
どを醤油味で煮こんだもの。材料の切り方によって、大煮(ううに)い[大きく切っ
たもの]、細煮(くうに)い[小さく切ったもの]、鹿擬(しかむどぅ)ち[さらに小
さく、さいの目に切ったもの]の三種がある。
落(う)てぃ吹(ぶ)ち⓪: (名) 西風。
追(う)てぃ舞(ま)い⓪: (名) (子供・犬猫などが食べ物などを欲しがり)飛び
回って騒ぐこと。
腕枕(うでぃまくら)⓪: (名)[文] 腕枕(うでぃまっくぁ)、の文語。
腕枕(うでぃまっくぁ)⓪: (名) 腕枕。他人の腕を枕に寝ること。また腕を枕に貸
すことをいう。自分の手を枕にすることは、手枕(てぃいまっくぁ)、という。
腕諸石(うでぃむるし)⓪: (名) 二の腕にできる力こぶ。
落(う)てぃ⁼ゆん⓪: (自 ⁼らん、⁼てぃ) @落ちる。 ➁優劣の差がある。段があ
る。 @彼(あ)りとぅ此(くり)とぅ比(くな)びいねえ、どぅっとぅ品(しな)
ぬ落(う)てぃゆん。/あれとこれと比べると、大分品が違う。
移(うてぃ)⁼ゆん@: (他 ⁼らん、⁼てぃ) (料理したものを他の器に)あける。う
つす。 @芋(んむ)移(う)てぃゆん。/煮たさつまいもを鍋からほかの器にあけ
る。
御寺(うてぃら)⓪: (名) @お寺。寺(てぃら)、の敬称。 ➁首里の円覚寺の通称。
落(う)てぃらあ喰(くぁ)あ下(さ)がらあ喰(くぁ)あ⓪: (副) 犬猫がものを
欲しがってねらうさま。落ちたら食おう、下がったら食おうの意。
御寺十二箇所(うてぃらじゅうにかしゅ)⓪: (名) [お寺十二箇所]十二支のそれ
ぞれをつかさどる仏が安置されている所。円覚寺・観音堂・赤平・鳥小堀の四寺が、
それぞれの十二支のいくつかずつをつかさどっていた。
雨天(うてぃん)⓪: (名) 雨天。普通は、雨降(あみふ)い、という。
御天事(うてぃんぐとぅ)⓪: (名) 天意。天命。神意。
音(うとぅ)@: (名) @音。音響。 ➁たより。音さた。 @音(うとぅ)ん聞(ち)
からん。/音さたもない。 Bうわさ。評判。 @音(うとぅ)ぬ悪(わっ)さん。
/評判が悪い。 @音(うと)お聞(ち)ち嬉(うっ)しゃ為居(しょお)すぃが。
/うわさは聞いて、喜んでいるが。
御通(うとぅう)い⓪: (名) 願いがかなうこと。御願(うぐぁん)[祈願]の筋が通
り、神仏に聞き入れられること。
御取(うとぅ)い替(け)え⓪: (名) 取(とぅ)い替(け)え、の敬語。(貴人との)
御交際。また贈答品・結納などのおとりかわし。
御取(うとぅ)い立(た)てぃ⓪: (名) 御登用。取(とぅ)い立(た)てぃ、の敬
語。 @御取(うとぅ)い立(た)てぃに成(な)ゆん。/御登用になる。
御取(うとぅ)い次(つぃ)じ⓪: (名) お取り次ぎ。取(とぅ)い次(つぃ)じ、
の敬語。
御取(うとぅ)い持(む)ち⓪: (名) おもてなし。御接待。
音打(うとぅう)⁼ちゅん@: (自 ⁼たん、⁼っち) 評判が高い。遠方まで知られる。
音に聞こえる。多くは、音打而居(うとぅうっちょお)ん、の形で用いる。 @清(ち
ゅ)ら影(かあぎ)いんでぃち音打而居(うとぅうっちょお)ん。/美人として音に
聞こえている。
頤額(うとぅがく)⓪: (名) 頤(うとぅげえ)、の卑称。
戯(うどぅき)⁼ゆん⓪: (他 ⁼らん、⁼てぃ) 損する。商売で失敗する。古語「おど
く」と関係ある語か。 ※「おほどく」は源氏物語にも見える古語で、おっとりとし
ている、おおらかである、という意味のようであるが、この語は、戯(おどけ)る、
と関係のある語だと思う。
頤(うとぅげえ)⓪: (名) おとがい。下あご。
頤難泥(うとぅげえなんどぅる)う⓪: (名) あごがすべすべしている者。髭無(ふ
ぃじもお)[ひげなし]をいう。
音沙汰(うとぅさた)@: (名) 音さた。音信。たより。
落(う)とぅし⓪: (名) みぞおち。胸口(んにぐち)[むなもと]ともいう。
落(う)とぅし穴(あな)⓪: (名) 落とし穴。
落(う)とぅし籠(ぐう)⓪: (名) 小鳥を捕らえる仕掛けのかご[籠(くう)]。中
におとりの鳥を入れる。
落(う)とぅし種(だに)⓪: (名) 落とし種。落胤。落(う)とぅしん子(ぐぁ)[落
とし子]ともいう。
落(う)とぅし物(むん)⓪: (名) 落とし物。
御年玉(うとぅしじゃま)⓪: (名) 鏡餅。正月に供える、御茶(うちゃ)ぬ子(く)。
仏壇と火の神の前に供える。大中小の三つを重ねる。下の大きなものを、下台(しち
ゃでえ)、中のものを、中台(なかでえ)、上の小さなものを、上台(ぅわあでえ)、と
いう。
弟者(うとぅじゃ)ん達(だ)⓪: (名) 兄弟。兄弟姉妹。以前は、弟(妹)を、弟
者(うとぅじゃ)、兄(姉)を、兄者(しぬじゃ)、また兄弟をも、弟者(うとぅじゃ)、
といったらしい。主として平民や女子供が使う語。 *おもろさうし・898に、お
とちや、とある。
御年寄(うとぅしゆ)い⓪: (名) お年寄り。御老人。年寄(とぅしゅ)い、の敬語。
落(う)とぅ⁼しゅん⓪: (他 ⁼さん、⁼ち) @(高い所から)落とす。 ➁もらす。
脱漏する。 B無くする。紛失する。 C陥落させる。また、女をわがものにする。
@小禄染屋(うるくすみや)ぬ一人女(ちゅいうぃなぐ)ん子(ぐぁ)や落(う)と
ぅし苦(ぐり)しゃ。[小禄染屋の 一人女子や 落しぐれしや(小禄染屋節)]小禄
村の染屋(屋号)のひとり娘は陥落させにくい。
落(う)とぅしん子(ぐぁ)⓪: (名) 落(う)とぅし種(だに)、と同じ。
訪(うとぅずぃ)り@: (名) たより。音さた。 @声(くぃい)ぬ訪(うとぅずぃ)
りん聞(ち)からん。/音のたよりも聞かれない。何の音さたもない。
落(う)とぅち足掻(あが)ち⓪: (名) 優劣。
音聞(うとぅぢ)ち@: (名) @遠くの人声・物音などの音だけを聞くこと。 ➁評
判に聞くこと。音に聞くこと。
大人(うとぅな)⓪: (名) おとな。文語的な語。普通は、大人(うふっちゅ)、とい
う。 @一(いち)ぬ回次(けじ)二回次(にけじ)読(ゆ)でぃどぅ遊(あすぃび
ゅ)たる、何時(いつぃ)ぬ間(ま)に里(さとぅ)や大人(うとぅな)成(な)た
が。[一のかいぢ二かいぢ 読でど遊びゆたる 何時の間に里や 大人なたが]一回、
二回と数えて石投げをして遊んでいたのだが、いつの間にあなたはおとなになったの
か。
大人(うとぅな)しゃん⓪: (形)[新?] おとなしい。普通は、優(うぇん)だしゃ
ん、という。
御供(うとぅむ)⓪: (名) お供。従者。 @御供(うとぅむ)清(ぢゅ)らさどぅ
旦那(だんな)清(ぢゅ)らさ。/お供が立派なのが、旦那の立派であるゆえん。
劣(うとぅ)⁼ゆん@: (自 ⁼らん、⁼てぃ) [新?]劣る。 @彼(あ)りやか劣(う
とぅ)ゆん。/あれより劣る。
衰(うとぅり)⁼ゆん@: (自 ⁼らん、⁼てぃ) 衰える。 @都(みやく)ぬ衰(うと
ぅり)ゆん。/都が衰える。
恐(うとぅる)う⓪: (名) 恐ろしいもの。
恐(うとぅる)しゃ思(うみ)い⓪: (名) 恐ろしい思いをすること。こわがること。
@恐(うとぅる)しゃ思(うみ)い為(しゅ)ん。/※動詞化。
恐(うとぅる)しゃ冷(ふぃい)しゃ⓪: (名) 恐れおののくこと。びくびくするこ
と。 *混効験集:坤巻・言語に、おとるしやかなしや、とある。
恐(うとぅる)しゃ物(むん)⓪: (名) 恐ろしいもの。こわいもの。 @恐(うと
ぅる)しゃ物(むん)ぬ見欲(みいぶ)しゃ物(むん)。/こわいもの見たさ。
恐(うとぅる)しゃん⓪: (形) 恐ろしい。こわい。 @恐(うとぅる)しゃ為(し
ゅ)ん。/こわがる。恐ろしがる。恐れる。 @恐(うとぅる)しゃん知(し)らん。
/こわいことも知らない。あどけない者。また豪胆な者についていう。 @恐(うと
ぅる)しい魔物(まじむん)。/こわいおばけ。 @魔物(まじむん)恐(うとぅる)
しゃ為(しゅ)る人(っちゅ)。/おばけがこわい人[魔物(まじむん)ぬ恐(うとぅ
る)しい人(っちゅ)、のようには言わない。] *混効験集:乾巻・言語に、おとろ
しや、とある。
驚(うどぅる)⁼ちゅん⓪: (自 ⁼かん、⁼ち) 驚く。びっくりする。 @驚(うどぅ
る)かしゅん。/驚かす。びっくりさせる。 *混効験集:坤巻・言語に、おとろか
す、とある。
衰(うとぅる)⁼ゆん@: (自 ⁼らん、⁼てぃ) 衰(うとぅり)ゆん、と同じ。
御殿(うどぅん)⓪: (名) [御殿]。按司地頭(あじじとぅう)が首里にかまえた邸
宅の敬称。もと地方に割拠していた按司(あじ)が中央集権制以後、首里に集められ、
住まった邸宅。また、その家柄。王の世子、王子の家をもいう。殿地(とぅんち)の
上位。御殿(うどぅん)の家柄は、間切(まじり)を領したために、間切の名と同じ
姓が多い。すなわち、明治の廃藩のころは次の通りであった。国頭(くんじゃん)、大
宜味(うじみ)、久志(くし)、羽地(はにじ)、今帰仁(なちじん)、本部(むとぅぶ)、
名護(なぐ)、伊江(いい)、金武(ちん)、浦添(うらすぃい)、宜野湾(じのおん)、
美里(んざとぅ)、読谷山(ゆんたんざ)、護得久(ぐぃいく)、与那城(ゆなぐすぃく)、
具志川(ぐしちゃあ)、小禄(うるく)、豊見城(てぃみぐすぃく)、具志頭(ぐしちゃ
ん)、玉城(たまぐすぃく)、摩文仁(まぶい)、高嶺(たかんみ)、真壁(まかび)、喜
屋武(ちゃん)、玉川(たまがあ)[兼城間切]、大村(うふむら)[北谷間切]、松山(ま
つぃやま)[領地なし]、中城(なかぐすぃく)。以上のうち、中城御殿は王の世子の邸
宅、宜野湾・松山両御殿は王子の邸宅である。また、王の別荘も、御殿(うどぅん)、
といい、浜(はま)ぬ御殿(うどぅん)、識名(しちな)ぬ御殿(うどぅん)、御茶屋
御殿(うちゃやうどぅん)、がある。また、王妃にも御殿(うどぅん)の名がつく。
大鈍川(うどぅんがあ)⓪: (名) 大鈍川。 ※「うどぅんがあ」、首里城の西、中山
門の北にあった地名のようである。
御灯明(うとぅんのお)⓪: (名) お燈明。神前仏前にともす燈明。御灯明(うとぅ
うみょお)、ともいう。
御庭(うなあ)⓪: (名) 首里城の正殿前の広庭。御城(うぐすぃく)の項参照。
御安駄(うなあんだ)⓪: (名) おかご。貴族の乗るかご[安駄(あんだ)]の敬語。
御仲(うなか)あ⓪: (名) 共有すること。強(ちゅうく)う、の敬語。御共有。お
なかま。目上の人と共有する場合などにいう。
御中御門(うなかうじょお)⓪: (名) 首里城の門の名。御城(うぐすぃく)の項参
照。 *混効験集:乾巻・家屋に、おなかおちやう、とある。
其長(うな)ぎ⓪: (名) その長さ。そんなに長く。 @其長(うな)ぎ有(あ)ん
ん。/それだけの長さある。 @其長(うな)ぎぬハブ。/その長さのはぶ。
小那覇(うなふぁ)⓪: (名) 小那覇。 ※「おなは」、中頭郡西原町の地名。
鬼(うに)⓪: (名) @鬼。 @台湾(たいわん)の鬼(うに)。/台湾の鬼。生蕃。
@鬼(うに)どぅやる。/鬼のように残酷だ。 ➁(接頭)[古] [偉大な]の意。
@鬼大城(うにうふぐすぃく)/偉大な大城(大城は英雄の名)。
宇根(うに)⓪: (名) 宇根。 ※「うね」、島尻郡久米島町の地名。 *おもろさう
し・782に、うね、とある。
御二階御殿(うにいけえうどぅん)⓪: (名) 首里城の建物の名。御城(うぐすぃく)
の項参照。
御新引(うにび)ち⓪: (名) 御婚礼。御結婚。新引(にいび)ち[婚礼、結婚]の
敬語。ただし、貴族のそれは、婚礼(くんりい)、王子・王女のそれは、御婚礼(ぐく
んりい)、という。
其人(うにひゃ)あ⓪: (名) そいつ。そやつ。その野郎。其人(うぬひゃ)あ、と
もいう。
御美拝(うにふぇえ)⓪: (名) 御美拝(うにゅふぇえ)、と同じ。
御煮物(うにむん)⓪: (名) 料理名。みそ煮。肉・野菜の類のみそで煮た料理。
御美拝(うにゅふぇえ)⓪: (名) [御美拝]神仏・祖先の霊などに対して、男子が
行う礼拝。まずひざまずいて拝し、立って合掌し、またひざまずいて拝し、これを四
回くりかえすので、四(ゆ)つぃぬ御美拝(うにゅふぇえ)、ともいう。しかし、朝(ち
ょお)ぬ御美拝(うにゅふぇえ)[その項参照]はこれを七回行う。
其(うぬ)@: (連体) その。 @其書物(うぬしゅむつぃ)/その本。 @其事(う
ぬぐとぅ)。/そんなに。そのように。
其上(うぬうぃい)@: (名) その上。かつ。それに加えて。
其如(うぬぐとお)る⓪: (名) そんなもの。そのようなもの。
其頃(うぬくる)@: (名) そのころ。
其尺(うぬしゃく)⓪@: (名) それくらい。そのくらい。その程度。 @其尺(う
ぬしゃく)ぬ事(くとぅ)なかい泣(な)ちゅみ。/それぐらいのことで泣くな。 @
其尺(うぬしゃく)っし良(ゆ)たしゃさ。/それぐらいでいいよ。
其尺小(うぬしゃくぐぁあ)⓪: (名) それしきのこと。そればっかり。
其年(うぬちゃ)⓪: (名) 其寄年(うぬゆちゃ)、と同じ。
其人(うぬっちゅ)@: (名) その人。
其時(うぬとぅち)@: (名) その時。
其場(うぬばあ)@: (名) その場。また、その場合。 @其場(うぬばあ)彼(あ)
れえ居(う)らんたん。/その場に彼はいなかった。
其人(うぬひゃ)あ⓪: (名) 其人(うにひゃ)あ、と同じ。
其辺(うぬふぃん)⓪: (名) その辺。そのあたり。
御美拝(うぬふぇえ)⓪: (名) 御美拝(うにゅふぇえ)、と同じ。
其果無(うぬふざね)え⓪: (名) そればっかり。それくらいのささいなこと。 @
其果無(うぬふざね)えぬ事(くとぅ)にん嚏(くさみ)ちゅみ。/それくらいのこ
とにも怒るか。
其儘(うぬまま)@: (名) そのまま。 @其儘(うぬまま)為候(しょおれ)え、
動(んじゅ)ちいねえ大事(でえじ)どお。/そのままにしていろ。動くと大変だぞ。
其寄年(うぬゆちゃ)⓪: (名) その年輩。その年。其年(うぬちゃ)、ともいう。寄
年(ゆちゃ)、の項参照。
其様(うぬよお)@: (名) そのよう。やや文語的な語。 @其様(うぬよお)な。
/そのような。 @其様(うぬよお)に為(っし)。/そのようにして。 其如(うぬ
ぐとお)る、其如(うぬぐとぅ)、などというのが普通。
うね@: (感) @おや。珍しい物を見た時などに発する。 @うね、珍(ふぃるま)
しい物(むん)。/おや、珍しいものだ。 ➁ほら。それ。指示する場合に発する。目
上に対しては、男は、うねさい、女は、うねたい、のようにいう。 @うね、見(ん
ん)でえ。/それ見ろ。
うねうね@: (感) おやおや。おやまあ。珍しい物を見た場合などにいう。
御直(うのお)い⓪: (名) 御焼香(うしゅうこお)[法事]の際のお供物の菓子を下
げて、おみやげとしたもの。
覚(う)び⓪: (名) 覚え。記憶。 @覚(う)びぬ有(あ)ん。/覚えがある。
帯(うび)⓪: (名) (おけ・たるなどの)たが。なお、帯は、帯(ううび)、という。
※箍(たが)は、桶・樽などにはめて外側を堅く締め固めるのに用いる細長い竹製の
もの。
御水(うびい)⓪: (名) 神仏に供えるための水。お供えのお水。
覚(う)びい書(が)ち⓪: (名) 覚え書き。メモ。
御水撫(うびいな)でぃい⓪: (名) [水撫] 旧暦3月と8月に、水の霊地(祖先
の使った水のあるところ)を拝みに行く女の行事。一門の女子供が着飾って水辺で一
日を遊び暮らすならわしであった。
覚(う)びじに⓪: (副) 思わず。 @覚(う)びじに飛(とぅ)ん出(じ)たん。
/思わず飛び出した。
帯竹(うびだき)⓪: (名) 桶などの、たが[帯(うび)]に用いる竹。
覚束(うびつぃか)なさん⓪: (形) はっきり覚えていない。よく思い出せない。 @
彼(あ)れえ何時(いつぃ)ぬ事(くとぅ)がやたら覚束(うびつぃか)なささあ。
/あれはいつの事だったかはっきり覚えてないねえ。
覚(う)び耐(で)え⓪: (名) 覚える力。記憶力。でえ<てえ(力)。
覚(う)び⁼ゆん⓪: (他 ⁼らん、⁼てぃ) 覚える。記憶する。暗記する。意識に上せ
る。 @取(とぅ)いん覚(う)びららん。/思案のほかである。どうしてよいかわ
からない。
覚(う)びらじ⓪: (副) 覚(う)びじに、と同じ。
覚(う)びらじ事(ぐとぅ)⓪: (名) 不慮のでき事。思いがけない事。
覚(う)び出(ん)じゃ⁼しゅん⓪: (他 ⁼さん、⁼ち) 思い出す。
大(うふ)⁻: (接頭) 大。大きい意を表す。 @大人(うふっちゅ)[おとな]、大家
(うふやあ)[本家]、大餅(うふむち)[大きい餅]、など。
負(う)ふぁ⓪: (名) おんぶ。人を背負うこと。 @負(う)ふぁ括付(くぃいじ)
きゆん。/しっかりと背におんぶする。 @子(っくぁ)負(う)ふぁ為(しゅ)ん。
/子をおんぶする。
御墓(うふぁか)⓪: (名) お墓。
御墓参(うふぁかめえ)⓪: (名) お墓参り。墓参。墓参(はかめえ)、ともいう。旧
暦1月16日、7月7日には、親戚一同が揃って、御墓参(うふぁかめえ)、を行う。
大東島(うふあがりじま)⓪: (名) 大東島。むかし付近の海を通った舟が鶏の声を
聞き、近くに島のあることが知られたが、島そのものは発見できなかったと言い伝え
られている。実際には北大東島、南大東島、沖大東島がある。 ※「だいとうじま」、
島尻郡に属する。明治までは全島が無人島であった。ニューギニア近海の島が徐々に
移動して現在の位置に到達したと考えられている。島固有の動植物が多い。ハブが生
息していない島である。
御初(うふぁつぃ)⓪: (名) おはつ。神仏に供えるために、人が手を付けぬうちに
とっておく食物。
大兄(うふあふぃい)⓪: (名) 一番上の兄。長兄。平民についていう語。
大雨(うふあみ)⓪: (名) 大雨。
大綾(うふあや)⓪: (名) 大柄。着物の模様についていう。
大姉(うふあやあ)⓪: (名) 父母の一番上の姉。士族ついていう。一番上の伯母。
大姉前(うふあやあめえ)⓪: (名) 大奥様。士族の、大姉(うふあやあ)、について
平民などがいう敬称。姉前小(あやあめえぐぁあ)[若奥様]に対する。
大綾着物(うふあやじん)⓪: (名) 大きな柄の着物。
大姉(うふあんまあ)⓪: (名) 父母の一番上の姉。平民についていう。一番上の伯
母。
其程(うふぃ)⓪: (名) その大きさ。それだけ(の量)。そんなに大きく(多く)。
また、そんなわずか。 @其程(うふぃ)な事(くとぅ)。/そんな(大きな・わずか
な)こと。 @其程(うふぃ)な御座(うざ)うてぃ寄炊(ゆんたく)為(す)な。
/そんな立派なお座敷でおしゃべりするな。
御妃(うふぃ)⓪: (名) おきさき。王妃(ふぃい)、の敬語。御妃(うふぃい)、と
もいう。
御妃(うふぃい)@: (名) 御妃(うふぃ)、と同じ。
其程(うふぃ)い事(くとぅ)⓪: (名) 大きな事。盛大な事。盛典。 @王(おお)
ぬ御位(うくれえ)移(うつぃ)ちん候(せえ)せえ其程(うふぃ)い事(くとぅ)
やん。/王が即位されるのは盛典である。
大息(うふいいち)⓪: (名) ため息。嘆息。
大指(うふいいび)⓪: (名) おや指。
御光(うふぃかり)⓪: (名) お光。神仏の威光。
其程小(うふぃぐぁあ)⓪: (名) 其程小(うっぴぐぁあ)、と同じ。
御日(うふぃ)が下(むとぅ)⓪: (名) お日のもとの意。首里をさしていう。
其程(うふぃ)さん⓪: (形) 大きい。大(まぎ)さん[大きい]より格式ばった語
感があり、多くは抽象的な大きさをいう。すなわち、盛大である・偉大である・大げ
さである、など。 @其程(うふぃ)い事(くとぅ)/大いなること。大儀式など。
@其程(うふぃ)い人(っちゅ)。/偉人。 @余(あま)り盛小屋(むりくや)や義
理立(じりだ)てぃぬ其程(うふぃ)さ。[余り盛小屋や 義理立ての大さ(手水之縁)]
あまり盛小屋(人名)は義理立てが大げさである。 @待(ま)ちどぅ嬉(うり)し
事(ぐとぅ)喜(ゆるく)びん其程(うふぃ)さ。[待ちど嬉しごと 喜びもおへさ(大
川敵討)]待つのがうれしく、大きな喜びだ。 ※「手水之縁」は、平敷屋朝敏作の組
踊、「大川敵討」は、久手堅親雲上作の組踊である。
大魚(うふいゆ)⓪: (名) 大きな魚。大魚。 @忍耐(にじで)えぬ有(あ)すぃ
がどぅ大魚(うふいよ)お取(とぅ)ゆる。/しんぼう強い者が大魚を取る(諺)。
御平(うふぃら)く⓪: (副) お平らに。お楽に。かしこまった客に対して言う語。
平(ふぃら)く、の敬語。 @御平(うふぃら)く御成(うな)い見候侍(みせえび)
り。/お楽なさいませ。
大男(うふうぃきが)⓪: (名) 元来は大男の意。女が出生した時に、女の子をほし
がる魔物に命をとられることを恐れて、わざと、大男(うふうぃきが)が生まれたと
いう。
大女(うふうぃなぐ)⓪: (名) 元来は大女の意。男が出生した時に、男の子をほし
がる魔物に命をとられることを恐れて、わざと、大女(うふうぃなぐ)が生まれたと
いう。また、その父親が旅先にある時は、名前までも女の名前をつける。首里には、
男で女の名のついた者がよくあるが、みな、このためで、たいがいは、鍋(なびい)、
という女の名前がつけられた。
大帯(うふううび)⓪: (名) 礼装用の大帯。男が礼装の時着用する幅の広い帯。中
国の紳に相当するもの。 ※論語に「紳に書す」とある。
大御座(うふうざ)⓪: (名) 一番座敷。屋敷のなかで一番大きく立派な座敷。単に、
御座(うざ)、ともいう。
大御焼香(うふうしゅうこお)⓪: (名) 大法会。二十五年忌と三十三年忌の法事を
いう。御仏儀(うぶつぃじ)、ともいう。十三年忌までは、白地の喪服を着るが、二十
五年忌以上は紺地の晴れ着を着て盛大にいとなむ。
大祖父(うふうしゅめえ)⓪: (名) 曾祖父。ひいおじいさん。また、祖父母の兄、
あるいは祖父母の姉の夫。平民についていう語。
大御門(うふうじょお)⓪: (名) 表門。正門。屋敷の表側にある大きな門。御門小
(うじょおぐぁあ)、に対する。
大御寺(うふうてぃら)⓪: (名) 首里の円覚寺をいう。大寺院の意。
大御墓(うふうふぁか)⓪: (名) 本家のお墓。
大大祖父(うふうふうしゅめえ)⓪: (名) 曾祖父母の兄。または、曾祖父母の姉の
夫。平民についていう語。
多多(うふうふ)うとぅ@: (副) たっぷりと。たくさん。 @多多(うふうふ)う
とぅ入(い)りゆん。/たっぷりと入れる。
大大祖母(うふうふんめえ)⓪: (名) 曾祖父母の姉。または、曾祖父母の兄の妻。
士族についていう語。
大海(うふうみ)⓪: (名) 大海。
大倦(うふう)み無(なあ)く⓪: (副) すっかり安心したさま。次の句でいう。 @
大倦(うふう)み無(なあ)く成(な)ゆん。/すっかり安心する。大きな心配事が
解消した場合にいう。
大伯父(うふうんちゅう)⓪: (名) 母方の伯父。また、母方に限らず自分と非常に
年の違う叔父。大きいおじさん。
大保川(うふかあ)⓪: 大保川。国頭地方にある川の名。 ※「たいほがわ」、国頭郡大
宜見村の塩屋湾にそそぐ川である。
大餓鬼(うふがち)⓪: (名) 大の食いしんぼう。
大餓鬼猫(うふがちまやあ)⓪: (名) 大変な泥棒猫。また、そのように飲み食いす
る者。
大兼久(うふがにく)⓪: (名) 大兼久。 ※「おおがねく」、国頭郡大宜味村の地名。
村役場がある。喜如嘉と根路銘の間である。
大木(うふぎい)⓪: (名) 大木。また、喬木。大木(てえぶく)、ともいう。細木(ぐ
まぎい)[灌木]に対する。
御仏供(うぶく)⓪: (名) 神仏に供える飯。御仏供(おぶく)。小さな茶わんに円錐
形に盛って供える。 @御仏供(うぶく)御捧(うしゃ)ぎゆん。/おぶくを供える。
大庫裡(うふぐい)⓪: (名) [大庫裡]財産を保管する裏部屋。大きな、庫裡(く
うい)。とくに、御殿(うどぅん)、殿地(とぅんち)などの家での財産を保管する部
屋。そこで財産の管理人[総聞(すうち)ち]や会計人[字代(じでえ)]が事務を執
る。
御誇(うぶく)い⓪: (名) 御機嫌よろしいこと。あいさつに使う語。なお、那覇で
は結納のとりかわしのことをもいうようである。<誇(ふく)ゆん。 @御誇(うぶ
く)い御候侍(みせえびい)てぃい。/お元気でいらっしゃいましたか。丁寧なあい
さつのことば。
大声(うふぐぃい)⓪: (名) 大声。
御誇(うぶく)い愛(がな)しい⓪: (名) 御機嫌よろしいこと。貴族にたいするあ
いさつの敬語。御誇(うぶ)くん愛(ざな)しい。御誇(うぶ)くん愛(ざん)しい、
ともいう。 @御誇(うぶく)い愛(がな)しい御有御候侍(ぅわみせえびい)み。
/御機嫌よろしゅういらっしゃいますか。
大卵(うふくうが)あ⓪: (名) 大ぎんたま。象皮病で睾丸の大きくなった者。大薬
缶(うふやっくぁな)あ、ともいう。 ※西郷隆盛は、大卵(うふくうが)あ、であ
ったらしい。
大御祝儀(うふぐしゅうじ)⓪: (名) 大きなお祝い。盛大な祝儀。ことに、還暦お
よびそれ以上の高齢の祝いをいう。
大城(うふぐすぃく)⓪@: (名) 大城。 ※「おおしろ」、「おおぐすく」。南城市大
里の地名は、「おおしろ」、中頭郡北中城村の地名は、「おおぐすく」と読む。
大城旅歌(うふぐすぃくぐぇえな)⓪: [大城ごゑにや]旅歌(くぇえな)の一つ。大
城帰来勿(うふぐすぃくぎれえな)[大城ぎらいをゑな]という文句に始まる長い古歌。
大口(うふぐち)⓪: (名) 大口。大きな口。 @大口開(うふぐちふ)らちゅん。
/大口をあける。
大口(うふぐちゃ)あ⓪: (名) 大きな口をした者。
大首(うふくび)⓪: (名) 大首の意。次の句でいう。 @大首倒(うふくびとお)
りゆん。/大ぎょうに頭を下げて頼む。我を折って頼み入る。懇請する。
御誇(うぶく)ん愛(ざな)しい⓪: (名) 御誇(うぶく)い愛(がな)しい、と同
じ。
御誇(うぶく)ん愛(ざん)しい⓪: (名) 御誇(うぶく)い愛(がな)しい、と同
じ。
大貝(うふげえ)⓪: (名) 豚などの胃。食品としての名。
多(うふ)さあがあ⓪: (名) 数の多さを争うこと。遊戯などで数・点数の多い方を
勝ちとすること。<誰(たあ)が多(うふ)さが[誰が多いか]。
大里(うふざとぅ)⓪: (名) 大里。 ※「おおざと」、南城市大里の地名。沖縄市の
地名。南城市の場合の住所表記は、南城市大里大里あるいは、南城市大里字大里であ
る。 *おもろさうし・437に、大里、とある。
多(うふ)さに片付(かたじ)きるう⓪: (名) 数の多い方に決めること。また、多
数決。
多(うふ)さん⓪: (形) (数・量が多い。
大石(うふし)⓪: (名) [大瀬]大岩。大きい岩(しい)。 ※瀬は、川などの浅い
ところをいう言葉で、うふしは、うふいしの縮まった語だと思われる。
大地(うふじ)⓪: (名) [大地]沖縄本島をいう。
大勢頭部(うふしどぅび)⓪: (名)[古] [大勢頭部]城(ぐすぃく)ん人(ちゅ)
[宮女]の中から選ばれて王の妾となったもの。
大地内(うふじねえ)⓪: (名) 大地内(うふちねえ)、と同じ。
大肝(うふじむ)う⓪: (名) 気前がいい者。惜しげなく人に物を与える者。
大者(うふじゃ)⓪: (名) 年寄り。老人。謙称または、軽い卑称として用いる。 @
吾達(ぅわったあ)大者(うふじゃ)。/うちの年寄り。
大者(うふじゃ)あ⓪: (名) 老いぼれ。大者(うふじゃ)の卑称。
大謝名(うふじゃな)⓪: (名) 大謝名。 ※「おおじゃな」、宜野湾市の地名。
大父(うふしゅう)⓪: (名) 父方の一番上の伯父。または、大母(うふあんまあ)
の夫。平民についていう語。また農村の8月踊りに出て来る120歳の長者はとくに、
百二十(ひゃくはたち)成(な)ゆる長者(ちょおじゃ)ぬ大父(うふしゅう)、とい
う。
大人愛(うふじゅんじゃん)しい前(めえ)⓪: (名) おじいさま。貴族の祖父・老
翁に対する敬称。貴族の家族がいう。
大性(うふしょお)@: (名) 大性者(うふしょおむん)、と同じ。
大性者(うふしょおむん)@: (名) そそっかしい者。とんま。間抜け。抜け作。
大銭(うふじん)⓪: (名) 大金。多額の金。
大田(うふた)⓪: (名) 大田。 ※「おおた」、うるま市の地名。
大父(うふたありい)⓪: (名) 伯父。伯父さん。父母の兄。また、祖父母の兄ある
いは祖父母の姉の夫。士族についていう。叔父は、ぅうんちゅう、という。
大祖父(うふたんめえ)⓪: (名) 曾祖父。ひいおじいさん。また、祖父母の兄ある
いは祖父母の姉の夫。士族についていう語。
大筑(うふちく)⓪: (名)[古] [大筑]廃藩前の警察官の役名。脇筑(わちちく)、
筑佐事(ちくさじ)、の上。
大息喰息(うふちくぃいち)⓪: (名) (病人が)退屈がること。 @大息喰息(う
ふちくぃいち)為(しょお)ん。/(病人が)退屈がっている。
大地内(うふちねえ)⓪: (名) 富んだ家。また、大所帯。大家族。大地内(うふじ
ねえ)、ともいう。
大中(うふちゅん)⓪: (名) 大中。 ※「おおなか」、那覇市首里の地名。龍潭の池
の真ん前あたりである。名護市にも同名の地名がある。
大兄弟(うふちょおでえ)⓪: (名) 兄弟が多いこと。たくさんの兄弟姉妹。
大粒(うふつぃざ)あ⓪: (名) 大豆。大粒のものの意。豆腐豆(とおふまあみ)、と
もいう。
御仏儀(うぶつぃじ)@: (名) 大御焼香(うふうしゅうこお)[その項参照]と同じ。
御仏壇(うぶつぃだん)⓪: (名) お仏壇。祖先の位牌を安置する壇。士族の家では、
普通、幅1間のものが作り付けられていて、三段の供物台がある。仏像はない。
大頭(うふつぃぶら)あ⓪: (名) 頭でっかち。大頭の者。大頭(うふつぃぶる)、の
卑称。
大頭(うふつぃぶる)⓪: (名) 頭でっかち。大頭の者。大頭(うふつぃぶら)あ、
ともいう。
大頭雨(うふつぃぶるあみ)⓪: (名) 大粒の雨。 ※もともとは、大粒雨(うふつ
ぃぶあみ)、であったと推測する。
大人(うふっちゅ)⓪: (名) おとな。 @大人(うふっちゅ)ぬ配(くば)い。/
大人の待遇。おとな並みの扱い。
大人声(うふっちゅぐぃい)⓪: (名) おとなの声。
大人振(うふっちゅぶ)い⓪: (名) (子供が)おとなぶること。
大年寄(うふどぅしゅ)い⓪: (名) 非常な年寄り。大年寄り。
大殿地(うふどぅんち)⓪: (名) @お宅。お屋敷。他人の家に対する敬称。大きな
お屋敷の意。 ➁士族の本家。平民のそれは、大家(うふやあ)、という。
大飛(うふどぅ)ん舞(もお)い⓪: (名) びっくり仰天。飛び上がって驚くこと。
大根(うふに)⓪: 大根。大根(でえくに)、というのが普通。 ※大根(おほね)は、
枕草子にも見える。日本書紀には、意富泥、と記されている。
大寝息(うふにいち)⓪: (名) 大きな寝息。
大根葉(うふにばあ)⓪: (名) 大根の葉。
大人数(うふにんず)⓪: (名) 大人数。多人数。大勢。
大主(うふぬし)⓪: (名)[古] [大主]按司(あじ)の家来の中の頭役。
大盗人(うふぬすどぅ)⓪: (名) 大泥棒。
大叔母(うふばあ)⓪: (名) 父母のすぐ下の叔母。大きい叔母さんの意。
大祖母(うふはあめえ)⓪: (名) 曾祖母。ひいおばあさん。また、祖父母の姉、祖
父母の兄の妻をもいう。平民についたいう語。
大幅(うふはば)⓪: (名) 大幅。普通の布の二倍の幅の布。
大足(うふびしゃ)あ⓪: (名) 象皮病(の患者)。大脚の者の意。
大辺名地(うふふぃなじ)⓪: (名) 大辺名地。 ※国頭郡本部町に辺名地(へなじ)
があるが、現在、大辺名地という地名はないようである。
大節(うふぶし)⓪: (名) 大節の意。端唄(ふぁうた)[端歌]に対して、御前風節
(ぐじんふう)、特牛節(くてぃぶし)など、何々節と呼ばれる本格の歌をいう。
大船(うふぶに)⓪: (名) 大船。大きな船。
大回(うふまあ)る⓪: (名) 仕事を人にまかせて、楽に暮らせること。左うちわ。
大町屋(うふまちや)⓪: (名) 大きな店。町屋(まちや)、は家をかまえた店。
大道(うふみち)⓪: (名) 大通り。大道。
大道(うふみち)ぬ人(っちゅ)⓪: (名) 道行く人。行きずりの人。赤の他人。
大目玉(うふみんたま)あ⓪: (名) 眼玉の大きな者。
大元(うふむうとぅ)⓪: (名) 総本家。一族一門の元祖の家柄。中元(なかむうと
ぅ)[分家の祖先]に対する。
大麦(うふむじ)⓪: (名) 大麦。
大持(うふむ)た持(む)た⓪: (副) 大勢で笑いさざめくさま。がやがや。わいわ
い。 @大持(うふむ)た持(む)た為居(しょお)ん。/わいわいと笑いさざめい
ている。
大物言(うふむぬい)い⓪: (名) 大言壮語。ほらを吹くこと。
大物落(うふむぬう)とぅし⓪: (名) 大きな落し物をすること。 @大物落(うふ
むぬう)とぅし為居(しょお)る如(ぐと)おん。/大きな落とし物をしたようだ。
大きな穴があいたようだ。親しい家族がひとり欠けた場合などにいう。
大飯八十前(うふめえやとぅめえ)⓪: (名) 大きな飯の意。大もりにした飯。八十
(やとぅ)も大きなの意。守(まぶ)い込(ぐ)み[魂をこめる式。その項参照]の
時の文句にある。 @守(まぶ)やあ守(まぶ)やあ、追(うう)てぃ来(くう)よ
お、大飯八十前(うふめえやとぅめえ)呉(くぃ)らやあ。/魂よ、魂よ、追って来
いよ、大きな飯をやるぞ。
大親(うふや)⓪: (名) [大親]御殿(うどぅん)の家の家政を管理する人。家令。
大家(うふやあ)⓪: (名) 本家。平民のそれをいう語。
大家人数(うふやあにんず)⓪: (名) 大家族。大勢の家族。
大焼(うふや)かあ⓪: (名) 貴族の男の子のおもり役。補導役として雇われた者を
いう。焼(や)かあ小(ぐぁあ)[遊び相手として雇われた者]に対する。専属の家庭
教師。 ※共通語の世話を焼くの、やく、と関係のある語と思う。
大役(うふやく)⓪: (名)[古] [大屋子]位階の名。大役の意であろう。さらに古
くは、大役思(うふやくむ)い、といったが、後に、ぺえちん、というようになった。
ぺえちん、の項参照。
大役(うふやく)う⓪: (名)[古] 大役(うふやく)、と同じ。
大易(うふやし)い⓪: (名) @(赤ん坊などの)おとなしい者。 ➁お人よし。人
の言うなりになる者。
大薬缶(うふやっくぁな)あ⓪: (名) 大卵(うふくうが)あ、と同じ。薬缶(やっ
くぁん)は、やかん、および、きんたま。
大易(うふやっ)さん⓪: (形) おとなしい。やさしい。 @大易(うふやっ)さる
人(っちゅ)。/やさしい人。おとなしい人。
大兄(うふやっちい)⓪: (名) 一番上の兄。長兄。大きいにいさん。士族について
いう語。
大大和(うふやまとぅ)⓪: (名) 日本。日本本土全体。大和(やまとぅ)が薩摩だ
けを意味することがあるので、それと区別していう。
大大和(うふやまとぅ)ん人(ちゅ)⓪: (名) 日本人。日本本土の人。大和(やま
とぅ)ん人(ちゅ)、が薩摩の人だけを意味することがあるので特に薩摩以外の日本人
をいう。
大欲(うふゆく)う⓪: (名) 大欲張り。強欲な者。強欲(ごおゆく)う、ともいう。
大横(うふゆく)し物言(むぬい)い⓪: (名) 大うそ。 @大横(うふゆく)し物
言(むぬい)い為(しゅ)ん。/大うそをつく。
大浦(うふら)⓪: (名) 大浦。 ※「おおうら」、名護市の地名。
朧月(うぶるづぃち)@: (名) おぼろ月。
朧月夜(うぶるづぃちゅう)@: (名) おぼろ月夜。 *混効験集:坤巻・言語に、
朧月夜(おぼろづきよ)、とある。
御振舞(うふるめ)え⓪: (名) お祝いのごちそう。祝宴のおふるまい。 @四組(ゆ
つぃぐん)ぬ御振舞(うふるめ)え。四組(ゆつぃぐん)の項参照。
御振舞(うふるめ)ん真似(たあ)⓪: (名) ままごと。お客さまごっこ。
大腹(うふわた)⓪: (名) @大きな腹。妊婦などの大きな腹。 @大腹(うふわた)
しいしい為居(しょお)ん。/大きな腹をかかえて苦しそうである。 ➁大腸。
大腹(うふわた)あ⓪: (名) 腹の大きい者。妊婦や大食いの卑称。
大腹(うふわた)ウルマー⓪: (名) くつわ虫の一種。腹が大きい。
大腹者(うふわたむん)⓪: (名) 妊婦。腹の大きい者の意。普通は、嵩上(かさぎ)
ん人(ちゅ)、という。また、女同志では、巣抱(すぃどぅ)う果報(がふう)為居(し
ょお)ん[ありがたいものをいだいている]のように言いあらわす。
大笑(うふわれ)え⓪: (名) 大笑い。 @大笑(うふわれ)え為(しゅ)ん。/大
笑いする。
御盆(うぶん)⓪: (名) 御飯。物(むぬ)[飯・食事]の丁寧語。
御盆御茶碗(うぶんうちゃわん)⓪: (名) 御飯茶わん。
大昔(うふんかし)⓪: (名) 大昔。先史時代の意で用いる。中昔(なかむかし)、に
対する。神御代(かみぐでえ)、ともいう。
大見武(うふんちゃき)⓪: (名) 大見武。 ※「おおみたけ」、かつて大里間切にあ
った地名。現在の島尻郡与那原町あたりのようである。
御盆粒(うぶんつぃじ)⓪: (名) 御飯粒。飯粒(みしつぃじ)の丁寧語。
御盆握(うぶんにじ)りい⓪: (名) おむすび。お握り御飯。楕円形に握ったものが
多い。
大重(うふんぶ)し⓪: (名) @大きな重し。 ➁大きな負担。 @大重(うふんぶ)
し下(う)るち洋々(やあやあ)とぅ成(な)たん。/大きな重荷を下ろしてほっと
した。
大生(うふん)まり⓪: (名) こせこせしないたち。ゆったりとした性質。鷹揚な性
質。
大嶺(うふんみ)⓪: (名) 大嶺。 ※「おおみね」、那覇市の地名。現在、那覇空港
の滑走路が走っている。 *おもろさうし・1369に、大みね、とある。
大姉(うふんみい)⓪: (名) 長姉。一番上の姉。大きいねえさん。士族についてい
う語。
大祖母(うふんめえ)⓪: (名) 曾祖母。ひいおばあさん。また、祖父母の姉、ある
いは祖父母の兄の妻。士族についていう語。
多(うほお)く@: (名) 多く。たくさん。 @多(うほお)く有(あ)ん。/たく
さんある。 @多(うほお)くぬ人(っちゅ)。/たくさんの人。
思(うまあ)し振(ぶ)い⓪: (名) 思わせぶり。 @彼(あん)し思(うまあ)し
振(ぶ)ええ為(さ)んぐとぅ喰(か)めえ。/そんな思わせぶりはしないで食え。
@思(うまあ)し振(ぶ)いぬ過(すぃ)じいねえ胴(どぅう)ぬどぅ損(すの)お
為(しゅ)んどお。/思わせぶりが過ぎると自分が損するぞ。
思(うまあ)じ振(ふ)らあじ⓪: (副・名) @思わず。 @思(うまあ)じ振(ふ)
らあじ大抵(だてえ)ん喚(あび)たん。/思わず大声を出した。 ➁思いがけず。
また、思いがけないこと。 @此処(くま)うてぃ行会(いちゃ)いせえ思(うまあ)
じ振(ふ)らあじぬ事(くとぅ)やっさあやあ。/ここで会うとは思いがけないこと
だねえ。
御松(うまあつぃ)⓪: (名) 火(ふぃい)、の敬語。多く、御松(うまつぃ)、とい
う。 @御松(うまあつぃ)ぬ御願(うぐぁん)。/火の神に対する祈願。村の、拝(う
が)ん所(じゅ)[祈願をする霊地]で祈願をし、家に帰ってから、おのおのの家のか
まどで祈願をする。
思(うまあ)らん物(むん)⓪: (名) 心外なこと。とんでもないこと。また、心外
なもの。心ない者。けしからぬ者。 @彼(あ)りが吾(わあ)事(くとぅ)言(ぃ
ゆ)てえぎさすぃが思(うまあ)らん物(むん)やっさあ。/彼がわたしのことを悪
く言ったそうだが、心外なやつだ。
思(うまあ)ん雜雜(がさがさ)⓪: (名) 思わなくてもよいような雑念。とりこし
苦労。 @思(うまあ)ん雜雜(がさがさ)思(うむ)ゆん。/考えなくてよいこと
を、かれこれと考える。とりこし苦労をする。
御松(うまつぃ)⓪: (名)[古] 火(ふぃい)、の敬語。老女などがよく言う。 @
御松(うまつぇ)え然有(さあ)とお遣侍(やびい)み。/火はございますか。 *
混効験集:坤巻・言語に、おまつ、とある。
御祭(うまつぃ)い⓪: (名) 稲麦などの農耕に関して行われるお祭り。2月、3月
に麦の祭りを、5月、6月に稲の祭りを行う。4月には、畔祓(あぶしばれ)え[そ
の項参照]が行われる。もとは、国王が久高(2月)、玉城(4月)に出かけて、その
祭りを行った。
思姉(うまにい)⓪: [思姉] @兄嫁さん。または、嫁に行ったねえさん。兄嫁・既
婚の姉の敬称。士族についていう。 ➁奥さん。既婚の士族の婦人の敬称。
思姉前(うまにめえ)⓪: (名) 兄嫁様。または、嫁に行ったおねえさま。結婚した
貴族の女をその弟妹などがいう語。一般からは、篤尊前(あっとおめえ)、と呼ばれる。
御回(うまわ)い⓪: (名) おかず。おまわり。
御真人(うまんちゅ)@: (名)[御真人・御万人]人民。一般の庶民。多くの人。万人。
御纏(うまんとぅ)ん⓪: (名) 王の礼服。
海(うみ)⓪: (名) 海。 @海歩(うみあっ)ちゅん。/海を行く。航海する。ま
た、船乗りを業とする。また、漁師をする。
思(うみ)⁻: (接頭) [思]敬愛の意をあらわす接頭辞で、人名、人倫関係の語につ
ける。さん、さま。 @思次郎(うみじるう)/次郎さん、@思兄(うみすぃいざ)
/おにいさま、@思里(うみさとぅ)/恋しいお方、など。
海石蓴(うみああさ)⓪: (名) 海あおさの意。石蓴(ああさ)[あおさ。青のりの一
種]と同じ。藪石蓴(もおああさ)[きのこの一種]と区別して呼んだ名。
海歩(うみあっ)ちゃあ⓪: (名) 船乗り。船員。また、漁師。 歩(あっ)ちゃあ
<歩(あっ)ちゅん。
思(うみ)い⓪: (名) 思(うむ)い、と同じ。
思(うみ)い過(すぃ)じ⓪: (名) 思い過ごし。
思(うみ)い過(すぃ)じ⁼ゆん⓪: (他 ⁼らん、⁼てぃ) 思い過ごす。
思(うみ)い通(どぅう)い⓪: (名) 思い通り。思った通り。 @思(うみ)い通
(どぅう)い成(な)たん。/思い通りになった。
御命日(うみいにち)⓪: (名) 御命日。命日(みいにち)、の敬語。
思(うみ)いぬ外(ふか)⓪: (名) 思いのほか。意外。案外。
思(うみ)い深(ぶか)さん⓪: (形) 思慮深い。考えが深い。また、考え過ぎる。
思(うみ)い病(や)みい⓪: (名) 思いなやむこと。思いためらうこと。 @思(う
み)い病(や)みい為(しゅ)ん。/※動詞化。
思(うみ)い重(んぶ)さん⓪: (形) 心が重い。重大なことを思って気が重い。
海亀(うみがあみい)⓪: (名) 海亀。単に亀(かあみい)、といえば水陸両棲の亀を
多くいう。
御目掛(うみか)き⁼ゆん@: (他 ⁼らん、⁼てぃ) @お目にかける。御覧にいれる。
見(み)しゆん[見せる]の謙譲語。さらにその上の敬語は、御覧掛(ぬんか)きゆ
ん。 @御目掛(うみか)き遣侍(やび)ら。/お目にかけましょう。 ➁御覧にな
る。見(んん)じゅん[見る]の敬語。御覧掛(にゅんか)き見候(みせえ)ん、は
さらにその上の敬語。
海風(うみかじ)⓪: (名) 海風。海の方から吹く風。
思(う)み愛(かな)⓪: (名)[文] [思加那]恋人(女)を親しんでいう語。
海蟹(うみがに)⓪: (名) 海にいる蟹。
思(う)み雄(きい)⓪: (名) @貴族・士族の女が男の兄弟[成雄(うぃきい)]を
敬愛していう語。 ➁女が、身分のある家柄の年下の男の子を呼ぶ語。ぼっちゃん。
思(う)み雄(きい)ぬ前(めえ)⓪: (名) 御兄弟様。おにいさま。弟さま。姉妹
から見た男の兄弟の敬称。目下の第三者が貴族の女に、その兄弟を話題にしていう場
合などに用いる。
思(う)み子(ぐぁ)⓪: (名)[文] 主人の子、または、目上の人の子に対する敬称。
お子様。口語は、思(う)みん子(ぐぁ)。
思(う)み里(さとぅ)⓪: (名)[文] [思里]恋人(男)を親しんでいう語。恋し
いお方。
思(う)みじとぅ叶(がな)わい⓪: (名) 思うことがかなうこと。願いが成就する
こと。 @思(う)みじとぅ叶(がな)わい為居(しょお)ん。/願いがかなった。
思(う)みじとぅ強(ぐふぁ)さん⓪: (形) 思うようにならない。思い通りにいか
ない。
思(う)み知(し)⁼ゆん⓪: (他 ⁼らん、⁼っち) [文] 思い知る。 @今(なま)
どぅ思(う)み知(し)ゆる。/今こそ思い知った。
思(う)み兄者(すぃいざ)⓪: (名) おにいさま。貴族が兄・年上に対していう語。
思(う)み染(すぃ)み⁼ゆん⓪: (他 ⁼らん、⁼てぃ) 強く思う。また、深く恋する。
思(う)み立(た)⁼ちゅん⓪: (他 ⁼たん、⁼っち) 思い立つ。思い企てる。
御自(うみちく)る⓪: (副) 御てずから。御自身で。御主(うんじゅ)くる、より
いっそう丁寧。 @御自(うみちく)る見候(みしょお)ち。/御自身でなさって。
思(う)み切(ち)っち⓪: (副) 思い切って。決心して。
思(う)み切(ち)っとぅ⓪: (副) 思い切り。強く。うんと。しっかり。 @思(う
み)切(ち)っとぅ掴(かつぃ)み而居(とお)ん。/しっかりつかんでいる。
思(う)み掛(ちゃ)きん@無(ね)えん⓪: [句] 思いがけない。 @思(う)み
掛(ちゃ)きん無(ね)えん事(くとぅ)。/思いがけないこと。
御三所(うみちゅくる)⓪: (名) 御三人様。おさんかた。三人(みっちゃい)、の敬
語。三所(みちゅくる)、御三所(うみとぅくる)、ともいう。
思(う)み切(ち)⁼ゆん⓪: (他 ⁼らん、⁼っち) 思い切る。あきらめる。
思(う)み切(ち)り⓪: 思い切り。決断。また、あきらめ。断念。 @思(う)み切
(ち)りぬ無(ねえ)ん。/思い切りが悪い。
思(う)み付(つぃ)⁼ちゅん⓪: (他 ⁼かん、⁼ち) 思いつく。 @思(う)み付(つ
ぃ)ちゃる事(くとぅ)ぬ吾身(わみ)に又(また)有(あ)ゆん。[思付ちやること
の 我身にまたあゆん(手水之縁)]思いついたことがわたしにまたある。 @「手水
之縁(てみずのえん)」は平敷屋朝敏作の組踊である。
思(う)み詰(つぃ)み⁼ゆん⓪: (他 ⁼らん、⁼てぃ) 思い詰める。一途に思いこむ。
御三物(うみつぃむん)⓪: (名) かまどの神。竈(かま)[かまど]は石三つからで
きていたのでこの名がある。お三つ物の意。
思(う)み弟(っとぅ)⓪: (名) [思弟]弟さん。妹さん。士族の弟妹を第三者が
いう語。
御三所(うみとぅくる)⓪: (名) 御三所(うみちゅくる)、と同じ。
倦(う)み無(なあ)く@: (副) 安心したさま。心配がなくなったさま。次の句で
いう。 @倦(う)み無(なあ)く成(な)ゆん。/心配がなくなる。また、皮肉と
して、万事休した場合にもいう。
思(う)み雌成(ない)⓪: (名) おねえさま。妹さま。貴族・士族の、兄弟から見
た姉妹の敬称。主として第三者がいう。
思(う)み雌成(ない)御精(うすぃじ)⓪: (名) 思(う)み雌成(ない)・雌成(ぅ
うない)[姉妹]の霊。雌成(ぅうない)[をなり]の霊は旅に出ている男の守護神と
なる。雌成神(ぅうないがみ)の項参照。 @御船(うに)ぬ高艫(たかとぅむ)に
白鳥(しらとぅや)が居居(いちょ)ん、白鳥(しらとぅや)や有(あ)らん、思(う
み雌成(ない)御精(うすぃじ)。[御船の高ともに 白鳥が居ちよん 白鳥やあらぬ
思をなり御すじ]お船の高いともにしらとりがとまっている。しらとりではない。あ
れはわたしを守る「をなり」の霊だ。
思(う)み雌(ない)手拭(てぃさじ)⓪: (名) 雌神(ぅうないがみ)、の項参照。
思(う)み雌成部(ないび)⓪: (名) 王の娘に対する敬称。王女様。部(び)、は複
数または敬意の接尾辞。
思(う)み流(なが)⁼しゅん⓪: (他 ⁼さん、⁼ち) 思い流す。思いあきらめる。つ
とめて忘れるようにする。
海端(うみばた)@: (名) 海ばた。海辺。海岸。
思(う)み嵌(はま)⁼ゆん⓪: (自 ⁼らん、⁼てぃ) はげむ。熱心に努力する。
海松(うみまあつぃ)⓪: (名) 海松(うみまつ)。黒さんご。 ※海松(うみまつ)
は、ウミカラマツのことらしい。
思(う)み孫(まが)⓪: (名) お孫さん。御令孫。
海猫(うみまやあ)⓪: (名) 海綿。
思(う)み寄(ゆ)い⓪: (名) 思いつくこと。思いおよぶこと。心にかけること。
気がつくこと。 @思(う)み寄(ゆ)いぬ良(ゆ)たしゃん。/よく気がつく。
思(う)み寄(ゆ)い返寄(けえゆ)い⓪: (名) 気がつくこと。あれこれ思いつく
こと。 @思(う)み寄(ゆ)い返寄(けえゆ)いぬ有(あ)ん。/よく気がつく。
思(う)み寄(ゆ)⁼ゆん⓪: (他 ⁼らん、⁼てぃ) 思いおよぶ。気がつく。 @思(う)
み寄(ゆ)てぃ来(っち)呉(くぃ)てぃ果報為(かふうし)。/思い出して来てくれ
てありがとう。
思(う)み童(わらび)⓪: (名) 子供さん。お子さん。童(わらび)[子供]の敬語。
また、かわいい子供。 @思(う)み童(わらび)賺(すぃか)ち今(なま)どぅ思
(う)み知(し)ゆる、昔(んかし)吾守(わんむ)たる人(ふぃとぅ)ぬ情(なさ
き)。[思童すかち 今ど思ひ知ゆる 昔我身守たる 人の情]かわいい子供のもりを
してはじめて知った、むかしわたしのもりをした人の情を。
思(う)みん子(ぐぁ)⓪: (名) お子さん。他人の子の敬称。 *おもろさうし・
538に、おもいぐわ、とある。
思(う)み無蔵(んぞ)⓪: (名)[文] [思無蔵]恋人(女)を親しんでいう語。
思(う)みん掛(ちゃ)きらん@: (連体) 思いがけぬ。意外な。 @思(う)みん
掛(ちゃ)きらん事(くとぅ)。/思いがけぬこと。
海(うみ)ん人(ちゅ)う⓪: (名) 漁師。漁夫。海の人の意。魚捕(いゆとぅ)や
あ、ともいう。
思(う)み御孫子(んまぐぁあ)⓪: たつのおとしご。
思(う)みん⓪寄(ゆ)らん@: (句) 思いもよらない。意外な。 @思(う)みん
寄(ゆ)らん事(くとぅ)。/思いもよらないこと。
思(うむ)い⓪: (名) @思い。考え。所存。願望。 ➁思慮。恋愛。 Bおもろ。
各地方の、宣(ぬう)る[のろ、巫女]によって伝えられ、歌われている「おもろ」[う
むる]をいう。
思(うむ)い当(あ)た⁼ゆん⓪: (他 ⁼らん、⁼てぃ) 思い当たる。 @思(うむ)
い当(あ)たる事(くとぅ)ぬ有(あ)ん。/思い当たったことがある。
思(うむ)い旅歌(ぐぇえな)⓪: (名) 旅歌(くぇえな)、と同じ。
思(うむ)い返(けえ)⁼しゅん⓪: (他 ⁼さん、⁼ち) 思い返す。思い直す。
思(うむ)い残(ぬく)⁼しゅん⓪: (他 ⁼さん、⁼ち) 思い残す。みれんに思う。
思(うむ)い羽(ば)⓪: (名)[文] [思羽]おしどりの二つの翼。恋の象徴とされ
る。 @天井戸(あまかわ)ぬ水(みずぃ)に遊(あすぃ)ぶ鴛鴦(うしどぅい)ぬ
思(うむ)い羽(ば)ぬ契(ちじ)り余所(ゆす)や知(し)らん。[天川の水に あ
そぶおしどりの 思羽のちぎり よそや知らぬ]天川(架空の井戸の名)の水に遊ぶ
おしどりの二つの翼のようなわたしたちのちぎりを人は知らない。
面影(うむかじ)⓪: (名) おもかげ。心に浮かぶ姿。 @面影(うむかじ)ぬ立(た)
ちゅん。/心に姿が浮かぶ。 @宵(ゆい)ん明月(あかつぃち)ん馴(な)りし面
影(うむかじ)ぬ立(た)たん日(ふぃ)や無(ね)さみ塩屋(しゅや)ぬ煙(ちむ
り)。[宵も暁も 馴れし俤の 立たぬ日や無いさめ 塩屋の煙(花売之縁)]宵もあか
つきも親しい夫のおもかげが、塩たく家の煙のように立たない日はない。 ※「花売
之縁」は、高宮城親雲上(たかみやぐすくぺえちん)作の組踊。 *おもろさうし・
396に、おもかけ、とある。
思事(うむくとぅ)⓪: (名) 思うこと。ふだん思っていること。 @思事(うむく
とぅ)どぅ寝言(にぐとぅ)。/思っていることが寝言に出る。 @何思事(ぬううむ
くとぅ)ん無(ねえ)らん。/何の思うこともない。
御向(うむ)こお⓪: (名) 寺の中央。本堂。本尊のある正面。向(む)こお、は正
面。
面白(うむしる)さん⓪: (形) 面白い。楽しい。愉快である。興味がある。やや文
語的な語。 @どぅっとぅ面白(うむしり)い事(くとぅ)。/非常に面白いこと。 @
酒飲(さきぬ)でぃ面白(うむしる)さ為(しゅ)ん。/酒を飲んで楽しむ。
御結(うむす)び⓪: (名)[文] つれあい。配偶者。御願(うぐぁん)[祈願]の文
句で使う語。
主立(うむだ)⁼ちゅん@: (自 ⁼たん、⁼っち) おもだつ。 @主立居(うむだっち
ょお)る人(っちゅ)。/おもだった人。
御睦(うむつぃ)り御香(うこお)⓪: (名) 束にした線香。一束となっている線香。
御願(うぐぁん)[祈願]と時使う。解(ふとぅ)ち御香(うこお)[一本一本ばらば
らにした線香]に対する。うむつぃり<睦(むつぃ)りゆん。
面白(うむっ)さん⓪: (形) 面白い。あまり上品でない語。普通は、良出来(ぅう
ぃいりき)さん、という。
表(うむてぃ)⓪: (名) 表。裏(うら)の対。家の表は、前(めえ)、外(ふか)、
などという。 @表十五人(うむてぃじゅうぐにん)[表十五人]、十五人衆(じゅう
ぐにんしゅう)の項を見よ。
表替(うむてぃげえ)い⓪: (名) (畳)の表がえ。
表向(うむてぃむ)ち⓪: (名) 表向き。表立つこと。公然となること。 @表向(う
むてぃむ)ち成(な)ゆん。/公然となる。 @表向(うむてぃむ)ちぇえ何(ぬう)
ん知(し)らんたる事(くとぅ)にっ為(し)。/表向きは何も知らなかったことにし
ろ。
万年青(うむとぅ)@: (名) 植物名。おもと。
大本嶽(うむとぅだき)@: (名) 於茂登岳。八重山群島石垣島にある山の名。 *
おもろさうし・558に、おもとたけ、とある。
御物城(うむぬぐすぃく)⓪: (名) [御物城]中国貿易のための倉庫。那覇港の入
口にあった。
御物奉行(うむぬぶじょお)⓪: (名)[御物奉行]物奉行(むぬぶじょお)[その項参
照]の敬称。
趣(うむむち)⓪: (名) @用向き。用。目的。 @何(ぬう)がな趣(うむむち)
ぬ有(あ)てぃ来居(ちょお)んどお。/何か用があって来たんだよ。 @彼(あ)
りが物言(むぬい)い様(よお)や何(ぬう)がな趣(うむむち)ぬ有(あ)っさあ
やあ。/彼のしゃべり方は何か目的があるなあ。 ➁[新?]趣。趣向。
面持(うむむ)ち⓪: (名) 面もち。顔つき。
思(うむ)やあ⓪: (名) 思う相手。恋人。
思(うむ)⁼ゆん⓪: (他 ⁼らん、うまあん、ともいう、⁼てぃ) 思う。考える。また、
案ずる。また、恋する。 @思(うむ)ゆる儘(まま)。/思うまま。思う通り。 @
思(うまあ)らんさあ。/考えられないことだなあ。とんでもない。心ないことをす
る者をとがめる時などにいう。 @思(うむ)い思(うむ)とおてぃ。/思いに思っ
て。よくよく思いつめて。また、深く恋して。思(うむ)い思(うむ)てぃ、ともい
う。 @彼(あ)りが彼(あ)が遠(とお)から此処(くま)んかい来(ちゃ)せえ
思(うむ)い思(うむ)とおてぃぬ事(くとぅ)どぅやる。/彼があんな遠くからこ
こに来たのは、よくよく思いつめてのことだ。
御模様(うむよお)@: (副) おぼろげ。ぼんやり。ほのか。かすか。 @暗(くら)
さあ有(あ)すぃが人(っちゅ)ぬ立居(たっちょお)すぃ御模様(うむよお)や分
(わ)かゆん。/暗くはあるが、人の立っているのがおぼろげにわかる。 @此(く)
ぬ碑文(ふぃむの)お何(ぬう)んでぃち書(か)かっと居(お)が御模様(うむよ
お)やてぃん分(わ)からに。/この碑文は何と書いてあるかおぼろげにでもわから
ないか。 ※この語は名詞だと思う。
思(うむ)る⓪: (名)[文] [おもろ]おもろ。沖縄に古くから伝わる伝誦詩。日本
の祝詞あたるような歌謡で、そのほとんどが叙事詩である。思(うむ)る、とは、首
里王府に集められ、思(うむ)る御冊紙(うそおし)[おもろ御さうし]に収められた
おもろをいい、地方の、宣(ぬう)る[のろ、巫女]に伝わるおもろは、思(うむ)
い、という。おもろ、は日本式発音。
思(うむ)る御冊子(うそおし)⓪: (名)[古] [おもろ御さうし]沖縄最古の歌集。
各地に伝わるおもろを集大成したもので、日本の万葉集に匹敵する。二十二巻からな
り、尚清王即位5年[西暦1532年]に第一巻、その80年後、島津の琉球入りの
5年後、尚寧王即位25年[西暦1613年]に第二巻、尚豊王即位3年[西暦16
23年]に第3巻から第22巻までができた。わずかに漢字を含むひらがな文の韻文
で書かれている。
思(うむ)る主取(ぬしどぅ)い⓪: (名)[古] [おもろ主取]おもろをつかさどる
役の男子。思(うむ)る御冊紙(うそおし)[おもろ御さうし]を保管し、王の式典の
時、おもろを歌った。
御前(うめえ)⓪: (名)[古] [御前]御前(ごぜん)。御前様。殿様。御殿(うど
ぅん)の主人公に対する敬称。昔、按司(あじ)と称した者が、首里に居宅(うどぅ
ん)、をかまえて住むようになってからは、御前(うめえ)、といわれるようになった。
御前小(うめえぐぁあ)⓪: (名) 若殿様。若様。御前(うめえ)、の長男に対する敬
称。御前(うめえ)、が按司(あじ)、といわれた時代には、若按司(わかあじ)、とい
われた。
御箸(うめえし)⓪: (名) お箸。箸(めえし)、の丁寧語。首里の上品な家では、普
通、御箸(うめえし)、といった。
御箸箱(うめえしばく)⓪: (名) お箸箱。
御前ぬ前(うめえ)ぬ(めえ)⓪: (名) お殿様。御前様。御前(うめえ)、の敬称。
御面尊(うめんとぅう)⓪: (名) 紙びな。紙で作り、紙の着物を着せた女ひなにん
ぎょう。男びなは、然尊前(さあとぅうめえ)、という。四日(ゆっか)ぬ日(ふぃい)
[旧暦5月4日]をにぎわす玩具のひとつ。
御面尊箱(うめんとぅうばく)⓪: (名) 御面尊(うめんとぅう)、を入れる箱。にん
ぎょう箱。木箱を色紙で美しく飾ったもの。
親(うや)⓪: (名) 親。 @二人(たい)ぬ親(うや)。/ふた親。両親。 @親(う
や)からぬ譲(ゆずぃ)り。/親からゆずり受けたもの。財産・性質・病気など、親
ゆずりのもの。
御宿(うやあどぅ)い⓪: (名) 貴族の別荘。
親母(うやあんまあ)⓪: (名) 在番(ぜえばん)[その項参照]が任地でもつ妾。も
とは、子供ができた場合にそう呼ばれた。親母(うやあんまあ)、の家は免税、子はそ
の土地の士族になるなどの特権があった。
親思(うやうむ)やあ⓪: (名) 親思い。孝行者。
親掛(うやが)かい⓪: (名) 親がかり。親の庇護のもとにあること。
親愛(うやがな)し⓪: (名)[文] 親御。親の敬語。 @吾親愛(やうやがな)し。
/わたしの親御。
親愛(うやがな)しい⓪: (名) 親御様。他人の親の敬称。
親代(うやが)わい⓪: (名) 親がわり。親のかわりになって世話すること。
押上(うや)ぎ@: (名) 援助。補助。金銭・物資などを援助すること。
押上(うや)ぎ⁼ゆん@: (他 ⁼らん、⁼てぃ) @ささえる。押し上げる。 @子(っ
くぁ)押上(うや)ぎゆん。/背負った子を上に押し上げる。 ➁援助する。物質的
に助ける。 @親(うや)ぬ家(やあ)押上(うやぎ)ゆん。/親の家を援助する。
親子(うやく)⓪: (名)[文] 親子。口語では、親子(うやっくぁ)、という。
御役(うやく)⓪: (名) お役。役(やく)[官職]の敬語。
御萌(うや)し⓪: (名) もやし。おとなの使う語。普通、豆菜(まあみな)、を多く
用いる。
親辛(うやつぃら)さ⓪子辛(っくぁつぃら)さ@: (句) 親もつらく、子もつらい
こと。親子別離の場合などにいう。
親子(うやっくぁ)⓪: (名) 親子。親と子。
親子諸子(うやっくぁむるっくぁ)⓪: (名) 親子全部。親子もろとも。
親(うや)ぬ為(たみ)⓪: (名) 親のため。 @親(うや)ぬ為(たみ)国(くに)
ぬ為(たみ)。/親のため国のため。
親(うや)ぬ家(やあ)⓪: (名) 親の家。また、とついだ女の里。里は、生(な)
し目(みい)、ともいう。
親端筋(うやふぁあふじ)⓪: (名) 父祖。祖先。端筋(ふぁあふじ)、は祖父母。
親不孝(うやふこお)⓪: (名) 親不孝。
親筋(うやふじ)@: (名) 父祖。祖先。
親煩悩(うやぶんのお)⓪子畜生(っくぁちくしょお)@: (句) 親は子ぼんのうで、
子は親に対して畜生のよう。親の心子知らず。
大山(うやま)⓪: (名) 大山。 ※「おおやま」、宜野湾市の地名。
親勝(うやまさ)い⓪: (名) 親まさり。親より傑出すること。
親勝(うやまさ)いん子(ぐぁ)⓪: (名) 親まさりの子。
親惑(うやまでぃ)い⓪: (名) 親を失うこと。 @親惑(うやまでぃ)い為(しゅ)
ん。/みなし子になる。
敬(うやま)⁼ゆん@: (他 ⁼あん、⁼らん、⁼てぃ) 敬う。あがめる。
親元(うやむとぅ)⓪: (名) 親もと。
親悖(うやむどぅ)い事(ぐとぅ)⓪: (名) 親にそむくこと。親不孝なこと。 @
其(う)ぬ肝(ちも)お有(あ)らんたすぃが、親悖(うやむどぅ)い事(ぐとぅ)
成(な)てぃ。/そのつもりはなかったが、親にそむくことになった。 ※悖(もと)
るは、日本書紀にも見える古い共通語である。
親悖(うやむどぅ)いん子(ぐぁ)⓪: (名) 親にそむく子。親不幸者。
敬(うやめ)え言葉(くとぅば)@: 敬語。
御遣(うや)ん候(せえ)ん⓪: (連詞・不規則) 遣(や)ん(だ・である)の敬語。
御有(ぅわあ)ん候(せえ)ん、と同じ。でいらっしゃる。でおありになる。 @彼
処(あま)あ何処(まあ)御遣(うや)ん候(せえ)侍(びい)が。/あのかたはど
なたでいらっしゃいますか。
親母(うやんまあ)⓪: (名) 親母(うやあんまあ)、と同じ。
御祝(うゆうぇ)え⓪: (名) 御祝(ういうぇ)え、と同じ。
及(うゆ)⁼ぶん@: (他 ⁼ばん、⁼でぃ) およぶ。到達する。否定の形で多く用いる。
@言(ぃゆ)うにん及(うゆ)ばん。/言うにおよばない。
織(う)⁼ゆん@: (他 ⁼らん、⁼てぃ) 織る。 @布織(ぬぬう)ゆん。/布を織る。
売(う)⁼ゆん@: (他 ⁼らん、⁼てぃ) 売る。
裏(うら)⓪: (名) @裏。表(うむてぃ)、の対。 @裏打(うらう)ちゅん。/イ・
裏打ちする。ロ・炊いた飯を裏返してほぐす。 ➁反対。逆。 @裏(うら)どぅ言
(い)ちょおる。/反対のことを言っている。 B便所。また、大便。上品な語。 @
裏立(うらた)ちゅん。/大便に行く。便所に立つ。 @裏(うら)ぬ柔(やふぁ)
らさん。/便が柔らかい。
宇良(うら)⓪: (名) 宇良。 ※「うら」、国頭郡国頭村の地名。辺土名のとなりで
ある。
潤(うらあ)き⁼ゆん⓪: (他 ⁼らん、⁼てぃ) 水につける。水にひたす。食器・洗濯
ものなどを洗う前に水につけることをいう。 @肝(ちむ)潤(うらあ)きゆん。/
心を洗い清める。 @喉(ぬうでぃい)潤(うらあ)きゆん。/のどをうるおす。 @
喉(ぬうでぃい)潤(うらあ)きゆる多(うっ)さあ無(ねえ)らん。/のどをうる
おすほどの量はない。
裏打(うらう)ち⓪: (名) 裏打ち。表具などの裏打ち。 ※裏打ちは、掛け軸など
にする場合、裏に紙・布などを張って本紙を丈夫にすること。
裏表(うらうむてぃ)⓪: (名) @裏表。裏と表の両方。 @裏表(うらうむてぃ)
なかい字書(じいか)ちゅん。/裏表両面に字を書く。 ➁裏表が逆になること。裏
返し。 @裏表(うらうむてぃ)成居(なとお)ん。/裏表になっている。 ※着物
を裏表に着ることを、返(けえ)し回(ま)あ、という。
裏返(うらげえ)⁼しゅん⓪: (他 ⁼さん、⁼ち) 裏返す。
裏返(うらげえ)⁼ゆん⓪: (自 ⁼らん、⁼てぃ) 裏返る。
裏歯痒(うらごお)さ⓪: (名) ねたましく思うこと。ねたみ。そねみ。やくこと。
男女間の場合には岡焼きの意でいう。男女間のしっとは、悋気(りんち)、という。 @
彼(あ)りが出来(でぃきい)くとぅ裏歯痒(うらごお)さ為(しゅ)ん。/彼がで
きるので、ねたむ。
裏座(うらざ)⓪: (名) 裏座敷。女部屋。婦人の居間。遊郭では、女郎が客をとる
部屋。 @裏座(うらざ)あ空居(あちょお)み。空居侍(あちょおいびい)さ、入
見候侍(いみせえびれ)え。/部屋はあいているか。あいています。おはいり下さい
ませ。(女郎を買う時の、客と女郎の問答のしかた。)
浦崎(うらさち)⓪: (名) 浦崎。 ※「うらさき」、国頭郡本部町の地名。
裏地(うらじ)⓪: (名) (衣服の)裏地。
心辛(うらつぃら)さ⓪: (名) うら悲しいこと。心中が悲しいこと。文語的な語。
@朝間夕間(あさまゆま)通(かゆ)てぃ見(み)る自由(じゆ)ぬ成(な)りば、
見欲(みぶ)しゃ心辛(うらつぃら)さ何故(ぬゆ)でぃ為候(しゃび)が。[朝ま夕
ま通て 見る自由のなれば 見欲しやうらつらさ のよでしやべが]朝夕通って会う
自由があるのなら、何で会いたがったり悲しがったりしましょうか。 @心辛(うら
つぃら)さ為(しゅ)ん。/うら悲しく思う。 *おもろさうし・571に、うらき
らしや、とある。
裏抜(うらぬ)ち物言(むに)い⓪: (名) 裏抜(うらぬ)ち物言(むぬい)い、と
同じ。
裏抜(うらぬ)ち物言(むぬい)い⓪: (名) 裏から言うこと。あてこすり。皮肉。
風刺。
恨(うら)⁼ぬん⓪: (他 ⁼まん、⁼でぃ) 恨む。 @恨(うら)まりゆん。/恨まれ
る。
占(うらね)え⓪: (名) 占い。易の吉凶の占い。
裏腹(うらはら)@: (名) 反対。あべこべ。さかさま。うらはら。 @裏腹(うら
はら)違(ちが)ゆん。/全然違う。正反対である。
恨(うら)み⓪: (名) 恨み。
御凉傘(うらんさん)⓪: (名)[古] [御凉傘]凉傘(らんさん)、の敬語。
阿蘭陀(うらんだ)⓪: (名) 西洋。「オランダ」をもって西洋全体をさす。
阿蘭陀(うらんだ)あ⓪: (名) 西洋人。
阿蘭陀(うらんだ)あ芋(んむ)⓪: (名) 甘藷の一種。実が黄色で美味。
阿蘭陀口(うらんだぐち)⓪: (名) 西洋語。西洋諸国のことば。
阿蘭陀(うらんだ)装(すが)い⓪: (名) (女の)洋装。男が洋服を着たのには言
わない。
阿蘭陀(うらんだ)手拭(てぃいさあじ)⓪: (名) 西洋手ぬぐい。タオル。
其(う)り@: @(名)それ、そのこと。その物。その者。彼。 @其(う)りやか此
(く)れえ増(ま)し。/それよりこれの方がよい。 ➁(感)ほら。それ。人に指
摘する場合、物を渡す場合、驚かす場合などにいう。目上には、男は、其(う)りさ
い、女は、其(う)りたい、目下などにさげすんでいう時には、其(う)りっさ、其
(う)りひゃあ、などと使いわける。
潤(うり)い⓪: (名) うるおい。雨が降って土地がうるおうこと。おしめり。 @
良(い)い潤(うり)い遣侍(やいびい)ん。/よいおしめりですね。
憂(うり)い⓪: (名) 憂い。憂い悲しむべきこと。不幸。
憂(うり)い事(ぐとぅ)⓪: (名) 不幸。不幸なできごと。
憂(うり)い祝儀(しゅうじ)⓪: (名) 不幸なこととお祝いごと。不祝儀と祝儀。
其(う)り其(う)り@: (感) ほらほら。それそれ。急いで人に指摘する時などに
いう。
其(う)り辺(かあ)⓪: (名) その辺。
其(う)りから⓪: (副・接続) それから。それ以後。
其(う)りくる⓪: (副) 彼(彼女)自身で。 @其(う)りくる来(ちい)どぅし
ゅる。/(彼は)自分で来るさ。
嬉(うり)しゃ⓪: (名)[文] 嬉(うっ)しゃ[うれしさ]の文語。
潤旬(うりじん)⓪: (名)[文] 旧暦2〜3月、麦の穂の出るころのこと。若潤旬(わ
かうりじん)、ともいう。那覇では、潤旬(うるじん)、という。 *おもろさうし・
981に、おれつむ、とある。
潤旬旅歌(うりじんぐぇえな)⓪: (名) 旅歌(くぇえな)、の一つ。布を織ることを
テーマとしたもの。はじめの文句は次の通り。 @潤旬(うりじん)ぬ初(はつぃ)
が苧(うう)、若夏(わかなつぃ)ぬ真肌苧(まはだうう)、真竹管(またきくだ)作
(ちゅく)てぃ〜。[おれづみのはつが苧 若夏の真肌苧 真竹くだ造て]潤旬(うり
じん)のころの初苧を、初夏の柔らかい苧を竹で管をつくり〜。
潤旬南風(うりじんべえ)⓪: (名) 2〜3月ころ吹く南風。
其(う)り丈(だき)@: (名) それほど。それだけ。
其(う)りっさ@: (感) 目下に対して、または怒って、指摘したり、物を渡したり
する場合にいう語。それ。
降(う)り⁼ゆん⓪: (自 ⁼らん、⁼てぃ) 降りる。 @舟(ふに)から降(う)りゆ
ん。/舟から降りる。 @天(てぃん)から降(う)りゆん。/天から降りる。
売(う)り⁼ゆん@: (自 ⁼らん、⁼てぃ) 売れる。
其(う)り様(よお)此(く)り様(よお)⓪: (名) あれこれと大騒ぎすること。
上を下への大騒ぎ。
空(うる)@: (名) 砂。細かな砂。また、砂利。砂(すぃな)、ともいう。 @空(う
る)担(かた)みいが行(い)ちゅん。/砂をかつぎに行く。 ※うるま市の、うる、
である。ま、は島、所、場所などを表す語。うるまは、細かい砂のある場所の意味。
私が漢字で書くと、空間市(うるまし)、となる。
閏年(うるうどぅし)@: (名) うるう年。
空覚(うるうび)い⓪: (名) うろ覚え。不確かな記憶。
愚(うる)か⓪: (名) 愚か。考えが足りないといったほどの軽い意の語。 @愚(う
る)かな者(むん)。/愚かな者。
愚(うる)か物言(むに)い⓪: (名) つまらぬ口のききかた。愚かなしゃべりかた。
小禄(うるく)⓪: (名) 小禄。 ※「おろく」、那覇市の地名。1954年までは、
島尻郡小禄村であった。
空(うる)さん⓪: (形) 不充分である。足りない。 @存分(じんぶん)ぬ空(う
る)さん。/知恵が足りない。 @責(すぃ)み縄(なあ)ぬ空(うる)さ更辺(な
ふぃん)込閉(くんし)みり。[責縄のうるさ にやへもこんせめれ(久志若按司)]
縄の縛り方がゆるい。もっと強く縛れ。 ※久志若按司(くしのわかあじ)は、実在
の人物を題材にした組踊。
漆(うるし)@: (名) 植物名。またそれからとる塗料の名。
漆塗(うるしぬ)い@: (名) 漆塗り。
漆負(うるしま)き@: (名) 漆負け。漆かぶれ。
降(う)る⁼しゅん⓪: (他 ⁼さん、⁼ち) @降ろす。 @荷降(にいう)るしゅん。
/荷を降ろす。 ➁おろす。堕胎する。 B(種を)まく。 @種降(さにう)るし
ゅん。/種をまく。 C細かく刻む。 @煙草(たばく)降(う)るしゅん。/たば
この葉を刻む。
閏月(うるづぃち)@: (名) うるう月。同月(ゆんづぃち)、ともいう。
空煮(うるに)い生煮(なまに)い⓪: (名) 半煮え。なま煮え。
ウルマア⓪: (名) ウルマアゼエ、と同じ。
ウルマアゼエ⓪: (名) くつわ虫。⁻ぜえ<⁻せえ(ばった、いなご)。
空目(うるみ)@: (名) @ころ。ころあい。 @其(う)ぬ空目(うるみ)。/その
ころ。 @花ぬ咲(さ)ちゅる空目(うるみ)。/花の咲くころ。 @既(なあ)来(ち
ゅう)る空目(うるみ)やすぃが。/もう来るころだが。 ➁(接尾)ころ。 @五
月空目(ぐんぐぁつぃうるみ)[五月ごろ]。 @夜通(ゆどぅう)し通(とぅう)て
ぃ鶏歌(とぅいうて)え空目(うるみ)に村(むら)ぬ見(みい)たん。/夜通し歩
き通して、鶏の鳴くころに村が見えた。など。
羨(うれえ)まさん⓪: (形) うらやましい。
空(うろ)おさん⓪: (形) @(糸などが)細い。 ➁(粒などが)細かい。 @水
嚢(すぃいのお)ぬ目(みい)ぬ空(うろ)おさん。/ふるいの目が細かい。
終(う)わい⓪: (名) 終わり。
終(う)わ⁼ゆん@: (自 ⁼らん、⁼てぃ) 終わる。打(う)ち成(な)ゆん[終わる、
済む]の方を多く用いる。 @焼香(しゅうこお)終(う)わたん。/三十三年忌の
法事が終わった。
恩(うん)⓪: (名) 恩(ぅうん)、と同じ。
運(うん)@: (名) 運。運気(うんち)、運数(うんすう)、ともいう。 @運(う
ん)ぬ悪(わっ)さん。/運が悪い。 @運(うん)ぬ入(い)ゆん。/運が開ける。
其如(うんぐとぅ)⓪: (副) そんなに。そのように。 @其如(うんぐとぅ)為(っ
し)ん、如何(ちゃあん)成(な)らん。/そんなにしても、どうにもならない。
其如(うんぐとお)る⓪: (連体) 其如(うぬぐとお)る、と同じ。
御迎(うんけ)え。⓪: (名) @お迎え。人をお迎えすること。 ➁御精霊御迎(う
しょおろおうんけ)え、の略。
恩返(うんげえ)し⓪: (名) 恩返し。恩返(ぅうんげえ)し、ともいう。
宇茂佐(うんさ)@: (名) 宇茂佐。 ※「うもさ」、名護市の地名。レストラン・ふ
りっぱー、がある。
御先払(うんさだ)い⓪: (名)[古] お先払い。貴人の行列の先頭にあって、通行人
を追い払う者。
御甘酒(うんしゃく)⓪: (名) 甘酒。昔は若い娘がかみ砕いたなま米から作った。
神に供える。
瓜種(うんじゃに)⓪: (名) @うりの種。おもにすいかの種をいう。うりざね。 ➁
辛塩(からしゅ)[幼魚の塩辛]の上等なもの。季節的に数日続いて幼魚の大群が海岸
へ押し寄せる。その最初の日に取れるものが最も小さく、上等の塩辛となる。それを
いう。
御人(うんじゅ)⓪: (名) [御胴] @あなた。目上および、親しくない同等に礼
をもって対する時の、二人称。さらに目上の貴人に対しては、御美人(ぬんじゅ)、御
美人(みゅんじゅ)、という。 ➁御自分。御自身。胴(どぅう)[自分]の敬語。 B
御自分の体。 @御口(みくち)三司官(さんしかん)、御胴(うんじゅ)蛭(びいる)。
/口は三司官のように達者だが、体はへなへな。
御人(うんじゅ)くる⓪: (副) あたな自身で。また、御自分で。御自身で。くる、
は英語の、-selfに似た接尾辞。
御人達(うんじゅなあ)⓪: (名) @あなたがた。⁻なあ、は複数の意の接尾辞。 ➁
お宅。あなたの家。 B御人(うんじゅ)[あなた]よりもやや丁寧な二人称。
弾(うんじゅ)み⓪@: (名) 弾(うず)み、と同じ。
御人持(うんじゅむ)ち⓪: (名) 身持(みむ)ち、の敬語。 @御人持(うんじゅ
む)ち大切(てえしち)に見候(みしょお)り。/お体を大切になさいませ。
御美味(うんしらあ)しゃん⓪: (形) おいしい。旨(まあ)さん、の上品な語。女
がいう。
運数(うんすう)@: (名)[運数]運命。運。数(すう)、運気(うんち)、ともいう。
@運数(うんすう)ぬ入居(いっちょお)ん。/運が向いている。 @運数(うんす
う)ぬ無(ねえ)らん。/運が無い。
御愛(うんた)しゃん⓪: (形) 愛される。慕われる。敬愛される。 @御真人(う
まんちゅ)に御愛(うんた)しゃさ為居(さっとお)ん。/万人に慕われている。 @
御愛(うんた)しい人(っちゅ)。/敬愛すべき立派な人。 @御愛(うんた)しゃ為
(しゅ)ん。/慕う。
運玉森(うんたまむい)⓪: (名) 運玉森。首里西方、東海岸寄りにある山の名。
御面(うんち)⓪: (名) お顔。顔(つぃら)の敬語。 @御面光光(うんちくぁん
くぁん)。/顔つきが立派で威厳のあるさま。顔が福福しているさま。 @御面光光(う
んちくぁんくぁん)とぅ、髭(ふぃじ)や唯(ただ)三筋(みすぃじ)。/顔つきは堂
堂としているが、ひげはたった三本。(ひげが少ないのを笑った歌の文句)
運気(うんち)@: (名) [運気]運。運勢。人に賦与された運。 @運気(うんち)
ぬ弱(よお)さん。/運勢が弱い。
運気貧気(うんちふぃんち)@: (名) 運気(うんち)を強めた語。運の悪い場合に
いう。
御紙(うんちゃび)⓪: (名) 御紙(んちゃび)[彼岸に焚いて祭る。銭型を打った紙。
また、その行事。彼岸祭り]の敬語。御紙銭。お彼岸。 @御紙(うんちゃび)押上
(うしゃ)ぎゆん。/御紙銭を供える。
蕹菜(うんちぇえ)⓪: (名) [雲菜] @野菜の名。ようさい。あさがおな。 ➁
水蕹菜(みずぃうんちぇえ)、と同じ。
御借(うんちぇえ)⓪: (名) 拝借。借りることの敬語。 @御借(うんちぇえ)為
侍(しゃび)ら。/お借りしましょう。
御借物(うんちぇえむん)⓪: (名) 拝借した物。お借りした物。 @御借物(うん
ちぇえむん)二拝大侍(にふぇえでえび)る。/お借りしたものをありがとうござい
ます。
御面傾(うんちたか)⓪: (名) 御傘。貴人の傘の敬語。女が多く使う。お顔をかば
うもの[御面(うんち)+傾(かた)か]の意か。
膿(う)んちゅ⓪: (名) うみ。はれ物から出る汁。
御気良(うんちゅう)⓪: (名) 御機嫌。御面(ぬんち)、御美面(みゅんち)、はさ
らに上の敬語。 @御気良(うんちゅう)拝(うが)ぬん。/御機嫌を伺う。 @父
母(あやあたありい)御気良(うんちゅう)拝(うが)でぃ呉(くぃり)よお。/お
とうさんやおかあさんによろしく言ってくれよ。
御気良拝(うんちゅううが)ん⓪: (名) 御機嫌伺い。<御気良(うんちゅう)+拝
(うが)ぬん。 @今日(ちゅう)や御気良拝(うんちゅううが)ん為(しい)が寄
(ゆ)すぃりとお遣侍(やびい)ん。/きょうは御機嫌伺いに参上いたしました。
御気良腹(うんちゅうぶ)⓪: (名) [御美腹]腹の敬語。おなか。貴人の腹をいう。
ふつうの敬語は、御気良腹(んちゅうぶ)。
御頂結(うんちょおび)⓪: (名) [御美髪]髪(からじ)の敬語。御紙。おぐし。
御美頂結(ぬんちょおび)、御美頂結(みゅんちょおび)、はさらにその上の敬語。
運賃(うんちん)@: (名)[新] 運賃。元来は単に、手間(てぃま)、または、人が
運搬する場合、担(かた)み手間(でぃま)[かつぎ賃]、舟の場合、積(つぃ)み手
間(でぃま)[積み賃]、馬の場合、負(うう)し手間(でぃま)[負わせ賃]、などと
いう。
御遣(うんつぃけ)え⓪: (名) 御招待。お招き。また、御案内。御同行。おつれす
ること。貴人に対しては、さらに上の敬語、御美遣(ぬんつぃけ)え、を用いる。 @
御遣(うんつぃけ)え為居(さっとお)ん。/御招待を受けている。 @御遣(うん
つぃけ)え為(っし)行(い)ちゅん。/お連れして行く。
運天(うんてぃん)⓪: (名) 運天。 ※「うんてん」、国頭郡今帰仁村の地名。 *
おもろさうし・1027に、うむてん、とある。
うんでえ⓪: (感) ほろ。見ろ。御覧。
御叱(うんでえ)⓪: (名)お叱り。目上が叱ることの敬語。 @御叱為(うんでえさ)
りゆん。/お叱りを受ける。叱られることは、普通、宣(ぬ)らありゆん、という。
うんでえかあ⓪: (副) これ見よがし(に)。子供などが物を見せびらかすさま。
恩納(うんな)⓪: (名) 恩納。 ※「おんな」、国頭郡恩納村の地名。 *おもろさ
うし・1177に、おんな、とある。
其(うん)な⓪: (連体) そんな。 @其(うん)な事(くとぅ)。/そんなこと。
其長(うんなげ)え⓪: (名) そんなに長い間。 @其長(うんなげ)え考(かんげ)
えてぃん分(わ)からに。/そんなに長い間考えてもわからないか。
恩納岳(うんなだき)⓪: 恩納岳。国頭にある山の名。
恩納節(うんなぶし)⓪: [恩納節]御前風(ぐじんふう)の一つ。
其折(うんにい)⓪: (名) そのおり。その時。 @其折(うんにい)ぬ事(くとぅ)。
/その時のこと。 @其折(うんにい)から。/その時から。その時以後。 @其折
(うんにい)に。/そのおりに。その時に。
御宣(うんにゅ)か⁼ゆん⓪: (他 ⁼らん、⁼てぃ) お聞きになる。聞(ち)ちゅん[聞
く]、の敬語。 @御宣(うんにゅ)か見候(みしょお)らん。/お聞き入れにならな
い。 @斯(かん)ゆる歌(うた)御宣(うんにゅ)かたる事(くとぅ)ぬ有(あ)
い侍(びい)み。んんんん、無(ねえ)らん。/こういう歌をお聞きになったことが
ありますか。いや、ない。
御宣(うんにゅ)き⁼ゆん⓪: (他 ⁼らん、⁼てぃ) 申し上げる。目上に言うことの敬
語。さらに上の敬語は、御美宣(みゅんにゅ)きゆん[奏上する、言上する]。 @御
宣(うんにゅ)き遣侍(やびい)ん。/申し上げます。
御宣(うんぬ)か⁼ゆん⓪: (他 ⁼らん、⁼てぃ) 御宣(うんにゅ)か⁼ゆん、と同じ。
御宣(うんぬ)き⁼ゆん⓪: (他 ⁼らん、⁼てぃ) 御宣(うんにゅ)き⁼ゆん、と同じ。
其様(うんねえ)る⓪: (連体) そのような。そんな。 @此間(くま)なかええ其
様(うんねえ)る事(くと)お無(ねえ)らに。如何(ちゃんねえ)る事(くとぅ)
が。/ここにはそのようなことは無いか。どんなことか。
御肌身(うんぱだん)⓪: (名) 御親類。御親戚。親戚(うぇえか)、の敬語。 @飛
出(とぅんじ)たる者(むぬ)や村原(むらばる)ぬ母(あやあ)とぅ御神一(んち
ゃんてぃい)つぃぬ近(ちちゃ)御肌身(うんぱだん)。[とんじたる者や 村原のあ
やと 御神一つの 近おんぱだん(大川敵討)]まかり出た者は村原夫人と祖神を同じ
くする近い親戚の者。 ※「大川敵討(おおかわてきうち)」は、久手堅親雲上(くで
けんぺえちん)作の組踊。
穏便(うんびん)@: (名) 穏便。文語的な語。 @穏便(うんびん)な仕方(しか
た)。/穏便なやりかた。 @荒立(あらだ)てぃらん如(ぐとぅ)穏便(うんびん)
に為(しゅ)ん。/荒立てないように穏便にやる。
尾振(うんぶ)い頭振(こおぶ)い⓪: (副) @首を前後左右に曲げるさま。こっく
り。居眠りなどのさま。 @尾振(うんぶ)い頭振(こおぶ)い為(しゅ)ん。/こ
っくりこっくりする。 ➁態度がはっきりしないさま。どっちつかず。 @尾振(う
んぶ)い頭振(こおぶ)い為居(しょお)ん。/どっちつかずである。
背負(うんぶ)やあ@: (名) 気取り屋。もったいをつけたがる者。
背負(うんぶ)⁼ゆん@: (自 ⁼らん、⁼てぃ) 気取る。もったいぶる。
背負坊主小(うんぼじゅぐぁあ)⓪: (名)[文] ぼっちゃん。子守り歌などで、下女
などが、坊主(ぼおじゅう)、をいう語。 @背負坊主小(うんぼじゅぐぁあ)よお。
/ぼっちゃまよ。ぼっちゃま。子守り歌のはじめの文句。このあとに即興的に色色の
文句を並べる。