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し
思案(しあん)@: (名)[文] 思案。 @渡(わた)い悔(く)やむな思案橋(しあ
んばし)。/渡ってくやむな思案橋(その先は遊郭)。
思案事(しあんぐとぅ)@: (名) 思案事。思案するような事。
しい@: (感) しい。はい。牛馬などを追い進める声。
四(しい)⓪: (名) 四。普通は、四(ゆう)つぃ、という。
椎(しい)⓪: (名) 椎。しいのき。実は炒って食用にする。山原椎(やんばるしい)、
というように、山原に多い。 ※「椎の花人もすさめぬにほひ哉」、与謝蕪村。 ※万
葉集・142、「家にあれば笥(け)に盛る飯(いひ)を草枕旅にしあれば椎(しひ)
の葉に盛る」。
小便(しい)⓪: (名・感) おしっこ。しい。小便の小児語。また、小児に小便をう
ながす語。
債(しい)⓪: (名) 債。負債。債務。借金。 負値(うっか)、ともいう。
瀬(しい)@: (名) [瀬]岩。 共通語の瀬は浅くて徒歩で渡れるところのことで
あるが、琉球語は違う意味のようである。
姓(しい)@: (名・接尾)姓。唐姓をいう。氏(うじ)、ともいう。尚氏(しょおしい)、
など。
精(しい)@: (名) 精力。元気。勢い。 @精(しい)付(つぃ)ちゅん。/勢い
がつく。精がつく。回復期の病人・農作物などが元気よく、勢いがつくのをいう。 @
精(しい)脱(ぬ)ぎゆん。/勢いが抜ける。精が抜ける。元気がなくなる。 *お
もろさうし・992に、しひ、とある。
勢・背(しい)@: (名) 背たけ・身の大きさの意か。勢、すなわち生きのよいこと
の意かもしれない。次の句でいう。 @鶏(とぅい)買(こお)らあ数(かずぃ)買
(こお)り魚(いゆ)買(こお)らあ背(しい)買(こお)り。/鶏を買うなら数を
買え(若鳥を何匹も買った方がよい)、魚を買うなら大きいのを買え(小魚を何匹も買
うよりいい)。
子(しい)@: (名) [子] @筑登之筋目(ちくどぅんすぃじみ)の士族の男子。
15歳以上の男子で、おそくとも25歳ころまでに、筑登之(ちくどぅん)になる。
@森川(むりかわ)ぬ子(しい)[森川之子]組踊の名。「花売之縁」の別名。 ➁士
族男子(20歳以上)をいう。 ※子(し)は、「子いわく」の「子」で、もともとは、
男子に対する敬称である。
地(じい)⓪: (名) 地。土地。地面。陸地。地所。領地。 @地(じい)ぬ御神(う
かみ)。/地の神。地面・地所をつかさどる神様。屋敷には四隅と中央と不動(便所)
の地の神があり、墓地には左右両側に地の神が祭られている。
字(じい)⓪: (名) @字。文字。 ➁筆跡。 @此(く)れえ誰(たあ)字(じい)
が。/これは誰の書いた字か。
髄(じい)@: (名) @髄。骨の髄。また、骨の中の中空の部分。 ➁植物の茎、幹
の中央の部分。 @竹(だき)ぬ髄(じい)。/竹の幹の中空の部分。
義(じい)@: (名) 義。正義。正しいこと。
痔(じい)@: (名) 痔。
髄油(じいあんだ)@: (名) 骨の髄にある油。
精一杯(しいいっぺえ)⓪: (名) 精一杯。力の限り。もうこれ以上できないという、
否定的な意味で用いる。 @精一杯(しいいっぺえ)為居(しょお)ん。/精いっぱ
いやっているのだ。もうこれ以上はできない。
債求(しいいみ)やあ⓪: (名) 借金取り。債鬼。しい、は債。いみやあ<求(いみ)
ゆん[催促する]。
為出(しいぃん)じゃ⁼しゅん@: (他 ⁼さん、⁼ち) もうける。働いて富を生み出す。
@商(あちね)え為出(しいぃん)じゃしゅん。/商売を大きくやってもうけ出す。
@貧相者(ふぃんすうむん)やすぃが為出(しいぃん)じゃち富貴(ぅうぇえき)し
ゃん。/貧乏者だが、もうけて富をなした。 @酒菜屋(さかなやあ)や為出(しい
ぃん)じゃし安(やっ)さる商(あちねえ)やくとぅ止(や)みらんさ。/料理屋は
もうけやすい商売だからやめないよ。
為疲(しいうた)い@: (名) 過労。
地謡(じいうて)え⓪: (名) 地謡。沖縄の組踊りや舞踊では地謡は舞台には出ない。
為終(しいう)わ⁼ゆん@: (他 ⁼らん、⁼てぃ) し終わる。なしとげる。
地喰(じいくぁ)あ喰(くぁ)あ⓪: (副) 顔が地面すれすれになるさま。腰のひど
く曲がった老人の歩き方などにいう。地食おう食おうの意。
為掛(しいか)き@: (名) 仕事のやりはじめ。また、やりかけ。 @為掛(しいか)
きやん。/やりかけだ。
字数(じいかじ)⓪: (名) 聞き分け。ものわかり。 @字数(じいかじ)ん聞(ち)
かん。/聞き分けがない。親のいうことを聞かない。字数(じいかじ)ん無(ねえ)
ん、ともいう。
地頭(じいがしら)⓪: (名) [地頭]首里の村頭(むらがしら)[その項参照]。
地(じい)カスィティラ⓪: (名) 菓子の名。カステラの一種。黒砂糖を入れて作る
ので色が黒い。
字書(じいか)ち⓪: (名) 書家。書のたくみな人。
為兼(しいがね)え⓪: (名) @いやがらせにすること。また、人に対して意地です
ること。為兼(しいがね)え為(しい)、ともいう。 @年寄(とぅしゅい)ぬ為召候
(しみしょお)んなんでぃ御宣(うんにゅ)きてぃん、為兼(しいがね)え為(っし)
為召候(しめせ)えくとぅやあ。/お年寄りがなさいますなと申し上げても、いやが
らせみたいにおやりになるからねえ。 ➁老人などがしなくてもよいことをして失敗
したり、怪我したり、病気したりすること。
為兼(しいがね)え為(しい)⓪: (名) 為兼(しいがね)ね、と同じ。 @為兼(し
いがね)え為(しい)どぅやる。/いやがらせだ。 @為兼(しいがね)え為(しい)
為(しゅ)ん。/※動詞化。
義悔(じいぐ・ぢいぐ)い@: (名) 不平。 @物(むん)ぬ義悔(じいぐ)い為(し
ゅ)ん。/食べ物の不平を言う。
強繰(しいく)い直(のお)り⓪: (名) 前後左右によろけること。
義悔(じいぐ)い火矢悔(ひゃあぐ)い@: (名) 不平ばかり言うこと。不平たらた
ら。 @義悔(じいぐ)い火矢悔(ひゃあぐ)いぬ多(うふ)さん。/不平が多い。
義悔(じいぐ)い者(むん)@: (名) 不平ばかり言う者。
強繰(しいく)い前繰(めえく)い⓪: (副) @ふらふら。よろよろ。よろめくさま。
➁負債などを負って、生活にあえぐさま。 @強繰(しいく)い前繰(めえく)い為
(しゅ)ん。/※動詞化。
地串(じいぐうし)⓪: (名) 地串の意。畑泥棒を防ぐためにすいか畑などに立てて
おく、先のとがった竹のくし。串(ぐし)、ともいう。
地串(じいぐし)⓪: (名) 地串(じいぐうし)、と同じ。
為草臥(しいくたん)でぃ@: (名) 過労。働き過ぎて疲れ果てること。
気強(じいぐふぁ)あ@: (名) 気むずかしや。不愛想者。強情者。木強(きごわ)
と似た語。 ※共通語に「義強(ぎごわ)」という語もある。
仕込(しいくみ)い⓪: (名) 何度かに食べる飯を一度に炊いておくこと。暇のない
労働者などがする。 @仕込(しいくみ)い為(しゅ)ん。/※動詞化。
義悔(じいぐ)やあ@: (名)義悔(じいぐ)い者(むん)、と同じ。
為返(しいけえ)⁼しゅん@: (他 ⁼さん、⁼ち) し直す。やり直す。
字指(じいさ)し⓪: (名) 字指(じさし)。子供などが三字経・小学など漢籍を習っ
て読む時、字をさすのに用いる細い竹製の道具。
獅子(しいし)⓪: (名) @獅子。獅子舞いの獅子をいう。人と遊ぶ動物とされ、猛
獣とされない。獅子舞いの獅子は芭蕉の糸で巧みに作られている。 @獅子(しいし)
返(けえ)らしゅん。/獅子舞いをする。獅子がひっくり返る動作が多いので、返(け
え)らしゅん、という。 ➁獅子舞い。村芝居で行われた。首里でも旧暦8月15夜
のころ各村で催された。
籡(しいし)⓪: (名) しんし(籡) 洗い張りの時、布を引っ張る道具。 ※「沖
縄語辞典」、「籡」の下が木へんとなっているが手へんの誤りである。籡は国字である。
政治(しいじ)⓪: (名)[新?] 政治。
しいしい@: (副) ふうふう。妊娠して、または太って苦しそうにあえぐさま。 @
大腹(うふわた)しいしい為居(しょお)ん。/大きなおなかをかかえて、ふうふう
いっている。
じいじい⓪: (副) よだれを流すさま。だらだら。 @涎(ゆだい)じいじい為(し
ゅ)ん。/よだれをだらだら流す。
籡口(しいしぐち)⓪: (名) しんし[籡(しいし)]の両端のとがったものがついて
いるところ。
為為様(しいしざま)@: (名) 起居振舞。挙動。
性質(しいしつぃ)⓪: (名) 性質。 @性質(しいしつぃ)ぬ悪(わっ)さん。/
性質が悪い。
政治向(しいじむ)ち⓪: (名)[新?] 政治の道。政治の行いかた。政治向きの意。
@政治向(しいじむ)ちぬ良(ゆ)う成而居(なとお)ん。/政治がよくなっている。
椎薪(しいじゃあ)⓪: (名) 植物名。椎。椎の木。主として、たきぎとして使う場
合にいう。
ジイジャア⓪: (名) ジイワジイワ(せみの一種)の小児語。
椎薪焚物(しいじゃあだむん)⓪: (名) 椎のたきぎ。
字面(じいじら・じいぢら)⓪: (名) @模様の形。字づらの転意か。 @古(ふる
こ)お成而居(なとお)すぃが、今(なま)字面(じいぢら)あ分(わ)かいせえ。
/古くはなっているが、まだ何の模様かはわかるのさ。 ➁道理。 @字面(じいぢ
ら)ん分(わ)からん物言(むぬい)い方(かた)。/道理のわからぬ口のききかた。
腎病(しいす)⓪: (名) 腎臓病。
精高(しいだか)さん⓪: (形) @霊力がある。神の霊を身につけている。気高い。
神々しい。 ➁神々しいようすである。寄りつけない感じをもつ。王・美人などにつ
いていう。
為来回(しいちゃめえ)⁼ゆん@: (他 ⁼らん、⁼てぃ) 仕事を次々にして行く。仕事
をどんどんかたづける。
為来有得(しいちろお)@: (名) やりかねない者。やりかねないこと。いかにもや
りそうなこと。賄賂など取りそうな者が、賄賂を取ったというような場合など、為来
有得(しいちろお)やさ[やりそうなことだ]という。よいことの場合にはあまりい
わない。
聖賢(しいちん)@: (名) 聖賢。教養ある人の用いる語。 @聖賢(しいちん)ぬ
教(うし)い。/聖賢の教え。
強(し)いてぃ⓪: (副) 強いて。無理に。 @強(し)いてぃ行(い)ちゅん。/
無理に行く。 @強(し)いてぃ為(し)みゆん。/強いてさせる。
生徒(しいとぅ)⓪: (名)[新] 生徒。明治の初め一時使われた語。生徒のことは、
元来は、学生(がくしょお)、といった。
勢頭(しいどぅ)⓪: (名) [勢頭]かしら。親分。頭目。下層階級の語。複合語に、
寄合(ゆれ)え勢頭(しいどぅ)[無尽講の頭目]、念仏達(にんぶんちゃあ)勢頭(し
いどぅ)[念仏宗乞食の頭目]など。
為倒(しいどお)り@: (名) 働き過ぎて倒れること。 @首里(しゅい)ん人(ち
ょ)お着倒(ちいどお)り、那覇(なあふぁ)ん人(ちょ)お喰(くぇ)え倒(どお)
り、泊(とぅまい)ん人(ちょ)お為倒(しいどお)り。/首里人は着倒れ、那覇人
は食い倒れ、泊人は働き倒れ。
地並(じいな)あ⓪: (名) ほたる。
地並(じいな)あ火(びい)⓪: (名) ほたる火。文語では、蛍火(ふたるび)、とい
う。
為成(しいな)し@: (名) 仕上げかた。やりかた。また、うまく仕上げること。じ
ょうずにやること。 @寂物(さびむん)やてぃん為成(しいな)しどぅやる。/貧
弱な材料でも、料理のやりかたでよくなる。材料よりも腕(諺)。 @為成(しいな)
しぬ無(ねえ)らん。/やりかたがまずい。
為成(しいな)⁼しゅん@: (他 ⁼さん、⁼ち) よく仕上げる。うまくする。家事・料
理・着付けなど、何でもうまくやることをいう。 @常時(ちゃあ)良(ゆ)う為成
(しいな)而居(ちょお)ん。/いつでもうまくやっている。
為慣(しいな)り⁼ゆん@: (自 ⁼らん、⁼てぃ) し慣れる。慣れて熟練する。やりつ
ける。
銭(じいぬ)う⓪: (名) 銭(じん)、の小児語。
芸能(じいぬう・ぢいぬう)⓪: (名) 芸能。音楽・舞踊その他の芸。 ➁転じて、
子供の芸。
芸能持(じいぬうむ)ち⓪: (名) 芸達者の人。多芸の人。
地(じい)ぬ主(ぬうし)⓪: (名) 地主。
為直(しいのお)し@: (名) し直し。やり直し。
為直(しいのお)しゅん@: (他 ⁼さん、⁼ち) し直す。やり直す。
小尿(しいばい)⓪: (名) 小便。 @小尿(しいばい)為(しゅ)ん。/小便する。
上流の婦人は、牛(うし)追(うう)ゆん[牛を追う]という。 ※共通語の古語、
尿(いばり)と関係のある語と思われる。
小尿香炉(しいばいぐうる)⓪: (名) 小便壷。
小尿包(しいばいづぃち)ん⓪: (名) 膀胱。小尿袋(しいばいぶくる)、ともいう。
小尿袋(しいばいぶくる)⓪: (名) 膀胱。小尿包(しいばいづぃち)ん、ともいう。
小尿破(しいばいやん)でぃ⓪: (名) 淋病。尿道炎。
強法度(しいはっと)お⓪: (名) 無理強い。人に、仕事・食物などを無理に強いる
こと。 @彼(あ)ん為(しい)ねえ強法度(しいはっと)お成(な)ゆん。/そう
すると無理強いになる。 @強法度(しいはっと)お為(しゅ)ん。/※動詞化。
為端(しいはな)@: (名) @煮てすぐの熱い食物。できたて。 ➁仕事などの、し
はじめ。
債払(しいばれ)え⓪: (名) 負債を返却すること。借金を返すこと。
宜保(じいぶ・ぢいぶ)⓪: (名) 宜保。 ※「ぎぼ」、豊見城市の地名。
着布(じいぶ・ぢいぶ)⓪: (名) @わらで作った網の袋。 ➁馬の口にかける袋。
農作物を食うことを防ぐためのもの。
結髪(じいふぁあ)⓪: (名) @かんざし。女が用いる。黄金結髪(くがにじいふぁ
あ)[金製。王妃・王女用]、銀結髪(なんじゃじいふぁあ)[銀製。士族女子用]、真
鍮結髪(ちじゃくじいふぁあ)[真鍮製。平民女子用]、竹結髪(だきじいふぁあ)[竹
製。喪中用]その他がある。 ➁三味線のねじ。形がかんざしに似ているのでいう。
捩(む)でぃ、絡繰(からく)い、ともいう。 ※結髪の北京音は、[jifa]であり、中
国語からの借用語と思われる。
精振(しいふ)い@: (名) 心振(しんぷ)い、と同じ。
精振(しいぷ)い@: (名) 心振(しんぷ)い、と同じ。
字引(じいふぃ)ち⓪: (名) 字引。辞書。
渋(しいぶ)う⓪: (名) しょげること。また、間の悪い思いをすること。 @渋(し
いぶ)う成(な)さりゆん。/間の悪い思いをさせられる。
渋(しいぶ)う返(げえ)い⓪: (名) しょげかえること。また、ひどく間の悪い思
いをすること。
義不義(じいふじ・ぢいふぢ)@: (名) 事のよしあし。是非。して良いこと悪いこ
と。 @義不義(じいふじ)ん分(わ)からん。/よしあしもわからない。
為欲(しいぶ)しゃ皇帝(ふんでえ)⓪: (名) したい放題。勝手気ままにすること。
儀保殿地(じいぶどぅんち・ぢいぶどぅんち)⓪: (名) [儀保殿内]首里三殿地(し
ゅいみとぅんち)[首里三殿内]の一つ。北(にし)ぬ坂(ふぃら)[西之平等]の吾
知(あむし)られ[あもしられ]のいる神の宮。
地船酔(じいぶねえ)い⓪: (名) (船酔いした者が)陸に上がってからも地が揺れ
る心地がしてふらつくこと。 @地船酔(じいぶねえ)い為(しゅ)ん。/※動詞化。
聖廟(しいびゅう)@: (名) 聖廟。孔子の廟。
随分(じいぶん)@: (副) [随分]大いに。あくまで。存分。 @汝(ぃやあ)事
(くとぅ)やらあ随分(じいぶん)為(しゅ)さ。/君のためならあくまでやるよ。
製法(しいほお)⓪: (名) 製法。作り方。
精這座(しいぼおざあ)⓪: (名) 植物名。つるそば。薬草の名。
地間(じいま)⓪: (名) つつじ科の植物の名。実を子供が取って食べる。
儀間(じいま)⓪: (名) 儀間。 ※「ぎま」、中頭郡読谷村の地名。
地豆(じいまあみ)⓪: (名) 落花生。南京豆。地豆の意。
清明(しいみい)⓪: (名) 清明。二十四節の一つ。沖縄で最も快適な季節である。
御清明(うしいみい)[清明祭]を行う。
蝉小(しいみいぐぁあ)⓪: (名) にいにいぜみ。
地米(じいめえ)⓪: (名) 地米。本土産の米をいう。もと、大和(やまとぅ)ん人
(ちゅ)、の語。唐米(とおぐみ)[外米]、島米(しまぐみ)[沖縄産米]に対する。
精藪(しいやあぶう)⓪: (名) 小児の遊戯の名。また、その時の歌の名。肘(ふぃ
いじ)ん平(とお)、ともいう。その項参照。
為安(しいやっ)さん@: (形) @しやすい。やりやすい。 ➁暮らしやすい。また
暮らしが楽である。 @今(なま)あ為安(しいやっ)さん。/今は暮らしが楽だ。
@為安(しいやっ)さ為居(しょお)ん。/安楽な暮らしをしている。
為破(しいやん)じ@: (名) しくじり。やりそこない。失敗。
為破(しいやん)じ事(ぐとぅ)@: (名) やりそこなった事。失敗事。
為破(しいやん)⁼じゅん@: (他 ⁼だん、⁼てぃ) しそこなう。失敗する。しくじる。
強(しい)⁼ゆん⓪: (他 ⁼らん、⁼てぃ) 強いる。 @彼(あ)りんかい仕事(しぐ
とぅ)強(しい)ゆん。/彼に仕事を強いる。 ※万葉集・236、「不聴(いな)と
言へど強(し)ふる志斐(しひ)のが強語(しひがた)りこのころ聞かずて朕(われ)
恋(こ)ひにけり」。
為様(しいよお)@: (名) しかた。やりかた。しよう。 @為様(しいよお)ぬ有
(あ)ん。/やりかたがある。
修羅(しいら)⓪: (名) 災難・苦しみ・病気などの意。入(い)ゆん[入る]とと
もに用いる。災難がはいりこむという感じである。 @修羅(しいら)入(い)ゆん。
/困る。苦しむ。病気になる。災難にあう。 @雨(あみ)に濡(ん)でぃいねえ修
羅(しいら)入(い)ゆん。/雨にぬれると病気になる。 @負価(うっか)ぬ多(う
ふ)さぬ修羅(しいら)入而居(いっちょお)ん。/借金が多くて苦しんでいる。 @
刀自(とぅじ)ぬ胴柔(どぅうやふぁ)らさぬ修羅(しいら)入而居(いっちょお)
ん。/妻の体が弱くて、困っている。 @修羅(しいら)入(い)ゆんどお。/困っ
た目に会うぞ。
肥溜(しいり)⓪: (名) 肥だめ。
地炉(じいる)⓪: (名) [地炉] @炉。 ➁出産後一週間昼夜の別なく火をたき、
産婦に暖をとらせた炉。保湿のほかに、けがれを清める信仰もあって、夏でも盛んに
火をたいた。 @地炉(じいる)温(ぬく)ぬん。/地炉をたいて産婦に暖をとらせ
る。
ジイワジイワ⓪: (名) せみの一種。夏の終わりから秋にかけて鳴く小さいせみ。鳴
き声によってつけた名。
地居(じい)ん地居(じい)ん⓪: (名) 地並(じいな)あ[ほたる]の小児語。
地(じい)ん人(ちゅ)⓪: (名) 地の人の意。その土地に住み、土地の配分を受け
て耕作する人。百姓。
為開(しぇえ)き@: (名) [仕明]開墾。 @為開(しぇえ)き開(あ)きゆん。
/開墾する。
為開(しぇえ)き地(ぢい)@: (名) 開墾地。私有地として、自由に売買できた。
為開(しぇえ)き⁼ゆん@: (他 ⁼らん、⁼てぃ) @次々にかたづける。畑。食物。仕
事などをだんだんと(耕して、食べて〜)かたづける。やって行く。 ➁賭けごとに
勝ってもうける。せしめる。
鹿(しか)@: (名)[新] 鹿。慶良間島に野生の鹿がいる。元来は、香(こお)ぬ肉
(しし)[鹿。また、鹿の肉]という。
顰(しか)あ@: (名) 臆病者。
確(しか)いとぅ@: (副) しっかりと。ちゃんと。 @確(しか)いとぅ覚(うび)
らん。/はっきり覚えていない。 @確(しか)いとぅ内(うち)んかい入(い)れ
え。/ちゃんと内にはいれ。どうぞ室内におはいりなさいの意。
為掛(しか)か⁼ゆん@: (他 ⁼らん、⁼てぃ) @しかかる。やり始める。とりかかる。
➁いどみかかる。
仕掛(しか)き@: (名) @仕掛け。装置。からくり。 ➁始め。起こり始め。病気
などのきざし。徴候。
為掛(しか)き⁼ゆん@: (他 ⁼らん、⁼てぃ) @しかかる。やりかける。 ➁しかけ
る。動作をし向ける。
四角(しかく)⓪: (名) 四角。四角(しっかく)、ともいう。
怯(しか)さん@: (形) 臆病である。
怯々(しかしか)@: (副) いらいら。心の落ち着かないさま。また、気分の晴れ晴
れとしないさま。 怯々(しかしか)為(しゅ)ん。/※動詞化。
膿汁(しがじる)⓪: (名) 膿汁。膿の薄い掖。
仕方(しかた)@: (名) しかた。やりかた。 @仕方(しかた)あ無(ねえ)ん。
/しかたがない。 @仕方(しかた)ぬ良(ゆ)たしゃくとぅ。/やりかたがよいの
で。 ➁ようす。ありさま。ていたらく。悪い場合にいう。 @連(つぃ)り無(な)
しい仕方(しかた)。/つれない。あわれなありさま。 @汝(ぃやあ)仕方(しかた)
あ何(ぬう)でぃ言(ぃゆ)る仕方(しかた)が。/おまえのざまは何というていた
らくだ。
施餓鬼(しがち)⓪: (名) 施餓鬼。盆踊りやその他の法事の折、水(みん)ぬ子(く
う)[水の子]を施餓鬼用に供える。 ※水の子は水の実ともいい盆の供物の一種。
確(しか)っとぅ@: (副) しっかと。しっかりと。ちゃんと。確(しか)いとぅ、
ともいう。確(しか)っとぅ、の方が上品な語。 ※万葉集・892の貧窮問答歌に、
「しかとあらぬ鬚かき撫でて」とある。
怯(しか)⁼ぬん@: (自 ⁼まん、⁼でぃ) 臆病になる。おじける。
地適(じがね)え⓪: (名) 地代。借地料。主として耕地のそれをいう。
顰目回回(しかみいぐるぐる)@: (副) 臆病な目をきょろつかせること。恐怖の目
付きをすること。びくびく。
鹿擬(しかむどぅ)ち⓪: (名) 料理名。鹿もどきの意。肉・野菜・豆腐などをさい
の目に切って作る。御手引(うてぃび)ち[お祝いに作る料理の名]の一種。
怯者(しかむん)@: (名) 臆病者。
縛(しか)⁼ゆん@: (他 ⁼らん、⁼てぃ) @くくる。束ねる。縄をかける。縛る。ま
た、捕縛する。 @荷(にい)縛(しか)ゆん。/荷物を縛る。 ➁(妊婦が大きい
腹を)かかえる。 @大腹(うふわた)縛(しか)而居(とお)ん。/大きなおなか
をかかえている。
為枯(しか)らあさん⓪: (形) さびしい。寂寞としている。 @為枯(しか)らあ
しい景色(ちいち)やっさあやあ。/さびしいけしきだねえ。
為枯(しか)らし@: (名) 経験。平常やりつけて熟達していること。 @為枯(し
か)らしぬ有(あ)ん。/経験がある。
為枯(しか)ら⁼しゅん@: (他 ⁼さん、⁼ち) 経験する。熟達する。 @字(じい)
書(か)ちゅすぃ為枯(しか)ら而居(ちょお)ん。/字を書くことに熟達している。
@阿蘭陀口(うらんだぐち)為枯(しか)ら而居(ちょお)ん。/西洋語に熟達して
いる。
縋(しが)り波(なみ)⓪: (名) 津波。また、高潮。
縋(しが)り⁼ゆん⓪: (他 ⁼らん、⁼てぃ) 工面する。金などを算段する。 @銭(じ
ん)縋(しが)りゆん。/金を工面する。 @此(くっ)さやてぃん縋(しが)りて
ぃどぅ為交(しこお)てえすぃが。/これだけでもやっと工面して準備したんだが。
時間(じかん)@: (名)[新] 時間。普通は、時(とぅち)、という。 @時間(じ
かん)ぬ有(あ)ん。/時間が決まっている。決められた時間がある。
怯(しか)んかあ@: (副) びくびく。おずおず。臆病なさま。 @怯(しか)んか
あ為居(しょお)ん。/びくびくしている。
志慶間(しきま)⓪: (名) 志慶間。 ※「しけま」、国頭郡今帰仁村にあった地名の
ようである。
世間(しきん)⓪: (名) 世間。世の中。 @三人(みっちゃい)揃(すり)れえ世
間(しきん)。/三人揃えば世間。 @世間(しきん)為(しゅ)ん。/世間並みとな
る。 @此(く)ぬ着物(ちん)ぬ有(あ)れえ、世間(しきん)為(しゅ)さ。/
この着物があれば世間並みだ。 @世間(しきぬ)ん為(さ)ん。/世間並みになら
ない。 @世間(しきん)ぬ戒(いまし)み。/世間に対するいましめ。世の人のみ
せしめ。罪人を罰する場合などにいう。 @世間(しきん)ぬ評判(ひょおばん)。/
世間のうわさ。
世間御万人(しきんうまんちゅ)⓪: (名) 世間の人びと。天下の人民。
世間並(しきんな)み⓪: (名) 世間並み。人並み。
世間馴(しきんな)り⓪: (名) 世間に馴れること。世間に通じること。
世間話(しきんばなし)⓪: (名) 世間話。
志堅原(しきんばる)⓪: (名) 志堅原。 ※「しけんばる」、南城市玉城の地名。目
の前に奥武島が見える。
世間触合(しきんびれ)え⓪: (名) 世間とのつきあい。
四月(しぐぁつぃ)⓪: (名) 四月。年の第四の月。多くは、四月(しんぐぁつぃ)、
という。
地獄(じぐく)⓪: (名) 地獄。
しくしく@: (副) 着物がよごれて見すぼらしいさま。 @しくしく為居(しょお)
る着物(ちん)。/見すぼらしい着物。
ジクジクウ⓪: (名) 植物名。さふらんもどき。ひがんばな科の多年生草木。鑑賞用。
為口(しくち)@: (名) 仕事。労働。仕事(しぐとぅ)、ともいう。 @為口(しく
ち)綿入(わたい)り。/仕事は綿入れと同じ。働けば暖かくなる。
仕事(しぐとぅ)@: (名) 仕事。
仕組(しく)⁼ぬん@: (他 ⁼まん、⁼でぃ) 仕組む。計画する。(会などの)準備を
する。
祭籠飯(しぐふぁん)@: (名) 祭祀用の米[御花米(んぱなぐみ)]を入れる器。大
御籠飯(うううくふぁん)、ともいう。
仕組(しく)み@: (名) 仕組み。計画。
針金(しぐんざに)⓪: (名) 針金。
世界(しけえ)@: (名) 世界。
実(じ)こお@: (副) ひどく。非常に。えらく。ばかに。一杯(いっぺえ)[たいそ
う]の意で平民が多くいう語。 @実(じ)こお清(ちゅ)らさん。/ひどくきれい
だ。 @実(じ)こお早(ふぇえ)く歩(あっ)ちゅん。/とても早く歩く。連体詞
のようにしても用いる。 @実(じ)こお物読(むぬゆ)なあ。/ひどいおしゃべり
な者。
為交(しこお)い@: (名) 用意。準備。支度。 @正月(しょおぐぁつぃ)ぬ為交
(しこお)い。/正月の準備。
為交(しこお)い諸交(むこお)い@: (名) いろいと準備すること。 @為交(し
こお)い諸交(むこお)ええ今日(ちゅう)為(さ)すぃが、何(ぬう)ん為(せえ)
無(ねえ)らん。/いろいろ準備はしているが、何もやってはない。 @為交(しこ
お)い諸交(むこお)い為(しゅ)ん。/※動詞化。
為交(しこお)⁼ゆん@: (他 ⁼らん、⁼てぃ) 用意する。準備する。支度する。 @
夕飯(ゆうばん)為交(しこお)ゆん。/夕飯の支度をする。
じさっとぅ@: (副) ぎっしり。びっしり満ちてつかえたさま。じしっとぅ、ともい
う。 @じさっとぅ咲而居(さちょお)ん。/びっしり咲いている。
為様(しざま)@: (名) さま。したありさま。ざま。ようす。態度。多くは悪い、
あるいはみじめな場合にいう。 @為様(しざま)ぬ悪(わっ)さん。/する態度が
悪い。 @誠(まくとぅ)後生(ぐしょ)有(あ)らば行会(いちゃ)てぃ語(かた)
てぃ呉(くぃ)り、朝夕(あさゆ)泣(な)ち明(あ)かす親(うや)ぬ為様(しざ
ま)。[まこと後生あらば 行逢て語て呉れ 朝夕なきあかす 親のしざま]本当にあ
の世があるならば、会って話してくれ、朝夕泣き明かしている親のありさまを。
肉(しし)⓪: (名) 肉。多くは食肉をいう。肉(にく)、の項参照。
地下(じじ・じぢ・ぢぢ)⓪: (名) [地下]沖縄本島。離(はな)り[離島]に対
する。 ※「地」の濁音は、本来は、「ぢ」と表記すべきであろうが、この辞典はその
ような厳密さを追究しようとするものでなく、むしろ「自由な表現」を目的としたも
のである。
時勢(じしい)@: (名) 時勢。世のなりゆき。
煎(しじ)い薬(ぐすい)⓪: (名) 煎じ薬。煎(しじ)り薬(ぐすい)、煎(しん)
じ薬(ぐすい)、煎薬(しんやく)、ともいう。
強為(しし)い言葉(くとぅば)⓪: (名) 丁寧な言葉。敬語。
煎(しじ)い減(ふぃ)ら⁼しゅん⓪: (他 ⁼さん、⁼ち) 煎じつめる。煎じて汁をな
くする。煎じ減らす意。
肉炒(ししい)りち⓪: (名) 料理名。豚肉に野菜を入れ、すきやきのように料理し
たもの。牛肉の場合には、牛(うし)ぬ肉炒(ししい)りち、という。
地下内(じじうち・じぢうち・ぢぢうち)@: (名) 沖縄本島内。これに対し離島を、
離(はな)り、という。
強為掛(ししか)⁼ゆん@: (他 ⁼あん、⁼てぃ) @邪魔する。干渉する。 @強為掛
(ししか)てぃ取(とぅ)らさ。/邪魔してやろう。 @強為掛(ししか)あってぃ
通(とぅう)ららん。/邪魔されて通れない。 ➁(事件が)かち合う。
肉喰(ししくぇ)え坊主(ぼおじ)⓪: (名) なまぐさ坊主。
強為返(ししけ)え鼻返(はなけ)え@: (副) @はたから何かと邪魔するさま。次々
と干渉するさま。 @強為返(ししけ)え鼻返(はなけ)え為(さ)りゆん。/次々
に邪魔される。 ➁事がかち合うさま。
強為返(ししけ)え⁼ゆん@: (他 ⁼らん、⁼てぃ) 強為掛(ししか)⁼ゆん、と同じ。
繁(しじ)さん⓪: (形)[文] しげし。頻繫である。 @余所(ゆす)ぬ目(み)ぬ
繁(しじ)さ、急(いす)ぢ戻(むどぅ)ら。[与所の目の繁さ 急ぎ戻ら(手水之縁)]
人の目が多いから、急いで帰ろう。 ※手水之縁(てみずのえん)は、平敷屋朝敏(へ
しきやちょうびん)作の組踊である。
肉雑炊(ししずうすぃい)⓪: (名) 肉を入れて味をつけて炊いた飯。肉入り御飯。
煎(し)じ地(ち)⓪: (名) 油皿。灯油を入れ、灯心を用いて火を点ずるための小
皿。
儀式(じしち・ぢしち)⓪: (名) 儀式。おもに、結婚式における杯の取りかわしな
どをいう。
時節(じしつぃ)@: (名) @時節。時候。 @良(い)い時節(じしつぃ)成而居
(なとお)ん。/いい時候になった。 ➁時機。 @時節(じしつぃ)待(ま)ち受
(う)きゆん。/時期を待ち受ける。
じしっとぅ@: (副) じさっとぅ、と同じ。
肉天麩羅(ししてぃんぷら)⓪: (名) 料理名。肉(主として豚肉)のてんぷら。
肉振(ししぶ)りい⓪: (名) 身震い。寒さ・恐怖・嫌悪などによる身震い。
肉持(ししむ)ち成(な)い⓪: (名) 肉付き。 @肉持(ししむ)ち成(な)いぬ
良(ゆ)たしゃん。/肉付きがよい。
侍女(しじゃき)⓪: (名)[古] 侍女。貴族の娘の侍女で、その娘が嫁に行く時は、
婚家へいっしょについて行く。普通は、御侍女(うしじゃき)、という。
磁石(じじゃく)⓪: (名) 磁石。
四十(しじゅう)⓪: (名) 四十。また、四十歳。
四十九日(しじゅうくにち)⓪: (名) 四十九日。死後49日目に行う行事。七七日
(なななんか)、ともいう。
四十斑(しじゅうむどぅる)ち⓪: (名) 四十くらがり。四十歳になると、体力・眼
力が衰えることをいう。 ※大鏡・道長に、「目ももどろく心地なんし給ひける」とあ
り、斑(もどろ)く、は共通語の古語である。
静(しじゅ)み掛(か)ち⓪: (名) 整頓。整理。散らかった道具類などを片付ける
こと。
静(しじゅ)み⁼ゆん⓪: (他 ⁼らん、⁼てぃ) 片付ける。整頓する。 @静(しじゅ)
みらりゆんどお。/片付けられるぞ。やっつけてしまうぞ。けんかの相手にいうこと
ば。
強為(しし)⁼ゆん⓪: (他 ⁼らん、⁼てぃ) 念入りにする。丁寧にする。(ことば使
い・道具の扱い・髪の手入れなどを)丁寧にする。 @強為(しし)てぃ結(ゆう)
而居(とお)ん。/丁寧に髪を結っている。 @強為(しし)てぃ書(か)ちゅん。
/丁寧に書く。 @強為(しし)れえ。/丁寧にしろ。強為(しし)てぃ為(せ)え、
ともいう。
煎(しじ)⁼ゆん⓪: (名 ⁼らん、⁼てぃ) 煎じる。煎(しん)じゆん、ともいう。 ※
名詞となっているが、これは他動詞だと思う。ちなみに、私が用いているのは第六刷
版である。
師匠(ししょお)@: (名) 師匠。先生。もっぱら学問上の先生をいう。
事情(じじょお)@: (名) 事情。 @事情(じじょお)ぬ有(あ)ん。/事情があ
る。
退(しじら)か⁼しゅん⓪: (他 ⁼さん、⁼ち) (人・物を)どける。退ける。のける。
火傷(しじ))らか⁼ゆん⓪: (他 ⁼さん、⁼ち) (皮膚を、または人を)やけどさせ
る。
茶入(じじ・ぢぢ)り⓪: (名) 茶壷。おもに金属製のものをいうようである。
煎(しじ)り薬(ぐすい)⓪: (名) 煎(しじ)い薬(くすい)、と同じ。
火傷(しじ)り⁼ゆん⓪: (名) (自 ⁼らん、⁼てぃ) やけどする。やけどして、皮
膚がただれる。
自然(しじん)@: (副) 自然。おのずから。また、当然。自然(しじん)に、とも
いう。 @自然(しじん)彼(あ)ん成(な)ゆん。/自然にそうなる。 ※自然(し
じん)、には英語の「nature」に相当する抽象的・哲学的な意味はないようである。
自然(しじん)に@: (副) 自然に。おのずから。当然。
静(しずぃ)か⓪: (名) 静か。 @静(しずぃ)かな所(とぅくる)。/静かな所。
@静(しずぃ)か成(な)り染(す)みり常(つぃに)に身(み)が心(くくる)、波
(なみ)立(た)たん水(みずぃ)どぅ影(かぢ)や映(うつぃ)る。[静なりそめれ
常に身が心 波立たぬ水ど 影やうつる]いつも自分の心を静かに澄ませよ、波立た
ぬ水にこそ影は映るのだから。 @静(しずぃ)かやん。/静かだ。
沈(しずぃ)⁼ぬん@: (自 ⁼まん、⁼でぃ) 沈む。水中に沈む。また、気分が沈む。
めいる。 @気分(ちぶん)ぬ沈(しずぃ)でぃ。/気分がめいって。
瀬底(しすく)⓪: (名) 瀬底島。沖縄本島本部半島西方にある小島。またそこの部
落名。瀬底。 ※「せそこ」。
士族(しずく)⓪: (名)[新] 士族。普通は、侍(さむれえ)、または、良(ゆ)か
人(っちゅ)、という。
子孫(しすん)@: (名)[文] 子孫。普通は、子孫(っくぁぅんまが)、という。
為散(しぜえ)らか⁼しゅん⓪: (他 ⁼さん、⁼ち) 散らかす。とり散らす。
為散(しぜえ)り⁼ゆん⓪: (自 ⁼らん、⁼てぃ) 散らかる。散り乱れる。
地蔵(じぞお)⓪: (名) 地蔵。地蔵は那覇にあったのでそこの地名となり、地蔵前
(じぞおめえ)、地蔵豆腐(じぞおどおふ)、などができた。
下駄(じた・ぢた)⓪: (名) 表付きの下駄。普通の下駄は、足駄(あしじゃ)、とい
う。 @表付きとは、畳表の付いた下駄のことである。
為(し)たい@: (感) でかした。よくやった。したり。うまくやった者に対し、あ
るいは自分の気に入ったことについて発する語。為(し)たり、ともいう。その項参
照。目上に対しては、為(し)たいさい、という。
支度(したく)⓪: (名) @支度。用意。 ➁身支度。着物を着て装うこと。 B綱
引きの時、網の上に乗る、扮装した人物。たいていは組踊りの人物に扮装する。
下書(したが)ち⓪: (名) 下書(しちゃが)ち、と同じ。
従(したが)⁼ゆん@: (自 ⁼あん、⁼らん、⁼てぃ) 従う。服従する。
下々(したじた)⓪: (名) しもじも。下層階級。
じたじた@: (副) じめじめ。しっとり。雨後の道などがしめったさま。 @じたじ
た成而居(なとお)ん。/じめじめしている。
強(したた)か⓪: (名・副・連体) したたか。ひどく。はなはだ。非常に。 @強
(したた)かな嫌(や)なあ。/ひどく悪い者。 @強(したた)かに酔(うぃ)い
而居(とお)ん。/したたか酔っている。 @強(したた)か扱(すぐ)らったん。
/ひどくなぐられた。 @強(したた)か濡(ん)でぃたん。/ひどくぬれた。 @
強(したた)か嫌(や)な影(かあぎ)い。/はなはだ容貌の醜い人。
為立(した)てぃ⁼ゆん@: (他 ⁼らん、⁼てぃ) @特別に作る。仕立てる。仕立て上
げる。家・着物・位牌など金のかかるものを作る。 @家(やあ)為立(した)てぃ
ゆん。/家を作る。 ➁飼育する。 @乗(ぬ)い馬(ぅんま)為立(した)てぃゆ
ん。/乗馬を飼う。 B栽培する。 @花木(はなぎ)為立(した)てぃゆん。/花
を栽培する。
志多伯(したふぁく)⓪: 志多伯。 ※「したはく」、島尻郡八重瀬町の地名。
為(し)たらく@ (名) ざま。悪いようす。みじめな装い。ていたらく。 @嫌(や)
な為(し)たらく。/みじめなようす。 @此(く)ぬ為し(たらこ)お何(ぬう)
が。/このざまは何だ。 ※「たらく」は、助動詞「たり」のク語法(老いらく、思
わく、曰く、など数例が残存している)。「こと」「ところ」などを意味する形式名詞「あ
く」に助動詞「たり」の連体形「たる」がついた「taruaku」の真ん中の「u」が、奈良
時代以前の日本語の特徴的な言語現象である母音調和によって消滅し、「たらく」とな
ったもののようである。「したらく」は、「す(する)」の連用形に「たらく」がついた
もので、奈良時代には使われていたようであるが、沖縄の方言として生き伸びている
ようである。「したらく」を現在の言葉に翻訳すると、「してしまったこと」となるよ
うであるが、このような化石的な言葉を翻訳なしに日常語として理解できるのが方言
のすばらしい点だと思う。
為(し)たり@: (感) @ざま見ろ。ほらやった。失敗した者などに対して、ののし
る意を含んで発する語。 ➁したり。でかした。よくやった。為(し)たい、と同じ
ように使う。
質(しち)⓪: (名) 質。質屋に入れる担保。質草。 @質(しち)入(い)りゆん。
/質に入れる。 @質(しち)取(とぅ)ゆん。/質草として取る。また、質屋を営
業する。 @質(しち)受(う)きゆん。/質から出す。
七(しち)⓪: (名) 七。普通は、七(なな)つぃ、という。
四季(しち)⓪: (名) 四季。
式(しち)@: (名) 式。儀式。
敷(し)ち@: (名) 敷居。
敷(し)ち石(いし)⓪: (名) 敷石。
敷(し)ち瓦(があら)@: (名) @建物の周囲・塀などに敷く瓦。煉瓦に相当する
もの。敷瓦の意。 ➁敷(し)ち瓦(があら)、をかたどった、着物の模様の名。市松
模様に似たもの。
七月(しちぐぁつぃ)⓪: (名) 7月。
七月(しちぐぁつぃ)えいさあ⓪: (名) 盆踊り。旧暦7月15日の送り火がすむと、
16日の夜は、各村の青年たちが各家を回り、酒や餅をもらって、歌い舞い、最後に
村の広場で踊って遊ぶ。その時の歌に、えぇいさあ、えぇいさあ、というはやしがつ
くのでいう。
引(し)ち声(ぐぃい)念(に)い声(ぐぃい)@: (名) 腹を立てた声。つっけん
どんな声。強い不満の声。 @引(し)ち声(ぐぃい)念(に)い声(ぐぃい)出(ん)
じゃち。/つっけんどんな声を出して。
四季口説(しちくどぅ)ち⓪: (名) [四季口説] 口説(くどぅち)の一つ。
引(し)ち込(く)⁼ぬん⓪: (自 ⁼まん、⁼でぃ) しけ込む。他人の家へはいり込ん
で、いすわる。
七十(しちじゅう)⓪: (名) 七十。また、七十歳。
七十三(しちじゅうさん)⓪: (名) 七十三。また、七十三歳。 @七十三(しちじ
ゅうさん)ぬ御祝(うゆうぇ)え。/七十三歳のお祝い。
引(し)ち巧(たく)⓪: (名) 座り込んで動かないこと。いすわること。子供など
が不平な場合にやることなどをいう。 @牛(うし)ぬ引(し)ち巧(たく)成而居
(なとお)ん。/牛が座り込んでしまった。
石炭鉄(しちたんがに)⓪: (名) ブリキ。
石炭薬缶(しちたんやっくぁん)⓪: (名) ブリキのやかん。
石炭油(しちたんゆう)⓪: (名)[新] 石油。さらに新しくは、石油(しちゆ)、と
いう。
敷板(しちちゃ)⓪: (名) 布を織る時、腰を掛ける板。敷板の意。
七島(しちとお)⓪: (名) [七島] 吐噶喇(とから)列島。
七島渡中(しちとおとぅなか)⓪: (名) [七島渡中]七島の沖。吐噶喇列島の沖合。
敷(し)ち床(な)⓪: (名) 尻の下に敷くもの。 @敷(し)ち床(な)為(しゅ)
ん。/尻に敷く。 @夫(うぅとぅ)敷(し)ち床(な)為(しゅ)ん。/夫を尻に
敷く。
識名(しちな)⓪: (名) 識名。 ※「しきな」、那覇市の地名。
質流(しちなが)り⓪: (名) 質流れ。
七日(しちにち)⓪: (名) 七日。なのか。月の第七の日にもいう。
七人(しちにん)⓪: (名) 七人。七人(ななたい)、ともいう。
七年忌(しちにんち)⓪: (名) 七年忌。
七福神(しちふくしん)⓪: (名) 七福神。
匹魔物(しちまじむん)⓪: (名) 魔物の名。魔物のなかでもっとも恐ろしいとされ
る。天まで届いたり、地面いっぱいに伸びたり、いくらでも広がる、得体の知れない
魔物で、逃げようがない。
強責(しちみ)ん⓪: (名) しきりにせがむこと。しきりに催促すること。 強責(し
ちみ)ん為(しゅ)ん。/※動詞化。
七面鳥(しちみんちょお)⓪: (名) 七面鳥。
敷(し)ち筵(むしる)⓪: (名) 夜、寝床に敷くむしろ。寝ござ。広幅の長い上等
のむしろで、敷きぶとんの代わりに用いる。以前は、敷ぶとんはほとんど用いられな
かった。
質持(しちむ)つぃ⓪: (名) 質草。抵当。担保。
質持(しちむ)つぃ調(しら)び⓪: (名) 模合(むええ)[無尽講]などで金を貸借
する時、その抵当が金高に相当するかどうかを調べること。質物調べの意。
質戻(しちむり)い⓪: (名) 質の利息。
敷(し)ち物(むん)@: (名) 敷物。たたみ・むしろ・毛布など、座ったり寝たり
する時に敷くもの。
質屋(しちや)⓪: (名) 質屋。
舌(しちゃ)⓪: (名) 舌。慣用句。比喩的用法や複合語の成分としてのみ用いる。
普通は、舌(すぃば)、という。 @舌(しちゃ)出(ねえ)ゆん。/舌を出す(馬鹿
にする意)。 @舌(しちゃ)短(いんちゃ)さん。/舌足らずである。ことばが足り
ない。 @舌(しちゃ)長(なが)さん。/発音がもつれる。
志喜屋(しちゃ)⓪: (名) 志喜屋。 ※「しきや」、南城市知念の地名。
下(しちゃ)@: (名) 下。上(うぃい)、の対。
引合(しちゃあ)⁼しゅん@: (他 ⁼さん、⁼ち) @(子が親などに)しつこくまつわ
りつく。 @子(っくぁ)ぬ親(うや)引合(しちゃあ)しゅん。/子が親にまつわ
りつく。 ➁体を押しつける。押しつけてはいり込む。 Bたがいに押しあう。押し
あいへしあいする。引合為(しちゃあせ)え為(しゅ)ん、ともいう。 @座(ざあ)
ぬ狭(いば)さくとぅ童(わらび)ん達(ちゃあ)が引合(しちゃあ)しゅん。/部
屋がせまいので子供たちが押しあいへしあいしている。
引合為(しちゃあせ)え@: (名) 押しあい。押しあうこと。押しあいへしあい。ま
た、押しくらまんじゅう。 @引合為(しちゃあせ)え為(しゅ)ん。/※動詞化。
下辺(しちゃあ)ら⓪: (名) [下原]しもの方。また、都の町はずれ。近郊。
下枝(しちゃいだ)@: (名) 下枝。
下請(しちゃう)き⓪: (名) 下請け。
下方(しちゃかた)⓪: (名) しもじもの者。下層階級の人。上方(うぃいかた)、の
対。
下書(しちゃが)ち⓪: (名) 下書き。草稿。下絵。下書(したが)ち、ともいう。
下庫裡(しちゃぐい)@: (名)[古] [下庫裡]式部官の詰所。
舌喰(しちゃくぇ)え物言(むに)い⓪: (名) 舌足らず。舌をかみそうなものの言
い方。うまく舌がまわらないものの言い方。早口ことばを言う場合など。
舌喰(しちゃくぇ)え物言(むぬい)い⓪: (名) 舌喰(しちゃくぇ)え物言(むに)
い、と同じ。
下心(しちゃぐくる)@: (名) 下心。底意。悪い意味にいう。
虱卵(じちゃし)⓪: (名) しらみの卵。
下性脱(しちゃしょおぬ)があ@: (名) うっかり者。そこつ者。性脱(しょおぬ)
があ、のはなはだしい者。
下舌(しちゃすぃば)@: (名) 下くちびる。 @下舌(しちゃすぃば)銜(くう)
ゆん。/舌くちびるをかむ。人をおどす時の表情をいう。
下巧(しちゃだく)ま@: (名) こっそりたくらむこと。内心では利口な考えをもっ
ていること。悪い意味にいう。
下騙(しちゃだま)し@: (名) 心の中で用心すること。心の中では慎重に注意して
いること。よい意味にいう。
細螺(しちゃだん)⓪: (名) [螺]巻貝の一種。「しただみ」に対応する。丸く小さ
く、ふたがあって、岩・砂などに付着する。食用となる。その長いものは、角法螺(つ
ぃんぼおらあ)、という。 ※万葉集・3880の長歌、「香島嶺(かしまね)の机(つ
くゑ)の島の小螺(しただみ)をい拾(ひり)ひ持ち来て〜」。
下段(しちゃだん)@: (名) 下段。段・棚・役職などの下の段。上段(うぃいだん)
の対。
下着(しちゃぢ)⓪: (名) 下着。上着のすぐ下に着る着物をいう。冬なら、上にあ
わせを、下にじゅばん、中にひとえを着るが、そのひとえをいう。
舌切(しちゃち)り物言(むに)い⓪: (名) 舌足らず。舌が短いようなしゃべり方。
舌喰(しちゃくぇ)え物言(むに)い、と同じ。
舌切(しちゃち)り物言(むぬい)い⓪: (名) 舌切(しちゃち)り物言(むに)い、
と同じ。
下手(しちゃでぃい)⓪: (名) [下手] 身分の低い者。しもじもの者。
下手(しちゃでぃい)@: (名) [下手] 賄賂。袖の下。下からこっそり出す手。
@下手(しちゃでぃい)出(ねえ)ゆん。/袖の下から手を出す。賄賂・収賄する。
下荷(しちゃにい)⓪: (名) 下荷。下積みの荷。上荷(ぅわあにい)、の対。
下塗(しちゃぬ)い⓪: (名) 下塗り。下地を塗ること。上塗(ぅわあぬ)い、の対。
下葉(しちゃばあ)⓪: (名) 下葉。枝の下の方にある葉。 ※万葉集・1575、「雲
の上に鳴きつる雁の寒きなべ萩の下葉は黄変(もみぢ)ぬるかも」。
下歯(しちゃばあ)@: (名) 下歯。
下走(しちゃば)い@: (名) 土瓶・急須などの口から、湯などがまっすぐに出ない
で、下方にだらだらとあとを引いて流れること。
下鬚(しちゃふぃじ)@: (名) あごひげ。下ひげの意。上髭(ぅわあふぃじ)[口ひ
げ]に対する。
下紐(しちゃふぃむ)@: (名)[文] 下紐。女の下ばかまのひも。普通は、袴(はか
ま)ぬ緒(うぅう)、という。 @里(さとぅ)が手(てぃ)に馴(な)りし花(はな)
ぬ下紐(しちゃふぃむ)や、幾春(いくはる)に成(な)てぃん誰(た)がし解(と
ぅ)ちゅが。[里が手に馴れし 花の下紐や 幾春になても 誰がし解ちゆが]恋しい
君の手に馴れている下ばかまのひもは、幾春になっても誰も解く人がいない。
舌早(しちゃべえ)さん⓪: (形) 早口である。舌が早く回る。
下役(しちゃやく)⓪: (名) 下役。
下役人(しちゃやくにん)⓪: (名) 下役人。
下喜(しちゃゆるく)び⓪: (名) 内心喜ぶこと。ひそかに喜ぶこと。
下腹(しちゃわた)@: (名) 下腹。下腹部。
石油(しちゆ)⓪: (名)[新] 石油。石炭油(しちたんゆう)、よりもさらに新しい
語。
量(しちゅ)⓪: (名) 量。 @量(しちゅ)ぬ有(あ)すぃ買(こお)ゆん。/量
のあるのを買う。
量重(しちゅうぶ)さん⓪: (形) 量が多い。
粢(しぢゅち)⓪: (名) しとぎ。米の粉で作った長卵形の餅。祭祀用。
初穂(しちゅま)⓪: (名) [しきよま]祭りに神に供えるための米麦の初穂。 @
初穂(しちゅま)頭(かみ)らしゅん。/祭りに神に供えた米を、おさがりとして与
える。 @銀臼(なんじゃうすぃ)なかい黄金軸(くがにじく)立(た)てぃてぃ、
気張(ちば)てぃ摺(すぃ)りよお雌成(うぅな)いぬ達(ちゃあ)、初穂(しちゅま)
頭(かみ)らさやあ。(稲摺節)銀の臼に黄金の軸を立てて、張り切って稲をすれよ、
女たち。初穂のおさがりをいただいてやろう。 *混効験集:坤巻・言語に、しきよ
ま、とある。
為清(しちゅ)らあしゃん⓪: (形) 小児の体重が重い。小児の体重は、お産が重い
ことを恐れて、重(ぅんぶ)さん[重い]といわない。おとなの体重は、重(ぅんぶ)
さん、という。
敷(し)⁼ちゅん@: (他 ⁼かん、⁼ち) 敷く。敷物などを敷く。
引入(しち)り這入(ふぇえ)り@: (副) はなはだしく笑うさま。首をちぢめて笑
う意。 @引入(しち)り這入(ふぇえ)り笑(わら)ゆん。/腹をかかえて笑う。
引入込(しちりん)⁼ちゅん@: (自 ⁼かん、⁼ち) ちぢこまる。引っ込んで短くなる。
@亀首(かあみいくうびい)ぬ引入込(しちりん)ちゅん。/亀の首がちぢこまる。
節(しつぃ)⓪: (名) 節。二十四節の節。
湿(しつぃ)@: (名) 湿気。しめりけ。 @湿(しつぃ)掛(か)かゆん。/湿気
をおびる。じめじめする。 @湿(しつぃ)ぬ有(あ)ん。/湿気がある。
実(じつぃ)@: (名) 実(じつ)。まこと。本当。文語的な語。 @実(じちぇ)え。
/実は。 @実(じつぃ)ぬ事(くとぅ)言(い)い。/本当のことを言え。
実印(じつぃいん)@: (名) 実印。登録した印。また、指判(いいびばん)[拇印]
にもいう。
湿掛(しつぃが)かい@: (名) @しめりけが多いこと。湿気のあるところ。 ➁不
健康に太ること。
節変(しつぃが)わい⓪: (名) 季節の変わり目。
為付(しつぃ)き@: (名) 作りつけ。戸棚・たんすなどの作りつけのもの。
躾(しつぃ)き@: (名) しつけ。家でする礼儀作法などの教育。
地漬(じづぃ)き⓪: (名) 漬け物の一種。大根・瓜類などを酒と砂糖に漬けて作っ
たもの。奈良漬けに似ている。
為付(しつぃ)き御仏壇(うぶつぃだん)⓪: (名) 作りつけの仏壇。
躾(しつぃ)き方(がた)⓪: (名) しつけかた。礼儀作法などのしこみかた。
為付(しつぃ)き庫裡(ぐぃい)@: (名) 作りつけの衣裳棚。庫裡(くぃい)、の項
参照。
躾(しつぃ)き⁼ゆん@: (他 ⁼らん、⁼てぃ) @なぐる。いじめる。やっつける。那
覇などでは、殺(くる)しゅん、という。 ➁叱る。 Bしつける。礼儀作法を教え
る。 @女童(うぃなぐわらべ)え良(ゆ)う躾(しつぃ)きりわどぅやる。/女の
子はよくしつけなければいけない。
為付(しつぃ)き⁼ゆん@: (他 ⁼らん、⁼てぃ) 作りつける。作りつけにする。 @
書物棚(しゅむつぃだな)為付(しつぃ)き而居(てえ)ん。/本棚を作りつけてあ
る。
節日(しつぃび)⓪: (名) 市などがにぎわう日。商売の書き入れ時となる日。正月・
3月3日・5月5日・盆などの祝祭日とおよそ一致する。
節膨(しつぃぶっくぃ)⁼ゆん@: (自 ⁼らん、⁼てぃ) むくむ。病気で体がむくむ。
湿持(しつぃむ)ち@: (名) 体がむくむこと。腎臓病などの場合に起こるもの。脚
気。湿気(しつぃ)をもつ意。
四角(しっかく)⓪@: (名) @四角。四角(しかく)、ともいう。 ➁長さの単位。
布の約一尺の長さをいう。物差しを用いない時代の計り方。
四角(しっかく)う⓪: (名) 四角いもの。方形のもの。
折檻(しっかん)⓪: (名) 折檻。子女のしつけとして、体罰を加えること。
節供(しっく)⓪: (名)[文] 節供。季節季節にある祭りや祝いの日。正月の、三日
(みっか)ぬ節供(しく)[3日の祝い]、七日(なんか)ぬ節供(しく)[7日の祝い]、
3月3日の、御重(うじゅう)、5月4日の、四日(ゆっか)ぬ日(ふぃい)、5月5
日の、甘菓子(あまがし)、9月9日の、菊御酒(ちくうざき)、11月の、冬至(と
ぅんじい)[冬至の祝い]などをいう。
敷下(しっくぁ)⓪: (名) 動かないように下に敷くもの。またははめこむもの。く
さび。建築用のみでなく、車どめとして車輪の下に入れる石、その他、ぐらぐら動か
ないように下やまわりにはめこむものをいう。 ※膝下(しっか)と関係のある語か
もしれない。
噦(しっく)い哭(はっく)い@: (副) 激しく泣くさま。慟哭のさま。おいおい。
@噦(しっく)い哭(はっく)い為(しゅ)ん。/※動詞化。 ※しっくいは、噦(し
ゃく)る、と関係のある語と思われる。
噦(しっくぇ)え哭(はっくぇ)え@: (副) 噦(しっく)い哭(はっく)い、と同
じ。
宜寿次(じっし・ぢっし)⓪: (名) 宜寿次。 ※「ぎすし」、旧東風平町にあった地
名のようである。
摂政(しっしい)@: (名) [摂政]三司官(さんしくぁん)、の上に立って、政治を
行う最高の役人。王族の中から任命される宰相。総理大臣にあたる。
しっしっ⓪: (感) 鳥獣を追いはらう時の声。しっしっ。
雪駄(しった)⓪: (名)[新?] 雪駄。革草履(かあさば)、ともいう。
湿垂(しった)い⓪: (副) ぬれたさま。 @湿垂(しった)い成(な)ゆん。/ぬ
れる。
泥垂(じった)い⓪: (名) ぬかるみ。塗垂(ぐぇった)い、ともいう。 @泥垂(じ
った)い成(な)ゆん。/ぬかるみになる。 @泥垂(じった)い為居(しょお)ん。
/ぬかるみである。
湿垂(しった)い皮垂(かあた)い⓪: (副) すっかりぬれたさま。びしょぬれ。ず
ぶぬれ。 @湿垂(しった)い皮垂(かあた)い成(な)ゆん。/びしょぬれになる。
@湿垂(しった)い皮垂(かあた)い為居(しょお)ん。/びしょびしょだ。
泥垂(じった)い塗垂(ぐぇった)い⓪: (名) ぬかるみ。 @泥垂(じった)い塗
垂(ぐぇった)いぬ中(なあか)通(とぅう)ゆん。/ぬかるみの中を通る。
湿垂(しった)い着物(ぢん)⓪: (名) ぬれた着物。
湿垂(しった)い手(でぃい)⓪: (名) ぬれ手。水にぬれた手。 @湿垂(しった)
い手(でぃい)さあに粟(あわ)掴(つぃか)ぬんねえ。/ぬれ手で粟をつかむよう
に。
湿垂(しった)い耳(みみ)⓪: (名) 中が湿っている耳。そういう耳は遠くならな
いといわれている。
湿垂(しった)⁼ゆん⓪: (自 ⁼らん、⁼てぃ) ぬれる。布で言えば、湿垂(しった)
ゆん、は、しぼれば水の出るほどのぬれ方、湿(し)ぷ垂(た)ゆん、は、しぼった
あとの程度のぬれ方を、湿(し)みゆん、は、湿気を感ずる程度をいう。
出費(しっちい)⓪: (名) @費え。むだな出費。散財。 ➁むだ。 @出費(しっ
ちい)成(な)ゆん。/むだになる。
出費事(しっちいぐとぅ)⓪: (名) @金のかかること。出費のかさむこと。 ➁む
だなこと。徒労なこと。
勢理客(じっちゃく)⓪: (名) 勢理客。 ※「せりきゃく」、島尻郡伊是名村、およ
び、国頭郡今帰仁村の地名。 ※「じっちゃく」、浦添市の地名。
月給(じっちゅう)@: (名)[新] 月給。
粘(しっ)ぱ⓪: (名) 強情なこと。しぶといこと。また、強情者。しぶとい者。
粘(しっ)ぱ影(かあぎ)い⓪: (名) しぶとい顔つきをした者。
実碧地(じっぱくじい)⓪: (名) 織物の名。濃い青に黒い縞のあるもの。盲縞に近
い感じの模様。
粘(しっ)ぱ者(むん)⓪: (名) 強情者。しぶとい者。
実否(じっぴ)⓪: (名) 真偽。実否。是非。是非(じふぃ)、ともいう。 @実否(じ
っぴ)分(わ)かしゅん。/真偽を判断する。
強平(しっぴ)い⓪: (副) ぺちゃんこ。ぺしゃんこ。押しつぶされてひらたくなっ
たさま。また、やっつけられたさま。圧倒されたさま。<強平(しぴ)りゆん。 @
強平(しっぴ)い成(な)しゅん。/ぺしゃんこにする。 @強平(しっぴ)い喰(く
ぁあ)しゅん。/ぺしゃんこにやっつける。 @強平(しっぴ)い成(な)ゆん。/
ぺしゃんこになる。やっつけられて小さくなる。
切腹(しっぷく)⓪: (名)[文] 切腹。
為手(してぃ)⓪: (名) やりて。働き者。
死出(しでぃ)が山道(やまみち)⓪: (名)[文] 死出の旅。 @死出(しでぃ)が
山道(やまみち)に踏(ふ)み迷(まゆ)てぃ泣(な)かば、手(てぃ)取(とぅ)
てぃ引(ふぃ)ち給(たぼ)り阿弥陀仏(あみだぶとぅき)。[死出が山道に ふみ迷
て泣かば 手とて引き給ばうれ 阿弥陀仏]死出の山道にふみ迷って泣いたならば、
手を取って引いて下さい、阿弥陀仏様。子の死に際して親の歌った歌。
次第(しでえ)⓪: (名) @次第。由来。事情。 @如何(ちゃあ)る次第(しでえ)
が。/どんなわけか。 ➁(接尾)順。次第。次第(しんでえ)、ともいう。 @兄者
(すぃいじゃ)次第(しでえ)[年長順]など。
辞退(じてえ)@: (名) 辞退。 @辞退(じてえ)為(しゅ)ん。/※動詞化。
下代(じでえ)⓪: (名) [下代] 御殿(うどぅん)、殿地(とぅんち)[殿内]の
家で、会計その他の雑務をする使用人。総聞(すうち)ち[惣聞]の下に属する。
辞退小(じてえぐぁあ)⓪: (名) 思わせぶりに辞退すること。内心ほしいが、辞退
するふりをするようなことをいう。 @辞退小(じてえぐぁあ)為居(しょお)ん。
/内心に反して辞退のそぶりをしている。
次第次第(しでえしでえ)に⓪: (副) 次第次第に。 @次第次第(しでえしでえ)
に好(ま)し成(な)ゆん。/だんだんとよくなる。
次第(しでえ)に⓪: (副) 次第に。だんだんと。 @次第(しでえ)に好(ま)し
成(な)ゆん。/次第によくなる。
次第弱(しでえよお)い⓪: (名) 次第に弱ること。だんだんに衰弱すること。 @
次第(しでえよお)い為(しゅ)ん。/次第に弱る。
為人(しとぅ)@: (名) 夫の親。しゅうと・しゅうとめの両方をいうが、多くの場
合は姑をさす。特に区別しては舅は、男為人(うぃぎがしとぅ)、姑は、女為人(うぃ
なぐしとぅ)、という。また小姑すなわち夫の姉妹は、雌成(うぅな)い為人(しとぅ)、
という。
地頭(じとぅ)⓪: (名) [地頭]地頭。廃藩前、地方に知行を与えられていた貴族。
按司地頭(あじじとぅう)、総地頭(すうじとぅう)、脇地頭(わちじとぅう)、の三種
がある。それらの項参照。
地頭代(じとぅでえ)⓪: (名) [地頭代]地頭(じとぅう)、のかわりにその地頭の
采邑すなわち間切(まぢり)、を統治する者。中央集権後、地頭は首里に住み、地方の
平民の有力者がかわってその間切を統治することになり、地頭代(じとぅでえ)、と呼
ばれた。のち、明治になって、間切長(まぢりちょお)、という名称に変わった。 ※
采邑(さいゆう)と読み、領地のことである。「沖縄語辞典」は現在(2018年)の
人たちには難しいと思われる漢字がたくさん使用されているようである。ローマ字表
記が非常にむずかしいとの理由から漢字かな交じりに直すことにしたのであるが、そ
の漢字自体が今度はむずかしいものとなりつつあるようである。
為人触合(しとぅびれ)え@: (名) 姑とのつきあい。姑への接しかた。
勢頭親雲上(しどぅぺえちん)⓪: (名) [勢頭親雲上]廃藩前の位階役職の名。
種痘(じとお)⓪: (名) 種痘。種痘瘡。 @種痘(じとお)植(うぃい)ゆん。/
種痘を植える。 ※種痘瘡(しゅとうそう)と読む。
品(しな)@: (名) @品(しな)。物品。また、物品の種類。 ➁(接尾)物品の種
類を数える接尾辞。品。 @幾品(いくしな)ん有(あ)ん。/幾品もある。 B人
品。品性。 @品(しな)ぬ有(あ)ん。/品性がある。
品下(しなう)るし⓪: (名) おはつ。新しいものを初めて用いること。多くは身に
つけるものについていう。
瀬長(しなが)@: (名) 瀬長島。沖縄本島南部の西海岸に接した小島。 ※「せな
が」、豊見城市に属する島である。
為情(しなさ)き@: (名) なさけ。おもいやり。また、男女の愛情。博愛。 @里
(さとぅ)や成(な)り風儀(ふぢ)ぬ姿(すぃがた)取(とぅ)みせら、我身(わ
み)や為情(しなさ)きぬ縁(いぃん)どぅ取(とぅ)ゆる。[里やなりふぢの 姿取
りみせら わみやしなさけの 縁ど取ゆる]君は姿形の美しいのをお取りになるでし
ょうが、わたしは情愛の深い縁を取ります。
品切(しなじ・しなぢ)り@: (名) 品切れ。
品物(しなむん)@: (名) 品物。
次男(じなん)@: (名) 次男。
死(し)に顔(がう)@: (名) 死に顔。
死(し)に人(っちゅ)@: (名) 死人。死んだ人。生(い)ち人(っちゅ)[生きて
いる人]に対する。
死(し)に所(どぅくる)@: (名) 死ぬべき場所。たとえば、女はいったん結婚し
たら夫の家を、死(し)に所(どぅくる)、と思えと、さとされる。
死(し)に残(ぬく)⁼ゆん@: (自 ⁼らん、⁼てぃ) 生き残る。
死(し)に前(めえ)@: (名) 死ぬ前。死にぎわ。
死(し)に破(やん)じゃあ⓪: (名) 死にそこなった者。
死(し)に破(やん)⁼じゅん@: (自 ⁼だん、⁼てぃ) 死にそこなう。
為貫(しにゅ)く⁼ゆん⓪: (他 ⁼らん、⁼てぃ) 為貫(しぬ)くゆん、と同じ。
死(し)に別(わか)り@: (名) 死に別れ。死別。生(い)ち別(わか)り[生き
別れ]の対。
死人(しにん)@: (名) 死人。事故・けんかなどで死んだ人をいう。普通の場合の
死んだ人には、儘(まあ)しょおる人(っちゅ)、という。 @死人(しにん)ぬ出(ぃ
んじ)而居(とお)ん。/死人が出た。
下人(じにん・ぢにん)⓪: (名) 下男。下人。
何(じ)ぬ⓪: (連体) どの。 @何(じ)ぬ家(やあ)が。/どの家か。
凌(しぬ)ぐ⓪: (名) 農村で祭りの時、男女で行う舞踊。村の若い男女が神前の広
場で入り乱れて踊る。儒教思想輸入により尚敬王時代に禁止されたことがある。 @
姉部達(あにびた)や良(ゆ)かてぃ凌(しぬ)ぐ為(し)ち遊(あす)でぃ、吾達
(わした)世(ゆ)に成(な)りば御止(うとぅ)み為(さ)りてぃ。[姉べたやよか
て しのぐしち遊で わした世になれば お止めされて]姉たちは幸福だった、シヌ
グ遊びをして遊んで、われわれの世になったら禁止されてしまった。恩納なべ(女流
歌人)のよんだ歌。
為貫(しぬ)くい又(また)くい⓪: (副) 工夫して準備するさま。苦心して作るさ
ま。お祝いのごちそう、または金銭などを苦心して用意する場合にいう。 @為貫(し
ぬ)くい又(また)くい為(しゅ)ん。/※動詞化。
為貫(しぬ)く⁼ゆん⓪: (他 ⁼らん、⁼てぃ) 工夫して用意する。苦心して準備する。
支度する。為貫(しにゅ)くゆん、ともいう。 @東(あがり)立(た)ち雲(くむ)
や世果報(ゆがふ)為貫(しぬ)くゆい、遊(あすぃ)び為貫(しぬ)くゆる二十美
童(はたちみやらび)。[東立雲や よがほしによくゆり 遊びしによくゆる 二十美
童]東の方の雲は豊年を支度するし、遊びの支度をしているのははたちのおとめ。
宜野座(じぬざ・ぢぬざ)⓪: (名) 宜野座。 ※「ぎのざ」、国頭郡宜野座村の地名。
宜野座村役場がある。宜野座高校の住所は、宜野座村宜野座1、である。
凌(しぬ)⁼じゅん⓪: (他 ⁼がん、⁼じ) しのぐ。困難・危険の中をくぐりぬける。
@命(ぬち)凌(しぬ)じゅん。/困難から助かる。 @雨(あみ)凌(しぬ)じゅ
ん。/雨をしのぐ。雨やどりをする。 @凌(しぬ)じ凌(しぬ)がらん。/しのご
うとしても、しのげない。困難から逃れられない。 ※万葉集・1655、「高山の菅
(すが)の葉凌(しの)ぎ降る雪の消(け)ぬと言ふべくも恋の繁けく」。 *混効験
集:坤巻・言語に、しのぐ、とある。
何(じ)ぬ人(っちゅ)⓪: (名) どの人。
忍(しぬ)び@: (名) @[文]忍び。微行。 ➁ひそかな恋。密通。また、あいび
き。 @無臓(んぞ)とぅ吾(わ)が仲(なか)ぬ忍(しぬ)び現(あらわ)りてぃ、
明日(あちゃ)や無臓(んぞ)責(し)みぬ有(あ)ゆらとぅ思(み)ば。[無臓と我
が仲の 忍びあらわれて 明日や無臓責めの あゆらと思ば(手水之縁)]女とわたし
の間のひそかな恋があらわれて、あすは女が責められることがあるかと思うと。 ※
手水之縁(てみずのえん)は、平敷屋朝敏(へしきやちょうびん)作の組踊である。
B探偵。密偵。探偵(たんてぃい)、ともいう。
忍(しぬ)⁼ぶん@: (自 ⁼ばん、⁼でぃ) @忍ぶ。堪える。こらえる。 @肝(ちむ)
ぬ忍(しぬ)ばらん。/同情にたえない。かわいそうで見過ごせない。 ➁ひそむ。
かくれる。ひそかに行く。(男女が)かくれて通う。あいびきする。 @野山(ぬやま)
越(くぃ)る道(みち)や幾里(いくり)隔(ふぃざ)みてぃん、闇(やみ)に混(ま)
じりやい忍(しぬ)でぃ行(い)ちゅん。[野山越る道や 幾里へぢやめても 闇にま
ぎれやり しのいでいきゆん(手水之縁)]野山を超える道は何里へだたっていても、
闇にまぎれて忍んで行く。 ※手水之縁(てみずのえん)は、平敷屋朝敏(へしきや
ちょうびん)作の組踊である。 ※万葉集・472、「世間(よのなか)は常(つね)
かくのみとかつ知れど痛き情(こころ)は忍びかねつも」。
死(し)⁼ぬん@: (自・不規則) 死ぬ。主として事故死の場合や卑しめていう場合、
または動物の死についていう。普通、人間の死については、儘(まあ)しゅん、とい
う。
宜野湾(じのおん・ぢのおん)⓪: (名) 宜野湾。 ※「ぎのわん」、宜野湾市の地名。
沖縄国際大学がある。
芝居(しばい)@: (名)[新] 芝居。もとは、踊(うぅどぅ)い、といった。
芝居為(しばいし)い⓪: (名)[新] 役者。俳優。もとは、踊(うぅどぅ)い為(し
ゃ)あ、といった。
柴木(しばき)⓪: (名) 植物名。やぶにっけい。種子から油をしぼり、食用・灯用
にする。
狭(しば)さん⓪: (形) 狭い。そこにある物や家、そこにいる人などについて、そ
の場所が狭い場合には、狭(いば)さん、といい、単に広狭を問題にする時は、狭(し
ば)さん、という。 @心(くくる)ぬ狭(しば)さん。/心が狭い。心には、狭(い
ば)さん、とはいわない。
暫(しば)し@: (副)[文] しばし。しばらくの間。 ※万葉集には、「しまし」と
ある。
じばっとぅ@: (副) ぎっしり。容器などにすきまなくはいったさま。 @じばっと
ぅ入而居(いっちょお)ん。/ぎっしりはいっている。
芝居屋(しばや)@: (名)[新] 芝居小屋。劇場。
縛(しば)⁼ゆん⓪: (他 ⁼らん、⁼てぃ) [文] 縛る。たばねてくくる。口語では、
結(ゆう)ゆん、など。
襦袢(じばん)⓪: (名) 襦袢(じゅばん)。
稭(しび)⓪: (名) しべ。わらしべ。普通は、藁芯穂(わらしんぶう)、という。 @
徒然草・53に、「藁のしべをまはりにさし入れて」とある。
強平者(しぴじゃあ)⓪: (名) @ぺしゃんこのもの。押しつぶれたもの。 ➁実の
入っていない米・豆など。
強平者豆(しぴじゃあまあみ)⓪: (名) ぺしゃんこの豆。実のはいっていない豆。
下卑(じび・ぢび)た⓪: (連体) 下卑た。下品な。卑しい。わいせつな。また、け
ちな。
強平(しぴ)たい皮垂(かあた)い@: (副) しょんぼりしたさま。しょげているさ
ま。元気のないさま。また、見すぼらしいさま。 @彼(あれ)え此(く)ぬ前(め
え)から強平(しぴ)たい皮垂(かあた)い為居(しょお)たるむん、んちゃ強平(し
ぴ)たてぃ無(ねえ)らん。/彼はこの間から意気阻喪していたが、やっぱりすっか
りしょげかえってしまった。
強平(しぴ)たい頑丈者(がんじゅうむん)@: (名) 体が弱そうに見えて強い者。
強平(しぴ)たい泣(な)ち@: (名) めそめそ泣くこと。
強平(しぴ)たやあ@: (名) 弱虫。弱い者を罵倒していう語。
強平(しぴ)た⁼ゆん@: (自 ⁼らん、⁼てぃ) しょんぼりする。元気がなくなる。ま
た、落ちぶれる。
四百(しひゃあく)⓪: (名) 四百。
四百(しぴゃあく)⓪: (名) 銭400文。8厘にあたる。銭(じん)、の項参照。
四百五十(しぴゃあくぐんじゅう)⓪: (名) 銭450文。9厘にあたる。銭(じん)、
の項参照。
吸放(しぴ)⁼ゆん@: (他 ⁼らん、⁼てぃ) (鼻を)かむ。(鼻汁を)ぬぐいとる。
@鼻垂(はなだ)い吸放(しぴ)ゆん。/鼻をかむ。鼻(はな)吸放(しぴ)ゆん、
ともいう。
渋(しび)り@: (名) しぶりばら(の時の便)。
強平(しぴ)り物言(むに)い⓪: (名) 卑下したしゃべりかた。 @強平(しぴ)
り物言(むに)い為(しゅ)ん。/※動詞化。
強平(しぴ)り⁼ゆん@: (自 ⁼らん、⁼てぃ) @ぺしゃんこになる。押しつぶされて
ひらたくなる。 @強平(しぴ)りてぃ無(ねえ)らん。/すっかりぺしゃんこにな
ってしまった。 ➁卑下する。小さくなる。
渋(しぶ)⓪: (名) 渋。
冬瓜(しぶい)⓪: (名) とうがん(冬瓜)。 *混効験集:乾巻・飲食に、しぶい、
とあり、坤巻・草木に、しふり、とある。
是非(じふぃ)@: @(副)ぜひ。必ず。きっと。 @是非(じふぃ)来(っち)呉(く
ぃ)りよお。/ぜひ来てくれよ。 ➁(名)[文]是非。正邪。善悪。 @是非(じふ
ぃ)分(わ)かしゅん。/善悪を判断する。
是非無物(じふぃねえむん)@: (名) 是非ないもの。しかたのないこと。
絞(しぶ)い殻(がら)⓪: (名) しぼりがら。しぼりかす。
四分板(しぶいた)⓪: (名) 4分板。厚さ4分の板。主として壁板用。
四分一(しぶいち)⓪: (名) 四分の一。
渋(しぶ)い腹(わた)⓪: (名) しぶりばら。
粘(しぷ)う@: (名) 弾力の強いもの。粘り強いもの。折れない枝、かみ切れない
肉、ねばり強い人間など。
湿(し)ぷうとぅ@: (副) びっしょり。ぐっしょり。ひどくぬれたさま。
渋扇(しぶおおじ)⓪: (名) 渋うちわ。 @姉小(ぅんみぐぁ)姿(すぃがた)や
神(かみ)か仏(ふとぅき)か、二人(たい)が刀自(とぅじぇ)え焼(や)ち芋(ぅ
んむ)ぬ色(いる)渋扇(しぶおおじ)ぬ色(いる)。/(茶売節)茶売りのねえさん
は神か仏のように美しいのに、自分らふたりの妻は焼きいもの色、渋うちわの色。
塩辛(しぷから)さん⓪: (形) 塩からい。しょっぱい。塩強(しゅうぢゅう)さん、
ともいう。
塩辛物(しぷからむん)⓪: (名) 塩からいもの。
地伏(じぶく)⓪: (名) 地固め。家の基礎の地盤を胴突きなどで固めること。 @
地伏(じぶく)練(にい)ゆん。/地固めをする。
渋(しぶ)さん⓪: (形) 渋い。味が渋い。
粘(しぷ)さん@: (形) ねばり強い。弾力性が強い。裂(さ)くさん、の対。
湿(し)ぷ湿(し)ぷ@: (副) じめじめ。着物などが、ぬれて湿っているさま。 @
湿(し)ぷ湿(し)ぷ為居(しょお)ん。/じめじめしている。
湿(し)ぷ垂(た)い皮垂(かあた)い@: (副) じめじめ。ぬれて湿っているさま。
湿(し)ぷ垂(た)⁼ゆん@: (自 ⁼らん、⁼てぃ) 湿る。じめじめする。ぬれる。湿
垂(しった)ゆん、の項参照。塩分をもって湿っている場合に多くいうようである。
湿(し)ぷ垂(た)ら暑(あつぃ)さん⓪: (形) 蒸し暑い。
渋張(しぶば)い⓪: (名) @渋張り。 ➁渋張りの三味線(さんしん)。三味線の胴
を芭蕉紙で張り、その上に芭蕉の渋を塗ったもの。いなかの青年たちが、草原遊(も
おあすぃ)び、で弾いて楽しむのはこれで、蛇皮張(じゃふぃば)い、の方がずっと
上等だが、渋張(しぶば)い、は夜露に対しても強いなどの特長がある。
絞(しぶ)⁼ゆん⓪: (他 ⁼らん、⁼てぃ) しぼる。
自分(じぶん)⓪: (名)[文] 自分。口語は、胴(どぅう)。
時分(じぶん)@: (名) @時。時刻。時間。 @時分(じぶん)成而居(なとお)
ん。/時間になった。 @既(なあ)時分(じぶの)お有(あ)らに。/もう時間で
はないか。 ➁(接尾)時分。頃。 @四(ゆ)つぃ時分(じぶん)[四つ時分。午前
午後の10時ごろ]など。
四方八方(しほおはっぽお)@: (名) 四方八方。
島(しま)⓪: (名) @村里。部落。 @勝連(かつぃりん)ぬ島(しま)や通(か
ゆ)い欲(ぶ)しゃ有(あ)すぃが。[勝連の島や 通ひぼしやあすが]勝連の村里に
は通いたくはあるが。 ➁故郷。出身の部落。 B領地。知行所。領地としてもらう
村落。 @島(しま)拝(うぅが)ぬん。/知行地をいただく。 C島。海にかこま
れた島。 ※共通語の「島」は、古くは、広く水に臨んだ景観の地をいう語であった
ようである。万葉集・452、「妹(いも)として二人作りしわが山斎(しま)は木高
く繁くなりにけるかも」。 *おもろさうし・8に、しま、とある。
縞(しま)⓪: (名) 織物の模様。縞は、綾(あや)、という。 @棒縞(ぼおじま)
あ。/棒縞の模様の布。
島(しま)あ⓪: (名) 小さい島の者、または小さい島出身の者(卑称)。
島腐(しまくさ)らし⓪: (名) 村に悪疫のはいるのを防ぐために行う、まじないの
行事。獣血を塗ったしめ縄を張りめぐらし、獣骨などをつるし、はいってくる舟から
悪疫がはいり込むのを防いだもの。農村でする行事で、首里では行わない。
島国(しまくに)⓪: (名) @村里。島(しま)も国(くに)もともに村里の意。 ➁
領地。 @島国(しまくに)ん拝(うぅが)でぃ。/知行地もいただいて。
島国(しまぐに)⓪: (名) 島国。 @唐(とお)大和(やまと)お大国(てえくく)、
沖縄(うちなあ)や島国(しまぐに)。/中国と日本は大国、沖縄は島国。
島米(しまぐみ)⓪: (名) 沖縄産米。地米(じいめえ)[内地米]、唐米(とおぐみ)
[外米]などに対する。
島尻(しまじり)⓪: (名) 島尻。 ※「しまじり」、島尻郡伊平屋村、および、宮古
島市平良の地名。島尻は郡名であるが、地名としても存在し、旧仲里間切にも島尻が
あったようである。 *おもろさうし・12に、しまじり、とある。
島尻方(しまじりほお)⓪: (名) [島尻方]沖縄の旧行政区画で、のちに島尻郡。
島添(します)い時台(あざな)⓪: (名) 首里城の石垣の上にある楼。御城(うぐ
すぃく)、の項参照。
島装(しますが)い⓪: (名) 故郷に帰る支度。
島知行(しまちじょお)⓪: (名) 領地を持ち知行を得ること。また、領地と扶持米。
地頭に与えられた領地と、その領地から地頭が得る扶持米。
島手果手(しまてぃいひゃあてぃい)⓪: (副) あらん限りの声で叫ぶさま。声を限
りに。
自慢(じまな)あ@: (名) よく自慢する者。自慢ばかりする者。
島流(しまなが)し⓪: (名) 島流し。流罪。
島袋(しまぶく)⓪: (名) 島袋。 ※「しまぶく」、中頭郡北中城村の地名。
島持(しまむ)ち⓪: (名) 名目だけの領地を与えられた、脇地頭(わちじとぅう)。
領地はなく、米は政府の倉庫からもらう。いわゆる、一方持(いっぽおむ)ち、の脇
地頭。字義は、領地[島(しま)]を持つ者の意。
自儘(じまま)@: (名) 自まま。わがまま。
締(し)まり⓪: (名) 戸じまり。 @良(ゆ)う締(し)まり為(しい)よお。/
よく戸じまりをしろよ。
島輪(しまわあ)⓪: (名) 村落[島(しま)]の中。村落の大きさ。村落の範囲。
自慢(じまん)@: (名) 自慢。
締(し)み⓪: (名) 締め。合併。
攻(し)み合(え)え⓪: (名) 攻め合い。
締(し)み殺(くる)⁼しゅん⓪: (他 ⁼さん、⁼ち) 締め殺す。
攻(し)み殺(くる)⁼しゅん⓪: (他 ⁼さん、⁼ち) 攻め殺す。
湿(し)み返(けえ)⁼ゆん⓪: (自 ⁼らん、⁼てぃ) しける。湿気をおびる。
湿(し)みし⓪: (名) 湿らせること。反物などに霧を吹くこと。霧吹き。 @湿(し)
みし為(しゅ)ん。/霧を吹く。
湿地(しみじ)@: (名) しめじ。きのこの一種。食用にする。
墨筆紙(しみふでぃかび)⓪: (名) 墨と筆と紙。学用品。文房具。 ※墨(すぃみ)、
がこの場合、墨(しみ)と発音されるのはなぜか。「すぃ」が「し」に変化していく過
程を示しているようである。
染(し)み物(むん)⓪: (名) 料理名。煮しめ。肉類・野菜などを醤油で煮しめた
もの。
攻(し)み寄(ゆ)し⁼ゆん⓪: (自 ⁼らん、⁼てぃ) 攻め寄せる。
湿(し)み⁼ゆん⓪: (自 ⁼らん、⁼てぃ) しめる。湿気をおびる。湿(し)み返(け
え)ゆん、ともいう。
締(し)み⁼ゆん⓪: (他 ⁼らん、⁼てぃ) 締める。帯を締めるは、普通、帯(ううび)
為(しゅ)ん、という。
攻(し)み⁼ゆん⓪: (他 ⁼らん、⁼てぃ) @攻める。攻撃する。 ➁攻める。
為(し)み⁼ゆん@: (他 ⁼らん、⁼てぃ) させる。為(しゅ)ん[する]の使役形。
@掃除(そおじ)為(し)みゆん。/掃除させる。
‐しみゆん: (接尾 ⁼らん、⁼てぃ) せる。〜させる。「サ行」の動詞の「未然形」に
付き、使役の意を表す。他の動詞には、‐しゅん、が付く。産(な)しゅん[産む]
→産(な)しみゆん[産ませる]。通(とぅう)しゅん[通す]→通(とぅう)しみゆ
ん[通させる]など。
霜(しむ)⓪: (名) 冷雨。冬の冷たい雨。「霜」に対応する。霜は降らないので、霜
を表す語はない。
下(しむ)@: (名) @しも(下)。 ➁台所。勝手。
下方(しむかた)@: (名) @しもの方。都から遠い地方。また、島尻方面をいう。
➁しもじも。下層階級。
撞木(しむく)⓪: (名) 撞木(しゅもく)。 ※撞木(しゅもく)は、撞木(しもく)
ともいう。
下句(しむく)@: (名) 下句。しもの句。琉歌は、上の句八・八、下の句八・六、
全体で三十字からなる。
下奇(しむぐ)し⓪: (名) 子宮病。
霜降(しむくだ)る⓪: (名) 霜降。二十四節の一つ。
下儀保(しむじいぶ・しむぢいぶ)@: (名) 下儀保。 ※那覇市首里にあった地名。
下志喜屋(しむしちゃ)@: (名) 下志喜屋。 ※知念間切にあった地名。南城市知
念に、志喜屋(しきや)、という地名は存在する。
下々(しむじむ)@: (名) しもじも。下層階級。
為持(しむ)ち@: (名) 心だて。気だて。根性。性質。 @嫌(や)な為持(しむ)
つぃ。/意地悪。
霜月(しむつぃち)⓪: (名) 11月。霜月。十一月(じゅういちぐぁつぃ)、とはめ
ったにいわない。 *おもろさうし・817に、しも月、とある。
下生(しむな)い⓪: (名) うらなり。木末生(しゅうらな)い、ともいう。根生(に
いな)い[もとなり]の対。
下働(しむばたら)ち@: (名) 下働き。台所働き。
下綿着物(しむわたぢん)@: (名) 下女の冬の晴れ着。
下(しむ)ん鳥居(とぅり)@: (名) 首里城の門の名。御城(うぐすぃく)、の項参
照。
蛇(じゃあ)@: (名) 蛇(じゃ)。次のような場合にいう。 @女(うぃなぐ)ぬ果
(は)てぃれえ蛇(じゃあ)成(な)ゆん。/女は果ては蛇となる。女の執念深さを
いったもの。果(は)てぃれえ、は命がけになればの意。
邪魔(じゃあま)⓪: (名) 迷うこと。途方に暮れること。また、道に迷うこと。ま
い子になること。 @道(みち)邪魔(じゃあま)成(な)ゆん。/道に迷う。まい
子になる。
邪魔手間(じゃあまてぃいま)⓪: (名) 散々迷うこと。途方に暮れること。また、
散々道に迷うこと。 @邪魔手間(じゃあまてぃいま)ぬ多(うふ)さん。/途方に
暮れることが多い。 @邪魔手間(じゃあまてぃいま)為(しゅ)ん。/※動詞化。
釈迦愛(しゃあかがな)し⓪: (名) [釈迦加那志]お釈迦様。
釈迦問答(しゃあかむんどお)⓪: (名) 灌仏会(かんぶつえ)。4月8日の花まつり。
‐勺(しゃあく): (接尾) 勺(しゃく)、の項参照。
勺(しゃく)⓪: (名) 量。また、ほど。程度。〜ほどの量。また、適度な量。適度
な程度。 @如何(ちゃぬ)値(あたえ)え良(いぃ)い勺(しゃく)が。/どのく
らいがいい量か。 @其(うっ)さっし良(いぃ)い勺(しゃく)。/そのくらいが良
い量だ。 @水(みずぃ)ぬ勺(しゃこ)お如何(ちゃあ)が。/水加減はどうだ。
@勺(しゃく)ん無(ねえ)ん飲(ぬ)み方(かた)為(っし)、酔(うぃ)い触(ふ)
り而居(とお)さ。/限度のない飲み方をして酔いしれている。 @何(ぬう)やて
ぃん勺(しゃく)ぬ有(あ)ん。/何でも程度がある。
勺(しゃく)⓪: (名) @勺。一合の十分の一。 ➁(接尾)‐勺(しゃあく)、とも
なる。 @一勺(いっしゃく)、二勺(にしゃあく)、または、二勺(にしゃく)、三勺
(さんじゃく)、四勺(ししゃあく)、または、四勺(ししゃく)、五勺(ぐしゃあく)、
または、五尺(ぐしゃく)、六勺(るくしゃく)、など。
尺(しゃく)⓪: (名) @尺。一寸の十倍。 ➁(接尾)尺。 @一尺(いっしゃく)、
二尺(にしゃく)、五尺(ぐしゃく)、など。しゃあく、とはならない。
酌(しゃく)⓪: (名) 酌。 @酌(しゃく)為(せ)え。/酌をしろ。
癪(しゃく)@: (名) 癇癪。癪。 @癪(しゃく)ぬ起(う)ぐりゆん。/癇癪が
おきる。
癪持(しゃくむ)ち@: (名) 癇癪もち。
麝香(じゃこお)@: (名) 麝香(じゃこう)。 @麝香(じゃこお)ぬ匂(か)ざ。
/麝香の香り。
謝敷(じゃじち)⓪: (名) 謝敷。 ※「じゃしき」、国頭郡国頭村の地名。
座敷衆(じゃしちしゅう)⓪: (名) 本官にならない役人。補。やとい。
写真(しゃしん)⓪: (名) 写真。
社壇(しゃだん)ぬ於菟(うとぅう)姉前(ぅんみい)@: (名) 鼻の低い女に対す
る悪口。おたふく。おかめ。社壇の宮の柱に丸顔で鼻の低いおたふくの女の顔だけの
像があり、その女[於菟(うとぅう)はその名]よりさらに鼻が低いものの意である。
※沖縄の昔の女性名に、ウシ、カマ、ナベ、カマド、ウト、などがある。うとぅう、
は、ウトのことだと思われる。前の四つの名は、どのような漢字を当てるかただちに
わかるが、ウトは難しい、壽岳章子氏の説では、うーとーとー、と関係があるとのこ
とであるが、前の四つがあまりにも具体的であることから、これは、虎または猫の異
名である「於菟(おと)」の方が妥当と思われる。ちなみに、虎も猫も、同じネコ科で
ある。ネコ科の動物は鼻が低く、なぜ、他の女性名ではなく、「ウト」というのかの説
明がつく。
社壇参(しゃだんめえ)い@: (名) 社壇参り。社壇は、首里の郊外、末吉村の入り
口にある社の名。 ※社壇は、那覇市首里末吉町にある「末吉宮」の俗名である。
素焼(しや)ち⓪: (名) 素焼(せえ)ち、と同じ。
謝名(じゃな)⓪: (名) 謝名。 ※「じゃな」、国頭郡今帰仁村の地名。
謝名堂(じゃなどお)⓪: (名) 謝名堂。 ※「じゃなどう」、島尻郡久米島町の地名。
謝花(じゃふぁな)⓪: (名) 謝花。 ※「じゃはな」、国頭郡本部町の地名。
蛇皮張(じゃふぃば)い@: (名) 蛇皮張りの三味線[三線(さんしん)]。沖縄の三
味線中、上等のものである。蛇皮線とはいわない。 ※「蛇皮線(じゃびせん)は、
三線(さんしん)の日本本土での俗称であり、三線(さんしん)は広辞苑にも載って
いる共通語である。
邪魔(じゃま)@: (名) 邪魔。さまたげ。
邪魔取(じゃまどぅ)い⓪: (名) うろたえること。狼狽。とまどうこと。 @邪魔
取(じゃまどぅ)い為(しゅ)ん。/※動詞化。
邪魔取(じゃまどぅ)いかあ⓪: (名) 邪魔取(じゃまどぅ)い皮取(かあどぅ)い、
と同じ。
邪魔取(じゃまどぅ)い皮取(かあどぅ)い⓪: (名) 大いにうろたえること。大狼
狽。大いにまどうこと。 @邪魔取(じゃまどぅ)い皮取(かあどぅ)いぬ多(うふ)
さん。/大いにうろたえることが多い。 @邪魔取(じゃまどぅ)い皮取(かあどぅ)
い為(しゅ)ん。/※動詞化。
邪魔取(じゃまどぅ)⁼ゆん⓪: (自 ⁼らん、⁼てぃ)うろたえる。狼狽する。とまどう。
幸(しやわ)し@: (名)[文] しあわせ。幸福。 @幸(しやわ)しな人(っちゅ)。
しあわせな人。
幸(しやわ)し事(ぐとぅ)@: (名) (名)しあわせな事。幸福な事件。
月桃(しゃんにん)@: (名) 月桃(さんにん)、と同じ。
香片(しゃんぴん)⓪: (名) [香片] 支那茶の名。 ※いわゆる、さんぴん茶・
ジャスミンティーのことである。さんぴん、よりは、しゃんぴん、の方が中国音によ
り近い。
‐升(しゅ): (接尾) 升。一合の十倍。 @一升(いっしゅ)、二升(にしゅ)、三升
(さんじゅ)、など。
首里(しゅい)⓪: (名) 首里。 @首里(しゅい)方(がた)ぬ侍(さむれえ)。/
首里の士族。 *おもろさうし・229に、しより、とある。
首里親国(しゅいうぇえぐに)⓪: (名) [首里親国]首里の敬称。首里以外のいな
か、山原などから、首里を敬っていった語。
首里愛(しゅいがな)し前出(めで)い⓪: (名)[文] [首里加那志美公事]首里王
府への御奉公。首里愛(しゅんじゃな)し前出(めで)い、ともいう。
首里言葉(しゅいくとぅば)⓪: (名) 首里方言。
首里天愛(しゅいてぃんがな)し⓪: (名)[文] [首里天加那志]国王の敬称。首里
の国王様。 *混効験集:乾巻・人倫に、しより天かなし美御前、とある。
首里原(しゅいばる)⓪: (名) 首里周辺の畑。よく手入れがゆきとどいた畑として
知られていた。 ※琉球語では、畑のことを「はる」というが、共通語の「はら」は、
広くて平らなところをいう言葉のようである。
首里風儀(しゅいふうじ)⓪: (名) 首里の風俗。
首里三殿地(しゅいみとぅんち)⓪: (名)[首里三殿内]首里三平等(しゅいみふぃら)、
にそれぞれ一つずつあった神の宮。三人の、吾知(あむし)られ、のいる所。南風之
平等(ふぇえぬふぃら)、に首里殿地(しゅんどぅんち)[首里殿内]、西之平等(にし
ぬふぃら)に、儀保殿地(ぢいぶどぅんち)[儀保殿内]、真和志之平等(まあじぬふ
ぃら)に、真壁殿地(まかんどぅんち)[真壁殿内]があった。
首里三坂(しゅいみふぃら)⓪: (名) [首里三平等]首里の昔の行政区画。三つに
分かれそれぞれを、真地(まあじ)ぬ坂(ふぃら)[真和志之平等]、南風(ふぇえ)
ぬ坂(ふぃら)[南風之平等]、北(にし)ぬ坂(ふぃら)[西之平等]という。 ※首
里はもともとは、三つの坂(ふぃら)を中心として開けていった町のようである。行
政区としては、伝統的に「平等」を「ふぃら」と読ませるようである。「真和志」、「西」
は当て字である。「西之平等」は「南風之平等」の北側にあり、首里全体からすれば、
東側になる。
首里(しゅい)ん人(ちゅ)⓪: (名) 首里人。
自由(じゆう)⓪: (名) 自由。意のまま。思いどおり。 @吾胴(わどぅ)やちょ
ん吾胴(わどぅ)ぬ自由(じゆ)成(な)らん世界(しけ)に、彼(あ)りゆ恨(う
ら)みゆる由(ゆし)ぬ有(あ)るい。[わどやちやうもわどの 自由ならぬ世界に あ
れよ恨めゆる 由のあるゑ]自分自身でさえ自分の自由にならない世の中で、彼女を
恨むわけがあろうか。 @自由(じゆう)に成(な)ゆん。/思いどおりになる。 @
自由(じゆう)成(な)らん。/思いどおりにならない。 @自由(じゆう)ぬ無(ね
え)らん。/自由がない。
潮・塩(しゅう)⓪: (名) @うしお。海水。潮。 @潮(しゅう)汲(く)ぬん。
/潮を汲む。 ➁[文]塩。口語では普通、真塩(まあしゅ)、という。 *おもろさ
うし・964に、しほ、とある。
主(しゅう)⓪: (名) 父。おとうさん。平民の父をいう。平民の父の名称および呼
称。
趣(しゅう)@: (名) 趣。おもむき。 @趣(しゅう)ん無(ねえ)ん。/おもむ
きがない。面白味がない。
十(じゅう)⓪: (名) 十。普通は、十(とぅう)、を多く用いる。
十一(じゅういち)⓪: (名) 十一。
潮川渡(しゅうかあわた)い⓪: (名) 海を渡って他郷で死ぬこと。潮川(しゅうか
あ)、は海のこと。
塩嗄(しゅうか)り声(ぐぃい)⓪: (名) 塩から声。しわがれ声。
小寒(しゅうかん)⓪: (名) 小寒。二十四節。
証拠(しゅうく)⓪: (名) 証拠。
十九(じゅうく)⓪: (名)十九。
十五(じゅうぐ)⓪: (名) 十五。
十月(じゅうぐぁつぃ)⓪: (名) 10月。年の第十番目の月。
十五日(じゅうぐにち)⓪: (名) @15日。 ➁月経の隠語。普通は、月(つぃち)
ぬ物(むん)、という。
十五人衆(じゅうぐにんしゅう)⓪: (名)[古] [十五人衆]表十五人(うむてぃじ
ゅうぐにん)、十五人役(じゅうぐにんやく)、ともいう。御評定所(ぐひょおじょお
じゅ)の十五人の役人。三司官(さんしくぁん)に次ぐ役人で、各省長官および次官
に相当し、下(しむ)ぬ御座(うざ)、を構成する。すなわち、物奉行(むぬぶじょお)
三人、その、吟味役(じんみやく)[次官]三人、鎖(さすぃ)ぬ側(すば)一人、そ
の下に、日帳主取(ふぃちょおぬしどぅい)二人、双紙庫裡(そおしくい)[双紙庫理]
一人、その、吟味役(じんみやく)一人、泊地頭(とぅまいじとぅう)一人、その、
吟味役(じんみやく)一人、平等(ふぃら)ぬ側(すば)一人、その、吟味役(じん
みやく)一人、計十五人。
潮汲(しゅうく)み⓪: (名)[文] 潮汲み。製塩のため海水を汲むこと。
十五夜(じゅうぐや)⓪: (名) @十五夜。 ➁とくに八月の十五夜の月をさすこと
もある。
焼香(しゅうこお)⓪: (名) [焼香]法事。回忌ごとに行う法事。十三年忌までを、
普通、御焼香(うしゅうこお)、といい、二十五年忌、三十三年忌は、御仏儀(うぶつ
ぃじ)、または、大御焼香(うふうしゅうこお)、という。また、一周忌[同折(いぃ
ぬい)]、三年忌(さんにんち)、は、若御焼香(わかうしゅうこお)、という。御焼香
(うしゅうこお)、には、白地の喪服を着て祭りを行うが、御仏儀(うぶつぃじ)、に
は紺地の着物を用いる。
十三(じゅうさん)⓪: (名) 十三。
小路(しゅうじ)⓪: (名) 小路。路地。横丁。
祝儀(しゅうじ)@: (名) 祝儀。祝宴。お祝いの宴。
十四(じゅうし)⓪: (名) 十四。
祝儀座(しゅうじざあ)⓪: (名) 祝宴の座。祝賀の席。
塩肉(しゅうじし)⓪: (名) 塩漬けの肉。主として豚肉の塩漬け。単に、塩漬(し
ゅうつぃ)き、ともいう。
主為足(しゅうした)り前(めえ)⓪: (名)[文]他人の父の尊称か。または、役人の
尊称か。主(しゅう)、は父、為足(した)り、は、吾為足(あんした)り、などの、
為足(した)り、と同じく敬意の接尾辞か。前(めえ)、は敬意の接尾辞。 @地頭代
(じとぅでえ)主為足(しゅうした)り前(めえ)御取次(うとぅいつぃ)ぢ為侍(し
ゃび)ら、彼(あ)まん世(ゆ)ぬ凌(しぬ)ぐ御許(うゆる)し召候(みしょお)
り。[地頭代主したり前 お取次しやべら あまん世のしのぐ 御許しめしやうれ(恩
納なべの歌]地頭代様、恐れながら申し上げます。昔の時代の、凌(しぬ)ぐ[男女
でする踊り]をお許し下さいません。
十七(じゅうしち)⓪: (名) 十七。
十七八(じゅうしちはち)⓪: (名) 十七八。年ごろ。文語では、二八頃(にはちぐ
る)、ともいう。 @二八、十六という意味であろう。
重々(じゅうじゅう)@: (副) 重々。重ね重ね。 @重々(じゅうじゅう)吾(わ
あ)が悪(わっ)さたん。/かえすがえす私が悪かった。
執心(しゅうしん)⓪: (名) 惚れること。恋慕。[執心]に対応する。 @執心(し
ゅうしん)為居(しょお)ん。/惚れている。
潮炊(しゅうた)ち⓪: (名)[文] 潮たき。製塩。また、潮をたく人。製塩する人。
潮炊(しゅうた)ちゃあ⓪: (名)[文] 潮をたく人。口語では、真塩炊(まあしゅた)
ちゃあ、という。
塩気(しゅうち)⓪: (名) @塩気。 ➁酒のつまみ。
塩強口(しゅうぢゅうぐち)⓪: (名) 塩からい味。また、塩からい味を好む者。か
ら口。
塩強(しゅうぢゅう)さん⓪: (形) 塩からい。しょっぱい。塩辛(しぷから)さん、
ともいう。
塩強物(しゅうぢゅうむん)⓪: (名) 塩からいもの。
塩漬(しゅうつぃ)き⓪: (名) 塩漬け。肉の塩漬けをいう。
所帯(しゅうてえ)⓪: (名) 所帯。世帯。
所帯粗(しゅうてえあら)さん⓪: (形) 所帯持ちが悪い。家計が荒れている。所帯
細(しゅうてえくま)さん、の対。
所帯道具(しゅうてえどおぐ)⓪: (名) 所帯道具。
所帯細(しゅうてえくま)さん⓪: (形) 所帯持ちがいい。つつましく暮らしている。
所帯持(しゅうてえむ)ち⓪: (名) 所帯持ち。一家を構えている者。
所帯分(しゅうてえわ)かい⓪: (名) 一軒の家に暮らしながら、所帯を別にするこ
と。別所帯。次三男が結婚しながら、同じ家の中で所帯を別にする場合などをいう。
取得(しゅうとぅく)⓪: (名) 得。利益。益。金銭の利益は、儲(もお)き、とい
う。 @取得(しゅうとぅく)ん無(ねえ)ん話(はなし)。/益もない話。つまらな
い話。
十二(じゅうに)⓪: (名) 十二。
塩煮(しゅうに)い⓪: (名) 塩煮。魚などを塩味だけで煮ること。
十二箇所(じゅうにかし)⓪: (名) [十二箇所]御寺十二箇所(うてぃらじゅうに
かし)、を見よ。
十二支(じゅうにし)⓪: (名) 十二支。
十人(じゅうにん)⓪: (名) 十人。
十人適(じゅうにんがあ)い⓪: (名) 十人に匹敵すること。 @童(わらべ)え十
人適(じゅうにんがあ)い。/子供がひとりがいればおとなが十人いるぐらいにぎや
かになる。
十人引合(じゅうにんびちぇ)え⓪: (名) 十人力。十人に匹敵すること。
塩(しゅう)ぬ花(はな)⓪: (名) 塩花。不幸のあった家、または葬式から帰った
場合などに、はらい清めるためにまく塩。
重箱(じゅうばく)⓪: (名) 重箱。 @八寸重箱(はっすぃんじゅうばく)、七寸重
箱(しちすぃんじゅうばく)、六寸重箱(るくすぃんじゅうばく)[それぞれ、8寸四
方・7寸四方・6寸四方の重箱]の三種があり、身分によりその使用に区別があった。
十八(じゅうはち)⓪: (名) 十八。
修補(しゅうふ)⓪: (名) 家屋などの修理。修補。
勝負(しゅうぶ)⓪: (名) 勝負。闘争。
塩豚(しゅうぶた)⓪: (名) 豚肉の塩漬け。
塩膨(しゅうぶって)え⓪: (名) 皮膚病の一種。虫にさされるなどして、皮膚に小
さな腫れができるもので、かゆい。
秋分(しゅうぶん)⓪: (名) 秋分。二十四節の一つ。春分とともに彼岸祭り[御紙
(んちゃび)]を行う。
充分(じゅうぶん)⓪: (名) 充分。十分。 @充分(じゅうぶん)な働(はたら)
ち。/充分な働き。
十分分(じゅうぶんぶう)⓪: (名) ひとり前の賃金。五分分(ぐぶぶう)[半人前の
賃金]の対。
小満(しゅうまん)⓪: (名) 小満。二十四節の一つ。芒種(ぼおしゅう)、とともに、
沖縄で雨の多い季節。
十万貫(じゅうまんぐぁん)⓪: (名) 銭10万貫。2,000円にあたる。銭(じ
ん)、の項参照。
小満芒種(しゅうまんぼおしゅう)⓪: (名) 小満芒種。沖縄で梅雨期にあたる季節。
@小満芒種(しゅうまんぼおしゅう)ぬ雨(あみ)ぬ降(ふ)い続(つぃぢ)ちゅん
ねえ。/小満芒種の雨が降り続くように。絶え間のないさま。
塩水(しゅうみずぃ)⓪: (名) 塩水。塩を加えた水。
証文(しゅうむん)@: (名) 証文。
主前(しゅうめえ)⓪: (名)[新] 旦那。日本本土から来た商人を呼んでいった。役
人や巡査は、旦那(だんな)、と呼ばれた。
主前小(しゅうめえぐぁあ)⓪: (名)[新] 日本本土の商人の若旦那。
塩屋(しゅうや)⓪: (名) 塩屋。塩たき小屋。塩屋(しゅうやあ)、ともいう。文語
は、塩屋(しゅや)。
塩屋(しゅうやあ)⓪: (名) 塩屋(しゅうや)、と同じ。
萎(しゅう)らあしゃん⓪: (形) しおらしい。かわいらしい。愛らしい。
十六(じゅうるく)⓪: (名) 十六。
十六日(じゅうるくにち)⓪: (名) 1月16日に行う墓参り。その前年に死んだ者
に対しては、その日に特に供え物をして祭るが、それは、新十六日(みいじゅうるく
にち)、という。
潮渡(しゅうわた)い⓪: (名) 海中の歩いて渡る箇所。入り江などで海中を歩いて
通れる所。
朱紙(しゅがみ)@: (名) [朱紙]お祝いの時、聯(れん)を書いたり、祝意の進
物に張りつけたりする赤い紙。紙質は唐紙で、表を赤く染めてある。
諸喜田(しゅきた)⓪: (名) 諸喜田。 ※「しょきた」、国頭郡今帰仁村諸志(しょ
し)の旧名のようである。地元では今でも、諸志を、諸喜田(しくうぢゃ)、という人
がいるようである。なお、諸志は、諸喜田と志慶真を合わせた名前のようである。諸
志という地名がどうも沖縄風ではないというのが最初の印象であった。諸志は私にと
って思い出のある地である。
刺子(しゅく)⓪: (名) 魚名。琉球沿岸に産する小魚。塩辛にして食べる。 ※成
長したものを藍子(あいご)という。
息(しゅく)@: (名) 机。
守護(しゅぐ)⓪: (名) [守護]大切にしまっておくこと。大事に保存すること。
秘蔵。格護(かくぐ)、ともいう。 @守護(しゅぐ)為(しゅ)ん。/※動詞化。
為困(しゅくぇ)え⁼しゅん@: (自 ⁼さん、⁼ち) 為困(しゅっくぇ)えしゅん、と
同じ。
刺子辛塩(しゅくがらしゅ)⓪: (名) 刺子(しゅく)[小魚の名]の塩辛。
食傷(しゅくしょお)@: (名) 食あたり。食傷。
宿通(しゅくどぅう)い@: (名) 街道。国道。公道。宿道(しゅくみち)、ともいう。
首里を中心として、首里から、島尻方面へ三本、中頭・国頭方面へ二本あった。
職分(しゅくぶん)@: (名) 職分。務めとしてすべきこと。
宿道(しゅくみち)@: (名) [宿道]宿通(しゅくどぅう)い、と同じ。
食欲(しゅくゆく)@: (名)[文] 食欲。食物への欲。物(むん)ぬ欲(ゆく)、と
もいう。病後などの食欲は、逆立(さかだ)ち、という。
諸座諸倉(しゅざしゅくら)⓪: (名)[文] [諸座諸倉]すべての役所。諸官庁。す
べての、座(ざあ)[役人のいるところ]と、倉(くら)[倉庫]。
主為足(しゅしたれ)え@: (名)[文] 他人の父の尊称か。または、役人の尊称か。
主為足(しゅうした)り前(めえ)、の項参照。
修行(しゅじょお)@: (名) 歓楽。享楽。娯楽。楽しみ。 @今日(ちゅう)や良
(い)い修行(しゅじょお)為(しゃ)ん。/きょうはいい楽しみをした。
修行人(しゅじょおにん)@: (名) 粋人。通人。風流人。
主人(しゅじん)@: (名)[文] 主人。主君。
所存(しゅずん)@: (名) @所存。考え。 @所存(しゅずん)丈(だき)言(い)
ち見(んん)でぃ。/考えのほどを言ってみろ。 ➁好意。親切。所存の転意。 @
人(っちゅ)ぬ所存(しゅずん)倒(とお)しゅる物(むの)お有(あ)らん。/人
の好意を無にするものではない。
所存次第(しゅずんしでえ)⓪: (名) 所存次第。考えのまま。こころざし。寄付を
求める場合などにいう。 @所存次第(しゅずんしでえ)良(ゆ)たしゃさ。/ここ
ろざしで結構だ。
為困(しゅっくぇ)え⁼しゅん@: (自 ⁼さん、⁼ち) @困る。 @胴一人(どぅうち
ゅい)者(むの)お目引(みいし)ち鼻引(はなし)ちぬ場所(ばしゅ)為困(しゅ
っくぇ)えしゅん。/ひとり者は病気の時困る。 ➁ばつの悪い思いをする。 引込
みのつかない恥ずかしい思いをする。為困(しゅくぇ)えしゅん、ともいう。
出精(しゅっしい)@: (名)[文] [出精]精出すこと。努め励むこと。 @出精(し
ゅっしい)為(しゅ)ん。/※動詞化。
酒代(しゅでえ)@: (名) [酒代]お祝いや法要に招かれた場合、差し出す金一封。
普通は、御酒代(うしゅでえ)、という。包み紙の表に「御酒代」と書く。お祝いの場
合には、朱紙(しゅがみ)、をのしのように張りつけ、法要の場合(香典にあたる)に
はつけないでそのまま出す。
諸人(しゅにん)@: (名) 諸人の意。もろもろの人。万人。 @諸人(しゅにん)
往来(おおれえ)ぬ道(みち)。/万人が通る道。
諸人草原遊(しゅにんもおあすぃ)び@: (名)[諸人毛遊]他村の者が大勢集まって行
う、草原遊(もおあすぃ)び。
朱塗(しゅぬ)い@: (名) 朱塗り。
主(しゅ)ぬ前(めえ)⓪: (名) [主の前]だんな様。士族の成年男子に対して平
民が持ちいる敬称。また、士族の妻は平民に対して自分の夫のことを、主(しゅ)ぬ
前(めえ)、という。
取納座(しゅのおざ)⓪: (名)[古] [取納座]租税に関する事務を取り扱う役所。
首里にあった。
首尾(しゅび)@: (名) @首尾。結末。顛末。 @如何(ちゃあ)る首尾(しゅび)
成(な)たが。/どんなてんまつになったか。 ➁首尾。完成。でき上がること。 @
首尾(しゅび)成(な)たん。/すっかりでき上がった。
首尾御祝(しゅびういうぇ)え⓪: (名) [首尾御祝]落成祝い。完工祝い。首尾御
祝(しゅびゆううぇ)え、ともいう。
諸見(しゅみ)@: (名) 諸見。 ※「しょみ」、島尻郡伊是名村の地名。第二尚氏・
初代の国王、尚円の生誕の地である。
書物(しゅむつぃ)⓪: (名) 本。書物。 @書物(しゅむつぃ)読(ゆ)ぬん。/
本を読む。
書物喰(しゅむつぃくぇ)え虫(むし)⓪: (名) @書物を食う虫。書物虫(しゅむ
つぃむし)、と同じ。 ➁書物ばかり読んでいる者。
書物箪笥(しゅむつぃだんすぃ)⓪: (名) 本棚。
書物(しゅむつぃ)ぬ皮(かあ)⓪: (名) 本の表紙。
書物箱(しゅむつぃばく)⓪: (名) @本箱。 ➁本ばかり読んでいる者をあざけっ
ていう語。書物の虫。書物喰(しゅむつぃくぇ)え虫(むし)、ともいう。
書物町屋(しゅむつぃまちや)⓪: (名) 本屋。書店。
書物虫(しゅむつぃむし)⓪: (名) 書物を食い荒らす虫。
所望(しゅもお)@: (名)[文] 所望。 @所望(しゅもお)為(しゅ)ん。/※動
詞化。
塩屋(しゅや)⓪: (名)[文] 塩屋。製塩小屋。口語は、塩屋(しゅうや)、または、
塩屋(しゅうやあ)。 @宵(ゆい)ん赤月(あかつぃち)ん馴(な)りし面影(うむ
かじ)ぬ立(た)たん日(ふぃ)や無(ね)さみ塩屋(しゅや)ぬ煙(ちむり)。[宵
も暁も 馴れし俤の 立たぬ日やないさめ 塩屋の煙(花売之縁)]宵にも暁にも夫の
面影が塩屋の煙のように立たない日はない。 ※花売之縁(はなうりのえん)は、高
宮城親雲上(たかみやぐすくぺえちん)作の組踊である。
塩屋(しゅや)⓪: (名) 塩屋。 ※「しおや」、国頭郡大宜味村の地名。
主等(しゅら)⓪: (名)[文] 恋人。男から女をさしても、また女から男をさしても
用いる。 @主等(しゅら)が越(く)しゅらんでぃ山葉(やんば)差(さ)ち置(う)
ちゃん、袖(すでぃ)や谷川(たにがわ)ぬ底(すく)に浸(ふぃた)ち。[しほらが
越しゆらんで 山葉さち置きやん 袖や谷川の 底にひたち]恋しい人が越えて行く
だろうと思って道しるべを差しておいた。袖は谷川の水底にぬらしながら。
‐清(じゅ・ぢゅ)らく: (接尾) 清(じゅ・ぢゅ)らさ、と同様に用いられる敬語。
‐清(じゅ・ぢゅ)らさ: (接尾) かしこくも(〜なさる)、尊くも(〜なさる)とい
った意の最上級の敬語。神に対し、御願(うぐぁん)[祈願]の文句などで使われるこ
とが多い。<清(ちゅ)らさん[美しい]。 @御言(うぃい)付(づぃ)き清(ぢゅ)
らさ御給侍候(うたびみしょお)ち。/尊くもお言いつけ下さって。 @御上(うぁ
あ)がん為(せえ)清(ぢゅ)らさ御給侍候(うたびみしょお)ち。/尊くもお召し
上がり下さって。
萎(しゅ)らしゃん⓪: (形)[文] 萎(しゅう)らあしゃん、の文語。 @声(くい)
ぬ萎(しゅ)らしゃ。/声の愛らしさ。
棕櫚(しゅる)@: (名) 植物名。棕梠(しゅろ)。
棕櫚皮(しゅるがあ)⓪: (名) 棕梠の皮。その繊維で帚・縄・蓑などを作る。
棕櫚竹(しゅるちく)@: (名) 植物名。棕梠竹。
棕櫚綱(しゅるつぃな)@: (名) 棕梠縄。
知(し)⁼ゆん@: (他 ⁼らん、⁼っち) 知る。 @知而居(しっちょお)ん。/知っ
ている。
為(しゅ)ん@: (他・不規則) @する。 @大和口(やまとぅぐち)為(しゅ)ん。
/日本語を話す。 @勉強(びんちょお)や為欲(しいぶ)しこお無(ね)えんくと
ぅ為(さ)ん。/勉強はしたくないからしない。 @為(しい)ゆう為(しゅ)ん。
/できる。なしうる。 ➁(強意の補助動詞として)@読(ゆ)みどぅ為(しゅ)る。
/読むのだ。 @有(あ)ええ為(さ)に。/ありはしないか。
‐⁼為(しゅ)ん: (接尾 ⁼さん、⁼ち) せる。させる。使役を表し、動詞の「未然形」
に付く。ただし、為(しゅ)ん[する]の使役形は、為(し)みゆん、となり、また、
「サ行」の動詞の使役形は、⁼為(し)みゆん、を付して作る。その項参照。 @書(か)
か為(しゅ)ん[書かせる]。取(とぅ)ら為(しゅ)ん[取らせる]。など。
順(じゅん)@; (名) @正常であること。あたりまえ。 @順(じゅん)成而居(な
とお)ん。/正常である。 @順(じゅの)お有(あ)らん。/あたりまえでない。
➁本当であること。正真。 @彼(あ)れえ順(じゅん)に阿蘭陀(うらんだ)あや
み。/彼は本当に西洋人か。
笋羹(しゅんかん)@: (名) [笋羹]筍干。磁器の小さいどんぶり。中国風で上等
な焼物である。 ※笋羹(じゅんかん)は、笋(たけのこ)の羹(あつもの)のこと
のようである。笋羹を盛る磁器のどんぶりをそのように呼ぶようになったということ
であろうか。
荀子(しゅんしい)⓪: (名) [荀子]干したけのこ。たけのこの干したもの。中国
産。
潮平(しゅんじゃ)⓪: (名) 潮平。 ※「しおひら」、糸満市の地名。沖縄の地名は、
英国の地名のように音の変化が激しいようである。Worcester、と書いて「ウスター」
と読む。
順姿(じゅんすぃがた)@: (名) ありのままの姿。本当の姿。
為(しゅ)ん候(そおろお)@: (名) できもしない事をやろうとすること。また、
する意志のないのに、すると言うこと。また、できもしない事を、するふりをするこ
と。 @彼(あれ)え為(しゅ)ん候(そおろお)どぅやる。/あれはできもしない
のにやっているんだ。あれはやるふりだけだ。 @為(しゅ)ん候(そおろお)為(し
ゅ)ん。/※動詞化。
潤沢(じゅんたく)@: (名) 潤沢。豊かなこと。 @物(むの)お潤沢(じゅんた
く)に喰而居(かどお)ん。/飯は存分に食べている。
春菊(しゅんちく)⓪: (名) 野菜の名。春菊。
首里愛(しゅんぢゃな)し⓪: (名) [首里加那志]国王の敬称。普通は、御主愛(う
しゅがな)しい前(めえ)、という。
首里愛(しゅんぢゃな)し前出(めで)い⓪: (名) 首里愛(しゅいがな)し前出(め
で)い、と同じ。
首里殿地(しゅんどぅぬち)⓪: (名) [首里殿内]首里の赤田にあった神の宮。首
里三殿地(しゅいみとぅんち)[首里三殿内]の一つ。
首里殿地(しゅんどぅんち)⓪: (名) 首里殿地(しゅんどぅぬち)、と同じ。
醜童(しゅんどお)⓪: (名) [醜童]踊りの名。醜女踊り。
順風(じゅんぷう)@: (名) 順風。
春分(しゅんぶん)⓪: (名) 春分。二十四節の一つ。秋分とともに彼岸祭り[御紙
(んちゃび)]を行う。
性(しょお)@: (名) 性。性根。根性。思慮。知恵。 @性(しょお)入而居(い
っちょお)ん。/賢い。しっかりしている。 @性(しょお)ぬ無(ねえ)ん。/思
慮がない。また小児などが賢くない。物覚えが悪い。
門(じょお)⓪: (名)門。屋門(やあじょお)[屋根のある門]、木門(きいじょお)[木
造の門]、石門(いしじょお)[石造りの門]などがある。 ➁複合語の固有名詞の中
には、広い道路、馬場などの意で用いられている。綾門(あやじょお)[首里の守礼門
と中山門の間の大通り]、古波蔵門(くふぁんぐぁじょお)[古波蔵の馬場]、和那真門
(わなまじょお)[和那真の馬場]など。
状(じょお)⓪: (名) 手紙。書状。普通は、御状(ぐじょお)、という。
錠(じょお)⓪: (名) 栓。とっくり・びんなどの栓。
情(じょお)@: (名) 感情。愛情。
上(じょお)‐: (接頭) 上。上等。 @上上月(じょおぅわあつぃち)[上天気]、
上日(じょおふぃ)[吉日]、上地(じょおち)[上等の畑地]など。
性入(しょおい)らあ⓪: (名) 利口者。性根のしっかりした者。賢い者。性入(し
ょおい)り者(むん)、ともいう。
性入(しょおい)り者(むん)@: (名) 性入(しょおい)らあ、と同じ。
正御命日(しょおうみいにち)⓪: (名) 月を同じくする、年一回の御命日。
正親(しょおうや)@: (名) 実の親。本当の親。
上上月(じょおぅわあつぃち)⓪: (名) 上天気。快晴。
情愛(じょおええ)@: (名) 情愛。
情愛持(じょおええむ)ち@: (名) 情愛の豊かな人。
生姜(しょおがあ)⓪: (名) 植物名。しょうが。
生姜擂(しょおがあし)りい⓪: (名) しょうがをすりおろしたもの。
小学(しょおがく)@: (名) 小学(書名)。三字経とともに、昔の初等教科書。 ※
小学(しょうがく)は、朱子学の大成者、朱熹(しゅき)が編纂させた書。混効験集
に数回引用されている。
性矩(しょおかに)⓪: (名) 性根。本性。 @性矩(しょおかに)ぬ外(はん)で
ぃゆん。/もうろくする。また、性根をなくする。ぼける。矩(かに)外(はん)で
ぃゆん、ともいう。
傷寒(しょおかん)⓪: (名) 病名。傷寒の意。熱病のたぐいをいう。
鉦鼓(しょおぐ)⓪: (名) 鉦。綱引きの時、また念仏宗の乞食が、たたく小さい鉦。
鉦鼓の転意。
漏斗(じょおぐ)⓪: (名) じょうご。漏斗。 @共通語の「漏斗(じょうご)」は、
もともとは、上戸(じょうご)のことで、酒をよく吸い込むことから出た言葉らしい。
‐上戸(じょおぐ): (接尾) 上戸。特定の食べ物を好むこと。〜好き。酒に限らずい
う。 @酒上戸(さきじょおぐ)[酒好き。上戸]、餡餅上戸(あんむちじょおぐ)[あ
んもち好き]など。 ※(群書類要「庶民婚礼、上戸八瓶下戸二瓶」とあり、婚礼に
用いる酒の瓶数の多少から出た語という)[広辞苑]。上戸(じょうこ)、下戸(げこ)
は律令制の四等戸の二番目と四番目のことで、酒飲みの場合は、上戸(じょうご)と
発音される。
正月(しょおぐぁつぃ)⓪: (名) 正月。一月。
正月町(しょおぐぁつぃまち)⓪: (名) 正月市。正月に立つ市。
正月(しょおぐぁつぃ)ん今辺(なあら)⓪: (副) 正月早々。よくないことにいう。
@正月(しょおぐぁつぃ)ん今辺(なあら)争(おお)ゆん。/正月早々けんかする。
正月豚(しょおぐぁつぃぅわあ)⓪: (名) 正月用に屠る豚。 ※屠(ほふ)る、と
読む。
正月着物(しょおぐぁつぃぢん)⓪: (名) 正月の晴れ着。
正月笑(しょおぐぁつぃわれ)え⓪: (名) 正月笑い。正月の浮き浮きした気分。
上戸(じょおぐ)う⓪: (名・接尾) 上戸。特定の食べ物を好む者。〜好き。酒に限
らずいう。 @酒上戸(さきじょおぐ)う[酒好き。上戸]、餡餅上戸(あんむちじょ
おぐ)う[あんもち好き]など。
鉦鼓打(しょおぐう)ち⓪: (名) 鉦鼓打ち。綱引きの時、鉦鼓を打つ者。鉦鼓人数
(しょおぐにんず)[その項参照]の中心人物として、他の太鼓打ちの拍子の中心とな
る。
門口(じょおぐち)@: (名) 門口。
正事(しょおくとぅ)@: (名) 本当の事。
鉦鼓人数(しょおぐにんず)⓪: (名) 綱引きの時、鉦太鼓をならす一団。15、6
歳から20歳ぐらいまでの青少年で組織され、白鉢巻をして、はかまのももだちを高
くとり、掛け声とともに鉦・太鼓をたたく。
正殺(しょおぐる)し@: (名) ほんとに殺すこと。殺(くる)しゅん、は、なぐる
意にも用いられるので、この語がある。 @正殺(しょおぐる)し為(しゅ)ん。/
※動詞化。
上手(じょおじ)⓪: (名) @上手(じょうず)。下手(ふぃた)、の対。 @上手(じ
ょおじ)やん。/上手だ。 @上手(じょおじ)な者(むん)。/上手な者。 ➁お利
口。幼児をほめる時いう語。
為様為様(しよおしざま)@: (名) やりよう。やりかた。行いぶり。
正直(しょおじち)⓪: (名) 正直。 @正直(しょおじち)な者(むん)。/正直な
者。 @正直(しょおじち)に為(しゅ)ん。/正直にする。
性質(しょおしつぃ)⓪: (名) 性質。生まれつきの性質をいう。生(ぅん)まり付
(つぃ)ち、生(ぅん)まり性質(しょおしつぃ)、性質(しいしつぃ)、ともいう。
※性質(せいしつ)が漢音、性質(しょうしち)が呉音である。性質(しょおしつぃ)
は、呉音と漢音が混ざっているようである。
正七月(しょおしつぃぐぁつぃ)@: (名) 正月と七月。ともに一年中でもっとも行
事の多い大事な月。
正銭(しょおじな)あ⓪: (名) 正銭(しょおじん)[一厘銭]と同じ。
上手下手(じょおじふぃた)⓪: (名) 上手下手。 @此(く)りねえ上手下手(じ
ょおじふぃた)あ無(ねえ)らん。/これには上手下手はない。
湿地守(しょおじまや)あ⓪: (名) 湿地守(しょおじむや)あ、と同じ。
湿地守(しょおじむや)あ⓪: (名) いもり。池沼にすむ両棲動物。湿地守(しょお
じまや)あ、ともいう。
生(しょお)じ⁼ゆん@: (自 ⁼らん、⁼てぃ) @生じる。発生する。起こる。 @今
(なま)ぬ世(ゆ)ぬ中(なか)あ如何(ちゃあ)る事(くとぅ)ぬ生(しょお)じ
ゆら分(わ)からん。/今の世の中はどんな事が起きるかわからない。 ➁将来伸び
る。将来性がある。 @此(く)れえ生(しょお)じゆる童(わらび)どお。/これ
は将来性のある子供だよ。
猩猩(しょおじょお)⓪: (名) 猩猩。酒好きとされている想像上の動物。
正正(しょおしょお)とぅ⓪: (名)[新] 事実。本当。実際。 @正正(しょおしょ
お)とぅやみ。/本当か。 @正正(しょおしょお)とぅぬ事(くとぅ)。/本当のこ
と。
精進(しょおじん)⓪: (名) 精進料理。
正銭(しょおじん)@: (名) 昔の鉄銭[黒金(くるかに)い]に対して、普通の一
厘銭をいう。正銭の意。正銭(しょおじな)あ、ともいう。
装束(しょおずく)⓪: (名) 装束。一式の着物を着ること。 @装束(しょおずく)
為(し)みゆん。/装束をさせる。装(すが)らしゅん、ともいう。
性魂(しょおたまし)@: (名) [性魂]精魂。精神。
門手向(じょおたんか)あ⓪: (名) 向こう隣。門が向かい合っている家。手向(た
んか)あ、は真向いの意。
正気(しょおち)⓪: (名) 正気。たしかな心。 @正気(しょおち)失(うし)な
ゆん。/正気を失う。精神が錯乱する。
上地(じょおち)⓪: (名) 上等の畑地。
上気張(じょおちば)い⓪: (名) [上気張]立派な働き。すぐれた働き。
上等(じょおとぅう)⓪: (名) 上等。すぐれてよいもの。 @上等(じょおとぅう)
な物(むん)。/上等のもの。 ※ウチナーヤマトゥグチでは、ジョートー、というよ
うである。
性所(しょおどぅくる)@: (名) 急所。命所(ぬちどぅくる)、壷所(つぃぶどぅく
る)、ともいう。
常灯明(じょおとぅんみょお)⓪: (名) 常灯明。神仏の前に常に点じておく灯明。
死後49日間つけておく。
正名(しょおなあ)@: (名) 本名。実名。
生年(しょおにん)@: (名) 十二支の上での生まれた年。生まれてから12年ごと
にめぐってくる年。生(ぅん)まり年(どぅし)、ともいう。貴族のそれは敬って、御
生年(ぐしょおにん)、という。その項参照。
性抜(しょおぬ)があ@: (名) あわて者。落ち着きのない者。性の抜けた者の意。
性抜(しょおぬ)ぎ⁼ゆん@: (自 ⁼らん、⁼てぃ) うろたえさわぐ。あわてふためく。
肝をつぶす。
樟脳(しょおのお)⓪: (名) 樟脳。
相伴(しょおば)@: (名) @相伴。陪食。 ➁婚礼の、婿入(むくい)り[婿が嫁
の家を訪問する儀礼]に際して、嫁の家で婿を接待する役。婿は付き添い役[婿連(む
くづぃ)り]とふたりで来るので、嫁の家では、相伴(しょおば)、がふたり出る。そ
の若い方が婿の、相当の年輩の者が、婿連(むくづぃ)り、の相手役となる。
門番(じょおばん)⓪: (名) 門番。以前は首里城はもちろん、御殿(うどぅん)、殿
地(とぅんち)[殿内]にもいた。
上布(じょおふ)⓪: (名) 上布。上等の麻布。宮古島で紺上布、八重山島で白上布
を産する。
上日(じょおふぃ)⓪: (名) [上日]吉日。御願(うぐぁん)・転居・結婚など、す
べて、上日(じょおふぃ)、を選んでする。
常只(じょおふぃた)@: (名) 不断。始終。いつも。しょっちゅう。 @常只(じ
ょおふぃた)ぬ事(くとぅ)。/不断のこと。 @常只(じょおふぃた)心入(くくり)
而居(とお)き。/始終気をつけておけ。
上分(じょおぶん)⓪: (名) @じょうぶ。堅固。がんじょう。 @上分(じょおぶ
ん)に作(つく)らっ而居(とお)ん。/じょうぶに作られている。 ➁[文][上分]
立派。申し分のないこと。 @働(はたら)ち方(がた)ん至極(しぐく)上分(じ
ょおぶん)な男(うぃきが)有遣侍(ややびい)たすぃが。/[働き方も至極上分な
男ややべいたすが(花売之縁]働き方もいたって申し分のない男でありましたが。 @
花売之縁(はなうりのえん)は、高宮城親雲上(たかみやぐすくぺえちん)作の組踊
である。
正本(しょおふん)ぬ⓪: (名・連体) 本当の。事実の。 @正本(しょおふん)ぬ
事(くとぅ)。/本当のこと。 @正本(しょおふん)ぬやみ。/本当か。
商売(しょおべえ)⓪: (名) 粗製品。商売の転意。 @大和(やまとぅ)商売(し
ょおべえ)、唐誂(とおあつぃれ)え。/日本品は粗末で、中国品はあつらえもののよ
うに上等。
菖蒲(しょおぶ)⓪: (名) 菖蒲。甘菓子(あまがし)[5月5日端午の節供に祖神に
ささげる飲物]には菖蒲の葉を切って箸のかわりにする。
性触(しょおぶ)り者(むん)@: (名) 気狂い。狂人。
性分(しょおぶん)⓪: (名) 性分。性質。
上納(じょおのお)@: (名) 上納。官府へ物を納めること。また、転じて租税の意。
畳間(じょおま)⓪: (名) @規格。基準。標準。また、規格品。標準となるもの。
基準級。 ➁(接頭)規格の。標準の。基準となる。 @畳間担桶(じょおまたあぐ)
[標準の桶]、畳間男(じょおまうぃきが)[一人前の男]、畳間女(じょおまうぃなぐ)
[一人前の女]など。 ※「沖縄語辞典」、winagaとなっている。
斜目(しょおま)あ⓪: (名) 斜視の者。やぶにらみの者。
畳間担桶(じょおまたあぐ)⓪: (名) 標準の桶。一人前の男が運ぶのに適当に作っ
た水汲み桶。 ※この場合の「適当に」は、「適切に」という意味のようである。現在、
「適当に」という語は、ほとんど「いい加減に」という意味になっているようである。
「沖縄語辞典」の編纂からほとんど60年以上がたっているようで、使用されている
言葉自体に現在とは微妙に違う点がいくらか見受けられるのが私の感想である。
斜目(しょおみ)⓪: (名) @横目。流し目。 @斜目(しょおみ)為(しゅ)ん。
/※動詞化。 ➁斜視。やぶにらみ。
四様六様(しよおむよお)@: (名) いろいろと手段を講ずること。いろいろの方法
でやってみること。 @四様六様(しよおむよお)為(しゅ)ん。/※動詞化。
正物(しょおむん)@: (名) @本物。 ➁大事な物。重宝な物。
上焼(じょおや)ち⓪: (名) うわぐすりをかけ焼いた焼き物。粗焼(あらや)ち[素
焼き]の対。陶器。瀬戸物。
醤油(しょおゆう)⓪: (名) 醤油。
醤油徳利(しょおゆうどぅっくい)⓪: (名) 醤油を入れるとっくり。
醤油屋(しょおゆうやあ)⓪: (名) 醤油屋。醤油をつくる家。
萎(しょお)らあしゃん⓪: (形) 賢い。しっかりしている。聡明である。 ※萎(し
お)らしい、と関係のある語と思われる。
精霊馬(しょおろおぅんま)⓪: (名) かまきりの一種。細長く褐色。盆踊りに祖先
の霊が乗って来ると言い伝えられている。敬って、御精霊御馬(うしょおろおうんま)、
ともいう。
正(しょお)ん子(ぐぁ)@: (名) 実子。実の子。生みの子。
為様(しょお)ん⓪立(た)たん⓪: (句) 効果がない。かいがない。しょうがない。
@何(ぬう)為(し)みてぃん為様(しょお)ん立(た)たん。/何をさせてもやら
せがいがない。
面(じら・ぢら)@: (名) ずうずうしい顔。あつかましい顔。 @面(ぢら)成(な)
ゆん。/ずうずうしくなる。
白赤篝(しらあかがい)@: (名) 夜が白むこと。明けがたの薄明。白明(しらあ)
かい、ともいう。
白明(しらあ)き@: (名) 夜が白むこと。薄明。白赤篝(しらあかがい)、ともいう。
@夜(ゆう)ぬ白明(しらあ)き為居(しょお)ん。/夜が白んでいる。
周(しら)あ後(くしゃ)あ⓪: (名) 前後左右。周囲。回り。 @周(しら)あ後
(くしゃ)あぬ人(っちゅ)。/周囲の人。 @周(しら)あ後(くしゃ)あ山(やま)
許(びけ)えい。/回りは山野ばかり。
白蟻(しらい)⓪: (名) 白蟻。
白髪(しらが)⓪: (名) @しらが糸。すが糸。よりをかけない細い生糸。またそれ
で織った絹の布。 ➁白髪綿着物(しらがわたぢん)、の略。
白髪(しらが)あ⓪: (名) 白髪頭の者。悪口としていう語。
白髪経糸(しらががし)⓪: (名) 白髪(しらが)、の経糸。細い、よってない生糸の
経糸。
瀬良垣(しらかち)⓪: (名) 瀬良垣。 ※「せらがき」、国頭郡恩納村の地名。美し
いビーチがある。
白髪綿着物(しらがわたぢん)⓪: (名) 絹のしらが糸で織った、女の、冬の礼服。
白毛(しらぎ)⓪: (名) しらが。白髪。 *混効験集:坤巻・支体に、しらげ、と
ある。この、しらげ、は白木のことであるというのは、仲原善忠氏の説である。
精(しら)ぎ米(ぐみ)⓪: (名) 白米。精米。
精(しら)ぎ⁼ゆん⓪: (他 ⁼らん、⁼てぃ) しらげる。玄米をついて白くする。精米
する。 ※宇津保物語・吹上・上に、「臼ひとつに、女ども八人たちて、米(よね)し
らげたり」とある。
白毛頭(しらぎつぃぶる)⓪: (名) 白髪頭。
白雲(しらくむ)⓪: (名) 白雲。 ※万葉集・287、「ここにして家やも何処(い
づく)白雲のたなびく山を越えて来にけり」。
白褪(しらさべ)⁼ゆん⓪: (自 ⁼らん、⁼てぃ) 白っぽくなる。白ちゃける。湯水に
ながくはいって、皮膚が白くふやけるのを多くいう。
知(し)らし@: (名) @知らせ。警告。 ➁前兆。
知(し)らし部(び)@: (名)[文] 知らせる人。告げ知らせる人。似た語に、語(か
た)い部(び)[語り部]がある。ともに文語。 @女按司(うぅなぢゃら)に吾(わ)
が企(たく)み知(し)らし部(び)ぬ有(あ)たら、按司(あじ)とぅ諸共(むる
とぅむ)に玉(たま)ぬ緒(うぅ)ゆ切(ち)らち。[をなぢやらに我がたくみ しら
しべのあたら 按司と諸共に 玉の緒よちらち(忠臣身替)]按司夫人にわがたくらみ
を知らせる者があったのか、按司とともに死んでしまった。 ※「玉の緒」は、命の
ことである。忠臣身替(ちゅうしんみがわり)は、辺土名親雲上(へんとなぺえちん)
作の組踊である。
白絞(しらしぶ)い⓪: (名) 白絞め油。大豆油。上等な食用油である。
知(し)ら⁼しゅん@: (他 ⁼さん、⁼ち) 知らせる。通知する。
白采(しらせえ)⓪: (名) 川えび。小さいえびで、食用となる。采小(せえぐぁあ)、
ともいう。 @采(せえ)、は、バッタのことである。私見であるが、たぶん、サイコ
ロのように飛び回るものと思われる。万葉集では、サイコロののことを、「さえ」とい
う。
白菊(しらちく)⓪: (名) 白菊。白菊(しるちく)、ともいう。
白種(しらちゃに)⓪: (名)[文] [白種子]稲。元来は稲の品種の名。 @穂花(ふ
ばな)咲(さ)ち切(ぢ)りば塵泥(ちりふぃぢ)ん付(つぃ)かん、白種(しらち
ゃに)や靡(なび)ち畦枕(あぶしまくら)。[穂花咲き出れば 塵ひぢもつかぬ 白
種子やなびき あぶしまくら]稲の穂花が咲き出ると塵も泥もつかない。稲はあぜを
枕にする豊作。
白子(しらっくぁ)⓪: (名) 生後しばらくして、赤い色がぬけて白くなったころの
赤んぼう。生後半年ぐらいの赤んぼうをいう。
白綯(しらなあ)⓪: (名) 糸車にかけた白いより糸。 ※なあ、は、綯(な)うと
関係のある語と思われる。
白波(しらなみ)⓪: (名) 白波。 *おもろさうし・80に、しらなみ、とある。
白(しら)⁼ぬん⓪: (自 ⁼まん、⁼でぃ) (夜明けの空が)白む。 @東(あがり)
ぬ白(しら)ぬん。/東の空が白む。
白浜(しらはま)⓪: (名) 白浜。白い砂浜。
調(しら)び⓪: (名) 調べ。調査。検査。
調(しら)び物(むん)⓪: (名) 調べ物。
調(しら)び⁼ゆん⓪: (他 ⁼らん、⁼てぃ) 調べる。調査する。検査する。
白帆(しらふ)⓪: (名)[文] 白帆。 @沖(うち)ぬ白帆(しらふ)。/沖の白帆。
白灰(しらふぇえ)⓪: (名) 石灰。いしばい。黒糖を固める時などにも用いる。
白蠅(しらべえ)⓪: (名) 白なまず。顔に白色の斑点ができる皮膚病。
面目(じらみい)⓪: (名) かまきりの別名。イイブウ面(ぢら)あ、と同じ。 @
イシャトゥウイシャトゥウ面目(じらみい)があ、昨夜(ゆうび)ぬ残(ぬく)ええ
何(ぬう)喰(くぁ)たがあ、赤豆(あかまみい)どぅ喰(くぁ)たる。誠(だんじ
ゅ)が誠(だんじゅ)が屎(くす)放(ふぃ)ちゃる。/かまきり、かまきり、昨夜
の残りものは何を食ったか。あずきを食った。なるほどそれで下痢をしたのだ。(童謡)
白笑(しらわれ)え@: (名) 冷笑。しら笑い。
虱(しらん)⓪: (名) しらみ。
虱掻(しらんが)ち⓪: (名) 失敗して頭を掻くこと。しらん、は、しらみ。
知(し)らん人(っちゅ)@: (名) @知らない人。 ➁(小児の)人見知り。 @
知(し)らん人(っちゅ)為(しゅ)ん。/人見知りする。
知(し)らん風似(ふうな)あ⓪: (名) 知らぬふり。
義理(じり・ぢり)@: (名) 義理。
‐切(じ・ぢ)り: (接尾) きり。限り。 @今日切(ちゅうぢ)り[きょう限り]
此(く)り切(ぢ)り[これっきり]など。
後(しり)い⓪: (名) 後ろ。後方。裏。 @家(やあ)ぬ後(しり)い。/家の後
ろ。
知(し)り合(え)え@: (名) @知り合い。知人。 ➁承知の上。知っていて。知
(し)り合(え)えぬ上(うぃい)、ともいう。 @知(し)り合(え)え貸(か)ら
しゅん。/知っていて貸す。
後口(しりくち)⓪: (名) 後口(しるくち)、と同じ。 ※御堂関白記・寛仁元年四
月に、「申す所の事甚だ以て異様、後口(しりくち)無し」とある。
義理三昧(じりざんめえ・ぢりざんめえ)@: (名) 義理や作法。
義理立(じりだ・ぢりだ)てぃ@: (名) 義理立て。義理を立て通すこと。 @余(あ
ま)り森小屋(むりくや)や義理立(ぢりだ)てぃぬ多(うふぃ)さ。[余り盛小屋や
義理立ての大さ(手水之縁)]あまり盛小屋(人名)は義理立てがやかましすぎる。 @
手水之縁(てみずのえん)は、平敷屋朝敏作の組踊である。
後引(しりふぃ)ち前引(めえふぃ)ち@: (副) つきまとうさま。身辺をうろうろ
するさま。 @後引(しりふぃ)ち前引(めえふぃ)ち為(っし)思(うむ)いぬど
ぅ有(あ)ええさに。/身辺をうろうろして、気があるのかしら。
知(し)り深(ふか)⁼しゅん@: (他 ⁼さん、⁼ち) 熟知する。十分知る。知りつく
す。 @御中(うちゅう)知(し)り深(ふか)而居(ちょお)すぃが為(せえ)さ。
/内情をよく知っている者がしたのだよ。
汁(しる)⓪: (名) @汁。液体。 @汁(しる)飛(とぅ)ばしゅん。/水を切る。
水気を切る。 @汁(し)る走(は)ゆん。/汁が出る。また、腐って汁が出る。 @
汁(しる)干(ふぃ)ゆん。/汁が干る。(飯が炊けてきて)水分がなくなる。 @汁
(しる)成(な)ゆん。/イ・溶ける。溶けて液体となる。ロ・無くなる。無になる。
無駄になる。 @目(みい)ん汁(しる)成(な)ち笑(わら)ゆん。/目がなくな
るように目を細めて笑う。 @家屋敷(やあやしち)ん汁(しる)成(な)たん。/
家屋敷もなくなった。 @汁(しろ)お成(な)らん。/無駄にはならない。 ➁汁。
おつゆ。おすましやみそ汁。首里では多くは、御汁(うしる)、という。
白(しる)⓪: (名) 白。
代(しる)@: (名) 代(しろ)。かわりとなるもの。代価。または金のかわりとして
取る器物など。胴代(どぅしる)、は身の代。
城(しる)@: (名)[文] 城。口語は、城(ぐすぃく)。
何(じ)る⓪: (名) どれ。 @何(じ)るが何(じ)るやら。/どれがどれやら。
@何(じ)るでぃん。/どれでも。 @何(じ)るやてぃん。/どれであっても。 @
其(う)ぬ内(うち)ぬ何(じ)るやらわん取(とぅ)てぃ呉(くぃ)り。/そのう
ちのどれか取ってくれ。 @何(じ)るんかい為(しゅ)がやあんでぃ思而居(うむ
とお)ん。/どれにしようかと思っている。
白秋(しるあち)⓪: (名) めじまぐろ。秋(あち)ぬ魚(いゆ)[まぐろ]の項参照。
城跡(しるあとぅ)@: (名)[文] 城跡。口語は、城(ぐすぃく)ぬ跡(あとぅ)、
という。
白位牌(しるいいふぇえ)⓪: (名) [白位牌]死後四十九日までは、木牌を奉書紙
で包み、表に法名を書いておくが、その位牌をいう。四十九日の法事ののちは、普通
の位牌に、貴族は金文字で、一般の士族は黄または朱で法名を書きかえる。
白魚(しるいゆ)⓪: (名) 魚名。鯛の一種。滋養分に富み、病人用によく用いる。
白(しる)う⓪: (名) @白いもの。 ➁与党。賛成派。黒(くる)う[野党・反対
派]に対する。とくに明治の中ごろの明治政府支持派をいう。賛成(さんしい)、とも
いう。その項参照。
白御胡麻(しるうぐま)⓪: (名) 白胡麻。
城内(しるうち)@: (名)[文] 城内。 @此辺(くふぃ)な城内(しるうち)に共
(とぅむ)一人(ちゅい)ん居(うぅ)らん。[こへな城内に 共一人もおらぬ(忠臣
身替)]これほどの城内にひとりの家来もいない。 ※忠臣身替(ちゅうしんみがわり)
は、辺土名親雲上(へんとなぺえちん)作の組踊である。
白金(しるかに)⓪: (名) @錫。錫(すぃずぃ)、ともいう。 ➁鉛。鉛(なまり)
の誤用として用いる。 *混効験集:乾巻・器材に、しろかね、とある。
白金御門(しるかにうじょお)⓪: (名) 首里城の門の名。御城(うぐすぃく)、の項
参照。 *混効験集:乾巻・家屋に、しろかねおちやう、とある。
白紙(しるかび)⓪: (名) 白紙。白い紙。
白肥(しるぐぇ)えい⓪: (名) 色白く太ること。脂肪ぶとり。黒痩枯(くるよおが)
り、の対。
後口(しるくち)⓪: (名) 両方。前後または左右などの両方。 @後口(しるくち)
ぬ御門(うじょお)。/両方の門。一軒に門が二つある時にいう。
後口間口(しるくちまあくち)⓪: (名) 前後左右。両方。どこもかも。 @後口間
口(しるくちまあくち)敵(てぃち)どぅやる。/どこもかも敵だ。
白砂糖(しるざとお)⓪: (名) 白砂糖。新語ではない。太白(てえはく)、ともいう。
白(しる)さん⓪: (形) 白い。
印・徴(しるし)@: (名) @しるし。標識となるもの。 @印(しるし)許(びけ
え)い。/しるしばかり。ほんのわずか。 ➁きざし。前兆。また、神の知らせ。 @
豊(ゆた)かなる御世(みゆ)ぬ徴(しるし)現(あらわ)りてぃ、雨露(あみつぃ
ゆ)ぬ恵(みぐ)み時(とぅち)ん違(たが)ん。[豊なる御代の しるしあらはれて
雨露の恵 時もたがぬ]豊年の前兆があらわれて、雨露の恵みも時をたがえず順調で
ある。 B感応。祈った心が神仏に通ずること。 C効験。ききめ。 @薬(くすい)
飲(ぬ)だる徴(しるし)ぬ有(あ)ん。/薬を飲んだききめがある。 Dあとかた。
白地(しるじ)⓪: (名) 白地。白地の織物。白地は夏に多く用いるが、葬式には夏
冬を問わず白、お祝いには同じく紺が用いられる。
白下(しるした)⓪: (名) 白下。白砂糖を製造する途中の製品。
白菊(しるちく)⓪: (名) 白菊(しらちく)、と同じ。
白朝(しるちょお)⓪: (名) [白朝]朝着物(ちょおぢん)[朝衣]の一種。真白い
麻の礼服。黒朝(くるちょお)、の対。いずれも芭蕉布で作り、もとは朝廷用の衣の意
であったが、明治以降、白朝(しるちょお)、は、もっぱら喪服として用いられるよう
になった。
汁付(しるづぃ)きい⓪: (名) 飯に汁をかけたもの。多くは、御汁付(うしるづぃ)
きい、という。
白人(しるっちゅ)う⓪: (名) 白子。白人(しらびと)。
汁(しる)とぅ身(みい)とぅう⓪: (名) 薄いかゆ。かゆの汁と実とがわかれわか
れになっているもの。
汁(しる)ぬ糟(ぐり)⓪: (名) 汁のかす。ぐり、は、かす・沈殿物。
白布(しるぬぬ)⓪: (名) 白い布。
汁走(しるは)い物(むん)⓪: (名) 汁の出るもの。また、腐って汁の出るもの。
印(しるび)@: (名) 印。標識。
汁干(しるふぃ)い炊(た)じい⓪: (名) @飯が炊けてきて水が引くこと。 ➁転
じて欲などが激しいこと。 @欲(ゆく)ぬ汁干(しるふぃ)い炊(た)じい為居(し
ょお)ん。/欲が煮えたぎっている。激しい欲に燃えている。
白星(しるぶし)⓪: (名) 白星。勤務の良好な場合などに付ける印。黒星(くるぶ
し)、の項参照。
汁(しる)ぼんぼん⓪: (名) 吸い物などに実が少なくて、汁ばかりが多いこと。汁
気ばかり。 @汁(しる)ぼんぼんぬ御汁(うしる)。/汁ばかり多いおつゆ。
白豆(しるまあみ)⓪: (名) 白豆。白隠元のことか。
白身(しるみ)⓪: (名) @(卵の)白身。白身(しるみい)、ともいう。 ➁(豚の)
脂身。
白身(しるみい)⓪: (名) 白身(しるみ)、と同じ。
白目(しるみい)⓪: (名) 白目。 @白目(しるみい)引返(ふぃっちぇえ)らし
ゅん。/まぶたをひっくりかえして白目を出す。
白腹(しるわた)⓪: (名) 魚などの白い腹。 @白腹(しるわた)打返(うっちぇ
え)ゆん。/白い腹が裏返る。魚が白い腹を上にして死ぬ。
汁椀(しるわん)⓪: (名) 汁椀。吸い物椀。汁を入れる椀。多くは、御汁椀(うし
るわん)、という。
白螺(しるんな)⓪: (名) はまぐり。
世話(しわ)@: (名) 心配。世話の転意。 @世話(しわ)為(しゅ)ん。/心配
する。
師走(しわあし)⓪: (名) 師走。(旧暦の)十二月。 ※万葉集・1648、「十二
月(しはす)には沫雪(あわゆき)降ると知らねかも梅の花咲く含(ふふ)めらずし
て」。
師走商(しわあしあちね)え⓪: (名) 師走の商売。
師走忙(しわあしいちゅな)さ⓪: (名) 師走の忙しさ。
師走買(しわあしこお)い物(むん)⓪: (名) 師走の買物。正月用の買物。
師走町(しわあしまち)⓪: (名) 師走の市。師走に立つ市。 @師走町(しわあし
まち)ぬ如居(ぐとお)ん。/師走の市のようだ。混雑するさまをいう。
師走使(しわあしづぃけ)え⓪: (名) 師走の費用。師走に使う金。
世話事(しわぐとぅ)@: (名) 心配事。
為業(しわざ)@: (名) しわざ。所業。行為。
世話為(しわしゃ)あ@: (名) 心配性の者。苦労性の者。心配の絶えない者。
心・芯(しん)⓪: (名) @心(しん)。ものの中心部。 @芯(しん)ぬ煮(にい)
らん。/(米・いもなどの)芯が煮えない。 ➁灯心。 B木の芽などの芯。また、
それが出た先端。草木の幹の最先端。梢。 @松(まあつぃ)ぬ芯(しん)。/松の梢。
@芯(しん)や天(てぃん)頭(かみ)てぃ枝(ゆだ)や国(くに)広(ふぃる)ぎ、
鬚(ふぃじ)や地(ぢ)ぬ底(すく)ぬ果(は)てぃん知(し)らん。[しんや天かめ
て 枝や国ひろげ ひげや地の底の はても知らぬ]梢は天をいただき、枝は国中に
広がり、根は地の底のはても知らない。 C心(こころ)。精神。また、本心。心の底。
@心(しん)からやみ。/本心からなのか。 @心(しん)から怖(う)じ而居(と
お)ん。/すっかり恐れている。 @心(しん)殺(くる)しゅん。/心の底を痛め
る。 @心(しん)ぬ障(さわ)い。/精神異常。
栓(しん)⓪: (名) @さる。雨戸の戸じまりをする装置。雨戸のさんに仕掛けて、
敷居や鴨居に差し込むもの。 @鎖(しん)入(い)りゆん。/さるで戸じまりをす
る。栓(しん)差(さ)しゅん、ともいう。 ➁栓。たるなどの栓。 @栓(しん)
為(しゅ)ん。/栓をする。
詮(しん)@: (名) @詮。甲斐。効能。ききめ。 @生(ぅん)まりたる詮(しん)
ぬ有(あ)ん。/生まれた甲斐がある。 @生(い)ち而居(ちょお)る詮(しん)。
/生き甲斐。 @養生(よおじょお)為(しゃ)る詮(しん)ぬ無(ねえ)ん。/治
療した甲斐がない。 @薬(くすい)飲(ぬ)でぃん詮(しん)ぬ無(ねえ)ん。/
薬を飲んでもききめがない。 B効験。 @詮(しん)切(ち)りゆん。/死後、霊
のあるしるしがなくなる。冥土からの音沙汰がなくなる。夢にも見えず、願[御願(う
ぐぁん)]をしても御利益がない時などにいう。
千(しん)@: (名) 千。
銭(じん)⓪: (名) 銭。かね。金銭。貨幣。廃藩前の鳩の目銭50文(50枚)が
寛永銭1枚(1厘)に相当した。そこで銭の数え方は次のようであった。
五十(ぐんじゅう)=50文(1厘)
百(ひゃあく)[一小盛(ちゅくむい)]=100文(2厘)
百五十(ひゃあくぐんじゅう)[一小盛(ちゅくむいぐんじゅう)]=150文(3厘)
二百(にひゃあく)[二小盛(たくむい)]=200文(4厘)
二百五十(にひゃあくぐんじゅう)[二小盛五十(たくむいぐんじゅう)]=250文
(5厘)
三百(さんびゃく)[三小盛(みくむい)]=300文(6厘)
三百五十(さんびゃくぐんじゅう)[三小盛五十(みくむいぐんじゅう)]=350文
(7厘)
四百(しぴゃあく)[四小盛(ゆくむい)]=400文(8厘)
四百五十(しぴゃあくぐんじゅう)[四小盛五十(ゆくむいぐんじゅう)]=450文
(9厘)
五百(ぐひゃあく)[五小盛(いつぃくむい)]=500文(一銭)
五百五十(ぐひゃあくぐんじゅう)[五小盛五十(いつぃくむいぐんじゅう)]=55
0文(1銭1厘)
六百(るっぴゃく)[六小盛(むくむい)]=600文(1銭2厘)
六百五十(るっぴゃくぐんじゅう)[六小盛五十(むくむいぐんじゅう)]=650文
(1銭3厘)
七百(しちひゃく)[七小盛(ななくむい)]=700文(1銭4厘)
七百五十(しちひゃくぐんじゅう)[七小盛五十(ななくむいぐんじゅう)]=750
文(1銭5厘)
八百(はっぴゃく)[八小盛(やくむい)]=800文(1銭6厘)
八百五十(はっぴゃくぐんじゅう)[八小盛五十(やくむいぐんじゅう)]=850文
(1銭7厘)
九百(くひゃあく)[九小盛(くくぬくむい)]=900文(1銭8厘)
九百五十(くひゃあくぐんじゅう)[九小盛五十(くくぬくむいぐんじゅう)]=95
0文(1銭9厘)
一貫(いっくぁん)=1貫(2銭)
五貫(ぐくぁん)=5貫(10銭)
十縄(とぅなあ)=10貫(十縄)(20銭)
百貫(ひゃっくぁん)=100貫(2円)
千貫(しんぐぁん)=1、000貫(20円)
一万貫(いちまんぐぁん)=10、000貫(200円)
十万貫(じゅうまんぐぁん)=100、000貫(2,000円)
百万貫(ひゃくまんぐぁん)=1,000、000貫(20,000円)
100文(2厘)単位を、‐小盛(くむい)、という。‐くむい、は集まったものの意
かと思われる。また、1貫ずつ一縄にまとめ、10貫を、十縄(とぅなあ)、という。
当時、一日の労賃は1貫(2銭)、女郎の玉代は、5貫(10銭)ほどで、100万貫
(2万円)の金ができると百万長者の祝いをした。 @一日(いちにち)に五十(ぐ
んじゅう)百日(ひゃくにち)に五貫(ぐくぁん)、貯(た)みてぃ有(あ)る銭(じ
ん)ぬ徒(あだ)に成(な)たさ。[一日に五十 百日に五貫 貯めてある銭の あだ
になたさ]一日に1厘、百日で10銭、貯めてあった金が、一夜の女郎買いでなくな
ったよ。 @銭(じの)お宝(たから)。/銭は宝。 @銭(じの)お難泥(なんどぅ
る)物(むん)。/銭はすべっこいもの。銭はつかまえにくく、失いやすいもの。 @
銭(じん)ぬ算明(さんみん)。/金の計算。 @銭(じん)とぅ命(ぬちぇ)え左右
(さゆう)。/銭と命は左右。銭と命の価値は同等。
膳(じん)@: (名) 膳。普通は、御膳(うじん)、という。普通のものは四角い足の
高いものであるが、そのほかに、夜食膳(やしくじん)[足が短い]、丸御膳(まるう
じん)、などがある。
銭雨(じんあみ)⓪: (名) 銭の雨。大散財。 @銭雨(じんあみ)降(ふ)らしゅ
ん。/大散財をする。
銭入(じんい)りい⓪: (名) 銭入れ。財布。
銭要(じんい)り目(み) (名) 金がかかること。出費の多いこと。銭いりめの意。
銭飢(じんうぅ)がり⓪: (名) 金に飢えること。
臣下(しんか)⓪: (名) 臣下。手下。農村では転じて家族の意にも用いる。
源河(じんか・ぢんか)⓪: 源河。 ※「げんか」、名護市の地名。
銭金(じんかに)⓪: (名) 金銭。
銭貸(じんか)らしゃあ⓪: (名) 金貸し。高利貸し。
銭木(じんぎ)⓪: (名) 植物名。しまたご。もくせい科。その材は用途多く、帆船
の滑車などにも使う。
四月(しんぐぁつぃ)⓪: (名) 4月。年の第四の月。四月(しぐぁつぃ)、ともいう。
千貫(しんぐぁん)@: (名) 銭千貫。20円にあたる。銭(じん)、の項参照。
玄関(じんくぁん・ぢんくぁん)@: (名) 玄関。士族以上の家にある。
銭呉(じんくぃ)やあ⓪: (名) 金をまき散らす者。やたらに銭をくれる者。それに
たかって遊興する者は、追(うう)てぃ喰(くぇ)え[追って食えの意]という。
浸込(しんぐぃ)⁼ゆん⓪: (自 ⁼らん、⁼てぃ) 濁る。くもる。目・ガラス・鏡など
がくもるのをいう。水の濁るのは、濁(みんぐぃ)ゆん、という。
洗骨(しんくつぃ)⓪: (名) 洗骨。死後数年内に次の死者があった場合に行った。
次の死者がない場合には十年ぐらいして行った。棺を墓から墓地の広場へ運び出し、
爪の先まで拾い取ってきれいに洗い、拭き上げてから、下部の骨から順々にかめに入
れて、墓の中へ納める。
千苦万苦(しんくまんく)⓪: (名) 千苦万苦の意。非常に苦心すること。
銭五十(じんぐんじゅう)⓪: (名) けちんぼ。守銭奴。銭50文(1厘)でも惜し
む意。
神経(しんけえ)⓪: (名)[新] 気違い。狂気。
沈香(じんこお)⓪: (名) 沈香。香料の名。
銀行(じんこお・ぢんこお)⓪: (名)[新] 銀行。
背腰曲(しんこおぐ)⓪: (名) 猫背。
栓差(しんざ)し⓪: (名) さる。雨戸のとじまりの装置。栓(しん)、ともいう。
新里(しんざとぅ)⓪: (名) 新里。 ※「しんざと」、南城市佐敷、および、宮古島
市上野の地名。
新参(しんざん)@: (名) 新参の士族。廃藩以前に、平民から士族になったもの。
譜代(ふでえ)[譜代の士族]に対する。新良(みいゆ)か人(っちゅ)、ともいう。
煎(しん)じ⓪: (名) 煎じた汁。スープ。 @鳥煎(とぅいしん)じ[鳥のスープ]、
永良部(いらぶ)う煎(しん)じ[えらぶうなぎの煎じ汁]、鰹煎(かちゅうしん)じ
[かつお節を煎じた汁]、田魚煎(たあいゆしん)じ[ふなを煎じた汁]、尻骨肉煎(ぐ
うやあしん)じ[豚の尻の骨を煎じた汁]、などがある。
銭修羅(じんじいら)⓪: (名) 金で苦しむこと。入(い)ゆん、とともに用いる。
修羅(しいら)、の項参照。 @銭修羅(じんじいら)入(い)ゆん。/金銭のことで
苦しむ。
煎(しん)じ糟(かすぃ)⓪: (名) 煎じかす。煮出したかす。
煎(しん)じ薬(ぐすい)⓪: (名) 煎じ薬。煎(しじ)い薬(ぐすい)、と同じ。
煎(しん)じ汁(じる)⓪: (名) 煎じ汁。煮出した汁。
新仕立(しんした)てぃ⓪: (名) 新しい仕立て。仕立てたばかりのもの。
真実(しんじつぃ)⓪: (名) [真実] @真実。 ➁真心。親切。誠意。 @頼(た
ぬ)むしや元(むとぅ)ぬ誠(まくとぅ)忘(わすぃ)りらん、命(いぬち)振(ふ)
り捨(すぃ)てぃてぃ今(なま)ぬ真実(しんじつぃ)や言言葉(いくとぅば)に出
(ぃん)じゃち言(い)ちや尽(つぃく)さらん。[たのむしや元の 誠忘れらぬ 命
ふり捨てて 今の真実や い言葉に出ち云ちや尽さらぬ(忠臣身替)]たのもしいかな、
昔の誠を忘れずに命をふり捨てての今の真心はことばに出して言いつくせない。 ※
忠臣身替(ちゅうしんみがわり)は、辺土名親雲上(へんとなぺえちん)作の組踊で
ある。 @真実(しんじつぃ)に為(しゅ)ん。/親切にする。 B世話。看病。親
切に面倒を見ること。 @年寄(とぅしゅい)ぬ真実(しんじつぇ)え為(しゅ)る
物(むん)。/年寄りには親切に面倒を見るべきもの。
煎(しん)じ物(むん)⓪: (名) 煎じもの。煎じたもの。
斟酌(しんしゃく)⓪: (名) 反省。反省して後悔する場合や、反省して改める場合
の反省をいう。斟酌の転意。 @斟酌(しんしゃこ)お無(ねえ)ん。/反省の色が
ない。 @斟酌(しんしゃく)為(しゅ)ん。/※動詞化。
銭着(じんじゃく・じんぢゃく)⓪: (名) 銭気違い。金銭のことに凝り固まった者。
厳重(じんじゅう)@: (名) 厳重。また、確か。信用できること。 @厳重(じん
じゅう)な人(っちゅ)。/信用のおける堅い人。
四十九日(しんじゅうくにち)⓪: (名) 四十九日。死後49日目の法事。四十九日
(しじゅうくにち)、と同じ。
厳重(じんじゅう)さん@: (形) 信用がおける。人間が堅い。確かである。
信(しん)じ⁼ゆん⓪: (他 ⁼らん、⁼てぃ) 信じる。信心する。信仰する。確信する
意では元来は用いない。
煎(しん)じ⁼ゆん⓪: (他 ⁼らん、⁼てぃ) 煎じる。煮出す。煎(し)じゆん、とも
いう。
銭銭(じんじん)⓪: (名) ほたるの小児語。地居(じい)ん地居(じい)ん、と同
じ。
染(し)ん染(じ)んとぅ@: (副) しとやかにしているさま。静粛に控えているさ
ま。しみじみとの転意か。 @染(し)ん染(じ)んとぅ為居(しょお)ん。/神妙
にしている。静かに控えている。
先祖(しんず)⓪: (名) @先祖。 ➁墓。塚所(つぃかじゅ)、ともいう。
銭捨(じんすぃ)てぃ事(ぐとぅ)⓪: (名) 銭を捨てるようなこと。浪費。むだづ
かい。また、むだな出費。
心打(しんだ)⓪: (名) 責め苦しめること。虐待。残酷に取り扱うこと。
銭足(じんだ)あり⓪: (名) むだづかい。金をむだに使うこと。 @今日(ちゅう)
や彼(あ)り遊(あすぃ)でぃ銭足(じんだ)あり為(しゃ)ん。/きょうは彼と遊
んでむだづかいした。
銭高(じんだか⓪: (名) 金額。銭高の意。
洗濯(しんたく)⓪: (名) @洗濯。水につけて洗うことだけでなく、洗い、乾かし、
伸ばし、たたみ上げるまでの全部をいう。 @洗濯(しんたく)為(しゅ)ん。/洗
濯して仕上げる。 @洗(あら)てえ有(あ)すぃが洗濯(しんたこ)お未(まあ)
だ。/洗ってはあるが、まだ仕上げてない。洗う仕事のみは、洗(あれ)え為口(し
くち)、である。 ➁布に水を通すこと。
疝気(しんち)⓪: (名) 疝気の転意。フィラリヤ。苦(く)さ、と同じ。
心気(しんち)@: (名)[文] [心気]ここち。心持ち。 @目許(みむとぅ)暗々
(くらぐら)とぅ成(な)るが心気(しんち)(銘苅子)。/目もとが暗くなるような
ここち。 ※銘苅子(めかるし)は、玉城朝薫(たまぐすくちょうくん)作の組踊で
ある。
疝気持(しんちむ)ち⓪: (名) フィラリヤ患者。苦(く)さ触(ふ)りやあ、と同
じ。
銭使(じんづぃけ)え⓪: (名) 金づかい。金の使い方。 @銭使(じんづぃけ)え
荒(あら)さん。/金づかいが荒い。
銭詰(じんづぃ)まい⓪: (名) 金づまり。
千鶴(しんつぃる)@万亀(まんかみ)@: (句) 鶴は千年、亀は万年。
心底(しんてぃい)⓪: (名) 心底。心の底。心。 @心底(しんてぃい)ぬ悪(わ
っ)さん。/心がよくない。
人体(じんてぃい)@: (名) @人柄。 @良(い)い人体(じんてぃい)。/よい人
柄。 ➁本人。当人。本人(ふんにん)、ともいう。 @人体(じんてぃい)や良(ゆ)
たさみ。/本人はよい人間か。
先手観音(しんてぃくぁんぬん)@: (名) 先手観音。首里から那覇への出口、観音
堂にあり、旅の平安を守る菩薩として、旅立ちの時に必ず参詣した。
廃(しん)でぃ⁼ゆん⓪: (自 ⁼らん、⁼てぃ) ただれる。やけどなどで皮膚がくずれ
る。
‐次第(しんでえ): (接尾) ‐次第(しでえ)、ともいう。〜次第。また、〜の順。
@来(ちゅう)次第(しんでえ)。/来た順、また、来次第。 @終(う)わい次第(し
んでえ)。/終わった者順、また、終わり次第。 など。
銭絶(じんて)えしゃあ⓪: (名) 浪費する者。やたらに金を使う者。
船頭(しんどぅう)⓪: (名) 船長。船頭に対応する。山原(やんばら)あ、唐船(と
おしん)、などの船長。
心労(しんどお)⓪: (名) 心労(しんろお)、と同じ。
順当(じんとお)@: (名) 本当。真実。 @順当(じんとお)やみ。/本当か。 @
順当(じんとお)な事(くとぅ)。/本当の事。
真(しん)な⓪: (連) 真(しん)ぬ、と同じ。
銭縄(じんなあ)⓪: (名) 銭縄。銭差し。一厘銭の穴に縄を通し、1貫(2銭)ご
とに一縄にまとめたもの。またその細い縄。
仙人(しんにん)@: (名) 仙人。
仙人頼前(しんにんたんめえ)@: (名) 仙人様。 ➁仙人のようなおじいさん。ま
ゆが真白になった老翁(士族)をいう。
真(しん)ぬ⓪: (連体) 真の。正式の。格式通りの。 @真(しん)ぬ場(ばあ)。
/表向きの正式の場。型通りに正式に行うべき場合。真(しん)ぬ場所(ばしゅ)、と
もいう。 @真(しん)ぬ御賓(うすぃいん)。/正式の賓客。格式通りに一定の順序
に従って応待しなければならない。すなわち、初めに煙草盆を出し、次にお茶、お茶
うけ、料理、酒の順序に出し、次に食後の菓子を出し、改めてお茶を出し、それから
次々に膳部を下げ、最後には煙草盆まで下げる。そこで初めて客は座を立つ。その間、
世間話などは一切しない。正式の用向きは料理の膳部が出る前に型通りの法によって
伝え、法によって承諾の挨拶を述べる。客も主人もすべて式順を追って、あやまりの
ないように期する。
何(じ)んぬ⓪: (連体) どの。何(じ)ぬ、と同じ。 @何(じ)んぬ家(やあ)
が。/どの家か。
芯葉(しんばあ)⓪: (名) 草木の若芽。若葉。
心張(しんば)い⓪: (名) 心張り棒。戸口のしまりに用いる、戸を押さえる棒。
全杯(じんばい)@: (名) 一杯。満ちあふれていること。平民が多く用いる語。全
杯(ずぃんばい)、全杯(ずんばい)、ともいう。 @甕(かあみ)なかい酒(さき)
ぬ全杯(じんばい)為居(しょお)ん。/かめに酒が一杯ある。 @彼(あ)ぬ家(や
あ)や人(っちゅ)ぬ全杯(じんばい)為(しょお)ん。/あの家は人が一杯いる。
@彼(あ)ぬ馬(ぅんま)ぬ荷(にい)や全杯(じんばい)どお。/あの馬の荷はあ
れで一杯だ。 @銭箱(じんばく)なかい全杯(じんばい)ぬ銭(じん)。/銭箱に一
杯の銭。
全杯荷(じんばいにい)⓪: (名) いっぱいの荷物。かつげるだけの荷物。
銭箱(じんばく)⓪: (名) @銭箱。金を入れておく箱。商家には大きい銭箱があっ
た。 ➁転じて、顔のよい女郎のこともいう。ドル箱。
煎餅(しんびい)⓪: (名) 煎餅。
餞別(しんびつぃ)⓪: (名) 餞別。はなむけ。
神妙(しんびゅう)⓪: (名) 神妙。おとなしくて落ち着いていること。 @神妙(し
んびゅう)に為居(しょお)ん。/神妙にしている。 @神妙(しんびゅう)な人(っ
ちゅ)。/神妙な人。
心振(しんぷ)い@: (名) ころげ回ること。すねた場合、また痛みにたえかねた場
合など、もだえてころげ回ること。のたうつこと。精振(しいぷ)い、精振(しいふ)
い、ともいう。 @心振(しいぷ)い為(しゅ)ん。/※動詞化。
心振(しいぷ)い皮振(かあぷ)い@: (名) すねて、ころげ回ること。 @心振(し
いぷ)い皮振(かあぷ)い為(しゅ)ん。/※動詞化。
心塞(しんふぃちゃ)ぎ⓪: (名) 神経衰弱。心配のあまり精神に異常をきたすこと。
元服(じんぶく・ぢんぶく)⓪: (名) 元服。貴族についていう。貴族は15歳まで
は、若衆(わかしゅ)、で、髪型は、後結(うしり)い[後結いの意]であるが、16
歳で、片頭(かたかしら)[欹髻]【その項参照】を結って、元服の儀式をあげる。廃
藩後も貴族の子弟には明治の中ごろまでこの風が見られた。一般の子弟は、元服(ぢ
んぶく)、といわず、片頭結(かたかしらゆう)い、といい、貴族より早く、8〜9歳
ごろ行った。 ※沖縄語辞典、「欹」の字のつくりが、「のぶん」になっているが、「大
漢和辞典」には載っていない漢字のようである。
銭袋(じんぶくる)⓪: (名) 銭袋。財布。巾着。
神魔(しんま)⓪: (名) 神がかり。一種の神経病で、それにかかると霊媒となって
予言などを行うようになる。神魔の意か。
神魔読(しんまゆ)た⓪: (名) 神がかり病になった、読(ゆ)た[占いをする女]。
読(ゆ)んぬ読(ゆ)た、と同じ。
心目(しんみ)⓪: (名) 器具の肝心な箇所。扇のかなめ・器具のはめる所。ねじる
所・差し込み・ねじ、など。 @心目(しんみ)ぬ弱(よお)さん。/イ・ねじなど
がゆるんで用をなさない。ロ・(人間が)無能である。
吟味(じんみ・ぢんみ)⓪: (名) @協議。 @吟味(ぢんみ)為(しゅ)ん。/協
議する。 ➁吟味。調べただすこと。また、裁判で善悪を調べただすこと。
銭見安(じんみいやっ)さん⓪: (形) 金回りがよい。暮らしが楽である。金を見や
すい意。
吟味役(じんみやく・ぢんみやく)⓪: (名)[古] [吟味役]廃藩前の役名。各役所
の次官にあたる。
銭持(じんむ)ち⓪: (名) 金持ち。
四枚鍋(しんめえなあび)⓪: (名) 鍋の一種。非常に大型のもの。
銭儲(じんもお)き付(づ)く⓪: (名) 金もうけ一点張り。金もうけだけを目的で
すること。
煎薬(しんやく)⓪: (名) 煎じ薬。煎(しん)じ薬(ぐすい)、煎(しじ)い薬(ぐ
すい)、煎(しじ)り薬(ぐすい)、と同じ。主として、沖縄医者(うちなあいしゃ)[す
なわち、漢方医]の用いたもの。
心労(しんろお)⓪: (名) 心労。心の苦労。気苦労。心労(しんどお)、ともいう。
心労(しんろお)、は上流の老人などの上品な発音。