表紙 前文

 

 ?あ ?い 'い ?う 'う ?え 'え ?お 'お                             ?め   ?や  ?ゆ  ?よ       ?わ  ?ゐ  ?ゑ  ?ん  

 

 国頭郡本部町に「辺名地」という地名がある。はたして何と読むか。会社の人たちにランダムに聞いてみると「へなち」と読む人がおよそ三分の二、「へなじ」が三分の一であった。「場所と人間によって読み方に違いがあるようだ。」という社長の意見が最も正しいと思われるが、もう少し考えを進めてみたい。「角川日本地名大辞典:47・沖縄県」には、「へなち」とあり、ネットの郵便番号検索では、「へなじ」とある。どちらが正しいかではなく、どちらも正しいのであろう。会社のK氏に聞いたところでは、看板に「へなち」と書いてあるらしい。しかしながら、方言では、必ず、「ひなじ(ふぃなじ)」であり、「ひなち(ふぃなち)」とは言わないようである。私は、京都市伏見区の堀詰町に8年ほど住んでいたが、看板に「ほりずめ」とあった。もし学校のテストで「缶詰」の読みに「かんずめ」と書いたら間違いなく「×」であり、「かんづめ」と書かなければならない。看板の住所表示はあまりあてにはならないようである。さて、兵庫県豊岡市の遠い親戚に「津波」という家がある。ふつうは、「つは」と読むべきであるが、驚いたことには「つなみ」である。本土の人達は何回言い直しても「つなみ」としか呼んでくれないので、結局「つなみ」と改名したらしい。(地震によって引き起こされる高波の「津波」は沖縄語辞典のアクセント表記では、「⓪」、人名の「津波」は、「@」でありアクセントは違う。)沖縄の名前は本土の人にはとても読みづらく、本土風な読み方に改名した例が結構あるようである。「真境名(まじきな)」が「真境名(まきな)」、「東風平(こちんだ)」が「東風平(こちひら)」などである。「比屋根(ひやね)」は、もともとは「比屋根(ひやごん)」であると思われる。「仲村渠(なかんだかり)」は本土の人達には難読であり、これをあっさりと「仲村(なかむら)」と改名した例もあるようだ。沖縄の人で「仲村」と名乗る人がいた場合、もともとは「仲村渠」であったという確率はかなり高いと思われる。以上のことから、「辺名地」を「へなち」と読むのは本土風に呼び直した例のように考えられる。沖縄の本土復帰の時のスローガン「なにごとも本土並み」というのは、地名・人名にも当てはまっているようである。

 

   ひ:ふぃ:び:ぴ  [ふぃ=ひ]

 

 沖縄語辞典で「hi(ひ)」で始まる語は4語のみであり(「ひゃ」は別)、いずれも感動詞と関係のある語である。なお、「な」のトップのエッセーを参照。

 

‐部(び): (接尾) [部]〜の階層の者。〜の階層の人たち。また敬称ともなる。様。 

@按司部(あじび)、親方部(ぅうぇえかたび)、思姉部(うみないび)など。

ヒイ⓪: (感) @(母音が鼻音化する。[※発音表記がむずかしい])目下に呼ばれて

応答する語。ああ。はい。え。 ➁(鼻音化しない)目下に呼ばれてぞんざいに応答

する語。ああ、何だ。

ヒイイイ@: (名) (鼻音化して発音されるのが普通。[※発音表記がむずかしい])

  イイヒイ、と同じ。イイヒイ、の方を多く用いる。

備後藺(びいぐいい)⓪: (名) 備後藺。勝連村・与那城村・具志川村などで栽培さ

れていた。備後筵(びいぐむしる)[備後表]を織る。青灯心(おおとぅうじん)、灯

心藺(とぅうじんいい)、ともいい、その髄は灯心にする。

備後畳(びいぐだたん)⓪: (名) 備後表の畳。備後藺(びいぐいい)、で作った畳。

備後筵(びいぐむしる)⓪: (名) 備後表。備後藺(びいぐいい)で織ったむしろ。

一般に琉球表と称しているものは七島藺で作るもので、それは、先(さち)藺(いい)、

という。

備瀬(びいすぃ)⓪: (名) 備瀬。 ※「びせ」、国頭郡本部町の地名。本部半島の突

  端である。フクギ並木が美しい。一般的な方言では「びし」であろう。

引合(びいちゃ)あ⓪: (名) ねずみの一種。普通のねずみより小さく、臭気がある。

これが鳴くと喧嘩口論が起こるという俗信があり、良(いぃ)い事(くとぅ)語(か

た)り[いいことを語れ]というまじないを唱える。

ビイビイ⓪: (名) 吹いて鳴らす類の玩具。また、雷の小児語。

ピイピイ⓪: (名) ねずみの小児語。

貧々(ぴいぴい)@: (名) (副) 貧乏なさま。 @貧々(ぴいぴい)為居(しょ

お)ん。/困窮している。ぴいぴいしている。

絣間(びいま)⓪: (名) かすり模様。射矢絣間(いやびいま)[矢がすり]、丸絣間

(まるびいま)[丸模様のかすり]など。

蛭子(びいら)あ⓪: (名) 弱虫。弱い者を罵倒していう語。<蛭子(びいる)。 *

  混効験集:坤巻・人倫に、びる、とあり、この項の漢字表記はその原注に従った。

蛭子(びいら)蚊子(くぁあら)⓪: (副) へなへな。ぐにゃぐにゃ。柔らかく力の

ないさま。 @蛭子(びいら)蚊子(くぁあら)為居(しょお)ん。/へなへなして

いる。

ピイラルラア⓪: (副) 管楽器[楽部喇(がくぶら)など]の音のさま。 @ピイラ

ルラア為居(しょお)ん。/管楽器の音がしている。

‐許(びかあ)ん: (助) ばかり。ばかし。 @砂糖(さあたあ)許(びかあ)ん舐

(な)みゆん。/砂糖ばかりなめる。許(びけえ)い、許(びけえ)ん、ともいう。

‐許(びけえ)い: (助) ばかり。‐許(びかあ)ん、‐許(びけえ)ん、ともいう。

また、文語では、‐許(びけ)い、となる。 @御菓子(うくぁあし)許(びけえ)

い喰(か)でぃ。/お菓子ばかり食べて。 @喰(か)でぃ許(びけえ)い居(うぅ)

いねえ腹(わた)病(やん)じゅんどお。/食べてばかりいると腹をこわすぞ。

‐許(びけえ)ん: (助) ‐許(びかあ)ん、‐許(びけえ)い、と同じ。 @童(わ

らび)許(びけえ)ん使(つぃか)ゆん。/子どもばかりを使う。

賓頭廬(びずる)⓪: (名) [賓頭廬]神を祭ったところにある円形の石。仏像の形

はしていない。賓頭廬(びんずる)、ともいう。御願(うぐぁん)[祈願]をしてそれ

が聞き入れられれば、軽く持ち上げられ、聞き入れられなければ重くなって持ち上げ

にくいという。その場合は、供物を丁重にしたり、物知りに教えを乞うたりして、軽

く持ち上げられるよう手を尽す。

平垂(びたた)い皮垂(かあた)い@: (副) しなびたさま。病人の皮膚などが弾力

がなく、しわがよったさま。 @平垂(びたた)い皮垂(かあた)い為居(しょお)

ん。/しなびている。

平垂(びたた)い衣(ぢん)@: (名) よれよれの着物。のりの付いていない着物。

平垂(びたた)い者(むん)@: (名) いくじなし。

平垂(びたた)⁼ゆん@: (自 ⁼らん、⁼てぃ) しなびる。生気が衰えてしぼむ。植物・

  人間などにいう。

直々(びたびた)@: (副) のりのついていない、柔らかい布の感触。 @絹(いい

ちゅ)直々(びたびた)甲斐絹(かいき)擦々(ほろほろ)。/絹はピタピタと柔らか

い肌ざわりで、甲斐絹はホロホロと表ずれの音をたてる。

平(びた)らあしゃん⓪: (形) めめしい。優柔不断である。いくじがない。

‐可(びち)い: (接尾) べき。文語的な接尾辞。 @書(か)ち可(び)ち事(く

とぅ)[書くべきこと]、入(い)り可(び)ちい有(や)ん[入れるべきである]な

ど。

‐引合(びちぇ)え: (接尾) 相当。〜に相当する・〜に匹敵する。〜に代わりうる

の意を表す。<引合(ふぃちゃ)ゆん。 @十人引合(じゅうにんびちぇ)え[十人

力]、夕版引合(ゆうばんびちぇ)え[夕版代わりとなるもの]など。

別(びつぃ)⓪: (名) 別。 @別(びつぃ)ぬ。/別の。外(ふか)ぬ、ともいう。

別段(びつぃだん)⓪: (名) 別段。格別。 @別段(びつぃだん)な事(くとぅ)。

/格別のこと。 @別段(びつぃだん)何(ぬう)ん有(あ)らん。/別段何でもな

い。

蔑為(びっす)う⓪: (名) (口をゆがめて)軽蔑の情を表すこと。また、羨望して、

やきもちをやくこと。岡焼き。いまいましそうにすること。 @蔑為(びっす)う為

(しゅ)ん。/いまいましそうにする。

蔑為(びっす)う口(ぐち)⓪: (名) 軽蔑して、またはいましましげに、ゆがめた

  口。

蔑為(びっせ)え@: (名) いたずら。ふざけること。 @蔑為(びっせ)え為(し

ゅ)ん。/※動詞化。

蔑為(びっせ)え揶揄(からけ)え@: (名) いたずらしたりからかったりすること。 

  @蔑為(びっせ)え揶揄(からけ)え為(しゅ)ん。/※動詞化。

許(びっちぇえ)ん⓪: (副) ちょっと。ちょっぴり。ほんの少し。許(びっちぇえ)

ん小(ぐぁあ)、ともいう。 @砂糖(さあたあ)許(びっちぇえ)ん。/砂糖ほんの

すこし。 @許(びっちぇえ)ん有(や)れえ有(あ)ん。/ほんの少しならばある。 

@許(びっちぇえ)ん退(どぃ)きてぃ呉(くぃ)れえ。/ちょっとどいてくれ。

許(びっちぇえ)ん小(ぐぁあ)@: (副) ほんのちょっと。ちょっぴり。ほんの少

し。 @許(びっちぇえ)ん小(ぐぁあ)どぅ有(あ)る。/ほんの少ししかない。 

@許(びっちぇえ)ん小(ぐぁあ)退(どぅ)きてぃ呉(くぃ)れえ。/ほんのちょ

っとどけてくれ。

別珍(びっちん)⓪: (名) [別珍]紙入れ。財布。 ※「別珍(べっちん)」は、英

  語「velveteen」から来た語らしい。

平体(びってえ)ん@: (副) げんなり。しょんぼり。力なくしおれるさま。 @腹

(わた)ぬ平体(びってえ)ん成而居(なとお)ん。/おなかがすいてぺしゃんこに

なっている。

弁財天(びでえてぃん)⓪: (名) 弁才天。七福神の一つ。

弁財天(びでえてぃん)籠(ぐむ)い⓪: (名) 弁才天を祭った池。弁天池。首里に

ある。 ※弁天池は日本各地に存在する。

便無(びな)さ果敢無(はがな)さ@: (名) 不便だったり不足したりすること。

便無(びな)さ悪(わっ)さ@: (名) 不行きとどき。不調法で行きとどかないこと。

便無(びな)さん@: (形) @ふつつかである。不調法である。普通のレベルに達せ

ず、用をなさないことをいう。 @何(ぬう)為(し)みてぃん便無(びな)さい侍

(びい)くとぅ。/何をさせてもふつつかですから。 ➁ひよわである。病弱である。

 @胴(どぅう)ぬ便無(びな)さん。/体がひよわである。 ※共通語の古語「便

(びん)なし」と関係のある語と思われる。

辺野喜(びぬち)⓪: (名) 辺野喜。 ※「べのき」、国頭郡国頭村の地名。

ヒヤ@: (感) 威勢をつける時に発する語。えい。それ。

火矢(ひゃあ)⓪: (名) [火矢・砲] @大砲。 ➁爆竹の一種。15センチ位の  

鉄筒に火薬をつめ、点火して大きな爆発音を出すもの。旧暦8月10日から15日ま

での間、悪魔を退散させるために打ち鳴らした。

杼上(ひゃあ)⓪: (名) 機織りの器具の名。綜絖(※そうこう)。緯糸を入れるため

に、経糸を上下させる器具。

輩(ひゃあ)⓪: (名・接尾・感・助)野郎。やつ。人をののしる時いう。 @彼(あ)

ぬ輩(ひゃあ)[あの野郎]、汝輩(ぃやあひゃあ)[きさま]、エエ輩(ひゃあ)[おい

こいつ、やい]、エエ輩(ひゃあ)何処(まあ)かいが[やい、どこに行きやがるか]、

何(ぬう)が輩(ひゃあ)[何だ、やい]など。

‐比屋(ひゃあ): (接尾)[文] [比屋]昔の、按司の家来の役名。「昔諸在郷の地頭

村頭抔の称呼なり〜今の山当(山林監視官)を昔は山ノヒヤーと呼べりとかや[南島

八重垣]」姓のあとへつけて、たとえば、村原(むらばる)ぬ比屋(ひゃあ)[組踊り

「大川敵討」の登場人物]のようにいう。‐比屋(ひゃあ)の上には、大比屋(うひ

ゃあ)[大親]という役名もあった。

干上雨(ひゃああみ)@: (名) 日照りの時の雨。旱天の慈雨。

干上(ひゃあ)い@: (名) 日照り。旱魃。

干上(ひゃあ)い雷(がんない)@: (名) @雨を伴わない雷。日照りなどの折の雷。

  音の大きいものの形容となる。 ➁転じて、かんしゃく。また、かんしゃく持ち。

干上(ひゃあ)い年(どぅし)@: (名) 旱魃の年。

車輪(ひゃあがあ)⓪: (名) 祭祀用の菓子の名。小麦粉を円形に薄くのばし、中を

からに焼き上げたもの。油餅(あんだむち)、といっしょに供える。食用にはあまりし

ない。

車輪(ひゃあがあ)⓪: (名) @車輪。 @車(くるま)ぬ車輪(ひゃあがあ)。/車

  の輪。 ➁転じて、車輪の形をしたもの。菓子名の、車輪(ひゃあがあ)、もその意か。

干上(ひゃあ)がい@: (名) 干上がったところ。水にぬれてない、乾いたところ。

干上(ひゃあ)が⁼ゆん@: (自 ⁼らん、⁼てぃ) @干上がる。水分が引いて乾き上が

る。 ➁雨が上がる。また、雨が上がって、日が現れる。 @干上(ひゃあ)がてぃ

から行(い)けえ。/雨が上がってから行け。

百(ひゃあく)⓪: (名) @百。百(ひゃく)、ともいう。 ➁2厘。銭(じん)、の

  項参照。

火矢小(ひゃあぐぁあ)⓪: (名) 爆竹。

百餅(ひゃあくむち)⓪: (名) 同年の人が死んだ時、2厘の菓子類を買って食った、

その菓子をいう。2厘は、百(ひゃあく)、というので、百年も生きるようにとのまじ

ないである。

比屋根(ひゃあぐん)⓪: (名) 比屋根。 ※「ひやごん」、沖縄市の地名。 *おも

  ろさうし・705に、ひやこん、とある。

比屋定(ひゃあじょお)⓪: (名) 比屋定。 ※「ひやじょう」、島尻郡久米島町の地

  名。比屋定バンタがあり、ここからの眺めは絶景である。

杼上竹(ひゃあだき)⓪: (名) 杼上(ひゃあ)[綜絖]と同じ。

狭間(ひゃあみい)⓪: (名) 狭間。城壁などにある、射撃用の穴やくぼみ。

毛虱(ひゃあん)⓪: (名) 毛じらみ。

百(ひゃく)⓪: (名) 百。百(ひゃあく)、ともいう。 *おもろさうし・650に、

  さんひやく、かめひやく、とある。(※さんは、ジュゴンのことである。)

百一(ひゃくいち)い⓪: (名) よくうそをつく人。百に一つの真しか言わない人の

意。

百姓(ひゃくしょお)⓪: (名) 平民。侍(さむれえ)[士族]に対する身分の名。農

民は、畑為(はるしゃ)あ。平民は農業をしなくても、百姓(ひゃくしょお)、であり

士族は農業をしても、百姓(ひゃくしょお)、とは言わない。

百歳(ひゃくせえ)⓪: (名) 百歳。 @百歳(ひゃくせえ)ぬ後(あとぅ)。/死後。 

*混効験集:坤巻・言語に、ひやくさ、とある。 *おもろさうし・253に、ひや

くさ、とある。

百田紙(ひゃくだし)⓪: (名) 百田紙(むむだかび)、と同じ。

百名(ひゃくな)⓪: (名) 百名。 ※「ひゃくな」、南城市玉城の地名。百名ビーチ

がある。 *おもろさうし・1227に、ひやくな、とある。

百日噦(ひゃくにちざっくぃ)い⓪: (名)[新] 百日咳。ざっくぃい、は、せき。

百年(ひゃくにん)⓪: (名) 百年。

百人(ひゃくにん)⓪: (名) 百人。

百二十歳(ひゃくはたち)⓪: (名)[文] 百二十歳。 @百二十歳(ひゃくはたち)

  成(な)ゆる長者(ちょおじゃ)ぬ大主(うふしゅう)。/農村の八月踊りに出る長者。 

百万貫(ひゃくまんぐぁん)⓪: (名) 銭百万貫。2万円にあたる。銭(じん)、の項

  参照。百万貫の金ができると、百万長者の祝いをした。

百箇日(ひゃっかにち)⓪: (名) 百か日。死後百日目(に営む法事)。

百貫(ひゃっくぁん)⓪: (名) 2円。銭(じん)、の項参照。

ヒヤ目化(みか)⁼しゅん@: (自 ⁼さん、⁼ち)ヒヤ(えい。それ)と言う。 @ヒヤ

  目化(みか)為(せ)え。/ヒヤと言って力を出せ。

ピヤピヤ@: (副) ぴよぴよ。ひよこの鳴き声。 @ピヤピヤ為(しゅ)ん。/ぴよ

ぴよと鳴く。

平安座(ひゃんざ)@: (名) 平安座島。沖縄本島の東側、浜比嘉島(はまふぃじゃ)

の北にある島。また、平安座。 ※「へんざ」、うるま市与那城の地名。 *おもろさ

うし・1148に、ひやむざ、とある。

平安山(ひゃんざん)⓪: (名) 平安山。 ※「へんざん」、中頭郡北谷町にあった地

  名。

平安名(ひゃんな)@: (名) 平安名。 ※「へんな」、うるま市勝連の地名。

‐俵(ふゅう): (接尾) 俵。‐俵(ぴゅう)、‐俵(びゅう)、ともなる。 @一俵(い

っぴゅう)、二俵(にひゅう)、三俵(さんびゅう)など。

廟(びゅう)@: (名) 王の祖先を祭ったところなど。また、那覇久米村には、孔子

  廟(くうしびゅう)、がある。

表具(ひゅうぐ)⓪: (名) 表具。表装。 @表具(ひゅうぐ)為(しゅ)ん。/表

装する。

鵯(ひゅうし)⓪: (名) ひよどり。 *混効験集:坤巻・気形に、ひよす、とある。 

  *おもろさうし・779に、ひよとり、とある。

泉門(ひゅうるち)@: (名) ひよめき。(乳児の脳天の、呼吸のたびに動く部分)。

また、脳天。頭のてっぺん。 @脈(なあく)ぬ泉門(ひゅうるち)んかい上(あ)

がゆん。/脈が脳天まで上がる。非常に驚いた場合をいう。

拍子(ひょおし)⓪: (名) 機会。はずみ。きっかけ。偶然(の機会)。 @良(いぃ)

い拍子(ひょおし)有(や)さ。/いい機会だ。良(いぃ)い拍子(ひょおし)、の反

対は、不拍子(ぶびょおし)[あいにく]。 @拍子(ひょおし)な物(むん)、まぐれ

あたりのもの。偶然なこと。 *混効験集:坤巻・言語に、ひやし、とある。 *お

もろさうし・1108に、ひやし、とある。

拍子(ひょおし)⓪: (名) 音楽の拍子。楽曲進行の時間の小区分(音楽家の術語)。

また、歌の節をたすけて調子をとること。

拍子木(ひょおしぢ)⓪: (名) 拍子木。夜回りが打ち鳴らす角材。

評定所(ひょおじょおじゅ)⓪: (名)[古] [評定所]政府。内閣。三司官(さんし

  くぁん)、と、十五人衆(じゅうぐにんしゅう)、のいるところ。 

瓢箪頭(ひょおたんつぃぶる)⓪: (名) ひょうたん。頭(つぃぶる)、の項参照。

病気(びょおち)⓪: (名) 病気。病(やんめ)え、よりも上品な語。

爆竹(ひょおちゃく)@: (名) 爆竹の一種。火薬を紙に包んだもの。爆発させて遊

ぶ。旧暦8月の、八日日(よおかびい)、にはこれを鳴らして悪魔を退散させる。被(が

ん)し縄小(なぐぁあ)爆竹(ひょおちゃく)、は、ねずみ花火のたぐい。

病人(びょおにん)⓪: (名) 病人。病(やんめ)え者(むん)、は、病弱な者、病気

  がちの者の意。

評判(ひょおばん)⓪: (名) 評判。 @評判(ひょおばん)為(しゅ)ん。/評判

する。 @評判(ひょおばん)どお。/評判だぞ。 @評判(ひょおばん)ぬ悪(わ

っ)さん。/評判が悪い。

評判者(ひょおばんむん)⓪: (名) 評判者。 @影小(かあぎぐぁあ)や村(むら)

居(う)とおてぃ評判者(ひょおばんむの)お吾(わん)有(や)すぃが〜。/器量

は村で評判者はわたしであるが〜。

屏風(びょおぶ)⓪: (名) 屏風。普通は、屏風(のおぶ)、という。しかし金屏風は、

  ちんびょおぶ。

兵糧(ひょおろお)⓪: (名) 兵糧。

薤(びら)⓪: (名) ねぎ(葱)。髄薤(ずぃいびら)、ともいう。

薤空巻(びらがらま)ち⓪: (名) 料理の名。ゆでたねぎで魚肉を巻き、味噌煮にし

  て酢味噌をかけたもの。

ピリンパラン⓪: (副) @ぺちゃくちゃ。おしゃべりするさま。 @ピリンパラン物

(むぬ)読(ゆ)ぬん。/ぺらぺらしゃべる。 ➁外国語(ことに西洋語)をしゃべ

るさま。ぺらぺら。 @阿蘭陀口(うらんだぐち)ピリンパラン為(しゅ)ん。/西

洋語をぺらぺらしゃべる。

海松(びる)⓪: (名) @みる(海松)。海草の名。 ※万葉集・892の貧窮問答歌

に、「布肩衣(ぬのかたぎぬ)の海松(みる)のごと」とある。昔は食用としたようで

ある。 ➁ぐにゃぐにゃして弱体の者。足腰の立たない者。 ※混効験集によれば、「蛭

子(びる)」が語源らしく、海松と➁とは関係ないかもしれない。

‐触合(びれ)え: (接尾) 付き合い。また、仕えること。<触合(ふぃれ)え。 @

同志触合(どぅしびれ)え[友だち付き合い]、隣(とぅな)い触合(びれ)え[隣と

の付き合い]、姑(しとぅ)触合(びれ)え[姑への仕え方]、夫(うぅとぅ)触合(び

れ)え[夫への仕え方]など。

枇杷(びわ)⓪: (名) びわ(枇杷)。 *混効験集:乾巻・飲食に、ひわ、とある。

便(びん)⓪: (名) 便。手紙。たより。 @便(びの)お有(あ)み。/たよりは

あるか。

紅(びん)⓪: (名) 紅。染料の紅。食紅。口紅など。また、紅色。

瓶(びん)⓪: (名) 瓶。

保栄茂(びん)⓪: (名) 保栄茂。 ※「びん」、豊見城市の地名。難読名であるが、

おもろさうしに、「ほゑむ」・「ほへむ」とあり、もともと漢字通りの読みであったも

のが変化したようである。言葉の発音の変化は意外に容易であるという一つの例であ

る。(地名・人名の場合は特にそのようである。)

平安(ぴんあん)⓪: (名) 唐手の型の名。

紅型(びんがた)@: (名) @染め物の柄の名。布の上に型紙を置き、その上から紅

の染料を塗って、花鳥山水などの模様を染めつけたもの。 ➁紅型綿衣(びんがたわ

たぢん)と同じ。

紅型綿衣(びんがたわたぢん)⓪: (名) 紅型の、棉衣(わたぢん)[冬の礼服]。首

里の上流婦人が着用したもの。

便木(びんぎ)⓪: (名) えのき(榎)。 ※「榎」は国字である。「えのき」は、昔

は単に「え」と言ったようである。

弁口(びんくう)@: (名) [弁口]能弁。口が達者なこと。

弁口者(びんくうむん)⓪: (名) 能弁な者。口の達者な者。

紅絞(びんしぶ)い⓪: (名) 紅のしぼり染め。女の子の着物の模様の名。

弁者(びんしゃ)@: (名) [弁者] 能弁な者。雄弁な者。

瓶水(びんすぃい)⓪: (名) [瓶水]酒を入れる錫製の器。背が高く、上部の口の

部分が細くすぼまっている。一対あって、御願(うぐぁん)・婚礼などに用いる。口に

木の栓をして、その上を赤紙・黄紙を重ねて折り曲げたものでおおう。

鬢頭廬(びんずる)⓪: (名) [鬢頭廬]鬢頭廬(びずる)、と同じ。 ※沖縄語辞典、

  (名)、が抜けている。

鬢(びんた)⓪: (名) 鬢。耳の前に垂れた髪。また、顔のその部分。

鬢盥(びんだれえ)⓪: (名) 金だらい。

鬢付(びんづぃ)き⓪: (名) [鬢附]頭髪用のねばり強い固形の油。ポマードのよ

  うなもの。

瓶取(びんとぅ)い⓪: (名) [瓶取]結婚式で三々九度の杯を取り交わす時、そば

で、瓶水(びんすぃい)、を持って酒をつぐこと。またその役。十四、五歳の処女が行

う。花嫁は花婿の家族とも杯を取りかわす風がある。 ➁酌婦。料理屋の売春婦。

便毒(びんどぅく)⓪: (名) 便毒。横根。多くは花柳病に起因するもの。

弁当(びんとお)@: (名) 弁当。

弁(びん)ぬ岳(たき)⓪: (名) 弁が岳。弁の御岳。首里の東側にある山。 ※海

  抜165メートルで、中南部では高い山であり、「弁ケ岳公園」がある。

紅々安々(びんびんやあやあ)⓪: (名) 赤い模様のある着物の小児語。赤いおべべ。

  びん、は紅の意。 @大言海によれば、「おべべ」の「べべ」は、「紅」のことらしい。

貧乏(びんぼお)⓪: (名)[新] 口ぐせのように貧乏なことをこぼす者。貧乏なこと

は、貧相(ふぃんすう)、という。

便利(びんり)⓪: (名) 便利。 @便利(びんり)な物(むん)。/便利なもの。

檳榔(びんろお)⓪: (名) 植物名。檳榔。のやし。蒲葵(くば)[びろう]と似てい

  るが別種。

火(ふぃい)⓪: (名) 火。ほのお。また、灯火。また、火事。 @火(ふぃい)付

(つぃ)きゆん。/火を付ける。点火する。放火する。 @火(ふぃい)ぬ出(ぃん)

じゆん。/火事が出る。

非(ふぃい)⓪: (名) 非。非難されるべき悪いこと。 @人(っちゅ)ぬ非(ふぃ

い)明(あか)がらしゅん。/人の非をあばく。 @非(ふぃい)覆(うす)ゆん。

/悪事をかくす。 @非(ふぃい)掴(かつぃ)みゆん。/非をとらえる。

胃腸(ふぃい)⓪: (名) 胃腸。内臓。 @胃腸(ふぃい)打(う)ちゅん。/胃腸

を悪くする。 @胃腸(ふぃい)ぬ弱(よお)さん。/胃腸が弱い。胃腸(ふぃい)

弱(よお)さん、ともいう。

屁(ふぃい)⓪: (名) 屁。 @屁(ふぃい)放(ふぃ)ゆん。/屁をひる。

日(ふぃい)@: (名) @日。太陽(てぃいだ)。また、日光。 @日(ふぃい)ぬ傾

(かた)ん而居(ちょお)ん。/日が傾いている。 @日(ふぃい)ぬ熱(につぃ)。

/太陽の熱。 @日(ふぃい)ぬ弱(よお)く成而居(なとお)ん。/日の光が弱く

なった。(※弱くなっている、が適切であろう。) ➁日。昼間。 @日(ふぃい)ぬ

長(なが)く成而居(なとお)ん。/日が長くなった。 B日。こよみの上の日。 @

日(ふぃい)取(とぅ)ゆん。/日を選んで定める。転居・かまど作り、結婚などに

吉日を選ぶことを多くいう。

妃(ふぃい)@: (名) 王妃。きさき。敬して、御妃(うふぃい)、ともいう。王の正

妻で、でえみゅお(大名、貴族)の身分の娘から選ばれ、佐敷(さしち)間切の知行

を受ける。王の妻妾には、妃(ふぃい)、夫人(ふじん)、妻(つま)の三種がある。

緋(ふぃい)@: (名) 緋。緋色。

緋色(ふぃいいる)@: (名) 緋色。

日内(ふぃいうち)@: (名) 忌中。死後の四十九日間。

火避(ふぃいがた)か@: (名) 火避(ふぃがた)か、と同じ。

塀垣(ふぃいがち)@: (名) 板垣。

屁臭(ふぃいくさ)さん⓪: (形) 屁のにおいがしてくさい。

非癖(ふぃいくし)⓪: (名) 欠点。非難すべき点。 @有(あ)らん非癖(ふぃい

くし)付(つぃ)きてぃ追(ぅうぃ)い出(ぃん)じゃちゃん。/あらぬ難くせをつ

けて追い出した。 @非癖(ふぃいくし)掴(かつぃ)みゆん。/他の非をにぎる。 

@非癖(ふぃいくし)ぬ多(うふ)さる者(むん)。/難点の多い者。

屁糞成(ふぃいくすなっ)たい⓪: (名) 屁のようなもの。何も役に立たぬつまらぬ

  もの。

冷(ふぃ)い国(ぐに)⓪: (名) 寒い地方。寒い国。暑国(あつぃぐに)、の対。

火車(ふぃいぐるま)あ⓪: (名)[新] 蒸気船。蒸気船を見聞するようになったころ

  の語。類語に、上(あ)ぎ火車(ふぃいぐるま)あ[おか蒸気]。

火返(ふぃいげえ)し⓪: (名) 火事のあった時、村の入り口などで鐘・太鼓を鳴ら

して火の霊を入れないようにするまじない。火魂返(ふぃだまげえ)し、ともいう。

寒(ふぃい)さ思(うみ)い⓪: (名) 寒がり。寒がること。また、寒がる者。

寒(ふぃい)さ戦々(がたがた)⓪: (副) 寒さでがたがたするさま。 @寒(ふぃ

い)さ戦々(がたがた)為(しゅ)ん。/※動詞化。

寒(ふぃい)さ固(ぐふぁ)い⓪: (名) 寒さにこごえること。

寒(ふぃい)さ苦(くり)しゃ⓪: (名) 寒さに苦しむこと。 @寒(ふぃい)さ苦

(くり)しゃ為(しゅ)ん。/※動詞化。

寒(ふぃい)さ成(ぬ)う⓪: (名) 悪寒。病的な寒さを感じ、体がぞくぞくするこ

と。マラリヤの際の悪寒など。 @寒(ふぃい)さ成(ぬ)う為(しゅ)ん。/悪寒

がする。

寒(ふぃい)さ防(ふし)ぢ⓪: (名) 寒さよけ。防寒。

寒(ふぃい)さ曲(ま)がい⓪: (名) 寒さでちぢこまること。

寒(ふぃい)さ負(ま)き⓪: (名) 寒さに負けて体をそこなうこと。

寒(ふぃい)さん⓪: (形) 寒い。冷たいは、冷(ふぃじゅ)るさん。

平生(ふぃいじい)⓪: (名) 平常。ふだん。

火敷(ふぃいし)ちゃあ⓪: (名) 十能。おき・炭火を取るための道具。

火攻(ふぃいじ)み⓪: (名) 火攻め。焼き打ち。

肘(ふぃいじ)ん平(とお)⓪: (名) 幼児の遊戯の名。。左右の一方の手のひらに他

方のひじをのせ、離し、それを左右交互にくりかえしながら歌を歌うもの。幼時に運

動させるための遊戯である。為藪(しいやあぷ)う、ともいう。

襞(ふぃいじゃ)⓪: (名) (袴などの)ひだ。

山羊(ふぃいじゃあ)⓪: (名) やぎ。その小児語は、ベエベエ。 *混効験集:坤

  巻・気形に、ひひじや、とある。 *おもろさうし・986に、ひきや、とある。

樋川(ふぃいじゃあ)⓪: (名) [樋川] かけひ(筧)。その小児語はやぎのそれと

同じく、ベエベエ。

樋川御門(ふぃいじゃあうじょお)⓪: (名) 首里城の門の名。御城(うぐすぃく)、

の項参照。 ※現在は、瑞泉門と呼ぶのが普通。 *混効験集:乾巻・家屋に、ひぎ

やおじやう、とある。 *おもろさうし・220に、ひがわ、ぢやう、とある。

樋川井戸(ふぃいじゃあがあ)⓪: (名) 湧き水をかけひで引いて、水を汲めるよう

にしたところ。‐があ<かあ(井戸)。

泣(ふぃい)じ⁼ゆん@: (自 ⁼らん、⁼てぃ) 泣く。上流階級の用いた上品な語。 @

泣(ふぃい)じ召(みせ)えん。/お泣きになる。 @何(ぬう)んでぃち御胴(う

んじょ)お泣(ふぃい)じ召(みせ)えが。/なぜあなたはお泣きになるのか。

拉(ふぃい)⁼じゅん@: (他 ⁼がん、⁼じ) @ひしぐ。押しつぶす。 ➁いじめる。

直垂(ふぃいたあ)⓪: (名) 羽織に似た、冬用の着物の名。そでは長く、すそは短

い。男女用。裏に、綿布(むんぱ)[裏地用の厚い綿布]を付けたものが普通であるが、

綿を入れたものもある。

火爛(ふぃいたった)あ⓪: (名) 火ぶくれ。やけどで皮膚がふくれること。またそ

の箇所。

火立(ふぃいた)てぃい⓪: (名) @のろし。舟などへの合図として用いられた。 ➁

煙突。

火立(ふぃいた)てぃい野原(もお)⓪: (名) 火立(ふぃいた)てぃ野原(もお)、

と同じ。

火立(ふぃいた)てぃ野原(もお)⓪: (名) のろし台。のろしを上げる場所。

火魂(ふぃいだま)⓪: (名) 火の霊。球状をなして空を飛ぶあやしい火で、火事を

起こす魔物だと信じられていた。また美女に化けるともいう。火魂(ふぃだま)、とも

いう。

贔屓(ふぃいち)⓪: (名) ひいき。偏愛。複合語としては、方(かた)贔屓(びい

ち)[えこひいき]、子贔屓(っくぁびいち)[子どもびいき]、刀自(とぅじ)贔屓(び

いち)[妻びいき]など。

引合(ふぃいちぇ)え⓪: (名) 引っ張り合い。@引合(ふぃいちぇ)え為(しゅ)

  ん。/※動詞化。

火消(ふぃいちゃ)あ為(しゃ)あ⓪: (名) 消防夫。‐ちゃあしゃあ<消(ちゃ)

  あしゅん[消す]。

引合(ふぃいちゃ)あ奪合(ばあちぇ)⓪: (名) 引っ張りだこ。引っぱり合い。奪

い合うこと。

火切(ふぃいぢ)り⓪: (名) 火のついたたきぎの切れはし。燃えさし。

平均(ふぃいちん)⓪: (名)[新?] 平均。普通は、戸並(とぅな)み、均(なら)

し、という。

布巾(ふぃいちん)⓪: (名) 布巾。ふいきん(九州方言)。

火付(ふぃいづぃ)けえ⓪: (名) 放火。火付け。 @火付(ふぃいづぃ)けえ為(し

  ゅ)ん。/※動詞化。

火焚付(ふぃいてえつぃ)きやあ⓪: (名) たきつけ。焚付(てえつぃ)きゆん、は、

たきつける。 ※沖縄語辞典、(名)が抜けている。

海豚(ふぃいとぅ)⓪: (名) いるか。名護湾に大群をなして押し寄せることがあり、

その時は名護全体が戦場のような騒ぎとなる。 ※ふぃいとぅ、は「人(ひと)」と関

係のある語であろうか。

火取(ふぃいとぅ)い⓪: (名) 煙草盆に入れる火種用の小さい火鉢。首里では上品

  に、熾(うち)り取(とぅ)い、ということが多い。

冷(ふぃ)い所(どぅくる)⓪: (名) 寒い所。寒冷地。

火縄(ふぃいなあ)⓪: (名) 火縄。しゅろの毛で作り、火持ちがよく、マッチの不

自由な時代に農民がたばこの火のために多く用いた。

火(ふぃい)ぬ熱(につぃ)⓪: (名) 火熱。火の熱。日(ふぃい)ぬ熱(につぃ)、

  は太陽の熱。

火(ふぃい)ぬ元(むとぅ)⓪: (名) 火の元。

楝蛇(ふぃいばあ)⓪: (名) 蛇の一種。山かがし。楝蛇(ふぃいぶ)、の卑称である

が、もっぱら山かがしをさす。

火箸(ふぃいばあし)⓪: (名) 火箸。

火働(ふぃいばたら)ち⓪: (名) @火事場での働き。消火の仕事。 ➁転じて、一

生懸命な働き。

日々(ふぃいびい)@ (副) 日に日に。 @日々(ふぃいびい)寒(ふぃい)く成(な)

ゆん。/日に日に寒くなる。

楝蛇(ふぃいぶ)⓪: (名) 蛇。次の諺以外にはほとんど使わない。 @盲人(みっ

くぁ)ぬ楝蛇(ふぃいぶ)ん怖(う)じらん。/盲蛇に怖じず。

空俵(ふぃいふぁあ)⓪: (名) あき俵。藁むしろで作った穀物用のあき俵。

平々平(ふぃいふぃいとぅう)⓪: (名) @全く平均。 ➁勝負なし。議論などでど

ちらが勝ったか結果がわからなくなったような場合にいう。 ➁立ち消え。相談事な

どが立ち消えになってしまうような場合にいう。

非非難(ふぃいふぃなん)⓪: (名) 非難さるべき欠点。

屁放(ふぃいふぃ)らあ⓪: (名) よく屁をひる者。

屁放(ふぃいふぃ)り籤(くじ)⓪: (名) 空くじ。はずれたくじ。空籤(からくじ)、

  ともいう。

火吹(ふぃいふ)ち⓪: (名) 火吹き竹。

日負(ふぃいま)き@: (名) 太陽の熱に負けて弱ること。日射病など。

平民(ふぃいみん)⓪: (名)[新] 平民。普通は、百姓(ひゃくしょお)、という。

火虫(ふぃいむし)⓪: (名) 甘藷に食い入っている虫。

火虫(ふぃいむしゃ)あ⓪: (名) 火虫(ふぃいむし)、のついた甘藷。虫食いいも。

入(い)り虫(むしゃ)あ、ともいう。

火弄(ふぃいむた)あん⓪: (名) 火遊び。

火燃(ふぃいめ)え為(さ)あ⓪: (名) 下働き。火を燃やす者の意。台所仕事ばか

  りする者の卑称。

胃弱(ふぃいよお)さん⓪: (形) 胃腸が弱い。

箆(ふぃいら)⓪: (名) へら。農具の一つ。苗を植えたり草を取ったりするもの。

平(ふぃいら)あ⓪: (名) @油虫。ごきぶり。家屋のじめじめしたところなどにい

る平たい黒茶色の虫。平たいものの意。 ➁南京虫。人喰(っちゅくぇ)え平(びい

ら)あ、ともいう。 ※アブラムシは、カメムシ目アブラムシ科、ゴキブリは、ゴキ

ブリ目ゴキブリ科の昆虫であるが、ゴキブリのことをアブラムシと呼ぶことがある。

疼(ふぃいら)⁼ちゅん@: (自 ⁼かん、⁼ち) 疼(ひひら)ぐ。(切り傷・やけどな

どが)ひりひり痛む。 ※疼(ひひ)く、は日本書紀にも見える古い共通語のようで

ある。

焙炉(ふぃいるう)⓪: (名)[焙炉] 手あぶり用の小さい火鉢。あんか。丸い土焼き

で、上部にいくつも丸い穴がある。老人が暖をとるのに多く使われる。 ※焙炉(ほ

いろ)と読み、「ほい」は唐音である。

肺癆(ふぃいろお)⓪: (名) 肺結核。まれな語。「肺癆」に対応する。普通は、痰病

  (たんやんめ)え、という。

日傘(ふぃがさ)@: (名) 日傘。

魅(ふぃ)かさ⁼りゆん@: (自 ⁼りらん、ってぃ) 愛情に引かされる。また、誘惑

  される。

東(ふぃがし)@: (名) 東。 ※「ひがし」、島尻郡粟国村の地名。また、那覇市の

東町を、「ひがし」と言ったようである。

日数(ふぃかずぃ)@: (名) 日数。

日避(ふぃがた)か@: (名) 日おおい。日よけ。日光をさえぎるためのもの。日避

  (ふぃいがたか)、ともいう。

日柄(ふぃがら)@: (名) 日柄。日のよしあし。

光(ふぃかり)⓪: (名) @光。光(ふぃかい)、と同じ。 ➁威光。また、名誉。ほ

まれ。その敬語は、御光(うふぃかり)。 @親(うや)ぬ光(ふぃかり)成(な)ゆ

ん。/親の名誉になる。 @光(ふぃかり)立(た)ちゅん。/栄誉が高くなる。

彼岸(ふぃがん)⓪: (名) 彼岸。彼岸(ふぃんがん)、ともいう。彼岸に行う祭り[御

紙(んちゃび)、紙焙(かびあん)じい、のことをもいう。

北京(ふぃきん)@: (名) 北京。北京(ふぃちん)、ともいう。

桫欏(ふぃぐ)⓪: (名) 植物名。へご(桫欏)。

干菓子(ふぃぐぁし)@: (名) 干菓子。

低(ふぃく)さん⓪: (形) 低い。(空間的位置、また身分などが)低い。

控(ふぃけ)え@: (名) @控え。写し。副本。 ➁控え。そばに控える者。

控(ふぃけ)え所(じゅ)@: (名) @控え所。官公庁などの待合室。 ➁特に葬式

  の時、式が終わって葬列の発するまで待つ所。

控(ふぃけ)え⁼ゆん@: (他 ⁼らん、⁼てぃ) @控える。写しを取る。 ➁控える。

控えて待つ。 B控え目にする。また、ためらう。

提(ふぃさ)ぎ⁼ゆん@: (他 ⁼らん、⁼てぃ) ひっさげる。手に下げる。 @提(ふ

ぃさ)ぎらりいる値(あたい)い。/手にさげられるぐらいか。

干瀬(ふぃし)⓪: (名) [干瀬]満潮の時は隠れ、干潮になると現れる岩や洲。大

隅風土記の「海中之洲者隼人俗語云必至」の「必至(ひし)」と比較される。 @干瀬

(ふぃし)に居(うぅ)る鳥(とぅい)や満(み)ち潮(しゅ)恨(うら)みゆい、

我身(わみ)や明月(あかつぃち)ぬ鶏(とぅい)どぅ恨(うら)みゆる。[干瀬に居

る鳥や 満潮恨みゆい 我身や暁の 鳥ど恨みゆる]沖の石にいる鳥は満潮を恨むが、

わたしは恋人との別れを知らせるあかつきの鳥が恨めしい。 *おもろさうし・97

に、ひせ、とある。

返事(ふぃじ)⓪: (名) 返事。 @返事返答(ふぃじふぃんとお)。/返事返答。返

事(ふぃじ)を強めたことば。

鬚・髭・髯(ふぃじ)@: (名) @ひげ。複合語としては、上髭(ぅわあふぃじ)[鼻

ひげ]、下鬚(しちゃふぃじ)、髯野原(ふぃじもお)[ひげなし]、山髯(やまふぃじ

ゃ)あ[ひげだらけの人]など。 ➁植物のひげ根。 @髭(ふぃじ)差(さ)しゅ

ん。/ひげ根が出る。ひげ根が伸びて行く。

比地(ふぃじ)@: (名) 比地。 ※「ひじ」、国頭郡国頭村の地名。比地大滝がある。

肘腕(ふぃじけえ)@*: (名) 肘。また、肘を中心とした腕。腕っぷし。肘腕(ふ

  ぃじげえ)、ともいう。

肘腕(ふぃじげえ)@: (名) 肘腕(ふぃじけえ)、と同じ。

肘腕(ふぃじけえ)大(まぎ)い@: (名) 腕の太い者。腕っぷしの強い者。

平敷(ふぃしち)@: (名) 平敷。 ※「へしき」、国頭郡今帰仁村の地名。地元では、

  「ぴしち」と発音する。

平敷屋(ふぃしちゃ)@: (名) 平敷屋。 ※「へしきや」、うるま市勝連の地名。エ

イサーで有名。

緊々(ふぃしふぃし)@: (副) @ずきずき。脈打つように痛むさま。 @歯(はあ)

ぬ緊々(ふぃしふぃし)痛(や)ぬん。/歯がずきずき痛む。 ➁ひしひし。びしび

し。(非難などが)胸にこたえるさま。 @緊々(ふぃしふぃし)当(あ)たゆん。/

ひしひしと胸にこたえる。 @緊々(ふぃしふぃし)抜(ぬ)ち引(ふぃ)ち為(し

ゅ)ん。/びしびしと非を指摘する。

髯野原(ふぃじもお)⓪: (名) ひげ無し。ひげの無い人。 @頤(うとぅげえ)滑

泥(なんどぅる)う[おとがいすべすべ]、婆前面(はあめえづぃら)[ばあさんづら]

などともいう。

足(ふぃしゃ)@: (名) 足。足首より下をも足全体をもいう。「ひざ」に対応する語

か。 @足(ふぃしゃ)手繰(たく)でぃ居而居(いぃちょお)ん。/足をたたんで

座っている。すなわち、無為徒食している。また、楽をして何もしないでいる。 @

此間(くま)や楽々(らくらく)とぅ足(ふぃさ)手繰(たく)でぃ居(うぅ)とぅ

てぃ、村原(むらばる)ぬ比屋(ひゃあ)が謀(はか)り事(ぐとぅ)頼(たゆ)て

ぃ、、、[こまや楽々と ひしやたくで居とて 村原の比屋が 謀たよて、、、(大川敵討)]

こちらは楽々とすわっていて、村原の比屋の謀り事を利用して、、、 @足(ふぃしゃ)

ぬ向(ん)かゆる儘(まま)。/足の向くまま。どこに行くという目的もなく。これに

は、足(あし)ぬ向(ん)かゆる儘(まま)、ともいう。 @足(ふぃしゃ)歯痒(は

ごお)さん。/足元が気味が悪い。藪などで蛇を恐れる時などにいう。 ※大川敵討

(おおかわてきうち)は、久手堅親雲上(くでけんぺえちん)作の組踊である。

比謝(ふぃじゃ)@: (名) 比謝。 ※「ひじゃ」、中頭郡読谷村の地名。

左(ふぃじゃい)⓪: (名) 左。 *おもろさうし・468に、ひぢやり、とある。

左御着合(ふぃじゃいうちゃあ)し⓪: (名) 着物を左前に着ること。古くは左前の

風があったのか、農村の老女などに見掛けられる。教養のないかっこうとされている。 

@首里(しゅい)那覇(なふぁ)に上(ぬぶ)てぃ、袖(すでぃ)振(ふ)ゆる紳士

(しんし)、奥方(うぅなじゃら)や今(なま)ん左御着合(ふぃじゃいうちゃ)し。

/いなかから首里・那覇に上って袖を振って歩く田紳、奥方は今でも左前に着物を着

る。廃藩前の田舎紳士を皮肉った歌。

左勝手(ふぃじゃいがってぃ)⓪: (名) 左きき。左(ふぃじゃや)あ、ともいう。

左組(ふぃじゃいぐん)⓪: (名) 膳部の飯と汁を反対に置くこと。飯左、汁右が正

しく、反対にすると作法に反する。左組の意。

左字(ふぃじゃいじい)⓪: (名) 左文字。印鑑などのように、裏側から見た字。

左手長(ふぃじゃいでぃいなが)あ⓪: (名) 泥棒の別名。左手が長い者の意。

左喉(ふぃじゃいぬうでぃい)⓪: (名) 音痴。声が調子はずれな者。左(ふぃじゃ

  い)は、不器用の意。

左巻(ふぃじゃいまちゃ)あ⓪: (名) 左巻き。つむじが左巻きの者。また、一癖あ

る者。

左巡(ふぃじゃいみぐ)い⓪: (名) 左前。経営がうまく行かないこと。また、経営

が下手なこと。 @左巡(ふぃじゃいみぐ)い為(しっ)元(むうとぅ)迄(までぃ)

無(ねえ)ん成(な)たん。/経営が左前になって元手まで無くなった。

東恩納(ふぃじゃうんな)⓪: (名) 東恩納。 ※「ひがしおんな」、うるま市石川の

  地名。

比謝川(ふぃじゃがあ)⓪: (名) 比謝川。川の名。中頭郡にあり西海岸に注ぐ。 ※

沖縄本島最大の流域面積である。「ペリー訪問記」にも見え、その発音は沖縄語辞典と

同じである。

足形(ふぃしゃかた)@: (名) 足跡。踏んだ足のかた。

足首(ふぃしゃくび)@: (名) 足首。

足擦(ふぃしゃすぃ)り擦(すぃ)り⓪: (名) 足ずり。子供が身をもがいて足をす

  るのをいう。

足高(ふぃしゃだか)あ⓪: (名) 背伸び。つま先立ち。 @足高(ふぃしゃだか)

あ為(しゅ)ん。/背伸びする。

足怠(ふぃしゃだる)さん@: (形) 足がだるい。

足力(ふぃしゃぢから)@: (名) 脚力。足の力。 @足力(ふぃしゃぢから)ぬ無

  (ねえ)ん。/(病後などに)足の力がない。

足庭(ふぃしゃなあ)⓪: (名) 足の甲。

足(ふぃしゃ)ぬ腹(わた)⓪: (名) 足の裏。また、土ふまず。わた、は腹。

足骨(ふぃしゃぶに)@: (名) 足の骨。

東方(ふぃじゃほお)⓪: (名) 東の方。農村で多くいう語。首里では普通、東方(あ

がりかた)、という。

隔(ふぃじゃ)ま⁼ゆん⓪: (自 ⁼らん、⁼てぃ) へだたる。間にはいってへだたる。

また、距離が離れる。 @村(むら)一(てぃい)つぃ隔(ふぃじゃ)ま而居(とお)

ん。/村一つはさんで離れている。

跪(ふぃしゃまん)ち@: (名) 端座。正座。 @跪(ふぃしゃまん)ち為(しゅ)

ん。/端座する。 ※「ひざまずく」と関係のある語と思われる。

隔(ふぃじゃ)み⓪: (名) @へだて。間をへだてるもの。 @隔(ふぃじゃ)みぬ

無(ねえ)らん。/間をへだてる物がない。 @隔(ふぃじゃ)み御取(うっとぅ)

てぃ座(ざあ)一(てぃい)つぃ成(な)しゅん。/へだてを取り払って一つの座敷

にする。 ➁(接尾)〜をへだてるもの。〜をへだてた隣。 @壁隔(くびふぃじゃ)

み[壁をへだてること。壁一つへだてた隣]など。 ※沖縄語辞典、「座(じゃあ}」

となっている。

隔(ふぃじゃ)み⁼ゆん⓪: (他 ⁼らん、⁼てぃ) へだてる。間に入れてへだてる。ま

た、距離をへだてる。離れる。 @彼間(あま)とぅ此間(くま)とお海(うみ)隔

(ふぃじゃ)み而居(とお)ん。/あそことこことは海をへだてている。 @三里(さ

んり)隔(ふぃじゃ)み而居(とお)ん。/3里を隔てている。 @彼(かあ)間(ま)

隔(ふぃじゃ)み而居(とお)ん。/遠く離れている。

足野原(ふぃしゃもお)⓪: (名) 足無し。足の無い者。

足野原川(ふぃしゃもおかあ)⓪: (名) 足の無い者。足無し。前項と次項の卑称。

足野原久(ふぃしゃもおくう)⓪: (名) 足の無い者。足無し。足野原(ふぃしゃも

お)の卑称。 

左(ふぃじゃや)あ⓪: (名) 左きき。左ぎっちょ。左勝手(ふぃじゃいがってぃ)、

ともいう。

左(ふぃじゃ)るう⓪: (名) @不器用。ぶっかこう。また、そのような者。 ➁間

が悪いこと。ばつが悪いこと。 @左(ふぃじゃ)るう成(な)ゆん。/ばつが悪く

なる。

左(ふぃじゃ)る擬(ぎ)さん⓪: (形) 不器用らしい。ぎこちない。また、(姿が)

  ぶかっこうである。おろかしく見える。

冷(ふぃじゅ)い⓪: (名) 冷え。冷えこむこと。また、冷気。 @冷(ふぃじゅ)

い入(い)ゆん。/冷気におかされる。冷えこんで病気になる。 

冷(ふぃじゅ)い争(おお)い⓪: (副) 体・手足などが冷えこむさま。 @冷(ふ

  ぃじゅ)い争(おお)い為(しゅ)ん。/※動詞化。

冷(ふぃじゅ)い化(かあ)⓪: (副) 食物などが冷えているさま。 @冷(ふぃじ

  ゅ)い化(かあ)為居(しょお)ん。/冷えている。

病気冷(ふぃじゅ)い気(ちい)⓪: (名) 冷えこむと起きる病気。神経痛・リュウ

マチの類。

日中(ふぃじゅう)@: (名) 日中。昼間中。また、一日中。@日中(ふぃじゅう) 

  何(ぬう)ん為(さ)んたん。/一日中何もしなかった。

冷(ふぃじゅ)っ体(てえ)ん@: (副) ひやりと。冷え冷えと。冷たいさま。

冷(ふぃじゅ)⁼ゆん⓪: (自 ⁼らん、⁼てぃ) 冷える。冷たくなる。さめる。 @御

盆(うぶん)ぬ冷(ふぃじゅ)ゆん。/御飯が冷える。 @でぃい、冷(ふぃじゅ)

らん間処(まあどぅ)喰(か)めえ。/さあ、さめないうちに食べろ。 @冷(ふぃ

じゅ)らしゅん。/冷やす。

冷(ふぃじゅ)る汗(あし)⓪: (名) 病気などで気分の悪い時に出る汗。病気の時

の寝汗など、冷たい感じのする汗。恥じたり気を使ったりする時のひや汗の意では用

いない。

冷(ふぃじゅ)る御盆(うぶん)@: (名) ひや御飯。

冷(ふぃじゅ)る風(かじ)⓪: (名) 冷たい風。ひやりとする風。

冷(ふぃじゅ)る被(かん)じ⓪*: (名) 冷え冷えとした感じ。寒々とすること。 

  @冷(ふぃじゅ)る被(かん)じ為(しゅ)ん。/※動詞化。

冷(ふぃじゅ)る被(かん)じゃあ⓪: (副) 冷え冷えとしたさま。寒々としたさま。

火の気・女気などのないさま。 @冷(ふぃじゅ)る被(かん)じゃあ回(まあ)而

居(とお)ん。/寒々としている。

冷(ふぃじゅ)る被(かん)⁼じゅん⓪*: (自 ⁼だん、⁼てぃ) 冷え冷えとする。寒々

とする。

冷(ふぃじゅ)るさん⓪: (形) 冷たい。また、涼しい。精神的な冷淡さにはいわな

い。 @冷(ふぃじゅ)るく成(な)ゆん。/冷たくなる。涼しくなる。 @御胴(う

んじゅ)が手(てぃい)や冷(ふぃじゅ)るさん。/あなたの手は冷たい。 @肝(ち

む)冷(ふぃじゅ)るく成(な)ゆん。/危なくて心がひやっとする。肝を冷やす。

冷(ふぃじゅ)る水(みずぃ)⓪: (名) 冷たい水。冷水。

冷(ふぃじゅ)る物(むん)⓪: (名) @冷たい物。(食物などの)冷えたもの。 ➁

  よく切れる刃物。鋭い刃物。 *混効験集:坤巻・器材に、ひぎよろもの、とある。

削(ふぃ)⁼じゅん⓪: (他 ⁼がん、⁼ぢ) そぐ。へぐ。薄く削り取る。

砒素(ふぃす)⓪: (名)[新] 砒素。

伏(ふぃ)すぃ@: (名) 栓。 @伏(ふぃ)すぃ為(しゅ)ん。/栓をする。

薄(ふぃ)すぃい⓪: (名) 薄いもの。

薄(ふぃ)すぃ影(かあが)あ⓪: (名) 薄物を通して見える物のかげ。 @薄(ふ

ぃ)すぃ影(かあが)あ見(み)いゆん。/薄物を通して物のかげが見える。

薄(ふぃ)すぃさん⓪: (形) 薄(ふぃっ)さん、と同じ。

薄(ふぃ)すぃ機(ばた)あ⓪: (名) うすっぺらな布地。

薄(ふぃ)すぃ⁼ゆん⓪: (自 ⁼らん、⁼てぃ) (厚み・濃さが)薄くなる。

伏(ふぃ)すぃ入(ん)⁼ちゅん@: (他 ⁼かん、⁼ち) 手荒くさしこむ。押しこむ。

下手(ふぃた)⓪: (名) 下手。 @下手(ふぃた)有(や)ん。/下手だ。 @下

手(ふぃた)な事(くとぅ)為(しゅ)ん。/まずい事をする。

直(ふぃた)に⓪: (副) ひたすら。 @直(ふぃた)に銭儲(じんもお)き尽(づ)

  く許(びけ)えい。/ひたすら金もうけばかり。

隔(ふぃだ)た⁼ゆん⓪: (自 ⁼らん、⁼てぃ) (間柄が)へだたる。疎遠になる。距

離については、隔(ふぃじゃ)みゆん、という。 @親(うや)とぅ子(っくぁ)ど

ぅ有(や)すぃが隔(ふぃだ)た而居(とお)ん。/親と子なのに疎遠になっている。

隔(ふぃだ)てぃ⓪: (名) へだて。関係をさえぎるもの。疎遠にするもの。 @行

会(いちぇ)えわ兄弟(ちょおでえ)、何(ぬう)隔(ふぃだ)てぃぬ有(あ)が。/

出会ったら兄弟だ。何の隔てがあるものか。 @隔(ふぃだ)てぃ持(む)ちゅん。

/疎遠になる。疎遠な感情を持つ。

隔(ふぃだ)てぃ⁼ゆん⓪: (他 ⁼らん、⁼てぃ) (間柄を)隔てる。疎遠にする。距

  離については、隔(ふぃじゃ)みゆん、という。

火魂(ふぃだま)⓪: (名) 火魂(ふぃいだま)、と同じ。

火魂返(ふぃだまげえ)し⓪: (名) 火返(ふぃいげえ)し、と同じ。

引(ふぃ)ち@: (名) (「引き」に対応する)@つて。縁故。 ➁親姻戚関係。縁を

引いている者。縁者。遠い親戚までも含めていう。 @汝(ぃやあ)や何処(まあ)

ぬ引(ふぃ)ちが。/おまえはどこの縁者か。 @彼処(あま)とぅ引(ふぃ)ち有

(や)ん。/あそこと親戚だ。 B助け。援助。 @引(ふぃ)ち為(しゅ)ん。/

援助する。助けを出す。

引(ふぃ)ち上(あ)ぎ⁼ゆん@: (他 ⁼らん、⁼てぃ) @引き上げる。引いて高く上

げる。引上(ふぃちゃ)ぎゆん、の項参照。 ➁抜てき・登用する。 B引き揚げる。

ある場所から、すっかり退く。 @儲(もお)きぬ無(ねえ)んくとぅ引(ふぃ)ち

上(あ)ぎてぃ来(ちゃ)ん。/もうけがないので引き揚げて来た。

引(ふぃ)ち当(あ)てぃ⓪: (名) 引けあて。照合。金額や目録に見合う物品など

を照合すること。 

引(ふぃ)ち出(ぃん)じゃしい⓪: (名) ひきだし(抽斗)。

引(ふぃ)ち出(ぃん)じゃ⁼しゅん@: (他 ⁼さん、⁼ち) @引き出す。引いて外へ

出す。 ➁預金などを出す。 

挽(ふぃ)ち臼(ううすぃ)⓪: (名) ひき臼。ひき臼にも石臼と木臼とがある。

引(ふぃ)ち受(う)き⁼ゆん@: (他 ⁼らん、⁼てぃ) (仕事・責任などを)引き受

ける。

引(ふぃ)ち落(う)とぅ⁼しゅん@: (他 ⁼さん、⁼ち) 引き落とす。

引(ふぃ)ち孫(ぅんまが)@: (名) 玄孫。やしゃご。ひまごの子。引(ふぃ)ち

  孫(まが)、ともいう。

額(ふぃちぇえ)@: (名) ひたい。持凝(むっこ)お、ともいう。

引合(ふぃちぇ)え事(ぐとぅ)⓪: (名) 対決によって決する事。対決を要するよ

うなこと。甲乙に対して丙が二枚舌を使ったため、甲乙が同席して丙に対してその実

否をただすような場合をいう。

引(ふぃ)ち越(く)⁼しゅん@: (自 ⁼さん、⁼ち) 引っ越す。

引(ふぃ)ち込(く)⁼ぬん@: (他 ⁼まん、⁼でぃ) 引き込む。引(ふぃ)ち入(ん)

  ちゅん、と同じ。

引(ふぃ)ち換(げ)え⓪: (名) 現金引き替えで売買すること。

引(ふぃ)ち返(けえ)⁼しゅん@: (自 ⁼さん、⁼ち) 引き返す。もと来た方へ帰る。

引(ふぃ)ち下(さ)が⁼ゆん@: (自 ⁼らん、⁼てぃ) 空腹で元気がなくなる。

引(ふぃ)ち裂(さ)⁼ちゅん⓪: (他 ⁼かん、⁼ち) 引き裂く。

引出分(ふぃちじぶん)@: (名) 引出物(ふぃちじむん)、と同じ。

引出物(ふぃちじむん)⓪: (名) @*引き出物。祝宴などで客に配る物。 ➁結婚

  の時、婿の家で姑が嫁に与えるもの。多くは反物を与える。

引(ふぃ)ち締(し)み⁼ゆん@: (他 ⁼らん、⁼てぃ) 引き締める。倹約する。

引(ふぃ)ち潮(しゅ)@: (名) 引き潮。干(ふぃ)り潮(しゅ)、ともいう。

引(ふぃ)ち立(た)⁼ちゅん@: (自 ⁼たん、⁼っち) 引き立つ。目立ってすぐれる。 

@此(く)ぬ着物(ちの)お引(ふぃ)ち立(た)ちゅん。/この着物は引き立つ。

引(ふぃ)ち立(た)てぃ⁼ゆん@: (他 ⁼らん、⁼てぃ) 引き立てる。抜てきする。 

弾(ふぃ)ち試(だみ)し@: (名) 琴・三味線などを弾いて音をためすこと。

杼突(ふぃぢ)ち⓪: (名) 杼(ひ)。機織りの器具の名。緯糸を巻いた管を入れるも

の。舟型をしており、これを上下に開いた経糸の間に差し入れて、布を織る。高機の

は小さく。地機のは大きい。

引(ふぃ)ち付(ち)い皮付(かあち)い⓪: (副) 着物・皮膚などがひきつったさ

ま。 @着物(ちん)ぬ着(ち)い様(よお)ぬ無(ねえ)ん、引(ふぃ)ち付(ち)

い皮付(かあち)い為(っし)。/何という着物の着かただ、ひきつって。

引(ふぃ)ち付(ち)い皮付(かあち)い着(ぢ)い⓪: (名) ひきつった着かた。 

@引(ふぃ)ち付(ち)い皮付(かあち)い着(ぢ)い為居(しょお)ん。/ひきつ

って着ている。

引(ふぃ)ち付(ちゅ)う皮付(かあちゅ)う⓪: (副) 引(ふぃ)ち付(ち)い皮

  付(かあち)い、と同じ。

引(ふぃ)ち継(つぃ)ぢ@: (名) (事務などの)引き継ぎ。

引(ふぃ)ち継(つぃ)⁼ぢゅん@: (他 ⁼らん、⁼てぃ) 引き継ぐ。あとを引き受け

て続ける。 @替(か)わい合(え)え為(っし)引(ふぃ)ち継(つぃ)ぢゅん。

/交替して引き継ぐ。 ※(⁼がん、⁼ぢ)であろう。

引(ふぃ)ち戸(どぅ)@: (名) あげ窓。引き窓。

引(ふぃ)ち跳(とぅぬ)が⁼しゅん@: (他 ⁼さん、⁼ち) 引きちぎる。強く引いて

  とばす。

引(ふぃ)ち取(とぅ)⁼ゆん@: (他 ⁼らん、⁼てぃ) 引き取る。自分の方に受け取

  る。

引(ふぃ)ち倒(とお)⁼しゅん@: (他 ⁼さん、⁼ち) 引き倒す。引いて倒す。

引(ふぃ)ち成(な)⁼しゅん@: (他 ⁼さん、⁼ち) とって置く。(一部を)残して

置く。 @其(う)っさ諸(むる)使(つぃか)あん事(ぐとぅ)、二(たあ)つぃ三

(みい)つぇえ引(ふぃ)ち成(な)ち置(う)けえ。/それだけ全部使わないよう

に、ふたつみっつはとって置け。

引(ふぃ)ち成(な)⁼ゆん@: (自 ⁼らん、⁼てぃ) 引き下がる。身を引く。抜ける。 

@吟味事(ぢんみぐとぅ)から引(ふぃ)ち成(な)ゆん。/協議から身を引く。 @

皆(んな)あ上出来(ぅうぃりき)擬(ぎ)さ遊(あすぃ)而居(どお)る物(むぬ)、

胴一人(どぅうちゅい)引(ふぃ)ち成(な)てぃ何(ぬう)有(や)が。/みんな

は面白そうに遊んでいるのに、自分ひとり抜けてどうしたか。

引(ふぃ)ち抜(ぬ)⁼ぢゅん⓪@: (他 ⁼がん、⁼ぢ) 引き抜く。引いて抜く。

引(ふぃ)ち伸(ぬ)ば⁼しゅん@: (他 ⁼さん、⁼ち) 引き伸ばす。

引(ふぃ)ち直(のお)⁼しゅん@: (他 ⁼らん、⁼てぃ) @引き直す。改めて引く。 

➁改める。直す。 @帯(ううび)ぬ歪(ゆが)而居(どお)くとぅ引(ふぃ)ち直

(のお)せえ。/帯が曲がっているから直せ。

引(ふぃ)ち離(はな)⁼しゅん⓪@: (他 ⁼さん、⁼ち) 引き離す。引き離して別れ

させる。

引(ふぃ)ち腹氏(はろおじ)@: (名)[文] 親類縁者。遠い親戚までも含めた親族

集団をいう。なお、‐はろおじ、という形は単独では用いない。 @命(いぬち)御

差上(うしゃ)ぎりば、生(な)し親(うや)や実(だ)にゆ引(ふぃ)ち腹氏(は

ろおじ)迄(までぃ)ん、其(う)ぬ育(すだ)てぃ召(み)せる仰(ぅうぃい)す

ぃ事(ぐとぅ)拝(うぅ)がでぃ。[命おしやげらは なし親やだによ 引はらうじ迄

も おの素立めしやいる およす事拝で(孝行之巻)]命をさし上げたならば、生みの

親はもちろんのこと、その親類までも面倒を見て下さるとの仰せを拝して。 ※孝行

之巻(こうこうのまき)は、玉城朝薫(たまぐすくちょうくん)作の組踊である。

引(ふぃ)ち引(ふぃ)ち@: (副) ひき替えひき替え。何度もひき替えるさま。 @

再進(せえしん)引(ふぃ)ち引(ふぃ)ち入(い)りらしゅん。/お代わりを何度

も入れさせて食べる。

引(ふぃ)ち回(まあ)⁼しゅん@: (他 ⁼さん、⁼ち) 打とうとして構える。 @手

(てぃい)引(ふぃ)ち回(まあ)しゅん。/打とうとして、手を構える。 @斧(ゆ

うち)引(ふぃ)ち回(まあ)しゅん。/斧を構える。

引(ふぃ)ち孫(まが)@: (名) 引(ふぃ)ち孫(ぅんまが)、と同じ。

引(ふぃ)ち目(み)@: (名) 横目。流し目。

引(ふぃ)ち物(むん)⓪: (名) 差し押さえ。また差し押さえられた物。 @引(ふ

ぃ)ち物(むん)為(さ)りゆん。/差し押さえられる。

挽(ふぃ)ち物(むん)⓪: (名) 挽物。ろくろがんなで作ったもの。木の皿・碗・

盆など。

挽(ふぃ)ち物(むん)細工(ぜえく)⓪: (名) 挽物師。

比嘉(ふぃぢゃ)@: (名) 比嘉。 ※「ひが」、うるま市勝連、中頭郡北中城村、お

  よび、宮古島市城辺の地名。

引合(ふぃちゃあ)し⓪: (名) 神仏のお引き合わせ。神仏の助け。

引合(ふぃちゃあ)⁼しゅん@: (他 ⁼さん、⁼ち) @(戸・障子などを)引いて閉め

る。両方から閉める場合、または、すき間なく閉める場合にいう。 ➁(人を)を引

き合わせる。また、対決させる。 @引合(ふぃちゃあ)さりゆん。/イ・引き合わ

せられる。ロ・神仏の力によって、よい運命に引き合わせられる。神仏の力で助けら

れる。

光(ふぃちゃい)⓪: (名) @光。 @日(ふぃい)ぬ光(ふぃちゃい)。/日の光。 

  ➁光沢。つや。

塞(ふぃちゃ)ぎ下(うる)し@: (名) 心配したり安心したりして心をわずらわす

  こと。一喜一憂すること。‐うるし<下(うる)しゅん。

引上(ふぃちゃ)ぎ⁼ゆん@: (他 ⁼らん、⁼てぃ) (後進などを)引き上げる。うま

く行くように、助け上げる。(具体的な動作を表す場合は、引(ふぃ)ち上(あ)ぎゆ

ん、という。その項参照。) @親(うや)に引上(ふぃちゃ)ぎらってぃ立身(りっ

しん)為居(しょお)ん。/親の光で出世している。 @引上(ふぃちゃ)ぎらっ而

居(とお)ん。/助かっている。幸運にめぐまれている。

塞(ふぃちゃ)ぎ⁼ゆん@: (他 ⁼らん、⁼てぃ) 案ずる。心配する。心を引き上げる

という意。 @子(っくぁ)ぬ触(ふ)り者(むん)成(な)てぃ常(ちゃあ)塞(ふ

ぃちゃ)ぎてぃどぅ歩(あっ)ちゅる。/子がやくざになって、いつも心配している。

引(ふぃ)ち破(や)⁼ゆん⓪: (他 ⁼らん、⁼てぃ) 引き破る。ぴりっと破る。

光(ふぃちゃ)⁼ゆん⓪:⓪: (自 ⁼らん、⁼てぃ) 光る。また、つやが出る。 @禿

頭(はぎつぃぶる)ぬ光(ふぃちゃ)ゆん。/はげ頭が光る。

引合(ふぃちゃ)⁼ゆん@: (自 ⁼あん、⁼てぃ) @引き合う。商売して損をしない。

商売として利がある。 ➁相当する。匹敵する。

光(ふぃちゃ)らさん⓪: (形) (きらきら光って)まばゆい。まぶしい。光(ふぃ

  ちゃ)るさん、ともいう。

光(ふぃちゃ)ら光(ふぃちゃ)ら@: (副) きらきら。ぴかぴか。日光・星・刃物

などが光るさま。

光(ふぃちゃ)るさん⓪: (形) 光(ふぃちゃ)らさん、と同じ。

引合(ふぃちゃ)わし@: (名)[文] 引合(ふぃちゃ)あし[神仏のお引き合わせ]

の文語。 @天(てぃん)ぬ御助(うたすぃ)きか神(かみ)ぬ引合(ふぃちゃ)わ 

しか。/天のお助けか、神の引き合わせか。

引(ふぃ)ち破(やん)⁼じゅん@: (他 ⁼だん、⁼てぃ) 悪へ誘惑する。誘惑して堕

落させる。

一人(ふぃちゅい)⓪@: (名)[文] ひとり。口語では、一人(ちゅい)、という。 

@頼(たぬ)む夜(ゆ)が更(ふ)きてぃ音連(うとぅづぃ)りや無(ね)らん、一

人(ふぃちゅい)山(やま)ぬ端(ふぁ)ぬ月(つぃち)に向(ん)かてぃ。[頼む夜

や更けて 音づれやないらん 一人山の端の 月に向かて]心待ちにしていた夜は更

けて、おとずれはない。ひとり山の端の月に向かって待ちこがれているばかりである。

※「頼む」には、「期待する」という意味があるようだ。「訪れ」の語源は、「音連れ」

つまり、「音を連れてやってくる」という意味らしい。

引(ふぃ)ち寄(ゆ)し⁼ゆん@: (他 ⁼らん、⁼てぃ) 引き寄せる。引いて自分の方

へ寄せる。

引伸(ふぃちゅ)るう⁼ゆん@: (自 ⁼らん、⁼てぃ) 長引く。のびのびになる。事が

もつれ、解決などが延引する場合にいう。引伸(ふぃちゅ)るゆん、ともいう。 @

仕事(しぐとぅ)ぬ引伸(ふぃちゅ)るうゆん。/仕事が長引く。

引伸(ふぃちゅ)るう縺(むちゅ)るう⓪: (副) 長引くさま。事がもつれ解決など

が長引くさま。 @引伸(ふぃちゅ)るう縺(むちゅ)るう為(しゅ)ん。/※動詞

化。

引伸(ふぃちゅ)る⁼ゆん@: (自 ⁼らん、⁼てぃ) 引伸(ふぃちゅ)るうゆん、と同

  じ。

引(ふぃ)⁼ちゅん@: (⁼かん、⁼ち) @(自)引く。後へさがる。また、減ずる。 @

潮(うしゅ)ぬ引(ふぃ)ちゅん。/潮が引く。 @膨(ふっくぃ)ぬ引(ふぃ)ち

ゅん。/腫れが引く。 ➁(他)引く。 @車(くるま)引(ふぃ)ちゅん。/車を

引く。 @手(てぃい)引(ふぃ)ちゅん。/(子供などの)手を引く。また、(仕事

などから)手を引く。 @胴(どぅう)引(ふぃ)ちゅん。/身を引く。 @筋(す

ぃじ)引(ふぃ)ちゅん。/筋を引く。線を引く。 @五(ぐう)から三(さん)引

(ふぃ)ちゅん。/5から3を引く。 @鋸(ぬくぢり)さあに木(きい)引(ふぃ)

ちゅん。/のこぎりで木を引く。 @籤(くじ)引(ふぃ)ちゅん。/くじを引く。 

@蚊帳(かちゃ)引(ふぃ)ちゅん。/かやを吊る。

弾(ふぃ)⁼ちゅん@: (他 ⁼かん、⁼ち) 弾く。 @三線(さんしん)・琴(くとぅ

  う)弾(ふぃ)ちゅん。/三味線・琴を弾く。

日帳主取(ふぃちょおぬしどぅ)い⓪: (名)[古] [日帳主取]廃藩前の役名。書記

官長にあたり、二人いた。鎖(さすぃ)ぬ側(すば)、の下にあって、じゅうぐにんし

ゅう[十五人衆]中に入っている。

引(ふぃ)ち渡(わた)し⓪: (名) 引き渡し。

引(ふぃ)ち込(ん)⁼ちゅん@: (他 ⁼かん、⁼ち) 引き込む。引っぱって入れる。

引(ふぃ)ち込(く)ぬん、と同じ。 @川辺守(かあがりもお)が童(わらび)川

(かあら)んかい引(ふぃ)ち込(ん)ちゅん。/かっぱが子供を川に引っぱり込む。

未(ふぃつぃじ)@: (名) 十二支の未(ひつじ)。時間は午後に2時。方向は西寄り

の南。動物の羊は、緬羊山羊(めえなあふぃいじゃあ)、という。

引掛(ふぃっか)き⁼ゆん@: (他 ⁼らん、⁼てぃ) ひっ掛ける。鈎などに掛けて下げ

る。

引傾(ふぃっかたん)⁼ちゅん@: (自 ⁼かん、⁼ち) @没頭する。熱中する。傾倒す

る。 @学問(がくむぬ)んかい引傾(ふぃっかたん)ちゅん。/学問に没頭する。 

➁一辺倒となる。

引込(ふぃっく)⁼ぬん@: (自 ⁼まん、⁼でぃ) 引っこむ。また、家などに引きこも

  る。 @目皮(みいがあ)引込(ふぃっく)ぬん。/疲労してまぶたがくぼむ。

引籠(ふぃっくむ)⁼ゆん@: (自 ⁼らん、⁼てぃ) 引きこもる。 @家(やあ)なか

い引籠(ふぃっくむ)てぃ何処(まあ)んかいん出(ぃん)じらん。/家に引きこも

ってどこにも出ない。

引提(ふぃっさ)ぎ⁼ゆん@: (他 ⁼らん、⁼てぃ) ひっさげる。さげて持つ。

引裂(ふぃっさ)⁼ちゅん@: (他 ⁼かん、⁼ち) 引き裂く。

筆算(ふぃっさん)⓪: (名)[筆算] 読み書きそろばん。 ※「筆算」のもともとの

意味は、文筆と計算である。

薄(ふぃっ)さん⓪: (形) 薄い。(厚み・温度が)薄い。 @紙(かび)ぬ薄(ふぃ

っ)さん。/紙が薄い。 @髪(からじ)ぬ薄(ふぃっ)さん。/髪が薄い。 @御

茶(うちゃ)ぬ薄(ふぃっ)さん。/お茶が薄い。

筆算人(ふぃっさんにん)@; (名) 平民で学問のある人。、平民で読み書きそろばん

などのできる人。

筆者(ふぃっしゃ)⓪: (名) [筆者]役職名。王府の役所[(評定所(ひょおじょお

じゅ)など]の書記官。

フィッスイ@: (副) ぴくん。ずきん。どきん。ぎくり。

フィッスイフィッスイ@: (副) ぴくんぴくん。動脈が動くさま。また、ずきんずき

ん。脈打つように痛むさま。また、どきんどきん。非難などが胸にこたえるさま。 @

泉門(ひゅうるち)ぬフィッスイフィッスイ。/ひよめきがぴくんぴくん。 @歯(は

あ)ぬ痛(や)でぃフィッスイフィッスイ為(しゅ)ん。/歯がずきんずきんと痛む。 

@胸(んに)ぬフィッスイフィッスイ為(しゅ)ん。/胸がどきんどきんする。胸が

ぎくりとする。

フィッスイ目化(みか)⁼しゅん@: (自 ⁼さん、⁼ち) ぴくんとする。ずきんと痛む。

どきんとする。ぎくりとする。

引手繰真手繰(ふぃったくまったく)⓪: (副) ぺちゃくちゃ。おちゃべりするさま。 

  @引手繰真手繰(ふぃったくまったく)為(しゅ)ん。/※動詞化。

引手繰(ふぃったく)⁼ゆん@: (他 ⁼らん、⁼てぃ) ひったくる。荒々しく奪い取る。

日一日(ふぃっちい)⓪: (名) 一日。また、一日中。終日。月の第一日は、月立(つ

ぃいたち)。 @日一日(ふぃっちい)や事毎(くうとぅぐうとぅ)温(ぬく)ばあゆ

ん。/日一日と暖かくなる。 *混効験集:乾巻・時候に、ひつちへちやはる、とあ

る。

日一日越(ふぃっちいぐ)しい⓪: (名) 一日おき。隔日。

日一日(ふぃっちい)仕口(しくち)⓪: (名) 一日仕事。朝から晩までかかる量の

仕事。

日一日畑(ふぃっちいばる)う⓪: (名) 一日がかりの畑仕事。畑に出たまま、一日

家に帰らずにする畑仕事。遠くに畑のある者が昼の弁当持参でそうする。

日一日(ふぃっちい)夜一日(ゆっちい)⓪: (名) 一日中。朝から晩まで。ひねも

す。多くは悪い意味の時いう。 @日一日(ふぃっちい)夜一日(ゆっちい)物(む

ぬ)読(ゆ)ぬん。/朝から晩までおしゃべりする。

振返(ふぃっちぇ)え⁼しゅん@: (自 ⁼さん、⁼ち) (病気が)ぶりかえす。振(ふ) 

い返(けえ)しゅん、振返(ふっちぇ)えしゅん、ともいう。 @病(やんめ)えぬ

振返(ふぃっちぇ)えしゅん。/病気がぶりかえす。

転返(ふぃっちぇ)え⁼ゆん@: (自 ⁼らん、⁼てぃ) ひっくり返る。 @目(みい)

  転返(ふぃっちぇ)えらしゅん。/目を回す。気絶する。 

引合(ふぃっちゃ)あ⁼しゅん@: (他 ⁼さん、⁼ち) 引合(ふぃちゃ)あしゅん、と

同じ。

引上立(ふぃっちゃてぃ)⁼ゆん@: (他 ⁼らん、⁼てぃ) @ひっさげるようにして持

ち上げる。重い物を地面から持ち上げる場合などにいう。 ➁(金などを)一時的に

借りる。 @百貫(ひゃっくぁん)許(びけ)えん引上立(ふぃっちゃてぃ)らち呉

(くぃ)らんな。/銭100貫ばかり一時貸してくれないか。

引上立(ふぃっちゃてぃ)るう⓪: (名) @一時的に金を借りること。一時的に金を

融通してもらうこと。 ➁方々で金を借り歩くもの。

引上立(ふぃっちゃてぃ)るう新引(にいび)ち⓪: (名) 本人に相談なく不意に嫁

  がせる結婚。金銭などを受け取って出戻りの女を老人に嫁がせる場合などに多い。

引切(ふぃっち)⁼ゆん⓪: (他 ⁼らん、⁼っち) @引き切る。引きちぎる。 @綱(つ

ぃな)引切(ふぃっち)而居(ちょお)ん。/綱を引きちぎっている。 ➁(金銭・

品物などを)切らす。@銭(じん)引切(ふぃっち)而居(ちょお)ん。/金を切ら

している。

比較(ふぃっちょお)⓪: (名) 比較。比べること。 @富貴(ぅうぇえき)ん人(ち

ゅ)とぅ貧相者(ふぃんすうむん)とぅ比較(ふぃっちょお)や成(な)らんさ。/

金持ちと貧乏人と比較はできないよ。 @「較」の北京音は、「jiao」である。

引散(ふぃっち)ら皮散(かあち)ら⓪: (副) 切らしがちなさま。(金銭・品物など

が)不足がちなさま。 @引散(ふぃっち)ら皮散(かあち)ら為(しゅ)ん。/切

らしがちである。

引切(ふぃっち)ら⁼しゅん@: (他 ⁼さん、⁼ち) (金銭・品物などを)切らす。

引切(ふぃっち)り算明(ざんみん)⓪: (名) こま切れの計算。ぱらぱらの能率の

悪い計算。

引切(ふぃっち)り所帯(じゅうてえ)⓪: (名) 生活費などが不足がちの所帯。金

  を切らしがちな所帯。また、毎日金が小きざみに入るような所帯。

引切(ふぃっち)り引切(びっち)り⓪: (副) @切れ切れ。いくつにも小さく切れ

たさま。 ➁小きざみ。細かく切りきざむさま。また、(金などを)少しずつ支出する

さま。

引切(ふぃっち)り⁼ゆん@: (自 ⁼らん、⁼てぃ) (金銭や品物が)切れる。

引付(ふぃっつぃ)き⁼ゆん@: (他 ⁼らん、⁼てぃ) ひっつける。くっつける。

引手(ふぃってぃ)⓪ん無(ねえ)ん⓪: (句) (子供が一人で遊び)世話が要らな

い。 @彼(あ)ぬ童(わらべ)え引手(ふぃってぃ)ん無(ねえ)ん。/あの子は

世話がやけない。

引飛抜(ふぃっとぅぬ)が⁼しゅん@: (自 ⁼さん、⁼ち) けし飛ぶ。また、不意に行

  ってしまう。

引取(ふぃっとぅ)⁼ゆん@: (他 ⁼らん、⁼てぃ) 強く取る。残らず取る。取ってし

  まう。

引張(ふぃっぱ)い皮張(かあぱ)い⓪: (副) (着物・皮膚などが)引きつったさ

ま。 @着物(ちん)ぬ引張(ふぃっぱ)い皮張(かあぱ)い為居(しょお)ん。/

引っ張られたような着物の着かたをしている。

逼迫(ふぃっぱく)⓪: (名) 逼迫。貧乏で困窮すること。 @逼迫(ふぃっぱく)

  為居(しょお)ん。/貧乏で生活に苦しんでいる。

引張(ふぃっぱ)⁼ゆん@: (他 ⁼らん、⁼てぃ) @引っ張る。 ➁着物にのりをつけ

てピンとさせる。着物をきちんと、さっぱりと着る。萎(しく)たゆん、の対。 B

転じて、派手にする。羽振りよくする。威勢よくする。 @引張(ふぃっぱ)てぃ歩

(あっ)ちゅん。/羽振りよく暮らす。 

日照(ふぃでぃ)り@: (名) 日照り。旱魃。干合(ひゃあ)い、ともいう。

人(ふぃとぅ)@: (名)[文] 人。口語は、人(っちゅ)。 @人(ふぃとぅ)ぬ心

  (くくる)。/人の心。

辺戸(ふぃどぅ)@: (名) 辺土岬。沖縄本島北端の岬。また、辺戸。 ※「へど」、

国頭郡国頭村にある。 *おもろさうし・922に、へと、とある。

日取(ふぃどぅ)い@: (名) 日取り。移転・結婚・願かけ・普請・かまど作りなど

について吉日を選ぶこと。

一(ふぃとぅ)つぃ@: (名)[文] 一つ。口語は、一(てぃい)つぃ。 @渡海(と

ぅけ)や隔(ふぃざ)みてぃん照(てぃ)る月(つぃち)や一(ふぃとぅ)つぃ。[渡

海や隔めても 照る月や一つ]海はへだてても照る月は一つ。

人盗人(ふぃとぅぬすどぅ)@: (名)[文] 人さらい。人盗人(っちゅぬすどぅ)の

  文語。

人紛(ふぃとぅまげ)え@: (名)[文] 人違い。口語は、人紛(っちゅまげ)え、人

間違(っちゅばっぺ)え。 @人紛(ふぃとぅまげ)や有(あ)らに見(み)ずぃ知

(し)らずぃ里前(さとぅめ)。[人まがひやあらに 見ず知らず里前(手水之縁)]人

違いではありませんか、見ず知らずのお方。 ※手水之縁(てみずのえん)は、平敷

屋朝敏(へしきやちょうびん)作の組踊である。

人勝(ふぃとぅまさ)い⓪: (名)[文] 人にまさっていること。 @里(さとぅ)や

花盛(はなざか)い人勝(ふぃとぅまさ)い有(や)りば。[里や花盛り 人まさりや

れば(手水之縁)]恋しいあのかたは若い花盛りで、人よりもすぐれているから。 ※

手水之縁(てみずのえん)は、平敷屋朝敏(へしきやちょうびん)作の組踊である。

変(ふぃな)あ⓪: (名) すね者。ひねくれ者。変為(ふぃんしゃ)あ、ともいう。

日半(ふぃなか)@: (名) 半日。

日半(ふぃなか)仕事(しぐとぅ)@: (名) 半日仕事。

雛型(ふぃながた)⓪: (名) @雛型。実物の模型。 ➁手本。様式。書式。 ※雛

  (ひな)は、「ひよこ」のことではなく、単に「小さい」という意味のようである。

辺名地(ふぃなじ)⓪: (名) 辺名地。 ※「へなち」「へなじ」、国頭郡本部町の地

  名。「へなち」、「へなじ」両方の呼び方があるようである。

減成(ふぃな)⁼ゆん@: (自 ⁼らん、⁼てぃ) 減る。少なくなる。また、摩滅する。 

@腹(わた)ぬ減成(ふぃな)ゆん。/腹が減る。 @減成(ふぃな)らしゅん。/

減らす。

丙(ふぃにい)⓪: (名) ひのえ(丙)。十干の第三位。

捻(ふぃに)⁼ゆん⓪: (他 ⁼らん、⁼てぃ) ひねる。ねじる。縒る。 @紙縒(こお

うぃいるう)捻(ふぃに)ゆん。/こよりをよる。 ※縒(よ)る、と読む。

火(ふぃ)ぬ神(かん)⓪: (名) 火の神。かまどの神。御三(うみ)つぃ者(むん)、

ともいう。

辺野古(ふぃぬく)⓪: (名) 辺野古。 ※「へのこ」、名護市の地名。

檜(ふぃぬち)⓪: (名) 檜(ひのき)。

丁(ふぃぬとぅ)⓪: (名) ひのと(丁)。十干の第四位。 ※沖縄語辞典、ひとの、

  となっている。

日延(ふぃぬ)び@: (名) 日延べ。延期。

火鉢(ふぃばち)⓪: (名) 火鉢。たばこ用の小さなものには、熾(うち)り取(と

ぅ)い、または、火取(ふぃいとぅ)い、という。

火花(ふぃばな)⓪: (名) 火花。火の子。

干割(ふぃば)り@: (名) @干割れ。亀裂。ひび。 @干割(ふぃば)り入而居(い

ちょお)ん。/ひびが入っている。 ➁皮膚にできるひび。あかぎれ。

干割(ふぃば)り⁼ゆん@: (他 ⁼らん、⁼てぃ) ひびが入る。干割れる。 @踵(あ

どぅ)ぬ干割(ふぃば)り而居(とお)ん。/かかとが干割れている。 ※「干割る」

は、源氏物語にも見える古い言葉のようである。

日々(ふぃび)@: (名)[文] 日日。毎日。日常。口語は、日々(ふぃいびい)。 @

日々(ふぃび)ぬ営(いとぅな)みに引(ふぃ)かさりてぃ我身(わみ)ぬ拝(うぅ

が)み欲(ぶ)しゃ有(あ)てぃん自由(じゆ)や成(な)らん。[日日のいとなみに 

ひかされて我身の 拝みぼしやあても 自由やならぬ]毎日の暮らしに引きずられて、

わたしはお会いしたくても自由にはなりません。

干引(ふぃび)き⓪: (名) 干割(ふぃば)り、と同じ。ただし、おとなの使う語。

干引(ふぃび)ち、ともいう。

干引(ふぃび)き⁼ゆん⓪: (自 ⁼らん、⁼てぃ) 干割(ふぃば)りゆん、と同じ。

干引(ふぃび)ち⓪: (名) 干引(ふぃび)き[干割れ]と同じ。

響(ふぃび)ち⓪: (名)[新?] 響き。音響。

響(ふぃび)⁼ちゅん⓪: (自 ⁼かん、⁼ち) 響く。音が振動して伝わる。  

日歩(ふぃぶ)@: (名) 日歩。

蓽蕟(ふぃふぁつぃ)⓪: (名) 蓽菝(ひはつ)。胡椒に似た植物の名。実は芳香辛味

がある。中身(なかみ)ぬ吸(すぃ)い物(むん)[豚料理の一種]などに入れて食べ

る。

火放(ふぃふぁな)じ⓪: (名) 花火。多くは線香花火。

日干(ふぃぶ)し@: (名) 日干し。日の当たる所で干すこと。陰干(かあぎぶ)し、

の対。

暇(ふぃま)@: (名) 暇。 @暇(ふぃま)呉(くぃ)ゆん。/暇をやる。休暇を

やる。 @暇(ふぃま)出(ぃん)じゃしゅん。/暇を出す。解雇する。

暇為(ふぃまし)い者(むん)@: (名) ひま人。

日増(ふぃま)しに@: [文] 日増しに。日に日に。口語は、日々(ふぃいびい)。

暇(ふぃま)垂(だあ)り@: (名) 空しく暇をつぶすこと。空しく徒食すること。

賃金をかせげないでいること。

喘息(ふぃみち)@: (名) 喘息。 @喘息(ふぃみち)グスグス。/喘息で苦しむ

  さま。

喘息(ふぃみちゃ)あ@: (名) 喘息やみ。

日戻(ふぃむどぅ)い⓪: (名) 日帰り。

碑文(ふぃむん)⓪: (名) 碑文。金石文。

平癒(ふぃゆう)@: (名) 平癒。病気の全快。 @長患(ながわちゃれ)え為居(し

ょお)たすぃが平癒(ふぃゆう)為(しゃ)ん。/長く寝ていたが、全快した。

日雇(ふぃゆう)⓪: (名) 日傭とり。日雇い労働者。

干(ふぃ)⁼ゆん⓪: (他 ⁼らん、⁼っち) 干る。 @潮(うしゅ)ぬ干(ふぃ)ゆん。

/潮が干る。 @汁(しる)ぬ干(ふぃ)ゆん。/汁が干る。煮物の水分がなくなる。

放(ふぃ)ゆん⓪: (他 ⁼らん、⁼っち) ひる。 @鼻(はな)放(ふぃ)ゆん。/

くしゃみをする。 @屁(ふぃい)放(ふぃ)ゆん。/屁をひる。

減(ふぃ)ゆん@: (自 ⁼らん、⁼てぃ) 減る。 @減成(ふぃな)ゆん、ともいう。 

@債(すぃい)ぬ減(ふぃ)ゆん。/負債が減る。 @飯米(はんめえ)ぬ減(ふぃ)

ゆん。/食糧が減る。 @減(ふぃ)てぃ行(い)ちゅん。/減っていく。

経(ふぃ)ゆん@: (他 ⁼らん、⁼てぃ) 経る。経過する。 @代(でえ)経(ふぃ)

ゆん。/年代を経過する。世代を経る。

坂(ふぃら)@: (名) 坂。 「猶追ひて黄泉比良坂の坂本に到る時に(古事記上巻)」

の「比良」と関係ある語かと思われ、「比良」もまた坂の意であったかと思われる。ま

た、伊野波(ぬふぁ)ぬ石小坂(いしくびり)[伊野波の石くびり]、嶺間小坂(みに

まくびり)などの語の語末部分と関係あるか。なお、急坂(さくふぃら)[急な坂]と

いう語もある。 ※おもろさうしでは、「ひら」と単独では出てこず、「〜ひら」、とい

う形で出てくる。

平(ふぃら)あ@: (名) 平たいもの。

平川(ふぃらかあ)⓪: (名) 平川。 ※「ひらかわ」、南城市大里に、バス停名・公

民館名としては存在するが、住所名としては存在しないようである。

平皮麦(ふぃらかあむぢ)⓪: (名) 押し麦。

坂学校(ふぃらがっこお)@: (名) [平等学校]首里三平等(しゅいみふぃら)に

一つずつ計三つ置かれていた中等教育の学校。国学(くくがく)[大学相当]の下、村

学校(むらがっこお)[小学校相当]の上。

平(ふぃら)か⁼しゅん⓪: (他 ⁼さん、⁼ち) @平たくなる。ぺちゃんこになる。 ➁

疲れてすわり込んでしまう。

開(ふぃら)き⁼ゆん⓪: (自 ⁼らん、⁼てぃ) 開(ひら)ける。開化する。

疼(ふぃら)く⁼ぬん@: (自 ⁼まん、⁼でぃ) しびれる。 @足(ふぃしゃ)疼(ふ

ぃら)くぬん。/足がしびれる。 ※疼(ひひら)く、は共通語の古語である。中世

には、「ひいらく」、「ひいらぐ」、「ひびらく」の三つ語形があったらしい。日葡辞書補

遺には、「Fijraqu」、とある。

平組(ふぃらぐん)⓪: (名) [平組] @平組み。より糸三本を平たく編んだもの。  

➁清朝時代の中国男子の弁髪。 @唐(とお)や平組(ふぃらぐん)、大和(やまと)

お丁髷(かんぷう)、其有(さら)ば沖縄(うちな)ぬ片頭(かたかしら)。[唐や平組 

大和やかんぷう さらば沖縄の欹髻]唐は弁髪、大和はちょんまげ、そして沖縄のか

たかしら。 B[新]女学生などが三つ編みに編んで下げた髪。

平(ふぃら)さん@: (形) 平たい。平らである。また、押しつぶされて、ぺしゃん

こである。 @平(ふぃら)く居(いぃ)ゆん。/あぐらをかく。 @平(ふぃら)

く成侍(なやび)ら。/あぐらをかきましょう。

坂所(ふぃらじゅ)@: (名) [平等所] 廃藩前の役所の名。警察署・裁判所・刑

  務所を兼ねた役所。

平田(ふぃらた)⓪: (名) 平田。 ※「ひらた」、国頭郡金武町、うるま市与那城、

  沖縄市、南城市佐敷、および八重山郡竹富町にかつて存在した地名。

平地修補(ふぃらちしゅうふ)⓪: (名) 家屋などの解体修理。

開(ふぃら)⁼ちゅん⓪: (他 ⁼かん、⁼ち) 開く。 @墓(はか)開(ふぃら)ちゅ

ん。/(葬式などで)墓を開く。[墓(はか)開(あ)きゆん、ともいえる。] @御

重(うじゅう)開(ふぃら)ちゅん。/重箱(のごちそう)を開く[御重(うじゅう)

開(あ)きゆん、とはいわない。]

平(ふぃら)ってえん@: (副) 平たく。平らに。ぺしゃんこに。ぺたんと。

坂(ふぃら)ぬ側(すば)@: (名)[古] [平等の側]廃藩前の役名。法務長官にあ

たる。十五人衆(じゅうぐにんしゅう)、のひとり。 @坂(ふぃら)、は首里をさす

言葉のようである。

平貫(ふぃらぬ)ち@: (名) 筬(おさ)に経糸を二本ずつ通して織った普通の布。

筬目(うしゃあみい)[四本ずつ通したもの]の対。 *混効験集:乾巻・衣服に、ひ

らぬき、とある。

平葉草(ふぃらふぁぐさ)⓪: (名) おおばこ(車前草)。薬草として、煎じて飲んだ

り、雑炊に入れて炊いたり、根太の吸い出し膏薬にしたり、種々の病に効く。広葉草

(ふぃるふぁぐさ)、ともいう。

平松(ふぃらまあちゃ)あ⓪: (名) 平松(ふぃらまあつぃ)、と同じ。

平松(ふぃらまあつぃ)⓪: (名) 平松。枝が低く平らに広がった松。 @大山(う

やま)平松(ふぃらまつぃ)ぬ枝持(ゆだむ)ちぬ清(ちゅ)らさ、大山(うやま)

美童(みやらび)ぬ手振(てぃふ)い清(ぢゅ)らさ。[大山平松の 枝持ちの清らさ 

大山みやらべの 手振り清らさ]大山の平松の枝ぶりは美しく、大山の乙女の踊る手

振りは美しい。

平(ふぃら)み⁼ゆん@: (他 ⁼らん、⁼てぃ) 平らにする。平たくする。 @耳(み

み)平(ふぃら)みゆん。/耳をすます。耳を傾ける。また、(動物などが)耳をたて

る。

平筵(ふぃらむしる)⓪: (名) おおたにわたり。暖国の陰地に産する水龍骨科貫衆

(やぶそてつ)属の植物。 ※水龍骨(すいりゅうこつ)と読むようである。貫衆(か

んじゅう)は漢名、貫衆(やぶそてつ)は和名。オオタニワタリは、見た目は平たい

筵という感じではない。葉をたくさん集めて筵のように敷いたのであろうか。

平筵(ふぃらむしる)う⓪: (名) 平筵(ふぃらむしる)、と同じ。

坂役人(ふぃらやくにん)@: (名) [平等役人]坂所(ふぃらじゅ)[平等所]に勤

  める役人。 ※沖縄語辞典、「務める」となっている。

平焼(ふぃらやち)い⓪: (名) 料理名。芋葛(ぅんむくじ)平焼(ふぃらやち)い、

と同じ。

謙合(ふぃら)⁼ゆん⓪: (他 ⁼あん、⁼てぃ) つきあう。交際する。また、(目上に)

仕える。謙(へ)り合う意か。 @人(っちゅ)謙合(ふぃら)ゆん。/人とつきあ

う。 @夫(うぅとぅ)謙合(ふぃら)ゆん。/夫に仕える。 @謙合(ふぃら)ゆ

る姑(しとぅ)ん居(うぅ)らん。/仕えるべき姑もいない。

平(ふぃら)ん⓪: (名) 平(ふぃら)ん飯(めえ)、と同じ。

平(ふぃら)ん米(めえ)⓪: (名) 麦飯。大麦の押し麦だけをたいたものをいう。

縁(ふぃり)⓪: (名) @へり。ふち。 ➁畳のへりの布。

減(ふぃ)り@: (名) 減り。減ること。 @此(く)ぬ米(くめ)え減(ふぃ)り

ぬ無(ねえ)らん。/この米は(精米して)減りが少ない。

拾(ふぃ)りいん喰(が)み⓪: (名) つまみ食い。拾って食う意。

縁込(ふぃりく)⁼ぬん⓪: (自 ⁼まん、⁼でぃ)入りびたる。 @人(っちゅ)ぬ家(や

  あ)なかい縁込(ふぃりく)ぬん。/人の家に入りびたる。

縁籠(ふぃりくま)⁼ゆん@: (自 ⁼らん、⁼てぃ) (遊里などに)入りびたる。流連

する。 @女郎(ずり)ぬ家(やあ)なかい縁籠(ふぃりくま)ゆん。/遊郭に入り

びたる。 ※流連荒亡(りゅうれんこうぼう)は、孟子に見える言葉である。

干(ふぃ)り潮(しゅ)⓪: (名) 干潮。干(ふぃ)い潮(しゅ)、また引(ふぃ)ち

  潮(しゅ)、ともいう。

放(ふぃ)り放(ふぃ)りい⓪: (副) 下痢するさま。<放(ふぃ)ゆん。 @放(ふ

  ぃ)り放(ふぃ)りい為(しゅ)ん。/下痢する。

放(ふぃ)り放(ほお)⁼ゆん⓪: (他 ⁼らん、⁼てぃ) (屁などを)ひり散らす。や

たらに屁をする。

拾(ふぃ)⁼りゆん@: (他 ⁼りらん、⁼ってぃ) 拾う。拾(ふぃ)らゆん、とはあま

  り言わない。 @銭(じん)拾(ふぃ)りゆん。/金を拾う。

尋(ふぃる)⓪: (名) @尋。長さの単位。昔は布の長さ、井戸の深さなどすべて尋

で計った。 @此(く)ぬ布(ぬの)お尋(ふぃる)ぬ余而居(あまとお)ん。/こ

の布は長さがたっぷりある。 ➁(接尾)尋。 @一尋(ちゅふぃる)、二尋(たふぃ

る)など。 ※一尋(ひとひろ)は、両手を左右に広げた時の両手先の間の距離で、

英語の「fathom」に相当する。一尋を六尺とすると、およそ、1.8メートルとなり、

1fathomとほとんど同じ長さである。

蒜(ふぃる)@: (名) 大蒜(にんにく)。

昼(ふぃる)@: (名) 昼。日中。

披露(ふぃるう)⓪: (名) [披露]訴訟。裁判に訴えること。 @披露(ふぃるう)

  為(しゅ)ん。/訴訟する。 

広々(ふぃるうびるう)@: (副) 広々と。 @広々(ふぃるうびるう)為居(しょ

  お)ん。/広々としている。

広(ふぃる)がい@: (名) @広がり。 ➁子孫がふえ栄えること。 @一人子(ち

ゅいんぐぁ)ぬ広(ふぃる)がい。/一人っ子からたくさんの子孫ができ、栄えるこ

と。

広(ふぃる)が⁼ゆん@: (自 ⁼らん、⁼てぃ) 広がる。広くなる。また、蔓延・伝播・

流布する。また、(子孫が)広がる。繁殖する。
広(ふぃる)ぎ⁼ゆん@: (他 ⁼らん、⁼てぃ) 広げる。 @御中括(うちゅくぃ)い

広(ふぃる)ぎゆん。/ふろしきを広げる。 @子孫(っくぁぅんまが)広(ふぃる)

ぎゆん。/子孫を繁殖させる。

蒜臭(ふぃるぐさ)さん⓪: (形) なま臭い。魚特有のにおいがする。

蒜腐(ふぃるぐさ)り物(むん)⓪: (名) なま臭いもの。魚特有の悪臭を放つもの。

広(ふぃる)さん⓪: (形) 広い。(空間・交際・知識・心などが)広い。狭(しば)

さん、の対。

広地(ふぃるじ)⓪: (名) 広い場所。広場・広間など。

昼中(ふぃるじゅう)@: (名) 昼中。終日。

尋(ふぃる)⁼じゅん⓪: (他 ⁼がん、⁼じ) 布の長さなどを尋で計る。 @布(ぬぬ)

尋(ふぃる)じゅん。/布の長さを尋で計る。 @幾程(ちゃっさ)が有(あ)ら尋

(ふぃる)じ見(んん)でえ。/何尋あるか計って見ろ。

広葉草(ふぃるふぁぐさ)⓪: (名) 広葉草(ふぃらふぁぐさ)、と同じ。

昼間(ふぃるま)⓪: (名) @午後。昼過ぎ。 ➁昼間物(ふぃるまむん)[午後の食

事]の略。

昼間御盆(ふぃるまうぶん)⓪: (名) 昼間物(ふぃるまむん)[午後にとる軽食]の

  敬語・丁寧語。

怪(ふぃるま)しゃん⓪: (形) 不思議である。怪しい。奇妙である。いぶかしい。

  珍しい事件などについていう。 @怪(ふぃるま)しい事(くとぅ)。/不思議なこと。

珍しい、怪しい事。 ※日本書紀に、「恠(ひるま)し」とあり、関係のある語である

というのが伊波普猷の説である。「恠」は「怪」の別字体である。 *混効験集:坤巻・

言語に、ひろましや、とある。

昼間物(ふぃるまむん)⓪: (名) 午後(3時ごろ)する食事。労働をする者などが、

早朝物(すとぅみてぃむん)[朝飯]、朝飯(あさばん)[昼飯]、夕飯(ゆうばん)[夕

飯]の三食のほかに、午後にとる軽い食事。丁寧には、昼間御盆(ふぃるまうぶん)、

御昼間御盆(みふぃるまうぶん)、という。

広(ふぃる)ま⁼ゆん⓪: (自 ⁼らん、⁼てぃ) 広まる。普及する。あまねく伝わる。

広(ふぃる)み⁼ゆん⓪: (他 ⁼らん、⁼てぃ) 広める。拡張・宣伝・流布する。

触合(ふぃれ)え⓪: (名) 付き合い。交際。また、目上へ仕えること。<触合(ふ

ぃら)ゆん。複合語は、触合(びれ)え、の項参照。 *混効験集:坤巻・言語に、

へらいぼしや、とあり、ぼしやは、欲しや、である。 *おもろさうし・274に、

へらい、とある。

触合(ふぃれ)え苦(ぐ)りい⓪: (名) 付き合いにくい者。気むずかしい者。

触合(ふぃれ)え苦(ぐ)りさん⓪: (形) 付き合いにくい。気むずかしく、交際し

にくい。

触合(ふぃれ)え人数(にんず)⓪: (名) 付き合っている人びと。日ごろ、交際し

  ている人々。

触合(ふぃれ)え安(やっ)さん⓪: (形) 付き合いやすい。気安い。心安い。

変(ふぃん)⓪: (名) 変。おかしいこと。また、すねること。反対。 @彼(あ)

れえ此(く)ぬ頃(ぐる)変(ふぃん)どお。/彼はこのごろ変だぞ。 @変(ふぃ

ん)な者(むん)。/変なもの。また、すね者。ひねくれ者。変(ふぃな)あ、変為(ふ

ぃんしゃ)あ、ともいう。 @変(ふぃん)為(しゅ)ん。/すねる。ひねくれる。

辺(ふぃん)@: (名) 辺。あたり。 @何処(まあ)ぬ辺(ふぃん)が。/どの辺

か。

捻(ふぃん)‐: (接頭) 動詞につき、急に・はげしくなどの意をあらわす。 @捻

(ふぃん)捩(むでぃ)ゆん[強くつねる、ひんねじる]、捻(ふぃん)曲(ま)がゆ

ん[ひん曲がる]、捻(ふぃん)飛(とぅ)び[ふっ飛ぶこと]など。

鍋黒(ふぃんが)あ@: (名) (顔などに)垢がたまっているもの。

鍋黒(ふぃんが)あ猫(まやあ)@: (名) 鍋黒(ふぃんが)あ、と同じ。まやあ、

は猫。猫はしょっちゅう顔を洗っているので、猫の顔はいつもよごれていると見たの

であろう。

逃(ふぃん)が⁼しゅん⓪: (他 ⁼さん、⁼ち) @のがす。逃がす。 ➁(子供などを)

死なす。平民が使う。 @童(わらば)あ逃(ふぃん)がしゅん。/子供を死なす。

死(し)なしゅん、をさけて言ったもの。

彼岸(ふぃんがん)⓪: (名) 彼岸(ふぃがん)、と同じ。

逃(ふぃん)ぎ馬(ぅんま)⓪: (名) 放れ馬。逃げ出した馬。

逃(ふぃん)ぎ回(まあ)い⓪: (名) 逃げ回ること。仕事から逃げ回る場合などに

  いう。 @逃(ふぃん)ぎ回(まあ)い為(しゅ)ん。/※動詞化。

逃(ふぃん)ぎ⁼ゆん⓪: (自 ⁼らん、⁼てぃ) 逃げる。

鍋黒(ふぃんぐ)@: (名) 垢。「へぐろ」(九州方言、鍋黒の意)に対応する語か。 

@鍋黒(ふぃんぐ)付(つぃ)ちゅん。/垢が付く。 @鍋黒(ふぃんぐ)ぬ溜(た)  

まてぃ箆(ふぃいら)さあいどぅ起(う)くしゅる。/垢がたまってへらで起こすほ

どだ。 *混効験集:坤巻・言語に、へんご、とある。

鍋黒(ふぃんぐ)様書(よおが)ち@: (副) 垢だらけ。垢がたまったさま。まだら

  によごれたさまは、綾書(あやが)ち交書(こおが)ち、という。

返返(ふぃんけ)え@: (名) 口答え。目上への反抗的な返答。 @返返(ふぃんけ)

え為(しゅ)ん。/※動詞化。

変為(ふぃんしゃ)あ⓪: (名) ひねくれ者。すね者。変(ふぃな)あ、と同じ。

貧相(ふぃんすう)⓪: (名) 貧乏。

貧相暮(ふぃんすうぐ)らし⓪: (名) 貧乏暮らし。

貧相者(ふぃんすうむん)⓪: (名) 貧乏者。富貴(ぅうぇえき)ん人(っちゅ)[金

持ち]の対。 @貧相者(ふぃんすうむん)ぬ鷹(たか)貰(いぃ)いたん如(ねえ)。

/貧乏人が鷹をもらったよう。大変な喜び方の形容。鬼の首を取ったよう。鷹は富貴

な人のものとされるのでこういう。

返済(ふぃんせえ)@: (名) 返済。借金を返すこと。 @返済(ふぃんせえ)為(し

  ゅ)ん。/※動詞化。

変気(ふぃんち)⓪: (名) 急に気が変わって反抗的になること。人・馬などが、急

に不機嫌になること。 @変気(ふぃんち)為(しゅ)ん。/急に気が変わって怒り

だす。 @変気(ふぃんち)な者(むん)。/急に不機嫌になる者。

変気者(ふぃんぢむん)@: (名) 反逆者。また、不良。村の総意に従わないならず

  者など。

変気(ふぃんちゃ)あ馬(ぅんま)⓪: (名) 怒って人にかみついたりする馬。暴れ

やすい馬。

逃(ふぃん)ぢ⁼ゆん⓪: (自 ⁼らん、⁼てぃ) 逃(ふぃん)ぎゆん、と同じ。

弁当(ふぃんとぅ)⓪: (名) つと。わらづと。持ち運ぶために、食物を藁・芭蕉の

葉などで包んだもの。つとにした弁当。首里では、弁当(びんとお)、ということが多

い。 ※苞(つと)と書く。万葉集には「都刀(つと)」とある。弁当は、面桶(めん

とう・めんつう)の転らしい(大言海)。

辺土名(ふぃんとぅな)⓪: (名) 辺土名。 ※「へんとな」、国頭郡国頭村の地名。

速飛(ふぃんとぅ)び⓪: (名) ふっ飛ぶこと。すっ飛ぶこと。 @速飛(ふぃんと

  ぅ)び為(しゅ)ん。/ふっ飛ぶ。すっ飛ぶ。

返答(ふぃんとお)@: (名) 返答。

昼寝(ふぃんな)あ@: (名) 昼寝ばかりする者。

昼寝(ふぃんに)@: (名) 昼寝。 @昼寝(ふぃんに)為(しゅ)ん。/※動詞化。

抜逃(ふぃんぬ)が⁼しゅん⓪: (他 ⁼さん、⁼ち) すり抜けさせる。すり抜けられて

  逃がす。

抜逃(ふぃんぬ)ぎ⁼ゆん⓪: (自 ⁼らん、⁼てぃ) すり抜ける。すり抜けて逃げる。

返弁(ふぃんびん)⓪: (名) 返弁。返済。 @返弁(ふぃんびの)お早(ちゃあ)

  き早(ちゃあ)き。/借りたものを返すのはできるだけ早く。

屏風(ふぃんぷん)⓪: (名) 家の前にある塀。門前から家の中を見透かされるのを

防ぐためのもので、石をたてたものも、竹垣(ちにぶ)[竹で編んだもの]を使ったも

のもある。 ※屏風の北京音は、「ピンフォン」である。

捻曲(ふぃんま)が⁼ゆん⓪: (自 ⁼らん、⁼てぃ) ひん曲がる。強く曲がる。

捻捩(ふぃんむ)でぃ⁼ゆん⓪: (他 ⁼らん、⁼てぃ) 強くねじる。強くつねる。

返礼(ふぃんりい)@: (名) 返礼。お返しを贈ること。 @返礼(ふぃんりい)為

  (しゅ)ん。/※動詞化。