?あ ?い 'い ?う 'う ?え 'え ?お 'お か き く け こ さ し す せ そ た ち つ て と な に ぬ ね の は ひ ふ へ ほ ま み む ?め め も ?や や ?ゆ ゆ ?よ よ ら り る れ ろ ?わ わ ?ゐ ゐ ?ゑ ゑ ?ん ん
’う
’う、の発音は英語のwoman,woodの[wu]のように発音される。この辞典では便宜上、「うぅ」と表記する。共通語の[wu]の発音は、かなり昔に消滅してしまったようであるが、琉球語ではいまだに残っている。わ、ゐ、う、ゑ、を、のワ行に、(wu)を表すひらがなが存在しないことから、(wu)の音が一番最初に消滅したことが推測できる。共通語にも古くは、wa,wi,wu,we,wo,の発音があったことは、本居宣長が「玉勝間」に書いており、宣長は実際の発音を長崎のオランダ人に聞いて確かめたとも書いている。共通語の、踊る、拝む、おかしい、女、雄、叔母、荻、居る、折る、治む、などは、古語辞典ではそれぞれ、をどる、をがむ、をかし、をんな、を、をば、をぎ、をり、をる、をさむ、と表記される。共通語の「を」は琉球語の「‘う(wu)」に対応するようである。
折(うぅ)い目(み)⓪: (名) 折(うぅ)ゆ目(み)、と同じ。
居(うぅ)い所(じゅ)@: (名) 居所。居場所。
苧(うぅう)⓪: (名) 芭蕉。糸芭蕉。実芭蕉は、生(な)い苧(うぅう)、という。
葉柄から繊維をとり、芭蕉布を織る。
緒(うぅう)@: (名) 緒。結ぶためなどに物にとりつけたひも。
雄(うぅう)⁻: (接頭) 雄。牡。雄鶏(うぅうどぅい)、など。
苧辺(うぅうあた)い⓪: (名) 芭蕉畑。
苧蛙(うぅうあたく)⓪: (名) 青がえる。芭蕉の葉などによくいるのでいう。
折(うぅう)い⓪: (名) @折。ころ。時期。 @如何(ちゃあ)る折(うぅう)い
に。/どんな時に。 ➁(接尾)折。ころ。時期。 @夕飯折(ゆうばんうぅう)い
[夕飯の時分、晩飯時]、立(た)ち折(うぅう)い[婚期、とつぐ時期]、など。
折(うぅうい)⓪: (名) 折。折箱。折づめ用の箱。
雄女(うぅううぃなぐ)@: (名) 男のような女。雄女の意でさげすんでいう語。
揺(うぅう)い分(わ)っくぁ⁼しゅん@: (他 ⁼さん、⁼ち) ゆり動かしてばらばら
にする。ゆすぶってこわす。
揺入(うぅうい)ん⁼ちゅん@: (他 ⁼かん、⁼ち) ゆり動かして入れる。ゆすぶって
入れる。 @腹(わた)揺入(うぅうい)んちゅん。/腹ごなしをする。食べ物を腹
にゆすぶり込む意。
雄牛(うぅううし)⓪@: (名) 雄牛。闘牛用として特に尊重される。
うぅううぅう⓪: (感) いいえ。目上に対して、否定または拒絶の意をあらわす語。
鼻音化しない。目下の年長に対しては、うぉおうぉお(鼻音化する)、目下一般に対し
ては、いぃいいぃい(鼻音化する)という。
うぅうぅふう⓪: (感) さあ。では。目上に対して誘いかける時発する語。鼻音化し
ない。でぃっかさい、ともいう。目下の年長に対しては、うぉおほお(鼻音化する)、
目下一般に対しては、いぃひい(鼻音化する)という。 @うぅうぅふう、行侍(い
ちゃび)ら。/さあ、まいりましょう。 *混効験集:乾巻・言語に、おほう、とあ
る。
雄豚(うぅう⁻ぅわあ)@: (名) 雄豚。種豚。
雄豚飼(うぅう⁻ぅわあか)らやあ⓪: (名) 豚の種付けを業をする者。雄豚を飼う者
の意。能無しの代表とされる。
苧笹(うぅうがあしゃ)⓪: (名) 芭蕉の葉。笹(かあしゃ)、は広い葉。苧(うぅう)
ぬ葉(ふぁあ)、ともいう。 ※ムーチーを包むサンニンの葉も、かあしゃ、というよ
うである。
雄瓦(うぅうがあら)⓪: (名) 雄がわら。本かわらぶきの丸がわら。竹筒を二つ割
りにした形のかわら。雌瓦(みいがあら)[雌がわら]と組み合わせて雄がわらの上に
うつぶせにふき、しっくいで固める。
桶(うぅうき)⓪: (名) @桶。 ➁(接尾)桶に一杯・二杯などと数える時にいう。
@一桶(ちゅうぅうき)、二桶(たうぅうき)、など。
桶小(うぅうきぐぁあ)⓪: (名) 小さい桶。
桶結(うぅうきゆう)やあ⓪: (名) 桶作り。桶を作ることを業とする者。
苧小笥(うぅうぐち)⓪: (名) おごけ(麻小笥)。おけ(麻笥)。まんばち。績(う)
んだ麻糸をためるおけ。薄い杉板を円形に曲げて作る。のちには女の身の回りの調度
品を入れる器に、さらにのちには食べ物を入れる器にも用いられるようになった。
筬(うぅうさ)⓪: (名) 機織りの器具の名。おさ(筬)を上下からはさんでそのわ
くとなるもの。おさかまち。おさの目の細かい部分のことは、解(ふどぅ)ち、とい
う。
荻(うぅうじ)⓪: (名) 甘蔗。砂糖きび。「をぎ(荻)」に対応する語か。砂糖荻(さ
あたあうぅうじ)[製糖用の砂糖きび]と菓子荻(くぁしうぅうじ)[霊前に供える菓
子となる砂糖きび]とがある。
荻殻(うぅうじがら)⓪: (名) 砂糖きびのから。砂糖きびのしぼりかす。
荻横目(うぅうじゆくみ)⓪: (名) 甘蔗栽培の監視官。
応(うぅう)じ⁼ゆん@: (自 ⁼らん、⁼てぃ) 応じる。 @身分(みぶん)に応(う
ぅう)じてぃ為(せ)え。/身分に応じてしろ。
扇(うぅう)⁼じゅん@: (他 ⁼がん、⁼じ) あなどる。軽んじる。 @人(っちゅ)
扇(うぅう)じゅん。/人をあなどる。 @扇(うぅう)がっ而居(とお)ん。/軽
んじられている。
濯(うぅう)⁼じゅん@: (他 ⁼がん、⁼じ) ゆすぐ。すすぐ。ゆり動かして洗う。
雄弦(うぅうづぃる)⓪: (名) 雄弦。三味線(さんしん)の一の糸。一番太く、一
番低い音を出すもの。中弦(なかづぃる)[二の糸]。雌弦(みいづぃる)[三の糸]に
対する。
雄鶏(うぅうどぅい)⓪@: (名) 雄鶏(おんどり)。
苧(うぅう)ぬ葉(ふぁあ)⓪: (名) 芭蕉の葉。弁当など食物を包むのに用いた。
少し火にあぶると柔らかく包みやすくなる。苧笹(うぅうがあしゃ)、ともいう。
苧張(うぅうばあ)ら⓪: (名) 芭蕉糸を績(う)んで入れる竹のかご。張(はあ)
ら、は竹で編んだかご。
小晴(うぅうば)り⁼ゆん@: (自 ⁼らん、⁼てぃ) 雨が小やみになる。少し晴れる意。
@小(うぅうば)りらあ行(い)けえ。/少しやんだら行け。
苧解(うぅうぶ)ちき⓪: (名) 芭蕉の糸くず。解(ふ)ちき、は繊維などのくず。
苧生(うぅうべ)え⓪: (名) 植物名。からむし(苧麻)。
雄物(うぅうむな)あ⓪: (名) 雄。動物の雄。雄物(うぅうむん)、ともいう。雌物
(みいむな)あ、の対。
雄物(うぅうむん)@: (名) 雄。動物の雄。雄物(うぅうむな)あ、ともいう。雌
物(みいむん)、の対。
折(うぅう)⁼ゆん⓪: (他 ⁼らん、⁼てぃ) 折る。 @木(きい)ぬ枝(ゆだ)折(う
ぅう)ゆん。/木の枝を折る。 @手(てぃい)折(うぅう)ゆん。/手をくじく。
揺(うぅう)⁼ゆん@: (他 ⁼らん、⁼てぃ) ゆする。ゆすぶる。ゆり動かす。
折(うぅう)り倒(とお)り⓪: (副) 平身低頭。ぺこぺこ。卑屈な態度で頼むさま。
折れ倒れの意。 @寄年(ゆちゃ)ぬ者(むん)ぬ折(うぅう)り倒(とお)り為(っ
し)、見度(みいとお)ん無(ねえ)らん。/年配の者が平身低頭して、みっともない。
折(うぅう)り⁼ゆん⓪: (自 ⁼らん、⁼てぃ) @折れる。 ➁我を折る。折れて出る。
斧(うぅうん)⓪: (名) おの。大きく、柄の長い両手で扱うものをいう。
雄縄(うぅうんな)⓪: (名) 雄綱。綱引きの時の一方の綱。雌縄(みいんな)[雌綱]
に対する。綱引(つぃなふぃ)ち、の項参照。
可笑(うぅか)しゃん⓪: (形) おかしい。こっけいである。 @可笑(うぅか)し
ゃどぅ多(うふ)さる。/こっけい至極だ。大笑いだ。
拝(うぅが)⁼ぬん⓪: (他 ⁼まん、⁼でぃ) @(神仏を)拝む。 ➁お会いする。お
目にかかる。会う[行会(いちゃ)ゆん]の敬語。 @日々(ふぃび)ぬ営(いとぅ
な)みに繋(つぃな)がりてぃ我身(わみ)ぬ拝(うぅが)み欲(ぶ)しゃ有(あ)
てぃん自由(じゆ)や成(な)らん。[日々の営みに つながれてわみの 拝みぼしや
あても 自由やならぬ]日々の営みにつながれてわたしは、お目にかかりたくても自
由になりません。 @今日(ちゅう)拝(うぅが)なびら。/こんにちは。目上に対
する屋外でのあいさつ。 B見る[(見(んん)じゅん)]の敬語。拝見する。 @拝
(うぅが)まち御給見候(うたびみしょお)り。/拝見させて下さいませ。 C「貴
人と〜する」という意の敬語。 @行合(うぃいちぇ)え拝(うぅが)ぬん。/お会
いする。拝顔する。 @御話(うはな)し拝(うぅが)ぬん。/(貴人と)お話をす
る。 @拝(うぅが)まっ而居(とお)ん。/おだて上げられている。また、甘く見
られている。皮肉にいったもの。
拝(うぅが)み⓪: (名) 祈願。願。御願(うぐぁん)、と同じ。 @年頭(にんとぅ
う)ぬ拝(うぅが)み。/年頭の祈願。一年中の無事息災を神社仏閣霊地などに祈願
して回ること。 @年中(にんじゅう)ぬ拝(うぅが)み。/年末の祈願。年末に一
年中のお礼を申し述べるために、神社仏閣霊地などを回ること。
飢涸(うぅが)り⓪: (名) 飢え。
飢涸(うぅが)り者(むん)⓪: 飢えた者。
飢涸(うぅが)り⁼ゆん⓪: (他 ⁼らん、⁼てぃ) @飢える。かつえる。 ➁(比喩的
に)飢える。 @銭(じん)飢涸(うぅが)りゆん。/金に飢える。 ※この語は、
自動詞であると思う。銭(じん)飢涸(うぅが)りゆん、は他動詞のようであるが、
銭(じん)が主語であると考えたほうがいいと思う。
拝(うぅが)ん事(ぐとぅ)⓪: (名) @見物(みいむん)、の敬語。また、見事(み
ぐとぅ)、の敬語。お見事な行事。ご立派な催し。貴人の催しものなどをいう。 ➁皮
肉に、嘲笑の対象にもいう。
拝(うぅが)ん所(じゅ)⓪: (名) [拝所]神を拝むところ。御岳(うたき)、御願
(うがん)、また、神を拝むために、屋敷の中にしつらえた場所など。
拝(うぅが)ん留(ちゅ)み⁼ゆん⓪: (他 ⁼らん、⁼てぃ) [文]承る。かしこまる。
承知する。 @拝(うぅが)ん留(ちゅ)み遣侍(やび)てぃ[拝留めやべて]。/か
しこまりました。 @んん、拝(うぅが)ん留(ちゅ)み而居(とお)さ。/ああ、
わかっているよ。口語で冗談にいう。
拝(うぅが)ん遠(どぅう)さん⓪: (形) 久しくお会いしない。御無沙汰をしてい
る。見(み)い遠(どぅう)さん、の敬語。 @拝(うぅが)ん遠(どぅう)さい侍
(びい)すぃが御歩(ぅわあ)ち見候侍(みせえび)てぃい。/久しくお目にかかり
ませんが、お元気でいらっしゃいましたか。
治(うぅさ)ま⁼ゆん⓪: (自 ⁼らん、⁼てぃ) 治まる。平静に復する。騒ぎや混乱が
静まる。やむ。 @火事(くぁじ)ぬ治(うぅさ)まゆん。/火事が治まる。 @争
合(おおえ)えぬ治(うぅさ)まゆん。/けんかが治まる。
治(うぅさ)み方(がた)⓪: (名) 治め方。統御。統制。 @治(うぅさ)み方(が
た)ぬ届(とぅどぅ)かん。/統御がゆき届かない。治(うぅさ)み方(がた)ぬ無
(ねえ)ん、ともいう。
治(うぅさ)み⁼ゆん⓪: (他 ⁼らん、⁼てぃ) 治める。統治する。また、騒ぎなどを
治める。また、子弟などをよくしつけ、服させる。 @彼(あ)ぬ家(やあ)や子(っ
くぁ)ぬ達(ちゃあ)良(ゆ)う治(うぅさ)み而居(とお)ん。/あの家は子供た
ちをよくしつけている。
従祖父母(うぅじふじ)⓪: (名) 従祖父母。
従祖母御前(うぅじふじんめえ)⓪: (名) 従祖母(おおおば)。士族についていう語。
従祖父頼前(うぅじふじたんめえ)⓪: (名) 従祖父(おおおじ)。士族についていう
語。
大宜味(うぅじみ)⓪: (名) 大宜味。 ※「おおぎみ」、国頭郡大宜味村の地名。う
ぅじみ、の発音が正しければ「小宜味」と書くべきかと思う。
叔父様方(うぅじゃさあ)⓪: (名) おじ(伯叔父)。関係をあらわす語で、呼びかけ
には言わない。 @叔父様方(うぅじゃさあ)成而居(なとお)ん。/おじに当たっ
ている。
小絶(うぅた)い@: (名) 疲れ。疲労。
小絶(うぅた)⁼ゆん@: (自 ⁼らん、⁼てぃ) くたびれる。疲れる。主として、仕事
のあとなどの一時的な肉体疲労をいう。過労で体が弱るような疲労は、草臥(くたん)
でぃゆん、精神的な疲労は、疲(つぃか)りゆん、という。
復(うぅ)ち@: (感) 子供に危険を知らせる時に発する語。落ちそうな場所に子供
が近づいた時などにいう。あぶない! ※私見であるが、この語は万葉集にも見える、
復(を)つ、と関係のある語のようである。元に戻るという意味である。ちなみに、
落ちるは、共通語の古語では、「落(お)つ」である。
復(うぅ)ち復(うぅ)ち@: (感) 復(うぅ)ち、と同じ。縁側などから落ちない
ように、復(うぅ)ち復(うぅ)ち、と言って落とすまねをして見せる。
彼方彼方(うぅちうぅち)⓪@: (副) 相手を見くびったさま。 @彼方彼方(うぅ
ちうぅち)為(しゅ)ん。/相手を見くびって勝手にふるまう。ないがしろにする。
※彼方(をち)は共通語の古語である。
遠日(うぅってぃい)⓪: (名) @おととい。一昨日。 ➁前々日。 @其(う)ぬ
遠日(うぅってぃい)。/その前々日。 ※おとといは、古語辞典では、をととひ、と
表記される。琉球語は、を、と「wu」がきわめて正確に対応しているようである。
居(うぅ)てぃ: (助) で。おもに動作の行われる場所を、ときにその時間を示す。
<居(うぅ)てぃ。<居(うぅ)ん。 汝(ぃやあ)や此処(くま)居(うぅ)てぃ
煙草(たばく)吹而居(ふちょお)りよお。/おまえはここでたばこを吸っていろよ。
@前兼(めえか)にてぃ居(うぅ)てぃ。/前もって。
夫(うぅとぅ)@: (名) 夫。 @夫(うぅとぅ)持(む)ちゅん。/夫を持つ。と
つぐ。上流の女についてはこういわない。また、男からは、刀自(とぅじ)持(む)
ちゅん[妻を持つ]とはいわず、刀自(とぅじ)尋(とぅ)めえゆん、または、刀自
(とぅじ)構(かめえ)ゆん、という。
踊(うぅどぅ)い@: (名) @踊り。舞踊。首里の正式の舞踊は、元来は男がするも
のであった。若衆踊(わかしゅううぅどぅ)い、女踊(うぃなぐうぅどぅ)い、二歳
踊(にいせえうぅどぅ)い、雜踊(ぞおうぅどぅ)い、などいろいろな舞踊がある。
➁芝居。組踊(くみうぅどぅ)い。
踊(うぅどぅ)い為(しゃ)あ⓪: (名) 俳優。役者。踊りをする者の意。芝居為(し
ばいし)い、ともいう。
踊(うぅどぅ)い着物(ぢん)@: (名) 踊りの時の着物。また、舞台衣装。
踊(うぅどぅ)い人数(にんず)@: (名) 踊りの一団。舞踊団。また、劇団。
踊(うぅどぅ)い跳(は)に@: (名) 踊ったりはねたりすること。踊る時やうれし
がる時のさま。欣喜雀躍。
踊(うぅどぅ)い奉行(ぶじょお)@: (名)[古] [踊奉行]組踊(くみうぅどぅ)
い、をつかさどる役。その項参照。
踊合(うぅどぅえ)え⓪: (名) 旅の祝いをする家[旅所(たびしゅ)]で、親戚の女
たちが集まってする踊り。手を打ち、旅歌(くぇえな)、などを歌いながら輪になって
回る。
男(うぅとぅく)⓪: (名) @[文]男。口語は、男(うぃきが)。 @男(うぅとぅ
く)生(ん)まりてぃん恋(くい)知(し)らぬ者(むぬ)や〜。[男生まれても 恋
知らぬ者や(執心鐘入)]男と生まれながら恋を知らない者は〜。 ➁男の中の男。 @
段強(だんぢゅ)が、汝(ぃやあ)男(うぅとぅく)やさ。/まったくおまえは男の
中の男だよ。
夫姑(うぅとぅしとぅ)@: (名) 夫と姑。 @夫姑(うぅとぅしとぅ)謙合(ふぃ
ら)ゆん。/夫やしゅうとめに仕える。
夫触合(うぅとぅびれ)え@: (名) 夫への接し方。夫への仕え方。
踊(うぅどぅ)⁼ゆん@: (他 ⁼らん、⁼てぃ) 踊る。舞踊をする。舞う。踊りの型に
よって踊る。即興的な踊りや、喜んで踊り上がる場合などは多く、舞(もお)ゆん、
という。 ※これは、他動詞ではなく自動詞であると思う。
居而居(うぅとお)てぃ: (助) で。において。にあって。 @影小(かあぎくぁあ)
や村(むら)居而居(うぅとお)てぃ評判者(ひょおばんむの)お吾(わん)やすぃ
が。/容貌は村で評判者はわたしであるが。
雌成(うぅな)い@: (名) [をなり]男の兄弟から見た姉妹。兄に対する妹。また
は、弟に対する姉。雄生(うぃき)い、に対する。宗教的には、男の兄弟に対する守
護神であり、また一家の中で、宗教的な任務をになう者である。上流家庭のそれは、
御雌成(うみな)い、という。また、王の娘は、御雌成(うみな)い部(び)、という。
*おもろさうし・1145に、おなり、とある。
雌成(うぅな)い雄生(うぃき)い⓪: (名) 雌成(うぅな)い、と、雄生(うぃき)
い。兄と妹。または、姉と弟。
雌成(うぅな)い雄生(うぃき)い@: (名) 兄弟姉妹。雄生(うぃき)い、と、雌
成(うぅな)い。
雌成(うぅな)い御口手(うくでぃ)@: (名) 女神をまつる、御口手(うくでぃ)[そ
の項参照]。一門中の女の神をつかさどる女の神官。
雌成(うぅな)い神(がみ)@: (名) 雄生(うぃき)い[姉または妹から見た、兄
または弟]に対する守護神としての、雌成(うぅな)い。雌成(うぅな)い、は雄生
(うぃき)い、の守護神としての霊力をそなえているとされた。雄生(うぃき)い、
が旅に出る時には、その、雌成(うぅな)い、の霊がその守護神となる。お守りとし
て手ぬぐいを持たせるのが普通で、それを、御雌成(うみな)い手拭(てぃさじ)、と
いう。 *おもろさうし・792に、おなりかみ、とある。
雌成(うぅな)い返(げえ)ち@: (名) 姉妹を交換すること。すなわち、ふたりの
男が互いに相手の姉または妹を妻とすること。
雌成(うぅな)い姑(しとぅ)@: 小じゅうと。すなわち、夫の、雌成(うぅな)い。
@雌成(うぅな)い姑(しと)お錠(さあし)ぬ子(っくぁ)。/小じゅうとは鍵のよ
うなもの。すなわち家庭を円満にするさしわたし役となる。
翁長(うぅなが)⓪: (名) 翁長。 ※「翁長」、豊見城市の地名。豊見城市役所があ
る。沖縄県知事として琉球語を積極的に話そうとする翁長雄志氏の姿勢は尊敬すべき
である。翁長氏は那覇言葉のようである。
女按司(うぅなじゃら)⓪: (名) [女按司]@[古]按司(あじ)の妻。 ➁王の
妻妾。 B奥様。上流の他人の妻に対する敬称。直接その本人に対しては言わない。
*混効験集:乾巻・人倫に、おなちやら、とある。
女按司(うぅなじゃら)御調(うしら)び⓪: (名) 王の妾選び。
叔母愛(うぅばちゃんし)い前(めえ)⓪: (名) おばさま。伯母様。叔母様。伯叔
母の敬語。貴族についていう。
叔母様愛(うぅばはんじゃんし)い前(めえ)⓪: (名) 大おばさま。従祖母の敬語。
貴族についていう。
叔母間(うぅばまあ)⓪: (名) おば(伯叔母)。関係を表す語で、呼びかけには言わ
ない。 @叔母間(うぅばまあ)成而居(なとお)ん。/おばに当たっている。
折(うぅ)ゆ目(み)⓪: (名) 神仏に関する四季折々の祝日。折(うぃ)い目(み)、
ともいう。4月の、畔祓(あぶしばれ)え、6月25日の新米の、御祭(うまつぃ)
い、8月10日[強飯(かしちい)を作る]、8月15日[(吹上(ふちゃ)ぎ、を作
る]、11月の冬至(とぅんじい)、大みそか、など。
恩(うぅん)⓪: (名) 恩。恩(うん)、ともいう。 @恩(うぅん)ぬ有(あ)る人
(っちゅ)。/恩のある人。恩人。
居(うぅ)ん@: (自・不規則) @いる。おる。(人間・動物などが)存在する。 @
昔(んかし)首里(しゅい)なかい居(うぅ)んんでぃ言(ゆ)る人(っちゅ)ぬ居
(うぅ)い侍(び)たん。/昔首里に〜という人がいました[こういう時にも、有(あ)
ん、は用いない]。 @此処(くま)なかい居而居(うぅとお)り。/ここにずっとい
ろ。 @居(うぅ)る多(うっ)さ。/いる者みんな。 ➁(〜して)いる。 @読
(ゆ)でぃ居(うぅ)ん。/読んでいるぞ。読而居(ゆどお)ん[読んでいる]をぶ
っきらぼうに言ったもの。 @読(ゆ)でえ居(うぅ)らん。/読んでいない。読而
居(ゆどお)ん、の否定の形。 @走(はし)るぬ開(あ)ちぇえ居(うぅ)らん。
/戸があいていない。
恩返(うぅんげえ)し⓪: (名) 恩返し。恩返(うんげえ)し、ともいう。
恩義(うぅんぢ)⓪: (名) 恩義。 @恩義(うぅんぢ)被(かん)じゅん。/恩義
をこうむる。 @恩義(うぅんぢ)忘(わすぃ)りりば闇(やみ)ぬ夜(ゆ)ぬ小道
(くみち)、我胴(わどぅ)どぅ損(すくな)ゆる歩(あゆ)み苦(ぐり)しゃ。[恩
義忘れれば 闇の夜の小路 我胴どそこなゆる 歩みぐれしや]恩義を忘れれば闇の
夜の小道と同じ、自分をそこなうばかりあゆみにくい。 @恩義(うぅんぢ)忘却(ぼ
おちゃく)情切(なさきち)り輩(やから)。[恩義忘却 情け切れやから(大川敵討]
恩義を忘却した情のなくなったやから。 ※大川敵討(おおかわてきうち)は、久手
堅親雲上(くでけんぺえちん)作の組踊である。
居(うぅ)ん人(ちゅ)う⓪: (名) @叔父。叔父さん。父母の弟。または、父母の
妹の夫。士族・平民についていう。伯父は、大父(うふたありい)、という。叔父が何
人かいる場合には、大叔父(うふうぅんちゅう)[自分と年の大きく違う叔父]、叔父
(うぅんちゅう)、叔父小(うぅんちゅうぐぁあ)[自分と年の近い叔父]などと呼び
分ける。 ➁おじさん。自分の父より年下の男をいう。
居(うぅ)ん人(ちゅ)う小(ぐぁあ)⓪: (名) 小さい叔父さん。自分と年の近い
叔父をいう。
居(うぅ)ん人(ちゅ)見(み)い⓪: (名) 下男。
荻堂(うぅんぢょお)⓪: (名) 荻堂。 ※「おぎどう」、中頭郡北中城村の地名。荻
堂貝塚がある。
女(うぅんな)@: (名)[文] 女。口語は、女子(うぃなぐ)、 @女(うぅんな)
生(ん)まりてぃん義理(ぢり)知(し)らん者(むぬ)や此(く)りどぅ世(ゆ)
ぬ中(なか)ぬ地獄(じぐく)でむぬ。[女生れても 義理知らぬものや これど世の
中の 地獄だいもの(執心鐘入)]女に生まれても義理を知らぬ者は、これこそ現世の
地獄である。 ※執心鐘入(しゅうしんかねいり)は、玉城朝薫作の組踊である。